説明

排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法

【課題】排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、排気ガス浄化装置に流入する排気ガス中の酸素濃度を効率よく低減できる排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法において、リッチ空燃比制御の後で排気ガス浄化装置の下流側に排出される未燃燃料を酸化除去することができる排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法を提供する。
【解決手段】空気Acを空気貯蔵容器21に貯蔵し、この空気貯蔵容器21から供給される空気を単独で、又は、燃料Fと混合して、排気ガス処理装置5の上流側の排気通路4内に噴射する手段を備えると共に、排気ガスGを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、このリッチ空燃比制御の終了時t2を含んで予め設定した時間の間ta〜tbのみ、前記空気貯蔵容器21から供給される空気Acを前記排気ガス処理装置5の上流側の前記排気通路4内に噴射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス貯蔵容器に貯蔵した排気ガスを、排気ガス浄化装置の上流側の排気通路に単独で、又は、燃料と混合して噴射する排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法において、リッチ空燃比制御の後で排気ガス浄化装置の下流側に排出される未燃燃料を酸化除去することができる排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気ガスを浄化するための装置の一つに、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)の浄化のためのNOx浄化触媒装置がある。このNOx浄化触媒装置の一つに、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を貴金属と共に担持して、酸素過剰な排気ガス中のNO(一酸化窒素)を酸化して硝酸塩として触媒上に吸着させて、NOxを浄化するNOx吸蔵還元型触媒を担持した装置がある。
【0003】
このNOx吸蔵還元型触媒は、排気ガスが酸素過剰なリーン空燃比状態では、NOxを吸蔵し、酸素濃度が低いか、空燃比が1より小さいリッチ空燃比状態では、吸蔵したNOxを放出すると共に、この放出されたNOxを還元雰囲気中で還元して、NOxを低減する。
【0004】
このNOx浄化触媒は、ディーゼルエンジンのようなリーン空燃比状態が継続すると、NOx吸蔵材であるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の殆どが硝酸塩に変化し、NOx吸蔵能力を失うので、NOx浄化機能を維持するために、NOx吸蔵能力が飽和に達する前に、排気ガス中の酸素濃度を下げて一時的にリッチ空燃比状態にしてNOx吸蔵材からNOxを放出させる再生処理を、一定の時間間隔やNOx吸蔵量の蓄積量を監視して、NOx吸蔵能力が飽和に近づいたときに行っている。
【0005】
この再生処理のための制御では、エンジンの出力を低下させない程度に、シリンダ内への流入空気量を減らして酸素濃度を下げる吸気制御に加えて、排気ガスの一部を再び燃焼室内に戻すEGR(排気再循環)制御を行っている。また、更に、NOx浄化触媒に流入する排気ガス中の酸素濃度を更に下げる必要がある場合には、エンジンのシリンダ内燃料噴射制御において、ピストンの膨張行程において燃料を添加するポスト噴射制御や、NOx浄化触媒の上流側の排気通路に燃料を直接噴射して、NOx浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比をリッチにする排気管内直接燃料噴射制御等を行っている。
【0006】
吸気制御においては、空気は温度によって体積が大きく変化するが、空気中に含まれている酸素の重量量(モル量)は体積が増えても一定であるため、吸気の温度によって、シリンダ内に入る酸素の供給量(重量量)は変化する。吸気が高温の場合には、空気の膨張によりシリンダ内に入る吸気の重量量は減少するので酸素の供給量が減少し、エンジンの出力が低下する。この現象に対して、EGRガスをEGR通路に設けたEGRクーラーで冷却し、EGRガスの温度と、EGRガスと混合する吸気の温度を下げて、シリンダ内に入る空気量及び酸素量を増加をすることが行われている。
【0007】
しかしながら、ディーゼルエンジンのエンジン出力が少ない場合や始動直後の排気低温域の運転状態では、ピストンの膨張行程で燃料をシリンダ内に添加するポスト噴射制御では、燃料の軽油の沸点は200℃以上であるので、ポスト噴射された燃料の一部が液滴状態のまま、EGRクーラーを通過して、EGRクーラーの冷却配管の表面に付着及び堆積し、EGRクーラーの冷却性能を悪化させてしまうという問題がある。
【0008】
EGRクーラーの冷却性能が悪化すると、EGRガスの温度が上昇して、シリンダ内に入る吸気と混合する際に、EGRガスにより吸気が暖められて吸気の温度が上昇するので、この温度上昇分だけ吸気の体積が増加し、重量換算での吸気量が減少する。従って、必要なの酸素量を確保するためには、EGRガスの流量を減らす必要が生じる。しかしながら、EGRガス量を減少すると、シリンダ内の燃焼温度は上昇し、NOxの生成が活発になるので、エンジンから排出される排気ガスのNOx量が増加する。
【0009】
これに関連して、EGR通路に排気ガスを吸引して圧縮する手段(ポンプ)と圧縮排気ガスタンクを設けて、この圧縮排気ガスタンクから多量のEGRガスを燃焼室に供給して煤の発生を減少する圧縮着火式内燃機関が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、EGR通路の入口にエアを供給してEGR通路中の排ガス温度を所定の温度未満に低減して、排ガスの還流量を増大するターボチャージャ付エンジンの排ガス浄化装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−324457公報
【特許文献2】特開平9−88727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これに対応するために、本発明者は、排気ガスに対する浄化性能を回復するために排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要がある排気ガス浄化装置を備えた排気ガス浄化システムにおいて、排気マニホールド又は排気通路又はEGR通路から排気ガスを吸引して排気ガス貯蔵容器に貯蔵するための排気ガス貯蔵システムと、排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、前記排気ガス貯蔵容器から供給される排気ガスを単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射する噴射弁を備えた排気ガス浄化システムを考えた。
