説明

接着剤ブレンド、物品および方法

光学的に透明である相溶化ブレンドを形成する感圧接着剤、高Tgポリマーおよび架橋剤の混合物を含有する接着剤組成物が記載されている。前記接着剤組成物を用いる方法および前記接着剤を用いて調製された光学エレメントなどの多層アセンブリも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着剤組成物に関する。詳しくは、本発明は、感圧接着剤組成物、こうした感圧接着剤を用いる方法および光学製品などの接着剤を用いて調製された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤はかなりの商業的用途を有する。様々な接着剤が、種々のポリマー、例えば、アクリレート、(メタ)アクリレート、エポキシ、架橋剤、熱硬化性ポリマーおよびカチオン硬化性ポリマー、および感熱性開始剤または放射線感受性開始剤を含む原料の無数の組み合わせから調製されてきた一方で、こうしたすべての組成物が、透明性および安定性が要求される特に光学用途で用いるために適するとはかぎらない。光学用途のために有用な接着剤は光学的に透明であるのがよく、接着剤が中で用いられている製品の寿命にわたって前記透明性を維持するのもよい。接着剤は光学エレメントの製造中およびこうしたエレメントの使用中に存在する条件に実質的な量の透明性を失わずに耐えるべきである。この特性は、接着剤がそれ自体で安定であり、そして光学エレメントまたは光学製品中の他のエレメントと一緒に用いられる時にも安定で適合性であることを含む。
【0003】
光学エレメントは接着剤によって互いに接着された部品を含む。接着剤は、例えば、ポリエステルなどの高分子材料に材料を接着させるため、硬質ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートまたはガラスなどの硬質材料に材料を接着させるため、偏光子層に材料を接着させるためなどに用いられる。
【0004】
多くの場合、光学エレメントのこれらの部品のどれもが安定性、透明性、接着強度または同じ光学エレメント中の接着剤の他の性能特性に悪影響を及ぼしうる。例えば、ポリカーボネートは、熱および湿度などの環境条件の変化に応答してガスを放出することが知られており、よってポリカーボネートと光学エレメントのもう1つの層との間の接着層で泡立ちまたは部分離層あるいは完全離層を生じさせる。泡立ちおよび離層は、ガス放出層が低い蒸気透過率を示すもう1つの層または積層物に接着される時に特に一般的でありうる。泡立ちおよび離層は、光学エレメントの透明性および一体性に影響を及ぼす可能性があり、回避されるべきである。従って、使用中に接着剤が安定であり、離層せず、泡立ちせず、透明性も一体性も失わないことが、これらの背景および他の背景において好ましい可能性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、大部分の感圧接着剤、高いガラス転移温度(Tg)を有するポリマーおよび架橋剤を含む接着剤組成物に関する。組成物の例証的な実施形態は、有用な光学透過率を有することが可能であり、例えば光学的に透明であることが可能であり、有効製品寿命の期間にわたって実質的に光学的に透明なままであることが可能である。
【0006】
本発明の態様は接着剤組成物に関する。接着剤組成物は、感圧接着剤を構成する酸官能基または塩基官能基のいずれかを有する少なくとも1種のポリマー、酸官能基または塩基官能基を有する100,000を上回る重量平均分子量を有する高Tgポリマーおよび架橋剤を含み、ここで、前記感圧接着剤および前記高Tgポリマー上の官能基は、相溶化ブレンドを形成する酸−塩基相互作用を引き起こす。80℃および相対湿度90%で約500時間にわたりオーブン内で促進老化後、接着剤混合物は半透明または光学的に透明である。
【0007】
別の実施形態において、接着剤組成物は、酸官能基を有する少なくとも1種のポリマーを含む大部分の感圧接着剤成分、アミド基によって付与された塩基官能基を含む高Tgポリマーおよび架橋剤を含む。ここで、前記感圧接着剤成分の官能基および前記高Tgポリマーの官能基は、混合された時に酸−塩基相互作用を形成し、感圧接着剤成分はアルコキシ(メタ)アクリレートを含まない。
【0008】
もう1つの実施形態において、接着剤組成物は、塩基官能基を有する少なくとも1種のポリマーを含む大部分の感圧接着剤成分、酸官能基を含む高Tgポリマーおよび架橋剤を含む。ここで、感圧接着剤の官能基および高Tgポリマーの官能基は、混合された時に酸−塩基相互作用を形成する。
【0009】
本発明は、例えば剥離ライナーまたは光学フィルムなどの基材上に接着剤を被覆することによる接着剤を用いる方法に更に関連する。本発明方法の追加の工程は、剥離ライナー上に接着剤を置く工程、接着剤中の任意の溶媒の任意の乾燥または重合工程、あるいは接着剤を用いる光学エレメントの調製において知られている他の工程、技術または方法を含んでもよい。
【0010】
本発明のもう1つの態様は、光学的に透明な接着剤組成物を含む多層アセンブリに関し、このアセンブリは接着剤組成物に接着された低水蒸気移動層および/またはガス放出層を任意に含む。
【0011】
本発明のもう1つの態様は多層物品を調製する方法に関する。この方法は、感圧接着剤を構成する酸官能基または塩基官能基のいずれかを有する少なくとも1種のポリマー、酸官能基または塩基官能基を有する100,000を上回る重量平均分子量を有する高Tgポリマーおよび架橋剤を含む接着剤組成物を基材上に被覆する工程、接着剤組成物混合物を任意に乾燥させて任意の溶媒を除去する工程および被覆接着剤組成物をもう1つの基材上に積層する工程を含み、ここで、感圧接着剤および高Tgポリマー上の官能基は相溶化ブレンドを形成する酸−塩基相互作用を引き起こす。
【0012】
すべての図面は一定の率で縮尺して描かれているとはかぎらない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、大部分の感圧接着剤成分、高Tgポリマーおよび架橋剤を含む特定の相溶化組成物を考慮している。本明細書で用いられる「相溶化」という用語は、接着剤組成物を構成する材料が安定な多相モルホロジーを形成することを意味する。ここで、前記相は、材料のガラス転移温度(Tg)またはTgより上の温度で老化すると著しく凝集しない、および/またはサイズが増加しない。本明細書で用いられる高Tgポリマーは、感圧接着剤を形成するために用いられるポリマーより高いガラス転移温度、例えば典型的には20℃を上回る温度を有するポリマーを意味する。
【0014】
感圧接着剤(PSA)は、(1)攻撃的且つ永久の粘着性、(2)指圧以下で接着、(3)被着物上に保持するのに十分な能力、(4)被着物からきれいに除去されるのに十分な凝集強度を含む特性を有することが当業者に周知されている。PSAとしてよく機能することが判明している材料には、粘着性、引き剥がし粘着力および剪断保持力の所望のバランスをもたらす必要な粘弾性特性を示すように設計され配合されたポリマーが挙げられる。PSAは本発明による好ましい接着剤ブレンドの一例である。本発明のPSA成分と高Tgポリマーの混合物から形成された相溶化ブレンドも任意に感圧接着剤組成物である。あるいは、接着剤組成物は積層用(熱活性化)接着剤であることが可能である。
【0015】
「ポリマー」は、同じであっても、または同じでなくてもよい少なくとも5個の反復モノマー単位を有する高分子材料を意味する。本明細書で用いられるポリマーという用語はホモポリマーおよびコポリマーを包含する。
【0016】
PSA成分および高Tgポリマーは相溶化機構を用いて相溶化される。本明細書で用いられる「相溶化機構」という用語は、PSA成分および高Tgポリマーをそれらの界面相互反応の修正のゆえに互いに相溶性であるようにする方法を意味する。相溶化機構は、PSA成分および高Tgポリマー中の少なくとも1種のポリマーを2種の材料間に酸−塩基相互作用が存在するような方法で官能化することを含む。本明細書で記載されたポリマー間に存在する酸−塩基相互作用は、ルイス酸−塩基型相互作用として表現することが可能である。ルイス酸−塩基型相互作用は、1方の化学成分が電子受容体(酸)であり、他方の化学成分が電子供与体(塩基)であることを必要とする。電子供与体は非共有電子対を提供し、電子受容体は追加の非共有電子対を収容できる軌道システムを提供する。以下の一般式はルイス酸−塩基相互作用を表現している。
A(酸)+:B(塩基)→A:B(酸−塩基錯体)
PSA中のポリマーと高Tgポリマーとの間の酸−塩基相互作用はそれらの界面張力を低下させ、よって分散相粒子サイズの減少および多相モルホロジーの安定化につながる。こうした材料間の界面張力は高Tgポリマーのドメインサイズを減少させる。幾つかの実施形態、特に光学用途の実施形態において、感圧接着剤内に分散させた高Tgポリマーのドメインサイズは光学的透明性をもたらすために光の波長未満である。幾つかの実施形態において、高Tgポリマーのドメインサイズは50ナノメートル未満である。
【0017】
