説明

接続部材、その形成方法,接続構造およびその形成方法

【課題】脱着を容易に行うことが可能な異方導電性シート,接続構造等を提供する。
【解決手段】PCB20の上に、異方導電性シート1を挟んで、FPC30を重ねる。異方導電性シート1の基膜2は、多孔質熱可塑性高分子からなる。その一部に、水酸基,アミド基,カルボキシル基,イソシアネート基等の官能基が付与されて、接着性が生じている。FPC30を上方から押圧しながら、全体を基膜2の融点以上の温度に加熱する。これにより、基膜2が、リジッド基板21およびフレキシブル基板31に接着される。その後、押圧を解除する。使用時には、押圧しなくても、FPC30の配線32と、PCB20の配線22とが、貫通導電部材6を介して,互いに導通する。押圧機構が不要で、使用中の応力も緩和して、安定した接続状態が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の検査や、配線板等の接続に用いられる接続部材、その形成方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種電子部品の検査は、プローブピンを用いて行われている。検査には、半導体デバイスのバーンイン試験や、各種配線板のコネクタの電気的接続試験等がある。配線板には,FPC(フレキシブルプリント配線板),PCB(プリント基板)等がある。
【0003】
ところが、電子部品の高密度実装化が進むと、プローブピンが押し当てられる電極の数も多くなり、かつ、挟ピッチ化されている。そのため、電極に押し当てるためのバネ式プローブピンのコストが極めて高くなっている。
【0004】
そこで、最近では、バネ式プローブピンに代えて、異方導電性シートを用いるケースが増えている。異方導電性シートは、板厚方向のみに導電性を示すものである。異方導電性シートは、相手側導体と基板側導体との平面上の位置が一致していれば、両者間が導通するように設けられている。異方導電性シート中の貫通導電部材の位置と、相手側導体および基板側導体の位置との整合は不要なので、ファインピッチ化に有利である。
【0005】
特許文献1の技術では、弾性高分子シートからなる基膜に、貫通導電部材となる多数の孔を形成したものを用いている。各孔には、ワイヤや導電ペーストを埋め込んだ導通部が設けられている。
特許文献2の技術では、高強度樹脂等の弾性高分子からなる基膜を用いている。そして、基膜の孔を導電性磁性体粒子を充填した貫通導電部材で埋めている。
特許文献3の技術では、基膜として多孔質PTFEを用い、各孔の内壁部に、無電解めっきにより貫通導電部材を形成する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−35789号公報
【特許文献2】特開平9−320667号公報
【特許文献3】特開2004−265844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1〜3の異方導電性シートは、検査装置だけでなく、配線板同士の接続や、配線板と電子デバイスとの間の接続にも応用することが考えられる。しかしながら、その場合には、以下のような不具合を生じるおそれがあった。
【0007】
異方導電性シートを配線板同士の接続に用いる場合、たとえば以下の用法が考えられる。フレキシブルプリント配線板(以下、FPCという)に異方導電性シートを接着剤により貼り付けて、異方導電性シートを、押圧しながら母基板上に設置する。母基板としては、リジッドプリント配線板(以下、PCBという)などがある。
【0008】
しかしながら、接続のやり直しを行うときには、接着剤を剥がす手間が生じる。
また、接着剤の厚みだけ異方導電性シートとFPCとの間に隙間が生じ、異方導電性シートの貫通導電部材とFPCの配線との導通性が悪化するおそれがある。したがって、接着剤を薄くするとともに、異方導電性シートの貫通導電部材の基膜面から十分高く突出させる必要がある。
また、接触を保持するために、ZIF等と同等の押圧機構を備える必要があるので、低背化には限度がある。
【0009】
本発明の目的は、脱着を容易に行うことが可能な接続部材,その製造方法,接続構造及びその形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の接続部材は、配線板同士や、配線板と電子デバイス等との間の電気的接続を行うものである。接続部材は、接着特性が生じる官能基が付与された熱可塑性高分子樹脂からなるフィルム状の基膜を有している。フィルム状の基膜を貫通する貫通孔内には、貫通導電部材が設けられている。
【0011】
接続を行う際、接続部材の基膜が接着性を有しているので、2つの被接続部材に直接接続部材を貼り付けることができる。このように、別途接着剤を用いる必要がないことから、接続部材を簡単に被接続部材間に取り付けることができる。また、接続をやり直すときは、接続部材の基膜を加熱溶融させればよい。よって、脱着が容易な接続構造に組み込める接続部材が得られる。
