説明

振動および音波輻射抑制のための能動型/受動型分布式吸収器

【課題】航空機エンジンなど騒音源となる振動体に貼り付けてそれら振動体の振動および音波輻射を抑制する分布式振動吸収器を提供する。
【解決手段】振動輻射および音波輻射の抑制のための能動型/受動型振動吸収器は二つの層を主要な層として備える。第1の層14は電気的に励起可能で単位面積あたりの剛性の小さい能動型弾性層である。第1の層14は厚さ約10μmのフッ化ポリビニリデンで構成するのが好ましい。第2の層16は分布式マス層であり、一定の厚さを備え薄い鉛板で構成可能なマス層で構成する。これら弾性層とマス層との組合せにより共振層を構成する。複数の共振層を互いに積層して、共振層に同一または互いに異なる寸法及び形状のセグメント化したマスを備えることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は概括的には振動吸収器に関し、より詳しくは、振動輻射および音波輻射の抑制のための能動型/受動型の分布式振動吸収器に関する。
【背景技術】
【0002】
能動型および受動型の騒音抑制技術は周知であり、航空機などの振動体における振動およびそれに伴う音波の輻射を軽減したり抑制したりするために用いられている。多くの場合、能動型の騒音軽減技術で振動および騒音は十分に軽減されるが、高コストで複雑な抑制システムを要する。同様に、受動型の騒音軽減技術も振動および騒音を軽減するものとして知られているが、それら受動型のシステムは通常大型であって重量が大きく、低周波数の振動には効果がない。
【0003】
基本的に能動型の振動抑制システムは振動体からの振動または騒音を検出するセンサを用いる。そのセンサが振動または騒音を信号に変換し、その信号を反転して増幅する。反転した信号を次にアクチュエータ(すなわちスピーカ)に饋還し、そのアクチュエータから前記反転した信号を振動体に供給して振動または騒音を抑制する。能動型の抑制システムは通常は1000Hz以下などの低い周波数に有効である。
【0004】
この能動型抑制システムを適切に利用するためには、その能動型抑制システムの機能の発揮に適切なセンサおよびアクチュエータを選ぶことが重要である。すなわち、適切でないセンサまたはアクチュエータを選んだ場合は、この能動型抑制システムは信号の反転および増幅を適切に行うことができず、したがって振動体の振動および騒音を十分に軽減することができない。また、センサおよびアクチュエータを、相互間の関係および振動体の振動との関係を適切に保った状態で振動体に適切に位置づけることも、この能動型振動抑制システムの機能発揮に重要である。例えば、センサおよびアクチュエータの上記位置づけが適切でなければ、振動体の振動の消去をもたらすための反転信号の適切な増幅ができなくなる。また、信号反転の可能な適切な饋還回路を設けることも非常に重要である。すなわち、饋還回路によって振動抑制の効果および周波数範囲が決まるからである。
【0005】
能動型抑制システムと対照的に、受動型抑制システムはより単純でコスト安であるのが普通である。しかし、その種の抑制システムは嵩張り、通常は500Hz以上の周波数だけで効果を発揮する。この種のシステムが振動体の振動の波長と同程度の寸法になるのはそのような比較的高い周波数においてである。
【0006】
能動型振動抑制システムと受動型振動抑制システムとを組み合わせることも振動抑制システムの具体化の際に通常行われている。しかし、そのような能動型/受動型混成振動抑制システムが受動型システム以上の減衰量改善を得るには、抑制のためのエネルギーを追加する必要がある。
【0007】
振動体の振動を抑制するためのもう一つの手法として点調整型の振動吸収器がある。しかし、点調整型の吸収器が抑制できる振動は一つの周波数だけであり、したがって振動体の広い領域にわたる振動の抑制についてはその機能は限られたものとなる。
【0008】
【特許文献1】US 5 485 053
【特許文献2】US 5 719 945
【特許文献3】US 6 191 519
【特許文献4】US 4 158 787
【特許文献5】US 4 706 788
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明の目的は、分布式の能動型振動吸収器および分布式の受動型振動吸収器を提供することである。
【0010】
この発明のもう一つの目的は、振動を検出するセンサと、抑制信号を抽出するメカニズムと、この抑制信号を用いて振動吸収器の正饋還抑制や負饋還抑制を行うメカニズムとを含む分布式の能動型振動吸収器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によると、複数の共振層を有する分布式能動型振動吸収器が得られる。一つの実施例では、好ましくは単位面積あたりの剛性の小さい能動型弾性層を第1層に含める。第2層はマス層であり、上記能動型弾性層の波状部の各々の頂部に接着してある。これら能動型弾性層とマス層との組合せにより共振層を構成する。複数の共振層を互いに積層して、これら共振層には同一または互いに異なる寸法および形状(例えば、玉軸受、薄い長方形平板など)のセグメント化したマス(互いに結合されておらず、一体化「層」を形成しないマス)を備えることができる。もう一つの実施例では、上記能動型または受動型の振動層に、発泡体、硝子繊維、ウレタン、ゴムなどの弾性材料を備え、上記マス層をその弾性材料の中に分布させるか弾性材料の表面に貼り付ける。マス層は互いに異なる寸法、厚さおよび形状のセグメント化マス部分で構成することもできる。また、上記弾性材料の中に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、圧電性セラミックその他のエレクトロメカニカルデバイスなどのアクチュエータを埋め込むこともできる。