相溶化機構は、それぞれのポリマー上の特定の官能基と無関係である。すなわち、PSA成分または高Tgポリマーのいずれかは、酸官能基または塩基官能基を含むことが可能である。例えば、PSA成分中の酸官能化ポリマーは塩基官能化高Tgポリマーと対になることが可能である。あるいは、PSA成分の塩基官能化ポリマーは酸官能化高Tgポリマーと対になることが可能である。
【0018】
アクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマーは、まとめて本明細書で「(メタ)アクリレート」モノマーと呼ぶ。(メタ)アクリレートポリマーは、他の非(メタ)アクリレートモノマー、例えばビニル不飽和モノマーと任意に組み合わせたコポリマーであってもよい。こうしたポリマーおよびモノマーは、モノマーおよびポリマーを調製する方法がそうであるようにポリマー技術および接着剤技術上周知されている。当業者は、接着剤特性を付与するためにこうしたポリマーが有用でありうることを理解し認め、本明細書に記載されたように接着剤を提供する際のこうしたポリマー使用を理解するであろう。
【0019】
本発明において用いられる「酸性コポリマー」は、少なくとも1種の酸性モノマーおよび少なくとも1種の共重合性非酸性モノマー(すなわち、塩基で滴定できないモノマー)から誘導されるポリマーである。一実施形態において、少なくとも1種の共重合性モノマーはアルキル(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリレートモノマーである。酸性コポリマーは、得られるコポリマーが塩基でなお滴定できるかぎり、ビニルモノマーおよび塩基性モノマーなどの他の共重合性モノマーから任意に誘導してもよい。従って、通常は、塩基性モノマーより酸性のモノマーが酸性コポリマーを調製するために用いられる。
【0020】
「塩基性コポリマー」は、少なくとも1種の塩基性モノマーおよび少なくとも1種の共重合性非塩基性モノマー(すなわち、酸で滴定できないモノマー)から誘導されるポリマーである。他のモノマー(例えば、酸性モノマー、ビニルモノマーおよび(メタ)アクリレートモノマー)は、塩基性コポリマーが塩基度を保持する(すなわち、酸でなお滴定できる)かぎり、塩基性モノマーと共重合することが可能である。一実施形態において、少なくとも1種の共重合性ポリマーはアルキル(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリレートモノマーである。
【0021】
光学的に透明である本発明の接着剤組成物は、種々の有用な製品、特に光学エレメントおよび光学製品などの光学的透過性の接着剤の恩恵を受ける製品を製造するために用いることが可能である。光学エレメントは、高分子、ガラス、金属化ポリマーあるいは本接着剤またはもう1種の接着剤、例えば、もう1種の感圧接着剤または構造接着剤のいずれか1種以上であることが可能である異なる基材材料の多くの層を典型的に含む。これらの材料のいずれか1種以上は、軟質、硬質、反射性、反射防止性、偏光性であってもよく、典型的には、光学エレメントの部品として機能するのに十分に光学的に透過性である。
【0022】
光学製品中で用いられる幾つかの材料は、光学製品内で逆効果をもたらしうる特定の物理的特性または化学的特性を有してもよい。例として、幾つかの材料はガスを放出する場合があり、ガス放出が接着剤および粘着力に影響を及ぼすなら接着層を損なう。幾つかの材料は水蒸気を透過する能力が低い場合があり、関与する接着剤に及ぼすガス放出層の影響をおそらく悪化させる。本明細書に記載された接着剤はガス放出および低水蒸気移動などの組み合わせ作用に耐えるように光学的に透過性であることが可能であるので有用でありうる。
【0023】
従って、本発明は、あらゆる用途、特に光学製品または光学エレメント内の用途、および特に光学的に透過性の接着剤または透明の接着剤が有用であるか、必要であるか、または望まれる材料を接着させる用途のための記載接着剤の使用を含む。本発明は、ガスを放出する傾向がある材料であって、こうしたガス放出がガス放出材料ともう1種の材料との間の接着層の一体性を損なう傾向がある材料を接着させるために特に有用である。なおより詳しくは、本発明は、低水蒸気移動速度を有する材料にガス放出材料を接着させることを考慮している。
【0024】
感圧接着剤成分
本発明の接着剤組成物の感圧接着剤成分は酸性コポリマーまたは塩基性コポリマーのいずれかを含む。PSA成分が酸性コポリマーを含む時、用いられる酸性モノマー対共重合性非酸性モノマーの比は、得られる接着剤の所望の特性に応じて異なる。接着剤の特性は、PSA成分、高Tgポリマーおよび架橋剤の相溶化ブレンド中の酸性コポリマーの量を変えることにより調節することも可能である。
【0025】
一般に、酸性コポリマーを調製する際に用いられる酸性モノマーの割合が増加するにつれて、得られる接着剤の凝集強度は増加する。酸性モノマーの割合は、本発明のブレンド中に存在する酸性コポリマーの割合に応じて通常調節される。
【0026】
感圧接着剤特性を達成するために、対応するコポリマーは、約0℃未満の結果としてのガラス転移温度(Tg)を有するように調整することが可能である。特に好ましい感圧接着剤コポリマーは(メタ)アクリレートコポリマーである。こうしたコポリマーは、ホモポリマーとして約0℃未満のTgを有する少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートモノマー、典型的には約40質量%〜約98質量%、好ましくは少なくとも70質量%、より好ましくは少なくとも85質量%、最も好ましくは約90質量%を含むモノマーから誘導される。
【0027】
こうしたアルキル(メタ)アクリレートモノマーの例は、アルキル基が約4個〜約12個の炭素原子を含むモノマーであり、こうしたモノマーには、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレートおよびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。得られる(メタ)アクリレートコポリマーのTgが約0℃未満であるかぎり、任意に、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、酢酸ビニルおよびスチレンなどのホモポリマーとして0℃を上回るTgを有する他のビニルモノマーおよびアルキル(メタ)アクリレートモノマーを低Tgアルキル(メタ)アクリレートモノマーおよび共重合性の塩基性モノマーまたは酸性モノマーの1種以上と合わせて用いてもよい。
【0028】
幾つかの実施形態において、アルコキシ基を含まない(メタ)アクリレートモノマーを用いることが望ましい。
【0029】
感圧接着剤成分として有用な塩基性(メタ)アクリレートコポリマーを用いる時、このコポリマーは、典型的には約2質量%〜約50質量%、好ましくは約5質量%〜約30質量%の共重合性塩基性モノマーを含む塩基性モノマーから誘導される。
【0030】
感圧接着剤成分を形成するために酸性(メタ)アクリレートコポリマーを用いる時、このコポリマーは、典型的には約2質量%〜約30質量%、好ましくは約2質量%〜約15質量%の共重合性酸性モノマーを含む酸性モノマーから誘導される。
【0031】
高Tgポリマー添加剤
本発明の高Tgポリマー添加剤は、感圧接着剤のために選択された官能基に応じて酸性コポリマーまたは塩基性コポリマーのいずれかを含む。例えば、感圧接着剤が酸性コポリマーを含む場合、高Tgポリマー添加剤は相溶化ブレンドを形成するために塩基性コポリマーである。
【0032】
ポリマー添加剤の高Tg特性を達成するために、対応するコポリマーは、約20℃を上回る結果としてのガラス転移温度(Tg)を有するように調整される。幾つかの実施形態において、高Tgポリマー添加剤のTgは40℃、50℃または60℃を上回る。例証的な実施形態において、コポリマーは(メタ)アクリレートコポリマーである。こうしたコポリマーは、ホモポリマーとして約20℃を上回るTgを有する少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートモノマー、典型的には約40質量%〜約98質量%、好ましくは少なくとも70質量%、より好ましくは少なくとも85質量%、最も好ましくは約90質量%を含むモノマーから誘導される。例には、n−ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、酢酸ビニルおよびスチレンなどのホモポリマーとして20℃を上回るTgを有するビニルモノマーおよびアルキル(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
【0033】
n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレートおよびそれらの混合物を含む炭素原子数約4〜約12のアルキル基を有するモノマーなどの0℃未満のTgを有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、得られる(メタ)アクリレートコポリマーのTgが約20℃を上回るかぎり、高Tgアルキル(メタ)アクリレートモノマーおよび共重合性の塩基性モノマーまたは酸性モノマーの1種以上と合わせて用いてもよい。