また、2つの被接続部材に、直接接続部材を貼り付けるので、接続部材の貫通導電部材と被接続部材の導体とが、確実に接触した状態で導通する。すなわち、従来のZIF等に必須であった押圧機構は不要であるので、低背化と、製造コストの削減とを実現することができる。
【0012】
特に、貫通導電部材を、貫通孔の内壁部に無電解めっきを用いて形成することにより、薄い貫通導電部材も、弾性を発揮することができる。
【0013】
基膜を構成する熱可塑性高分子樹脂は、ポリオレフィン樹脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂,エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂,ポリビニルアルコール樹脂,エチレン−アクリル酸共重合樹脂,およびアイオノマー樹脂のうちから選ばれる1または2以上の樹脂を、少なくとも50%以上含む熱可塑性高分子樹脂であることが好ましい。
これらの樹脂は、柔軟であるので、接続部材に用いた場合、繰り返し応力に対する耐性が大きくなる。たとえば、携帯電話等の電子機器内で、接続部材が曲げや押圧力などを繰り返し受けるが、その場合にも、電気的接続機能を長く維持することができる。
【0014】
基膜を構成する熱可塑性高分子は、水酸基,アミド基,アミノ基,カルボキシル基,およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する側鎖をグラフト重合させたものであることが好ましい。これらの官能基が導入されると、樹脂の極性が高くなり、接着性が生じる。したがって、低極性の樹脂を用いた場合でも、これらの官能基の導入によって、接着性を生じさせることができる。
【0015】
接続部材が、多孔質樹脂によって構成されていることにより、多孔質樹脂の弾力性を利用して、多数回の繰り返し使用が可能で、微細形状の貫通導電部材が得られる。よって、接続部材の耐久性が向上する。
さらに、接続部材の基膜が架橋処理された熱可塑性高分子によって構成されていれば、高い弾力性が得られ、応力を吸収する機能が高くなる。
【0016】
本発明の接続構造は、2つの部材の各導体間を、上記接続部材の導電部材によって導通させたものである。
これにより、着脱が容易で、安定した接続状態を維持しうる接続構造が得られる。
【0017】
本発明の接続部材の製造方法は、以下の手順を含んでいる。まず、熱可塑性高分子と核剤とを混合して、フィルム状の基膜を形成する。その前後いずれかにおいて、熱可塑性高分子を化学変性し、接着性が生じる官能基を付与する。その後、前記基膜を貫通する貫通孔を形成し、貫通孔の内壁部に貫通導電部材を設ける。
この方法により、上述の作用効果を有する接続部材を形成することができる。
【0018】
官能基を付与する際、水酸基,アミド基,アミノ基,カルボキシル基,およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する側鎖をグラフト重合させることが好ましい。この工程により、熱可塑性高分子に、本発明の接続部材に適した接着性を付与することができる。
【0019】
本発明の接続構造の形成方法は、上述の接続部材と、第1導体を有する第1部材と、第2導体を有する第2部材とを用いて、接続構造を形成する方法である。まず、上記2つの導体間に、接続部材を介在させる。そして、基膜を加熱溶融した後、冷却することにより、第1,第2部材と接続部材とを接着させる。
この方法により、簡単に,上記接続構造を形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の接続部材、その形成方法,接続構造およびその形成方法によると、着脱が容易で接続安定性に優れた接続構造を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施の形態1)
−接続部材の構造−
図1は、実施の形態1に係る接続部材である異方導電性シート1の構造を示す斜視図である。図2は、図1に示すII-II線における異方導電性シート1の断面図である。
異方導電性シート1は、多数の微細孔を有する多孔質樹脂からなる矩形平板状の基膜2(厚さがたとえば約120μm)を備えている。基膜2の第一面3と第二面4との間には、板厚方向に貫通する多数の貫通孔5が形成されている。貫通孔5の内壁部には、導通部となる貫通導電部材6が形成されている。これにより、板厚方向に導電性を有し板面方向には導通性がないという、異方導電性機能が付与される。
【0022】
貫通孔5は、径dが10μm程度であり、ピッチpは25μm程度にファインピッチ化されている。各貫通導電部材6間の電気的短絡を防ぐために、基膜2は絶縁体であることが必要である。しかも、後述するように、本実施の形態では、異方導電性シート1に弾性をもたせるために、基膜2を多孔質膜の合成樹脂によって構成している。
【0023】
