説明

振幅制限増幅回路および光受信器

【課題】少ない消費電力で振幅制限増幅回路を動作させる。
【解決手段】振幅制限増幅回路LAにおいて、主増幅回路12で、光信号Pinを光電変換して得られた電気信号Poutに含まれる各パルスを一定振幅に増幅し、光信号断検出回路14で、電気信号Poutに基づいて光信号Pinの信号断を示す光信号断検出信号LOSを生成し、主電流源回路22で、主増幅回路12の動作に用いる電流Is2を当該主増幅回路12へ供給するとともに、光信号断検出信号LOSに基づいて当該電流Is2の供給制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信技術に関し、特に光信号を光電変換して得られた電気信号を一定振幅に増幅する際の省電力技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高速広帯域光伝送方式としてFTTH(Fiber To The Home)システムに採用されているPON(Passive Optical Network)方式では、局側で複数ユーザを収容するOLT(Optical Line Terminal)とユーザ側で光加入者線を終端するONU(Optical Network Unit)との間が光ファイバで結ばれ、信号が双方向伝送される。
【0003】
図11は、従来の光受信器の構成を示すブロック図である。
このようなOLTの光受信器において、フォトダイオードPDで受光された光信号Pinは光電流信号Iinに光電変換されて、プリアンプであるトランスインピーダンスアンプTIA(Trans Impedance Amplifier)によって増幅される。このトランスインピーダンスアンプTIAで得られた電気信号Toutは、ポストアンプである振幅制限増幅回路LA(Limiting Amplifier:振幅制限増幅回路)に入力され、異なる強度の光信号Pinが一定振幅の電気信号となるように増幅され、増幅出力Routとして出力される。
【0004】
この際、振幅制限増幅回路LAでは、増幅回路またはエミッタフォロワ回路からなる初段増幅回路51で電気信号Toutを増幅した後、主増幅回路52で一定振幅の増幅出力Routに増幅する。また、光信号断検出回路54で、初段増幅回路51からの電気信号Toutに基づき光信号Pinの信号断を示す光信号断検出信号LOS(Loss Of Signal)を生成し、この光信号断検出信号LOSに基づいて、スケルチ回路53で増幅出力Routの出力制御を行う。
【0005】
振幅制限増幅回路LAの初段増幅回路51、主増幅回路52、およびスケルチ回路53は、それぞれ初段電流源回路61、主電流源回路62、スケルチ電流源回路63を備えている。例えば、差動増幅回路、比較回路、エミッタフォロワ回路には、通常、電流を供給する電流源回路が用いられ、基準電位VCSによってその電流量が調整される。この基準電位VCSは1種類ではなく、それぞれの回路ブロックで必要となる電流量に応じた電圧値が用いられる場合もある。また、基準電位VCSの電圧源は同一ICチップに搭載されたバンドギャップリファレンス(BGR:Band Gap Reference)回路の出力であったり、ICチップの外部から供給される制御電圧であったりする。
【0006】
光信号断検出回路54では、図11に示したように、初段増幅回路51からの電気信号Toutに基づいて、光信号Pinの入力有無を検出する方法のほか、光信号Pinを受信するフォトダイオードPDからの光電流信号Iinをカレントミラー回路によって転写し、その電流の大小で光信号Pinの有無を検出する方法がある。
また、光信号断検出回路54の光信号断検出信号LOSは、後段回路への信号断表示に用いられるほか、自身のスケルチ回路の開閉に用いられることもある。また、光信号断検出回路54は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)と呼ばれる回路で代用されることもある。一般的に、光信号断検出信号LOSは光信号の有無をデジタル論理レベルで表示し、RSSIは光受信強度に応じたアナログレベルを表示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】"MAX3264/MAX3265/MAX3268/MAX3269/MAX3765"、MAXIM・振幅制限増幅回路・データシート、マキシム・ジャパン株式会社、2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来技術では、振幅制限増幅回路LAの主増幅回路52に設けられた主電流源回路62において、光信号Pinの入力有無に関係なく、それぞれ電流を供給し続けるため、振幅制限増幅回路LAでの消費電力が大きいという問題点があった。
すなわち、主電流源回路62は、電流を供給するための回路であるから、基本的には、振幅制限増幅回路LAに入力される信号の有無によって電流が増減することはない。このため、光信号Pinが入力されておらず、増幅動作を行う必要がないにもかかわらず、主電流源回路62に対して常に電流が供給されているため、無駄な電力が消費されていることになる。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、少ない消費電力で動作させることができる振幅制限増幅回路の省電力技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明にかかる振幅制限増幅回路は、光信号を光電変換して得られた電気信号に含まれる各パルスを一定振幅に増幅する主増幅回路と、電気信号に基づいて光信号の信号断を示す光信号断検出信号を生成する光信号断検出回路と、主増幅回路の動作に用いる電流を当該主増幅回路へ供給するとともに、光信号断検出信号に基づいて当該電流の供給制御を行う主電流源回路とを備えている。
