説明

拡張可能な管腔内部人工器官

【課題】高度な均一性及び柔軟性と優秀なデザイン性能とを備えた、バルーンで拡張可能なステントを提供すること。
【解決手段】管状部材1からなる拡張可能な管腔内部人工器官は、体内の通路、特に血管の管腔内への部材の腔内配送を可能にする第一の直径を持つ。管状部材1は、管状部材の内部から半径方向外方へ力を加えることで、拡張及び変形した第二の直径を得ることが可能である。第二の直径は、管状部材に加えた力の大きさに応じて変化する。このような管状部材を、体内の通路の管腔を拡張するために拡張変形させることができる。前記管状部材の壁は、相互にずれた波形のほぼ連続的な構造2からなり、この構造は、管壁から分離しており、管状体の長手方向の軸に沿ってほぼ螺旋状に延びる少なくとも一つのパターンを示し、構造内の接続要素が、隣接する波形を各々連結する。これらの接続要素は、それによって相互接続される波形の一体延長となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一及び第二の端部を持つ管状部材と、この第一及び第二の端部の間に配置された壁面とからなる拡張可能な管腔内部人工器官に関する。この壁は、かなり均一な厚さを持ち、体内の通路、特に血管腔内へ前記部材を入れることができる、初期非拡張状態にある第一の直径を持ち、管状部材の内部から放射状に外方へ力を加えることで、部材は、拡張及び変形状態にある第二の直径を得ることが可能である。この第二の直径は、管状部材に加える力に応じて変化するので、体内の通路の管腔を拡張するために管状部材を拡張及び変形することができる。特に、本発明は、病気によって狭くなった、あるいは塞がった血管を修復、あるいは再構築に特に有用な、血管腔内用の、拡張可能な内部人工器官に関する。一般に、この種の医療用デバイスは、血管ステントあるいは人工血管と呼ばれる。
【背景技術】
【0002】
ステントは、血管壁を支持し管腔内に妨げのない流れを築くために、管腔内に移植される人工器管である。これは、血管の修復及び再構築に関わる血管形成術の分野に特に重要である。この特定の分野では、血管の潰れた、部分的に塞がれた、弱くなった、あるいは異常に拡張した部分を強化するために、脈管系内にステントを移植する。しかし、より一般的には、動脈、静脈、胆管、尿路、消化管、気管気管支、大脳水管及び泌尿生殖系を含む、あらゆる生体の導管あるいはダクトの管腔内にステントを用いることが可能である。さらに、人体の他に、動物の管腔内にステントを用いることも可能である。
【0003】
ステントは、概して二つのタイプに識別可能である。第一に、解放された瞬間に自動的に拡張し、永久的な取付拡張状態となる自己拡張可能なステントがある。これらのステントは、定まった直径に拡張するもので、長さが2cmを超える場合、本来の血管構造を再構築することはできない。それらの欠点は、内科医が適切なデバイスを据える必要があり、蛍光撮影及び血管造影装置から得られる情報に頼らなければならないことにある。ステントの第二のタイプは、概して、取付手段としてのバルーン付きカテーテルのバルーンを受けることが可能な管状部材を含む、いわゆるバルーン拡張可能なステントである。本発明は、特に、この第二のタイプのステントに関する。
【0004】
血管内にバルーン拡張可能なステントを移植するための一般的な手法は、適当な供給システムのバルーン付きカテーテル上に、非拡張収縮状態にあるステントを取り付けることを伴う。このカテーテルを血管壁への切り口を介して挿入し、血管に沿って滑らせて、血管の病んだ、あるいは狭められた部分に橋を架けるように配置する。次に、血管の内壁に対してバルーン・カテーテルでステントを拡張する。これは、血管を予め拡張し、ステントが必要であると認められた後で行ってもよい。択一的に、ステントをバルーンによって拡張するときに、ステントによって血管を拡張することも可能である。いずれの場合も、バルーンを萎ませカテーテルを撤去した後、ステントは実装拡張状態を維持し、その血管に対して永久的なサポートを提供する。
【0005】
利用可能な最近の血管ステントの広範な概要については、ロッテルダム胸部介入心臓病学グループのパトリック・W・セルイス氏らによる冠状動脈ステントのハンドブックに示されている(Handbook of Coronary Stents by Patrick W. Serruys et al. of the Rotterdam Thoraxcentre Interventional Cardiology Group)。この概要は、ページ21
ff. に、いわゆるパルマツ・シャツ(Palmaz - Schatz 商標)ステントを、ステントの分野における標準として説明している。このステントは、ステンレス鋼の複数の連続な溝が彫られた管からなり、一つ以上のブリッジ手段によって相互に連結されるものである。このステントは、実際、全世界で60万人以上の患者に移植され、最も広く用いられて試されているが、未だに複数の欠点がある。最大の欠点は、ステント対血管比の均一性と、収縮状態及び取付状態における柔軟性に関わるものである。「ステント対血管比」は、ステントの拡張状態で血管がサポートされる度合いを示すものであるが、単に高いだけではなく、ステント長を通じて均一であることが好ましい。しかしながら、パルマツ・シャツ・ステントの隣接する管の間の避けられないブリッジのために、取り付けられたステントの隣接するセグメント間にむき出しの区域が存在し、これらの位置において、「ステント対血管比」は減少し低い値になる。他の欠点は、収縮状態及び取付状態におけるステント・セグメントのかなり高い硬直性に関わるものである。ステントに柔軟性が乏しく、この柔軟性における制限は、ステントを人体内部の意図する位置に配置する妨げとなる。ステントの柔軟性が乏しいために、通常、セグメントが2cmよりも長い場合は、血管がまっすぐになってしまうが、これが、ステントが取り付けられた区域に、通常、外科手術のおよそ6カ月後に起こる晩期再狭窄の主要な原因であるように思われる。
