説明

接触型非接触型共用ICカード

【課題】 接触型非接触型共用ICカードにおいてアンテナコイルの接続強度を高め、かつ製造工程を簡略化できるICカードを提供する。
【解決手段】 本発明の接触型非接触型共用ICカードは、ICモジュール側の2つのアンテナコイル接続端子114と、カード基体側の2つのアンテナコイル接続端子14が、ICモジュール装着用凹部18内でそれぞれ対向して2つの接続部を形成している接触型非接触型共用ICカードにおいて、基体側アンテナコイル接続端子14もしくはICモジュール側アンテナコイル接続端子114上に双方の接続端子が連結しないように、導電性接着材料を設けて接続端子間の導通の確保とICモジュールの固定とがされていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルを用いて電磁誘導により通信を行う非接触型ICカードおよび接続端子を介して通信を行う接触型ICカードの機能を1つのICチップで実現する共用カード(以下「コンビカード」ともいう。)に関する。従って、主として上記共用カードに適用できるものであるが、非接触型ICカードであって、カード内にICチップを埋設する形式ではなく実装基板を有し、カード表面の装着用凹部内にICモジュールを装着してカード内部のアンテナコイルと接続して使用する非接触型ICカード単独用途のものにも適用できるものである。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、データの通信を接続端子を介して行う接触型ICカードと、コイルを通じて電磁誘導により通信を行う非接触型ICカードに分類され、主に、接触型ICカードは、決済用途、非接触型ICカードは、交通システム等のゲートアクセス管理に用いられている。また、近年、接触型ICカードの機能と非接触型ICカードの機能を1つのICチップで併せ持つICチップ(以下「コンビチップ」ともいう。)が開発されている。従来、このコンビチップを使用したコンビカードの製造に当たっては、コイルと接続端子が一体となったIC実装済み基板を塩化ビニール等の基材でラミネートしカード化を行う手法1(図8)や、アンテナコイルやコイル接続端子埋め込み済みカード基板を作製し、基板のIC装填部をNC加工等で削るとともにコイル接続端子を露出させ、ICチップ実装基板(COT、COB)に具備された接続端子とコイルの接続端子を接続してカード化を行う手法2(図9)が用いられている。
【0003】
上記従来手法についてさらに詳説する。図8は、従来の接触型非接触型共用ICカードの製造方法(手法1)を説明する図、図9は、従来の接触型非接触型共用ICカードの他の製造方法(手法2)を説明する図である。手法1の場合、図8(A)のように、まず、ICモジュール51、アンテナコイル53とアンテナコイル接続端子54が一体となったICモジュール実装済み基板521を準備し、当該基板を、IC装着用の開口58が形成されたコアシート522と、さらにコアシートを保護するオーバーシート523,524とを積層し、接着剤を介してまたは介さずに、プレス機により加圧加熱して一体のカード基体52に形成する(図8(B))。この場合、アンテナコイル53はフォトエッチングまたは導電性インキによるスクリーン印刷により基板521上にループを形成するように形成され、ICモジュール51との接続も予めなされている。また、外部装置接続端子512はオーバーシート523に予め形成された開口59から露出して外部装置とのデータ交信ができるようにされる。図8(B)は完成したカードの断面図であり、図8(C)は同平面図である。外部接装置続端子512がカード表面に現れるが、アンテナコイル53はカード表面に現れていない。
【0004】
手法2の場合、図9(A)のように、まず、アンテナコイル63やアンテナコイル接続端子64が形成されたセンターコアシート621を準備し、これにオーバーシート623,624を積層し、接着剤を介してまたは介さずに一体のカード基板に作製される(図9(B))。その後、ICモジュール61を装填する凹部68を座繰り加工、NC加工等により切削してカード基体内のアンテナコイル接続端子64を露出させる(図9(C))。
次に、ICチップ実装基板に具備された接続端子614と基体側のアンテナコイル接続端子64を半田等の導電性接着剤で接続するとともに、接続端子部以外の接着エリアに絶縁性接着剤を塗布してから、ICモジュール61を装填し接続および接着を行ってコンビカードを作製する(図9(D))。図9(E)は完成したカードの平面図であり、外部装置接続端子612がカード表面に現れるが、アンテナコイル63はカード表面に現れていない。
