接近警報装置
【課題】充電部に最も近い部位における接近距離に基づいて作業者の接近を検知する。接近距離の測定の精度を向上させる。小型化する。
【解決手段】インパルス信号3の送信タイミングとインパルス信号3の反射波の受信タイミングに基づいて作業者6の接近距離dを算出すると共に、接近距離dと記憶手段に予め記憶している接近限界距離dmaxとをインパルス信号3に重畳して送信する接近距離検出手段8と、インパルス信号3を受信し、接近距離dが接近限界距離dmaxよりも短い場合に作動する警報手段9とを備え、接近距離検出手段8は充電部11の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動するものである。
【解決手段】インパルス信号3の送信タイミングとインパルス信号3の反射波の受信タイミングに基づいて作業者6の接近距離dを算出すると共に、接近距離dと記憶手段に予め記憶している接近限界距離dmaxとをインパルス信号3に重畳して送信する接近距離検出手段8と、インパルス信号3を受信し、接近距離dが接近限界距離dmaxよりも短い場合に作動する警報手段9とを備え、接近距離検出手段8は充電部11の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接近警報装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば感電の虞がある電気設備の周囲で作業を行う場合にUWB(Ultra Wide Band)技術を利用して作業者の充電部への接近の検知とその警報を行う接近警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特別高圧・高圧の電気設備の作業時には、不注意や思い違いにより作業者が充電部に誤って接近し接触するのを防止する必要がある。このため、従来、検電器を使用していた。つまり、検電器は電気設備の印加電圧による静電誘導により動作するものであり、この検電器をヘルメットや安全靴に内蔵し、これを着用した作業者が接近限界距離を超えて充電部に近づいた場合に検電器が動作し、ヘルメットや安全靴に装着したランプやブザー等を作動させて警報を発するようにしている。
【0003】
検電器を内蔵したヘルメットとして、例えば特開平11−012842号公報に開示されたものがある。このヘルメットは、図10〜図12に示すように、ヘルメット本体101にテープ状の検出電極部102a、102bを張り付けると共に、非接触式検電器103を取り付けている。検出電極部102a、102bはヘルメット本体101の後部でクロスしており、電気的に接続されている。検出電極部102aは非接触式検電器103の入力端に接続されている。また、非接触式検電器103の出力端にはリード線104によってLED105が接続されている。また、ヘルメット本体101には後述するブザー111も取り付けられている。
【0004】
図12において、符号106は先端検知部となる検出電極部102aに接続された電圧レベル検出部であり、電圧レベル検出部106は検出電極部102aにより検出された対象電線との電位が感度調整用抵抗器107により感度設定された電位を超えると出力信号を送出する。電圧レベル検出部106から出力信号を受けたフリッカ発生部108はフリッカ信号を出力し、音響周波発振器109は音響周波数信号を出力する。これにより、表示器(LED)110がフリッカ点灯し、ブザー111が鳴動し、作業者に警報を発する。
【0005】
【特許文献1】特開平11−012842号
【特許文献2】特開平09−191905号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら検電器を使用した方法では、検電器を装着した部位における静電誘導しか検出することができなかった。このため、たとえ検電器を内蔵したヘルメットや安全靴を作業者が身につけていたとしても、例えば腕などを伸ばした場合にその指先が接近限界距離を超えて充電部に接近することがあり、このような場合に対応することができなかった。
【0007】
また、静電誘導を利用した検電器では、その原理上、充電部の形状や位置などの影響により電界強度が安定せず、接近距離の検出精度が変動するという問題があった。
【0008】
さらに、検電器が作動する電界強度を調節することができないので、検電する電気設備の電圧階級に応じて、使用する検電器を使い分ける必要があった。また、対象となる電圧が高くなると検電器が大きくなり、ヘルメット等に内蔵できない等の装着の支障となると共に、作業性を悪化させていた。
【0009】
本発明は、充電部に最も近い部位における接近距離を計測できる接近警報装置を提供することを目的とする。また、本発明は、接近距離の測定精度に優れ、小型化が可能な接近警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の接近警報装置は、インパルス信号の送信タイミングとインパルス信号の反射波の受信タイミングに基づいて作業者の接近距離を算出すると共に、接近距離と記憶手段に予め記憶している接近限界距離とをインパルス信号に重畳して送信する接近距離検出手段と、インパルス信号を受信し、接近距離が接近限界距離よりも短い場合に作動する警報手段とを備え、接近距離検出手段は充電部の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動するものである。
【0011】
接近距離検出手段は、インパルス信号の送受信による測距機能と、インパルス信号にデータを重畳して送信することによる通信機能を有している。測距機能では、インパルス信号が作業者に当たって反射することを利用するので、作業者までの距離(作業者の接近距離)として作業者の最も近い部位との間の距離を測ることができる。接近距離検出手段は、測距機能によって求めた接近距離と、予め設定されている接近限界距離とを通信機能によって警報手段に送信する。警報手段は、受信したインパルス信号から接近距離のデータと接近限界距離のデータとを復元し、これらを比較する。そして、接近距離が接近限界距離よりも短い、即ち接近限界距離を超えて作業者が充電部に近づいた場合に警報を発し、作業者の注意を喚起する。
【0012】
また、請求項2記載の接近警報装置は、インパルス信号の送信タイミングとインパルス信号の反射波の受信タイミングに基づいて作業者の接近距離を算出すると共に、接近距離と記憶手段に予め記憶している接近限界距離とを比較して接近距離が接近限界距離よりも短い場合に警報信号をインパルス信号に重畳して送信する接近距離検出手段と、インパルス信号を受信し、警報信号の受信によって作動する警報手段とを備え、接近距離検出手段は充電部の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動するものである。
【0013】
接近距離検出手段は、インパルス信号の送受信による測距機能と、インパルス信号にデータを重畳して送信することによる通信機能を有している。測距機能では、インパルス信号が作業者に当たって反射することを利用するので、作業者の接近距離として作業者の最も近い部位との間の距離を測ることができる。接近距離検出手段は、測距機能によって求めた作業者の接近距離と予め設定されている接近限界距離とを比較する。そして、接近距離が接近限界距離よりも短い場合、即ち接近限界距離を超えて作業者が充電部に近づいた場合に通信機能によって警報信号を警報手段に送信する。警報手段は、受信したインパルス信号に警報信号が重畳されている場合に警報を発し、作業者の注意を喚起する。
【0014】
また、請求項3記載の接近警報装置は、インパルス信号の送信タイミングとインパルス信号の反射波の受信タイミングに基づいて作業者の接近距離を算出すると共に、接近距離をインパルス信号に重畳して送信する接近距離検出手段と、インパルス信号を受信し、接近距離と記憶手段に予め記憶している接近限界距離とを比較して接近距離が接近限界距離よりも短い場合に作動する警報手段とを備え、接近距離検出手段は充電部の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動するものである。
【0015】