【0011】
このNOx浄化型触媒等を用いる排気ガス浄化システムでは、リーン空燃比状態において十分な浄化性能を維持するためには、一定期間毎に、又は、浄化能力が予め設定した値より低下したと判定されたときに、リッチ空燃比制御を行い、酸素の少ない還元雰囲気状態で、触媒中の酸素を消費しながら、触媒の浄化能力を回復する。
【0012】
しかしながら、熱劣化等により触媒が劣化して触媒の酸化活性が低下した場合や、高価な貴金属の担持量を減らして触媒の酸化活性が低い場合においては、触媒の温度が、触媒反応に十分な温度域にあっても、未燃燃料(未燃HC)や排気ガス中のHCの一部が酸素と反応できずに排気ガス浄化装置の下流側に流出し、HC浄化性能が悪化する。
【0013】
特に、排気通路内に直接燃料を噴射する排気管内直接燃料噴射の場合に、噴射した燃料の一部が液滴の状態で下流側の排気ガス浄化装置内の触媒に流入して付着してから蒸発するので、リッチ空燃比制御の後半でHC濃度(炭化水素濃度)が高くなる。しかしながら、このHC濃度が高くなる時点では、既に触媒雰囲気が低酸素濃度状態になっているので、HCを酸化反応によって浄化する機能が低下してしまっている。この傾向は触媒が劣化した場合や貴金属の担持量の少ない場合ほど強い。
【0014】
この対策として、エンジン入口側の吸入空気量を増加して、触媒に供給される酸素の量を増加させる方法があるが、エンジン出口側に配置された排気ガス浄化装置に対しては、酸素量が増加するまでに時間遅れが生じるため、HCの流出を十分に防止することはできない。
【0015】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、排気ガスに対する浄化性能を回復するために排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要がある排気ガス浄化装置を備え、排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、排気ガス浄化装置に流入する排気ガス中の酸素濃度を効率よく低減できる排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法において、リッチ空燃比制御の後で排気ガス浄化装置の下流側に排出される未燃燃料を酸化除去することができる排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するための本発明の排気ガス浄化システムは、排気ガスに対する浄化性能を回復するために排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要がある排気ガス浄化装置を備えると共に、排気マニホールド又は排気通路又はEGR通路から排気ガスを吸引して排気ガス貯蔵容器に貯蔵するための排気ガス貯蔵システムと、排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、前記排気ガス貯蔵容器から供給される排気ガスを単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射する噴射弁を備えた排気ガス浄化システムにおいて、空気を空気貯蔵容器に貯蔵するための空気貯蔵システムを備え、前記空気貯蔵容器から供給される空気を単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射するように構成される。
【0017】
この構成によれば、空気貯蔵容器(エアータンク)に貯蔵された空気を単独で、又は、燃料と混合して噴射するので、適時、空気を排気ガス処理装置の上流側に供給することができる。そのため、この空気中の酸素により、排気ガス浄化装置の触媒上で蒸発して生成されたガス化HCを酸化除去し、その流出を抑制することができる。
【0018】
特に、エンジン始動時や低出力運転等の排気低温時に、触媒の活性温度域に短い時間で昇温できるよう触媒の加熱に必要な燃料を排気管内噴射によって供給する場合に、触媒温度の変化に対応させて、燃料供給量と燃焼に必要な空気量を精密に制御しながら供給することで、排気ガス浄化装置の下流側への未燃燃料(HC)の排出を抑制することができる。
【0019】
また、排気ガス温度が低下することをエンジンに供給される燃料量とエンジン回転数から検知して、排気ガス浄化装置の上流側に供給する燃料と空気量(酸素量)を制御することにより、触媒温度が活性温度域よりも低温側へ外れることを抑制できる。
【0020】
また、硫黄被毒からの回復のための脱硫処理(硫黄脱離処理)においては、排気ガス浄化装置の触媒に流入する排気ガス中に、適量の燃料と空気を供給して燃料を燃焼させることにより、触媒を高温に加熱し、脱硫可能な温度(700℃付近)の還元雰囲気に保つことができるようになる。なお、この脱硫処理中で高温雰囲気となっている排気ガス中に噴射された燃料の一部は燃料粒子の周囲の酸素が不足することによって炭素粒子になり易いが、この炭素粒子化を空気との混合の促進により抑制できる。
【0021】
上記の排気ガス浄化システムにおいて、前記排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、このリッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間の間のみ、前記空気貯蔵容器から供給される空気を前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射するように構成される。
【0022】
この構成によれば、リッチ空燃比制御の中で行われる排気管内直接燃料噴射において、排気ガス貯蔵容器から供給される排気ガスを停止して、空気貯蔵容器から供給される空気に切り替えることで、容易に、リッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間(短時間、例えば、1秒〜10秒程度)の間だけ空気を排気ガス処理装置の上流側の排気通路内に噴射することができる。なお、この空気単独の噴射の開始時点や期間の長さ(設定時間)は、エンジンや排気ガス浄化装置までの排気通路の長さ等の影響を受けるが、対象とするエンジンや排気ガス処理システムに対して、事前の実験や数値解析などの結果から予め設定しておくことができる。
【0023】
これにより、エンジンの運転が通常のリーン空燃比状態に戻って、排気ガス浄化装置に流入する排気ガス中の酸素濃度が増加するまでの間の短時間だけ、排気通路に空気を供給して、リッチ空燃比制御時に、排気ガス浄化装置の触媒上の酸素と反応できず、下流側に流出するHCを、酸化し除去することができるようになる。
【0024】
また、リッチ空燃比制御を終了し、通常運転状態(リーン空燃比状態)に戻すときの、吸気制御による排気ガス中の酸素濃度の増加を、時間的に緩慢にすることが可能となり、その結果、吸気制御において、吸気の急激な増加が不要になるため、エンジン吸入空気量を緩やかに増加することができるようになる。従って、リッチ空燃比制御後に、吸気制御と燃料噴射量の制御を併せて行うことにより、エンジン出力が急激に増加することを抑制できる。