【0005】
しかし、上記手法1の場合は、ICを実装した後、熱圧プレスによりカード化を行うため、カード加工時にかかる物理的負荷によりICの動作不良が発生しやすいという問題がある。また、それに加えて、ICの機能以外のカード外観等の不良が発生した場合にも、当該不良によりICも含めて無駄になり、そのコスト分、余分に費用が発生するという問題がある。また、上記手法2の場合は、ICチップ実装基板のカードへの接着とともに、アンテナコイル接続端子との接続を行う必要があり、接着用の絶縁性材料と接続用の導電性材料を別々に塗布する工程を必要とし、IC側と基体側の接着用エリアや接続用エリアが正確に一致する必要があるため、カード内のコイル接続端子位置等の位置精度を良くする必要があるという問題が生じていた。
【0006】
本願に、関連する文献として以下がある。
【特許文献1】国際公開第97/035273号
【特許文献2】国際公開第98/007115号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明では、主として接触型/非接触型ICカードの双方の機能を備えるコンビカードにおいて、アンテナコイル接続端子サイズを大きくすることにより最適の接着材料を使用して、物理的強度の優れたICカードを実現するとともに、カード基体材質やIC実装基板材質の種類を問わずに製造工程を簡略化させることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の接触型非接触型共用ICカードの要旨は、ICモジュール側の2つのアンテナコイル接続端子と、カード基体側の2つのアンテナコイル接続端子が、ICモジュール装着用凹部内でそれぞれ対向して2つの接続部を形成している接触型非接触型共用ICカードにおいて、基体側アンテナコイル接続端子もしくはICモジュール側アンテナコイル接続端子上に双方の接続端子が連結しないように、導電性接着材料を設けて接続端子間の導通の確保とICモジュールの固定とがされていることを特徴とする接触型非接触型共用ICカード、にある。かかる接触型非接触型共用ICカードであるので、カード基体材質やIC実装基板材質に関わらず物理的強度が優れ、接続端子の接続の確実を図ったICカードとすることができる。
【0009】
上記において、前記導電性接着材料がクリーム半田、銀ペースト、異方性導電シート、もしくは異方性導電ペーストであるようにすることができ、ICモジュール側アンテナコイル接続端子の金属材料と基体側アンテナコイル接続端子の金属材料が同一材料からなる、ようにすることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のICカードの実施形態では、アンテナコイル接続端子を大面積にし、その接続とICモジュールの接着を導電性接着剤のみを用いて行っているので、物理的強度に優れたICカードとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明のICカードの実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の接触型非接触型共用ICカードの1実施形態を示す平面図である。図2は、図1のA−A線に沿った部分断面図を示す。コンビカード10が3層の基材から構成されている例を示している。図1の平面図ではコンビカードであるため外部装置接続端子112をカード表面に有するが、端子パターン形状等は省略されている。カード周囲に表示する鎖線はカード内部にアンテナコイル13が存在することを示している。
【0012】
アンテナコイル接続端子14はアンテナコイルの両端とICモジュールを接続するためICモジュール装着部に臨むように形成されている。本発明のコンビカードではアンテナコイル接続端子14の導電性と接着強度を確保するため、通常の場合のアンテナコイル接続端子よりも大面積に形成されていることが好ましい。この面積は十分な強度を確保するためには、ICモジュール装着用凹部内におけるアンテナコイル接続端子の合計面積(A)が3mm2 以上であることが好ましい。従って、当該アンテナコイルに接続するIC側アンテナコイル接続端子114も大面積に形成されていることが好ましく、ICモジュールのアンテナコイル接続端子の合計面積(a)が3mm2 以上であることが好ましい。
3mm2 以上とするのは、面積が3mm2 以下ではいずれの場合も十分な接着強度が得られない場合が生じるからである。
【0013】
