説明

排気ガス浄化装置

【課題】 浄化部筒体に内蔵した処理部材に対するクリーニング作業を行うときの作業性を高める。
【解決手段】 上流筒体22及び下流筒体28が接続されたフィルタ用筒体32を、筒状ケース33と、筒状ケース33の上面側に形成された開口部34と、開口部34を開閉可能に覆う蓋体37とにより構成し、蓋体37を取外すことにより開口部34を開放する構成とする。これにより、フィルタ用筒体32を、上流筒体22及び下流筒体28に接続したまま、粒子状物質除去フィルタ41のみを単独で、開口部34を通じて筒状ケース33から取外すことができる。この結果、粒子状物質除去フィルタ41に対するクリーニング作業等を行う場合に、フィルタ用筒体32から上流筒体22、下流筒体28を取外すといった煩雑な前作業を不要にでき、この分、クリーニング作業等を行うときの作業性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエンジンから排出される排気ガス中の有害物質を除去するのに用いて好適な排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより構成されている。また、上部旋回体は、旋回フレームの後部側に油圧ポンプを駆動するためのエンジンを搭載し、旋回フレームの前部側にキャブ、燃料タンク、作動油タンク等を搭載している。
【0003】
ここで、油圧ショベルのエンジンには、一般的にディーゼルエンジンが用いられている。このディーゼルエンジンは、粒子状物質(PM:Particulate Matter)、窒素酸化物(NOx)等の有害物質を排出するとされている。そこで、油圧ショベルは、エンジンの排気ガス通路を形成する排気管に排気ガス浄化装置を設ける構成としている。
【0004】
この排気ガス浄化装置は、排気ガス中の粒子状物質を捕集して除去する粒子状物質除去フィルタ(通常、Diesel Particulate Filter、略してDPFとも呼ばれている)、窒素酸化物(NOx)を尿素水溶液を用いて浄化する選択還元触媒、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)を酸化除去する酸化触媒等の処理部材を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−120277号公報
【0006】
ここで、特許文献1による排気ガス浄化装置は、例えばエンジンの排気ガスの流れ方向で上流側に配置された上流筒体と、下流側に配置された下流筒体と、これら各筒体間に直列に設けられた浄化部筒体とを備え、この浄化部筒体の内部に、粒子状物質除去フィルタ、酸化触媒、選択還元触媒等の処理部材を収容している。そして、これら上流筒体、浄化部筒体、下流筒体は、フランジ接続等の手段を用いて互いに直列に接続された状態で、上部旋回体に設けられたエンジン等の構造体に取付けられる構成となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、排気ガスを浄化処理する粒子状物質除去フィルタは、排気ガス中の粒子状物質を捕集するものであるから、捕集して堆積した粒子状物質を定期的に除去するクリーニング作業を行う必要がある。ここで、粒子状物質除去フィルタのクリーニング作業を行う場合には、まず、浄化部筒体から上流筒体と下流筒体とを取外した状態で、エンジン等の構造体から浄化部筒体を取外し、この浄化部筒体内に収容された粒子状物質除去フィルタを外部に取出してクリーニングを行う。
【0008】
そして、クリーニングが終了した粒子状物質除去フィルタを、浄化部筒体内に取付けた後、浄化部筒体を再びエンジン等の構造体に取付け、上流筒体と下流筒体とを浄化部筒体に取付ける。
【0009】
しかし、上述した特許文献1による排気ガス浄化装置では、粒子状物質除去フィルタ等を収容した浄化部筒体を、Uボルトとナットを用いてエンジンに取付けている。このため、浄化部筒体を取外すときには、浄化部筒体のフランジ部を、上流筒体及び下流筒体のフランジ部から取外した状態で、浄化部筒体をエンジン側に固定しているUボルト、ナットを取外す必要がある。
【0010】
この結果、粒子状物質除去フィルタに対するクリーニング作業、点検作業、修理作業を行うときに、この粒子状物質除去フィルタの取外し作業、取付け作業に手間を要し、クリーニング作業等を行うときの作業性が低下してしまうという問題がある。
【0011】
また、排気ガス処理装置がNOx浄化装置である場合には、処理部材である尿素噴射弁、選択還元触媒等に付着した尿素水溶液から析出される付着物を定期的に除去する必要があるため、上述した粒子状物質除去フィルタのクリーニング作業と同様に、浄化部筒体に対するNOx浄化装置の取外し作業、取付け作業に手間を要してしまう。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、浄化部筒体に内蔵した処理部材に対するクリーニング作業、点検作業、修理作業等を行うときの作業性を高めることができるようにした排気ガス浄化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため本発明は、車体に搭載されたエンジンの排気ガス通路に設けられた上流筒体と、該上流筒体の下流側に設けられた下流筒体と、前記上流筒体と下流筒体との間に直列に接続して設けられ排気ガスを浄化処理するため処理部材が内蔵された浄化部筒体とを備えてなる排気ガス浄化装置に適用される。
【0014】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記浄化部筒体は、内部に前記処理部材を収容する筒状ケースと、該筒状ケースの上面側に形成され前記処理部材を取付け、取外しするための開口部と、該開口部を開閉可能に覆う蓋体とにより構成したことにある。
【0015】