【0012】
上記能動型弾性層の剛性は小さく、主平面と垂直な方向への動きを可能にする。また、この能動型弾性層はその主平面と垂直な方向への動きを生ずるように電気的に駆動できる。これによって、マス層の動きを制御器により誘発したり変化させたりすることができ、システム全体の動的特性の改善を達成することができる。これら二つの組合せ層は、その主構造および剛性に応じてある共振周波数、すなわち、好ましくはその主構造の共振周波数近傍の共振周波数を備える。
【0013】
上記能動型弾性層は曲がったポリフッ化ビニリデン(PVDF)層で構成するのが好ましいが、圧電性セラミック、PZTゴム、エレクトロメカニカルデバイスなどでも同様に構成できる。また、この能動型弾性層を曲がったPVDFだけで構成し、波状部を円柱状にして管状体でマス層を保持するようにすることもできる。この能動型弾性層の表面には電圧印加によりこの弾性層を活性化できるように第1および第2の電極を設ける。電圧印加により弾性層内に電界を生ずる。この電界の影響により機械的に伸縮する圧電性材料でこの能動型弾性層を構成することもこの発明は想定している。そのために、マス層の二つの面の間の距離は電界印加時の弾性層伸縮の際に変化する。
【0014】
マス層の重さは上記振動構造物全体の重さの約10%以下とし、その厚さは振動構造物の単位面積あたりの重さに比例した値にするのが好ましい。しかし、マス層の重さを振動構造物全体の10%以上にすることもできる。また、小振幅のモード寄与を示す振動構造物の場合に比べて大振幅のモード寄与を示す振動構造物の場合のマス層面積を大きくすることもこの発明は想定している。
【0015】
このマス層は一定の厚さで一定の質量の層にすることもでき、振動体のモード寄与に応じて変えた厚さで一定の質量の層にすることもできる。とくに可変の厚さの場合は振動構造物の局部的に変わる応答特性にマス層を整合させるのが好ましい。
【0016】
また、この振動構造物の変動し得る応答特性への整合を容易にするために、このデバイスの軸方向にマス層をセグメント化することもできる。
【0017】
さらに他の実施例では、上記能動型弾性層をこの層の軸方向の動きを防ぐように互いに接着した複数のプラスチック薄板で構成することもできる。
【発明の効果】
【0018】
したがって、この分布式能動型振動吸収器(DAVA)は不要振動や不要音波を軽減するように機械的にも電気的にも調整できる。第1の層は剛性の小さい能動材料で構成し、より密度の高い材料で構成した第2の層の動きを可能にする。複数の共振周波数を有する複数の層で構成できるこれらの層、または互いにセグメント化した複数の層を、運動エネルギー再分割の大域的変化を生ずるように設計することもできる。さらに、この発明の分布式能動型振動吸収器(DAVA)は複数の周波数にわたって振動体構造の全領域または大きい領域について振動を抑制することができ、電気的に駆動できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明の分布式能動型振動吸収器(DAVA)は、振動中の構造物の振動を減衰させるのに用い得る質量に限るのが好ましい。通常は、この発明のDAVAの重量は上記構造物の全体の質量の10%以下にするが、用途によってはDAVAの重量をその構造物全体の質量の10%以上にすることもできる。動きの最も大きい領域、すなわちモード寄与が潜在的に大きい領域に対しては、動きの小さい領域に比べてDAVAの質量を大きくする必要がある。分布式吸収器の局部共振が擾乱の励起周波数に近い領域ではDAVAの効率は高くなる。それ以外の領域については、この共振周波数は励起周波数よりも高くなることもあり低くなることもある。局部的には、DAVAの共振周波数は既知の点吸収器の共振周波数とほぼ同じになり、その局部的割当て質量は全体の質量に比べてごく小さくなる。したがって、局部剛性は全体の剛性に比べてごく小さくなる。この発明のDAVAは分布式のシステム、すなわち複数の周波数にわたり振動体の領域の全体または大部分の振動を抑制できる分布式システムであり、好ましくは電気駆動式にする。
【0020】
図1はこの発明の第1の実施例の分布式能動型振動吸収器(DAVA)の概略図を示す。この好ましい実施例は二層構造を備える。第1の層14は電気的に励起可能で単位面積あたりの剛性の小さい能動型弾性層であり、厚さ約10μmのフッ化ポリビニリデン(PVDF)で構成するのが好ましい。この第1の層14は、圧電性セラミック、PZTゴム、金属、エレクトロメカニカルデバイスなどで構成することもできる。また、この能動型弾性層14は埋込みずみの電気式アクチュエータ(例えば層14)付きの点線15で示した弾性体(例えば発泡体)で構成することもできる。例えば音響装置用発泡体、ゴム、ウレタン、音響装置用ガラス繊維などほぼ任意の材料が使用可能であり、電気式アクチュエータはPVDF、PZTゴム、金属(バネ用の鋼材などバネ作用を有するもの)、重合体(プラスチックなど弾性またはバネ作用を備えるもの)、圧電性セラミック、それ以外のエレクトロメカニカルデバイスで構成できる。
