説明

接合された化粧板連結体

【課題】従来技術の欠点を除去し、安価に製造可能で単層構造又は多層構造の接合された化粧板連結体と、該化粧板連結体の製造方法、加工方法及び使用方法と、この化粧板連結体の製造方法を実施する装置とを提供すること。
【解決手段】平均厚さが0.2〜2.5mmの複数の化粧板1から成る化粧板連結体であって、隣接する前記各化粧板1は、その移行領域2内で、視認可能な表面部において重ね合わせられるとともに、前記各化粧板1の下方に位置する領域内において、断面がくさび状の接合部4が形成され、かつ、接着剤によって互いに結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合された化粧板連結体、単層構造若しくは多層構造の閉じた化粧板連結体を製造するための化粧板の接合方法又は組合せ方法及び使用方法並びに前記方法を実施するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧板は、通常、化粧板群用のカッターにより垂直に切断され、その切断面において接着剤を備えている。次に、この化粧板は、接着剤を塗布されたエッジ部の互いに重なり合うようにくっつくのを防ぐために間をあけて重ねられ、最後に、特許文献1に示すように化粧板接合装置において長手方向エッジ部が互いに接着されて化粧板連結体へと加工される。このような化粧板連結体は、例えば木製プレートなどの桁材の被覆に使用される。
【0003】
しかしながら、このような方法は、大きな機械的な手間及びコストにおいて多くの作業工程数が必要である。強く波状にでこぼこした化粧板の加工については問題である。木材の特有の構造的な特徴による波状部あるいは凹凸部は、切断時に平坦面状に押圧される。そして、伸長された後、波状部が化粧板群用のカッターの支持装置から跳ね上がって再び戻るとともに、本来垂直に切断されるエッジ部が湾曲してしまう。これにより、化粧板接合装置内での欠点のない接着が非常に困難であるか、あるいは不可能である。化粧板の従来のアイロンがけにより平坦とすることができるものの、これは、ある程度までの波状部に対してのみ有効である上、大きな追加的な手間がかかるものとなってしまう。
【0004】
例えば、接合領域に溶融性接着剤で被覆された仮縫い糸をジグザグ状に貼着したり、紙製の接着テープを貼着するなどの化粧板の接合をするための他の接着方法が知られている。しかしながら、これらの方法も波状部に対して大きな欠点を有するものとなっている。
【0005】
特許文献2には、上記欠点を回避する方法が記載されている。ここでは、非常に薄い厚さ0.1mmで必ずしも垂直に切断する必要のない化粧板に接着剤が塗布され、つづいて、これら化粧板が桁材上にうろこ状に重ね合わせて配置される。また、この桁材を、平坦な表面を得るためにうろこ状の重複領域が桁材内に圧入されるよう圧縮可能なものとする必要がある。ここで、桁材の必要な圧縮性が問題となる。この圧縮性は、通常の木製プレートにおいては十分ではなく、また、価値が高い化粧板の表面部において視認可能な化粧板縁部に存在する断面がくさび状の接合部においては容認されない。
【0006】
さらに、各化粧板における必要かつ手間のかかる接着剤の塗布も欠点である。また、厚さ0.45mm未満の化粧板は、厚さの厚い化粧板に比して非常に異なる外観を有している。このような木材の厚さ効果は見えなくなるとともに、触感は木製代替製品に対応する。厚さの厚い化粧板の加工は、存在する決定をいずれにしても大きくしてしまう可能性があるので、このような方法の後には考えられない。
【0007】
木製プレートのような桁材上に配置された化粧板連結体の圧縮のように、層状に重ねられた材料を圧縮するために、様々なプレスクッションが提案されている。これらプレスクッションの役割は、被圧縮物の厚さのばらつき及びプレスの不正確さに依存することなくプレス圧を全てのプレス面にわたってできる限り均等にすることである。
【0008】
特許文献3には織物性のプレスクッションが記載されており、このプレスクッションは、縁部における圧力低下を補償するために、桁材の縁部近傍に段階的に上昇する縁部補強部を備えている。しかしながら、ここでは、縁部領域外で生じる可能性のある桁材の圧力差が考慮に入れられていない。また、局所的に生じるプレス圧は、各厚さの差に依存するものとなっている。さらに、織物の熱伝達性は良好でないため、高温でのプレスは実現しがたい。