請求項2の発明は、前記蓋体は、前記筒状ケースに対して締結部材を用いて取付け、取外し可能に設け、前記蓋体と前記筒状ケースとの間には前記開口部を取囲んでガスケットを設ける構成としたことにある。
【0016】
請求項3の発明は、前記筒状ケースと前記蓋体とのうち少なくとも一方側の内側面には、前記処理部材を前記筒状ケースの内部で固定するストッパを設ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、蓋体を開くことにより、筒状ケースの上面側に設けられた開口部を開放することができるので、筒状ケースの内部に収容された処理部材を開口部を通じて外部に取外すことができる。このため、浄化部筒体を上流筒体及び下流筒体に接続したまま、処理部材だけを浄化部筒体の筒状ケースから取外すことができる。
【0018】
従って、例えば処理部材に対するクリーニング作業、点検作業、修理作業等を行う場合に、浄化部筒体に接続された上流筒体、下流筒体を取外すといった煩雑な前作業を不要にでき、この分、処理部材に対するクリーニング作業等を行うときの作業性を高めることができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、浄化部筒体に上流筒体、下流筒体を接続したままでも、締結部材による締結状態を解除することにより、浄化部筒体の筒状ケースから蓋体を容易に取外すことができ、筒状ケースの上面側に設けられた開口部を開放することができる。これにより、開口部を通じて筒状ケースの外部に処理部材を取出すことができ、この処理部材に対するクリーニング作業等を容易に行うことができる。
【0020】
一方、クリーニングされた処理部材を開口部を通じて筒状ケース内に取付けた後には、筒状ケースに締結部材を用いて蓋体を取付けることにより、この蓋体によって開口部を覆うことができる。この場合、筒状ケースと蓋体との間には、開口部を取囲んでガスケットが設けられるので、筒状ケースと蓋体との取付面間をガスケットによって確実に封止することができる。この結果、浄化部筒体に導入された排気ガスが、浄化部筒体の筒状ケースと蓋体との間の隙間を通じて外部に漏れることがなく、排気ガスを確実に処理部材へと導くことができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、浄化部筒体の筒状ケース内に処理部材を取付け、筒状ケースの開口部を蓋体で覆った状態で、これら筒状ケースと蓋体とのうち少なくとも一方側に設けられたストッパによって、処理部材を筒状ケースの内部で固定することができる。これにより、クリーニング等を行った処理部材を筒状ケース内に取付けるだけで、浄化部筒体内の適正な位置に処理部材を配置することができ、クリーニング後における処理部材の適正な動作を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る排気ガス浄化装置の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
本実施の形態では、排気ガス浄化装置として、エンジンから排出される粒子状物質(PM)を粒子状物質除去フィルタ(DPF)によって除去する粒子状物質除去装置(PM除去装置)を例示している。
【0024】
そして、本実施の形態に用いる排気ガス除去装置は、酸化触媒と消音器筒体を収容した上流筒体と、消音器筒体を収容した下流筒体と、粒子状物質除去フィルタを収容したフィルタ用筒体との3個の筒体をボルトとナットを用いて直列に連結し、支持脚によりエンジン側に取付ける構成としている。
【0025】
図中、1は建設機械の代表例としての油圧ショベルで、この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体をなす上部旋回体4と、該上部旋回体4の前部側に俯仰動可能に設けられ掘削作業等を行う作業装置5とにより大略構成されている。また、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、キャブ7、エンジン8、排気ガス浄化装置21等により構成されている。
【0026】
6は上部旋回体4のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム6は、強固な支持構造体をなし、旋回装置3を介して下部走行体2上に取付けられている。ここで、旋回フレーム6は、図2に示す如く、前,後方向に延びる厚肉な底板6Aと、該底板6A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板6B,右縦板6Cと、左縦板6Bから左方向に張出した複数本の左張出しビーム6Dと、右縦板6Cから右方向に張出した複数本の右張出しビーム6Eと、各左張出しビーム6Dの先端に固着され前,後方向に延びた左サイドフレーム6Fと、各右張出しビーム6Eの先端に固着され前,後方向に延びた右サイドフレーム6Gとにより大略構成されている。
【0027】
7は旋回フレーム6の左前部側に搭載されたキャブ(図1参照)で、該キャブ7は、オペレータの運転室を画成するものである。また、キャブ7の内部には、オペレータが着座する運転席、各種操作レバー(いずれも図示せず)等が配設されている。
【0028】
8は旋回フレーム6の後側に横置き状態で搭載されたエンジンで、このエンジン8は、例えばディーゼルエンジンとして構成されている。また、エンジン8の右側には、図2に示すように、排気ガスを排出する排気ガス通路の一部をなす排気管9が設けられ、該排気管9の途中部位には後述の排気ガス浄化装置21が取付けられている。
【0029】