【0021】
以下の説明では例示のために能動型弾性層14を用いた場合を説明する。しかし、上述の材料もしくはそれら以外の任意の材料、または振動抑制技術の分野で周知の材料の多層構成で上述の層を構成することもできる。実施例全体を通じて同一の構成要素は同一の参照数字を付けて示してある。
【0022】
さらに図1を参照すると、上述の能動型弾性層14は、動きの振幅を大きくしシステムの剛性を減らすために、曲がった形(例えば波状)にするのが好ましい。この発明の実施例では、能動型弾性層14は軽量であり、曲げに耐性があり、好ましくは段ボール紙と同様の特性を備えるのが好ましい。第2の層16は分布式マス層(例えば吸収層)、すなわち一定の厚さを備え薄い鉛板で構成可能なマス層で構成する。しかし、よく理解されるとおり、この層16の質量分布には、構造物12の全体または大部分にわたり種々の質量または雑多な形状のセグメント化した質量が含まれる分布もあり、鋼、アルミニウム、鉛、ガラスファイバ複合体などの適当な薄板材料もこの発明の実施の際に用いることができる。均一でない質量分布を用いた実施例では、その変動する質量分布によりDAVAの局部特性を変動させて、基体の局部変動応答特性に理想的に整合するようにする。なお、このDAVAが能動型弾性層とマス層とから成る二層構造に限られず、例えば少なくとも一つの能動型弾性層および少なくとも一つのマス層を有する三層構造または四層構造などの多層構造にもできることはよく理解されよう。
【0023】
上述のマス層16は、その重量が構造物12の重量の10%になるように設計する。一方、マス層16の厚さは構造物12の単位面積あたりの重さに直接に左右される。例えば鋼鉄製のビームまたは板については、均一の鉛層の厚さの最大値は能動型弾性層14の重さを無視して次式、すなわち
/h=(ρ/ρ10%=78000/1130010%=7%
で算出できる。
【0024】
すなわち、6.35mm鋼製ビームについては、この発明のDAVAのマス層16の厚さの最大値は0.44mmである。この算出結果は、DAVAで構造物12(例えば桁)の表面の全部または大部分を覆ったとの仮定による。この重さ制限により、曲がったPVDF層などの能動型弾性層14の剛性はごく小さくなる。例えば、厚さ1mmのマス層16(鉛で構成)では、厚さ2mmの能動型弾性層14の剛性は、共振周波数設計値1000Hzを達成するために9e+5N/mになる。しかし、上述のとおり、このDAVAは振動構造物の領域の全体または大部分につき複数の周波数にわたって振動を抑制することができる。
【0025】
上に略述したとおり、この発明のこれ以外の実施例は能動型弾性層14およびマス層16の複数層を含み得る。例えば、少なくとも二つの能動型弾性層14を少なくとも二つのマス層16と交互に重ね合わせることができる。さらに他の実施例は、能動型弾性層14の各々を別々に調整するとともにマス層16の各々を互いに異なる質量にして、振動構造体の互いに異なる周波数を抑制するようにする。この発明の上述の実施例がこれらの例に限定されることはなく、より多数または少数の能動型弾性層14(互いに異なる周波数を抑制するように調整ずみ)を含むことができ、またより多数または少数のマス層16(互いに異なる質量の)を含むことができるのはもちろんである。
【0026】
例えば、能動型弾性層14などのアクチュエータの両側には電極15として作用する二つの銀の薄膜を設けるのが好ましい。電極17(能動型弾性体の任意の部位に配置できるが両側に配置するのが好ましい)に電圧をかけると、能動型弾性体14の内部に電界が生ずる。この能動型弾性体14は電界の印加により機械的に伸縮する圧電性材料で構成するのが好ましい。
【0027】
図2は電気的励起の下における能動型弾性層14の動きを示す。図2は、図1に示した能動型弾性層14を二つのプラスチック薄板18にエポキシで接着した点であって構造体12およびマス層16(鉛またはそれ以外の適切な材料で構成)に接触している点をも示し得る。能動型弾性層14の両側の二つのプラスチック薄板18が軸方向の動きを防止する。線30は遊休時の能動型弾性層14を表し、線32は電圧−V印加時の能動型弾性層14を表す。また、線34は電圧+V印加時の能動型弾性層14を表す。図2から明確に判るとおり、能動型弾性層14の長さは能動型弾性層14への電圧印加時に変化し、その結果、マス層16の両側の二つの面の間の距離が変化する。上記DAVAの構成により、能動型弾性層14の平面内の動きがその弾性層14の平面外の動きに変換される。図2は、互いに異なる強さの歪力の影響で生ずる能動型弾性層14の形状の曲がり方を誇張して示している。実際には能動型弾性層14の動きは小さく、したがって直線的であるとみなされる。
【0028】