【0009】
特許文献4及び特許文献5にも圧縮性のある様々な織物から成るプレスクッションが記載されている。しかしながら、これらプレスクッションも特許文献3に記載された範囲で圧力補償効果が得られるのみであり、熱伝達性も良好でない。
【0010】
プレス面を介した理想的な圧力補償は公知のダイヤフラムプレスにより達成され、このダイヤフラムプレスは、圧縮空気により圧が加えられたダイヤフラムによってプレス圧を得るものとなっている。このとき、このダイヤフラムは、強く際立った輪郭部に密着するが、非常にわずかな熱しか伝達しない。そのため、長いプレス時間が必要となってしまう。このような技術は、強く変形され、全く平坦でない化粧板に対する使用には適しているが、板状部材の積層物の大量生産は不可能である。
【0011】
また、短い化粧板を長くするために、いわゆるくさびほぞが一般に知られており、このくさびほぞにおいては、接合すべき化粧板端部がくさびほぞ状に打ち抜かれ、つづいて、嵌着されるとともに接着される。また、木材の欠陥の修復は通常のことであり、欠陥箇所は、多くの場合だ円状に打ち抜かれ、つづいて、欠陥のない化粧板部材でふさがれる。このような技術は、手間がかかるものであるとともに、見た目の効果を大きく損なうものであるため、より劣った完成品を作るものとなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】G9011185.0
【特許文献2】独国特許第000000948357号明細書
【特許文献3】A274334
【特許文献4】東独国特許第264189号明細書
【特許文献5】東独国特許第255130号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、従来技術の欠点を除去し、安価に製造可能で単層構造又は多層構造の接合された化粧板連結体と、該化粧板連結体の製造方法、加工方法及び使用方法と、この化粧板連結体の製造方法を実施する装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、請求項1,5,6,8及び9に記載の発明の特徴によって達成される。
【0015】
化粧板連結体は平均厚さが0.2〜2.5mmの複数の化粧板から成り、隣接する前記各化粧板は、その接触領域内でうろこ状に重ね合わせられるとともに、接合領域において接着剤によって互いに結合されている。
【0016】
ここで、接合断面部は、例えば図02aに示すように、上記領域において密な接合部を備えるとともに、下方の領域でくさび状の、接着剤が充填された接合部を備えている。
【0017】
また、化粧板の厚さは、0.2〜2.0mmであるのが好ましいが、0.3〜0.8mmとするのが特に好ましい。
【0018】
さらに、接着剤としては、例えば尿素ホルムアルデヒド樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤、PVAc接着剤、PUR接着剤などの硬化性樹脂を用いるのが好ましい。
【0019】
革新的な化粧板連結体の形成は、曲げストリップや、木製パーティクルボード、OSB合板、MDFボード、積層材プレート、アルミニウムプレート、合成樹脂プレートのような制限された弾力性のある変形可能な桁材へなされる。エッジ部における鈍く互いに突き合せられた化粧板の従来の切断と、手間のかかる突合せ部の接着とを省略することにより、化粧板連結体の製造コストを大幅に低減することが可能である。
【0020】