【0025】
あるいは、上記の目的を達成するための本発明の排気ガス浄化システムは、排気ガスに対する浄化性能を回復するために排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要がある排気ガス浄化装置を備えた排気ガス浄化システムにおいて、空気を空気貯蔵容器に貯蔵し、この空気貯蔵容器から供給される空気を単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射する手段を備えると共に、前記排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、このリッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間の間のみ、前記空気貯蔵容器から供給される空気を前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射するように構成される。この構成によれば、上記と同様の効果を奏することができる。
【0026】
そして、上記の目的を達成するための本発明の排気ガス浄化方法は、排気ガスに対する浄化性能を回復するために排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要がある排気ガス浄化装置を備え、排気マニホールド又は排気通路又はEGR通路から排気ガスを吸引して排気ガス貯蔵容器に貯蔵し、排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、前記排気ガス貯蔵容器から供給された排気ガスを単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路に噴射する排気ガス浄化システムの排気ガス浄化方法において、空気を空気貯蔵容器に貯蔵し、この空気貯蔵容器から供給される空気を単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射することを特徴とする方法である。
【0027】
また、上記の排気ガス浄化方法において、前記排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、このリッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間の間のみ、前記空気貯蔵容器から供給される空気を前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射するようにする。
【0028】
あるいは、上記の目的を達成するための本発明の排気ガス浄化方法は、排気ガスに対する浄化性能を回復するために排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要がある排気ガス浄化装置と、空気を空気貯蔵容器に貯蔵し、この空気貯蔵容器から供給される空気を単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射する手段を備えた排気ガス浄化システムの排気ガス浄化方法において、前記排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、このリッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間の間のみ、前記空気貯蔵容器から供給される空気を前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射することを特徴とする方法である。
【0029】
これらの排気ガス浄化方法によれば、上記の排気ガス浄化システムと同様な作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法によれば、空気貯蔵容器に貯蔵された空気を単独で、又は、燃料を混合して噴射するので、空気を排気ガス処理装置の上流側に供給することができる。そのため、この空気中の酸素により、排気ガス浄化装置でガス化したHCを酸化除去し、その流出を抑制することができる。
【0031】
特に、エンジン始動時や低出力運転等の排気低温時において、触媒の加熱に必要な燃料を排気管内噴射によって供給する場合に、未燃燃料の排出を抑制するよう触媒温度の変化に対応させて燃料供給量と燃焼に必要な空気量を精密に制御しながら供給することができるようになる。また、排気ガス温度が低下することをエンジンに供給される燃料量とエンジン回転数を基に、排気ガス浄化装置の上流側に供給する燃料と空気量(酸素量)を制御することで、触媒温度の低下を抑制できるようになる。
【0032】
また、硫黄被毒からの回復のための脱硫処理(硫黄脱離処理)においては、排気ガス浄化装置の上流側に、燃料量と空気量を制御しながら、燃料と空気を供給することで、適度に燃料を燃焼させながら触媒を加熱し、脱硫に必要な高温の雰囲気を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法について、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明の実施の形態の排気ガス浄化システム1の構成を示す。
【0034】
この排気ガス浄化システム1は、エンジン(内燃機関)2の排気マニホールド2aの出口の排気通路4にターボチャージャ3のタービン3aが設けられ、更に、排気通路4に、排気ガス浄化装置5が配設されている。また、この排気ガス浄化装置5の上流側に燃料噴射弁6が配置されている。
【0035】
この排気ガス浄化装置5は、排気ガスG中の有害成分を浄化する触媒を担持したNOx浄化触媒ユニット等の幾つかの排気ガス浄化ユニットの組み合わせで形成される。NOx吸蔵還元型触媒を担持したNOx浄化触媒ユニットを用いる場合には、このNOx浄化触媒ユニットは、排気ガス中のNOxを浄化するために、モノリス触媒で形成される。このモノリス触媒のコージェライトハニカム等の担持体に酸化アルミニウム、酸化チタン等の触媒コート層を設ける。この触媒コート層に、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の触媒金属と、バリウム(Ba)等のNOx吸蔵材(NOx吸蔵物質)とからなるNOx吸蔵還元触媒を担持させて構成される。
【0036】
このNOx吸蔵還元型触媒は、酸素濃度が高い排気ガスの状態、即ち、リーン空燃比状態の時に、排気ガス中のNOxをNOx吸蔵材が吸蔵することにより、排気ガス中のNOxを浄化し、酸素濃度が低いか空燃比が1より小さいリッチ空燃比状態か、あるいは、空燃比が1のストイキ空燃比状態の時に、吸蔵したNOxを放出すると共に、この放出されたNOxを触媒金属の触媒作用により還元することにより、大気中へのNOxの流出を防止する。
【0037】
このNOx吸蔵還元型触媒は、リーン空燃比状態が継続すると、NOx吸蔵材が硝酸塩に変化してしまうため、NOx吸蔵能力が飽和する前に、排気ガスGをリッチ空燃比状態にする再生制御を行って、吸蔵したNOxを放出及び還元して、NOx吸蔵能力を回復している。
【0038】