接近距離検出手段は、インパルス信号の送受信による測距機能と、インパルス信号にデータを重畳して送信することによる通信機能を有している。測距機能では、インパルス信号が作業者に当たって反射することを利用するので、作業者の接近距離として作業者の最も近い部位との間の距離を測ることができる。接近距離検出手段は、測距機能によって求めた作業者の接近距離を通信機能によって警報手段に送信する。警報手段は、受信したインパルス信号から接近距離のデータを復元し、予め設定されている接近限界距離と比較する。そして、接近距離が接近限界距離よりも短い、即ち接近限界距離を超えて作業者が充電部に近づいた場合に警報を発し、作業者の注意を喚起する。
【0016】
また、請求項4記載の接近警報装置は、警報手段を作業者が装着する部材に取り付けている。したがって、警報手段を作業者が常に携帯することができる。
【0017】
また、請求項5記載の接近警報装置は、警報手段を作業場に設置している。したがって、作業者が警報手段を携帯していなくても、警報手段のある環境で作業を行うことができる。
【0018】
また、請求項6記載の接近警報装置は、接近距離検出手段が充電部に直接取り付けられている。したがって、接近距離検出手段への接近距離と充電部への接近距離とを一致させることができる。
【発明の効果】
【0019】
しかして、請求項1記載の接近警報装置では上述のように構成しているので、作業者の接近距離検出手段に最も近い部位における接近距離を測ることができる。例えば、接近距離検出手段のある方向に向けて手を伸ばした場合には指先との間の距離を測ることできる。このため、作業者の接近距離を正確に測ることができ、例えば作業者が場所を移動せずに手のみを伸ばした場合等にも警報を発して作業者の注意を喚起することができる。また、インパルス信号の送受信による測距機能は原理的に高精度であり、また、充電部の形状や位置などによって変化する電界強度の影響を受けずに距離の計測が可能であるので、作業者の接近距離を高精度に安定的に測ることができ、信頼性の高い警報を行うことができる。さらに、警報手段は、接近距離検出手段が送信したインパルス信号を受信して警報を発するので、検電器に比べて小型化が可能であり、作業者への装着に便利な警報手段を提供することができる。そして、充電部の電圧階級に応じた接近限界距離を予め設定しておくことで、様々な電圧階級の電気設備に対応することができ、汎用性に優れた接近警報装置を提供することができる。
【0020】
これらの効果を奏することは、請求項2記載の接近警報装置、請求項3記載の接近警報装置についても同様である。
【0021】
また、請求項4記載の接近警報装置では、警報手段を作業者が装着する部材に取り付けているので、警報手段の携帯が容易であり、作業の邪魔にならずに警報手段を常に携帯することができる。
【0022】
さらに、請求項5記載の接近警報装置では、警報手段を作業場に設置するので、作業者が警報手段を携帯していなくても、警報手段のある環境で作業を行うことができる。
【0023】
また、請求項6記載の接近警報装置では、接近距離検出手段が充電部に直接取り付けられているので、接近距離検出手段への接近距離と充電部への接近距離とが一致し、充電部への接近距離(充電部からの離隔距離)をより正確に測定するのが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0025】
本発明の接近警報装置は、UWB技術を利用している。まず最初にUWB技術について説明する。基本的にUWB技術は情報をインパルス信号として送信することで、超広帯域の周波数帯域幅を占有し、短距離での超高速通信を実現する無線方式である。例えば図8に示すように、送信するデータをUWB無線機(送信)1の送受信アンテナ2から、送信波のようなインパルス信号3として送信する。そのインパルス信号3をUWB無線機(受信)4の送受信アンテナ5で受信し、データとして復元する(通信機能)。
【0026】
また、UWB技術はインパルス信号を送信することから、レーダとして利用し、同時に測距を行うことが可能である。例えば図9に示すように、UWB無線機1の送受信アンテナ2からインパルス信号3による送信波を送信する。この送信波が作業者6をはじめとする測定対象物により反射し、反射波7がUWB無線機1の送受信アンテナ2により受信される。この送受信の時間差(送受信のタイミング差)がΔt[s]である場合、それらの接近距離d[m]は、d=(Δt×3×108)/2で算出することができる(測距機能)。
【0027】
さらにUWB技術は通常の無線方式とは異なり、キャリア信号を必要としないことから、無線回路の簡略化が可能で、低消費電力で小型のチップ状の無線機などが実現可能である。
【0028】
図1〜図7に、本発明の接近警報装置の実施形態の一例を示す。接近警報装置は、インパルス信号3の送信タイミングとインパルス信号3の反射波7の受信タイミングに基づいて作業者6の接近距離dを算出すると共に、接近距離dと記憶手段であるメモリ31に予め記憶している接近限界距離dmaxとをインパルス信号3に重畳して送信する接近距離検出手段8と、インパルス信号3を受信し、接近距離dが接近限界距離dmaxよりも短い場合に作動する警報手段9とを備え、接近距離検出手段8は充電部11の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動するものである。接近距離検出手段8が上述のUWB無線機1の機能を有し、警報手段9が上述のUWB無線機4の機能を有している。
【0029】
接近警報装置は、例えば感電の虞がある電気設備の周囲で作業を行う場合に使用されるもので、作業者6が誤って充電部11に触れるのを未然に防止するものである。電気設備の充電部11にチップ状に形成した接近距離検出手段8を直接取り付けている。本実施形態では、複数の接近距離検出手段8を充電部11に取り付けている。接近距離検出手段8は充電部11からの電磁誘導により電源を取得し、定期的にインパルス信号3を送信し、測距機能により作業者6との接近距離dを測定する。同時に、測定で得られた接近距離dとあらかじめ設定された接近限界距離dmax[m]を、送信するインパルス信号3に重畳して送信する。また、接近距離検出手段8は電磁誘導により電源を取得することから、充電部11に電気が流れていない場合、即ち電圧のかかっている部分である充電部11が電圧のかかっていない部分(非充電部12)となった場合には、接近距離検出手段8は動作せずインパルス信号3を送信しない。
【0030】
本実施形態では、警報手段9を作業者6が装着する部材、例えばヘルメットに取り付けるヘルメット型の警報機とすると共に、作業場10に設置する据付型の警報機としている。このように、警報手段9としてヘルメット型警報機と据付型警報機の両方を一緒に使用しても良く、いずれか一方の使用でも良く、作業内容等に応じて適宜選択することができる。
【0031】
警報手段9は、接近距離検出手段8が送信したインパルス信号3を受信し、作業者6と接近距離検出手段8が取り付けられた充電部11との接近距離dが接近限界距離dmaxよりも小さくなった場合に、作業者6に対してそれ以上充電部11に近づかないように警報する。
【0032】
図2に、接近距離検出手段8を示す。接近距離検出手段8はチップ状に形成されており、UWB送受信部13と電源部14で構成されている。電源部14は充電部11からの電磁誘導により起電力を生じ、UWB送受信部13に対して電源を供給する。
【0033】
図3に、UWB送受信部13の回路構成を示す。制御部20はUWB送受信部13の全体を制御するが、定期的に遅延時間算出部21を制御して、スタート信号をクロック発生部22に伝達させる。クロック発生部22はスタート信号に応じてクロックを発生し、符号生成部23に伝達する。符号生成部23は記憶手段であるメモリ31から伝達されるデータおよびクロックに基づいて符号を生成し、パルス生成部24に伝達する。
【0034】
パルス生成部24は、符号生成部23からの符号によりインパルス信号3を変調し、アンテナ共用器25を介して送受信アンテナ26から送信する。同時に、変調に用いたインパルス信号3を相関部27へ伝達する。
【0035】
さらにUWB送受信部13は、作業者6によって反射されたインパルス信号3(反射波7)を送受信アンテナ26で受信し、これをアンテナ共用器25を介して相関部27へ伝達する。相関部27はパルス生成部24から伝達されるインパルス信号3と反射波7との相関を検出し、その相関値を検波部28へ伝達する。ピーク検出部29では、相関値から反射波7を受信したタイミングを検出し、受信タイミング信号を遅延時間算出部21へ伝達する。