分析の単純化のために、上記波形部材、例えば能動型弾性層14(図1参照)は、複数のバネを構成しているものと理解されたい。これらのバネはマス層16がなければ容易に圧縮されるが、マス層16を取り付けたのちは、容易には圧縮されない。また、マス層16がいったん取り付けられると複数のバネにその影響力が分布する。
【0029】
図3は機械的励起の下での能動型弾性層14の動きを示す。より詳細に述べると、線40は遊休状態における能動型弾性層14を表し、線42はマイナスの負荷をかけた状態における能動型弾性層14を表す。また、線44はプラスの負荷をかけた状態における能動型弾性層14を表す。DAVAに機械的な力で制約を加えた場合は、能動型弾性層14の長さは変化しないもののその形状は変化する。なお、シミュレーションにおいてはマス層16の曲げ剛性は、この層16の剪断を無視するので考慮外とする。
【0030】
なお、単位面積あたりの剛性が小さいこと、一方、振動構造物全体の広い領域にわたり分布しているDAVA全体の剛性が大きいことが重要である。また、DAVAの剛性(および質量)、したがって共振周波数がDAVAの用途に応じて調整できることが重要である。しかし、曲げの剛性は能動型弾性層14の波形部分の空間的波の長さおよびその波の振幅に左右され、その波の長さが長いほど垂直方向の曲げ剛性が小さくなる。さらに、特定の方向におけるDAVAの曲げ剛性は極めて大きく、好ましくは蜂巣状構造と同程度とする。さらに、DAVAの横方向剛性は局部的には小さく、大域的には同程度の質量の点吸収器と同じ大きさにする。したがって、このDAVAは、能動型弾性層14の個々の層は可撓性を備えるものの、大域的には非常に潰れにくい。
【0031】
この能動型弾性層14の横方向剛性、したがって共振周波数はこの弾性層14の高さ、波状部分の波の長さ、厚さ、および両電極間の電気的分路によって調整できる。より詳細に述べると、能動型弾性層14の厚さを大きくすればDAVAの横方向の剛性は小さくなる。振動構造物の広い領域に整合した形状のデバイス(本件発明の場合のように)にするためには、この厚みはそれほど大きくすることはできない。変化させることのできる二番目のパラメータは能動型弾性層14の波状部の波の長さであり、この長さを大きくすれば弾性層14の横方向剛性は小さくなる。このパラメータの変化にも制限がある。すなわち、この波の長さは擾乱波の波長に比べて小さくする必要があり、この要件を満たさなければDAVAの分布型特性が無くなるからである。
【0032】
DAVAの剛性に影響を及ぼすように調整できるもう一つのパラメータは能動型弾性層14の厚さである。例えば、層14を薄くすればその層14の剛性は小さくなる。能動型弾性層14の横方向剛性を変化させる最後の手法は層14の圧電性特性を用いる手法である。例えば、電気的分路により層14の剛性に僅かな変化を与えることができる。すなわち、能動型弾性層14に駆動入力を印加することによって、この層14がより小さい剛性またはより大きい剛性を備える振舞を示すように制御することができる。
【0033】
DAVAはPVDF薄板または同様の薄板をその主方向沿いに上述のとおり切断することによって作成する(PVDFには、励起を受けた状態で大きい歪力を示す方向があり、この方向が吸収器およびその吸収器利用の振動構造物の主振動方向である)。次に、そのPVDF薄板の端部で銀電極1乃至2mmを除去する。好ましい実施例では、銀電極17の除去に好適な溶剤としてアセトンを用いる。三番目の工程は電極17の各々に接続したコネクタを設ける工程である。図14はDAVAへの接続の概要を示す。より詳細に述べると、能動型弾性層14の一端の二つの領域をリベット20の支持のために選ぶ。これらの領域は片方の側だけに電極17を備える。リベット20が一つの電極17のみと接触状態を保つように上記領域の各々について一つの電極17を除去する。リベット20の直径よりも僅かに小さい孔をこれら領域に設け、リベット20の各々の上部をリベットプライアーを用いて適切な位置付けでワイヤ22に鑞付けする。他の実施例は、接続をより強固にするために能動型弾性層14の裏側にもう一つのプラスチック片を設けることもできる。その場合は、リベット20は周知のリベットプライアーでリベット孔の中に固定する。他方の電極にもう一つのワイヤ(図示してない)を接続した上、2本のワイヤをコネクタに接続する。DAVAのPVDF能動部分を駆動する電圧は高くなるので、上記接続の形成には精度が重要である。上記以外の多様な電気接続をこの発明の範囲内で用い得ることは当業者には理解されよう。
【0034】
能動型弾性層は、振動抑制対象の構造物に応じて適切な規格に適合させて波状に形成できるようにするのが好ましい。この目的の達成には多様な手法がある。一つの好ましい手法は、ひと組の鋼鉄製ピンの間にPVDFをセットしてそのまま数日間保持しておくやり方である。振動抑制の対象である構造物にPVDFを接着する際、および上記マス層をPVDFに接着する際にプラスチック薄板(図示してない)をPVDFの両面(上面および底面)に接着することができる(例えば、接着剤その他の適切な材料を波状部分への薄板の貼合せのあとプラスチック薄板に均一に塗布するなどの手法により)。また、これらプラスチック薄板をPVDFと振動制御対象構造物や取付マス板との間の電気絶縁体として作用させることもできる。さらに、波形PVDFを発泡体その他の弾性材料の中に配置することもできる。この目的は、PVDF表面に弾性体を堆積させる手法や弾性材料の中にPVDFを挿入する手法などにより達成できる。上述のとおり、PVDFの代わりに、代替のアクチュエータ材料(例えば、金属、圧電性セラミックなど)を用いることもできる。また、PVDFを完全に曲げてマス板支持用の管状構成にすることもできる。受動型構成ではプラスチック製または鋼鉄製のバネを、波形バネ層の場合と同様に、上述の管状構成の形成に用いることができる。