なお、この実施の形態では、排気ガス浄化装置5としてNOx吸蔵還元型触媒を担持したNOx浄化ユニットを用いた例を示すが、これに限定されず、排気ガスに対する浄化性能を回復するために排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要がある排気ガス浄化装置であればよい。例えば、硫黄被毒を回復する必要がある酸化触媒(DOC)や選択還元型NOx触媒(SCR)や触媒付きフィルタ等の排気ガス浄化ユニットであってもよい。
【0039】
また、燃料噴射弁6は、図2に示すような外部混合式噴射弁などのガス混合式噴射弁で構成され、排気ガスGcと燃料Fとを混合した状態で、排気ガス浄化装置5の上流側の排気通路2に直接噴射するように構成される。この燃料Fの供給はエンジンやモーターを駆動源とする燃料ポンプによって昇圧により行われ、この燃料Fの供給のON−OFFと流量調整は図1に示す燃料流量調整弁6cにより行われる。
【0040】
一方、エンジン2の吸気マニホールド2bには、ターボチャージャ3のコンプレッサ3bが設けられた吸気通路7が接続されて設けられる。また、更に、排気マニホールド2aと吸気通路7とを連結するEGR通路(排気再循環通路)8が設けられ、このEGR通路8にEGRクーラー9とEGR弁10とが設けられる。このEGRクーラー9はエンジン2の冷却水等でEGRガスGeを冷却するための冷却装置である。また、EGR弁10はEGRガスGeの流量を調整する手段であり、EGR弁10を全閉するとEGRガスGeの供給が止まりEGRが停止される。
【0041】
また、燃料タンク(図示しない)に貯蔵された燃料Fを燃料ポンプ(図示しない)で昇圧し、この昇圧された燃料Fを各シリンダに供給するための第1燃料配管11aと、燃料Fを燃料噴射弁6に供給するための第2燃料配管11bとを設けて構成する。更に、排気ガス貯蔵システムを設けて構成する。この排気ガス貯蔵システムは、排気ガスGcを吸引する排気ガス駆動ポンプ(コンプッレサ等のガスポンプ)12と吸引して圧縮した排気ガスGcを冷却する排気ガス冷却装置13と排気ガス貯蔵容器14を有して構成される。
【0042】
排気ガス駆動ポンプ12と、排気マニホールド2aとEGRクーラー9との間のEGR通路8とを第1排気ガス通路17aで接続する。この第1排気ガス通路17aを経由して、排気ガス駆動ポンプ12の駆動により、排気ガスGの一部である排気ガスGcをEGRクーラー9の上流側から吸引して、第2排気ガス通路17bと排気ガス冷却装置13の第1開閉弁13aを経由して排気ガス冷却装置13に供給する。この排気ガスGcの吸引は、EGR通路8に限定されず、排気マニホールド2aからでも、排気通路7からでもよい。
【0043】
排気ガス冷却装置13では、第1開閉弁13aと第2開閉弁13bを開弁することで、供給された排気ガスGcを熱交換器である排気ガス冷却装置13の内部の冷却用排気ガス通路を通過させて、冷却水配管13eから供給されるエンジン冷却水Wで冷却し、第3排気ガス通路17c経由で排気ガス貯蔵容器14に供給する。この排気ガス冷却装置13により、排気ガス貯蔵容器14に貯蔵する前に、排気ガスGcを冷却することができるので、より多くの排気ガスGcを排気ガス貯蔵容器14内に貯蔵することができるようになる。また、この排気ガス冷却装置13では、排気ガスGcの温度Tgが予め設定した設定ガス温度Tgc以下になるように冷却しながら、エンジンの排気ガスGc中に含まれている未燃燃料や水分を分離する。
【0044】
更に、この排気ガス冷却装置13においては、冷却性能の低下を防止するために、排気ガス冷却装置13内部の排気ガスの通路である冷却用排気ガス通路を燃料Fで洗浄する洗浄配管ラインを設ける。この洗浄配管ラインは、第3燃料配管11cと第3開閉弁13cと第4開閉弁13dとから構成される。
【0045】
第1開閉弁13aと第2開閉弁13bを閉弁して、第3開閉弁13cと第4開閉弁13dを開弁することにより、排気ガス通冷却用路に流れる排気ガスGcを燃料Fに切り替えて、冷却用排気ガス通路を燃料Fで洗浄するように構成する。なお、この洗浄後の燃料Fは第4開閉弁13dから第3燃料配管11c経由で燃料タンク(図示しない)に戻される。なお、この洗浄後の燃料Fに含まれる水分は燃料系統で分離される。
【0046】
洗浄後は、第3開閉弁13cと第4開閉弁13dを閉弁して、第1開閉弁13aと第2開閉弁13bを開弁することにより、冷却用排気ガス通路に流れる燃料Fを排気ガスGcに切り替える。この場合に、洗浄後に、排気ガス冷却装置13の冷却用排気ガス通路に燃料Fの一部が残留したとしても、排気管内直接噴射用の燃料直接噴射弁6に供給されるか、吸気通路7に供給されてEGRガスGeに含まれてシリンダ内に入るので、洗浄の際の残留燃料による問題は生じない。
【0047】
また、排気ガス貯蔵容器14は、金属製等の高圧に耐えられる容器で形成され、排気ガス駆動ポンプ12で圧縮された排気ガスGcを貯蔵する。この排気ガス貯蔵容器14には、第5開閉弁14aと第6開閉弁14bと安全弁14cとが設けられる。第5開閉弁14aと排気ガス冷却装置13の第2開閉弁13bとの間は第3排気ガス通路17cで接続される。また、排気ガス貯蔵容器14で貯蔵される排気ガスGcの酸素濃度を検出するための空気過剰率センサ(λセンサ)15と内部の排気ガスGcの圧力を検出するための圧力センサ16が設けられる。
【0048】
この第5開閉弁14aと第1開閉弁13aと第2開閉弁13bの3つの弁の開弁と排気ガス駆動ポンプ12の駆動により、排気ガスGcがEGRクーラー9の上流側から吸引されて排気ガス貯蔵容器14に貯蔵される。なお、排気ガス貯蔵容器14内のガス圧Pgが予め設定した設定圧力Pgc以上になった場合には、排気ガス貯蔵容器14の第6開閉弁14bと燃料噴射弁6との間を接続する第4排気ガス通路17d経由で排気ガス浄化装置5の上流側の排気通路4に排気ガスGcを排出し、排気ガス貯蔵容器14内のガス圧Pgが高くなり過ぎないようにする。更に、第4排気ガス通路17dには第2排気ガス流量調整弁19を設ける。
【0049】
排気管内直接燃料噴射では、ガス混合式噴射弁の燃料噴射弁6で、排気ガス貯蔵容器14から供給された排気ガスGcを燃料Fと共に噴射して、燃料Fと排気ガスGcを混合するので燃料Fを微粒化できる。この噴射時には、燃料噴射弁の外側に高圧の排気ガスGcを燃料Fとの混合のために噴射するが、燃料Fと排気ガスGcとの相対速度を大きくして、燃料Fの液滴をせん断作用を利用して微粒化するのが好ましい。この微粒化により、排気通路4内における燃料Fの燃焼を促進することができる。
【0050】
それと共に、排気通路4内へ排気ガスGcを供給して、排気ガス浄化装置5に流入する排気ガスGの酸素濃度を低下させる。この排気ガスGの酸素濃度の低下に関しては、酸素濃度の低い排気ガスGcを供給するので、空気で燃料を微細化する場合に比べて、著しく効率的に低下させることができる。なお、燃料流量調整弁6cのみを閉弁して燃料Fの供給のみを停止すれば、排気ガスGcのみの供給となり、この排気ガスGcのみの供給で排気ガス浄化装置5に流入する排気ガスGの酸素濃度を低下させることもできる。
【0051】