図2のように、この実施形態ではコンビカード10のカード基体12はコアシート121とオーバーシート123,124から構成されているが、カードの基材構成は3層に限らることはない。モジュール装着部の凹部18は本実施形態では2段の深さに形成されていて、第1の凹部はアンテナコイル13が露出する深さに、第2の凹部はICモジュールのモールド樹脂115が埋設できる深さに形成されている。ただし、モジュール装着部の凹部形状は2段に限られることはなく、凹部形状の相違や外周部における溝が具備されていても構わない。第1の凹部の深さはまた、ICモジュール実装基板112等の厚みまたはオーバーシート123の厚みと実質的に同等程度の厚みとなるものである。
【0014】
ICモジュールの外部接装置続端子112の下面にはアンテナコイルとの接続端子114が形成されていて導電性接着剤19を介して基体側アンテナコイル接続端子14に接続している。従来のコンビカードでは、小面積のICモジュール側接続端子と基体側アンテナコイル接続端子とを導電性の接着剤で接続し、その周辺の他の部分を非導電性の通常の接着剤を使用してICモジュールを固定する方法を行っていたため、複雑な工程と精度の高さが必要であったが、本発明のコンビカードの実施形態ではアンテナコイル接続端子を大面積にしたため、導電性接着剤のみを用いてもICモジュールの固定と導通の確保ができるという利点がある。
【0015】
図3は、コンビチップによるICモジュールとICモジュール装着用凹部の例を示す図である。図3(A)は、ICモジュール外部装置接続端子の基板表面を示す図、図3(B)は、ICモジュール基板裏面を示す図、図3(C)は、ICモジュールの横断面図である。図3(D)は、カード基体に凹部を形成した際のICモジュール装着用凹部表面を示す図である。図3(A)のように外部接続端子112表面にはISO規格に基づき通常8個の端子C1〜C8が形成されているが、端子数は8個に限られることはなく、非接触型専用のICモジュールである場合は、端子パターンは持たなくても構わない。外部装置接続端子は通常、図3(A)のように長方形状に形成され、図1のようにカードの長辺と端子の長辺が平行するように配置される。
【0016】
図3(B)のように、アンテナ接続用のC9,C10端子は、ボンディングワイヤ113によりIC側アンテナコイル接続端子114に結線されている。C1〜C8端子がある場合は、それぞれ基板表面側端子板に同様にワイヤボンディング、スルーホール等により接続されるが図3ではその詳細は省略されている。ボンディング後、ICチップ111、ボンディングワイヤ113部分はモールド樹脂115により被覆して保護される。
本発明に使用するICモジュールでは、ICモジュールのアンテナコイル接続端子の合計面積(a)が大きく形成されており、3mm2 以上であることが好ましい。なお、図3(B)において、IC側アンテナコイル接続端子面積(a)は、左側の端子面積a1 と右側の端子面積a2 との合計面積となる。
【0017】
このようなICモジュールの端子基板は、ポリイミド、ガラスエポキシ等の絶縁性基板の両面に銅箔を貼り付け、前記基板にエッチング等の処理を用いて、表面に外部装置接触用端子を描き、裏面にコイル接続端子等の配線を描いた後、ニッケル、銅、金等のメッキを施す。この基板にICチップを実装し、金ワイヤー等でICチップと基板内に具備される接続配線との接続を行う。さらに、ICチップ周辺部をエポキシ系等の樹脂を用いて封止を行う。
【0018】
ICモジュールの接続端子に合わせて、ICモジュール装着用凹部内におけるアンテナコイル接続端子面積(A)も同様に大きく形成することが必要となり、3mm2 以上であることが好ましい。なお、図3(D)において、カード基体側アンテナコイル接続端子面積(A)は左側の端子面積A1 と右側の端子面積A2との合計面積となる。
【0019】
また、ICモジュール装着用凹部内におけるアンテナコイル接続端子14の形状は、その長辺がカードの短辺と平行にされている長方形状であることが好ましい。これは、ICカードはその長辺方向に曲げ応力を受け易く短辺と平行に接続している場合の方が接続部が応力を受けることが少なくその破壊を免れ易いからである。また、ICモジュールのアンテナコイルと接続する端子の金属材料とアンテナコイルの接続端子の金属材料は同一材料であることが好ましい。同一材料であれば導電性接着材料選択の範囲が広くなり強力に接着できる材料を使用できるからである。一般的には、銅材料にニッケル下地めっきをして金めっきした材料が好ましく用いられる。
【0020】