【0035】
図5は点吸収器と比較したDAVAの性能の測定に用いる実験装置の構成を示す。この実験は上記シミュレーションの微調整および確認も併せて行う。雑音発生器40は周波数範囲0乃至1600Hzの白色雑音信号を生ずる。この信号を増幅器42で増幅し、セットアップ変圧器44に加える。この変圧器44の出力をPZT小片の駆動に用い、支持台に載せたビームをそのPZT小片で駆動する。ビーム沿いにそれと垂直な方向の速度をレーザ速度計で測定し、その測定値出力をデータ捕捉システム48(例えば、パーソナルコンピュータと捕捉カードと関連ソフトウェアとの組合せ)に捕捉する。それらデータの事後処理にパーソナルコンピュータ50を用いる。
【0036】
図6は上記ビームの平均二乗速度を表す。このデータはビームの平均運動エネルギーに関連づけることができ、各点の速度の二乗を加算してそれら点の数(例えば23個の点)で除算することによって算出する。この平均二乗速度を励起電圧1ボルトあたりの数値に正規化し、100Hzから1600Hzの範囲について表示してある。この周波数範囲にはビームの第1のモードの生ずる40Hzは含まれていない。図6に示した線のうち線50以外の線はすべて同じ質量(例えば、局部吸収器も分布式吸収器も100g)の振動抑制システムを示す。線50はビームのみについての測定値を表し、ビームの第2乃至第6のモードを示している。線52は100g点吸収器を備えるビームの振舞を示す。この吸収器の共振周波数は850Hzであり、この共振周波数は第5のモードに影響を及ぼす。このモードはより小さいピーク値の二つの共振に分割される。なお、点吸収器はその吸収器の取付点における振動を軽減するものの、実際にはビームの平均二乗速度を上げる。より精密な微調整を施すことによって(吸収器の共振周波数1000Hz)、これらピーク値は少し右方向に動き、1000Hz近傍に中心を置くようになる。線54はDAVA付きのビームの振舞を表す。この実験においては、DAVAは受動型デバイスとして用いてある。このDAVAがもたらす振動抑制は、点吸収器とは異なることが判る。ほぼ全ての周波数、とくにモード共振ピーク点で、このDAVAは点吸収器よりも優れた大域的ビーム振動抑制をもたらす。同様の結果が図7のシミュレーション結果にも示されている。図6の線50,52および54は図7の線50,52および54と同じである。第3,第4および第6のモードについても著しい抑制が得られる。これに比較して点吸収で得られる抑制はごく小さいことに注目されたい。図6および図7に線55で示した追加の質量は共振周波数にごく僅かの変化を与えるだけであり、振動抑制への影響も僅かである。同じ質量を分布式にした場合はDAVAほどの振動抑制をもたらすことはない。上述のことから理解されるとおり、このDAVAは、ビーム振動抑制に、概念的には点吸収器と同様ではあるが分布領域にわたり動的効果(反作用力)を用いて動作するので、その性能は改善されている。
【0037】
図6および図7はこの発明の二つのタイプの吸収器、例えば点吸収器およびDAVAの間の差を明確に示す。例えば、点吸収器は単一の周波数における応答、および振動構造物上の単一の点における応答を軽減するのに高効率を示す。エネルギーは他の周波数領域に移され、二つの新たな共振が生ずる。一方、DAVAはこの欠点を伴わず、ビームの平均二乗振動エネルギーはビームの共振周波数すべてについて減少し、新たな共振の発生はない。したがって、このDAVAにおいては、互いに異なる周波数でいくつかのモードを同時に抑制することが潜在的に可能である。この特性は、板状材料などモードからみて密度の高い構造物の振動抑制に有用である。
【0038】
図8はこの発明のDAVAを用いて行った能動型振動抑制実験を示す。この抑制システムは三つの加速度計60を誤差センサとして備えるとともに、帯域フィルタ64および正饋還LMSコントローラ62(C40DSPボードに具体化する)を備える。この場合も振動測定をレーザ速度計46によって行う。また、擾乱は、この場合も、コントローラ62の具体化に用いるDSPからの白色雑音である。コントローラ62は、DAVAの能動部分でビームを抑制することによって、誤差センサからの信号を最小に留めようとする。コントローラの入力および出力はすべて帯域フィルタ64によりフィルタ処理する。制御アルゴリズムは、LMSアルゴリズム、すなわち振動抑制技術の分野で周知であり、ひと組の既知の入力の下での誤差信号を最小にするようにN個の適応型フィルタを最適化するLMSアルゴリズムで構成する。このアルゴリズムはリニアシステムの設計に用いることができる。システム入力のN個の過去の値に関連づけるべき最適重みづけ値を得るために勾配法を用いる。勾配サーチに用いる誤差信号はシステムの実際の出力と適応フィルタの出力との間の差である。