また、排気ガス貯蔵容器14で冷却された排気ガスGcを使用するため、排気通路4を流れる排気ガスGの温度よりも、燃料噴射弁6の噴射ノズル6aの温度を下げることができる。これにより、噴射ノズル6a内で燃料Fが高温のために固形化して生じる噴射ノズル6aの目詰まりや、この目詰まりに起因する噴射ノズル6aの内径の変化に伴う燃料Fの流量の変化を、言い換えれば、燃料噴射量の変化を抑制することができる。この場合、図2に示すように、燃料噴射弁6の燃料Fを噴射する噴射ノズル6aに熱電対などで形成される温度センサ6bを設けて、この温度センサ6bで検出される噴射ノズル6aの温度が所定の温度以上になったら、排気ガスGcを流して冷却するように構成することが好ましい。
【0052】
更に、本発明においては、EGRに排気ガス貯蔵容器14で冷却された排気ガスGcを使用するため、排気ガス配管ラインを設けて、吸気通路7に接続する。この排気ガス配管ラインは、第2EGR通路とも呼ぶべきもので、第5排気ガス通路17eとこの第5排気ガス通路17eに設けた第2排気ガス流量調整弁(第2EGR弁)19とから形成される。なお、この排気ガス配管ラインは、吸気通路7の代わりに、吸気マニホールド2b又はEGR通路8に接続しても良い。
【0053】
この第2排気ガス流量調整弁19と第6開閉弁14bを開弁し、第2排気ガス流量調整弁19で排気ガスGcの流量を調整することにより、排気ガス貯蔵容器14の昇圧した排気ガスGcを吸気通路7に供給し、この昇圧した排気ガスGcをEGRガスの一部又は全部として使用することができる。なお、排気ガス貯蔵容器14のガス圧Pgが低下して再充填する場合には、第2排気ガス流量調整弁19を閉弁し、EGR弁10の開弁と流量調整により、従来技術と同様にEGR通路7経由でEGRを行い、エンジン2からのNOx排出量の増加を防止する。
【0054】
この方法によれば、排気ガス貯蔵容器14で冷却された低温の排気ガスGcにより、シリンダ内の新気吸入量の増加と燃焼温度の低下を図ることができる。また、高圧の排気ガスcを吸気マニホールド2b内に供給するので、吸気圧や排気圧に関係なく、最適なタイミングでシリンダ内に排気ガスGeを供給することができる。そのため、NOxの発生をより確実に低減することができる。その上、高圧の排気ガスGcを吸気通路7に供給することで、EGR用の排気ガスGcの供給を短時間で完了することができる。
【0055】
そして、本発明においては、更に、エアーポンプ20、空気貯蔵容器21、第1空気用開閉弁21a,第2空気用開閉弁21b、空気用配管22a、22b、22cと空気流量調整弁23を有する空気貯蔵システムを設けて構成する。この空気貯蔵システムは、空気Acを空気貯蔵容器21に貯蔵するためのシステムである。
【0056】
このエアーポンプ20は、第1空気用配管22aから空気Aを吸引して、圧縮して昇圧し、圧縮された空気Acとして第2空気用配管22bから送り出す。空気貯蔵容器21は金属製の容器で形成され、高圧の空気Acを貯蔵する。この空気貯蔵容器21の入口側に第1空気用開閉弁21aが、出口側に第2空気用開閉弁21bが設けられる。第2空気用配管22bは、エアーポンプ20の出口と第1空気用開閉弁21aを接続して設けられ、第3空気用配管22bは、第2空気用開閉弁21bと燃料噴射弁6とを接続して設けられる。空気流量調整弁23は、空気Acの流量を調整するための弁であり、第3空気用配管22bに設けられる。
【0057】
これらの構成により、燃料流量調整弁6cの閉弁、又は、開弁と流量調整により、空気貯蔵容器21から供給される空気Acを単独で、又は、燃料Fと混合して、排気ガス処理装置5の上流側の排気通路4内に噴射することができるようになる。つまり、燃料噴射の燃料流量を調整する燃料流量調整弁6cを全閉すれば、空気Acのみ、排気ガスGcのみを排気ガス浄化装置5の上流側に供給できる。また、空気流量調整弁23と第1排気ガス流量調整弁18を操作することにより、燃料噴射を補助するガスを空気Aと排気ガスGcとの間で切り替えできるようになる。
【0058】
また、排気ガスGcを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、このリッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間(1秒〜10秒程度の短時間)の間のみ、空気貯蔵容器21から供給される空気Acを排気ガス処理装置5の上流側の排気通路4内に噴射するように構成する。
【0059】
これにより、エンジン2側の制御により、排気ガス浄化装置5に流入する排気ガスG中の酸素濃度が増える前にこの排気ガス浄化装置5の直前の位置(上流)から空気Acを送ることで、排気ガス浄化装置5の触媒上で蒸発して生成されたガス化HCを酸化して除去できるので、その流出を抑制することができる。この空気Acの供給を、排気ガス浄化装置5に流入する排気ガスG中の酸素濃度が高くなるまでの短時間だけ行う。
【0060】
次に、上記の構成の排気ガス浄化システム1における排気ガス浄化方法について説明する。本発明においては、上記の目的を達成するための本発明の排気ガス浄化システムは、必要に応じて、空気貯蔵容器21から供給される空気Acを単独で、又は、燃料Fと混合して、排気ガス処理装置5の上流側の排気通路4内に噴射する。
【0061】
この排気ガス浄化方法によれば、この空気Ac中の酸素により、排気ガス浄化装置5の触媒上で蒸発して生成されたガス化HCを酸化除去し、その流出を抑制することができる。特に、エンジン始動時や低出力運転等の排気低温時に、排気ガス浄化装置5の触媒の活性温度域に短い時間で触媒を昇温できるように、触媒の加熱に必要な燃料Fを排気管内噴射によって供給する場合に、触媒温度の変化に対応させて、燃料供給量と燃焼に必要な空気量を精密に制御しながら供給することができ、排気ガス浄化装置5の下流側への未燃燃料(HC)の排出を抑制することができる。
【0062】
また、排気ガス温度が低下することをエンジン2に供給される燃料量とエンジン回転数から検知して、排気ガス浄化装置5の上流側に供給する燃料Fと空気貯蔵容器21からの空気Acの量(酸素量)を制御することにより、触媒温度が活性温度域よりも低温側へ外れることを抑制できる。
【0063】
また、硫黄被毒からの回復のための脱硫処理(硫黄脱離処理)においては、排気ガス浄化装置5の触媒に流入する排気ガス中に、適量の燃料Fと空気Acを供給して燃料Fを燃焼させることにより、触媒を高温に加熱し、脱硫可能な温度(700℃付近)の還元雰囲気に保つことができるようになる。なお、この脱硫処理中で高温雰囲気となっている排気ガスG中に噴射された燃料Fの一部は燃料粒子の周囲の酸素が不足することによって炭素粒子になり易いが、この炭素粒子化を空気との混合の促進により抑制できる。
【0064】
更に、本発明においては、排気ガスGを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、このリッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間の間のみ、空気貯蔵容器21から供給される空気Acを排気ガス処理装置5の上流側の排気通路4内に噴射する。
【0065】