【0034】
高Tgポリマー添加剤が塩基性コポリマーである時、高Tgポリマー添加剤は典型的には塩基性(メタ)アクリレートコポリマーである。塩基性(メタ)アクリレートコポリマーは、典型的には約2質量%〜約50質量%、好ましくは約5質量%〜約30質量%の共重合性塩基性モノマーを含む塩基性モノマーから誘導される。
【0035】
高Tgポリマー添加剤が酸性コポリマーである時、高Tgポリマー添加剤は典型的には酸性(メタ)アクリレートコポリマーである。酸性(メタ)アクリレートコポリマーは、典型的には約2質量%〜約30質量%、好ましくは約2質量%〜約15質量%の共重合性酸性モノマーを含む酸性モノマーから誘導される。
【0036】
幾つかの実施形態において、高Tgポリマー添加剤のコポリマーは、典型的には100,000を上回る重量平均分子量を有する。より高い分子量の高Tgポリマーは、特に高温および極限条件で相溶化ブレンドの熱安定性を強化するので望ましい。高分子量の高Tgポリマー添加剤を用いるために、高Tg添加剤の他の属性(モノマー選択性など)および相溶化ブレンドの属性(酸−塩基相互作用レベルなど)は相溶性を保持するために変えられる。
【0037】
酸性モノマー
有用な酸性モノマーには、エチレン系不飽和カルボン酸、エチレン系不飽和スルホン酸、エチレン系不飽和ホスホン酸およびそれらの混合物から選択されたモノマーが挙げられるが、それらに限定されない。こうした化合物の例には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、B−カルボキシエチルアクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびビニルホスホン酸など、ならびにそれらの混合物から選択された化合物が挙げられる。
【0038】
本発明の酸性モノマーは、それらの入手可能性のゆえに、典型的にはエチレン系不飽和カルボン酸である。遙かにより強い酸を必要とする時、酸性モノマーには、エチレン系不飽和スルホン酸およびエチレン系不飽和ホスホン酸が挙げられる。スルホン酸およびホスホン酸は、一般に、塩基性ポリマーとのより強い相互作用を提供する。このより強い相互作用は、凝集強度のより大きな改善、ならびに接着剤のより高い温度抵抗および耐溶媒性に導くことが可能である。
【0039】
塩基性モノマー
様々な塩基性モノマーは本発明において有用である。幾つかの実施形態において、塩基性モノマーは、式(I)のモノマーなどの窒素含有モノマーである。
【化1】

式中、
aは0または1であり、
1、R2およびR3は独立してH−およびCH3−または他のアルキル基から選択され、
Xはエステル基またはアミド基から選択され、
Yは、アルキル基、窒素含有芳香族基、次式の基
【化2】

などの窒素含有基である。
式中、
Zは二価連結基(典型的には約1〜5個の炭素原子)であり、
bは0または1であり、
4およびR5は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアレニル基から選択される。
【0040】
上の基中のR4およびR5は複素環を形成してもよい。すべての実施形態において、Y、R1およびR2は、O、S、Nなどのヘテロ原子も含んでよい。式Iが本発明において有用な大部分の塩基性モノマーをまとめている一方で、他の窒素含有モノマーは、塩基性モノマーの定義(すなわち、酸で滴定できる)を満たすなら可能である。
【0041】
例証的な塩基性モノマーには、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMAm)、N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド(DEAPMAm)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート(DEAEA)、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート(DMAPA)、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリレート(DEAPA)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEAm)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド(DMAEMAm)、N,N−ジエチルアミノエチルアクリルアミド(DEAEAm)、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリルアミド(DEAEMAm)、N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテル(DMAEVE)、N,N−ジエチルアミノエチルビニルエーテル(DEAEVE)およびそれらの混合物が挙げられる。他の有用な塩基性モノマーには、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、第三アミノ官能化スチレン(例えば、4−(N,N−ジメチルアミノ)−スチレン(DMAS)、4−(N,N−ジエチルアミノ)−スチレン(DEAS))、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、N−ビニルホロムアミド、(メタ)アクリルアミドおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0042】
高Tgモノマー
高Tgモノマーは、一般に、ホモポリマーとして約20℃を上回るガラス転移温度(Tg)を有するモノエチレン系不飽和モノマーである。好ましくは、高Tgポリマーは、ホモポリマーとして20℃を上回るTgを有するモノエチレン系不飽和モノマーから誘導される。典型的には、高Tgポリマーは、式II(以下)に示したようにアルキル基が約1〜約20個、好ましくは約1〜約18個の炭素原子を含む非第三アルキルアルコールの(メタ)アクリレートエステル、上で定義された酸性モノマーまたは塩基性モノマー、ビニル末端モノマーおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択されるモノエチレン系不飽和モノマーから独立して誘導される。
【0043】
大部分の実施形態において、高Tgポリマーは(メタ)アクリレートから独立して誘導される。但し、特定の配合において、スチレンなどのビニル末端モノマーは同等または優れた結果を示す場合がある。本発明において有用な適するモノマーの例には、t−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ブロモエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルメタクリレート、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0044】
(メタ)アクリレートモノマー
本発明において有用な(メタ)アクリレートコポリマーは、式(II)のモノマーなどの、アルキル基が約1〜約20個、好ましくは約1〜約18個の炭素原子を含む非第三アルキルアルコールの(メタ)アクリレートエステルよりなる群から選択される少なくとも1種の一官能性不飽和モノマーを含む。
【化3】

式中、R1はHまたはCH3であり、後者は(メタ)アクリレートモノマーがメタクリレートモノマーである場合に対応し、R2は直鎖、分岐、芳香族または環式の炭化水素基である。R2が炭化水素基である時、それはヘテロ原子(例えば、酸素または硫黄)を含むことも可能である。R2を選択する時に考慮する基準は、コストおよびコポリマーを接着剤に導入する形態を含む。
【0045】
本発明において有用な適する(メタ)アクリレートモノマーの例には、ベンジルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ヘキサデシルアクリレート、n−ヘキサデシルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、イソトリデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−メチルブチルアクリレート、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、1−メチルシクロヘキシルメタクリレート、2−メチルシクロヘキシルメタクリレート、3−メチルシクロヘキシルメタクリレート、4−メチルシクロヘキシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−テトラデシルアクリレート、n−テトラデシルメタクリレートおよびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0046】
ビニルモノマー