【0011】
この際、主電流源回路は、コレクタ端子が主増幅回路に接続され、エミッタ端子が抵抗素子を介して接地電位に接続されたトランジスタからなる電流源と、光信号断検出信号に応じて、当該トランジスタのベース−エミッタ間に閾値電圧を与える電圧より高い基準電位と、当該ベース−エミッタ間電圧より低い待機電位とのうち、いずれか一方の電位を切り替えて当該トランジスタのベース端子へ印加するスイッチとを含むようにしてもよい。
【0012】
また、増幅回路またはエミッタフォロワ回路からなり、電気信号を入力して主増幅回路へ出力する初段増幅回路を備え、光信号断検出回路は、初段増幅回路から出力された電気信号に基づいて光信号断検出信号を生成するようにしてもよい。
【0013】
また、光信号断検出信号に基づいて、主増幅回路で得られた増幅出力の通過または遮断を制御するスケルチ回路をさらに備えてもよい。
【0014】
また、本発明にかかる振幅制限増幅回路は、光信号を光電変換して得られた電気信号に対して並列的に設けられ、電気信号に含まれる各パルスをそれぞれ一定振幅に増幅する複数の主増幅回路と、これら主増幅回路ごとに設けられて、当該主増幅回路で得られた増幅出力の通過または遮断を制御する複数のスケルチ回路と、スケルチ回路のうち、外部から入力された選択信号と対応するいずれか1つのスケルチ回路を増幅出力の通過状態に制御するとともに、他のスケルチ回路を増幅出力の遮断状態に制御する選択回路と、電気信号に基づいて光信号の信号断を示す光信号断検出信号を生成する光信号断検出回路と、主増幅回路ごとに設けられて、当該主増幅回路の動作に用いる電流を当該主増幅回路へ供給するとともに、当該電流の供給制御を行う主電流源回路とを備え、選択回路で、光信号断検出信号が光信号の信号断を示す場合には、すべての主電流源回路に対して当該電流の遮断または削減を指示し、光信号断検出信号が光信号の信号ありを示す場合には、選択信号で選択されている主増幅回路と対応する主電流源回路に対して、当該電流の供給を指示するとともに、選択信号で選択されていない残りの主増幅回路と対応する主電流源回路に対して、当該電流の遮断または削減を指示するようにしたものである。
【0015】
この際、選択回路は、主電流源ごとに設けられて、選択信号と光信号断検出信号との論理積出力に基づいて、主電流源回路での電流の供給制御を指示するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明にかかる光受信器は、パルス列からなる光信号を光電流信号に光電変換して出力する光電変換素子と、光電流信号を増幅して電気信号を出力するトランスインピーダンスアンプと、電気信号に含まれるパルス列の各パルスを一定振幅に増幅して出力する、前述のしたいずれか1つの振幅制限増幅回路とを備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光信号の入力有無に応じて、主増幅回路に供給される電流の大きさを制御することができる。したがって、光信号が入力されていない信号断状態において、主増幅回路に供給される電流を削減することができるとともに、光信号が入力された時点で、増幅動作に必要となる十分な電流を供給することができる。このため、全体して、少ない消費電力で振幅制限増幅回路を動作させることができ、振幅制限増幅回路の省電力を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態にかかる光受信器および振幅制限増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図2】初段電流源回路の構成例を示す回路部である。
【図3】第1の実施の形態にかかる主電流源回路の構成例を示す回路部である。
【図4】第1の実施の形態にかかる振幅制限増幅回路の動作を示す信号波形図である。
【図5】第2の実施の形態にかかる主電流源回路の構成例を示す回路図である。
【図6】第3の実施の形態にかかる振幅制限増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図7】選択回路の構成例である。
【図8】選択回路で用いる各信号の論理を示す説明図である。
【図9】選択回路の動作を示す真理値表である。
【図10】第3の実施の形態にかかる振幅制限増幅回路の動作を示す説明図である。
【図11】従来の光受信器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる光受信器および振幅制限増幅回路について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる光受信器および振幅制限増幅回路の構成を示すブロック図である。
【0020】
この光受信器100は、光ファイバを介して受信した光信号を電気信号に変換して出力する通信装置であり、例えばFTTHシステムに採用されているPON方式において、局側で複数ユーザを収容するOLTで用いられる。
光受信器100には、主な回路構成として、フォトダイオードPD、トランスインピーダンスアンプTIA、および振幅制限増幅回路(リミッティングアンプ)LAが設けられている。
【0021】