化粧板連結体を桁材へ適用するために、ソフトで伸縮性を有するマットと、その後方に位置し、可塑性が調整可能なプレス温度において得られる可塑性素地とから成る特に加熱されたプレスクッションが用いられる。可塑性素地は、プレス圧の上昇に伴い重なり合った重複領域から分量に応じて桁材における隣接する領域へと流れるとともに、重複領域及び通常の桁材領域においてプレス圧を保持する。このとき、伸縮可能なマットも重複領域のエッジ部に対して押圧されるため、重ね合わせられた化粧板は、非常に小さな径をもってその下に位置する化粧板のエッジ部を覆うようになっている。したがって、化粧板断面部の上部領域には密な接合部が形成され、同下部領域にはくさび状かつ接着剤で充填された接合部が形成される。ただし、この接合部は、常に覆い隠されている。特にシリコン製であるこのマットはわずかなショア硬さを有しているとともに、可塑性素地はプレス機からの熱を部材へ良好に伝達するものとなっている。
【0021】
特に熱反応性の接着剤が硬化した後、化粧張りされた部材は、プレス機から取り出される。そして、部材表面に対して突出した重複領域は、例えば研磨やフライス加工されて切除される。そのため、部材は、密な接合部を有するまっすぐな面を得ることになる。前にあった重複領域においても、化粧板がプレスによって平坦領域と同様に圧縮されるため、化粧板群における均等な表面構造が得られる。
【0022】
このように化粧張りされた部材は、家具、内部張出要素、車両組込部材又はケーシングの製造に用いられる。
【0023】
本発明により積層された部材としては、パーティクルボード、中密度繊維材、合板(積層材)のような木製材料が考えられる。しかし、明確な輪郭を有するエッジ部を含めて、明確な輪郭を有するエッジ部備えた平坦状又は湾曲状の部材を本発明により被覆することが考えられる。このとき、プレスクッションは、部材の輪郭に対応している。
【0024】
また、本発明によれば、化粧板は長手方向エッジ部及び横方向エッジ部において重ね合わせて配置されており、下側に位置する各化粧板の横方向エッジ部には、横方向の重複部が斜めに延在するよう、いわゆるくさびほぞの様式で特にジグザグ状に刻み目が入れられている。さらに、例えば公知の打抜工具又はウォータジェット切断技術によって化粧板に開口部を形成したり、周囲に形成されたエッジ部を適当な形状に形成された化粧部材で覆うことが考えられる。これにより、例えば節などの不都合な特性を部分的に改善することが可能である。
【0025】
また、重ね合わされた化粧板を桁材に接着し、同時に接合領域をプレスする代わりに、第1のステップで、本発明によるプレスクッションにより化粧板を互いに接着して研削し、第2のステップにおいて桁材に接着することが考えられる。これについて、重ね合わすべき化粧板のエッジ部に接着剤を塗布する必要がある。また、このような接着には、例えば尿素ホルムアルデヒド樹脂接着剤、ポリウレタン接着剤などの特に熱硬化性の接着剤が適している。さらに、前記エッジ部の傾斜した部分をフライス盤、のこぎりなどの工具によって切削するのが好ましい。そうすることにより、重複領域が小さな角度をもって化粧板面に接着することが可能である。そして、接着剤が充填されたくさび状の接合領域が非常に小さくなるとともに接着面が拡大する。したがって、接合される化粧板の良好な接着が達成されることになる。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によれば、このような傾斜したエッジ部は化粧板製造時に形成され、化粧板切断装置に取り付けられたカッターブロックがカッター移動方向に対して斜めに延在する外面部を有している。このとき、接着剤塗布がカッターブロックの傾斜した外面部において切断前に行われるため、切断時にはすでに接着剤が塗布された化粧板が準備される。
【0027】
プレス後の重複領域の除去は、調整された化粧板研削盤において、場合によってはエンドレスベルトとして接合方向にい対して直角になされる。最後に、エンドレスの化粧板連結体は、所定の大きさに切断される。
【0028】
このように製造された所定のフォーマットに切断された化粧板連結体は通常の化粧板プレス機において桁材に接着されるが、このとき、プレスクッションは不要である。また、接着は、くさび状の接合領域において上方からなされ、この領域は、次に行われる桁材プレートの研削時に除去される。そのため、その下に位置する接合部は、桁材プレートまで閉鎖されている。
【0029】