酸性コポリマーおよび塩基性コポリマー中で有用なビニルモノマーを用いる時、こうしたビニルモノマーには、ビニルエステル(例えば酢酸ビニル)、スチレン、置換スチレン(例えばアルファメチルスチレン)、ハロゲン化ビニル、プロピオン酸ビニルおよびそれらの混合物が挙げられる。他の有用なビニルモノマーには、国際公開第84/03837号パンフレットおよび欧州特許出願EP第140941号に記載されているような(メタ)アクリレート−末端スチレンオリゴマーおよび(メタ)アクリレート−末端ポリエーテルなどのマクロメリックな(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0047】
重合方法
本明細書のポリマーは、溶液プロセス、放射線プロセス、塊状プロセス、分散プロセス、乳化プロセスおよび懸濁プロセスを含む従来のいずれかのラジカル重合法によって調製することが可能である。溶液重合の一方法において、モノマーは、適する不活性有機溶媒と合わせてスターラー、温度計、コンデンサ、添加漏斗およびサーモウォッチが装着されている四つ口反応容器に投入される。
【0048】
濃縮された熱ラジカル開始剤溶液は添加漏斗に添加される。その後、全体の反応容器、添加漏斗およびそれらの内容物は窒素でパージして不活性雰囲気をもたらす。一旦パージしてしまうと、容器内の溶液は適切な温度に加熱して、添加されるべきラジカル開始剤を活性化させ、開始剤は添加され、混合物は反応中に攪拌される。98%〜99%の転化率を典型的には約20時間後に得ることが可能である。
【0049】
米国特許第4,619,979号明細書および同第4,843,134号明細書においてコトナー(Kotnour)らによって記載された連続ラジカル重合法などの塊状重合法、米国特許第5,637,646号明細書においてエリス(Ellis)によって記載されたバッチ反応器を用いる本質的に断熱の重合法、米国特許第4,833,179号明細書においてヤング(Young)らによって記載された懸濁重合法および国際公開第97/33945号パンフレットにおいてハーマー(Harmer)らによって記載された包装済みプレ接着剤組成物を重合するために記載された方法もポリマーを調製するために用いてよい。
【0050】
用いてもよい適する熱ラジカル開始剤には、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)などのアゾ化合物、t−ブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド、ならびに過酸化ベンゾイルおよび過酸化シクロヘキサノンなどの過酸化物から選択された開始剤が挙げられるが、それらに限定されない。本発明により有用である光開始剤には、ベンゾインメチルエーテルまたはベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル、アニソールメチルエーテルなどの置換ベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノンおよび2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの置換アセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換アルファケトール、2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリドならびに1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシムから選択された光開始剤が挙げられるが、それらに限定されない。熱誘導重合と放射線誘導重合の両方に関して、開始剤は、モノマーの全質量を基準にして約0.05質量%〜約5.0質量%の量で存在する。
【0051】
無溶媒実施形態が本発明の範囲内で見込まれる一方で、本発明の接着剤組成物を調製する際に溶媒を用いることが好ましい。必要ならば、適する溶媒は、反応に別段に悪影響を及ぼさないように反応物および製品に対して十分に不活性であるいかなる液体であってもよい。こうした溶媒には、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトンおよびそれらの混合物が挙げられる。代表的な溶媒には、アセトン、メチルエチルケトン、ヘプタンおよびトルエンが挙げられる。溶媒を用いるならば、溶媒の量は、反応物(モノマーおよび開始剤)および溶媒の全質量を基準にして一般には約30〜80質量%である。溶媒はブレンディングの前にポリマーから任意に除去される。
【0052】
ポリマーの分子量を制御するために本明細書に記載されたポリマーを重合する時に連鎖移動剤も用いることが可能である。適する連鎖移動剤には、ハロゲン化炭化水素(例えば四臭化炭素)および硫黄化合物(例えば、ラウリルメルカプタン、ブチルメルカプタン、エタンチオールおよび2−メルカプトエーテル)が挙げられる。
【0053】
有用である連鎖移動剤の量は、所望の分子量および連鎖移動剤のタイプに応じて異なる。有機溶媒(例えば、トルエン、イソプロパノールおよび酢酸エチル)も連鎖移動剤として用いることが可能であるが、こうした有機溶媒は、例えば硫黄化合物ほどには一般に活性でない。連鎖移動剤は、モノマーの全質量を基準にして典型的には約0.001部〜約10部、より多くの場合0.01部〜約0.5部、特に約0.02部〜約0.20部の量で用いられる。
【0054】
架橋剤
被覆された接着剤組成物の凝集強度を高めるために、架橋添加剤がブレンドに導入される。2つのタイプの架橋添加剤が一般に用いられる。第1の架橋添加剤は多官能性アジリジンなどの熱架橋添加剤である。一例は1,1’−(1,3−フェニレンジカルボニル)−ビス−(2−メチルアジリジン)(「ビスアミド(Bisamide)」)である。こうした化学架橋剤は、重合後に溶媒系PSAに添加することが可能であり、被覆された接着剤のオーブン乾燥中に熱によって活性化することが可能である。イソシアネート架橋剤およびエポキシ架橋剤も用いることが可能である。
【0055】
もう1つの実施形態において、架橋反応を行うためにラジカルに頼る化学架橋剤を用いてもよい。例えば過酸化物などの試薬はラジカル源として機能する。十分に加熱された時、これらの前駆物質はポリマーの架橋反応を引き起こすラジカルを発生させる。一般的なラジカル発生試薬は過酸化ベンゾイルである。ラジカル発生剤は少量でのみ必要とされるが、一般には架橋反応を完了させるためにビスアミド試薬のために必要とされる温度より高い温度を必要とする。
【0056】
化学架橋剤の第2のタイプは、高強度紫外(UV)線によって活性化される感光性架橋剤である。用いられる一般的な2種の感光性架橋剤は、米国特許第4,737,559号明細書に記載されたようなベンゾフェノンおよび共重合性芳香族ケトンモノマーである。溶液組成物にポスト添加するとともにUV線によって活性化することが可能であるもう1種の光架橋剤は、トリアジン、例えば2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシ−フェニル)−s−トリアジンである。これらの架橋剤は、中圧水銀ランプまたはUVバックライトなどの人工光源から発生させたUV線によって活性化される。
【0057】
メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(ペンシルバニア州タリータウンのゲレスト(Gelest,Inc.(Tullytown,PA))から入手できる)、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリフェノキシシランなどに限定されないが、それらを含むモノエチレン系アリル不飽和モノ−、ジ−およびトリ−アルコキシシラン化合物など加水分解性ラジカル共重合性架橋剤も有用な架橋剤である。多官能性アクリレートは塊状重合または乳化重合のために有用である。有用な多官能性アクリレート架橋剤の例には、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリブタジエンジアクリレート、ポリウレタンジアクリレートおよびプロポキシル化グリセリントリアクリレート、ならびにそれらの混合物などのジアクリレート、トリアクリレートおよびテトラアクリレートが挙げられるが、それらに限定されない。架橋はガンマ線または電子ビーム線などの高エネルギー電磁放射線を用いても達成してよい。
【0058】
架橋剤の量および種類は接着剤組成物の用途に応じて調整される。典型的には、架橋剤は接着剤組成物の全乾燥質量を基準にして5部未満の量で存在する。より特に、架橋剤は接着剤組成物の全乾燥質量を基準にして0.01部〜1部の量で存在する。
【0059】
添加剤