【0039】
図9はDAVAの性能の試験のためのコントローラおよび試験器具の配置を示す。この実験では擾乱信号を基準信号としても用い、DAVAと図8の誤差センサ(加速度計)60の各々との間の伝達関数の推算値でフィルタ処理する必要がある。それらの伝達関数はLMSアルゴリズムを用いてシステム特定により得られ、コントローラソフトウェアがDAVAへの能動入力を用いて誤差センサ位置における振動を最小にする。この能動型抑制実験における諸パラメータを表1に示す。
【0040】
【表1】

誤差センサ60はビーム60の中心から−7.5インチ、−1.5インチおよび5.5インチの位置にそれぞれ配置した。振動測定は、ビーム上の位置1インチごとに(全体で例えば23ヶ所)ごとにレーザ速度計を用いて行った。
【0041】
上記ビームの位置の各々における速度振幅値の二乗の和をとりその平均値をとって平均二乗速度を算出する。したがって、この平均二乗速度の値はビーム内の振動の全エネルギーに比例する値になり、その値を図10に示してある。より詳細に述べると、図10はこの発明のDAVA(質量分布一定)により能動型抑制実験の結果を示す。線70は他のデバイスを全く付着させていない状態でのビームの振舞を示し、したがって比較のための基線を示す。線72はDAVAを受動デバイスとして(制御信号を印加することなく)装着したビームの振舞を示す。受動型DAVA付きの場合の実験結果は共振周波数全部におけるビームの全エネルギーがかなり弱められていることを示している。この受動型抑制構成で得られる平均二乗速度の減少は100−1600Hzの周波数範囲で10dBである。すなわち、これらの実験結果はDAVAの二つの重要な受動型素子の側面、すなわちビーム全体を通じた振動の抑制、および複数の周波数における同時並行の抑制を示している。これらの結果は、通常一つの部位および一つの周波数だけで振動抑制をもたらすに過ぎない従来の点振動吸収器と対照的である。能動型抑制を起動させると、さらに3dBの追加の平均二乗速度抑制が得られる。DAVAにより能動型抑制を施したビームの振舞を線74で示す。この能動型抑制システムの性能は、共振ピーク値を600Hzで、すなわち抑制前のピーク値が最大となる600Hzで例えば20dBも低下させる点で好ましい。中程度の共振値では能動型抑制は振動を増加させる(抑制溢出と呼ぶ)が、これはより良質のコントローラおよびより多数のセンサの利用により容易に補正できる。能動型制御を起動させると、上記構造物は非共振となり、このDAVAによる振動抑制効果がより著しくなる。周波数400Hz以下ではPVDFおよび振動吸収器そのものの応答特性のために能動型抑制は得られない。電磁式アクチュエータなど上記以外の能動素子を用いれば、能動型振動抑制作用の得られる周波数を下げることができる。
【0042】
DAVAの効率を上げるために、質量分布を最適化する。すなわち、振動抑制効果を強めるためには、質量層16をビームの全体の長さまたはその大半の範囲の長さに沿って変化させるのが好ましい。質量分布を変化させることによってDAVAの局部特性を変化させ、振動抑制対象の構造物の局部的に変動する特性に理想的に適合するようにする。しかし、ビーム/DAVA応答特性はビームの長さ沿いに複雑な変化を示すので、質量分布の選択に最善のプロセスを導き出す必要が生ずることがある。
【0043】
図11は最適質量分布を備えるDAVAを示す。DAVAの各部分の上部の符号は圧電性駆動小片(擾乱)に対するPVDF弾性薄板14の極性を表す。なお、この最適化過程に用いるビーム応答は、擾乱の位置に大きく左右され、DAVAの最大動的応答効果は擾乱と正反対の方向に生ずる。マス層16の厚さは変動するが質量は一定にする。この厚さ変動は一つの連続した素子に生じさせることもでき、図11に示したとおりの複数の個別部分の重ね合わせによって生じさせることもできる。
【0044】
もう一つの構成では、互いに異なるマス層特性を備える複数のマス共振層を用い得る。図12は、バネ材154としての発泡体の中に埋め込んだ二つの共振マス層150および152を備えるこの種の構成を示す。マス層は連続的な層でも別々の部分から成る層でも差し支えない。この種のデバイスは二つの共振点を備え、振動抑制の周波数範囲が広いという利点を有する。図12は、マス層152が比較的薄い部位で大きい厚さを備えるマス層150を示す。マス層150または152の厚さを変えることにより、振動吸収器に互いに異なる共振特性を与え、同じ相対位置でZ軸方向にマス層150および152の厚さを互いに変えることにより、互いに異なる二つの共振を同時に制御対象にすることができる。
【0045】