本実施の形態の多孔質膜の基膜2を構成する合成樹脂材料としては、ポリオレフィン樹脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂,エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂,ポリビニルアルコール樹脂,エチレン−アクリル酸共重合樹脂,およびアイオノマー樹脂のうちから選ばれる樹脂が好ましい。これらの樹脂は、熱可塑性高分子樹脂であり、接着後の剥がし処理や、再接着が可能である。これらの樹脂を数種類含んでいてもよい。ただし、これらの樹脂を少なくとも50%以上含んでいることが好ましい。
【0024】
また、これらの樹脂を構成する熱可塑性高分子には、図9に示すような、水酸基,アミド基,カルボキシル基,およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも1つの官能基が付与されている。すなわち、上記樹脂の炭素原子に結合している水素原子の一部を、水酸基等によって置換する処理が行われている。この処理の詳細については、後述する。
これらの基は、極性基であり、上記置換処理により、熱可塑性高分子の極性が高くなり、接着性が生じる。置換される水素原子が結合している炭素原子は、これらの樹脂の主鎖にあってもよいし、側鎖にあってもよい。
【0025】
貫通導電部材6は、貫通孔5の内壁面および微細孔内を含む内壁部に、管厚tが0.2〜50μmの多層金属めっき層(無電解めっき層)を有している。つまり、無電解めっきの際に、内壁面から微細孔内に侵入した触媒粒子や金属によって、多孔質膜の繊維も含まれる表面領域に貫通導電部材6が形成されている。本実施の形態では、貫通導電部材6は、繊維の表面に付着した触媒触媒粒子を核として堆積したNi合金層であるNi−P合金層およびAu層によって構成されている。
【0026】
上記のように、貫通導電部材6は、酸化防止及び電気的接触性を高めるため、酸化防止剤を使用するか、貴金属もしくは貴金属の合金で被覆しておくことが好ましい。貴金属としては、電気抵抗の小さい点で、パラジウム,ロジウム,金,銀が好ましい。貴金属層の厚さは、0.05〜1.0μmが好ましく、0.01〜0.1μmがより好ましい。この被覆層の厚みが薄すぎると、電気的接触性の改善効果が小さく、厚すぎると、製造コストが増大するため、いずれも好ましくない。たとえば、貫通導電部材6の表面を金で被覆する場合、8nm程度以上のニッケルで下地金属層を被覆した後、置換金めっきを行う方法が効果的である。
【0027】
上述のように、無電解めっきの際、触媒粒子は貫通孔5の内壁面だけでなく多孔質膜の微細孔から内部に侵入して繊維の表面に付着するので、多層金属めっき層も、多孔質膜の微細孔から内部に浸透して堆積されている。すなわち、図2に示す管厚tの領域(内壁部)には、多層金属めっき層だけでなく多孔質膜の繊維も混在していることになる。この貫通導電部材6は、多孔質構造の樹脂部の表面に付着して形成されているため、貫通導電部材6自体も多孔質としての特性を有している。
【0028】
つまり、各貫通導電部材6間の絶縁性を維持しつつ、異方導電性シート1の板厚方向のみに導電性が付与される(異方導電性)。また、電子機器内での使用時に、圧縮応力や曲げ応力等が加わっても、基膜2の弾性によって、応力が緩和される。したがって、本実施の形態の異方導電性シート1は、長期間、安定した導通性を維持することができる。
【0029】
−異方導電性シートの製造方法−
次に、図3を参照しながら、本実施の形態の異方導電性シート1の製造方法について説明する。図3に示す工程において、まず、多孔質熱可塑性高分子フィルム2xを準備する。熱可塑性高分子樹脂として、ポリオレフィン樹脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂,エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂,ポリビニルアルコール樹脂,エチレン−アクリル酸共重合樹脂,アイオノマー樹脂等を用いるのがよい。これらのうち2種類以上の樹脂の混合物であってもよい。他の樹脂を含んでいてもよいが、上記樹脂を、少なくとも50重量%以上含む熱可塑性高分子樹脂であることが好ましい。
【0030】
次に、これらの熱可塑性高分子に、図9に示す官能基を有する側鎖をグラフト重合させる方法について説明する。グラフト重合させる方法としては、特に限定されず、例えば、溶液法、溶融法等の一般的な共重合方法を任意に選択できる。
【0031】
溶液法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂としてプロピレン―α―オレフィン樹脂を用いて、カルボキシル基を有する側鎖をグラフト共重合させる方法がある。その場合、まず、プロピレン―α―オレフィン樹脂をトルエン等の芳香族有機溶媒に100〜180℃で溶解させる。その後、不飽和カルボン酸等を添加し、更に後述するラジカル発生剤を一度にまたは数度に分けて添加して共重合させる。
【0032】
溶融法としては、例えば、プロピレン―α―オレフィン樹脂をこれらの溶融温度異常に加熱して溶融させた後、不飽和カルボン酸等および後述するラジカル発生剤を添加して共重合させる方法が挙げられる。
【0033】