光ファイバを介して到達した光信号Pinは、フォトダイオードPDで受信されて光電流信号Iinに変換され、プリアンプであるトランスインピーダンスアンプTIAによって増幅される。このトランスインピーダンスアンプTIAの電気信号Toutは、ポストアンプである振幅制限増幅回路LAに入力され、異なる強度の光信号Pinが一定振幅の電気信号となるように増幅され、増幅出力Routとして出力される。なお、図1では省略してあるが、振幅制限増幅回路LAの後段には、通常、CDRなどの波形整形回路やタイミング調整回路が設けられており、データ信号からクロック信号が抽出されデジタル信号として扱いやすい波形に整形される。
【0022】
本実施の形態では、振幅制限増幅回路LAにおいて、主増幅回路で、光信号を光電変換して得られた電気信号に含まれる各パルスを一定振幅に増幅し、光信号断検出回路で、電気信号に基づいて光信号の信号断を示す光信号断検出信号を生成し、主電流源回路で、主増幅回路の動作に用いる電流を当該主増幅回路へ供給するとともに、光信号断検出信号に基づいて当該電流の供給制御を行うようにしたものである。
【0023】
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる振幅制限増幅回路の構成について詳細に説明する。
振幅制限増幅回路LAには、主な回路部として、初段増幅回路11、主増幅回路12、スケルチ回路13、光信号断検出回路14、初段電流源回路21、主電流源回路22、およびスケルチ電流源回路23が設けられている。
【0024】
初段増幅回路11は、増幅回路またはエミッタフォロワ回路からなり、結合素子Cを用いたAC結合を介してトランスインピーダンスアンプTIAから入力された電気信号Toutを、主増幅回路12へ出力する機能を有している。
主増幅回路12は、増幅回路からなり、初段増幅回路11から出力された電気信号Poutに含まれる各パルスを一定振幅に増幅する機能を有している。
【0025】
スケルチ回路13は、光信号断検出信号LOSに基づいて、主増幅回路12で得られた増幅出力Routの通過または遮断を制御する機能を有している。
光信号断検出回路14は、初段増幅回路11から出力された電気信号Poutに基づいて、光信号Pinの信号断を示す光信号断検出信号LOS(Loss Of Signal)を生成する機能を有している。
【0026】
これら初段増幅回路11、主増幅回路12、スケルチ回路13、および光信号断検出回路14については、それぞれ公知の回路構成を用いればよい。また、本実施の形態では、初段増幅回路11と主増幅回路12とがAC結合されている場合を例として説明するが、初段増幅回路11と主増幅回路12とを、直接接続してもよい。また、電気信号Tout、Pout、および増幅出力Routとしては、差動信号が用いられているものとする。
【0027】
初段電流源回路21は、基準電位VCSに基づき動作する電流源I1を含み、初段増幅回路11へ電流Is1を供給する機能を有している。
スケルチ電流源回路23は、基準電位VCSに基づき動作する電流源I3を含み、スケルチ回路13へ電流Is3を供給する機能を有している。
【0028】
図2は、初段電流源回路の構成例を示す回路部である。なお、スケルチ電流源回路23も初段電流源回路21と同様の回路構成を持つ。
この初段電流源回路21は、コレクタ端子が初段増幅回路11に接続され、エミッタ端子が抵抗素子R1を介して接地電位GNDに接続されたトランジスタQ1からなる電流源I1を含み、トランジスタQ1のベース端子に基準電位VCSが印加されている。
基準電位VCSは、トランジスタQ1のベース−エミッタ間電圧Vbeに閾値電圧を与える電圧より高い電圧を有しているため、抵抗素子R1には、VCS−Vbe分の一定電圧が発生する。これにより、抵抗素子R1には一定の電流、すなわちIs1=(VCS−Vbe)/R1の電流が流れる。
【0029】
主電流源回路22は、光信号断検出信号LOSに基づき基準電位VCSまたは抵抗素子Rを介して供給される接地電位GNDを出力するスイッチSWを含み、このスイッチSWの出力電位で動作する電流源I2により、主増幅回路12へ電流Is2を供給する機能を有している。スイッチSWについては、一般的なトランスファーゲートなどのスイッチ回路をオンチップで形成してもよい。あるいは、トランジスタQ1のベース端子を振幅制限増幅回路LAのICチップ外部へ引き出して、外付けのスイッチ回路で実現してもよい。
【0030】
図3は、第1の実施の形態にかかる主電流源回路の構成例を示す回路部である。
この主電流源回路22は、コレクタ端子が主増幅回路12に接続され、エミッタ端子が抵抗素子R2を介して接地電位GNDに接続されたトランジスタQ2からなる電流源I2を含み、光信号断検出信号LOSで切替制御されるスイッチSWを介して、基準電位VCS、または抵抗素子Rを介して供給される接地電位GNDのいずれか一方が、トランジスタQ2のベース端子へ印加されている。
【0031】
この際、光信号断検出信号LOSは、光信号を検出したバースト信号区間においてLowレベルとなり、光信号Pinの信号断区間でHighレベルとなるDC信号である。したがって、光信号Pinの信号断区間では、トランジスタQ2のベース端子に基準電位VCSが印加されるため、初段電流源回路21と同様にして、抵抗素子R2には一定の電流、すなわちIs2=(VCS−Vbe)/R2の電流が流れる。
一方、光信号Pinの信号断区間では、トランジスタQ2のベース端子に接地電位GNDが供給されるため、抵抗素子R2には電圧が発生しない。このため、抵抗素子R2を流れる電流Is2が遮断される。
【0032】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかる振幅制限増幅回路の動作について説明する。図4は、第1の実施の形態にかかる振幅制限増幅回路の動作を示す信号波形図である。