【0036】
遅延時間算出部21では、スタート信号を送信したタイミングと反射波7を受信したタイミングから遅延時間Δtを算出し、距離算出部30へ伝達する。距離算出部30では遅延時間Δtから充電部11と作業者6との接近距離dを算出し、メモリ31に伝達する。メモリ31には予め接近限界距離dmaxを設定しておき、インパルス信号3を送信するタイミングに合わせて、メモリ31から符号生成部23に接近距離dと接近限界距離dmaxを伝達し、インパルス信号3に重畳させて送信する。
【0037】
メモリ31への接近限界距離dmaxの設定は入力部15の操作によって行う。入力部15は、例えばスイッチである。メモリ31には接近限界距離dmaxの候補値として複数の値が予め記憶されており、入力部15のスイッチ操作によって候補値の中から接近限界距離dmaxを選択する。作業者は、充電部11の電圧階級等に応じて接近限界距離dmaxを選択する。
【0038】
図4に、警報手段9として、作業者6が装着するヘルメット型警報機(以下、ヘルメット型警報機9Aという)を示す。UWB受信・制御部32はチップ状に形成されており、充電部11に取り付けられた接近距離検出手段8からのインパルス信号3を受信する。UWB受信・制御部32はインパルス信号3に重畳されたデータから、作業者6と充電部11との接近距離dと接近限界距離dmaxとを比較する。そして、接近距離dが接近限界距離dmaxよりも小さくなった場合、ブザー33を鳴動させたり、LED34を点灯させたりすることで、作業者6に対してこれ以上充電部11に接近しないよう警報する。ボタン型電池35はUWB受信・制御部32、ブザー33およびLED34に対して電源を供給する。
【0039】
図5に、警報手段9として、据付型の警報機(以下、据付型警報機9Bという)を示す。据付型警報機9Bは特に小型である必要がないため、UWB受信・制御部32は、チップ状のものでも、10cm長程度の無線機型のものでも良い。ヘルメット型警報機9Aと同様に、UWB受信・制御部32は、充電部11に取り付けられた接近距離検出手段8からのインパルス信号3を受信し、重畳されたデータから、ブザー33を鳴動させたり、回転灯37を点灯させたりすることで、作業者6に対して警報する。動作電源は商用電源38から取得する。
【0040】
図6に、UWB受信・制御部32の回路構成を示す。なお、図6では、便宜上、ヘルメット型警報機9Aのブザー33及びLED34と据付型警報機9Bのブザー33及び回転灯37を一緒に記載しているが、実際には、ヘルメット型警報機9Aはブザー33及びLED34を有しており、据付型警報機9Bはブザー33及び回転灯37を有している。制御部39はUWB受信・制御部32の全体を制御する。クロック発生部40はクロックを発生し、符合生成部41に伝達する。符号生成部41はクロックに基づいて符号を生成し、パルス生成部42に伝達する。パルス生成部42は、符号生成部41からの符号によりインパルス信号3を変調し、相関部45へ伝達する。
【0041】
受信アンテナ43は、接近距離検出手段8から送信されたインパルス信号3を受信し、これをアンテナ共用器44を介して相関部45へ伝達する。相関部45はパルス生成部42から伝達されるインパルス信号3と受信波との相関を検出し、その相関値を検波部46へ伝達する。検波部46では、相関値からデータを復元し、接近状況診断部47へ伝達する。
【0042】
接近状況診断部47では、データから作業者6と充電部11の接近距離dと接近限界距離dmaxを比較する。そして、接近距離dが接近限界距離dmaxより小さくなったことを判断すると、ヘルメット型警報機9Aの場合はブザー33およびLED34を動作させ、据付型警報機9Bの場合はブザー33および回転灯37を動作させ、作業者6に対してこれ以上充電部11に近づかないように警報する。
【0043】
図7に、本発明の接近警報装置の警報発生処理手順を示す。接近距離検出手段8は、ルーチンRT11の開始ステップから入ってステップSP11に移り、あらかじめ接近限界距離dmaxをメモリ31内に設定する。
【0044】
次のステップSP12ではインパルス信号3(UWB信号)を送信するとともに、反射波7の受信を待つ。ステップSP13では反射波7を受信したか否かを判断し、受信しなかったと判断した場合、ステップSP12に戻る。一方、受信したと判断した場合、SP14へ進む。
【0045】
ステップSP14では、インパルス信号3の送信タイミングと受信タイミングの時間差Δtに基づいて接近距離dを算出する。ステップSP15では、接近距離dと接近限界距離dmaxのデータをステップSP12のインパルス信号3に重畳して送信する。
【0046】
ヘルメット型警報機9Aおよび据付型警報機9Bは、ルーチンRT21の開始ステップから入ってステップSP21に進む。ステップSP21では、ステップ12からのインパルス信号3を受信する。ステップSP22では受信したデータである、作業者6と充電部11の接近距離dが接近限界距離dmaxよりも小さいか否かを判断する。
【0047】
ステップSP22において、接近距離dが接近限界距離dmaxよりも小さくないと判断した場合(NO)はステップSP21に戻る。これに対して、ステップSP22において接近距離dが接近限界距離dmaxよりも小さいと判断した場合(YES)はSP23へ進む。
【0048】
ステップSP23では、ブザー33を鳴動させたり、LED34、回転灯37を点灯させたりすることで作業者6に対して警報し、ステップSP21に戻る。
【0049】
接近距離検出手段8は、UWB信号であるインパルス信号3が作業者6に当たって反射することを利用して作業者6の接近距離dを測るので、接近距離dとして、作業者6の最も充電部11に近い部位と充電部11との間の距離を測ることできる。例えば、作業者6が充電部11に向けて手を伸ばした場合には、その指先と充電部11との間の距離を測ることができる。このため、例えば作業者6が場所を移動せずに手を伸ばした場合等にも接近距離dを正確に測ることができる。
【0050】
また、インパルス信号3の送受信による距離の測定は原理的に高精度である。そして、検電器のように充電部11の形状や位置などに起因した電界強度の変化に影響を受けずに距離を測ることができる。これらのため、作業者6の接近距離を高精度に且つ安定的に測ることができ、警報の信頼性を高めることができる。
【0051】
また、接近距離検出手段8を充電部11に直接取り付けているので、作業者6の接近距離検出手段8への接近距離と充電部11への接近距離とが一致し、充電部11への接近距離(充電部からの離隔距離)をより正確に測定するのが容易になる。
【0052】
また、警報手段9のUWB受信・制御部32をチップ状に形成することができるので、警報手段9を小型化、軽量化することができる。このため、警報手段9をヘルメット型警報機9Aにするのが容易であり、携帯に便利な警報手段9を提供することができる。そして、警報手段9を小型化、軽量化することできるので、警報手段9が作業の邪魔になり難く、作業効率の悪化を防止することができる。
【0053】
また、接近距離検出手段8をチップ状に形成することができるので、その設置に場所をとらない。このため、色々な場所に設置でき、設置場所の選択の自由度が向上する。
【0054】
また、接近距離検出手段8は作業者6との間の距離を測るので、警報手段9を据付型の警報機9Bにすることもできる。即ち、従来のように検電器を利用する場合には、作業者6が検電器を常に携帯している必要があったが、本発明の接近警報装置では、警報手段9を作業者6が携帯していなくても良い。このため、警報手段9を常に携帯することの煩わしさから作業者6を解放することも可能である。
【0055】
さらに、予めメモリ31に記憶させておく接近限界距離dmaxの値を変えることで、警報手段9が作動する作業者6の接近距離dを変化させることできる。このため、充電部11の電圧階級等に応じて接近限界距離dmaxを変化させることで、様々な電圧階級の電気設備に対応することができ、接近警報装置の汎用性を向上させることができる。
【0056】