グラフト共重合に用いられるラジカル発生剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−ターシャルブチルパーオキサイド等が挙げられ、共重合反応温度とラジカル発生剤の分解温度を考慮して選択される。
【0034】
1.多孔質熱可塑性高分子フィルム
多孔質熱可塑性高分子フィルム2xは、抽出法によるものでも、延伸法によるものでもよい。抽出法は、熱可塑性高分子樹脂と核剤とを混合して、押し出してフィルム状にした後に、核剤を溶媒中に抽出して核剤が占めていた箇所を空孔として多孔質フィルムを製造する製造方法である。また、延伸法は、熱可塑性高分子樹脂粉末とパラフィンオイル等の低融点材料とを混合して、フィルム状に押し出し、延伸した後に加熱してパラフィンオイル等の低融点材料を排出して空孔とする多孔質フィルムの製造方法である。
【0035】
多孔質熱可塑性高分子フィルム2xの厚みは、通常3mm以下である。好ましくは1mm以下であり、その下限は通常5μmであり、好ましくは10μm以上である。また、多孔質熱可塑性高分子フィルムの気孔率は20%〜80%、平均孔径が10μm以下の範囲にあることが望ましい。
【0036】
2.架橋処理
次いで、多孔質熱可塑性高分子フィルム2xに対して、電子線照射による架橋処理を行って、架橋された多孔質熱可塑性高分子フィルムからなる基膜2を形成する。電子線の吸収線量は、50kGy〜1000kGyとするのがよい。架橋処理としては、電子線照射方法が属する放射線照射架橋(イオン照射、X線照射など)を用いてもよい。また、シランカップリングや過酸化物(ハイパーオキサイド)を用いた化学架橋を行ってもよい。化学架橋を行う場合には、多孔質熱可塑性高分子フィルム2xに予め化学架橋用の薬品を混合しておく必要がある。また、架橋効率を改善するためにトリアリルイソシアヌレートなどの架橋助剤を熱可塑性高分子に配合したり、ノルボルネンなどの二重結合を有する官能基を共重合させたり、側鎖として結合させてもよい。なお、図3では、架橋処理の電子線照射は、マスク層融着の前に行われているが、電子線照射は、図3に示すどの処理の前または後で、行ってもよい。
【0037】
3.マスクによる被覆
めっき触媒を貫通孔の壁にのみ付着して、導電金属膜を貫通孔に効率よく形成するために、基膜2の両面にマスク層7を被覆する。マスク層7aは、基膜2と同じ材料である必要はないが、このあと説明するように、固形物を基膜2に充填して貫通孔を設ける必要があるので、多孔質膜とするのがよい。基膜2にマスク層7を被覆して固定するためには、各層間を融着できるものであること望ましい。また、マスク層7の被覆→貫通孔の形成→めっき触媒付着の後にマスク層7を除去するときも、容易にマスク層7を剥離することができる。
【0038】
4.貫通孔の形成
(1)準備処理−固形物の充填−
図4を参照しながら、貫通孔を形成する手順を説明する。貫通孔の形成に先立って、多孔質構造に液体または溶液を含浸させ、これを固形化する。したがって、液体または溶液は、固形物を形成することができるものを用いる。また、この固形物は、容易に除去できるものとするため、融解または溶解できるものとする。上記の液体または溶液は、含浸時の状態で表現しており、その中には常温で固体状態のものも含まれる。たとえば凝固点または融点が高く、常温(15℃〜30℃)で固体である材料は、加熱して液体(融液)にしてから、多孔質材料に含浸させ、含浸後に、凝固点または融点以下に冷却して固化させる。
【0039】
常温で固体の材料を溶剤に溶かして溶液として用いる場合、ポリマー、パラフィン、ナフタレンなどの常温で固体の材料を溶解することができ、熱可塑性高分子に対して不溶性または難溶性で、非侵食の溶剤を用いるのがよい。溶解される材料には、炭化水素、可溶性ポリマー、とくにパラフィン、ナフタレンなどを用いることができる。また、とくに水溶性のポリエチレングリコールを好適に用いることができる。これらの材料は、流延法(キャスト法)または浸漬法(ディップ法)により、多孔質構造内に含浸させ、溶剤を除去することにより、固形物となる。ポリエチレングリコールは常温で固体であるが、含浸時に加熱して溶融状態とし、含浸後に常温にして固体とする。除去するときは、水溶性なので水により溶解除去するので、有機溶剤を用いないメリットを得ることができる。これらの可溶性ポリマーを用いることにより、多孔質であっても高精度の穿孔が可能となる。また、後で説明するように、可溶性ポリマーにより余剰厚みを表裏面に設けることにより、マスク層として被覆層または増厚層を形成することができる。
【0040】
図4の最上部に示す積層体は、多孔質熱可塑性高分子フィルムからなるマスク層7,および架橋した多孔質熱可塑性高分子フィルム2xの両方に、上記のような可溶性ポリマーのパラフィンを含浸させて、固形物としたものである。この積層体に貫通孔を設けた後、固形物は除去する。
【0041】
(2)穿孔