【0006】
同参考文献のページ63 ff. には、高度に均一なステント対血管比を持ち、収縮状態における柔軟性に優れたバルーン拡張可能なステントが説明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これは、コーディス・コロナリ・ステント(Cordis Coronary Stent)に関わるものである。このデバイスは、単一のタンタル(Ta)ワイヤから構成されており、連続したサイン波を形成するようにワイヤを曲げて長手方向の軸に沿ってらせん状に巻いたものであり、ワイヤの両端部は溶接止めされている。北米放射線医学学会(Radiological Society of North America (RSNA) 11/95)の年度シンポジウムにおいて同様のデバイスが提示された。この辺縁ステントの実施例は、ステント長に渡るパターンとして中間溶接を含む。このデバイスは、ワイヤがらせん状に巻かれたもので、各巻きの隣接個所において溶接されており、デバイス長に沿ってワイヤが高度に規則的に分配されている。収縮形状及びステント対血管比等の特性は、収縮状態及び実装状態において全長に渡って均一である。しかし、その構成のために、このデバイスは、特定の機能を加える、あるいは特定の欠点を除去しようとするとき、デザイン自由度が極めて低い。また、巻いた後のデバイスの内部応力によって、隣接する一巻き一巻き間への、信頼性が高い溶接の提供が妨げられるため、これらの溶接点及びワイヤの端部の溶接が、特にデバイスが拡張中に、弱点となる。
【0008】
本発明の目的は、高度な均一性及び柔軟性と優秀なデザイン性能とを備えた、バルーンで拡張可能なステントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明による最初の段落で説明したタイプの拡張可能な管腔内部人工器官は、少なくとも最初の非拡張状態において、管状部材の壁の少なくとも一部が、管壁から分離し相互にずれた波形のかなり連続的な構造からなること、かなり連続的な構造が、管状体の長手方向の軸に沿ってほぼ螺旋状に延びる少なくとも一つのパターンからなること、そして、その構造が、隣接する波形を連結する接続要素を含み、これら接続要素はそれらが連結する波形の一体延長であることを特徴とする。
【0010】
管状部材の壁を形成するこの構造は、例えば、レーザー切断あるいは熟練者が可能な同様の技術によって、中空の管から分離される。この方法によれば、ほとんど応力がない、ほぼ螺旋状に延びるパターンを含む構造を作ることが可能である。この構造は、デバイス全長に渡って高度に均一で柔軟であるが、デザインの自由度を損なうことがないものであり、パターンの機能性をさらに高める、また、特定の欠点を除去するために自由に変更が可能である。さらに、接続要素は、構造の他の個所と同様に管から分離されて構造と完全に一体であるため、従来の技術のデバイスにおける溶接に関する問題を避けることができる。構造内におけるほぼ螺旋状のパターンを、デバイスの一種の背骨として、実装時にほぼ連続的に延びる脊柱を形成するようにデザインしてもよい。
【0011】
本発明による実施例においては、内部人工器官の構造は、管壁から分離した連続的なフィラメントからなり、隣接する波形は、管状体の長手方向の軸に沿ってほぼ螺旋状にずれて配列され、構造内に少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの一つを形成し、管状部材の長手方向の軸の周りのフィラメントの第一の螺旋巻きは、フィラメントの一体延長である接続要素の少なくとも一つによって、フィラメントの隣接する第二のそのような巻きに連結される。この実施例は、かなり先に述べたコーディス・コロナリ・ステントに類似しているが、そのデバイスの欠点を共有するものではない。
【0012】
デバイスの圧縮及び実装状態における柔軟性を改善するために、本発明による内部人工器官のさらに特定の実施例においては、フィラメントの隣接する巻きは、巻き内の波形の数よりも少ない複数の接続要素によって相互に連結される。本発明のデバイスにおいてはデザイン自由度にほとんど制限がないため、隣接する巻き間の相互接続の数は、デバイスの柔軟性に応じて自由に適応させることができる。隣接する巻き間の連結が少なければ少ないほど、デバイスはより柔軟になる。デザインが自由であるため、最適な作用に適するように、同デバイス内の隣接する巻き間の相互接続数を変更することができる。
【0013】
好適実施例においては、本発明による内部人工器官は次の特徴を持つ。構造がフィラメントの複数の巻きからなり、連続した巻きへの接続要素は、半径方向にずれて、構造内における前記少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの少なくとも一つの追加のほぼ螺旋状のパターンを形成する。この方法においては、実装時の柔軟性を維持しながら、血管壁をサポートする主要なフレームワーク構造を得ることができる。特に、本発明による好適実施例においては、内部人工器官の構造の少なくとも一部分は、フィラメントの各巻きにほぼ等しく分割された複数の接続要素からなり、連続した巻き内の接続要素がおよそ一波形ピッチの距離だけ螺旋状にずれている。ほぼ一ピッチ距離だけ接続要素をずらすことによって、最初のパターンのほぼ完全な波形で、連続した接続要素を各々連結できる。この波形は、相互に連結された接続要素によって作られる螺旋状の脊柱内に有意義な遊びを導入し直径を拡張可能にし、デバイスの、長手方向を横切る方向への非常にゆるやかな拡張を可能にする。これは、拡張されるときにデバイスが長手方向に収縮しデバイスの有効範囲が狭められてしまう、いわゆる縮小を減らすものである。