また、接近距離検出手段8は充電部11との間の電磁誘導による誘導電流で作動するので、特別な電源を不要にできる。また、電源として電池を使用する場合のように電池切れを心配する必要もなく、使い勝手に優れている。さらに、接近距離検出手段8を作動させる必要があるのは充電部11に電流が流れている場合(接近距離検出手段8を設置した位置が充電部11となっている場合)であるが、この場合には必ず接近距離検出手段8を作動させることができる。その一方、接近距離検出手段8を作動させる必要のない場合(接近距離検出手段8を設置した位置が非充電部12となっている場合)には、接近距離検出手段8が作動することがないので、余分なインパルス信号3の発生を防止することができる。
【0057】
また、接近距離検出手段8がインパルス信号3を送信する出力を調整することで、インパルス信号3を受信できる範囲を制御しても良い。つまり、インパルス信号3を受信できる範囲では全ての作業者6の警報手段9が警報を発することになるが、インパルス信号3の送信出力を調整することで、警報を発することが必要となる作業者6の数を制限することができる。
【0058】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述の説明では、送信側である接近距離検出手段8で測定した接近距離dと予め設定した接近限界距離dmaxを送信し、受信側である警報手段9で作業者6の接近を判断し警報するようにしたが、必ずしもこの構成に限るものではない。例えば、送信側である接近距離検出手段8で作業者6の接近を判断したあと警報信号を送信し、受信側である警報手段9は警報信号の受信をもって警報することも考えられる。即ち、インパルス信号3の送信タイミングとインパルス信号3の反射波7の受信タイミングに基づいて作業者6の接近距離dを算出すると共に、接近距離dと記憶手段であるメモリ31に予め記憶している接近限界距離dmaxとを比較して接近距離dが接近限界距離dmaxよりも短い場合に警報信号をインパルス信号3に重畳して送信する接近距離検出手段8と、インパルス信号3を受信し、警報信号の受信によって作動する警報手段9とを備え、接近距離検出手段8は充電部11の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動する接近警報装置としても良い。この場合にも、図1〜図7の接近警報装置と同じ効果を奏することができる。
【0059】
また、予め設定する接近限界距離dmaxを受信者側である警報手段9に記憶させるようにしても良い。つまり、送信側である接近距離検出手段8で測定した接近距離dを送信し、受信者側である警報手段9で受信した接近距離dと予め設定した接近限界距離dmaxとを比較して作業者6の接近を判断し警報することも考えられる。即ち、インパルス信号3の送信タイミングとインパルス信号3の反射波7の受信タイミングに基づいて作業者6の接近距離dを算出すると共に、接近距離dをインパルス信号3に重畳して送信する接近距離検出手段8と、インパルス信号3を受信し、接近距離dと記憶手段に予め記憶している接近限界距離dmaxとを比較して接近距離dが接近限界距離dmaxよりも短い場合に作動する警報手段9とを備え、接近距離検出手段8は充電部11の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動する接近警報装置としても良い。この場合にも、図1〜図7の接近警報装置と同じ効果を奏することができる。
【0060】
また、上述の説明では、作業者6が装着する警報手段9がヘルメット型の警報機9Aであったが、ヘルメット型の警報機9Aに限るものではない。例えば、リストバンドや腰ベルトに取り付けて身体に装着する警報機9Aでも良く、作業着に収納用ポケットを形成してここに収納することで身体に装着する警報機9A等でも良い。または、作業靴等に取り付けることで身体に装着する警報機9A等でも良い。
【0061】
また、上述の説明では、接近距離検出手段8を充電部11に直接取り付けていたが、間接的に取り付けも良く、あるいは充電部11の周辺に設置するようにしても良い。つまり、接近距離検出手段8は充電部11の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導により電源を確保できれば、充電部11に直接取り付けなくても良い。
【0062】
また、上述の説明では、接近距離検出手段8を複数設けていたが、作業現場によっては接近距離検出手段8の数は1つでも良い。
【0063】
さらに、上述の説明では、警報手段9はブザー33、LED34,回転灯37を作動させることで作業者に警報を発していたが、これらに限るものではなく、バイブレータ等、人間の五感のいずれかを刺激する手段を使用しても良い。
【0064】
また、上述の説明では、入力部15をスイッチとし、スイッチ操作によってメモリ31に予め記憶しておいた複数の候補値の中から1つの接近限界距離dmaxを選択するようにしていたが、この構成に限るものではない。例えば、入力部15をキーボードとし、接近限界距離dmaxの値をメモリ31に直接入力するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の接近警報装置を示す概略構成図である。
【図2】接近距離検出手段の構成を示す図である。
【図3】UWB送受信部の回路構成を示すブロック図である。
【図4】ヘルメット型警報機を示す図である。
【図5】据付型警報機を示す斜視図である。
【図6】UWB受信部の回路構成を示すブロック図である。
【図7】警報発生処理手順を示すフローチャートである。
【図8】UWB技術のインパルス信号による通信機能を説明するための図である。
【図9】UWB技術のインパルス信号による測距機能を説明するための図である。
【図10】従来の安全ヘルメットの平面図である。
【図11】従来の安全ヘルメットの側面図である。
【図12】従来の安全ヘルメットの非接触式検電器の回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0066】
3 インパルス信号
6 作業者
7 インパルス信号の反射波
8 接近距離検出手段
9 警報手段
10 作業場
11 充電部
31 メモリ(記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、接近警報装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば感電の虞がある電気設備の周囲で作業を行う場合にUWB(Ultra Wide Band)技術を利用して作業者の充電部への接近の検知とその警報を行う接近警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特別高圧・高圧の電気設備の作業時には、不注意や思い違いにより作業者が充電部に誤って接近し接触するのを防止する必要がある。このため、従来、検電器を使用していた。つまり、検電器は電気設備の印加電圧による静電誘導により動作するものであり、この検電器をヘルメットや安全靴に内蔵し、これを着用した作業者が接近限界距離を超えて充電部に近づいた場合に検電器が動作し、ヘルメットや安全靴に装着したランプやブザー等を作動させて警報を発するようにしている。
【0003】
検電器を内蔵したヘルメットとして、例えば特開平11−012842号公報に開示されたものがある。このヘルメットは、図10〜図12に示すように、ヘルメット本体101にテープ状の検出電極部102a、102bを張り付けると共に、非接触式検電器103を取り付けている。検出電極部102a、102bはヘルメット本体101の後部でクロスしており、電気的に接続されている。検出電極部102aは非接触式検電器103の入力端に接続されている。また、非接触式検電器103の出力端にはリード線104によってLED105が接続されている。また、ヘルメット本体101には後述するブザー111も取り付けられている。
【0004】
図12において、符号106は先端検知部となる検出電極部102aに接続された電圧レベル検出部であり、電圧レベル検出部106は検出電極部102aにより検出された対象電線との電位が感度調整用抵抗器107により感度設定された電位を超えると出力信号を送出する。電圧レベル検出部106から出力信号を受けたフリッカ発生部108はフリッカ信号を出力し、音響周波発振器109は音響周波数信号を出力する。これにより、表示器(LED)110がフリッカ点灯し、ブザー111が鳴動し、作業者に警報を発する。