共重合後、経時的な光学的透明性および環境安定性などの所望の特性に悪影響を及ぼさないかぎり、他の添加剤を得られた接着剤ブレンド組成物に添加してもよい。PSAの極限粘着性および剥離特性を最適化するのを助けるために、例えば、相溶性の粘着性付与剤および/または可塑剤を添加してもよい。こうした粘着性調整剤の使用は、ドナタ・サタス(Donata Satas)編、感圧接着剤技術ハンドブック(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology)(1982)に記載されているように技術上一般的である。有用な粘着性付与剤の例には、ロジン、ロジン誘導体、ポリテレペン樹脂およびクマロン−インデン樹脂などが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の接着剤に添加してもよい可塑剤は多様な市販材料から選択してもよい。各場合、添加された可塑剤はPSAと相溶性でなければならない。代表的な可塑剤には、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ジアルキルアジペート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルアジペート、トルエンスルホンアミド、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ポリオキシプロピレンアリールエーテル、ジブトキシエトキシエチルホルマールおよびジブトキシエトキシエチルアジペートが挙げられる。技術上知られているUV安定剤も添加してよい。
【0060】
接着剤組成物は、好ましくは光学的に透過性、例えば光学的に透明性であることが可能である。光学的透明性は光学エレメントを調製する際に接着剤を用いることを可能にする。接着剤は、標準使用条件下で、および促進老化試験によって示されるように、有効期間にわたり光学的透明性、例えば透過率を維持することも可能である。所望の透明性、安定性、接着強度、一体性などのバランスは、接着剤の原料の組み合わせの選択によって接着剤において達成することが可能である。追加の原料は、認められるように透明性、接着強度、一体性、安定性などの特性を均衡させるように選択することが可能である。
【0061】
相溶化接着剤ブレンドの調製
本発明の組成物は、架橋剤および他のあらゆる任意の成分と組み合わせて好ましくは少なくとも光学的に透明で安定な接着剤を意味する接着剤の有用な特性バランスをもたらすいかなる相対量においても接着剤組成物中にPSA成分および高Tgポリマーを含む。
【0062】
PSA成分に関する量は、粘着性または粘着力および他のPSA特性の有用な量を含む感圧接着剤の機能特性を提供するように含まれる。感圧接着剤のこれらの特性および他の特性ならびにこれらの特性を達成するのに必要な量はよく理解されている。
【0063】
高Tgポリマーに関して、所定の用途において十分な安定性および透明性を提供するために、いかなる量も含めることが可能である。好ましくは、一定量の高Tgポリマーは、接着剤または接着剤を導入している製品によって経験される条件下で使用中および経時的に接着剤の光学的透明性を維持するように含めることが可能である。特に、高Tgポリマーのその量は、様々な環境条件下で経時的に離層も泡立ちもしない接着層を提供することが可能である。必要な接着強度は接着される材料に応じて異なるが、高Tgポリマーの好ましい量は、ガス放出材料を低水蒸気移動材料に接着させるために用いられる時、経時的に泡立ちも離層もしない本発明による接着剤を提供することが可能である。
【0064】
概して、PSA成分および高Tgポリマーは、感圧接着剤特性、接着層特性および光学的透明性とこれらの特性の安定性および使用中の経時的な透明性の所望の組み合わせを提供する相対量で接着剤組成物中に含めることが可能である。一般に、他の変数の中で特に化学的な種類および分子量、架橋の量などの要素に応じて、合計のPSA成分および高Tgポリマー100質量部を基準にして約50質量部未満の高Tgポリマーは、許容できる光学的透明性を有する相溶化接着剤組成物を提供することが可能である。模範的実施形態では合計のPSA成分および高Tgポリマー100質量部を基準にして約30質量部未満の量の高Tgポリマーを含有する。低端で十分な接着特性を提供するために有用な高Tgポリマーの量は、高TgポリマーおよびPSAポリマーのタイプなどの要素に応じて異なることが可能であるが、一般に、有用な量は、合計の高TgポリマーおよびPSA成分100質量部を基準にして少なくとも約5質量部からの高Tgポリマーであることが可能である。殆どの実施形態において、2成分の範囲は、高TgポリマーおよびPSA成分100質量部の合計を基準にして約10〜約30質量部の高Tgポリマーであることが可能である。
【0065】
感圧接着剤成分および高Tgポリマー添加剤は、当業者に知られている伝統的な方法によってブレンドすることが可能である。こうした方法には、混合、メカニカルローリング、ホットメルトブレンディングなどが挙げられる。典型的には、感圧接着剤成分および高Tgポリマー添加剤は溶液中で混合される。
【0066】
相溶化接着剤ブレンドの塗布
接着剤組成物は、グラビア塗布、カーテン塗布、スロット塗布、スピン塗布、スクリーン塗布、転写式塗布およびブラシ塗布またはロール塗布などに限定されないが、それらを含む従来のいずれかの塗布方法によって被着させてもよい。典型的には液体の形で被覆される接着剤層の厚さは、用いられる材料の性質および所望の特定の特性に応じてある程度異なるが、こうした特性および特性に対する厚さの関係は技術上よく理解されている。接着剤層の例証的な厚さは、約0.05〜約100マイクロメートルの範囲内であってもよい。
【0067】
例証的な実施形態は溶媒中で接着剤組成物を被覆することを含む。別の実施形態において、コポリマーはホットメルト被覆性であり、引き続き後で架橋される。
【0068】
接着剤組成物は好ましくは光学的に透明である。光学的透明性は、当業者によって認められるように多くの異なる方法で測定することが可能であるが、本開示の目的において、光学的透明性は、目視で観察できるとともにASTM−D1003−95に準拠して任意に測定することが可能である。こうして測定された時、本発明による接着剤は、少なくとも約90%の視感透過率および約2%未満の曇り度を示すことが可能である。
【0069】
接着剤組成物の好ましい特性が、接着剤が存在しないエレメントに比べて多層物品、例えば積層物の視感透過率の一切の損失の一因になることを避けるので、視感透過率が積層物について測定される時、視感透過率は、基準として殆どの透過性基材を用いて記録することが可能である。例えば、ガラス/接着剤/フィルム積層物において、ガラスは基準として用いることが可能であり(すなわち、ガラスを通した透過率を100%透過率として設定することが可能である)、積層物の%透過率はガラス単独の透過率を基準とすることが可能である。
【0070】
例証的な接着剤は、接着剤の有効寿命にわたって有用な光学的透過率を維持することが可能であり、確実な接着強度を維持することも可能であり、有効寿命にわたって多層製品のエレメント間の光学的透明性を維持するために離層または泡立ちに耐えるか、あるいは離層または泡立ちを避ける。こうした安定性および光学的透過率の保持は、任意に1種以上の他の材料に接着させた接着剤のサンプルを一定時間にわたり任意に高い湿度条件と合わせて高温にさらす促進老化試験によって測定することが可能である。本発明の接着剤は、こうした促進老化試験後に光学的透明性を次の通り保持することが可能である。促進老化のためのオーブン内で約500時間にわたり90℃で接着剤組成物を老化させた後、老化させた接着剤は半透明、例えば光学的に透明であり、老化させた接着剤の視感透過率は90%を上回ることが可能であり、老化させた接着剤の曇り度は2%未満であることが可能である。90℃のオーブンの湿度は制御されておらず、内部空間内でオーブンに関して周囲状態であり、90℃での相対湿度は、一般には10または20%より低いことが可能である。
【0071】
例証的な実施形態において、本発明の接着剤組成物は、約500時間にわたる温度および湿度の制御によりオーブン内で80℃および相対湿度90%で接着剤組成物を老化させた後に老化させた接着剤が半透明、例えば光学的に透明であるように光学的透明性を保持することが可能である。更に、老化させた接着剤の視感透過率は90%を上回ることが可能であり、曇り度は2%未満であることが可能である。
【0072】
光学的に透明である接着剤は、様々な光学部品、光学エレメントおよび光学製品の部品を互いに接着させる際に有用であることが可能である。より一般的には、接着剤は、製品のあらゆるタイプを互いに接着させる際に有用であることが可能であり、製品が光学的透過性の接着剤、好ましくは光学的に透明な接着剤を必要とするか、または光学的透過性の接着剤、好ましくは光学的に透明な接着剤の恩恵を受ける場合に特に有用である。
【0073】
光学エレメントは、コンピュータのためのスクリーンまたは他のディスプレイなどの光学的効果または光学用途を有する物品および製品、偏光層、反射層、赤外線反射光学透明層などの選択的反射層などの前記スクリーンの部品、偏光または反射しうる窓のための塗料、他の部分または完全反射性光学透過性製品などを含む。
【0074】