【0014】
さらに、本発明によるデバイスの特定な実施例においては、接続要素の少なくともいくつかは、第一の隣接波形の第一の側面と第二の隣接波形の反対側とを対角的に相互接続するストラットからなり、このストラットは、隣接波形と完全に一体であり、構造内における前記一つのほぼ螺旋状のパターンの螺旋方向とは異なる方向を持つ。実装時に、この構造は、前記一つのほぼ螺旋状のパターンの方向とは異なる方向あるいは螺旋方向とは反対の方向に、一連の接続要素に渡って延びる一種の脊柱を作る。このようなマルチ螺旋構造は、柔軟で人体の血管壁に共形的であるにも拘らず、かなりのフープ強度を提供することが可能である。
【0015】
さらに、本発明による内部人工器官の実施例においては、連続した巻きに対する接続要素は、およそ一波形ピッチの距離だけ半径方向にずれている。接続要素のこの規則的なパターンのため、デバイスの実装状態において、連続したストラットとそれらが相互接続する波形の各側面とによって形成された、一つ以上の連続的な螺旋状に回る脊柱が得られる。これらの脊柱は、血管の自然な状態に可能な限り共形的であるために、実装状態で柔軟性を維持しながら、均一に血管壁をサポートする足場格子を形成する。特に、後者の欠如は、特定な長さに渡って不自然に血管をまっすぐにしてしまうもので、ステントが取り付けられた部分の晩期再狭窄の主要な原因であるということが分かっている。実装状態における柔軟性と高度に共形的な実装形状とがあるため、この本発明の実施例は、この問題を避けることができる。
【0016】
フープ強度、すなわち内向きの半径方向の力に耐える能力を維持しながら、さらに柔軟性を改善するために、本発明による内部人工器官のある特定の実施例においては、第一の波形の第一の側面、第二の波形の反対側及びストラットが、第一のフィラメント幅を持ち、第一の波形の反対側及び第二の波形の第一の側面が、第二のフィラメント幅を持ち、第一のフィラメント幅は第二のフィラメント幅よりも大きく形成される。発明者は、第二のフィラメント幅を第一のフィラメント幅よりも小さくすることで、デバイスの強度、特にその半径方向のフープ強度を悪化することなく柔軟性が得られることを確認している。
【0017】
さらに、本発明による内部人工器官の特定の実施例においては、連続した巻きの隣接波形の対向側面を連結するストラットは、ほぼS形の構造を持つ。接続要素のこのようなダブル湾曲構造は、相互接続された波形間により多くの遊びを与え、人工器管が実装されたとき、その区域に優れた拡張性及びステント対血管比をもたらす。
【0018】
さらに、本発明による内部人工器官の好適実施例においては、接続要素は、各々、それらが連結する隣接波形及び接続要素の各々に完全に一体な二つの交差ストラットからなる。デバイスの実装時、適用した力の全てが交差点に作用して相互接続要素を軸方向に引く前に、このような相互接続要素は、まず、その中心軸の周りに回転することを発明者は確認している。したがって、デバイスには、ある種の応力軽減機構が組み込まれており、これは、より小さなフィラメントに幅を可能にするものである。これは、単にデバイスの柔軟性を高めるだけではなく、放射線不透明度を改善するものである。さらに、交差ストラットは、この構造の実装時にかなり変化のない足場領域すなわちフットプリントを残すため、実装時にほとんど完全に伸展する接続要素に比べて、デバイスの最終的なステント対血管比を高める。
【0019】
本発明による内部人工器官によって得られたかなり無制限のデザイン自由度によれば、デバイスの特性を特定な必要条件を満たすように正確に仕立てることができる。単に接続要素の形状、数及び特定な部分だけではなく、フィラメントの幅や特定な部分の形状も自由に適応可能である。例として、本発明の特定の実施例においては、フィラメントの波形は、フィラメントの第一の巻きにおける第一の相互ピッチと第二の巻きにおける第二の相互ピッチとを持ち、第一及び第二のピッチは各々他と異なっている。波形の相互ピッチを変えることによって、概して、その領域における血管サポートの変化との組合せにおいて、柔軟性をいくらか高めることができる。
【0020】
さらに、本発明による内部人工器官の実施例においては、少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの、少なくとも一つの巻きにおける、少なくとも一つの波形の少なくとも一部は、増加した振幅を持ち、隣接する巻きにおける隣接波形の少なくとも隣接部分は、相応に減少した振幅を持つ。この場合、デバイスの機械的性質、特に実装の方法及びステント対血管比を、隣接する波形の当接点をオフセットすることによって、仕立て上げることができる。
【0021】
特に、本発明による実施例においては、内部人工器官の構造における隣接波形の第一の対は、第一の接続要素によって連結され、構造の隣接波形の第二の対は、第二の接続要素によって連結されており、接続要素の第一及び第二の対の間に、波形の中間対の少なくとも一つの波形は、第一及び第二の接続要素の長さの少なくとも一部をつなぐために、増加した振幅を持つ。この場合、デバイスの隣接する巻き間の接続要素の必然的な長さは、少なくとも一つの波形の増加した振幅によって、少なくとも部分的に補正されるため、実装時の、より均一なステント対血管比が得られる。
【0022】