【0005】
【特許文献1】特開平11−012842号
【特許文献2】特開平09−191905号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら検電器を使用した方法では、検電器を装着した部位における静電誘導しか検出することができなかった。このため、たとえ検電器を内蔵したヘルメットや安全靴を作業者が身につけていたとしても、例えば腕などを伸ばした場合にその指先が接近限界距離を超えて充電部に接近することがあり、このような場合に対応することができなかった。
【0007】
また、静電誘導を利用した検電器では、その原理上、充電部の形状や位置などの影響により電界強度が安定せず、接近距離の検出精度が変動するという問題があった。
【0008】
さらに、検電器が作動する電界強度を調節することができないので、検電する電気設備の電圧階級に応じて、使用する検電器を使い分ける必要があった。また、対象となる電圧が高くなると検電器が大きくなり、ヘルメット等に内蔵できない等の装着の支障となると共に、作業性を悪化させていた。
【0009】
本発明は、充電部に最も近い部位における接近距離を計測できる接近警報装置を提供することを目的とする。また、本発明は、接近距離の測定精度に優れ、小型化が可能な接近警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の接近警報装置は、インパルス信号の送信タイミングとインパルス信号の反射波の受信タイミングに基づいて作業者の接近距離を算出すると共に、接近距離と記憶手段に予め記憶している接近限界距離とをインパルス信号に重畳して送信する接近距離検出手段と、インパルス信号を受信し、接近距離が接近限界距離よりも短い場合に作動する警報手段とを備え、接近距離検出手段は充電部の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動するものである。
【0011】
接近距離検出手段は、インパルス信号の送受信による測距機能と、インパルス信号にデータを重畳して送信することによる通信機能を有している。測距機能では、インパルス信号が作業者に当たって反射することを利用するので、作業者までの距離(作業者の接近距離)として作業者の最も近い部位との間の距離を測ることができる。接近距離検出手段は、測距機能によって求めた接近距離と、予め設定されている接近限界距離とを通信機能によって警報手段に送信する。警報手段は、受信したインパルス信号から接近距離のデータと接近限界距離のデータとを復元し、これらを比較する。そして、接近距離が接近限界距離よりも短い、即ち接近限界距離を超えて作業者が充電部に近づいた場合に警報を発し、作業者の注意を喚起する。
【0012】
また、請求項2記載の接近警報装置は、インパルス信号の送信タイミングとインパルス信号の反射波の受信タイミングに基づいて作業者の接近距離を算出すると共に、接近距離と記憶手段に予め記憶している接近限界距離とを比較して接近距離が接近限界距離よりも短い場合に警報信号をインパルス信号に重畳して送信する接近距離検出手段と、インパルス信号を受信し、警報信号の受信によって作動する警報手段とを備え、接近距離検出手段は充電部の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動するものである。
【0013】
接近距離検出手段は、インパルス信号の送受信による測距機能と、インパルス信号にデータを重畳して送信することによる通信機能を有している。測距機能では、インパルス信号が作業者に当たって反射することを利用するので、作業者の接近距離として作業者の最も近い部位との間の距離を測ることができる。接近距離検出手段は、測距機能によって求めた作業者の接近距離と予め設定されている接近限界距離とを比較する。そして、接近距離が接近限界距離よりも短い場合、即ち接近限界距離を超えて作業者が充電部に近づいた場合に通信機能によって警報信号を警報手段に送信する。警報手段は、受信したインパルス信号に警報信号が重畳されている場合に警報を発し、作業者の注意を喚起する。
【0014】
また、請求項3記載の接近警報装置は、インパルス信号の送信タイミングとインパルス信号の反射波の受信タイミングに基づいて作業者の接近距離を算出すると共に、接近距離をインパルス信号に重畳して送信する接近距離検出手段と、インパルス信号を受信し、接近距離と記憶手段に予め記憶している接近限界距離とを比較して接近距離が接近限界距離よりも短い場合に作動する警報手段とを備え、接近距離検出手段は充電部の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動するものである。
【0015】
接近距離検出手段は、インパルス信号の送受信による測距機能と、インパルス信号にデータを重畳して送信することによる通信機能を有している。測距機能では、インパルス信号が作業者に当たって反射することを利用するので、作業者の接近距離として作業者の最も近い部位との間の距離を測ることができる。接近距離検出手段は、測距機能によって求めた作業者の接近距離を通信機能によって警報手段に送信する。警報手段は、受信したインパルス信号から接近距離のデータを復元し、予め設定されている接近限界距離と比較する。そして、接近距離が接近限界距離よりも短い、即ち接近限界距離を超えて作業者が充電部に近づいた場合に警報を発し、作業者の注意を喚起する。
【0016】
また、請求項4記載の接近警報装置は、警報手段を作業者が装着する部材に取り付けている。したがって、警報手段を作業者が常に携帯することができる。
【0017】
また、請求項5記載の接近警報装置は、警報手段を作業場に設置している。したがって、作業者が警報手段を携帯していなくても、警報手段のある環境で作業を行うことができる。
【0018】
また、請求項6記載の接近警報装置は、接近距離検出手段が充電部に直接取り付けられている。したがって、接近距離検出手段への接近距離と充電部への接近距離とを一致させることができる。
【発明の効果】
【0019】
しかして、請求項1記載の接近警報装置では上述のように構成しているので、作業者の接近距離検出手段に最も近い部位における接近距離を測ることができる。例えば、接近距離検出手段のある方向に向けて手を伸ばした場合には指先との間の距離を測ることできる。このため、作業者の接近距離を正確に測ることができ、例えば作業者が場所を移動せずに手のみを伸ばした場合等にも警報を発して作業者の注意を喚起することができる。また、インパルス信号の送受信による測距機能は原理的に高精度であり、また、充電部の形状や位置などによって変化する電界強度の影響を受けずに距離の計測が可能であるので、作業者の接近距離を高精度に安定的に測ることができ、信頼性の高い警報を行うことができる。さらに、警報手段は、接近距離検出手段が送信したインパルス信号を受信して警報を発するので、検電器に比べて小型化が可能であり、作業者への装着に便利な警報手段を提供することができる。そして、充電部の電圧階級に応じた接近限界距離を予め設定しておくことで、様々な電圧階級の電気設備に対応することができ、汎用性に優れた接近警報装置を提供することができる。
【0020】
これらの効果を奏することは、請求項2記載の接近警報装置、請求項3記載の接近警報装置についても同様である。
【0021】
また、請求項4記載の接近警報装置では、警報手段を作業者が装着する部材に取り付けているので、警報手段の携帯が容易であり、作業の邪魔にならずに警報手段を常に携帯することができる。
【0022】
さらに、請求項5記載の接近警報装置では、警報手段を作業場に設置するので、作業者が警報手段を携帯していなくても、警報手段のある環境で作業を行うことができる。
【0023】
また、請求項6記載の接近警報装置では、接近距離検出手段が充電部に直接取り付けられているので、接近距離検出手段への接近距離と充電部への接近距離とが一致し、充電部への接近距離(充電部からの離隔距離)をより正確に測定するのが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0025】
