説明

排水溝ユニット

【課題】水路部と、該水路部に着脱可能に取付けられて水路部を塞ぎ、該水路部に通ずる排水孔を備えたカバー部よりなる排水溝ユニットにおいて、カバー部のロックが確実に、しかもロックされたことの確認が容易に行えるようにする。
【解決手段】水路部2を構成する対向する側壁2b、2cの上端に突出部4a、5aを設け、各突出部4a、5aには凹所11を有する。カバー部3には、裏面に凹所11に嵌合するずれ止め部材14と、断面倒U形状をなして突出部4a、5aに遊びを存して嵌挿される規制部材15を設け、カバー部3を水路部2に合せて正規位置に取付けたとき、ずれ止め部材14が凹所に嵌合してカバー部3のずれ止めを行い、かつ規制部材15が突出部4a、5aに嵌挿されて浮き上がりを防止し、跳ね上がりによる事故を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路橋を含む道路の路肩や中央分離帯等に設置され、自動車が道路から外れないようにガードする機能を備えた鋼製の排水溝ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の排水溝ユニットは、自動車が道路から外れないようにしたり、路面の雨水を排水するために用いられ、種々の構造のものが知られる。下記特許文献1ないし3に示されるものがその例で、通常、水路部と、該水路部上に着脱可能に取付けられるカバー部とよりなり、カバー部は自動車が道路から外れないようにガードする傾斜面と共に、集水面を有し、路面の雨水が集水面より傾斜面にわたって形成される排水孔より水路部に流入して排水されるようにしてある。
【特許文献1】特開2005−61020号
【特許文献2】特開2005−344389号
【特許文献3】実用新案登録第3129933号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述する排水溝ユニットは、自動車がカバー部上に乗り上げたり、衝突するようなことがあっても跳ね上がったり、外れたりすることがないようにすると共に、水路部の清掃等によりカバー部を外す必要があるときには、その取外し、或いは取付けが容易に行えるようにすることが望まれるが、従来の排水溝ユニットは、概してカバー部に跳ね上がり防止のためロック機能を備えているが、自動車がカバー部に乗り上げたときの当たり具合によってロック機能が働かなくなり、そのためカバー部が跳ね上がる事故を生じたり、或いはまた、外観上はロックされているのか否か分かりにくく、カバー部を開けて点検や清掃作業をしたのち、ロックをするのを忘れた場合、カバー部が跳ね上がる事故を生ずるおそれがある。
【0004】
本発明は、上述するカバー部のロックが確実に、しかもロックされたことの確認が容易に行えるような排水溝ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、底壁部と、該底壁部の両端より立上がる側壁部よりなる水路部と、該水路部に着脱可能に取付けられて水路部を塞ぎ、該水路部に通ずる排水孔を備えたカバー部よりなり、道路の路肩や中央分離帯等に設置される鋼製の排水溝ユニットにおいて、上記水路部の各側壁にはそれぞれ、内側側方に突出する突出部を長手方向に沿うようにして設けると共に、各突出部には1ないし複数箇所に凹所を形成する一方、カバー部には上記突出部に対応する両側部にそれぞれ上記突出部に嵌合する断面倒U形又は倒L形をなし、上記凹所に嵌合可能である規制部材を設け、上記カバー部を水路部の正規位置に取付けたときには、各規制部材が上記突出部に嵌挿されて抜け止めされ、また上記カバー部を長手方向に一定量スライドさせると、各規制部材がそれぞれ凹所への嵌合位置に位置して抜き出し可能であることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、長手方向に接続して一定長さに連設される排水溝ユニットのうち、少なくとも一端に位置する排水溝ユニットは、そのカバー部の規制部材が他の排水溝ユニットのカバー部の規制部材と長手方向の対称位置に形成されることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、カバー部には上記各規制部材がそれぞれ突出部に嵌挿した状態で上記凹所に嵌合してずれ止めを行うずれ止め部材を設け、上記カバー部は各規制部材が突出部に当たるまで、或いは当たる途上まで持上げられると、上記ずれ止め部材が凹所より上方に離脱し、カバー部の長手方向のスライドを可能にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によると、カバー部を水路部の正規位置に取付けると常に規制部材は突出部に嵌挿されてカバー部の抜け止が行われ、ロック状態となる。すなわちカバー部が正規位置に取付けられているのを確認するだけでカバー部がロック状態にあることが容易に分かり、ロック状態ではカバー部を長手方向にスライドさせて規制部材を凹所への嵌合位置に位置させない限りカバー部が外れることはなく、カバー部の跳ね上がりによる事項を防止することができる。
【0009】