さらに、構造内にほぼ螺旋状に延びるパターンを、一連のほぼ螺旋状にずれた波形によって形成する他に、あるいは代わりに、接続要素自体によって作ることも可能である。この点について、本発明による特定な実施例においては、内部人工器官の構造は、管状体の長さの少なくとも一部分に渡ってほぼ規則的に配置された少なくとも一連の接続要素からなり、少なくとも一連に連続した接続要素は、半径方向にずれて、構造内に前記少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの一つのほぼ螺旋状のパターンを形成する。特に、本発明による内部人工器官の好適実施例においては、連続した接続要素は、構造に半径方向の拡張性を与えるために、構造の最初の非拡張状態における接続要素間の直線距離よりも長い細長い部材によって相互に連結される。
【0023】
この方法の場合、螺旋状に延びる脊柱は、デバイスの少なくとも一部分に設けられ、特にデバイスの実装状態において、構造の足場格子に加わるものである。このような脊柱を一つ以上加えることで、構造の収縮状態及び実装状態における柔軟性を損なうことなく、デバイスにかなりのフープ強度及びサポート能力を与えることができる。細長い部材の長さを増すことで、個々に連結した接続要素に拡張可能な直径を備え、構造内にさらに遊びを設け、拡張性を改善し、デバイスの収縮を減らすことが可能である。この追加の外周は、長手方向の軸に沿ったステントの最大拡張径を超えるサイド・ブランチ・アクセスを可能にする。この点に関して、本発明による内部人工器官の特定の実施例においては、細長い部材はほぼSカーブの湾曲からなる。S湾曲部材は、管状体の長手方向の軸に沿って、螺旋に沿って等間隔に配置され、主に、デバイスが半径方向に均一に拡張することを可能にし、実装時に構造が螺旋状構造へ移行することを可能にする。さらに特定な実施例においては、Sカーブの湾曲は、部材が軸に直角に均一に拡張するように、管状体の長手方向の軸にほぼ平行に配置される。これによって、デバイスが拡張するときに、バルーン・カテーテル上でデバイスがねじれて回転するのを防ぐことが可能である。
【0024】
本発明による内部人工器官は、デバイス全体に渡って均一な構造を持ってもよいが、デバイスの好適実施例においては、管状体は、中央部分、管状体の両端部の二つの外側部分、そして中央部分と端部の各々との間に位置する少なくとも一つの中間部分からなり、これらの異なる部分は、デバイスにおける特定な機能に従ってデザインされる。この実施例は、デバイスが非拡張状態、拡張状態あるいは非拡張状態と拡張状態との間の移行状態にあるとき、関連部分に特定な機能あるいは所望の作用を正確に備えるために、内部人工器官の異なる部分には異なる機能が求められるという認識に基づいている。本発明は、デバイスにこの種類の仕立てを提供するものである。
【0025】
特に、本発明による内部人工器官の実施例においては、管状体の二つの外側部分の少なくとも一つにおける構造内の波形は、構造の少なくとも最初の非拡張状態においてその部分の自由端が管状体の長手方向の軸をほぼ横切るように、ピッチの変化あるいはフィラメント幅との組合せに関係なく次第に減少する振幅を持つ。内部人工器官のこのような矩形のような管状端部は、デバイスを意図する位置に導くときに管腔壁を傷つける可能性がある最後の巻きの、好ましくない片持梁的な突出を防ぐものである。さらに、この構造は、体内においてデバイスを操るために用いられるカテーテルのバルーンと内部人工器官との間の機械的接着を改善する。この矩形端部は、所望の矩形端部を形成する最終的な平滑な移行が得られるように、最後の数波形の振幅を次第に減少させると共にピッチを変えることによって作られる。この領域におけるフィラメント幅を修正することによって、さらにこの部分の作用を改善することが可能である。
【0026】
さらに、本発明による内部人工器官の実施例においては、管状体の中央部分は、構造内における少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの螺旋一巻きにつき第一の数の接続要素を含み、中間部分の少なくとも一つは、構造内における少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの螺旋一巻きにつき、構造内に第二の数の接続要素を含む。このとき、接続要素の第一の数は接続要素の第二の数より小さいため、管状体の両部分の間には柔軟性の違いが生じる。正確には、中央部分は、隣接する巻き間の相互接続数が少ないため、中間部分よりも柔軟性が高い。構造内にこの違いに適応させるために、本発明による内部人工器官の特定な実施例においては、中央部分と中間部分とは、パターンの螺旋一巻きにつき接続要素の第一の数から第二の数へと、隣接する巻き間の相互接続数をスムーズに変えるために、移行部分によって各々他から分離される。
【0027】
さらに、本発明による内部人工器官の特定な実施例においては、中央部分における隣接する巻きは、等分割された複数の接続要素を含み、連続した巻きにおける接続要素は、およそ一波形ピッチの距離だけ螺旋状にずれる。例えば、互いに対しておよそ120°に配置された等間隔な三つの接続要素を持つ六つの隣接する螺旋状セグメント、あるいは互いに対しておよそ180°に配置された等間隔な二つの接続要素を持つ六つの対向する螺旋状セグメント。この特定なデザインは、収縮状態及び実装状態の両方において、中央の領域が最も柔軟な構造をもたらす。実装後、この構造は、それ自体が形成する螺旋状の格子構造に一致して整列し、中間領域内において三つの連続的に撚り合った格子足を、そして中央領域において僅かに二つのそのような足を現す。中間領域は、中央部分の実装前にデバイスの端部が早まって外側に開き拡張時に縮小量を打ち消す「犬骨効果」として知られるバルーンによる拡張に抵抗するために、より大きな剛性を示す。さらに、中間領域は、デバイスの中央領域と端部との間でリリーフの役を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による拡張可能な管腔内部人工器官の実施例の等尺図である。
【図2】図1の内部人工器官の平面図である。