本発明の接近警報装置は、UWB技術を利用している。まず最初にUWB技術について説明する。基本的にUWB技術は情報をインパルス信号として送信することで、超広帯域の周波数帯域幅を占有し、短距離での超高速通信を実現する無線方式である。例えば図8に示すように、送信するデータをUWB無線機(送信)1の送受信アンテナ2から、送信波のようなインパルス信号3として送信する。そのインパルス信号3をUWB無線機(受信)4の送受信アンテナ5で受信し、データとして復元する(通信機能)。
【0026】
また、UWB技術はインパルス信号を送信することから、レーダとして利用し、同時に測距を行うことが可能である。例えば図9に示すように、UWB無線機1の送受信アンテナ2からインパルス信号3による送信波を送信する。この送信波が作業者6をはじめとする測定対象物により反射し、反射波7がUWB無線機1の送受信アンテナ2により受信される。この送受信の時間差(送受信のタイミング差)がΔt[s]である場合、それらの接近距離d[m]は、d=(Δt×3×108)/2で算出することができる(測距機能)。
【0027】
さらにUWB技術は通常の無線方式とは異なり、キャリア信号を必要としないことから、無線回路の簡略化が可能で、低消費電力で小型のチップ状の無線機などが実現可能である。
【0028】
図1〜図7に、本発明の接近警報装置の実施形態の一例を示す。接近警報装置は、インパルス信号3の送信タイミングとインパルス信号3の反射波7の受信タイミングに基づいて作業者6の接近距離dを算出すると共に、接近距離dと記憶手段であるメモリ31に予め記憶している接近限界距離dmaxとをインパルス信号3に重畳して送信する接近距離検出手段8と、インパルス信号3を受信し、接近距離dが接近限界距離dmaxよりも短い場合に作動する警報手段9とを備え、接近距離検出手段8は充電部11の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動するものである。接近距離検出手段8が上述のUWB無線機1の機能を有し、警報手段9が上述のUWB無線機4の機能を有している。
【0029】
接近警報装置は、例えば感電の虞がある電気設備の周囲で作業を行う場合に使用されるもので、作業者6が誤って充電部11に触れるのを未然に防止するものである。電気設備の充電部11にチップ状に形成した接近距離検出手段8を直接取り付けている。本実施形態では、複数の接近距離検出手段8を充電部11に取り付けている。接近距離検出手段8は充電部11からの電磁誘導により電源を取得し、定期的にインパルス信号3を送信し、測距機能により作業者6との接近距離dを測定する。同時に、測定で得られた接近距離dとあらかじめ設定された接近限界距離dmax[m]を、送信するインパルス信号3に重畳して送信する。また、接近距離検出手段8は電磁誘導により電源を取得することから、充電部11に電気が流れていない場合、即ち電圧のかかっている部分である充電部11が電圧のかかっていない部分(非充電部12)となった場合には、接近距離検出手段8は動作せずインパルス信号3を送信しない。
【0030】
本実施形態では、警報手段9を作業者6が装着する部材、例えばヘルメットに取り付けるヘルメット型の警報機とすると共に、作業場10に設置する据付型の警報機としている。このように、警報手段9としてヘルメット型警報機と据付型警報機の両方を一緒に使用しても良く、いずれか一方の使用でも良く、作業内容等に応じて適宜選択することができる。
【0031】
警報手段9は、接近距離検出手段8が送信したインパルス信号3を受信し、作業者6と接近距離検出手段8が取り付けられた充電部11との接近距離dが接近限界距離dmaxよりも小さくなった場合に、作業者6に対してそれ以上充電部11に近づかないように警報する。
【0032】
図2に、接近距離検出手段8を示す。接近距離検出手段8はチップ状に形成されており、UWB送受信部13と電源部14で構成されている。電源部14は充電部11からの電磁誘導により起電力を生じ、UWB送受信部13に対して電源を供給する。
【0033】
図3に、UWB送受信部13の回路構成を示す。制御部20はUWB送受信部13の全体を制御するが、定期的に遅延時間算出部21を制御して、スタート信号をクロック発生部22に伝達させる。クロック発生部22はスタート信号に応じてクロックを発生し、符号生成部23に伝達する。符号生成部23は記憶手段であるメモリ31から伝達されるデータおよびクロックに基づいて符号を生成し、パルス生成部24に伝達する。
【0034】
パルス生成部24は、符号生成部23からの符号によりインパルス信号3を変調し、アンテナ共用器25を介して送受信アンテナ26から送信する。同時に、変調に用いたインパルス信号3を相関部27へ伝達する。
【0035】
さらにUWB送受信部13は、作業者6によって反射されたインパルス信号3(反射波7)を送受信アンテナ26で受信し、これをアンテナ共用器25を介して相関部27へ伝達する。相関部27はパルス生成部24から伝達されるインパルス信号3と反射波7との相関を検出し、その相関値を検波部28へ伝達する。ピーク検出部29では、相関値から反射波7を受信したタイミングを検出し、受信タイミング信号を遅延時間算出部21へ伝達する。
【0036】
遅延時間算出部21では、スタート信号を送信したタイミングと反射波7を受信したタイミングから遅延時間Δtを算出し、距離算出部30へ伝達する。距離算出部30では遅延時間Δtから充電部11と作業者6との接近距離dを算出し、メモリ31に伝達する。メモリ31には予め接近限界距離dmaxを設定しておき、インパルス信号3を送信するタイミングに合わせて、メモリ31から符号生成部23に接近距離dと接近限界距離dmaxを伝達し、インパルス信号3に重畳させて送信する。
【0037】
メモリ31への接近限界距離dmaxの設定は入力部15の操作によって行う。入力部15は、例えばスイッチである。メモリ31には接近限界距離dmaxの候補値として複数の値が予め記憶されており、入力部15のスイッチ操作によって候補値の中から接近限界距離dmaxを選択する。作業者は、充電部11の電圧階級等に応じて接近限界距離dmaxを選択する。
【0038】
図4に、警報手段9として、作業者6が装着するヘルメット型警報機(以下、ヘルメット型警報機9Aという)を示す。UWB受信・制御部32はチップ状に形成されており、充電部11に取り付けられた接近距離検出手段8からのインパルス信号3を受信する。UWB受信・制御部32はインパルス信号3に重畳されたデータから、作業者6と充電部11との接近距離dと接近限界距離dmaxとを比較する。そして、接近距離dが接近限界距離dmaxよりも小さくなった場合、ブザー33を鳴動させたり、LED34を点灯させたりすることで、作業者6に対してこれ以上充電部11に接近しないよう警報する。ボタン型電池35はUWB受信・制御部32、ブザー33およびLED34に対して電源を供給する。
【0039】
図5に、警報手段9として、据付型の警報機(以下、据付型警報機9Bという)を示す。据付型警報機9Bは特に小型である必要がないため、UWB受信・制御部32は、チップ状のものでも、10cm長程度の無線機型のものでも良い。ヘルメット型警報機9Aと同様に、UWB受信・制御部32は、充電部11に取り付けられた接近距離検出手段8からのインパルス信号3を受信し、重畳されたデータから、ブザー33を鳴動させたり、回転灯37を点灯させたりすることで、作業者6に対して警報する。動作電源は商用電源38から取得する。
【0040】
図6に、UWB受信・制御部32の回路構成を示す。なお、図6では、便宜上、ヘルメット型警報機9Aのブザー33及びLED34と据付型警報機9Bのブザー33及び回転灯37を一緒に記載しているが、実際には、ヘルメット型警報機9Aはブザー33及びLED34を有しており、据付型警報機9Bはブザー33及び回転灯37を有している。制御部39はUWB受信・制御部32の全体を制御する。クロック発生部40はクロックを発生し、符合生成部41に伝達する。符号生成部41はクロックに基づいて符号を生成し、パルス生成部42に伝達する。パルス生成部42は、符号生成部41からの符号によりインパルス信号3を変調し、相関部45へ伝達する。
【0041】