つまり、リッチ空燃比制御の中で行われる排気管内直接燃料噴射において、排気ガス貯蔵容器16から供給される排気ガスGcを停止して、空気貯蔵容器21から供給される空気Acに切り替えることで、容易に、リッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間(短時間、例えば、1秒〜10秒程度、あるいはリッチ空燃比制御の期間の20%〜60%程度)の間だけ、空気Acを排気ガス処理装置5の上流側の排気通路4内に噴射する。
【0066】
図3に、このリッチ空燃比制御に関して、燃料噴射量、排気ガス噴射量、空気噴射量の各制御指示信号とエンジン2から排出される排気ガスG中の酸素濃度と、空燃比制御の目標λ値との関係を示す。
【0067】
この排気ガス浄化方法によれば、図3に示すように、リッチ空燃比制御(t1〜t2、t3〜t4)では燃料Fの噴射(図3では4回に分けて噴射)を、排気ガスGcの噴射(図3では連続して噴射)と併せて行い、リッチ空燃比状態を作って、このリッチ空燃比制御により、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復したり、あるいは、脱硫制御で触媒の硫黄被毒から回復したりする。このリッチ空燃比制御の終了の後で、エンジン2の運転が通常のリーン空燃比状態(t2〜t3)に戻って、排気ガス浄化装置5に流入する排気ガスG中の酸素濃度が増加するまでの間(tc〜td)に対して、リッチ空燃比制御の終了時t2、t3を含む予め設定した時間の間(ta〜tb)だけ、排気通路4に空気Acを供給する(図3では5回に分けて噴射)。図3では、空気Acは、時刻ta〜時刻t2の間は燃料Fと混合して噴射され、時刻t2〜時刻tbの間は燃料Fの噴射は停止され、空気Ac単独で噴射される。
【0068】
これにより、リッチ空燃比制御時に、排気ガス浄化装置5の触媒上の酸素と反応できず、下流側に流出するHCを、酸化し除去することができるようになる。従って、このリッチ空燃比制御(t1〜t2、t3〜t4)を終了し、通常運転状態(リーン空燃比状態)に戻すとき(t2、t4)において、吸気制御による排気ガスG中の酸素濃度の増加(図3の目標λ値)を、従来技術(図3の点線B)に比べて時間的に緩慢に(図3の実線A)することができるようになる。その結果、吸気制御において、吸気の急激な増加が不要になるため、エンジン吸入空気量を緩やかに増加することができるようになる。従って、リッチ空燃比制御後に、吸気制御と燃料噴射量の制御を併せて行うことにより、エンジン出力が急激に増加することを抑制できる。
【0069】
なお、この空気Ac単独の噴射の開始時点taや期間の長さ(設定時間)(ta〜tb)は、エンジン2や排気ガス浄化装置5までの排気通路4の長さ等の影響を受けるが、対象とするエンジン2や排気ガス処理システムに対して、事前の実験や数値解析などの結果から予め設定しておくことができる。
【0070】
次に、排気ガスGcの排気ガス貯蔵容器14への貯蔵や燃料噴射弁6への供給、EGRガスの一部又は全部としての吸気通路7への供給について説明する。最初に、排気ガス貯蔵容器14への排気ガスGcの充填処理について説明する。この充填処理は、排気ガス貯蔵容器14内のガス圧Pgが低い時に排気ガスGcを排気ガス貯蔵容器14に充填するための処理である。この充填処理は、例えば、図4に示すような制御フローに従って行われる。
【0071】
この充填処理では、エンジンの冷却水温度Twが予め設定した設定水温Twc(例えば、80℃)以下では、排気ガスGcの充填を行わず、冷却水温度Twがこの設定水温Twcを超えた場合に、第1開閉弁13a、第2開閉弁13b、第5開閉弁14aを開弁し、排気ガス駆動ポンプ12を駆動し、排気ガスGcをEGR通路8から排気ガス冷却装置13に供給して充填を開始する(ステップS13)。この80℃という温度は、暖機運転が終了し、十分にエンジン自体が温まって、空気過剰率λが2を超える、通常の運転状態になる温度である。なお、酸素空気過剰率λが2を超えることにより、酸素濃度が低い排気ガスGcとして使用できるようになる。
【0072】
この充填に際しては、この排気ガス冷却装置13で、排気ガスGcの温度Tgが予め設定した設定ガス温度Tgc以下になるように冷却された後に、排気ガス貯蔵容器14に貯蔵する。このときは、第3開閉弁13c、第4開閉弁13d、第6開閉弁14bは閉弁しておく。また、充填中は、圧力センセ16で排気ガスGcのガス圧Pgを検出して監視し、このガス圧Pgが予め設定された第1設定圧力Pgcを超えたときに、第1開閉弁13a、第2開閉弁13b、第5開閉弁14aを閉弁し、排気ガス駆動ポンプ12の駆動を停止して排気ガスGcの充填を終了する(ステップS16)。これにより、とりあえず、λ>2の排気ガスGを充填する。
【0073】
次に、排気ガス貯蔵容器14内の酸素濃度維持処理について説明する。この酸素濃度維持処理は、排気ガス貯蔵容器14内の酸素濃度を適正値に維持するための処理であり、排気ガスGcの排気ガス貯蔵容器14への充填が完了した時点から開始される。この酸素濃度維持処理は、例えば、図5に示すような制御フローに従って行われる。この酸素濃度維持処理では、空気過剰率センサ15で検出した空気過剰率λgを検出して監視し、この空気過剰率λgが予め設定した設定空気過剰率λgc(例えば、2.0)以下の場合はそのままの状態を維持する。
【0074】
そして、空気過剰率λgが予め設定した設定空気過剰率λgcを超えた場合には、第6開閉弁14bのみ開弁し、排気ガスGcを燃料噴射弁6経由等で放出して(ステップS23)、排気ガス貯蔵容器14内のガス圧Pgが予め設定された第2設定圧力Pgd以下になるまで待つ。ガス圧Pgが第2設定圧力Pgd以下になった場合に、エンジン2の燃料噴射制御におけるポスト噴射などで、排気ガスGの空気過剰率ラムダをλgc以下にして、第1開閉弁13a、第2開閉弁13b、第5開閉弁14aを開弁し、排気ガス駆動ポンプ12を駆動し、排気ガスGcをEGR通路8から排気ガス冷却装置13に供給して充填を開始する。それと同時に、排気ガスの燃料噴射弁からの放出を停止する(ステップS26)。充填中は、圧力センセ16で排気ガスGcのガス圧Pgを検出して監視し、このガス圧Pgが予め設定された第1設定圧力Pgcを超えた時には、第1開閉弁13a、第2開閉弁13b、第5開閉弁14aを閉弁し、排気ガス駆動ポンプ12の駆動を停止して排気ガスGcの充填を終了する(ステップS29)。これにより、とりあえず、充填処理で充填したλ>2の排気ガスGを、λ≦2の排気ガスGに入れ換える。
【0075】
次に、燃料噴射アシスト処理について説明する。この燃料噴射アシスト処理は、排気ガス浄化装置5の排気ガスの浄化能力の回復を目的に、排気ガス浄化装置5に流入する排気ガスGの空燃比を一時的にリッチ状態にするために、排気管内直接燃料噴射等が必要になったときに行われる処理である。この燃料噴射アシスト処理は、例えば、図6に示すような制御フローに従って行われる。
【0076】
この燃料噴射アシスト処理では、排気ガスGcを第1排気ガス流量調整弁18で流量調整しながら、燃料噴射弁6に排気ガス貯蔵容器14で貯蔵した排気ガスGcを供給して、この排気ガスGcで燃料を微粒化して、排気ガス浄化装置5の上流側の排気通路4に流入する排気ガスGの酸素濃度を低下させる。なお、燃料噴射をしなくても所望の酸素濃度を実現できるときは、燃料Fの供給を止めて排気ガスGcのみを排気通路4に流入させる。この燃料噴射アシスト処理は、通常は排気ガスGcの貯蔵を終了した状態で行うが、ガス圧Pgが第2設定圧力Pgdを超えていれば行うことができる。