【0033】
ここでは、振幅制限増幅回路LAを含む光受信器100が適用されるシステムとして、10G−EPONを想定しており、10Gbpsのデータレートで振幅200mVのバースト信号を1024bit分受信し、続いて振幅2mV以下の無信号区間が時間にして2048bit分継続し、その後再び200mV振幅のバースト信号を1024bit分受信した場合が例として示されている。
なお、グラフは単層表示になっているが、入力、出力ともに差動信号であり、反転側の表示を省略している。また、データパタンはPRBS(擬似ランダムパタン)10−7である。
【0034】
時刻T0において、バースト信号が終了した場合、光信号断検出回路14において光信号Pinの信号断状態が検出され、時刻T0より数10ns遅れた時刻T1に、光信号断検出回路14から、光信号断状態を示すHighレベルの光信号断検出信号LOSが出力される。
この光信号断検出信号LOSの反転に応じて、それまで開いていたスケルチ回路13が直ちに閉じられて、主増幅回路12からの増幅出力Routが遮断される。
【0035】
また、この光信号断検出信号LOSの反転に応じて、主電流源回路22のスイッチSWが、基準電位VCS側から抵抗素子R側へ切り替えられる。
これにより、時刻T1から僅かに後の時刻T2に、基準電位VCSに代えて、抵抗素子Rを介した接地電位GNDが電流源I2に供給され、トランジスタQ2のベース端子の端子電位VBは、約1.5Vの基準電位VCSから接地電位GNDまで低下する。
【0036】
このため、電流源I2により主増幅回路12へ供給されていた電流Is2は、55mAから10mAまで低下し、約45mA程度削減される。この場合、主増幅回路12で用いている電源電位は3.3Vであるので、電流Is2の上記削減により、約150mWの消費電力が削減され、通常動作時に比べて約82%の省電力効果が得られたことになる。
【0037】
この後、時刻T3に、バースト信号を再び受信すると、その後の時刻T4に光信号断検出信号LOSが、光信号Pinの信号ありを示すLowレベルへ反転する。
これにより、その後の時刻T5にスケルチ回路13が開かれて、主増幅回路12からの増幅出力Routの出力が再開される。
【0038】
また、この光信号断検出信号LOSの反転に応じて、主電流源回路22のスイッチSWが、抵抗素子R側から基準電位VCS側へ切り替えられる。
これにより、基準電位VCSが電流源I2に供給され、その後の時刻T5にトランジスタQ2のベース端子の端子電位VBが基準電位VCSまで上昇する。このため、電流源I2により主増幅回路12へ供給される電流Is2が、約55mAまで増加し、増幅動作に必要な十分な電流が供給される。
【0039】
振幅制限増幅回路LAを構成する回路部のうち、電気信号を処理する初段増幅回路11と主増幅回路12については、同一ICチップ上に形成されているが、他の回路部については、同一ICチップにオンチップで構成してもよく、ICチップに対して外部接続で構成してもよい。
【0040】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、振幅制限増幅回路LAにおいて、主増幅回路12で、光信号Pinを光電変換して得られた電気信号Poutに含まれる各パルスを一定振幅に増幅し、光信号断検出回路14で、電気信号Poutに基づいて光信号Pinの信号断を示す光信号断検出信号LOSを生成し、主電流源回路22で、主増幅回路12の動作に用いる電流Is2を当該主増幅回路12へ供給するとともに、光信号断検出信号LOSに基づいて当該電流Is2の供給制御を行うようにしたので、光信号Pinの入力有無に応じて、主増幅回路12に供給される電流Is2の大きさを制御することができる。
【0041】
したがって、光信号Pinが入力されていない信号断状態において、主増幅回路12に供給される電流Is2を削減することができるとともに、光信号Pinが入力された時点で、増幅動作に必要となる十分な電流Is2を供給することができる。このため、全体して、少ない消費電力で振幅制限増幅回路LAを動作させることができ、振幅制限増幅回路LAの省電力を実現することが可能となる。
【0042】
また、本実施の形態では、必要な回路を動作させたまま、主増幅回路を停止するように構成している。具体的には、供給される電流が光信号断検出信号LOSに応じて制御されるのは主増幅回路12であり、初段増幅回路11、スケルチ回路13および光信号断検出回路14については、制御の対象外としている。このうち、初段増幅回路11と光信号断検出回路14は、光信号Pinの入力有無を検出するために必要であり、スケルチ回路13は、無信号時に予め決められたレベルに増幅出力Routを固定してノイズが出力されることを防ぐために必要だからである。
【0043】
したがって、振幅制限増幅回路LAの外部に設けられている電源回路において、光信号断検出信号LOSに基づき、振幅制限増幅回路LA全体の供給電源を制御する場合と比較して、安定した増幅動作を維持しつつ、省電力制御として極めて高い応答性能が得られるため、FTTHなどの高速広帯域光伝送方式で用いる光受信器にも適用できる。
【0044】