図4は、コンビチップによるICモジュールとICモジュール装着用凹部の他の例を示す図である。図4(A)は、モジュール基板裏面を示す図、図4(B)は、ICモジュールの横断面図である。図4(C)は、カード基体に凹部を形成した際のICモジュール装着用凹部表面を示す図である。図4(A)のように、アンテナ接続用のC9,C10端子は、ボンディングワイヤ113によりIC側接続端子114に結線されている。ボンディング後、ICチップ111、ボンディングワイヤ部分はモールド樹脂115により被覆して保護される。この例の場合は、ICモジュールのアンテナコイル接続端子面積(a=a1 +a2 )を非常に大きく形成することができる。
【0021】
同様に、ICモジュール装着用凹部内におけるアンテナコイル接続端子面積(A=A1 +A2 )も同様に非常に大きく形成することができる(図4(C))。導電性接着剤19の塗布領域は全域とする必要はなく、図4(C)のようにアンテナコイル接続端子上の一部の面積部分に限定しても前記のように3mm2 以上である限り問題は生じない。
【0022】
好適には、ICモジュール接続端子もしくはアンテナコイル接続端子上の導電性接着剤塗布領域以外の領域に絶縁性接着剤を塗布することにより、さらに物理的強度を高めることが可能となる。導電性接着剤19の塗布領域は、絶縁性接着剤を塗布することにより3mm2 以下であっても問題は生じない。
【0023】
次に、コンビカードの製造方法について説明する。図5は、接触型非接触型共用ICカードの製造工程を説明する図である。製造方法は基本的には前記した従来の手法2によるものであるが、アンテナコイル接続端子の形成やICモジュールの装着方法において従来法にない特徴がある。まず、図5(A)のように、アンテナコイル13のレイアウトやアンテナコイル接続端子14がフォトエッチングや導電性インキ等の印刷により描かれた塩化ビニール、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のコアシート121を準備する。カード基材には、塩化ビニール樹脂やPETの他、各種の材料を採用でき、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられる。
【0024】
上記工程は前記した従来の手法2と同様のものであるが、アンテナコイル接続端子14を大面積に形成する点で相違する。次に、これにオーバーシート123,124を積層して一体のカード基体を作製する(図5(B))。その後、ICモジュール11を装着する第1凹部181を座繰り加工、NC加工等により切削してカード内の接続端子14表面を露出させる(図5(C))。端子表面はできるだけ切削しないように表面を露出させることが好ましい。さらにICモジュールのモールド樹脂115部を埋設できる深さに第2凹部182を切削する(図5(D))。
【0025】
次に、ICチップ実装基板に具備されたチップ側アンテナコイル接続端子114と基体側コイル接続端子14を半田等の導電性接着剤で接続する。これには、アンテナコイル接続端子上に接続剤としてクリーム半田、銀ペースト等の導電性接着剤の塗布を行う。この塗布領域は短絡を生じないように少なくとも2つの領域に分割して行う。また、接続端子上の導電性接着剤塗布領域以外の部分に絶縁性接着剤シートを貼着しても良い。導電性接着剤塗布後、ICチップ実装基板を装着し、熱圧(例えば、180°C、20秒)を印加することによりICチップ実装基板とカード基体との接着およびアンテナコイルの接続を行う。クリーム半田等の場合180°C以上に加熱すれば溶融して接続するとともに導電性となるからである。
【0026】
導電性接着剤には、上記のようにクリーム半田、銀ペーストを使用することができる他、導電性接着シートや異方性導電シート、異方性導電ペースト、箔状金属半田等を使用することができる。またこれらの接着剤の塗布はカード基体側接続端子上であってもICモジュール側接続端子上であっても良い。絶縁性接着剤には熱硬化系や熱可塑系等の各種の接着剤や接着剤シートを使用することかできる。
【0027】
図6、図7は、ICモジュール埋設部の拡大断面図である。図6のように、第1凹部181は表面にアンテナコイル接続端子14が露出するように切削する。この切削はNC加工等により予め計算された基材厚みをカード表面から切削するようにする。第2凹部182は、ICモジュール11のモールド樹脂115部が埋設できる深さに切削する。次に、アンテナコイル接続端子14上に導電性接着剤19を塗布してからICモジュールを装着して加熱加圧する。この結果、図7のようにIC側のアンテナコイル接続端子114とカード基体側のアンテナコイル接続端子14とが導電性接着剤19を介して接続し導通が図られ、かつICモジュールをカード基体に固定することができる。