【図3】本発明によるデバイスに入れられる相互接続要素の代替的な実施例を示す。
【図4】図1の内部人工器官の端部の拡大図である。
【図5】本発明による拡張可能な管腔内部人工器官の第二実施例の等尺図である。
【図6】非拡張状態にある図5のデバイスの平面図である。
【図7】拡張取付状態にある図5のデバイスの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の特定な実施例による拡張可能な管腔内部人工器官の等尺図である。内部人工器官(以下に短くステントと呼ぶ)は、適当な生体適合材料の管状体から作られた管状部材1からなる。したがって、例えば、高級ステンレス鋼(SST)、ニッケル−チタン(NiTi)に基づくニチノール(Nitinol)と述ばれる合金、数種のコバルトに基づく合金及びニオビウム−チタン(NbTi)に基づく合金を用いることができる。この場合、この素材は、機械的強度、耐食性に優れており、放射線不透過性があり、蛍光透視において確認可能であるために選択される。最初の非拡張状態において、管状部材1は、体内の通路、特に血管の管腔内に部材の取付を可能にする第一の直径dを持つ。内部から、通常バルーン・カテーテルの手段によって放射状に外方へ力を加えることによって、部材1は、拡張及び変形し第二の直径を得ることができる。この第二の直径は、適用された力の大きさに応じて変化する。必然的に、部材は、ある量の逆戻りを示すため、バルーンが除かれた後、デバイスは多少引っ込む。したがって、第二の直径は、ステントが拡張された直径よりも僅かに小さい。しかし、管状部材を拡張変形させて体内の通路の管腔を拡張し、血管等の管腔を介する流れに妨げがないようにすることができる。
【0030】
ステントの壁は、かなり連続的な構成からなり、この例では、管壁から、およそ0.10から0.17mmの幅でほぼ螺旋状に切削された連続のフィラメントからなる。この加工は、レーザー切断、電気化学的エッチング、電気機械的放電あるいは他の適当な技術によって行うことが可能であり、その後、ばりを取り鋭い縁を丸めるためにエッチング等の適当な表面処理を施すことが好ましい。この例では、およそ3.0mmの内径、およそ1.0mmの壁厚及びおよそ30mmの長さを持つ管状体を素材として選択した。しかし、他の寸法も、本発明の範囲内において実行可能である。特に、長さについては、ステントが取り付けられる管腔の病んだ部分に合わせることができる。そのようにすれば、全区域をカバーするのに複数のステントを用いる必要がない。フィラメント構成は、デバイスの中央長手方向の軸 I - I の周りに螺旋状のパターンで相互にずれた複数の波形2からなる。理路整然とした状態を保つために、フィラメントの連続な巻き A - H は、同一管状体から切削され波形に完全に一体な一つ以上の連結要素31、32によって相互に接続されている。非拡張状態及び取付状態において柔軟性を保持するために、螺旋巻き毎の連結要素の数は、その巻き存在する波形の数よりも少ない。このことは、切り開かれたようにデバイスの平面図を示す図2から明白である。この図から明らかなように、連結要素31から次の巻きへは、半径方向におよそ半波形距離のピッチ1/2Lでずれがあり、螺旋状のパターンX−X、Y−Yが形成されている。実装されると、これらのパターンが螺旋状の脊柱へと拡張し、実装ステントの主要なフレームワークすなわち骨格格子を形成する。このフレームワークは、血管壁をデバイスの全長に渡って均一に高度にサポートすると共に、かなりの内向きの半径方向の力に耐えることが可能である。これをフープ強度と呼ぶ。
【0031】
図2の下部には、デバイスの中央のモジュール部分の一部が示されている。フィラメントの連続的な巻きは、単に二つの連結要素31によって、相互に180°変位した状態で接続されている。また、図の上部には、等間隔に配置された三つの連結要素31、32によって、フィラメントの連続的な巻きの隣接する波形が相互に接続されたデバイスの中間部分と共に端部が示されている。したがって、実装されたデバイスの本骨格格子は、中央領域において単一の螺旋状の脊柱を構成し、他の領域において2本の螺旋状の脊柱からなる。後者は、柔軟性は少ないが、デバイスを管腔内に導くバルーン・カテーテルへの接着性が良好である。また、デバイスのテール端部において尚早の拡張が生じる、いわゆる犬骨効果(dog bone effect)を打ち消すことができる。他方、デバイスの中央部分、すなわち、図面の下方部分は、このセグメント内における隣接する波形間の相互接続数が少ないため、柔軟性及び順応性が最大に保たれる。
【0032】
この例においては、各々31及び32と付された二つのタイプの連結要素が用いられている。連結要素の両タイプには、フィラメントの連続的な巻きの隣接する波形の対向部分を螺旋方向に対角的に相互接続する、ねじれ波形自体とは異なる、S形のストラット3が含まれる(図3Eをも参照のこと)。これらのストラットは、上記の格子脊柱の一部を構成するため、主ストラットと呼ぶ。さらに、第二のタイプの相互接続要素32には、第一のストラットを横切るS形の第二の対角ストラット4が設けられている(図3Dを参照)。この形状のために、ステントが実装されるとき連結要素の対角3に軸方向に加えられた僅かな力によって、第二のタイプ32の相互接続要素は、まずその中心軸の周りに回転し始め、第一の対角3が、相互接続する波形の側面と完全に整列した後にだけ、全力を軸方向に受ける。このようにゆるみ及び応力を軽減させる機構が組み込まれているため、格子の足部のストラット幅及びフィラメント幅を薄く形成できる。これは、この領域における放射線不透明度を減少させると共に、非拡張、収縮、取付及び拡張状態における柔軟性を向上させるのに有用である。さらに、この第二のタイプの接続要素がカバーしする支持領域は、デバイス実装後もほとんど減少しない。したがって、実装時にかなり伸展して「骨格跡」として薄い主ストラット3だけを残す図示の他のタイプの接続要素に比べ、実装後の「骨格跡」が大きい。