また、本実施の形態では、振幅制限増幅回路LAのうち、初段増幅回路11、主増幅回路12、スケルチ回路13、初段電流源回路21、主電流源回路22、およびスケルチ電流源回路23が形成されるICチップと同一チップに、光信号断検出回路14を形成してもよい。これにより、光信号断検出回路14を外付け回路とする場合と比較して、電気信号Poutの配線長を短縮でき、高い周波数特性を得ることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、光信号断検出回路14の接続点、すなわち初段増幅回路11の出力より後段の増幅回路に対する供給電流を制御するようにしたので、光信号断検出回路14の安定動作を確保することができる。なお、光信号断検出回路14の接続点より前段については、トランスインピーダンスアンプTIAや主増幅回路12における増幅率に応じて、初段増幅回路11として、例えば数段の増幅回路やエミッタフォロア回路を具備すればよく、不要であれば初段増幅回路11を削除して、トランスインピーダンスアンプTIAからの電気信号Toutを、主増幅回路12および光信号断検出回路14へ、直接入力するようにしてもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、電流源をバイポーラトランジスタで構成した場合を例として説明したが、MOSFETで構成してもよい。また、例えばNMOSFETで電流源を構成した場合、待機電位VSLとして、直接、接地電位GNDを用いてもよい。
【0047】
[第2の実施の形態]
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる振幅制限増幅回路について説明する。図5は、第2の実施の形態にかかる主電流源回路の構成例を示す回路図である。
【0048】
第1の実施の形態では、主電流源回路22において、スイッチSWを介して、基準電位VCS、または抵抗素子Rを介して供給される接地電位GNDのいずれか一方を、トランジスタQ2のベース端子へ印加する場合を例として説明した。本実施の形態では、スイッチSWを介して、基準電位VCS、または待機電位VSLのいずれか一方を、トランジスタQ2のベース端子へ印加する場合について説明する。なお、本実施の形態にかかる振幅制限増幅回路LAのうち、主電流源回路22以外の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0049】
本実施の形態の形態にかかる主電流源回路22は、図5に示すように、コレクタ端子が主増幅回路12に接続され、エミッタ端子が抵抗素子R2を介して接地電位GNDに接続されたトランジスタQ2からなる電流源I2を含み、光信号断検出信号LOSで切替制御されるスイッチSWを介して、基準電位VCS、または待機電位VSLのいずれか一方が、トランジスタQ2のベース端子へ印加されている。
【0050】
この待機電位VSLは、トランジスタQ2のベース−エミッタ間電圧Vbeに閾値電圧を与える電圧より低く、接地電位GNDより高い直流電位である。一般に、トランジスタのベース電位がベース−エミッタ間電圧Vbeに閾値電圧を与える電圧を下回ると、そのコレクタ電流は指数関数的に減少する特性を有している。したがって、光信号Pinの信号断が検出された場合、トランジスタQ2のベース端子には、ベース−エミッタ間電圧Vbeに閾値電圧を与える電圧より低い電位を印加すれば、接地電位GNDまで低下させなくても、主増幅回路12へ供給される電流Is2を削減できる。
【0051】
一方、光信号断検出回路14におけるバースト信号の検出には、ある程度の時間を要するため、光信号Pinの入力ありを示すLowレベルの光信号断検出信号LOSが出力された時点で、すでにバースト信号が主増幅回路12へ入力されている状態となる。このため、主電流源回路22では、光信号断検出信号LOSがHighレベルからLowレベルへ反転した時点から遅れることなく、主増幅回路12に対して増幅動作に必要な大きさの電流Is2を供給開始することが求められる。
【0052】
ここで、主電流源回路22の電流供給開始時における応答速度は、トランジスタQ2のターンオン時間に左右され、トランジスタQ2に印加されるベース電位の変化量が少ないほど応答速度が速い。
本実施の形態では、光信号Pinの信号断区間において、トランジスタQ2のベース−エミッタ間電圧Vbeに閾値電圧を与える電圧より低く、接地電位GNDより高い待機電位VSLがトランジスタQ2のベース端子に印加される。このため、トランジスタQ2は完全にオフ状態とはならず、いわゆる待機状態に維持される。したがって、トランジスタQ2のターンオン時間が短縮されて、主電流源回路22の応答速度が改善されて、光信号Pinの入力ありを示す光信号断検出信号LOSから増幅動作までに要する時間が短縮される。
【0053】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、主電流源回路22に、コレクタ端子が主増幅回路12に接続され、エミッタ端子が抵抗素子R2を介して接地電位GNDに接続されたトランジスタQ2からなる電流源I2設け、光信号断検出信号LOSに応じて切替動作するスイッチSWで、当該トランジスタQ2のベース−エミッタ間電圧Vbeに閾値電圧を与える電圧より高い基準電位VCSと、当該ベース−エミッタ間電圧Vbeに閾値電圧を与える電圧より低い待機電位VSLとのうち、いずれか一方の電位を切り替えて当該トランジスタQ2のベース端子へ印加するようにしたので、主電流源回路22の電流供給開始時における応答速度を速くすることができる。
【0054】
したがって、一定の電流削減量が得られるのであれば、待機電位VSLとして、ベース−エミッタ間電圧Vbeに閾値電圧を与える電圧により近い電位を選択することにより、高い応答速度を得ることができる。このため、結果として、光信号Pinの入力開始から、少ない遅れ時間で振幅制限増幅回路LAから増幅出力を出力することが可能となる。
【0055】