穿孔は、ドリルなどによる機械加工、電磁波アブレーション加工、金型によるモールド加工、超音波加工などを用いることができる。上記の固形物を充填させた多孔質材料の穿孔は、とくに機械加工の際に、無孔質材料に対する穿孔と同様に行うことができ、精度よく貫通孔5を形成することができる。本発明の実施の形態では、基膜2に架橋された多孔質熱可塑性高分子膜を用いるため、上記の機械加工において、バリを生じにくいため、機械加工の後で、バリ取りエッチングをしなくて済む利点を得ることができる。
バリがないことにより、異方導電性シート1を配線板等に接着させる際に、貫通導電部材6を配線板等の配線(あるいは電極)に,確実に接触させることができる。
【0042】
(3)固形物の除去
穿孔の後、多孔質構造に充填された固形物を除去する。固形物がパラフィンの場合には加熱によりまたは溶剤により、それぞれ多孔質構造から除去する。また、上述のようにポリエチレングリコールの場合は、水によって溶解除去する。
【0043】
5.めっき触媒付着
図4を参照して、めっき処理の手順を説明する。絶縁体である基膜2の貫通孔5の壁面5aにめっき処理により導電金属膜を形成するに際し、金属イオンの還元反応を促進するめっき触媒8を付着する。めっき処理には無電解めっき法を用いるのがよい。無電解めっき法では、一般に、金属を析出させたい箇所に、還元反応を促進する触媒を予め付着させておく。マスク層7の使用は、基膜2において、貫通孔5の内壁部5aを除く領域には、できるだけ導電膜が形成されないようにするためである。ただし、基膜2の外側面には導電膜が形成されるが、この導電膜は、後に容易に除去できる。この目的を実現するためには、マスク層7に限定されず、後で説明するように他の手段を用いることができる。
【0044】
めっき触媒8の付着は、マスク層7に被覆された基膜2を、攪拌状態のパラジウム−スズコロイド液に浸漬すればよい。この浸漬によって、図4に示すように、貫通孔5の内壁部5aを含む全表面に、パラジウム−スズからなるめっき触媒8を付着させることができる。
【0045】
6.マスク層の除去
上述のように、貫通導電部材6は、貫通孔5の内壁部5aにのみ形成されればよく、基膜2の表裏面に形成されることは、この部分の絶縁性確保のために避けなければならない。このために、表裏面を被覆した状態で、めっき触媒8が付着したマスク層7を除去する。マスク層7の除去によって、めっき触媒8は貫通孔5の内壁部5aに限定される。
【0046】
7.無電解めっき処理
無電解めっきを行う前に、上記の方法により残留しためっき触媒8を活性化する。具体的には、めっき触媒活性化用として市販されている有機酸塩等に浸漬することで、スズを溶解し、触媒を活性化する(めっき触媒の語は、上記のように活性化前にも活性化後にも区別しないで用いる)。この後、無電解めっき液に基膜2を浸漬することにより、貫通孔5の内壁部5aにのみ導電金属膜を析出させ、筒状の導通路が形成される。無電解めっき時間が短すぎると、基膜2の厚み方向の導電性を確保することが困難になり、また長すぎると筒状の金属膜にならず塊状になる。塊状になると、検査装置に用いる場合には、通常の圧縮荷重では所定の圧縮ストロークが得られない。
【0047】
しかし、本発明のように接続部材として用いる場合には、部分的に塊状になっていても,使用上問題はない。むしろ、異方導電性シート1を押圧しなくても、貫通導電部材6を確実に導通させるためには、無電解めっき時の金属量を多くすることが好ましい。
【0048】
上記の異方導電性シート1によれば、電子機器内での長期間の使用において、各種応力が加わっても、確実に導通性を保持することができる。さらに、機械加工による貫通孔5の形成の際にバリ発生を抑制することができ、バリ取りの湿式エッチングを省略可能とすることもできる。さらに、誘電率を2.5以下に抑えることができるので、電子機器内で高周波特性を低下させることもない。また、熱可塑性高分子は入手が容易であり、経済性にも優れている。
【0049】
−製造方法の変形例−
図5は、異方導電性シート1の製造方法の変形例を示す図である。まず、架橋した多孔質熱可塑性高分子からなる基膜2を準備する。架橋は、放射線照射架橋によっても化学架橋によってもよい。この基膜2に対して、多孔質構造を固形物で充填し、かつ基膜2の表裏面を被覆層9で被覆する。被覆層9は、充填固形物と同じ材料で形成するのが、工程上、有利である。たとえば、可溶性ポリマーとくにパラフィンまたはポリエチレングリコールによって、充填固形物および被覆層9を形成するのがよい。
【0050】
次いで、図5に示すように、貫通孔5を形成する。貫通孔5の内壁部5aには、充填固形物および多孔質熱可塑性高分子が露出する。次いで、めっき触媒8を付着する。めっき触媒8は、貫通孔5の内壁部5aおよび表裏面側の被覆層9に付着する。貫通孔5内では、めっき触媒8は、内壁部5aに露出する充填固形物および多孔質熱可塑性高分子に付着する。次に、被覆層9を溶剤などで除去し、次いで充填固形物を、同じく溶剤で除去する。
【0051】
このとき、貫通孔5の内壁部5aにおいて、充填固形物に付着しためっき触媒8の中には、充填固形物とともに除去されるものが出てくる。しかし、少なくとも多孔質熱可塑性高分子に付着しためっき触媒8は、充填固形物が抽出除去された後も残留する。また、充填固形物の除去によって、基膜2の多孔質構造に空隙が生じる。次いで、無電解めっきを行うと、貫通孔5の内壁部5aに付着するめっき触媒8の箇所に貫通導電部材6が形成される。無電解めっきの前に、めっき触媒8の活性化処理をするが、説明を省略する。