図13に示したもう一つの構成では、マス層160,162および164をセグメント化して発泡体などのバネ材の中の互いに異なる深さの位置に配置する。深さが異なることにより、それらマス層セグメントの質量を支持するバネ材の剛性が変化する。この構成により、多様な埋込み深さおよびその深さにおける多様なバネ強度に伴い、複数の共振周波数が得られる。これら複数の共振周波数のために、この発明のデバイスが効果を発揮できる周波数範囲が広くなる。なお、上記セグメント化した埋込みマス層は任意の雑多な形状で差し支えない。また、上述のバネ材には上記のものとは異なる材料(例えばゴム、ガラス繊維、バネ金具、ウレタンなど)も用いることができる。図13は、互いに異なる多数のマス層を用い得ること、それらマス層を個別化(すなわちセグメント化)できること、およびそれらマス層が互いに異なる厚さの複数のセグメントを含み得ることを示す。これらの層160,162および164は特定の位置で特定の周波数における微調整を可能にするように制御しながら形成できるが、多数の共振周波数に適合した振動吸収デバイスを構成するようにランダムに形成するのがより好ましい。また、図13に示したデバイスは、次に述べるとおり、能動型および受動型の両方の振動抑制システムに用いることができる。
【0046】
図12および13に示した実施例における振動では、曲がった圧電性ポリマー、セラミック、電磁式アクチュエータなどの能動素子を、マス素子の動きを変える能動的変化を与えるようにバネ材料の中に埋め込むことができる。その種のデバイスは、上述の電気式駆動との連携の形で用いると性能を改善できる。より詳しく述べると、弾性層の中の一つ以上のレベルに位置する非均一マスと組み合わされた能動型制御は、多数の用途において著しく改善した振動抑制を可能にする。
【0047】
図14は鑽孔を施した材料(例えば鑽孔を施した鉛薄板、鋼薄板など)でマス層170を構成したこの発明のデバイスのもう一つの実施例を示す。この構成の振動吸収器は、鑽孔172を通じて伝搬する表面への入射音響波を吸収するとともに、弾性層174の下の基体構成物の振動を抑制することができる。この実施例は、マス層170が音波源として作用することを防止する(すなわち、応用分野によっては、マス層の一体化した「層」が振動抑制対象の構成物からの音響信号を伝達してそれらの信号が弾性材料を経て外部環境に放射される)。さらに、外部環境からの振動または音響信号は上記鑽孔を通過して、(弾性層174の下の)上記構成物からの振動の抑制に加えて、この振動吸収器により抑制される。図12および13に関連づけて上に述べたとおり、図14の構成は能動型デバイスおよび受動型デバイスの両方に利用できる(すなわち、印加電圧の影響により伸縮できる埋込みPVDF、圧電セラミックその他の材料から成る能動型デバイス、およびマス層172および弾性層174のみから成る(埋込みバネ材料(例えば金属など)をも含み得る)受動型デバイス)。さらに、図14の構成は、図13および図15に示したとおり、弾性材料層の中の一つ以上の平面に埋め込んだセグメント化マス層との組合せで用いることもでき、それらセグメント化したマス層の寸法、形状および重さは多様であり得る。
【0048】
図15は弾性層184の中にセグメント化したマス層180および182を埋め込んだ構成の振動吸収器を示す。図15は種々の大きさおよび形状のセグメント化マス層を用いることを示している。これらのマス層は、共振周波数の広い範囲にわたり振動抑制効果を得るようにランダムに分布させることができ、また、この振動吸収器の中の特定の部位における周波数応答を特定の複数周波数に微調整するように所定のパターンで配置することもできる。これらマス層の一部は球軸受形の球にすることができ、また他の一部は薄い長方形平板にすることができる。マス層の形状は互いに異なる振動周波数への応答特性に互いに異なる影響を及ぼし、その影響の与え方はメーカーが調整できる。
【0049】
図12乃至図15に示した振動吸収器は多様な手法で製造でき、最も単純な手法は、発泡体層を設ける過程と、一体化マス層またはセグメント化マス層を堆積させる過程と、これら発泡体プロセス過程とマス層堆積過程とを数回にわたり繰り返す過程とから成る手法である。代替的に、弾性層の形成中にマス層を弾性材料の中に埋め込むこともできる。さらに、上記弾性層を適当な位置で切断して、その切断部経由で弾性層にマス層断片を挿入することもできる。その挿入過程のあとは、その材料の弾性によりマス層は正しい位置に保持され切断面は閉じられる。
【0050】
図16は、能動型バネ層をPVDF、プラスチック用の材料などの管190で構成したDAVA、すなわち振動吸収器を能動型応用および受動型応用について示す。管状の形は波形に曲がった形の究極の拡張であって振動吸収器の平面沿いに曲率を保持しているから、電圧励起によりマス層への法線方向入力がもたらされる。しかし、管状の構成になっているので、これら管の直径は、管の内側および外側に圧入され吸出される液体の粘性損失に起因するDAVA、すなわち振動吸収器の振動抑制をもたらすように、より容易に調整し寸法設定することができる。
【0051】
単一の実施例についてこの発明を上に説明してきたが、この発明が添付の請求の範囲に記載した真意と範囲を逸脱することなく変形を伴って実施できることは当業者には認識されよう。
【産業上の利用可能性】
【0052】
航空機エンジンなどの振動体の発生する振動および騒音の抑制に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の第1の実施例の分布式能動型振動吸収器(DAVA)の概略図。
【図2】電気的駆動をかけたときのDAVAの能動弾性層の動きを示す図。
【図3】機械的駆動をかけたときのDAVAの能動弾性層の動きを示す図。