【0077】
この燃料噴射アシスト処理の要求があった場合には、図6の制御フローがスタートし、第6開閉弁14bと第1排気ガス流量調整弁18を開弁し、第4排気ガス通路17d経由で、排気ガスGcを燃料噴射弁6に供給する(ステップS31)。この場合は、第2排気ガス流量調整弁19を閉弁した状態とすると共に、EGRを行う場合は通常のEGR通路8経由で行う。このEGRのためには、EGR弁10を開弁し流量調整を行う。
【0078】
この排気ガスGcの燃料噴射弁6への供給中は、ガス圧Pgを監視し、ガス圧Pgが第2設定圧力Pgd以下になった場合に、第1開閉弁13a、第2開閉弁13b、第5開閉弁14aを開弁し、排気ガス駆動ポンプ12を駆動し、排気ガスGcをEGR通路8から排気ガス冷却装置13に供給して充填を行う(ステップS34)。この充填中は、圧力センセ16で排気ガスGcのガス圧Pgを検出して監視し、このガス圧Pgが予め設定された第1設定圧力Pgcを超えた時には、第1開閉弁13a、第2開閉弁13b、第5開閉弁14aを閉弁し、排気ガス駆動ポンプ12の駆動を停止して排気ガスGcの貯蔵を終了する(ステップS37)。
【0079】
なお、貯蔵が終了したら、第6開閉弁14bを開弁し、排気ガスGcを燃料噴射弁6への供給を再開する。そして、供給中止の指令を受けて、燃料噴射アシスト処理の要求がなくなったら、制御を中断して、第6開閉弁14bと第1排気ガス流量調整弁18を閉弁し、排気ガスGcの燃料噴射弁6への供給を停止し(ステップS38)、燃料噴射アシスト処理の制御を終了する。
【0080】
次に、EGRアシスト処理について説明する。このEGRアシスト処理は、エンジンが始動直後や低出力運転で排気温度が低いときは、EGRガスGe中に含まれる燃料は沸点が200℃以上の軽油であるため、EGRクーラー9内を一部が液滴状態のまま通過し、この通過過程でEGRクーラー9の内部の冷却配管の表面に付着して堆積し、EGRクーラー9の冷却性能を低下させてしまう虞があるので、この排気低温時には、EGRをEGR通路8経由では行わずに、排気ガス貯蔵容器14に貯蔵された排気ガスGcを用いてEGRを行う処理である。いわば、EGRクーラー保護処理である。このEGRアシスト処理は、例えば、図7に示すような制御フローに従って行われる。
【0081】
このEGRアシスト処理では、吸気通路7に排気ガス貯蔵容器14の貯蔵した排気ガスGcを供給してEGRを行う。このEGRアシスト処理は、通常は排気ガスGcの貯蔵を終了した状態で行うが、ガス圧Pgが第2設定圧力Pgdを超えていれば行うことができる。
【0082】
このEGRアシスト処理の要求があった場合には、図7の制御フローがスタートし、第6開閉弁14bを開弁し、第5排気ガス通路17e経由で、排気ガスGcを第2排気ガス流量調整弁19に供給する(ステップS31)。この第2排気ガス流量調整弁19を開弁しEGR用のガスの流量調整を行う。この場合にはEGR弁10は全閉とした状態にする方がEGR用の排気ガス量の調整が複雑化しない。
【0083】
このEGRアシスト処理中も、ガス圧Pgを監視し、ガス圧Pgが第2設定圧力Pgd以下になった場合には、第2排気ガス流量調整弁19を閉弁しおて排気ガスGcの吸気通路への供給を停止すると共に、第1開閉弁13a、第2開閉弁13b、第5開閉弁14aを開弁し、排気ガス駆動ポンプ12を駆動し、排気ガスGcをEGR通路8から排気ガス冷却装置13に供給して充填を行う(ステップS34)。
【0084】
この充填中は、圧力センセ16で排気ガスGcのガス圧Pgを検出して監視し、このガス圧Pgが予め設定された第1設定圧力Pgcを超えた時には、第1開閉弁13a、第2開閉弁13b、第5開閉弁14aを閉弁し、排気ガス駆動ポンプ12の駆動を停止して排気ガスGcの充填を終了する(ステップS47)。
【0085】
また、この充填中のEGRは、第2排気ガス流量調整弁19を閉弁し、EGR弁10を開弁し、このEGR弁でEGRガスGeの流量調整をして、EGR通路8経由でEGRを行う。なお、充填が終了したら、第6開閉弁14bを開弁し、排気ガスGcを第2排気ガス流量調整弁19への供給を再開し(ステップS41)、EGR弁10を全閉すると共に、第2排気ガス流量調整弁19を開弁し、第2排気ガス流量調整弁19でEGR用のガスの流量調整を再開する。そして、供給停止の指令で、EGRアシスト処理の要求がなくなったら、制御を中断して、第6開閉弁14bと第2排気ガス流量調整弁19を閉弁する。なお、EGR弁10はそのときのEGR要求に合わせて弁操作される。
【0086】
そして、上記の排気ガス浄化システム1及び排気ガス浄化方法によれば、空気貯蔵容器21に貯蔵された空気Acを単独で、又は、燃料Fと混合して噴射するので、適時、空気Acを排気ガス処理装置5の上流側に供給することができる。そのため、この空気Ac中の酸素により、排気ガス浄化装置5の触媒上で蒸発して生成されたガス化HCを酸化除去し、その流出を抑制することができる。
【0087】
特に、エンジン始動時や低出力運転等の排気低温時に、触媒の活性温度域に短い時間で昇温できるよう触媒の加熱に必要な燃料を排気管内噴射によって供給する場合に、触媒温度の変化に対応させて、燃料供給量と燃焼に必要な空気量を精密に制御しながら供給することで、排気ガス浄化装置5の下流側への未燃燃料(HC)の排出を抑制することができる。
【0088】
また、排気ガス温度が低下することをエンジン2に供給される燃料量とエンジン回転数から検知して、排気ガス浄化装置5の上流側に供給する燃料Fの量と空気Acの量(酸素量)を制御することにより、触媒温度が活性温度域よりも低温側へ外れることを抑制できる。
【0089】
更に、排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、リッチ空燃比制御の中で行われる排気管内直接燃料噴射において、排気ガス貯蔵容器14から供給される排気ガスGcを停止して、空気貯蔵容器21から供給される空気Acに切り替えることで、容易に、リッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間(短時間、例えば、1秒〜10秒程度)の間だけ空気Acを排気ガス処理装置5の上流側の排気通路2内に噴射することができる。
【0090】
これにより、エンジン2の運転が通常のリーン空燃比状態に戻って、排気ガス浄化装置5に流入する排気ガスG中の酸素濃度が増加するまでの間の短時間だけ、排気通路4に空気Acを供給して、リッチ空燃比制御時に、排気ガス浄化装置5の触媒上の酸素と反応できず、下流側に流出するHCを、酸化し除去することができるようになる。
【0091】
また、リッチ空燃比制御を終了し、通常運転状態(リーン空燃比状態)に戻すときの、吸気制御による排気ガスG中の酸素濃度の増加を、時間的に緩慢にすることが可能となり、その結果、吸気制御において、吸気Aの急激な増加が不要になるため、エンジン吸入空気量を緩やかに増加することができるようになる。従って、リッチ空燃比制御後に、吸気制御と燃料噴射量の制御を併せて行うことにより、エンジン出力が急激に増加することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態の排気ガス浄化システムの構成を示す図である。