【0052】
本変形例によれば、充填固形物を形成する材料によって、基膜2の表裏面に余剰厚みの被覆層9を形成している。よって、マスク層9を別に準備する必要がなく、製造コストを低減することができる。特に、充填固形物および被覆層9にポリエチレングリコールを用いる場合には、加熱して一旦溶融状態にして多孔質構造に充填することができる。被覆層9を形成した後、除去するときには水で溶出除去できるので、有機溶剤を使用しない。このため、廃液処理費用などを低減することができる。
【0053】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係る接続構造体の組立方法を説明するための斜視図である。図7は、実施の形態2に係る接続構造体の組立状態を示す断面図である。
本実施の形態では、異方導電性シート1は、PCB20と、FPC30とを接続する接続部材として用いられる。
【0054】
図6に示すように、PCB20は、リジッド基板21と、リジッド基板21上に形成された信号配線22と、枠部材25とを有している。枠部材25は、ほぼコ字状の平面形状を有しており、配線22の先端部を三方から囲んでいる。
【0055】
リジッド基板21としては、ガラスエポキシ板に限らず、紙フェノール板,紙エポキシ板,フッ素樹脂板,アルミナ板等が用いられる。配線22の材料としては、銅または銅合金を用いるのが一般的であるが、これに限定されるものではない。
【0056】
FPC30のフレキシブル基板31の上面には、ガイド部材35が貼り付けられている。ガイド部材35は、PCB20上の枠部材25を縦方向に挿通可能な大きさを有している。
また、フレキシブル基板31の下面側には、配線32が形成されている。配線32の形状は、PCB20の配線22の構造と同様であるので、図示を省略している。
【0057】
フレキシブル基板31としては、ポリイミド板に限らず、ポリエステル板(低温使用),ガラスエポキシ板(薄板)等が用いられる。配線32の材料としては、銅または銅合金を用いるのが一般的であるが、これに限定されるものではない。
【0058】
本実施の形態の異方導電性シート1は、実施の形態1で説明した製造方法によって製造されたものであり、図1等に示す構造を有している。
【0059】
組立時には、PCB20の上に、異方導電性シート1を挟んで、FPC30を重ねる。つまり、枠部材25で囲まれる空間に、ガイド部材35,異方導電性シート1およびFPC30を導入する。このとき、ガイド部材35が枠部材25を挿通して、FPC30等の導入を案内する。
【0060】
次に、プレス機等により、FPC30を上方から押圧しながら、全体を基膜2の融点以上の温度に加熱する。これにより、基膜2が、リジッド基板21およびフレキシブル基板31に接着される。そして、FPC30の配線32と、PCB20の配線22とが、貫通導電部材6を介して,互いに導通する。その後、押圧を解除する。その後も、異方導電性シート1の基膜2が、リジッド基板21およびフレキシブル基板31に接着している。よって、使用時には、押圧しなくても、配線22,32間の導通が維持される。
【0061】
図8は、リジッド基板21上の配線22と、フレキシブル基板31上の配線32とを重ね合わせたときの両者の位置と、貫通導電部材6の位置との関係を概念的に示す平面図である。本実施の形態では、異方導電性シート1は、FPC30の各種規格に対して汎用できる構造としている。基本的には、配線22,32の幅方向において、1個または数個の貫通導電部材6が存在していればよく、配線間の隙間には貫通導電部材6が存在している必要はない。ただし、1つの貫通導電部材6に、同じ配線板上の配線22(または32)が複数本接触することは、短絡を生じるので、避ける必要がある。
【0062】
また、図8に示すように、平面視において、貫通導電部材6の存在領域と配線22,32の存在領域とは、オーバーラップしていればよく、配線22,32の幅方向において、貫通導電部材6が配線22,32内に包含されている必要はない。また、配線間の隙間に貫通導電部材6が存在していても問題はない。各配線22,32ごとに、貫通導電部材6との接触が確保されていれば、配線22と配線32とは、短絡することなく電気的に接続される。また、各配線22,32について、少なくとも1つの貫通導電部材6によって電気的に接続されていればよい。
【0063】
さらに、貫通導電部材6の径を配線22,32の幅に比べて大幅に小さくして、各配線22,32ごとに、多数の貫通導電部材6によって接続される構造を採用してもよい。後述するように、異方導電性シート1の場合、貫通孔5の径は、10μm(0.01mm)以下まで、ピッチが25μm(0.025mm)以下まで、十分にファインピッチ化することができる。したがって、配線幅が0.1mm以下で、配線同士の間隔が0.1mm以下にファインピッチ化されていっても、十分な余裕を持って対応することがきる。
【0064】