光学エレメントの例には、光学材料の1つ以上の異なる層、典型的には、少なくとも部分的に光学的に透過性、反射性または偏光性または光学的透明である層またはフィルムを互いに接着させるために接着剤が用いられる光学エレメントが挙げられる。光学エレメントは、高分子、ガラス、金属化ポリマーあるいは本接着剤またはもう1種の接着剤、例えば、もう1種の感圧接着剤または構造接着剤のいずれか1種以上であることが可能である多くの異なる基材層を典型的に含む。これらの材料のいずれか1種以上は、軟質、硬質、強度または支持を含む所望の物理的特性も提供することが可能であるか、あるいは反射性、部分反射性、反射防止性、偏光性、異なる波長に対して選択的に透過性または反射性の1つ以上であることが可能であり、典型的には、光学エレメント内で機能するのに十分に光学的に透過性である。こうした層は、高分子、ガラスまたは金属である材料を含む周知された光学材料から、および接着剤の層からも調製することが可能である。これらの材料または層のいずれか1つ以上は、脆弱層、ガス放出層または低水蒸気移動層であってもよい(以下参照)。
【0075】
光学エレメントのための支持体を提供するために含めることが可能である硬質基材の例には、ガラス、またはポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエステルなどの硬質高分子材料が挙げられる。多くの場合、こうした硬質高分子材料は、特に比較的厚い(例えば、ミリメートルまたはセンチメートルの範囲内、より小さい寸法とは対照的に)時、ガス放出の特性を示しうる。これは周知されており、光学製品および光学エレメントにおいて苛立たしい問題である。このガス放出の問題は、ガスが通過することを可能にせず、ガスに対するバリアとして機能する層であって、接着剤界面でガス捕集をもたらし、泡立ちまたは離層、低下した接着強度または透明性の損失を引き起こす層にガス放出層を接着させる場合に悪化しうる。本発明の接着剤は改善された接着強度および安定性を提供し、従って、ガス放出基材を低水蒸気移動層に接着させるために本接着剤を用いる場合でさえ、こうした泡立ちまたは離層を減少させるか、または排除することが可能である。
【0076】
ガス放出基材層の特定の例には、約1〜3ミリメートルからより厚い任意の厚さに至る範囲内の厚さを有するポリカーボネートなどのポリカーボネート、および例えばより厚い任意の厚さに至る最小量で1〜3ミリメートルの厚さを有するポリメチルメタクリレートなどのポリアクリレートが挙げられる。
【0077】
低水蒸気透過率を有することが考えられる材料も知られ、理解されており、こうした材料は、水蒸気に対するバリアとして効果的に機能できる特定の塗料を含んでも、または含まなくてもよい高分子フィルムを含むフィルムの特定の化学成分および構造を含む。特定の光学製品構造において離層、泡立ち、接着強度の損失または透明性の損失を引き起こしうる水蒸気透過率の限界レベルは、ガス放出基材層の組成およびガス放出基材層が生成するガスの量、使用の条件ならびに接着剤の組成および全体的な厚さ、一体性および安定性などの種々の要素に応じて異なることが可能である。
【0078】
他のポリマー材料または高分子材料は、例えば、機械的特性、導電性;および拡散、色などの光学機能を提供するために光学エレメント中で用いてもよい。高分子材料の例には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポリウレタン、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、エチルセルロースなどのプラスチックフィルム、拡散フィルム、金属化高分子フィルムおよびセラミックシート材料、ならびに視角補償フィルムなどの他の光学フィルムが挙げられるが、それらに限定されない。より特定の例には、いずれもが反射性、部分反射性または別段に光学的に有用であることが可能である米国特許第6,277,485号明細書、欄13および14に記載されたような多層AR(反射防止)フィルムおよび米国特許第6,049,419号明細書に記載されたフィルムなどのミクロ層フィルムが挙げられる。
【0079】
本発明は、上述したガス放出基材材料または他のガス放出基材材料のいずれかを低水蒸気移動材料を含む上述した基材材料または他の基材材料のいずれかに接着させて、好ましくは光学的に透過性の多層物品内に光学的に透明で環境上安定な接着層を作り出すために上述した接着剤の使用を考慮している。図1および2で例示されたように本発明により調製された多層光学製品の例証的な実施形態を以下で記載する。これらの実施形態は、あらゆる用途であるが、特に光学的透明性が必要とされる用途のために上述した接着剤を用いる本明細書で記載されたより大きな発明を例示している。
【0080】
図1は、接着剤を用いてガス放出層に接着された低水蒸気透過性フィルムを含む本発明による光学エレメントの実施形態を例示している。図を参照すると、光学エレメント2は、本明細書に記載されたように構成している光学的に透過性の接着剤8を用いて低水蒸気透過性フィルム6に接着されたガス放出層4を含む。ガス放出層4は、硬質ポリカーボネートまたはポリアクリレートなどの上述したような、または別な風な任意のガス放出基材であることが可能であり、低水蒸気透過性フィルムは、上述したような、または別な風な任意のフィルムであることが可能である。ガス放出層4は、厚さ4.4ミリメートルのポリカーボネートまたは厚さ3.0mmのアクリルであってもよく、低水蒸気透過性フィルム6はARフィルムであることが可能である。あるいは、低水蒸気透過性フィルム6は、光学的に透明であるが米国特許第5,360,659号明細書に記載されたような赤外線反射フィルムなどの選択的透過性を有するミクロ層フィルムなどのIRフィルム(すなわち、ソーラー反射フィルムなどの赤外線反射フィルム)であってもよい。
【0081】
図2は本発明による偏光光学エレメントのもう1つの実施形態を例示している。図2は、PET層42、接着剤層44、46および52、偏光層48、PCリターダー層50およびLCDガラス層54を含む偏光光学エレメント40を示している。接着剤層44、46および52の少なくとも1層および任意にすべての層は、本明細書に記載された接着剤組成物であるか、あるいは異なる感圧接着剤または構造接着剤であってもよい。
【0082】
本発明は、例えば、基材層上に接着剤を分配し、多層物品の異なる層などのもう1種の材料に接着剤を任意に接触させることによる接着剤を用いる方法に更に関連する。本発明方法の例証的な工程は、剥離ライナーまたは光学フィルムなどの基材上に接着剤を置く工程、接着剤中の任意の溶媒の任意の乾燥または(メタ)アクリレート成分の重合工程、または接着剤を用いる多層物品の調製において用いることが知られている他の工程、技術または方法を含んでもよい。
【0083】
本明細書で記載された接着剤は、本発明の重要な実施形態において、光学的に透明な部品および光学エレメントを調製するために有用であることが典型的に理解された方法において用いることが可能である。光学エレメントを調製する例証的な方法には、特に、米国特許第5,897,727号明細書、同第5,858,624号明細書および同第6,180,200号明細書において特定された方法が挙げられる。接着剤組成物は、典型的には、一般に有用な方法によって液体感圧接着剤で被覆するか、または被着させる、例えば剥離ライナー上に被覆することが可能である液体の形をとっている。溶媒を用いる場合、溶媒は被覆された接着剤から後で除去することが可能である。有用な次の工程の例は、被覆された接着剤を基材上に典型的には積層によって転写する工程である。
【0084】
例証的な剥離ライナーは周知されており、市販されており、剥離ライナーには、バージニア州マーチンズビルのCPフィルム(CP Film(Martinsville,VA))から入手できるT−30ライナーなどの、シリコーン、フルオロカーボンなどの剥離剤が被覆された紙ライナーおよびフィルムライナーが挙げられる。
【0085】
本発明の幾つかの実施形態において、接着剤保持基材は、次に、接着のためのもう1種の材料に接触させることが可能である。この工程は積層または別な方法によって実行することが可能である。
【実施例】
【0086】
これらの実施例は単に例示目的のためのみであり、添付したクレームの範囲について限定する積もりはない。実施例および本明細書の残りの中のすべての部、百分率、比などは、特に指示がない限り重量による。特に注記がない限り、材料はウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals(Milwaukee,WI))から得た。
【0087】
【表1】

【0088】
ポリマー添加剤1の調製
ガラス反応容器にVAZO−67開始剤(0.3g)、MMA(70g)、BMA(25g)、DMAEMA(5g)および酢酸エチル(150g)を入れた。得られた溶液を窒素で15分にわたり脱気し、容器を密封し、65℃の水浴内で24時間にわたり回転させて、粘性溶液(固形物40質量%)を生じさせた。こうして得られたポリマーは、210,000の重量平均分子量および表1に示した計算Tgを有していた。
【0089】
ポリマー添加剤2の調製
VAZO−67開始剤(1g)を用い、反応を60℃で行い、固形物が30質量%であったことを除き、ポリマー添加剤1の調製と同じ手順および条件を用いた。こうして得られたポリマーは、115,000の重量平均分子量および表1に示した計算Tgを有していた。
【0090】
ポリマー添加剤3の調製