【図2】ガス混合式燃料噴射弁の一例を模式的に示す図である。
【図3】燃料噴射量、排気ガス噴射量、空気噴射量の各制御指示信号とエンジンから排出される排気ガス中の酸素濃度と目標λ値との関係を示す図である。
【図4】排気ガス貯蔵容器への排気ガスの充填制御の制御フローの一例を示す図である。
【図5】排気ガス貯蔵容器内における酸素濃度制御の制御フローの一例を示す図である。
【図6】燃料噴射アシスト処理の制御スローの一例を示す図である。
【図7】EGRアシスト処理の制御スローの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1 排気ガス浄化システム
2 エンジン
2a 排気マニホールド
4 排気通路
5 排気ガス浄化装置
6 燃料噴射弁
7 吸気通路
8 EGR通路
9 EGRクーラー
10 EGR弁
11c 第3燃料配管(洗浄配管ライン)
12 排気ガス駆動ポンプ(ガスポンプ)
13 排気ガス冷却装置
14 排気ガス貯蔵容器
17a 第1排気ガス通路
17b 第2排気ガス通路
17c 第3排気ガス通路
17d 第4排気ガス通路
17e 第5排気ガス通路(排気ガス配管ライン)
18 第1排気ガス流量調整弁
19 第2排気ガス流量調整弁(第2EGR弁)
20 エアーポンプ
21 空気貯蔵容器
21a 第1空気用開閉弁
21b 第2空気用開閉弁
22a、22b、22c 空気用配管
23 空気流量調整弁
A 新気(空気)
Ac 圧縮された空気
F 燃料
G 排気ガス
Gc 圧縮された排気ガス
Ge EGRガス
W エンジンの冷却水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスに対する浄化性能を回復するために排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要がある排気ガス浄化装置を備えると共に、排気マニホールド又は排気通路又はEGR通路から排気ガスを吸引して排気ガス貯蔵容器に貯蔵するための排気ガス貯蔵システムと、排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、前記排気ガス貯蔵容器から供給される排気ガスを単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射する噴射弁を備えた排気ガス浄化システムにおいて、空気を空気貯蔵容器に貯蔵するための空気貯蔵システムを備え、前記空気貯蔵容器から供給される空気を単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射することを特徴とする排気ガス浄化システム。
【請求項2】
前記排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、このリッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間の間のみ、前記空気貯蔵容器から供給される空気を前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射することを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化システム。
【請求項3】
排気ガスに対する浄化性能を回復するために排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要がある排気ガス浄化装置を備えた排気ガス浄化システムにおいて、空気を空気貯蔵容器に貯蔵し、この空気貯蔵容器から供給される空気を単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射する手段を備えると共に、前記排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、このリッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間の間のみ、前記空気貯蔵容器から供給される空気を前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射することを特徴とすることを特徴とする排気ガス浄化方法。
【請求項4】
排気ガスに対する浄化性能を回復するために排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要がある排気ガス浄化装置を備え、排気マニホールド又は排気通路又はEGR通路から排気ガスを吸引して排気ガス貯蔵容器に貯蔵し、排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、前記排気ガス貯蔵容器から供給された排気ガスを単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路に噴射する排気ガス浄化システムの排気ガス浄化方法において、空気を空気貯蔵容器に貯蔵し、この空気貯蔵容器から供給される空気を単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射することを特徴とする排気ガス浄化方法。
【請求項5】
前記排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、このリッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間の間のみ、前記空気貯蔵容器から供給される空気を前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射することを特徴とする請求項4記載の排気ガス浄化方法。
【請求項6】
排気ガスに対する浄化性能を回復するために排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要がある排気ガス浄化装置と、空気を空気貯蔵容器に貯蔵し、この空気貯蔵容器から供給される空気を単独で、又は、燃料と混合して、前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射する手段を備えた排気ガス浄化システムの排気ガス浄化方法において、前記排気ガスを一時的にリッチ空燃比にする必要があるときに、このリッチ空燃比制御の終了時を含んで予め設定した時間の間のみ、前記空気貯蔵容器から供給される空気を前記排気ガス処理装置の上流側の前記排気通路内に噴射することを特徴とする排気ガス浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−77929(P2010−77929A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248540(P2008−248540)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】