また、くさび状の領域を桁材に対して向くように配置することもできる。この場合、表面部をわずかに研削する必要がある。また、その下に位置するくさび状の領域はカバーされたままとなる。また、木材が明るい色の種類である場合には、場合によっては接合領域が暗くみえることがある。このような場合には、一般に知られているように、接合領域が視認できないよう木材の色に合わせた着色料が用いられた明るい色の接着剤を用いればよい。
【0030】
重ね合わすべき化粧板エッジ部を傾斜させかつ別々に接着剤を塗布するのを、重ね合わされた化粧板の桁材への直接の接着時及びこれと同時の接合領域のプレス時に行うことも可能である。こうすることでより深い位置まで密に接着剤を塗布することができ、接着剤が透けてみえるのを防止することができる。
【0031】
また、本発明による化粧板連結体の桁材への接着に代えて、複数の化粧板連結体を互いに接着することも考えられる。こうすることで、層状の板又は合板を形成することができる。
【0032】
単独での化粧板の互いの接着により、化粧板の接合とその桁材への接着を時間的及び/又は位置的に互いに分離して行うことが可能であるとともに化粧張りするために通常行われる化粧板のプレスに強固なプレスプレートを使用することができるという利点が得られる。
【0033】
化粧板をその加工において通常であるわずかな水分含有率(約12%)で加工することができるが、この化粧板を、化粧板製造直後に切断又は研磨によって得られるような高い水分含有率(100%まで)か、又はこれらの間に位置する水分含有率で本発明により加工することもできる。
【0034】
乾燥した化粧板をプレスする場合には、所定の木材の種類において、その木材の構造に起因して乾燥中に大きな波状部や凹凸が生じることがあり、このような波状部や凹凸は、プレス時に破壊に至ったり亀裂の原因となってしまう。また、単に接合された波状の化粧板の研削でも大きな問題が生じてしまう。このような波状部及び凹凸は、高い水分含有率においてはまだ生じないため、高い水分含有率において化粧板を加工する本発明により、このような問題を解消することができる。
【0035】
また、重複領域と全面を同時に桁材へプレスする際に、化粧板の水分の一部は桁材から得られ、一部はプレス機を開放することにより外部へ排出される。そのため、結果的にはこれら水分量(得られるものと排出されるもの)は相殺される。このとき、水分量に応じて適当な接着剤を選択する必要があるとともに、プレス時間も適当に設定する必要がある。これについては、水分を多く含む木材の接着用に調整されたポリウレタン接着剤が特に適している。
【0036】
水分を多く含む化粧板を本発明により接合し、次にこの化粧板を研削盤において調整する必要がある場合には、プレス後に水分の一部を、適当なカバー、飽和水蒸気及び/又は迅速な水分供給により維持する必要がある。そして、研削加工後に所望の最終的な水分含有量まで乾燥される。これにより、化粧板連結体の桁材へのプレス時間を短縮することが可能である。また、水分を多く含む化粧板の加工において、今日通常行われているような高価でエネルギーを浪費する化粧板を乾燥させるプロセスが不要である。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、従来技術の欠点を除去し、安価に製造可能で単層構造又は多層構造の接合された化粧板連結体と、該化粧板連結体の製造方法、加工方法及び使用方法と、この化粧板連結体の製造方法を実施する装置とを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図01】本発明の第1実施例を示す図である。
【図02】本発明の第1実施例を示す図である。
【図02a】本発明の第1実施例を示す図である。
【図03】本発明の第2実施例を示す図である。
【図04】本発明の第2実施例を示す図である。
【図05.1】本発明の第3実施例を示す図である。
【図05.2】本発明の第3実施例を示す図である。
【図05.3】本発明の第3実施例を示す図である。
【図05.4】本発明の第3実施例を示す図である。
【図06】本発明の第3実施例を示す図である。
【図07】本発明の第4実施例を示す図である。
【図08】本発明の第4実施例を示す図である。
【図09】本発明の第7実施例を示す図である。