ここで、エンジン8は、高効率で耐久性にも優れているが、粒子状物質(PM:Particulate Matter)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)等の有害物質を、排気ガスと一緒に排出してしまうものである。そこで、排気管9に取付けられる排気ガス浄化装置21は、後述するように、一酸化炭素(CO)等を酸化して除去する酸化触媒25、粒子状物質を捕集して除去する粒子状物質除去フィルタ41を含んで構成されている。
【0030】
10はエンジン8の右側に取付けられた油圧ポンプで、該油圧ポンプ10は、エンジン8によって駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。ここで、油圧ポンプ10は、図4に示すように、エンジン8に対面する左側の端部がフランジ部10Aとなり、このフランジ部10Aがエンジン8にボルト止めされている。また、油圧ポンプ10のフランジ部10Aをエンジン8に取付けるときには、後述の浄化装置支持ブラケット16が一緒に取付けられる構成となっている。
【0031】
11はエンジン8の左側に位置して設けられた熱交換器で、該熱交換器11は、例えばラジエータ、オイルクーラ、インタクーラ等からなり、エンジン8の作動時に供給される冷却風中に冷媒の熱を放出することにより、エンジン冷却水、作動油、過給空気を冷却するものである。
【0032】
12は油圧ポンプ10の前側に位置して旋回フレーム6の右側に搭載された作動油タンクで、この作動油タンク12は、油圧ポンプ10に供給する作動油を貯えるものである。また、13は作動油タンク12の前側に設けられた燃料タンクで、この燃料タンク13は、内部にエンジン8に供給する燃料を貯えるものである。
【0033】
14はエンジン8の後側に位置して旋回フレーム6の後端部に取付けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト14は、作業装置5との重量バランスをとるものである。また、15はカウンタウエイト14の前側に配設された建屋カバーで、該建屋カバー15は、エンジン8、油圧ポンプ10、熱交換器11等を収容するものである。
【0034】
16はエンジン8の右側に位置して設けられた浄化装置支持ブラケットで、該浄化装置支持ブラケット16は、後述の排気ガス浄化装置21を支持する上部旋回体4側の構造体を構成している。そして、浄化装置支持ブラケット16は、油圧ポンプ10のフランジ部10Aと一緒にエンジン8に取付けられる支持台16Aと、該支持台16A上に前,後方向に間隔をもって配置され、複数個の防振部材16B(2個のみ図示)を介して防振支持された前側取付板16C、後側取付板16Dとにより大略構成されている。
【0035】
次に、エンジン8から排出される排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置について述べる。
【0036】
即ち、21はエンジン8の上部右側に位置して排気管9に接続された排気ガス浄化装置で、該排気ガス浄化装置21は、排気管9と共に排気ガス通路を構成し、上流側から下流側に排気ガスが流通する間に、この排気ガスに含まれる有害物質を除去するものである。また、排気ガス浄化装置21は、前,後方向の前側が上流側となり後側が下流側となるように、エンジン8の上部に前,後方向に延びる縦置き状態に配置されている。
【0037】
そして、排気ガス浄化装置21は、図3ないし図6に示すように、後述の上流筒体22と下流筒体28と浄化部筒体としてのフィルタ用筒体32とからなる3個の筒体を、互いに直列に接続することにより構成されている。また、図8に示すように、上流筒体22には、後述する流入管24の消音器筒体24Bと酸化触媒25とが収容され、下流筒体28には、後述する流出管30の消音器筒体30Bが収容され、フィルタ用筒体32には後述の粒子状物質除去フィルタ41が収容されている。
【0038】
22は排気ガス浄化装置21の前部側に位置して排気ガス通路の上流側に設けられた上流筒体で、該上流筒体22は、排気ガスが流入する入口部分を構成している。そして、上流筒体22は、図5及び図8等に示すように、後述の筒状ケース23と、流入管24と、酸化触媒25と、支持脚26とにより大略構成されている。
【0039】
23は上流筒体22の外殻を構成する筒状ケースで、該筒状ケース23は、大径な円筒状をなす円筒部23Aと、該円筒部23Aの前側(上流側)を閉塞して設けられた蓋部23Bと、円筒部23Aの後側(下流側)の端部に全周に亘って鍔状に設けられたフランジ部23Cとにより構成されている。そして、フランジ部23Cには、周方向に間隔をもって複数個のボルト挿通孔23Dが設けられている。
【0040】
また、筒状ケース23には、図3及び図4に示すように、円筒部23Aの上部に位置して2個の温度センサ取付口23Eが設けられている。この2個の温度センサ取付口23Eは、後述の温度センサ48,49を取付けるもので、後述の酸化触媒25を前,後方向で挟む2箇所に配置されている。また、円筒部23Aの後側位置には、例えば右側に位置して上流側の圧力取出部23Fが設けられ、該圧力取出部23Fは、排気ガス通路を流れる排気ガスの圧力のうち、後述する粒子状物質除去フィルタ41の上流側の圧力を取出すもので、後述の圧力センサ47が上流側配管47Aを介して接続される構成となっている。
【0041】
24は筒状ケース23の前側(上流側)に設けられた流入管で、該流入管24は、筒状ケース23の円筒部23Aを直径方向に貫通している(図10参照)。また、図2に示すように、筒状ケース23から突出した流入管24の一端側は、排気管9に向けて左側方に延び、当該排気管9に接続されている。一方、流入管24の他端側は閉塞板24Aによって閉塞されている。そして、流入管24は、筒状ケース23の内部で消音器筒体24Bを構成し、この消音器筒体24Bに設けられた多数個の小孔24Cを排気ガスが通過することにより、排気音が低減されるものである。
【0042】