【0028】
製造方法の第1の実施形態では、アンテナコイル接続端子の面積が大きく形成されているので、接続端子部以外のエリアに絶縁性接着材料を塗布し接着を行う必要はなく、導電性接着材料のみで十分な接着強度と導電性が確保できる。また、同様にアンテナコイル接続端子の面積が大きいことから、接続端子付き基板装着部をNC加工等で削る工程、端子付きICモジュール基板を装着する工程における位置ずれに対する許容度が広がり、ICチップ実装基板をカードに装着する際の不良率が低減する効果が得られる。
【0029】
またさらに、製造方法の第1の実施形態では、前記手段を用いた場合、ICモジュールの凹部内におけるカードとの接触部において、接続端子用エリアの面積が大きくなり、ICモジュールのベース基板が接着する面積が小さくなることよりICチップ実装基板用ベース基板の材質種類やカード基材の材質種類によらず同一の材料を用いて接続および接着を行うことも可能となる。さらに好適には、カード内に具備するアンテナおよびアンテナコイル接続端子およびICチップ実装基板に具備する接続端子の材質を同種のものとすることにより常に最適の接着剤を選択して変更することなく使用することができる。
【0030】
製造方法の第2の実施形態では、アンテナコイル接続端子の面積が大きく形成されているので、接続端子上の導電性接着材料塗布領域以外の部分に絶縁性接着材料を塗布することも可能となり、さらに物理的強度を高めることが可能となる。
【0031】
また、製造方法の第2の実施形態では、前記手段を用いた場合、ICモジュールの装着用凹部内におけるカードとの接触部において、接続端子用領域の面積が大きくなり、ICモジュールのベース基板が接着する面積が小さくなることによりICチップ実装基板用ベース基板の材質種類やカード基材材質種類によらず、同一の接続材料および接着材料を用いて接続および接着を行うことも可能となる。さらに好適には、カード内に具備するアンテナコイル接続端子およびICチップ実装基板に具備する接続端子の材質を常に同種のものとすることにより、製造品目が変わっても常に最適の接着材料を選択して変更することなく使用することができる。
【実施例1】
【0032】
以下、本発明のコンビカードの実施例について説明する。
カード基材のコアシート121として、厚み400μmの白色硬質塩化ビニールシートに35μm厚の銅箔が積層された基材を使用し、フォトエッチング技術を用いてアンテナコイル13、アンテナコイル接続端子14を形成した。このコアシートに対して、厚み180μmの白色硬質塩化ビニールシート123,124のオーバーシートをコアシート121の上下に積層して熱融着によりアンテナコイル埋め込み済カード基体を製造した。なお、アンテナコイル13は線幅1mmとし、カード基体の外周にほぼ4回巻きとなるように形成した。またアンテナコイル接続端子14の大きさは、図3(D)のように、その一つが、2.0mm×3.0mmの大きさとなるようにし、その長辺がコンビカードの短辺に平行となるように配置した。アンテナコイル接続端子を形成した後、その表面にニッケル、金めっきを施した。
【0033】
次に、このコイルを埋め込み済カード基体のICモジュール装着部をNC加工により双方のアンテナコイルの金めっき面が現れる深さに第1凹部181を切削した。この段階で第1凹部の大きさは、11mm×13mm、深さは180μmであった。続いて、さらに双方のアンテナコイル接続端子間を大きさほぼ8.5mm×8.5mm、深さ600μmとなるように切削して第2凹部181をICモジュールのモールド樹脂が十分に埋設できる深さにした。
【0034】
一方、別にガラスエポキシ基板(サイズ11mm×13mm)の両面に銅箔を貼り付け、フォトエッチング処理を行って表面に外部装置接続端子を形成し、裏面にアンテナコイル接続端子をその一つが2.0mm×3.0mmの大きさになるように形成した。端子部分にニッケル、金めっきを施し、基板にコンビチップを実装した後、ワイヤボンディング、スルーホールを介して各外部装置接続端子との接続を行い、アンテナコイル接続端子との金ワイヤーによるワイヤボンディングを行った。さらに、ICチップ周辺部をエポキシ樹脂により封止した。封止部分の面積は8.2mm×8.2mm程度となった。
【0035】
このカード基板のアンテナコイル接続端子部分A1 ,A2 にクリーム半田(ニホンハンダ株式会社製)による導電性接着剤を塗布し、ICモジュールを装着した後、180°Cに20秒間加熱加圧し、コンビカードを完成した。
【実施例2】
【0036】