以上のことからわかるように、本実施の形態における貫通導電部材6を有する異方導電シート1を弾性部材として用いることにより、異方導電性シート1中の貫通導電部材6の形成パターンは一律にしておいて、各種配線基板同士の接続構造体に汎用することができる。また、このような接続構造体を用いると、貫通導電部材6の配置を工夫することにより、配線22と配線32との位置が多少ずれても、短絡を回避しつつ、配線22−配線32間の電気的接続を確保することは容易である。
【0065】
本実施の形態の接続構造によると、以下の作用効果を発揮することができる。配線板同士、または配線板と電子デバイスとの接続を行う際、異方導電性シート1の基膜2が接着性を有しているので、2つの被接続部材に、直接、異方導電性シート1を貼り付けることができる。このように、別途接着剤を用いる必要がないことから、異方導電性シート1を簡単に被接続部材間に取り付けることができる。
【0066】
また、別の接着剤が介在しないので、貫通導電部材6と、配線22,32との接触が確実になり、導通不良が生じる確率を低減することができる。
【0067】
また、接続をやり直すときは、異方導電性シート1の基膜2を加熱溶融させればよい。よって、脱着が容易な接続構造に組み込むための異方導電性シート1が得られる。
【0068】
また、接続構造体を押圧する機構を設けなくても、異方導電性シート1の貫通導電部材6と被接続部材の導体(配線22,32)との導通状態を保持しうる。すなわち、従来のZIF等に必須であった押圧機構は不要であるので、低背化と、製造コストの削減とを実現することができる。
【0069】
なお、異方導電性シート1を配線板等の接続部材として用いる場合、検査装置におけるように、極めて多数回の脱着を行うことはない。つまり、貫通導電部材6の膜厚を薄くして、所定の圧縮荷重で、所定の圧縮ストロークを得る必要はない。よって、異方導電性シート2に圧縮加重を印加しなくても、貫通導電部材6が導通状態になるように、貫通導電部材6の金属量を多くすることができる。
【0070】
さらに、異方導電性シート1の基膜2が架橋処理された熱可塑性高分子によって構成されているので、弾力性が得られ、使用中における応力吸収機能が高くなる。
【0071】
上記実施の形態では、第1部材としてPCB20を、第1導体として配線22を用い、第2部材としてFPC30を,第2導体として配線32を用いた例について説明した。しかし、本発明の第1,第2部材は、PCB,FPC等に限らず、各種配線板や、フラットケーブル等の配線部材であってもよい。また、配線板に限らず、各種電子デバイスであってもよい。つまり、第1,第2導体は、配線板の配線、電極だけでなく、電子デバイスのパッド電極などであってもよい。
【0072】
(その他の実施の形態)
図10(a),(b)は、順に、異方導電性シート1の変形例1,2の構造を示す縦断面図である。
図10(a)に示す変形例1に係る異方導電性シート1は、基膜2に形成された貫通孔にワイヤを埋め込んだ構造を有している。
図10(b)に示す変形例1に係る異方導電性シート1は、基膜2に形成された貫通孔に多数の導電粒子を埋め込んだ構造を有している。
【0073】
変形例1,2に示す異方導電性シート1においても、基膜2が接着性を有する熱可塑性高分子樹脂によって、形成されている。すなわち、基膜2は、実施の形態1で説明したように、図9に示す官能基が付与された熱可塑性高分子樹脂からなる。
熱可塑性高分子樹脂は、ポリオレフィン樹脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂,エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂,ポリビニルアルコール樹脂,エチレン−アクリル酸共重合樹脂,アイオノマー樹脂等である。
【0074】
変形例1,2によっても、基膜2が、極性の高い接着性を有する高分子樹脂によって構成されているので、実施の形態1,2で説明した基本的な効果を発揮することができる。すなわち、変形例1,2の異方導電性シート1を利用することにより、脱着が容易で、低背化され,製造コストの安価な接続構造を実現することができる。
【0075】
上記各実施の形態の構造は、例示にすぎず、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載と、その記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、各種配線板や電子デバイスの接続に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態1に係る異方導電性シートの斜視図である。
【図2】図1に示すII-II線における異方導電性シート1の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る異方導電性シートの製造工程を示す縦断面図である。
【図4】図3の貫通孔形成ないしめっき処理の詳細を説明するための図である。