【図4】このDAVAの電極への接続線の概略図。
【図5】点吸収器と比較したこのDAVAの性能の測定に用いた実験用機器構成を示す図。
【図6】図5に示した実験用機器構成により重さ100gの6インチの分布式吸収器(駆動なし)、重さ100gの点吸収器および重さ100gの分布式マス層について測定した測定結果を示す図。
【図7】図5の機器構成シミュレーションの結果を表すグラフ。
【図8】この発明のDAVAを用いて行った能動型振動抑制実験を示す図。
【図9】この発明に用いる抑制器および試験機器のレイアウトを示す図。
【図10】一定質量分布式のDAVAを用いた能動型振動抑制実験の結果を示す図。
【図11】最適変化を示す質量分布を用いたDAVAを示す図。
【図12】種々の厚さのマス層を有する振動吸収器の断面図。
【図13】互いに異なる部位で互いに異なる厚さのマスを有する離散化マス(図12に示すとおり一体化されていない)のマス層を有する振動吸収器の断面図。
【図14】開孔付きのマス層、すなわち抑制対象の構造物の反対側でのDAVAへの振動音波またはそれ以外の振動入力が弾性層に通れるようにし、弾性層およびマス層の組合せの利用により緩和できるようにする開孔付きのマス層を有するDAVAを示し、最上のマス層からの不要音波輻射を抑制するのに利用可能な構成を示す図。
【図15】互いに異なるマス層の中で互いに異なる寸法および形状を備える離散化質量の振動吸収器の断面図。
【図16】管内に配置したPVDF、すなわち弾性材料を含む能動型または受動型バネ層で支持したマス層を示す図。
【符号の説明】
【0054】
12 振動抑制対象の構造物
14 能動型弾性層
15 発泡体などの弾性材料
16 分布式マス層(吸収層)
17 電極
18 プラスチック薄板
20 リベット
22 接続用ワイヤ
24 プラスチック片
40 雑音発生器
42 増幅器
44 ステップアップ変圧器
46 レーザ速度計
48 捕捉システム
50 事後プロセッサ
60 加速度計
63 コントローラ
150,152 共振マス層
154,166 バネ材層
160,162,164,170,172,180,182 マス層
174,184 弾性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動構造物の広い範囲にわたり振動および音波輻射を抑制する振動吸収器であって、
前記振動構造物のある範囲に分布させた分布式弾性層と、
前記分布式弾性層の中に互いに離間して分布し前記振動構造物から間隔を隔てて配置された複数の個別のマス切片と
を含む振動吸収器。
【請求項2】
前記互いに離間して分布した複数の個別のマス切片の少なくとも二つが、
寸法で互いに異なるか、
形状で互いに異なるか、および
厚さで互いに異なるか
の少なくとも一つである請求項1記載の振動吸収器。
【請求項3】
前記弾性層が、音響用発泡体、ガラスファイバ詰め物、分布式バネ材料、ウレタンおよびゴムから成る群から選んだ少なくとも一つの材料を含む請求項1記載の振動吸収器。
【請求項4】
前記複数の個別のマス切片の少なくとも二つが前記弾性層の中の垂直方向に互いに異なる平面に配置されている請求項1記載の振動吸収器。
【請求項5】
前記弾性層が選ばれた複数の位置で切断されており、前記複数の個別の互いに離間したマス切片を前記選ばれた複数の位置の切断部で互いに別々に挿入した請求項1記載の振動吸収器。
【請求項6】
前記複数のマス切片の個々のマス切片が、それら個々のマス切片の各々を支持する前記弾性層の特定の部分の剛性を変動させるように前記弾性層の中の互いに異なるレベルに配置され、それによって複数の共振周波数を有する請求項1記載の振動吸収器。
【請求項7】
特定の周波数で共振するように前記複数のマス切片を特定の位置に配置した請求項1記載の振動吸収器。
【請求項8】
前記弾性層をガラスファイバで構成した請求項1記載の振動吸収器。
【請求項9】
請求項1乃至8記載の振動吸収器を振動構造物の上に配置することによって前記振動構造物の振動および音波輻射を抑制する方法。
【請求項10】
振動構造物の広い範囲にわたって振動および音波輻射を抑制する振動吸収器であって、
前記振動構造物の前記広い範囲にわたって分布させた弾性層と、
前記弾性層の上に配置され、それ自体を通じて延びる複数の鑽孔を備え、前記弾性層の厚さだけ前記振動構造物から隔てられているマスと
を含む振動吸収器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−255553(P2012−255553A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158957(P2012−158957)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【分割の表示】特願2006−514256(P2006−514256)の分割
【原出願日】平成16年5月5日(2004.5.5)
【出願人】(502062995)ヴァージニア テック インテレクチュアル プロパティーズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】