更にイソオクチルチオグリコレート(1g)を添加したことを除き、ポリマー添加剤2の調製と同じ手順および条件を用いた。こうして得られたポリマーは、27,400の重量平均分子量および表1に示した計算Tgを有していた。
【0091】
ポリマー添加剤4の調製
モノマーがIOA(5g)、MMA(90g)およびDMAEMA(5g)であったことを除き、ポリマー添加剤2の調製と同じ手順および条件を用いた。こうして得られたポリマーは、104,000の重量平均分子量および表1に示した計算Tgを有していた。
【0092】
ポリマー添加剤5の調製
モノマーがIOA(25g)、MMA(70g)およびDMAEMA(5g)であったことを除き、ポリマー添加剤2の調製と同じ手順および条件を用いた。こうして得られたポリマーは、104,000の重量平均分子量および表1に示した計算Tgを有していた。
【0093】
ポリマー添加剤6の調製
モノマーがIOA(45g)、MMA(50g)およびDMAEMA(5g)であったことを除き、ポリマー添加剤2の調製と同じ手順および条件を用いた。こうして得られたポリマーは、107,000の重量平均分子量および表1に示した計算Tgを有していた。
【0094】
ポリマー添加剤7の調製
モノマーがIOA(95g)およびDMAEMA(5g)であったことを除き、ポリマー添加剤2の調製と同じ手順および条件を用いた。こうして得られたポリマーは、130,000の重量平均分子量および表1に示した計算Tgを有していた。
【0095】
ポリマー添加剤8の調製
モノマーがMMA(80g)およびNNDMA(20g)であったことを除き、ポリマー添加剤2の調製と同じ手順および条件を用いた。こうして得られたポリマーは、85,600の重量平均分子量および表1に示した計算Tgを有していた。
【0096】
ポリマー添加剤9の調製
モノマーがMMA(85g)およびNNDMA(15g)であったことを除き、ポリマー添加剤2の調製と同じ手順および条件を用いた。こうして得られたポリマーは、74,700の重量平均分子量および表1に示した計算Tgを有していた。
【0097】
ポリマー添加剤10の調製
モノマーがMMA(90g)およびNNDMA(10g)であったことを除き、ポリマー添加剤2の調製と同じ手順および条件を用いた。こうして得られたポリマーは、85,700の重量平均分子量および表1に示した計算Tgを有していた。
【0098】
ポリマー添加剤11の調製
ガラス反応容器にVAZO−67開始剤(0.3g)、MMA(42g)、BMA(15g)、AA(3g)および酢酸エチル(140g)を入れた。得られた溶液を窒素で15分にわたり脱気し、容器を密封し、58℃の水浴内で24時間にわたり回転させて、粘性溶液(固形物30質量%)を生じさせた。こうして得られたポリマーは、164,000の重量平均分子量および表1に示した計算Tgを有していた。
【0099】
【表2】

【0100】
PSA1の調製
ガラス反応容器にVAZO−67開始剤(0.15g)、IOA(93g)、AA(7g)および酢酸エチル(186g)を入れた。得られた溶液を窒素で30分にわたり脱気し、容器を密封し、60℃の水浴内で24時間にわたり回転させて、粘性溶液(固形物35質量%)を生じさせた。粘性溶液をトルエンで固形物25質量%に更に希釈した。こうして得られたポリマーは491,000の重量平均分子量を有していた。
【0101】
PSA2の調製
モノマーがIOA(57.5g)、MA(35g)およびAA(7.5g)であったことを除き、PSA1の調製と同じ手順および条件を用いた。こうして得られたポリマーは557,000の重量平均分子量を有していた。
【0102】
PSA3の調製
ガラス反応容器にVAZO−67開始剤(0.12g)、BA(49.8g)、NNDMA(9.0g)、HEA(1.2g)および酢酸エチル(140g)を入れた。得られた溶液を窒素で30分にわたり脱気し、容器を密封し、58℃の水浴内で24時間にわたり回転させて、粘性溶液(固形物30質量%)を生じさせた。こうして得られたポリマーは694,300の重量平均分子量を有していた。
【0103】
【表3】

【0104】
実施例1
15部の固体ポリマー添加剤1を85部の固体PSA1に添加し、架橋剤としてビスアミドの固形物による0.10部を更に添加し、接着剤層が厚さ25μmを有するように厚さ50μmのSRFフィルム上に混合物を被覆することにより接着剤フィルムを調製した。70℃のオーブン内で10分にわたり熱乾燥させた後、接着剤フィルムをシリコーン被覆剥離ライナーで覆った。その後、被覆されたフィルムのサンプルをPMMAプレートおよびPCプレートに積層した。更に、PSA1、ポリマー添加剤1およびビスアミド架橋剤の混合物のサンプルをシリコーン被覆剥離ライナー上に被覆し、70℃のオーブン内で10分にわたり熱乾燥させて、25μmの接着剤層厚さをもたらした。この接着剤フィルムをガラス顕微鏡スライドに積層し、剥離ライナーを除去し、ASTM試験法D1003−95(「透明プラスチックの曇り度および視感透過率に関する標準試験」)に準拠してメリーランド州シルバースプリングスのBYKガードナー(BYK Gardner,Inc.(Silver Springs,MD)から市販されているTCSプラス分光光度計モデル8870を用いて光学的透過率および曇り度を測定した。視感透過率は92.8%であり、曇り度は0.7%であった。
【0105】
実施例2
架橋剤として0.05部のビスアミドを添加したことを除き、実施例1と同じ方式でサンプルを調製した。
【0106】
実施例3
15部のポリマー添加剤2を85部のPSA1に添加したことを除き、実施例1と同じ方式でサンプルを調製した。
【0107】
実施例4
15部のポリマー添加剤4を85部のPSA2に添加したことを除き、実施例1と同じ方式でサンプルを調製した。
【0108】
実施例5
15部のポリマー添加剤5を85部のPSA2に添加したことを除き、実施例1と同じ方式でサンプルを調製した。
【0109】
実施例6
15部のポリマー添加剤8を85部のPSA2に添加したことを除き、実施例1と同じ方式でサンプルを調製した。
【0110】
実施例7
15部のポリマー添加剤9を85部のPSA2に添加したことを除き、実施例1と同じ方式でサンプルを調製した。
【0111】
実施例8
15部のポリマー添加剤10を85部のPSA2に添加したことを除き、実施例1と同じ方式でサンプルを調製した。
【0112】
実施例9
15部のポリマー添加剤11を85部のPSA3に添加し、0.4部の架橋剤「ボスコドール(Boscodur)16」をビスアミド架橋剤の代わりに用いたことを除き、実施例1と同じ方式でサンプルを調製した。
【0113】
比較例1
架橋剤としてビスアミドを添加しなかったことを除き、実施例1と同じ方式でサンプルを調製した。
【0114】
比較例2
15部のポリマー添加剤3を85部のPSA1に添加したことを除き、実施例1と同じ方式でサンプルを調製した。
【0115】
比較例3
15部のポリマー添加剤6を85部のPSA2に添加したことを除き、実施例1と同じ方式でサンプルを調製した。
【0116】
比較例4
15部のポリマー添加剤7を85部のPSA2に添加したことを除き、実施例1と同じ方式でサンプルを調製した。
【0117】
【表4】

【0118】
試験実施例1
積層構造体の老化特性を試験するために幾つかの異なる促進老化プロトコールを用いた。90℃のオーブン内に1週間にわたり積層物を入れることにより1つのプロトコールを行い、それを「90℃」と呼ぶ。80℃および相対湿度90%で湿度が制御されたオーブン内に1週間にわたり積層物を入れることにより、もう1つのプロトコールを行い、それを「80℃、90%RH」と呼ぶ。すべての試験プロトコールの結果は、サンプルの光学特性が維持されているか否かを決定するために目視観察により決定する。データは、サンプルが光学的透明性を保持している場合「合格」、泡立ち(サイズ0.2mm〜5mm)が存在する場合「バブル」、およびポスト老化検査すると大きな泡立ち(サイズ>5mm)が存在する場合「ブリスタ」のいずれかで報告する。結果を以下の表4でまとめている。
【0119】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】ガス放出層および低水蒸気移動層を含む本発明による光学エレメントの実施形態を例示している。
【図2】本発明による偏光光学エレメントの実施形態を例示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸官能基または塩基官能基を有する少なくとも1種のポリマーを含む大部分の感圧接着剤成分、
酸官能基または塩基官能基を含む100,000を上回る重量平均分子量を有する高Tgポリマーおよび
架橋剤
のブレンドを含む接着剤組成物であって、
前記感圧接着剤成分の官能基および前記高Tgポリマーの官能基が、混合された時に酸−塩基相互作用を形成する、接着剤組成物。
【請求項2】
80℃および相対湿度90%で500時間にわたり老化後、前記組成物は目視観察で光学的に透明である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