受信アンテナ43は、接近距離検出手段8から送信されたインパルス信号3を受信し、これをアンテナ共用器44を介して相関部45へ伝達する。相関部45はパルス生成部42から伝達されるインパルス信号3と受信波との相関を検出し、その相関値を検波部46へ伝達する。検波部46では、相関値からデータを復元し、接近状況診断部47へ伝達する。
【0042】
接近状況診断部47では、データから作業者6と充電部11の接近距離dと接近限界距離dmaxを比較する。そして、接近距離dが接近限界距離dmaxより小さくなったことを判断すると、ヘルメット型警報機9Aの場合はブザー33およびLED34を動作させ、据付型警報機9Bの場合はブザー33および回転灯37を動作させ、作業者6に対してこれ以上充電部11に近づかないように警報する。
【0043】
図7に、本発明の接近警報装置の警報発生処理手順を示す。接近距離検出手段8は、ルーチンRT11の開始ステップから入ってステップSP11に移り、あらかじめ接近限界距離dmaxをメモリ31内に設定する。
【0044】
次のステップSP12ではインパルス信号3(UWB信号)を送信するとともに、反射波7の受信を待つ。ステップSP13では反射波7を受信したか否かを判断し、受信しなかったと判断した場合、ステップSP12に戻る。一方、受信したと判断した場合、SP14へ進む。
【0045】
ステップSP14では、インパルス信号3の送信タイミングと受信タイミングの時間差Δtに基づいて接近距離dを算出する。ステップSP15では、接近距離dと接近限界距離dmaxのデータをステップSP12のインパルス信号3に重畳して送信する。
【0046】
ヘルメット型警報機9Aおよび据付型警報機9Bは、ルーチンRT21の開始ステップから入ってステップSP21に進む。ステップSP21では、ステップ12からのインパルス信号3を受信する。ステップSP22では受信したデータである、作業者6と充電部11の接近距離dが接近限界距離dmaxよりも小さいか否かを判断する。
【0047】
ステップSP22において、接近距離dが接近限界距離dmaxよりも小さくないと判断した場合(NO)はステップSP21に戻る。これに対して、ステップSP22において接近距離dが接近限界距離dmaxよりも小さいと判断した場合(YES)はSP23へ進む。
【0048】
ステップSP23では、ブザー33を鳴動させたり、LED34、回転灯37を点灯させたりすることで作業者6に対して警報し、ステップSP21に戻る。
【0049】
接近距離検出手段8は、UWB信号であるインパルス信号3が作業者6に当たって反射することを利用して作業者6の接近距離dを測るので、接近距離dとして、作業者6の最も充電部11に近い部位と充電部11との間の距離を測ることできる。例えば、作業者6が充電部11に向けて手を伸ばした場合には、その指先と充電部11との間の距離を測ることができる。このため、例えば作業者6が場所を移動せずに手を伸ばした場合等にも接近距離dを正確に測ることができる。
【0050】
また、インパルス信号3の送受信による距離の測定は原理的に高精度である。そして、検電器のように充電部11の形状や位置などに起因した電界強度の変化に影響を受けずに距離を測ることができる。これらのため、作業者6の接近距離を高精度に且つ安定的に測ることができ、警報の信頼性を高めることができる。
【0051】
また、接近距離検出手段8を充電部11に直接取り付けているので、作業者6の接近距離検出手段8への接近距離と充電部11への接近距離とが一致し、充電部11への接近距離(充電部からの離隔距離)をより正確に測定するのが容易になる。
【0052】
また、警報手段9のUWB受信・制御部32をチップ状に形成することができるので、警報手段9を小型化、軽量化することができる。このため、警報手段9をヘルメット型警報機9Aにするのが容易であり、携帯に便利な警報手段9を提供することができる。そして、警報手段9を小型化、軽量化することできるので、警報手段9が作業の邪魔になり難く、作業効率の悪化を防止することができる。
【0053】
また、接近距離検出手段8をチップ状に形成することができるので、その設置に場所をとらない。このため、色々な場所に設置でき、設置場所の選択の自由度が向上する。
【0054】
また、接近距離検出手段8は作業者6との間の距離を測るので、警報手段9を据付型の警報機9Bにすることもできる。即ち、従来のように検電器を利用する場合には、作業者6が検電器を常に携帯している必要があったが、本発明の接近警報装置では、警報手段9を作業者6が携帯していなくても良い。このため、警報手段9を常に携帯することの煩わしさから作業者6を解放することも可能である。
【0055】
さらに、予めメモリ31に記憶させておく接近限界距離dmaxの値を変えることで、警報手段9が作動する作業者6の接近距離dを変化させることできる。このため、充電部11の電圧階級等に応じて接近限界距離dmaxを変化させることで、様々な電圧階級の電気設備に対応することができ、接近警報装置の汎用性を向上させることができる。
【0056】
また、接近距離検出手段8は充電部11との間の電磁誘導による誘導電流で作動するので、特別な電源を不要にできる。また、電源として電池を使用する場合のように電池切れを心配する必要もなく、使い勝手に優れている。さらに、接近距離検出手段8を作動させる必要があるのは充電部11に電流が流れている場合(接近距離検出手段8を設置した位置が充電部11となっている場合)であるが、この場合には必ず接近距離検出手段8を作動させることができる。その一方、接近距離検出手段8を作動させる必要のない場合(接近距離検出手段8を設置した位置が非充電部12となっている場合)には、接近距離検出手段8が作動することがないので、余分なインパルス信号3の発生を防止することができる。
【0057】
また、接近距離検出手段8がインパルス信号3を送信する出力を調整することで、インパルス信号3を受信できる範囲を制御しても良い。つまり、インパルス信号3を受信できる範囲では全ての作業者6の警報手段9が警報を発することになるが、インパルス信号3の送信出力を調整することで、警報を発することが必要となる作業者6の数を制限することができる。
【0058】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述の説明では、送信側である接近距離検出手段8で測定した接近距離dと予め設定した接近限界距離dmaxを送信し、受信側である警報手段9で作業者6の接近を判断し警報するようにしたが、必ずしもこの構成に限るものではない。例えば、送信側である接近距離検出手段8で作業者6の接近を判断したあと警報信号を送信し、受信側である警報手段9は警報信号の受信をもって警報することも考えられる。即ち、インパルス信号3の送信タイミングとインパルス信号3の反射波7の受信タイミングに基づいて作業者6の接近距離dを算出すると共に、接近距離dと記憶手段であるメモリ31に予め記憶している接近限界距離dmaxとを比較して接近距離dが接近限界距離dmaxよりも短い場合に警報信号をインパルス信号3に重畳して送信する接近距離検出手段8と、インパルス信号3を受信し、警報信号の受信によって作動する警報手段9とを備え、接近距離検出手段8は充電部11の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動する接近警報装置としても良い。この場合にも、図1〜図7の接近警報装置と同じ効果を奏することができる。
【0059】
また、予め設定する接近限界距離dmaxを受信者側である警報手段9に記憶させるようにしても良い。つまり、送信側である接近距離検出手段8で測定した接近距離dを送信し、受信者側である警報手段9で受信した接近距離dと予め設定した接近限界距離dmaxとを比較して作業者6の接近を判断し警報することも考えられる。即ち、インパルス信号3の送信タイミングとインパルス信号3の反射波7の受信タイミングに基づいて作業者6の接近距離dを算出すると共に、接近距離dをインパルス信号3に重畳して送信する接近距離検出手段8と、インパルス信号3を受信し、接近距離dと記憶手段に予め記憶している接近限界距離dmaxとを比較して接近距離dが接近限界距離dmaxよりも短い場合に作動する警報手段9とを備え、接近距離検出手段8は充電部11の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動する接近警報装置としても良い。この場合にも、図1〜図7の接近警報装置と同じ効果を奏することができる。