また、本実施の形態では、電流源をバイポーラトランジスタで構成した場合を例として説明したが、MOSFETで構成してもよい。また、例えばNMOSFETで電流源を構成した場合、待機電位VSLとして、NMOSFETの閾値近傍の電位を用いればよい。
【0056】
[第3の実施の形態]
次に、図6を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる振幅制限増幅回路について説明する。図6は、第3の実施の形態にかかる振幅制限増幅回路の構成を示すブロック図である。
【0057】
第1の実施の形態では、電気信号Poutを増幅する回路系統が1つの場合を例として説明した。本実施の形態では、入力された電気信号Toutを増幅する回路系統が複数設けられている場合について説明する。
【0058】
例えばFTTHシステムに採用されているPON方式では、1Gbps以上のビットレートを持つ光信号Pinを用いるため、このような周波数の極めて高い光信号Pinを増幅する振幅制限増幅回路LAでは、増幅する光信号Pinのビットレートを考慮した回路構成を用いる必要がある。このため、複数のビットレートに対応した光受信器を構成するには、それぞれのビットレートに最適化された増幅回路をそれぞれ持つ回路系統を複数並列的に備える構成が必要となる。
【0059】
図6に示すように、本実施の形態にかかる振幅制限増幅回路LAには、系統Aと系統Bの2つ回路系統が、電気信号Poutに対して並列的に設けられており、これら系統Aと系統Bのいずれか一方を選択制御する選択回路15が設けられている。
【0060】
系統Aには、主な回路部として、主増幅回路12A、スケルチ回路13A、主電流源回路22A、およびスケルチ電流源回路23Aが設けられており、これら回路部は、1Gbpsの光信号Pinに最適化されている。
系統Bには、主な回路部として、主増幅回路12B、スケルチ回路13B、主電流源回路22B、およびスケルチ電流源回路23Bが設けられており、これら回路部は、10Gbpsの光信号Pinに最適化されている。
【0061】
主増幅回路12Aは、増幅回路からなり、初段増幅回路11から出力された電気信号Poutに含まれる各パルスを一定振幅に増幅する機能を有している。
スケルチ回路13Aは、選択回路15からの駆動制御信号CAに基づいて、主増幅回路12Aで得られた増幅出力RoutAの通過または遮断を制御する機能を有している。
主電流源回路22Aは、選択回路15からの駆動制御信号CAに基づいて、主増幅回路12Aへ供給する電流Is2Aを制御する機能を有している。
スケルチ電流源回路23Aは、スケルチ回路13Aへ電流Is3Aを供給する機能を有している。
【0062】
主増幅回路12Bは、増幅回路からなり、初段増幅回路11から出力された電気信号Poutに含まれる各パルスを一定振幅に増幅する機能を有している。
スケルチ回路13Bは、選択回路15からの駆動制御信号CBに基づいて、主増幅回路12Bで得られた増幅出力RoutBの通過または遮断を制御する機能を有している。
主電流源回路22Bは、選択回路15からの駆動制御信号CBに基づいて、主増幅回路12Bへ供給する電流Is2Bを制御する機能を有している。
スケルチ電流源回路23Bは、スケルチ回路13Bへ電流Is3Bを供給する機能を有している。
【0063】
選択回路15は、複数のゲート回路からなり、振幅制限増幅回路LAの上位装置から出力された選択信号RS(Rate Select)と光信号断検出回路14からの光信号断検出信号LOSとの論理積出力に基づいて、駆動制御信号CA,CBを生成して主電流源回路22A,22Bへ出力することにより、系統Aと系統Bのうち、いずれか一方の系統を動作状態に制御する機能を有している。
図7は、選択回路の構成例である。ここでは、主回路部として、インバータINV1,INV2と、NAND回路NAND1,NAND2が設けられている。
【0064】
選択信号RSは、INV1により論理が反転されてNAND1の一方の入力端子に入力されている。また、選択信号RSは、反転されることなく、NAND2の一方の入力端子にも入力されている。一方、光信号断検出信号LOSは、INV2により論理が反転されて、NAND1の他方の入力端子と、NAND2の他方の入力端子へ入力されている。
そして、NAND1の出力が駆動制御信号CAとして、A系統の主電流源回路22Aおよびスケルチ回路13Aへ出力されている。また、NAND2の出力が駆動制御信号CBとして、B系統の主電流源回路22Aおよびスケルチ回路13Aへ出力されている。
【0065】
図8は、選択回路で用いる各信号の論理を示す説明図である。
本実施の形態において、選択信号RSは、系統Aを選択指示するDC信号である。値「0」すなわちLowレベルのときに、系統Aを選択指示する状態、すなわち選択信号RSの有意を表示し、値「1」すなわちHighレベルのときに、系統Bを選択指示する状態を表示する。
【0066】
また、光信号断検出回路14から出力される光信号断検出信号LOSは、十分な信号強度の光信号Pinが入力されていない信号断状態を示すDC信号である。値「1」すなわちHighレベルのときに、十分な信号強度の光信号Pinが入力されていない信号断状態、すなわち光信号断検出信号LOSの有意を表示し、値「0」すなわちLowレベルのときに、十分な信号強度の光信号Pinが入力されている信号あり状態を表示する。
【0067】
また、駆動制御信号CAは、系統Aを駆動指示するDC信号である。値「0」すなわちLowレベルのときに、系統Aの駆動を指示する状態、すなわち駆動制御信号CAの有意を表示し、値「1」すなわちHighレベルのときに、系統Aの駆動停止を指示する状態を表示する。