25は流入管24の下流側に位置して筒状ケース23内に収容された酸化触媒で、該酸化触媒25は、排気ガスを浄化処理する処理部材の1つを構成するものである。ここで、酸化触媒25は、図6及び図8に示すように、例えば円筒部23Aの内径寸法と同等の外径寸法をもったセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔25Aが形成され、内面に貴金属等がコーティングされている。そして、酸化触媒25は、所定の温度下で各貫通孔25Aに排気ガスを流通させることにより、この排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去し、窒素酸化物(NO)を二酸化窒素(NO)として除去するものである。
【0043】
26は筒状ケース23(円筒部23A)の下面側に設けられた支持脚で、該支持脚26は、図8に示すように、板体を略W字状に折曲げることにより形成され、その上端側が円筒部23Aの下面に溶接等の手段を用いて固着されている。そして、支持脚26の下端側は、浄化装置支持ブラケット16の前側取付板16Cにボルト止めされる構成となっている。
【0044】
27は筒状ケース23のフランジ部23Cに設けられた2個の位置決め板で、該各位置決め板27は、図6に示すように、フランジ部23Cの下端側外周に所定の間隔をもって後側に突出するように取付けられている。そして、各位置決め板27は、後述のフィルタ用筒体32を構成する筒状ケース33の前側フランジ部33Bに下側から当接することにより、このフィルタ用筒体32の筒状ケース33を、上流筒体22とほぼ同軸となる位置に位置決めするものである。
【0045】
28は排気ガス浄化装置21の後部側に位置して上流筒体22の下流側に設けられた下流筒体で、該下流筒体28は、フィルタ用筒体32を挟んで上流筒体22とは反対側に配置され、排気ガスを流出する出口部分を構成している。そして、下流筒体28は、図5及び図8に示すように、後述の筒状ケース29と、流出管30と、支持脚31とにより大略構成されている。
【0046】
29は下流筒体28の外殻を構成する筒状ケースで、該筒状ケース29は、上流筒体22の筒状ケース23とほぼ同様に、大径な円筒状をなす円筒部29Aと、該円筒部29Aの後側(下流側)を閉塞して設けられた蓋部29Bと、円筒部29Aの前側(上流側)の端部に全周に亘って鍔状に設けられたフランジ部29Cとにより構成されている。そして、フランジ部29Cには、周方向に間隔をもって複数個のボルト挿通孔29Dが設けられている。
【0047】
また、円筒部29Aの後側位置には、例えば右側に位置して下流側の圧力取出部29Eが設けられ、該圧力取出部29Eは、排気ガス通路を流れる排気ガスの圧力のうち、粒子状物質除去フィルタ41の下流側の圧力を取出すもので、後述の圧力センサ47が下流側配管47Bを介して接続される構成となっている。
【0048】
30は筒状ケース29の後側(下流側)に設けられた尾管と呼ばれる流出管で、該流出管30は、筒状ケース29の円筒部29Aを直径方向に貫通している(図8参照)。また、筒状ケース29から突出した流出管30の上端側は、図1に示す建屋カバー15の上方に突出して大気に解放されている。一方、流出管30の下端側は閉塞板30Aによって閉塞されている。そして、流出管30は、筒状ケース29の内部で消音器筒体30Bを構成し、この消音器筒体30Bに設けられた多数個の小孔30Cを排気ガスが通過することにより、排気音が低減されるものである。
【0049】
31は筒状ケース29(円筒部29A)の下面側に設けられた支持脚で、該支持脚31は、上流筒体22の支持脚26と同様に、板体を略W字状に折曲げることにより形成され、その上端側が円筒部29Aの下面に固着されている。そして、支持脚31の下端側は、浄化装置支持ブラケット16の後側取付板16Dにボルト止めされる構成となっている。
【0050】
32は上流筒体22と下流筒体28との間に直列に接続して設けられた浄化部筒体としてのフィルタ用筒体で、該フィルタ用筒体32は、処理部材としての粒子状物質除去フィルタ41を内蔵するものである。そして、フィルタ用筒体32は、図7ないし図9に示すように、後述の筒状ケース33と、開口部34と、蓋体37とにより大略構成されている。
【0051】
33はフィルタ用筒体32の外殻を構成する筒状ケースで、該筒状ケース33は、その内部に粒子状物質除去フィルタ41を収容するものである。ここで、筒状ケース33は、上流筒体22の筒状ケース23及び下流筒体28の筒状ケース29とほぼ等しい外径寸法を有する円筒部33Aと、該円筒部33Aの前側(上流側)の端部に全周に亘って鍔状に設けられた前側フランジ部33Bと、円筒部33Aの後側(下流側)の端部に全周に亘って鍔状に設けられた後側フランジ部33Cとにより大略構成されている。
【0052】
そして、前側フランジ部33Bには、周方向に間隔をもって複数個のボルト挿通孔33Dが設けられ、前側フランジ部33Bは、各ボルト挿通孔33Dに挿通された後述のボルト45及びナット46を用いて、上流筒体22を構成する筒状ケース23のフランジ部23Cに直列に接続される構成となっている。また、後側フランジ部33Cにも、周方向に間隔をもって複数個のボルト挿通孔33Eが設けられ、後側フランジ部33Cは、各ボルト挿通孔33Eに挿通されたボルト45及びナット46を用いて、下流筒体28を構成する筒状ケース29のフランジ部29Cに直列に接続される構成となっている。
【0053】
34は筒状ケース33を構成する円筒部33Aの上面側に設けられた開口部で、該開口部34は、筒状ケース33に対し、後述の粒子状物質除去フィルタ41を筒状ケース33の径方向、例えば上,下方向に取付け、取外しするために、筒状ケース33の内部と外部とを連通させるものである。
【0054】