【図5】実施の形態1の変形例における異方導電性シートの製造方法を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る接続構造の組立方法を説明するための斜視図である。
【図7】実施の形態2に係る接続構造の組立状態を示す断面図である。
【図8】PCBの配線と、FPCの配線とを重ね合わせたときの両者の位置と、貫通導電部材の位置との関係を概念的に示す平面図である。
【図9】ポリオレフィンへの官能基の付与の例を示す図である。
【図10】(a),(b)は、順に、異方導電性シート1の変形例1,2の構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 異方導電性シート
2 基膜
3 第一面
4 第二面
5 貫通孔
5a 内壁部
6 貫通導電部材
7 マスク層
8 めっき触媒
9 被覆層
20 PCB(第1部材)
21 リジッド基板
22 配線(第1導体)
25 枠部材
30 FPC(第2部材)
31 フレキシブル基板
32 配線(第2導体)
35 ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状の基膜と、
前記基膜に形成された貫通孔と、
前記貫通孔内に形成され、前記基膜を貫通する貫通導電部材とを備え、
前記基膜は、ホットメルト接着性を有する熱可塑性高分子樹脂からなる、接続部材。
【請求項2】
請求項1記載の接続部材において、
前記貫通導電部材は、前記貫通孔の内壁部に、無電解めっきを用いて形成されている、接続部材。
【請求項3】
請求項1または2記載の接続部材において、
前記基膜を構成する高分子樹脂は、ポリオレフィン樹脂,ポリ酢酸ビニル樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂,エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂,ポリビニルアルコール樹脂,エチレン−アクリル酸共重合樹脂,およびアイオノマー樹脂のうちから選ばれる1または2以上の樹脂を、少なくとも50重量%以上含む熱可塑性高分子樹脂である、接続部材。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の接続部材において、
前記基膜を構成する高分子樹脂は、水酸基,アミド基,アミノ基,カルボキシル基,およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する側鎖をグラフト重合させたものである、接続部材。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の接続部材において、
前記基膜は、多孔質高分子樹脂である、接続部材。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の接続部材において、
前記基膜は、放射線照射または化学反応により架橋されている、接続部材。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の接続部材と、
第1導体を有する第1部材と、
第2導体を有する第2部材と、
を備え、
前記第1導体と第2導体とは、前記接続部材の貫通導電部材を介して、互いに導通している、接続構造。
【請求項8】
熱可塑性高分子と核剤とを混合して、フィルム状の基膜を形成する工程(a)と、
前記工程(a)の後または前に、熱可塑性高分子を化学変性し、接着性が生じる官能基を付与する工程(b)と、
前記工程(a)及び(b)の後に、前記基膜を貫通する貫通孔を形成する工程(c)と、
前記工程(c)の後に、前記貫通孔の内壁部に貫通導電部材を設ける工程(d)と、
を含む接続部材の形成方法。
【請求項9】
請求項8記載の接続部材の形成方法において、
前記工程(b)では、水酸基,アミド基,アミノ基,カルボキシル基,およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する側鎖をグラフト重合させる、接続部材の形成方法。
【請求項10】
請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の接続部材と、第1導体を有する第1部材と、第2導体を有する第2部材とを用いて、接続構造を形成する方法であって、
前記第1部材の第1導体と、前記第2部材の第2導体との間に、前記接続部材を介在させるステップ(a)と、
前記接続部材の前記基膜を加熱溶融した後、冷却することにより、前記第1,第2部材と、接続部材とを接着させるステップ(b)と、
を含む接続構造の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−62103(P2010−62103A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229160(P2008−229160)
【出願日】平成20年9月6日(2008.9.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】