【0060】
また、上述の説明では、作業者6が装着する警報手段9がヘルメット型の警報機9Aであったが、ヘルメット型の警報機9Aに限るものではない。例えば、リストバンドや腰ベルトに取り付けて身体に装着する警報機9Aでも良く、作業着に収納用ポケットを形成してここに収納することで身体に装着する警報機9A等でも良い。または、作業靴等に取り付けることで身体に装着する警報機9A等でも良い。
【0061】
また、上述の説明では、接近距離検出手段8を充電部11に直接取り付けていたが、間接的に取り付けも良く、あるいは充電部11の周辺に設置するようにしても良い。つまり、接近距離検出手段8は充電部11の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導により電源を確保できれば、充電部11に直接取り付けなくても良い。
【0062】
また、上述の説明では、接近距離検出手段8を複数設けていたが、作業現場によっては接近距離検出手段8の数は1つでも良い。
【0063】
さらに、上述の説明では、警報手段9はブザー33、LED34,回転灯37を作動させることで作業者に警報を発していたが、これらに限るものではなく、バイブレータ等、人間の五感のいずれかを刺激する手段を使用しても良い。
【0064】
また、上述の説明では、入力部15をスイッチとし、スイッチ操作によってメモリ31に予め記憶しておいた複数の候補値の中から1つの接近限界距離dmaxを選択するようにしていたが、この構成に限るものではない。例えば、入力部15をキーボードとし、接近限界距離dmaxの値をメモリ31に直接入力するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の接近警報装置を示す概略構成図である。
【図2】接近距離検出手段の構成を示す図である。
【図3】UWB送受信部の回路構成を示すブロック図である。
【図4】ヘルメット型警報機を示す図である。
【図5】据付型警報機を示す斜視図である。
【図6】UWB受信部の回路構成を示すブロック図である。
【図7】警報発生処理手順を示すフローチャートである。
【図8】UWB技術のインパルス信号による通信機能を説明するための図である。
【図9】UWB技術のインパルス信号による測距機能を説明するための図である。
【図10】従来の安全ヘルメットの平面図である。
【図11】従来の安全ヘルメットの側面図である。
【図12】従来の安全ヘルメットの非接触式検電器の回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0066】
3 インパルス信号
6 作業者
7 インパルス信号の反射波
8 接近距離検出手段
9 警報手段
10 作業場
11 充電部
31 メモリ(記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インパルス信号の送信タイミングと前記インパルス信号の反射波の受信タイミングに基づいて作業者の接近距離を算出すると共に、前記接近距離と記憶手段に予め記憶している接近限界距離とを前記インパルス信号に重畳して送信する接近距離検出手段と、前記インパルス信号を受信し、前記接近距離が前記接近限界距離よりも短い場合に作動する警報手段とを備え、前記接近距離検出手段は充電部の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動することを特徴とする接近警報装置。
【請求項2】
インパルス信号の送信タイミングと前記インパルス信号の反射波の受信タイミングに基づいて作業者の接近距離を算出すると共に、前記接近距離と記憶手段に予め記憶している接近限界距離とを比較して前記接近距離が前記接近限界距離よりも短い場合に警報信号を前記インパルス信号に重畳して送信する接近距離検出手段と、前記インパルス信号を受信し、前記警報信号の受信によって作動する警報手段とを備え、前記接近距離検出手段は充電部の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動することを特徴とする接近警報装置。
【請求項3】
インパルス信号の送信タイミングと前記インパルス信号の反射波の受信タイミングに基づいて作業者の接近距離を算出すると共に、前記接近距離を前記インパルス信号に重畳して送信する接近距離検出手段と、前記インパルス信号を受信し、前記接近距離と記憶手段に予め記憶している接近限界距離とを比較して前記接近距離が前記接近限界距離よりも短い場合に作動する警報手段とを備え、前記接近距離検出手段は充電部の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動することを特徴とする接近警報装置。
【請求項4】
前記警報手段は、作業者が装着する部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の接近警報装置。
【請求項5】
前記警報手段は、作業場に設置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の接近警報装置。
【請求項6】
前記接近距離検出手段は前記充電部に直接取り付けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の接近警報装置。
【請求項1】
インパルス信号の送信タイミングと前記インパルス信号の反射波の受信タイミングに基づいて作業者の接近距離を算出すると共に、前記接近距離と記憶手段に予め記憶している接近限界距離とを前記インパルス信号に重畳して送信する接近距離検出手段と、前記インパルス信号を受信し、前記接近距離が前記接近限界距離よりも短い場合に作動する警報手段とを備え、前記接近距離検出手段は充電部の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動することを特徴とする接近警報装置。
【請求項2】
インパルス信号の送信タイミングと前記インパルス信号の反射波の受信タイミングに基づいて作業者の接近距離を算出すると共に、前記接近距離と記憶手段に予め記憶している接近限界距離とを比較して前記接近距離が前記接近限界距離よりも短い場合に警報信号を前記インパルス信号に重畳して送信する接近距離検出手段と、前記インパルス信号を受信し、前記警報信号の受信によって作動する警報手段とを備え、前記接近距離検出手段は充電部の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動することを特徴とする接近警報装置。
【請求項3】
インパルス信号の送信タイミングと前記インパルス信号の反射波の受信タイミングに基づいて作業者の接近距離を算出すると共に、前記接近距離を前記インパルス信号に重畳して送信する接近距離検出手段と、前記インパルス信号を受信し、前記接近距離と記憶手段に予め記憶している接近限界距離とを比較して前記接近距離が前記接近限界距離よりも短い場合に作動する警報手段とを備え、前記接近距離検出手段は充電部の磁束変化の影響を受ける位置に設置されており、電磁誘導による誘導電流で作動することを特徴とする接近警報装置。
【請求項4】
前記警報手段は、作業者が装着する部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の接近警報装置。
【請求項5】
前記警報手段は、作業場に設置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の接近警報装置。
【請求項6】
前記接近距離検出手段は前記充電部に直接取り付けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の接近警報装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−20822(P2006−20822A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201348(P2004−201348)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】
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