【図10】本発明の第8実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0040】
本発明の第1実施例を図01、図02及び図02aに基づいて説明する。
【0041】
明るい色で着色された尿素ホルムアルデヒド樹脂接着剤又はこれに類似の接着剤を備えた19mmの厚さの桁材6としての木製パーティクルボードが、その両側において、8%の木材含水率を有する、厚さ0.55mm、幅150mm、長さ2400mmのマホガニー製の化粧板によって被覆されている。ここで、各化粧板1は、それぞれ隣接するものとその長手方向エッジ部1lにおいて重なり合っている(重複領域)。そして、このように形成されたパーティクルボードは、油圧プレス機へ導入される。ここで、この油圧プレス機において180℃に加熱されたプレス板9は、厚さ2mmのポリプロピレン製の可塑性素地11及び厚さ2mmのシリコンゴム製のソフトなマット10から成るプレスクッションによって被覆されている。
【0042】
特有のプレス圧である0.6N/mm2の圧力でプレス機を閉鎖する際には、プレスクッションが、重なり合った箇所を有する表面輪郭に従うとともに、設定されたプレス圧を全ての面領域へ均等に伝達する。このとき、重複領域7において下側に配置された化粧板1の長手方向エッジ部1lは、その上に配置された化粧板1によって包囲されるとともに圧縮される。
【0043】
そして、化粧板部分の上部領域にあっては密な接合部5、化粧板部分の下部領域にあっては接着剤が充填されたくさび状の接合部4が形成されることになる。また、化粧張りした面から約0.5mほど突出した重複領域7は、特殊な研削盤において研削(研磨)される。この研削盤は、化粧板の幅方向面に接触し、この幅方向面と面一となるよう重複領域7のみを研削するものとなっている。そして、化粧板全体の一般的な研磨がなされ、製造工程を経た後、化粧板が被着され、かつ、閉じた接合部を有するプレート(図02a参照)が形成される。ただし、今日においては、多大な製造コストがかかってしまう。
【実施例2】
【0044】
本発明の第2実施例を図03及び図04に基づいて説明する。
【0045】
500mm×650mmのサイズで厚さ25mmの中密度繊維材が図3に示すような周回状の形状を有しており、これは、例えばドアパネルにおいて一般的である。このような桁材6としての板材には、家具製造において一般に知られた尿素ホルムアルデヒド樹脂接着剤又はこれに類似の接着剤が塗布されるとともに、続いて、厚さ0.55mm、幅約70mm、水分含有率10%のオーク材の化粧板で被覆される。このとき、互いに隣接する各化粧板1は、互いに5〜15mmほど重なり合っている(重複領域)。また、各化粧板1は、三次元的(空間的)に形成されたエッジ部12近傍に重複領域が位置するよう配置されている。
【0046】
このように形成された板材は、油圧プレス機へ挿入される。ここで、この油圧プレス機において190℃に加熱された上側プレス板は、繊維板材10の形状に対応した形状となっているとともに、厚さ3mmの層状ポリエチレン及び厚さ3mmのソフトなシリコンゴムマットで構成されたプレスクッションによって被覆されている。また、エッジ部はその形状に対応した板材によって補強されており、この板材は、鋭いエッジ部の確実な絞りを保証するものとなっている。
【0047】
特有のプレス圧である1.2N/mm2の圧力でプレス機を閉鎖する際には、プレスクッションが、重なり合った箇所を有する表面輪郭に従うとともに、設定されたプレス圧を全ての面領域へ均等に伝達する。このとき、重複領域7において下側に配置された化粧板1の長手方向エッジ部1lは、第1実施例の場合と同様に、その上に配置された化粧板1によって包囲されるとともに圧縮される。
【0048】
また、エッジ部12においては、化粧板は、プレス機の閉鎖中に互いにくさび状にずれ、三次元的な変形時における極端な応力の大部分を回避することが可能である。そのため、亀裂が生じる危険性を最小化されることになる。つづいて、板材は表面研磨され、重複部分が除去されるとともに、表面が滑面とされる。そして、完成品は大量生産されるドアの鏡板であり、その輪郭深さは、このような鏡板の従来の化粧板部分の輪郭深さよりも深くなっている。