ここで、開口部34は、筒状ケース33を構成する円筒部33Aの軸方向の中間部位を、その上面から軸中心に亘って半円形状に切欠くことにより形成されている。これにより、円筒部33Aのうち開口部34が設けられた軸方向の中間部位は、断面半円形状をなすフィルタ受部33Fとなり、該フィルタ受部33Fによって粒子状物質除去フィルタ41を下側から支持する構成となっている。
【0055】
35,35は開口部34を挟んで円筒部33Aの外周側に設けられた左,右のケース側ブラケットで、これら各ケース側ブラケット35は、後述の蓋体37を取付けるものである。そして、各ケース側ブラケット35は、円筒部33Aの外周面から径方向に突出し、軸方向に沿って前,後方向に延びている。また、ケース側ブラケット35には、前,後方向に間隔をもって複数個のボルト挿通孔35Aが上,下方向に貫通して設けられ、これら各ボルト挿通孔35Aと対応するケース側ブラケット35の下面側には、ナット35Bが溶接されている(図9参照)。
【0056】
36,36は円筒部33Aのフィルタ受部33Fに設けられた前,後のストッパで、該各ストッパ36は、粒子状物質除去フィルタ41を、フィルタ用筒体32の筒状ケース33内で軸方向に固定するものである。ここで、各ストッパ36は、半円弧状をなす板体として形成され、粒子状物質除去フィルタ41の軸方向寸法よりも僅かに大きな間隔をもって前,後方向で対面した状態で、フィルタ受部33Fの内側面に溶接等の手段を用いて固着されている。従って、図8に示すように、粒子状物質除去フィルタ41を筒状ケース33のフィルタ受部33F上に配置した状態で、各ストッパ36が粒子状物質除去フィルタ41の両端部に係合することにより、当該粒子状物質除去フィルタ41を、フィルタ用筒体32の筒状ケース33内で軸方向に固定することができる構成となっている。
【0057】
37は筒状ケース33に形成された開口部34を開閉可能に覆う蓋体で、該蓋体37は、粒子状物質除去フィルタ41を筒状ケース33内に収容した状態で、開口部34を閉塞するものである。ここで、蓋体37は、図7ないし図9に示すように、筒状ケース33の円筒部33Aとほぼ等しい曲率をもって折曲げられた断面半円形状をなす板体として形成されている。この場合、蓋体37の長手寸法は開口部34の長手寸法よりも大きく形成され、蓋体37の長手方向の両端側は、筒状ケース33の両端側で円筒部33Aの上面に被さるように設定されている。また、蓋体37の下端部には、筒状ケース33の各ケース側ブラケット35と対面する平板状の左,右の蓋体側ブラケット37A,37Aが、長手方向に延びて設けられ、これら各蓋体側ブラケット37Aには複数個のボルト挿通孔37Bが上,下方向に貫通して設けられている。
【0058】
38,38,…は筒状ケース33と蓋体37との間に取付け、取外し可能に設けられた締結部材としてのボルトで、これら各ボルト38は、蓋体側ブラケット37Aのボルト挿通孔37Bと、ケース側ブラケット35のボルト挿通孔35Aとに上方から挿通され、ケース側ブラケット35の下面側に固着したナット35Bに螺着されるものである。これにより、筒状ケース33に対しボルト38を用いて蓋体37を着脱可能に取付けることができ、該蓋体37によって開口部34を覆うことができる構成となっている。
【0059】
39,39は蓋体37に設けられた前,後のストッパで、該各ストッパ39は、半円弧状をなす板体として形成され、粒子状物質除去フィルタ41の軸方向寸法よりも僅かに大きな間隔をもって前,後方向で対面した状態で、蓋体37の内側周面に溶接等の手段を用いて固着されている。従って、図8に示すように、粒子状物質除去フィルタ41を筒状ケース33のフィルタ受部33F上に配置し、蓋体37を筒状ケース33に取付けた状態で、各ストッパ39が粒子状物質除去フィルタ41の両端部に係合することにより、当該粒子状物質除去フィルタ41を、フィルタ用筒体32の筒状ケース33内で軸方向に固定することができる構成となっている。
【0060】
40は筒状ケース33と蓋体37との間に設けられたガスケットで、該ガスケット40は、筒状ケース33の開口部34を取囲み、筒状ケース33と蓋体37との取付面間を気密に封止するものである。ここで、ガスケット40は、図7ないし図9に示すように、蓋体37とほぼ同様な断面半円形状をなす板体として形成されている。また、ガスケット40の下端部には、筒状ケース33のケース側ブラケット35と蓋体37の蓋体側ブラケット37Aとの間で挟持される平板状の左,右の挟持部40A,40Aが設けられ、これら各挟持部40Aには、ボルト38が挿通される複数個のボルト挿通孔40Bが設けられている。また、ガスケット40のうち蓋体37の内側面に設けた各ストッパ39と対応する部位には、各ストッパ39が挿通される切欠部40C,40Cが設けられ、これら各切欠部40Cの間は厚肉部40Dとなっている(図8参照)。
【0061】
そして、ガスケット40は、筒状ケース33内に粒子状物質除去フィルタ41を収容した状態で、筒状ケース33の円筒部33A及びケース側ブラケット35と、蓋体37及び蓋体側ブラケット37Aとの間に配置され、ボルト38を用いて蓋体37を筒状ケース33に締結することにより、開口部34を取囲んだ状態で、筒状ケース33と蓋体37との取付面間を気密に封止する。この場合、蓋体37の各ストッパ39間にはガスケット40の厚肉部40Dが配置され、この厚肉部40Dは、粒子状物質除去フィルタ41の外周面に当接することにより、粒子状物質除去フィルタ41と蓋体37との間の隙間を閉塞する構成となっている。
【0062】
41は筒状ケース33内に収容された粒子状物質除去フィルタ(通常、Diesel Particulate Filter、略してDPFとも呼ばれている)で、該粒子状物質除去フィルタ41は、処理部材の1つを構成するものである。そして、図7ないし図9に示すように、粒子状物質除去フィルタ41は、例えばセラミックス材料等からなる多孔質な部材によって円筒状に形成されたフィルタ本体42と、該フィルタ本体42の外周側に全周に亘って設けられた緩衝材層43と、該緩衝材層43の外周側に全周に亘って設けられた断熱材層44とにより大略構成されている。