また、駆動制御信号CBは、系統Bの駆動を指示すDC信号である。値「0」すなわちLowレベルのときに、系統Bを駆動指示する状態、すなわち駆動制御信号CBの有意を表示し、値「1」すなわちHighレベルのときに、系統Bの駆動停止を指示する状態を表示する。
【0068】
[第3の実施の形態の動作]
次に、図9を参照して、本実施の形態にかかる振幅制限増幅回路の動作について説明する。図9は、選択回路の動作を示す真理値表である。
【0069】
図9に示すように、選択信号RSがLowレベルの場合、INV1で負論理に反転されてNAND1へHighレベルが入力されるため、光信号断検出信号LOSと等しいレベルの駆動制御信号CAがNAND1から出力される。また、NAND2にはLowの選択信号RSが直接入力されるため、光信号断検出信号LOSのレベルにかかわらず、Highレベルの駆動制御信号CBがNAND2から出力される。
【0070】
一方、選択信号RSがHighレベルの場合、INV1で負論理に反転されてNAND1へLowレベルが入力されるため、光信号断検出信号LOSのレベルにかかわらず、Highレベルの駆動制御信号CAがNAND1から出力される。また、NAND2にはHighの選択信号RSが直接入力されるため、光信号断検出信号LOSと等しいレベルの駆動制御信号CBがNAND2から出力される。
【0071】
したがって、選択回路15は、光信号断検出信号LOSが光信号Pinの信号断を示す場合には、各主電流源回路22A,22Bに対して、電流Is2A,Is2Bの遮断または削減を指示する。また、光信号断検出信号LOSが光信号Pinの信号ありを示す場合には、例えば、選択信号RSで選択されている主増幅回路12Aと対応する主電流源回路22Aに対して、電流Is2Aの供給を指示するとともに、選択信号RSで選択されていない残りの主増幅回路12Bと対応する主電流源回路22Bに対して、電流Is2Bの遮断または削減を指示する。
【0072】
図10は、第3の実施の形態にかかる振幅制限増幅回路の動作を示す説明図である。
まず、選択信号RSにより系統Aが選択されている際、光信号断検出信号LOSが光信号Pinの信号断を示す場合には、駆動制御信号CA,CBともHighレベルとなる。このため、スケルチ回路13A,13Bの両方が閉じて、増幅出力RoutA,RoutBの出力がともに遮断される。また、主電流源回路22A,22Bの両方で、主増幅回路12A,12Bへ供給される電流Is2A,Is2Bが共に制限または停止され、主増幅回路12A,12Bでの電力消費が削減されて省電力状態となる。
【0073】
一方、光信号断検出信号LOSにより光信号Pinの入力が検出された場合、駆動制御信号CAのみがLowレベルとなる。これにより、スケルチ回路13Aのみが開いて、増幅出力RoutAが出力される。また、主電流源回路22Aのみで、主増幅回路12Aへ十分な電流Is2Aが供給され、主増幅回路12Aのみが増幅動作を行う通常状態となる。
【0074】
また、選択信号RSにより系統Bが選択されている際、光信号断検出信号LOSが光信号Pinの信号断を示す場合には、駆動制御信号CA,CBともHighレベルとなる。このため、スケルチ回路13A,13Bの両方が閉じて、増幅出力RoutA,RoutBの出力がともに遮断される。また、主電流源回路22A,22Bの両方で、主増幅回路12A,12Bへ供給される電流Is2A,Is2Bが共に制限または停止され、主増幅回路12A,12Bでの電力消費が削減されて省電力状態となる。
【0075】
一方、光信号断検出信号LOSにより光信号Pinの入力が検出された場合、駆動制御信号CBのみがLowレベルとなる。これにより、スケルチ回路13Bのみが開いて、増幅出力RoutBが出力される。また、主電流源回路22Bのみで、主増幅回路12Bへ十分な電流Is2Bが供給され、主増幅回路12Bのみが増幅動作を行う通常状態となる。
【0076】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、選択回路15において、光信号断検出信号LOSが光信号Pinの信号断を示す場合には、すべての主電流源回路22に対して、当該電流の遮断または削減を指示し、光信号断検出信号LOSが光信号Pinの信号ありを示す場合には、選択信号RSで選択されている主増幅回路12と対応する主電流源回路22に対して、当該電流の供給を指示するとともに、選択信号RSで選択されていない残りの主増幅回路12と対応する主電流源回路22に対して、当該電流の遮断または削減を指示するようにしている。
【0077】
これにより、入力された電気信号Toutを増幅する回路系統が複数設けられている場合には、選択された系統の主増幅回路に対してのみ電流が供給されるため、他の系統の主増幅回路での消費電力を削減できるのに加え、選択された系統の主増幅回路については、光信号Pinの入力が検出された場合にのみ電流が供給されるため、極めて大きな省電力を実現することが可能となる。
【0078】
また、選択された系統の主増幅回路のみを駆動するようにしたので、他の系統の主増幅回路で発生しうるクロストークを完全に抑止することができ、高いノイズ耐性を得ることができる。
また、光信号Pinの入力有無に応じて主増幅回路への電流供給を制御するようにしたので、バースト信号ごとに自律的な省電力モードへの移行および復帰を実現できる。このため、プロトコルベースの省電力制御が不要となり、振幅制限増幅回路として高い汎用性が得られる。
【0079】