【実施例3】
【0049】
本発明の第3実施例を図05及び図06に基づいて説明する。
【0050】
厚さ0.53mm、長さ2.5m、幅400mmの乾燥されたシラカバ製の化粧板は、25mmの高さの化粧板群14内でその長手方向エッジ部において化粧板群カッターにより垂直に切断され、化粧板群を曲げ装置15によって曲げることにより斜めに扇状に広げられ、この傾斜した面において平坦にフライス加工され、接着剤塗布ローラ18によって尿素ホルムアルデヒド樹脂接着剤又はこれと類似の効果を有する接着剤を塗布され、さらに、逆側へ曲げることで初期位置へともたらされる。これにより、それぞれ傾斜し、接着剤が塗布され、互いの間で乾いて付着し、接着剤を塗布された隣接するエッジ部により離間した、傾斜エッジ部8を備えた化粧板1が得られる。
【0051】
これら化粧板1は、場合により短時間寝かせられた後、重ねられてエンドレスの化粧板連結体とされる。このとき、接着剤が塗布された傾斜エッジ部8は、それぞれ約10〜30mmの幅の重複領域7をもって配置されている。そして、化粧板連結体は、周期的に動作しつつ動作方向に1.5mの長さを有するプレス機へと搬送ベルトによって搬送される。ここで、プレス機の下部の120℃に加熱されたプレス板9uは固定されて形成されているとともに、プレス機の上部のプレス板9оは、実施例1に基づくプレスクッション(10,11)を備えている。そして、実施例1と同様のパラメータを有するプレス時には、重複領域7が接着剤を塗布された傾斜エッジ部8の大部分に追従し、それぞれ両方の化粧板1が互いに結合される。
【0052】
このように形成されたエンドレスの化粧板連結体は、プレス機の出口において全長400mで巻回されるとともに寝かされ、その後、エンドレスの化粧板連結体として、重複領域において、従来公知のサイジング研削盤内で木材の繊維方向に対して直角に0.5mの厚さに研削され、最後に、化粧板カッターにより1.25mのフォーマットに切断される。このように形成されたいわゆる化粧板固定素地は、従来技術に基づき、明るい色に着色された接着剤によりパーティクルボードに貼着され、再度非常に平坦に研磨される。このような、化粧板を貼着されたパーティクルボードは、万能に使用することが可能である。
【実施例4】
【0053】
本発明の第4実施例を図07及び図08に基づいて説明する。
【0054】
ブナ製のカッターブロック22は、化粧板カッター26が後にブロック内に食い込む箇所である傾斜面部23において滑面に研磨されるとともに、熱線24によって短時間加熱されその上にメラミン樹脂接着剤25を塗布される。このような加熱によって80%の水分を含むブロックの表面が乾燥されるため、接着剤の塗布及び乾燥による迅速な付着が可能である。その後、カッターブロック22から化粧板が測り分けられ、この化粧板の長手方向エッジ部1lは、すでに傾斜した接着剤塗布面である傾斜エッジ部8を備えている。これら化粧板は第3実施例において示したように互いに接着され、固定されたプレス板9は、パーティクルボードの加工において通常行われるような、目のつんだいわゆる屈曲フィルタ29によって被覆されている。このようなフィルタにより、水分を含む化粧板のプレス工程中に生じる水蒸気30を部分的に外部へ排出することが可能である。これにより、化粧板は、プレス工程中に20%の水分を含むまでに乾燥される。
【0055】
なお、プレスされた化粧板連結体の他の加工は、変更された水分含有率を除き、第3実施例に対応している。また、特にブナにおいて生じる乾燥後の反り(波状の変形)は、水分含有率20%ではまだ顕著ではないため、研削盤による加工は、亀裂による損傷なく可能である。さらに、研磨中及び搬送中にも約4%の水分が化粧板から放出され、この化粧板は、約16%の水分含有率をもってパーティクルボードの両側において貼着される。高められた木材における水分含有率により、化粧板連結体のパーティクルボードに対するプレス時に、この化粧板連結体における亀裂や割れの発生を抑制することが可能である。さらに、化粧板の曲りが少ないため、より多くの生産をすることができる。
【実施例5】
【0056】