【0033】
本発明は、相互接続の形状を含みデバイスのどの部分に対してもデザイン制限を設けないので、図示のタイプの接続要素に加え、他の形状も実行可能である。本発明によるデバイスに有利に用いることができる他の形状の例を図3Aから3Gに示す。図3Aから3Cの接続要素は、単に、隣接する波形を接続するまっすぐなストラット3からなり、図3Dから3Fに示す接続要素の主ストラット3は、はっきりとしたSカーブの形状を持つ。この形状は、構造により多くの遊びと拡張性をもたらす。このセグメントが長ければ長いほど、構造、特に、最終的に実装されたデバイス内に接続要素によって作られる脊柱ラダーに、より多くの遊びと拡張性が生じる。拡張状態から、ストラット長の相対的な増加と、デバイスの拡張範囲に及ぼすその効果とを定義する単純な公式を引き出すことが可能である。
【0034】
主ストラット3、すなわち、実装後にデバイスの本骨格すなわち骨組みの部分を終局的に形成するストラットを、点を打ったハッチングによって図3に示す。特定の実施例においては、このストラット及びこれが接続する波形サイドを、デバイスの拡張中に掛かる軸方向の力に耐えるのに十分に大きな第一のフィラメント幅w1に形成し、他の波形サイド、そして可能なら接続要素の他のストラットを、柔軟性を増し放射線不透明度を減少させるために、少なくとも局所的に第二のフィラメント幅w2に形成する。特に、全体的な柔軟性を増すために、デバイスの中央部分におけるフィラメント幅を修正し、第一のフィラメント幅w1をおよそ0.14mmに、また、第二のフィラメント幅w2をおよそ0.11mmに減らす。
【0035】
接続要素によって相互接続されない、フィラメントの連続的な巻きにおける波形の対によってステントの血管支持に悪影響が生じることを避けるために、そのような対の波形の振幅を、構造における他の個所の接続要素に必要な長さを保つために生じたギャップを満たすように形成してもよい。これは、例えば、図2から明らかである。連続した巻きにおける波形の対の隣接する全ての山及び谷は、相互に接続されていないにも拘らず互いに隣接している。これは、そのような波形の対における波形の少なくとも一つの振幅を適合させた結果によるものである。これは、山及び谷の両方の振幅を増加したこと、他方を変化させないでそれら一方だけを拡大したこと、あるいは、さらに、山あるいは谷のいずれかの振幅を増す一方で他方の振幅を減少させたことを暗示するものである。また、この点に関して、設計者は、自由にステント・デザインを、非拡張状態、拡張そして/あるいは遷移状態においてステントの最適な反応が得られるように適合させることができる。
【0036】
デバイス端部は、通常の螺旋形状に伴う片持梁を避け、デバイスの中心軸をほぼ横切るように形成されている。このため、ステントを通す管腔の壁を傷つけることはない。この端部を図4により詳細に示す。最後の数波形の振幅を次第に減少させ、また、それらの相互ピッチを適合させることによって、その特定の形状を得ている。本発明によれば、フィラメントを単純に所望のパターンに切ることができるため、デバイスに何ら応力を導入することなく特定の形状を得ることができる。逸脱する振幅及び相互ピッチについては、図2の平面図から最も良く確認できる。端部モジュールは、拡張形状において「金属対表面積」が増加するため、中央及び中間部分よりもステント対血管比が大きい。端部のより複雑な構造は、拡張状態では、より多く縮小するため、高密度なパターンを生じ、さらにステント対血管比を増加する。
【0037】
本発明によるデバイスの第二実施例を図5から図7に示す。このデバイスは、管状体1からなり、第一実施例と同様な技術を用いて製造されたものであるが、この場合、単一のフィラメントを巻いただけではなく、それ以上のより複雑な構造になっている。しかし、第一実施例のように、デバイスの構造は、相互にずれた波形2のほぼ螺旋状のパターンから構成されており、このパターンの連続した巻きにおけるいくつかの波形を、接続要素33が相互に接続している。この構造内における接続要素は、主に、図3Dに示すようなタイプの、二つの横切るストラットからなる。
【0038】
第一実施例の構造とは異なり、このパターンの連続した巻きにおける接続要素33は、およそ一ピッチ距離だけずれて配置されている。その結果、完全な一つの波形25によって、接続要素33が互いにリンクされているため、接続要素33の間には、細長い部材25が存在する。中間波形によって形成されるこの細長い部材は、Sカーブの湾曲を持ち、少なくとも図5及び6に示す収縮状態においては、これによって相互に連結された相互接続要素間の直線距離よりも長い。このため、このような一連の接続要素の連鎖によって形成された脊柱ラダーに、図7に示す実装状態において、遊びとかなりの拡張性とを与える。さらに、細長い部材25におけるSカーブの湾曲の方向は、少なくとも図5及び6に示す収縮状態において、本体の長手方向の軸にかなり平行であるため、その軸にかなり直角な方向に部材25が均一に拡張することを可能にする。このため、デバイスは、一度拡張されると、バルーン・カテーテルをねじったり回したりすることがない。
【0039】
第一実施例のように、この場合も、ピッチ距離だけ相互にずれて連結された一連の接続要素は、構造内においてほぼ螺旋状のパターンを形成する。ずれた波形自体と同じように、これらの螺旋状回転パターンは、拡張されると、構造内を通る螺旋状の脊柱になる(図7を参照)。しかし、これらの脊柱は、波形からできる脊柱とは異なる方向、図7に直線によって示される方向へ走っている。その結果、フープ強度が大きく、非拡張及び実装状態において柔軟性が優れた構造が生じる。本発明のデバイスは、デザイン自由度が非常に大きいため、これらの局面について、全体的に最良な特性が得られるようにデバイスの各部を適応させることができる。