実施例1と同一の基材、同一のICモジュール、同一の導電性接着剤を使用してコンビカードを作製した。ただし、カード基体のアンテナコイル接続端子14の大きさは、図4(C)のように、その一つの大きさが35mm2 となるようにした。。また、ICモジュール側のアンテナコイル接続端子の大きさは、図4(A)のように、その一つの大きさが35mm2 となるようにした。この一つのアンテナコイル接続端子上に、2.0mm2 の面積にクリーム半田(日本ハンダ株式会社製)を塗布し、残りの部分に熱硬化系の絶縁性接着剤シート(東亜合成化学株式会社製)を貼着してICモジュールの装着を実施例1と同様に行った。なお、ICモジュールは実施例1と同一のものに上記面積の接続端子を形成したものを使用した。
【0037】
実施例1、実施例2で作製したコンビカードについて、以下のテストを行った。
(1)カード長辺方向の曲げ
たわみ量2cmで表方向と裏方向に各々毎分30回の割合で250回曲げる。
(2)カード短辺方向の曲げ
たわみ量1cmで表方向と裏方向に各々毎分30回の割合で250回曲げる。その結果、実施例1、実施例2のコンビカードでは、ICモジュール埋設部の脱落やアンテナコイルの接続不良は生じなかった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の接触型非接触型共用ICカードの1実施形態を示す図である。
【図2】接触型非接触型共用ICカードの部分断面を示す図である。
【図3】コンビチップによるICモジュールとICモジュール装着用凹部の例を示す図である。
【図4】コンビチップによるICモジュールとICモジュール装着用凹部の他の例を示す図である。
【図5】接触型非接触型共用ICカードの製造工程を説明する図である。
【図6】ICモジュール埋設部の拡大断面図である。
【図7】ICモジュール埋設部の拡大断面図である。
【図8】従来の接触型非接触型共用ICカードの製造方法を説明する図である。
【図9】従来の接触型非接触型共用ICカードの他の製造方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0039】
10 ICカード
11 ICモジュール
12 カード基体
13 アンテナコイル
14 アンテナコイル接続端子
18 ICモジュール装着用凹部
19 導電性接着剤
52,62 カード基体
53,63 アンテナコイル
54,64 アンテナコイル接続端子
58 ICモジュール装着用開口
68 ICモジュール装着用凹部
111 ICチップ
112 外部装置接続端子
113 ボンディングワイヤ
114 IC側アンテナコイル接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICモジュール側の2つのアンテナコイル接続端子と、カード基体側の2つのアンテナコイル接続端子が、ICモジュール装着用凹部内でそれぞれ対向して2つの接続部を形成している接触型非接触型共用ICカードにおいて、基体側アンテナコイル接続端子もしくはICモジュール側アンテナコイル接続端子上に双方の接続端子が連結しないように、導電性接着材料を設けて接続端子間の導通の確保とICモジュールの固定とがされていることを特徴とする接触型非接触型共用ICカード。
【請求項2】
前記導電性接着材料がクリーム半田であることを特徴とする請求項1記載の接触型非接触型共用ICカード。
【請求項3】
前記導電性接着材料が銀ペーストであることを特徴とする請求項1記載の接触型非接触型共用ICカード。
【請求項4】
前記導電性接着材料が異方性導電シートもしくは異方性導電ペーストであることを特徴とする請求項1記載の接触型非接触型共用ICカード。
【請求項5】
ICモジュール側アンテナコイル接続端子の金属材料と基体側アンテナコイル接続端子の金属材料が同一材料からなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項記載の接触型非接触型共用ICカード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−269648(P2008−269648A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193934(P2008−193934)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【分割の表示】特願平10−360473の分割
【原出願日】平成10年12月18日(1998.12.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】