実施例1と同様に化粧張りされたパーティクルボードが製造されるが、約80%の水分含有率を有する乾燥されていないブナ材の化粧板が用いられる。このような水分を多く含む化粧板の接着には、80℃のプレス温度において二成分型ポリウレタン接着剤が使用される。木材に含まれる水分は、プレス中に部分的にパーティクルボードへ移動するとともに、プレス機を開放する際に部分的に高温側の化粧板から外部へ直接放出される。第1実施例に対する利点は、乾燥と、反りにより生じる亀裂の抑制とを分離した工程を省略することができる点である。
【実施例6】
【0057】
厚さ1.5mmのオーク材の化粧板連結体が第4実施例において記載したように製造され、その片側は厚さ10mmの中密度繊維材に接着されるとともに仕上げ加工される。一方、反対側においては、従来接合される1.5mmの厚さのブナ材の化粧板が従来のプレス板によって貼着されている。このように形成された化粧張りされた板材は、寄木張りの床の部材として使用される。
【実施例7】
【0058】
本発明の第7実施例を図09に基づいて説明する。
【0059】
化粧張りされた板材は第1実施例に基づいて製造されるが、化粧板は、長さ2400mmの長手方向エッジ部1lのみならず、短い化粧板部分の生産量に応じて、幅150mの横方向エッジ部1qも重なり合うよう配置される。下側に位置する横方向エッジ部1qは、フィンガ状の打抜工具によりジグザグ状に仕上げられる(31)。また、化粧板をプレスする際には、ジグザグ状の輪郭部のプレスクッションが長手方向エッジ部1lに追従するため、全ての接合部が密にプレスされる。例えば節目などの木材の欠陥は、縁部において鋭く突き出た回転式の打抜工具により打ち抜かれた後、打抜部32を覆う化粧部材33によって被覆される。また、プレス時には、この縁部もプレスされる。他の板材の加工については、第1実施例に対応している。
【0060】
本実施例の利点は、不要となった残りの材料を利用することができる点にある。部分的に限定された木材の欠陥を打ち抜くことで、大きなサイズの化粧板全体を、その大きさを小さいフォーマットに分割することなく、加工することが可能である。
【実施例8】
【0061】
本発明の第8実施例を図10に基づいて説明する。
【0062】
第3実施例により製造された化粧板連結体は、第1実施例において記載したプレスクッションによってPVAc接着剤(ポリ酢酸ビニル樹脂溶液系接着剤)により被覆された中密度繊維材から成る支持部材に接着されている。この支持部材は、深さ1.5mmの装飾的な切削箇所と、その他の箇所には合成樹脂繊維から成る厚さ1mmの装飾的な台とを有している。また、プレスクッションは、支持部材の凹部34及び突出部35に追従するとともに、全ての領域において輪郭に中実に、かつ、均一なプレス圧で化粧板連結体36を押圧するものとなっている。このようにして、装飾的な家具部分が形成される。
【実施例9】
【0063】
第1実施例と同様に、厚さ19mmの木製パーティクルボードには、重ねあわされて配置された厚さ0.6mm、長さ700mm、幅100mmのオーク材の化粧板が貼着されている。ここで、重複領域の幅は均一に15mmとなっている。また、化粧板の長手方向エッジ部は、垂直に切断されている。ただし、ここでは、第1実施例とは異なり、重複領域は研削されず、扇状の領域が高さ調整可能な研磨工具により研磨されるのみとなっている。このように形成された表面形状は、張出し部材に対する、装飾的で方向が強調された面として利用される。
【符号の説明】
【0064】
1 化粧板
1l 長手方向エッジ部
1q 横方向エッジ部
2 移行領域
3 視認可能な表面部
4 くさび状接合部
5 密な接合部
6 桁材
7 重複領域
8 傾斜エッジ部(接着剤塗布面)
9 プレス板
9u プレス板
9о プレス板
10 マット
11 可塑性素地
12 エッジ部
14 化粧板群
15 曲げ装置
16 化粧板における傾斜端部
17 フライス盤
18 接着剤塗布ローラ
19 初期位置
22 カッターブロック
23 傾斜面部
24 熱線
25 メラミン樹脂接着剤
26 化粧板カッター
29 フレキシブルフィルタ
30 水蒸気
31 仕上げ形状
32 打抜部
33 化粧部材
34 凹部
35 突出部
36 化粧板連結体
【図01】