80℃および相対湿度90%で500時間にわたり老化後、前記組成物は90%を上回る視感透過率および2%未満の曇り度を有する、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記高Tgポリマーは20℃を上回るガラス転移温度を有する、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記高Tgポリマーは50℃を上回るガラス転移温度を有する、請求項4に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記高Tgポリマーは、ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、置換スチレン、ハロゲン化ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリレートおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるモノマーを含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記高Tgポリマーは塩基性コポリマーである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
前記感圧接着剤は、800,000未満の重量平均分子量を有するコポリマーを含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
前記感圧接着剤は、(メタ)アクリレート、ビニルモノマーおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるラジカル重合性モノマーから形成される、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項10】
多官能性アジリジン、過酸化物、ベンゾフェノン、トリアジン、モノエチレン系不飽和モノ−、ジ−およびトリ−アルコキシシラン化合物、ジアクリレート、トリアクリレートおよびテトラアクリレート、イソシアネート、エポキシおよびそれらの混合物よりなる群から選択される架橋剤を含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項11】
前記酸−塩基相互作用は、前記高Tgポリマーのドメインサイズを光の波長未満に減少させるように前記混合物の混和性を高める、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項12】
前記高Tgポリマーのドメインサイズは100nm未満である、請求項11に記載の接着剤組成物。
【請求項13】
前記高Tgポリマーのドメインサイズは50nm未満である、請求項12に記載の接着剤組成物。
【請求項14】
添加剤を更に含む、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項15】
前記感圧接着剤成分は全組成物の質量を基準にして70〜90%を構成する、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項16】
前記高Tgポリマーは組成物の全質量を基準にして10〜30%を構成する、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項17】
前記接着剤組成物は感圧接着剤である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項18】
基材の少なくとも1つの表面上に被覆された請求項1に記載の接着剤組成物を含む物品。
【請求項19】
前記基材は剥離ライナー、フィルムおよび硬質材料よりなる群から選択される、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
酸官能基または塩基官能基を有する少なくとも1種のポリマーを含む大部分の感圧接着剤成分、
酸官能基または塩基官能基を含む100,000を上回る重量平均分子量を有する高Tgポリマーおよび
架橋剤
の混合物を含む接着剤組成物で被覆された多層アセンブリであって、
前記感圧接着剤成分の官能基および前記高Tgポリマーの官能基が、混合された時に酸−塩基相互作用を形成し、
前記接着剤組成物が光学的に透明であり、前記接着剤組成物が少なくとも2つの層を互いに接着させる、多層アセンブリ。
【請求項21】
前記層は剥離ライナー、フィルムおよび硬質材料よりなる群から選択される、請求項20に記載の多層アセンブリ。
【請求項22】
前記接着剤組成物は低水蒸気移動層をガス放出層に接着させる、請求項20に記載の多層アセンブリ。
【請求項23】
前記ガス放出層は、ポリカーボネートおよびポリ(メチルメタクリレート)よりなる群から選択される材料を含む、請求項22に記載の多層アセンブリ。
【請求項24】
80℃および相対湿度90%で500時間にわたり老化後、前記ガス放出層と前記低水蒸気移動層との間の接着層は離層せず泡立ちもせず、光学製品は光学的に透明なままである、請求項22に記載の多層アセンブリ。
【請求項25】
前記低水蒸気移動層は、金属化高分子フィルム、赤外線反射フィルムおよび多層光学フィルムよりなる群から選択される、請求項22に記載の多層アセンブリ。
【請求項26】
前記アセンブリは、高分子フィルム層の表面、導電性層で被覆されている前記高分子フィルム層の反対表面に接着剤で接着された硬質ポリカーボネート層を含む導電性光学エレメントを含む、請求項20に記載の多層アセンブリ。
【請求項27】
酸官能基または塩基官能基を含む少なくとも1種のポリマーを含む大部分の感圧接着剤成分、
酸官能基または塩基官能基を含む100,000を上回る重量平均分子量を有する高Tgポリマーおよび
架橋剤
の混合物を含む接着剤組成物を基材上に被覆する工程を含む多層物品を調製する方法であって、
前記感圧接着剤成分の官能基および前記高Tgポリマーの官能基が、混合された時に酸−塩基相互作用を形成する、方法。
【請求項28】
前記接着剤被覆基材を第2の基材上に積層する工程を更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記接着剤組成物は前記基材上に被覆する前は溶媒の中にある、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記接着剤組成物を乾燥させて前記溶媒を除去する工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記接着剤組成物は前記接着剤組成物を前記基材上に被覆した後に架橋される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
酸官能基を有する少なくとも1種のポリマーを含む大部分の感圧接着剤成分、
アミド基によって付与された塩基官能基を含む高Tgポリマーおよび
架橋剤
のブレンドを含む接着剤組成物であって、
前記感圧接着剤成分の官能基および前記高Tgポリマーの官能基が、混合された時に酸−塩基相互作用を形成し、
前記感圧接着剤成分がアルコキシ(メタ)アクリレートを含まない、接着剤組成物。
【請求項33】
80℃および相対湿度90%で500時間にわたり老化後、前記組成物は目視観察で光学的に透明である、請求項32に記載の接着剤組成物。
【請求項34】
80℃および相対湿度90%で500時間にわたり老化後、前記組成物は90%を上回る視感透過率および2%未満の曇り度を有する、請求項32に記載の接着剤組成物。
【請求項35】
前記感圧接着剤成分は600,000未満の重量平均分子量を有するコポリマーを含む、請求項32に記載の接着剤組成物。
【請求項36】
前記高Tgポリマーは50,000を上回る重量平均分子量を有する、請求項32に記載の接着剤組成物。
【請求項37】
塩基官能基を有する少なくとも1種のポリマーを含む大部分の感圧接着剤成分、
酸官能基を含む高Tgポリマーおよび
架橋剤
のブレンドを含む接着剤組成物であって、
前記感圧接着剤成分の官能基および前記高Tgポリマーの官能基が、混合された時に酸−塩基相互作用を形成する、接着剤組成物。
【請求項38】
80℃および相対湿度90%で500時間にわたり老化後、前記組成物は目視観察で光学的に透明である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項39】
80℃および相対湿度90%で500時間にわたり老化後、前記組成物は90%を上回る視感透過率および2%未満の曇り度を有する、請求項1に記載の接着剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−522856(P2006−522856A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507224(P2006−507224)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/007945
【国際公開番号】WO2004/094549
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】