【0063】
ここで、フィルタ本体42は、軸方向に多数の小孔42Aが設けられたハニカム構造のセル状筒体をなし、各小孔42Aは、隣同士で交互に異なる端部が目封じ部材42Bによって閉塞されている。そして、フィルタ本体42は、上流側から各小孔42Aに流入する排気ガスを多孔質材料に通すことで粒子状物質を捕集し、排気ガスのみを隣の小孔42Aを通じて下流側へと流出させる。
【0064】
この場合、フィルタ本体42によって捕集した粒子状物質は、燃焼して除去されるが、その一部は灰となって小孔42A内に徐々に堆積する。また、その他の未燃焼残留物、例えばエンジンオイル中の重金属、カルシウム等も徐々に堆積する。そこで、後述の圧力センサ47によって、粒子状物質除去フィルタ41の上流側の圧力と下流側の圧力を計測し、上流側と下流側の圧力差が所定の値に達したときには、粒子状物質除去フィルタ41をフィルタ用筒体32の筒状ケース33から取外し、堆積物をクリーニングする構成となっている。
【0065】
45は上流筒体22とフィルタ用筒体32との間、及び下流筒体28とフィルタ用筒体32との間を接続する複数本のボルトで、これら各ボルト45は、上流筒体22を構成する筒状ケース23のフランジ部23Cに設けられたボルト挿通孔23Dと、フィルタ用筒体32を構成する筒状ケース33の前側フランジ部33Bに設けられたボルト挿通孔33Dとに挿通された状態でナット46を螺着することにより、上流筒体22とフィルタ用筒体32との間を分解可能に接続すると共に、下流筒体28を構成する筒状ケース29のフランジ部29Cに設けられたボルト挿通孔29Dと、フィルタ用筒体32を構成する筒状ケース33の後側フランジ部33Cに設けられたボルト挿通孔33Eとに挿通された状態でナット46を螺着することにより、下流筒体22とフィルタ用筒体32との間を分解可能に接続するものである。
【0066】
47は上流筒体22の外周側に設けられた圧力センサで、該圧力センサ47は、粒子状物質、未燃焼残留物等の堆積量を推測するために、粒子状物質除去フィルタ41の上流側と下流側の圧力(圧力差)を検出するものである。そして、圧力センサ47は、その上流側配管47Aが上流筒体22の筒状ケース23の圧力取出部23Fに接続され、下流側配管47Bが下流筒体28の筒状ケース29の圧力取出部29Eに接続されている。
【0067】
48は上流筒体22の筒状ケース23の上流側に設けられた上流側温度センサで、該上流側温度センサ48は、筒状ケース23の上流側に位置する温度センサ取付口23Eに取付けられ、コントローラ(図示せず)に接続されている。そして、上流側温度センサ48は、酸化触媒25が機能することができる温度であるか確認するために、筒状ケース23に流入する排気ガスの温度を検出するものである。
【0068】
49は上流筒体22の筒状ケース23の下流側に設けられた下流側温度センサで、この下流側温度センサ49は、粒子状物質除去フィルタ41によって捕集した粒子状物質の酸化(再生)が可能であるか確認するために、酸化触媒25を通過した排気ガスの温度を検出するものである。
【0069】
本実施の形態による排気ガス浄化装置21は上述の如き構成を有するもので、油圧ショベル1によって掘削作業等を行うためにエンジン8を作動させると、エンジン8から排気管9に、粒子状物質、窒素酸化物等の有害物質を含む排気ガスが排出され、この排気ガスは、流入管24を通じて排気ガス浄化装置21に導入される。
【0070】
このとき、排気ガス浄化装置21は、上流筒体22内に収容された酸化触媒25を排気ガスが通過するときに、この排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。そして、酸化触媒25を通過した排気ガスが、フィルタ用筒体32内に収容された粒子状物質除去フィルタ41を通過するときに、この粒子状物質除去フィルタ41のフィルタ本体42によって、排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集し、捕集した粒子状物質を燃焼(再生)して除去する。
【0071】
このようにして、排気ガス浄化装置21によって浄化された排気ガスは、下流筒体28内で流出管30の消音器筒体30Bによって消音された後、流出管30を通じて外部に排出される。
【0072】
このように、粒子状物質除去フィルタ41のフィルタ本体42によって捕集した粒子状物質は、燃焼して除去されるが、その一部は灰となってフィルタ本体42の小孔42A内に徐々に堆積する。また、その他の未燃焼残留物、例えばエンジンオイル中の重金属、カルシウム等も徐々に堆積する。
【0073】
このため、圧力センサ47によって粒子状物質除去フィルタ41の上流側の圧力と下流側の圧力差を計測し、この圧力差が所定の値に達したときには、粒子状物質除去フィルタ41をフィルタ用筒体32の筒状ケース33から取外し、堆積物をクリーニングする必要がある。
【0074】
そこで、粒子状物質除去フィルタ41に堆積した粒子状物質を除去するためのクリーニング作業について説明する。
【0075】
このクリーニング作業を行う場合には、まず、フィルタ用筒体32の筒状ケース33に蓋体37を締結している各ボルト38を、筒状ケース33のケース側ブラケット35に固着したナット35Bから上方に抜取る。これにより、蓋体37とガスケット40とを、筒状ケース33から上方に取外すことができ、筒状ケース33の開口部34を開放することができる。
【0076】
このとき、粒子状物質除去フィルタ41は、筒状ケース33のフィルタ受部33F上に載置されているだけで、粒子状物質除去フィルタ41の上半分は、開口部34を通じて筒状ケース33の外部に露出している。従って、作業者は、粒子状物質除去フィルタ41の上半分を把持してこれを上方に持ち上げることにより、粒子状物質除去フィルタ41のみを単独で、開口部34を通じて容易に筒状ケース33の外部に取外すことができる。