上記カバー部は、全てのカバー部を同じ方向にスライドさせて着脱できるようにしていると、一端のカバー部は排水溝ユニットの延長上に水路部よりはみ出してスライドできるようなスペースがない限り着脱することができないのに対し、請求項2に係る発明のように、少なくとも一端のカバー部の規制部材を他のカバー部の規制部材と長手方向の対称位置に形成しておくと、規制部材が対称位置に形成されるカバー部を逆向きにスライドさせることにより、全てのカバー部は排水溝ユニットが設置される範囲内でスライドして着脱可能となる。
【0010】
請求項3に係る発明によると、ずれ止め部材が凹所に嵌合することによりカバー部がずれ止めされ、上述するロック状態が確実に維持されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の排水溝ユニットについて図面により説明する。
図1は、一実施形態の排水溝ユニットの平面図、図2は図1のA−A線断面、図3は同B−B線断面を示すもので、全体を符号1で示す排水溝ユニットは鋼製で、水路部2とカバー部3からなり、水路部2は、底壁部2aと、該底壁部2aの両端より対向して立上がる道路側の側壁部2b及び該側壁部2bより高く形成された壁高欄側の側壁部2cと、両側壁部2b、2cの内側上端にそれぞれ水路部2のほぼ全長にわたって溶接又はボルトにて固着されるアングル材よりなる受材4及び5とを有し、側壁部2bの外側下縁には、路肩より上方に突出する図示しないアンカーに差し込まれて固定される補強アングル材6が固定され、また側壁部2cの外側には複数のパイプ7が上下に、図1の平面視で左右対称形をなして固着され、更にパイプ7にはL形のアンカー8が差し込まれ、側壁部2cより突出する部分が壁高欄9に埋設されるようになっており、補強アングル材6とアンカー8とで水路部2を路肩と壁高欄9に固定している。
【0012】
側壁部2b及び2cに固定される受材4及び5は、内側側方に突出する部分が突出部4a及び5aとなり、図1に示す平面視で、両側の対向位置に凹所11が左右対称形に形成されている。
【0013】
カバー部3は平坦な集水面3a及び取付面3bと、両面3a及び3bを連結する傾斜面3cよりなり、図1に示すように排水孔12が集水面3aと傾斜面3cにまたがって形成されている。上記傾斜面3cは自動車のタイヤが傾斜面3cに乗り上げるようなことがあっても、タイヤを集水面3a上に戻すガイド機能を果たすようになっている。
【0014】
カバー部3にはまた、その裏面両側に図1に示すように、カバー部3を水路部2にぴったりと合う正規位置に取付けたとき、突出部4a及び5aの凹所11に嵌合するずれ止め部材14を下向きに突出すると共に、互いに逆の外向きに開口して突出部4a及び5aに適宜の遊びを存して嵌挿される断面倒U形の規制部材15が固着され、各規制部材15を突出部4a及び5aに嵌挿した状態でカバー部3を規制部材15が突出部4a及び5aに当たるまで持上げると、ずれ止め部材14が凹所11より上方に離脱するようになっている(図4)。
【0015】
カバー部3は水路部2に沿って接続されるように連設されるが、端の1枚を除いては全て同一に構成されている。端のカバー部3´は図5に示すように規制部材15が他のカバー部3と長手方向の対称位置、すなわち凹所11を挟んだ反対側(図5の左側)に固着されている。
【0016】
本実施形態の排水溝ユニット1は以上のように構成され、道路の路肩又は中央分離帯に沿って一連に接続されて設けられ、その一端の排水溝ユニットにおいて、カバー部3´は規制部材15が他のカバー部3と長手方向の対称位置に形成される。いま一端の排水溝ユニットを除く他の排水溝ユニット1のうちの一つについて、カバー部3を取外すときの作業手順を説明する。
【0017】
先ずカバー部3を規制部材15が突出部4a及び5aに当たるまで持上げると、これに伴いずれ止め部材14が凹所11より上方に離脱する(図4)。ついでカバー部3を持上げた状態のまま、図1の矢印で示すカバー部3の長手方向にスライドさせ、規制部材15を凹所11への嵌合位置に位置させる(図6)。そして図7の矢印方向にカバー部3を持上げ取外す。カバー部3をスライドさせる向きは、カバー部3が図1に示すカバー部3と同一構造のものについては図1の矢印方向(図の左方向)にカバー部3をスライドさせるか、図5に示す端のカバー3´については逆向き、すなわち図の右方向にスライドさせる。
【0018】
以上は、カバー部3を取外すときの作業手順を示すものであるが、カバー部3を取り付けるときには上記と逆の手順、すなわち各規制部材15をそれぞれ凹所11に当ててずれ止め部材14が突出部4a及び5aに当たるまで嵌合させたのち(図6)、カバー部3を図6の右方向にスライドさせる。スライドに伴い、各規制部材15は突出部4a及び5aに嵌挿される。スライド中、ずれ止め部材14が凹所11への嵌合位置に達すると、カバー部3の自重によりずれ止め部材14が凹所11に嵌合して下がり図1の状態となる。
カバー部を取り付けるときにも端の排水溝ユニット3´については上記と逆向きにスライドさせて行う。
【0019】