【0040】
少ない実施例によって本発明を説明したが、本発明は広い範囲に適用可能なものである。熟練した開業医にとっては、本発明の範囲内において、多くの他の実施例及び変更が可能である。例えば、適当なステント対血管比と、その区域における柔軟性とを得るために、振幅の変化の有無にかかわらず、波形のいくつかの相互ピッチを変えることができる。また、特定の機能を付加するために、ステント内において個々に識別可能なモジュール部を新たに加えることが可能である。したがって、比較的に柔軟な中央部分と、より堅い中間及び端部分との間に過渡的な部分を挿入し、ステントのそれらの部分における構造的な移行を軽減してもよい。また、螺旋状パターンの一巻きにおける接続要素の数を増やし、実装デバイスに格子脊柱を増やすことも可能である。この場合、デバイスに、より大きなフープ強度及び支持能力が得られる。
【0041】
同様に、柔軟性及びステント対血管比の他、特定の所望な特性に適するように、フィラメント幅及び波形形状を変化適合させることも可能である。例えば、デバイスの縮小、すなわちデバイスが収縮状態から実装状態へ拡張するときの長さの縮小量、デバイスの逆戻りの度合い、フープ強度及びその放射線不透明度など。どの場合でも、本発明は、可能なかぎり最大の自由度を設計者に提供する。
【0042】
また、第二実施例に示すような一連の接続要素を連結する細長い部材は、パターンの波形と同一体である必要はなく、構造内に個々の要素として導入することもできる。さらに、これらの部材は、完全なSカーブの湾曲からなる必要はなく、あるいはまったくSカーブの湾曲を含まなくともよい。また、そのような湾曲は一つ以上あってもよい。この点に関しても、設計者は、デバイスを需要に合わせて全く自由に仕立てることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一及び第二の端部とこれら第一及び第二の端部の間に配置された壁面とを持つ管状部材からなり、前記壁は、かなり均一な厚さと、体内の通路、特に血管の管腔内への前記部材の腔内配送を可能にする最初の非拡張状態における第一の直径とを持ち、前記部材は、前記管状部材の内部から半径方向外方へ力を加えることによって、拡張及び変形状態における第二の直径を得ることが可能であり、この第二の直径は、前記管状部材に加えた前記力の大きさに応じて変化するため、前記管状部材を拡張し変形することによって体内の通路の前記管腔を拡張することが可能であり、少なくとも前記最初の非拡張状態において、前記管状部材の前記壁の少なくとも一部分が、管壁から分離し相互にずれた波形のほぼ連続的な構造からなること、このほぼ連続的な構造が、前記管状体の長手方向の軸に沿ってほぼ螺旋状に延びる少なくとも一つのパターンからなること、そして、前記構造が、隣接する波形を連結する接続要素を含み、これら接続要素が、連結すべき波形の一体延長であることを特徴とする拡張可能な管腔内部人工器官。
【請求項2】
前記構造が、管壁から分離した連続的なフィラメントからなること、前記隣接する波形が、前記管状体の長手方向の軸に沿って延びるほぼ螺旋状の配列にずれて、前記構造内に前記少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの一つを形成すること、そして、前記管状部材の前記長手方向の軸の周りの前記フィラメントの第一の螺旋巻きが、前記接続要素の少なくとも一つによって、前記フィラメントのこのような隣接する第二の巻きへ連結されて前記フィラメントの一体延長となっていることを特徴とする請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項3】
前記フィラメントの隣接する巻きが、これらの巻き内の波形の数よりも少ない複数の接続要素によって相互に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の内部人工器官。
【請求項4】
前記構造が前記フィラメントの複数の巻きからなり、連続した巻きへの前記接続要素が半径方向にずれて、前記構造内に前記少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの少なくとも一つの追加のほぼ螺旋状のパターンが形成されていることを特徴とする請求項2あるいは3に記載の内部人工器官。
【請求項5】
連続した巻きへの前記接続要素がおよそ半波形ピッチの距離だけ半径方向にずれていることを特徴とする請求項4に記載の内部人工器官。
【請求項6】
前記構造の少なくとも一部分が、前記フィラメントの各々の巻きにかなり等分割された複数の接続要素からなること、そして、連続した巻きにおける前記接続要素がおよそ1波形ピッチの距離だけ螺旋状にずれていることを特徴とする請求項4に記載の内部人工器官。
【請求項7】
前記一つの、そして追加のほぼ螺旋状のパターンが、前記長手方向の軸に沿うかなり異なる螺旋方向に延びることを特徴とする請求項4、5あるいは6に記載の内部人工器官。
【請求項8】
前記フィラメントの波形が、前記フィラメントの第一の巻きにおいて第一の相互ピッチを、また、第二の巻きにおいて第二の相互ピッチを持ち、これら第一及び第二のピッチが各々他とは異なることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の内部人工器官。
【請求項9】
前記少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの少なくとも一つの巻きにおける少なくとも一つの波形の少なくとも一部が、増加した振幅を持ち、隣接する巻きにおける隣接波形の少なくとも隣接部分が、相応に減少した振幅を持つことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の内部人工器官。