また、図7に示した回路図は、選択回路15の一構成例であり、これに限定されるものではなく、インバータやゲート回路を組み合わせて同様の真理値表が得られる回路を構成してもよい。また、選択信号RS、光信号断検出信号LOS、駆動制御信号CA,CB、主電流源回路22、スケルチ回路13などの制御論理に応じて、適宜、回路構成を変更してもよい。
【0080】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0081】
100…光受信器、PD…フォトダイオード、TIA…トランスインピーダンスアンプ、LA…振幅制限増幅回路、11…初段増幅回路、12,12A,12B…主増幅回路、13,13A,13B…スケルチ回路、14…光信号断検出回路、15…選択回路、21,21A,21B…初段電流源回路、22,22A,22B…主電流源回路、23,23A,23B…スケルチ電流源回路、C…容量素子、I1,I2,I3…電流源、Q1,Q2…トランジスタ、R,R1,R2…抵抗素子、SW…スイッチ、INV1,INV2…インバータ、NAND1,NAND2…NAND回路、Pin…光信号、Iin…光電流信号、Tout,Pout…電気信号、Rout…増幅出力、LOS…光信号断検出信号、RS…選択信号、CA,CB…駆動制御信号、VCS…基準電位、VSL…待機電位、Vbe…ベース−エミッタ間電圧、VB…ベース電位、GND…接地電位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を光電変換して得られた電気信号に含まれる各パルスを一定振幅に増幅する主増幅回路と、
前記電気信号に基づいて前記光信号の信号断を示す光信号断検出信号を生成する光信号断検出回路と、
前記主増幅回路の動作に用いる電流を当該主増幅回路へ供給するとともに、前記光信号断検出信号に基づいて当該電流の供給制御を行う主電流源回路と
を備えることを特徴とする振幅制限増幅回路。
【請求項2】
請求項1に記載の振幅制限増幅回路において、
前記主電流源回路は、コレクタ端子が前記主増幅回路に接続され、エミッタ端子が抵抗素子を介して接地電位に接続されたトランジスタからなる電流源と、前記光信号断検出信号に応じて、当該トランジスタのベース−エミッタ間電圧に閾値電圧を与える電圧より高い基準電位と、当該ベース−エミッタ間電圧より低い待機電位とのうち、いずれか一方の電位を切り替えて当該トランジスタのベース端子へ印加するスイッチとを含むことを特徴とする振幅制限増幅回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の振幅制限増幅回路において、
増幅回路またはエミッタフォロワ回路からなり、前記電気信号を入力して前記主増幅回路へ出力する初段増幅回路を備え、
前記光信号断検出回路は、前記初段増幅回路から出力された電気信号に基づいて前記光信号断検出信号を生成することを特徴とする振幅制限増幅回路。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の振幅制限増幅回路において、
前記光信号断検出信号に基づいて、前記主増幅回路で得られた増幅出力の通過または遮断を制御するスケルチ回路をさらに備えることを特徴とする振幅制限増幅回路。
【請求項5】
光信号を光電変換して得られた電気信号に対して並列的に設けられ、前記電気信号に含まれる各パルスをそれぞれ一定振幅に増幅する複数の主増幅回路と、
これら主増幅回路ごとに設けられて、当該主増幅回路で得られた増幅出力の通過または遮断を制御する複数のスケルチ回路と、
前記スケルチ回路のうち、外部から入力された選択信号と対応するいずれか1つのスケルチ回路を前記増幅出力の通過状態に制御するとともに、他のスケルチ回路を前記増幅出力の遮断状態に制御する選択回路と、
前記電気信号に基づいて前記光信号の信号断を示す光信号断検出信号を生成する光信号断検出回路と、
前記主増幅回路ごとに設けられて、当該主増幅回路の動作に用いる電流を当該主増幅回路へ供給するとともに、当該電流の供給制御を行う主電流源回路と
を備え、
前記選択回路は、前記光信号断検出信号が前記光信号の信号断を示す場合には、すべての前記主電流源回路に対して当該電流の遮断または削減を指示し、前記光信号断検出信号が前記光信号の信号ありを示す場合には、前記選択信号で選択されている前記主増幅回路と対応する前記主電流源回路に対して、当該電流の供給を指示するとともに、前記選択信号で選択されていない残りの前記主増幅回路と対応する前記主電流源回路に対して、当該電流の遮断または削減を指示する
ことを特徴とする振幅制限増幅回路。
【請求項6】
請求項5に記載の振幅制限増幅回路において、
前記選択回路は、前記主電流源ごとに設けられて、前記選択信号と前記光信号断検出信号との論理積出力に基づいて、前記主電流源回路での前記電流の供給制御を指示することを特徴とする振幅制限増幅回路。
【請求項7】
パルス列からなる光信号を光電流信号に光電変換して出力する光電変換素子と、
前記光電流信号を増幅して電気信号を出力するトランスインピーダンスアンプと、
前記電気信号に含まれる前記パルス列の各パルスを一定振幅に増幅して出力する請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載した振幅制限増幅回路と
を備えることを特徴とする光受信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−166658(P2011−166658A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30007(P2010−30007)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】