【0077】
このように、フィルタ用筒体32を上流筒体22及び下流筒体28に接続したまま、筒状ケース33から蓋体37を取外すだけで、開口部34を通じて粒子状物質除去フィルタ41のみを取出すことができる。
【0078】
この場合、粒子状物質除去フィルタ41は、筒状ケース33の開口部34を通じて上方に取外すことができるので、排気ガス浄化装置21が、エンジン8、油圧ポンプ10等の搭載機器類と共に建屋カバー15内の狭隘なスペース内に配置されている場合でも、作業者は、他の搭載機器類に邪魔されることなく、筒状ケース33から安全かつ容易に粒子状物質除去フィルタ41のみを取出すことができる。
【0079】
そして、取出した粒子状物質除去フィルタ41のフィルタ本体42に、例えばエアガン等を用いて圧縮空気を吹付け、小孔42A内に堆積した粒子状物質の灰、未燃焼残留物を除去することにより、粒子状物質除去フィルタ41をクリーニングすることができる。
【0080】
このようにして、粒子状物質除去フィルタ41をクリーニングした後には、この粒子状物質除去フィルタ41を、開口部34を通じて筒状ケース33のフィルタ受部33Fに載置し、ガスケット40と蓋体37とを、ボルト38を用いて筒状ケース33のケース側ブラケット35に締結する。これにより、開口部34を蓋体37によって覆うことができ、筒状ケース33と蓋体37との取付面間をガスケット40によって気密に封止することができる。
【0081】
この場合、筒状ケース33を構成するフィルタ受部33Fの内側面には、前,後のストッパ36が設けられ、蓋体37の内側面には前,後のストッパ39が設けられているので、筒状ケース33内に粒子状物質除去フィルタ41を取付け、筒状ケース33の開口部34を蓋体37で覆った状態で、各ストッパ36,39が粒子状物質除去フィルタ41の軸方向の両端側に係合する。これにより、クリーニング作業等を行った粒子状物質除去フィルタ41を筒状ケース33内に取付けるだけで、フィルタ用筒体32内の適正な位置に粒子状物質除去フィルタ41を固定することができ、クリーニング後における粒子状物質除去フィルタ41の適正な動作を確保することができる。
【0082】
かくして、本実施の形態によれば、前,後方向の前側に上流筒体22が接続されると共に後側に下流筒体28が接続されたフィルタ用筒体32を、内部に粒子状物質除去フィルタ41を収容する筒状ケース33と、該筒状ケース33の上面側に形成された開口部34と、該開口部34を開閉可能に覆う蓋体37とにより構成したので、筒状ケース33から蓋体37を取外すことにより、開口部34を開放することができる。
【0083】
このため、フィルタ用筒体32の筒状ケース33を、上流筒体22の筒状ケース23及び下流筒体28の筒状ケース29に接続したまま、粒子状物質除去フィルタ41のみを単独で、開口部34を通じて筒状ケース33の外部に取外すことができる。この結果、粒子状物質除去フィルタ41に対するクリーニング作業、点検作業、修理作業等を行う場合に、フィルタ用筒体32に接続された上流筒体22、下流筒体28を取外すといった煩雑な前作業を不要にでき、この分、クリーニング作業等を行うときの作業性を高めることができる。
【0084】
しかも、粒子状物質除去フィルタ41は、筒状ケース33に対し、開口部34を通じて上,下方向に取付け、取外しすることができるので、排気ガス浄化装置21が、エンジン8、油圧ポンプ10等の搭載機器類と共に建屋カバー15内の狭隘なスペース内に配置されている場合でも、作業者は、他の搭載機器類に邪魔されることなく、筒状ケース33に対する粒子状物質除去フィルタ41の取付け、取外し作業を安全かつ容易に行うことができる。
【0085】
また、蓋体37は、筒状ケース33に対しボルト38を用いて取付け、蓋体37と筒状ケース33との間には開口部34を取囲んでガスケット40を設ける構成としたので、ボルト38を筒状ケース33のケース側ブラケット35から抜取るだけで、蓋体37を容易に取外すことができる。一方、クリーニングされた粒子状物質除去フィルタ41を筒状ケース33内に配置した後に、ガスケット40と蓋体37とをボルト38を用いて筒状ケース33のケース側ブラケット35に締結することにより、開口部34を蓋体37によって覆うと共に、筒状ケース33と蓋体37との取付面間をガスケット40によって気密に封止することができる。この結果、フィルタ用筒体32に導入された排気ガスが、筒状ケース33と蓋体37との取付面の隙間を通じて外部に漏れることがなく、排気ガスを確実に粒子状物質除去フィルタ41へと導くことができる。
【0086】
さらに、筒状ケース33を構成するフィルタ受部33Fの内側面にストッパ36を設け、蓋体37の内側面にストッパ39を設ける構成としたので、粒子状物質除去フィルタ41を筒状ケース33内に取付けるだけで、フィルタ用筒体32内の適正な位置に粒子状物質除去フィルタ41を固定することができ、クリーニング後における粒子状物質除去フィルタ41の適正な動作を確保することができる。
【0087】
なお、上述した実施の形態では、筒状ケース33に設けられたケース側ブラケット35に上,下方向に貫通する複数個のボルト挿通孔35Aを設け、蓋体37の蓋体側ブラケット37Aに上,下方向に貫通する複数個のボルト挿通孔37Bを設け、ボルト38を上,下方向に抜き差しすることにより、蓋体37を筒状ケース33に対して取付け、取外しする構成を例に挙げて説明している。
【0088】
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図11に示す変形例のように、筒状ケース33に開口部34を挟んでブロック状の左,右のケース側ブラケット51を固着し、これら各ケース側ブラケット51に左,右方向に延びる複数個の雌ねじ孔51Aを螺設すると共に、蓋体52の蓋体側ブラケット52Aに左,右方向に貫通する複数個のボルト挿通孔52Bを設け、このボルト挿通孔52Bと雌ねじ孔51Aとに対し、ボルト38を左,右方向に抜き差しすることにより、蓋体52を筒状ケース33に対して取付け、取外しする構成としてもよい。