【図02】

【図02a】

【図03】

【図04】

【図05.1】

【図05.2】

【図05.3】

【図05.4】

【図06】

【図07】

【図08】

【図09】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均厚さが0.2〜2.5mmの複数の化粧板(1)から成る化粧板連結体であって、隣接する前記各化粧板(1)は、その移行領域(2)内で、視認可能な表面部(3)において重ね合わせられるとともに、前記各化粧板の下方に位置する領域内において、断面がくさび状の接合部(4)が形成され、かつ、接着剤によって互いに結合されていることを特徴とする化粧板連結体。
【請求項2】
前記接着剤を、硬化性樹脂、特に尿素ホルムアルデヒド樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤、PVAc接着剤又はPUR接着剤としたことを特徴とする請求項1記載の化粧板連結体。
【請求項3】
下側に位置する前記各化粧板(1)の横方向エッジ部(1q)を、特にジグザグ状の経路又は凹部を有する切れ目を備えるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の化粧板連結体。
【請求項4】
前記化粧板(1)の長手方向エッジ部(1l)及び/又は前記横方向エッジ部(1q)を、斜めに切断するか、又は斜角面を有するよう構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の化粧板連結体。
【請求項5】
閉じた化粧板連結体の製造方法であって、前記長手方向エッジ部(1l)及び/又は前記横方向エッジ部(1q)において接着された前記各化粧板(1)を、互いにうろこ状に重なり合うよう配置し、圧力のもとにプレスし、視認可能な表面部(3)においてフライス切削及び/又は研磨を行うことを特徴とする製造方法。
【請求項6】
多層構造の閉じた化粧板連結体の請求項5に記載の製造方法であって、複数の前記閉じた化粧板連結体を、重ね合わせて接着剤及びプレスにより結合することを特徴とする製造方法。
【請求項7】
前記化粧板連結体の配置及び適応を、桁材(6)上において圧力下及び20〜150℃のプレス温度において行うことを特徴とする請求項5又は6記載の製造方法。
【請求項8】
単層構造の閉じた化粧板連結体の請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法であって、前記横方向エッジ部(1q)又は開口部(32)を、打抜工具で打ち抜き、その後、化粧部材(33)で覆い、プレスすることによって、前記化粧板における欠陥領域を除去することを特徴とする製造方法。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれかに記載の製造方法を実施するための装置において、
前記桁材(6)での前記化粧板連結体の配置及び適応を、ソフトで伸縮性を有するマット(10)と、その後方に位置し、可塑性が調整可能なプレス温度において得られる可塑性素地(11)とから成るプレスクッションにより行うよう構成したことを特徴とする装置。
【請求項10】
全ての種類の家具、ドア、壁面パネル、内部張出要素、寄木張りの床要素、車両組込部材又はケーシングの製造のための化粧張りされた部材の加工に対する請求項1〜9のいずれかに記載の化粧板の使用方法。

【図10】
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【公表番号】特表2013−515626(P2013−515626A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545326(P2012−545326)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070508
【国際公開番号】WO2011/076855
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512164735)パダナ・アクチエンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】