本実施形態の排水溝ユニット1によると、水路部2に合わせて図1に示す正規位置に取付けられたカバー部3はずれ止め部材14が凹所11に嵌合することにより図1の矢印方向或いはその逆の方向へのずれが防止され、また四箇所に設けた規制部材15がそれぞれ受材4及び5の突出部4a及び5aに嵌挿されることにより浮き上がりが規制されてロック状態となり、ロック状態の解除は、カバー部3を持上げてずれ止め部材14を凹所より離脱させたのち、カバー部3の長手方向に一定量スライドさせ、規制部材15を凹所11への嵌合位置に位置させない限り行うことができないため、自動車のタイヤが傾斜面3cまで乗り上げるようなことがあってもカバー部3の浮き上がりを生ずることがなく、浮き上がりによる事故発生を確実に防止することができる。なお、上述のロック状態は、カバー部3が水路部に合わせた正規位置に取付けられることで容易に確認することができる。また一連に連設される排水溝ユニット1は、全ての排水溝ユニット1を同じ構成にしてカバー部3を同方向にスライドさせて着脱できるようにすると、端の排水溝ユニット1では、カバー部3を図1の矢印方向に水路部2よりはみ出してスライドさせる必要があり、はみ出すだけのスペース上の余裕がないと、カバー部3の着脱が行えないが、端の排水溝ユニット1だけ、カバー部3´を逆向きにスライドさせて着脱できるようにすると、全ての排水溝ユニットについてカバー部3、3´を水路部2が設置される範囲内でスライドでき、端の排水溝ユニットにおいて、カバー部3´を水路部よりはみ出させる必要がない。
【0020】
上記実施形態では、一端のカバー部3´のみが規制部材15を他のカバー部3の規制部材15と取付位置を異にしているが、一端のカバー部3´を含む複数のカバー部3´において、規制部材15を同じ箇所に設けてもよい。この場合、複数の各カバー部3´は、他のカバー部3と異なり、同じ向きにスライドして着脱されるようになる。
【0021】
上記実施形態の排水溝ユニット1では、凹所11、ずれ止め部材14及び規制部材15が図1の上下及び左右に四箇所ずつ設けられているが、図の上下に一つずつ設けてもよい。この場合、図示するように端ではなく中央に設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る排水溝ユニットの平面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】同B−B線断面図。
【図4】取外す際、カバー部を持上げた状態を示す断面図。
【図5】一連に連設される排水溝ユニットのうち、端に位置する排水溝ユニットの平面図。
【図6】カバー部を持上げた状態で一定量スライドさせた状態を示す平面図。
【図7】カバー部を持上げて取外したときの状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0023】
1・・排水溝ユニット
2・・水路部
3、3´・・カバー部
4、5・・受材
4a、5a・・突出部
9・・壁高欄
11・・凹所
12・・排水孔
14・・ずれ止め部材
15・・規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部と、該底壁部の両端より立上がる側壁部よりなる水路部と、該水路部に着脱可能に取付けられて水路部を塞ぎ、該水路部に通ずる排水孔を備えたカバー部よりなり、道路の路肩や中央分離帯等に設置される鋼製の排水溝ユニットにおいて、上記水路部の各側壁にはそれぞれ、内側側方に突出する突出部を長手方向に沿うようにして設けると共に、各突出部には1ないし複数箇所に凹所を形成する一方、カバー部には上記突出部に対応する両側部にそれぞれ上記突出部に嵌合する断面倒U形又は倒L形をなし、上記凹所に嵌合可能である規制部材を設け、上記カバー部を水路部の正規位置に取付けたときには、各規制部材が上記突出部に嵌挿されて抜け止めされ、また上記カバー部を長手方向に一定量スライドさせると、各規制部材がそれぞれ凹所への嵌合位置に位置して抜き出し可能であることを特徴とする排水溝ユニット。
【請求項2】
長手方向に接続して一定長さに連設される排水溝ユニットのうち、少なくとも一端に位置する排水溝ユニットは、そのカバー部の規制部材が他の排水溝ユニットのカバー部の規制部材と長手方向の対称位置に形成されることを特徴とする請求項1記載の排水溝ユニット。
【請求項3】
前記カバー部には上記各規制部材がそれぞれ突出部に嵌挿した状態で上記凹所に嵌合してずれ止めを行うずれ止め部材を設け、上記カバー部は各規制部材が突出部に当たるまで、或いは当たる途上まで持上げられると、上記ずれ止め部材が凹所より上方に離脱し、カバー部の長手方向のスライドを可能にすることを特徴とする請求項1又は2記載の排水溝ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−84957(P2009−84957A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259014(P2007−259014)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【出願人】(393013618)光海陸産業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】