【請求項10】
前記構造の隣接する波形の第一の対が第一の接続要素によって連結されていること、前記構造の隣接する波形の第二の対が第二の接続要素によって連結されていること、前記接続要素の第一及び第二の対の間において、前記第一及び第二の接続要素の長さの少なくとも一部をつなぐために、一対の中間波形の少なくとも一つの波形が、増加した振幅を持つことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の内部人工器官。
【請求項11】
前記構造が、前記管状体の長さの少なくとも一部に渡ってかなり規則的に配置された少なくとも一連の接続要素からなること、そして、前記少なくとも一連の連続した接続要素が半径方向にずれて、前記構造内に前記少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの一つのほぼ螺旋状のパターンを形成することを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の内部人工器官。
【請求項12】
前記構造に半径方向の拡張性を与えるために、前記連続した接続要素が、前記構造の前記最初の非拡張状態における前記接続要素の直線距離よりも長い細長い部材によって相互に連結されていることを特徴とする請求項11に記載の内部人工器官。
【請求項13】
前記細長い部材がほぼSカーブの湾曲を含むことを特徴とする請求項12に記載の内部人工器官。
【請求項14】
前記ほぼSカーブの湾曲が前記管状体の長手方向の軸の中心軸にほぼ平行に向けられていることを特徴とする請求項13に記載の内部人工器官。
【請求項15】
少なくともいくつかの前記接続要素が、第一の隣接波形の第一の側面と第二の隣接波形の反対側とを対角的に相互接続するストラットからなり、このストラットは、前記隣接波形と完全に一体であり、前記構造内の前記一つのほぼ螺旋状のパターンの螺旋方向とは異なる方向を持つことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の内部人工器官。
【請求項16】
前記第一の波形の前記第一の側面、前記第二の波形の前記反対側及び前記ストラットが第一のフィラメント幅を持つこと、そして、前記第一の波形の反対側及び前記第二の波形の第一の側面が第二のフィラメント幅を持ち、前記第一のフィラメント幅はこの第二のフィラメント幅よりも大きいことを特徴とする請求項15に記載の内部人工器官。
【請求項17】
隣接波形の対向側面を連結する前記ストラットがほぼS形の構造を持つことを特徴とする請求項15あるいは16に記載の内部人工器官。
【請求項18】
前記接続要素の各々が、それらが連結する隣接波形に完全に一体であると共に相互に一体である二つの交差するストラットからなることを特徴とする請求項14から17のいずれかに記載の内部人工器官。
【請求項19】
前記交差ストラットの第一のストラットは、前記少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの螺旋方向に延び、前記交差ストラットの他のストラットの幅よりも大きなストラット幅を持つことを特徴とする請求項18に記載の内部人工器官。
【請求項20】
前記管状体が、中央部分、前記管状体の両端における二つの外側部分、そして、前記中央部分と前記端部の各々との間に少なくとも一つの中間部分からなり、これらの異なる部分はデバイスの特定な機能に応じてデザインされることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の内部人工器官。
【請求項21】
前記管状体の二つの外側部分の少なくとも一つにおける前記構造内の前記波形が、ピッチあるいはフィラメント幅の変化との組合せに関わらずに次第に減少する振幅を持つため、少なくとも前記構造の前記最初の非拡張状態において、前記部分の自由端が前記体の長手方向の軸をほぼ横切ることを特徴とする請求項20に記載の内部人工器官。
【請求項22】
前記管状体の前記中央部分が、前記構造内の前記少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの螺旋一巻きにつき第一の数の接続要素を含むこと、前記中間部分の少なくとも一つが、前記構造内の前記少なくとも一つのほぼ螺旋状のパターンの螺旋一巻きにつき、前記構造における第二の数の接続要素を含むこと、そして、接続要素の前記第一の数が接続要素の前記第二の数よりも小さいため、前記管状体の両部分間に柔軟性の違いがあることを特徴とする請求項20あるいは21に記載の内部人工器官。
【請求項23】
前記パターンの螺旋一巻きにつき接続要素の前記第一の数から前記第二の数へ、隣接する巻き間の相互接続の数を順調に変えるために、前記中央部分及び前記中間部分が移行部分によって各々他から分離されていることを特徴とする請求項21あるいは22に記載の内部人工器官。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−25047(P2011−25047A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−176484(P2010−176484)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【分割の表示】特願平10−167147の分割
【原出願日】平成10年6月15日(1998.6.15)
【出願人】(500013371)オーバスネイチ メディカル、インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】