【0089】
また、上述した実施の形態では、排気ガスを浄化処理するための処理部材として粒子状物質除去フィルタ41を用い、この粒子状物質除去フィルタ41を収容する筒状ケース33に開口部34と蓋体37とを設けることにより、クリーニング作業時に筒状ケース33から粒子状物質除去フィルタ41を容易に取付け、取外しすることができる構成を例示している。
【0090】
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば排気ガス浄化装置としてNOx浄化装置を適用した場合には、NOxを還元する選択還元触媒と、この選択還元触媒に尿素水を噴射する尿素水噴射弁が処理部材に該当する。この場合には、内部に選択還元触媒を収容する筒状ケーシングと、内部に尿素水噴射弁を収容する筒状ケーシングとに、それぞれ開口部と該開口部を開閉可能に覆う蓋体とを設ける構成とする。従って、選択還元触媒、尿素水噴射弁に付着した付着物を除去するときには、筒状ケーシングから蓋体を取外すことにより、選択還元触媒、尿素水噴射弁を単独で取外すことができるので、粒子状物質除去フィルタ41のクリーニング作業と同様に、選択還元触媒、尿素水噴射弁をクリーニングするときの作業性を高めることができる。
【0091】
また、上述した実施の形態では、筒状ケース33の内側面にストッパ36を設けると共に、蓋体37の内側面にストッパ39を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば筒状ケース33の内側面のみにストッパ36を設けてもよく、蓋体37の内側面にのみストッパ39を設ける構成としてもよい。
【0092】
さらに、上述した実施の形態では、排気ガス浄化装置21を、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1に搭載した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばタイヤ等からなるホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに搭載する構成としてもよい。それ以外にも、リフトトラック、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施の形態による排気ガス浄化装置を備えた油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】上部旋回体をキャブ、建屋カバーを省略した状態で拡大して示す平面図である。
【図3】排気ガス浄化装置をエンジンに取付けた状態で示す要部拡大の斜視図である。
【図4】排気ガス浄化装置を油圧ポンプと一緒に示す正面図である。
【図5】排気ガス浄化装置を単体で示す斜視図である。
【図6】上流筒体、下流筒体からフィルタ用筒体を取外した状態を示す斜視図である。
【図7】フィルタ用筒体の筒状ケース、ガスケット、蓋体、粒子状物質除去フィルタを示す分解斜視図である。
【図8】排気ガス浄化装置の内部構造を示す縦断面図である。
【図9】排気ガス浄化装置の内部構造を図8中の矢示IX−IX方向から拡大してみた横断面図である。
【図10】上流筒体を浄化装置支持ブラケットに取付けた状態を図4中の矢示X−X方向からみた要部拡大の横断面図である。
【図11】蓋体の変形例を示す図7と同様な分解斜視図である。
【符号の説明】
【0094】
1 油圧ショベル
2 下部走行体(車体)
4 上部旋回体(車体)
8 エンジン
9 排気管(排気ガス通路)
21 排気ガス浄化装置
22 上流筒体
25 酸化触媒(処理部材)
28 下流筒体
32 フィルタ用筒体(浄化部筒体)
33 筒状ケース
34 開口部
36,39 ストッパ
37,52 蓋体
38 ボルト(締結部材)
40 ガスケット
41 粒子状物質除去フィルタ(処理部材)
42 フィルタ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に搭載されたエンジンの排気ガス通路に設けられた上流筒体と、該上流筒体の下流側に設けられた下流筒体と、前記上流筒体と下流筒体との間に直列に接続して設けられ排気ガスを浄化処理するための処理部材が内蔵された浄化部筒体とを備えてなる排気ガス浄化装置において、
前記浄化部筒体は、内部に前記処理部材を収容する筒状ケースと、該筒状ケースの上面側に形成され前記処理部材を取付け、取外しするための開口部と、該開口部を開閉可能に覆う蓋体とにより構成したことを特徴とする排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記蓋体は、前記筒状ケースに対して締結部材を用いて取付け、取外し可能に設け、前記蓋体と前記筒状ケースとの間には前記開口部を取囲んでガスケットを設ける構成としてなる請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記筒状ケースと前記蓋体とのうち少なくとも一方側の内側面には、前記処理部材を前記筒状ケースの内部で固定するストッパを設ける構成としてなる請求項1または2に記載の排気ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−7526(P2010−7526A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166354(P2008−166354)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】