説明

揚げカス処理装置

【課題】 ホッパーに投入された揚げカスをブリッジを形成しないでスムーズに送れる撹拌機構を備えた揚げカス処理装置を提供する。
【解決手段】 揚げカス処理装置は、揚げカスの投入されるホッパー10を備える。ホッパー10内には、揚げカス送り方向に沿って並ぶ上中下段の回転撹拌アーム60、70、80が設けられている。上段撹拌アーム60は、ホッパー10の幅方向において左側、中央、右側に配置された3本のアーム部材63を有し、中段撹拌アーム70は、上段撹拌アームの左側及び中央のアーム部材の間、及び、中央及び右側のアーム部材の間に入り込むアーム部材73を有し、下段撹拌アーム80が、ホッパー10の幅方向において、中段撹拌アームのアーム部材の左右外側に配置されたアーム部材83を有する。また、隣り合う前段と後段の撹拌アームの回転軌跡C1、C2、C3が相互に入り込んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天ぷらカスやフライカスなどの揚げカスを圧縮して減容させるとともに含有する油を搾る揚げカス処理装置に関する。特には、ホッパー内で揚げカスが固まらずにスムーズに送れるように改良された揚げカス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天ぷら屋などの飲食店あるいは百貨店やスーパーなどの中食(弁当や惣菜)売り場においては、天ぷらやフライの揚げカスが大量に発生する。このような揚げカスは従来ではそのまま廃棄されていたが、大量の揚げカスを収容するスペースの確保が困難なことや、廃棄コストがかかる、あるいは自然発火火災の危険があるなど問題が指摘されていた。
【0003】
そこで、本発明者らは、揚げカスを圧縮して減容させるとともに、揚げカスに含有される油を搾って再利用できる装置を提案した(特許文献1参照)。以下、この文献の揚げカス処理装置を説明する。
【0004】
図3は、本発明者らが提案した揚げカス処理装置の全体構成を模式的に示す一部分解斜視図である。
図4は、揚げカス処理装置の側面図である。
図5は、揚げカス処理装置のスライダ及び圧縮室の構成及び作用を説明する側面図であり、図5(A)はスライダ後退時、図5(B)はスライダ前進時を示す。
平面図である。
図6は、揚げカス処理装置のスライダ及び圧縮室付近の構成を説明する平面図である。
図7は、撹拌アーム回転機構を説明する図である。
【0005】
この揚げカス処理装置1は、図3、図4に示すように、四本の脚3で支持される箱状の本体ケーシング5を有する。同ケーシング5内には、揚げカスの投入されるホッパー10と、ホッパー10から供給された揚げカスが圧縮されるとともに含有する油を搾り出す圧縮室20と、圧縮室内20でスライドして揚げカスを押すスライダ30と、スライダ30の駆動機構40が配置されている。ケーシング5の底板5aの下面には、搾り出された油を集める油受けトレイ50が取り外し可能に取り付けられる。そして、油受けトレイ50の下方には搾り出された油が収容される容器51が配置されている。
【0006】
ホッパー10は、図3に分かりやすく示すように、ケーシング5に上部から取り外し可能に支持されている。ホッパー10は、角錐台を上下逆にした形状であり、各側板は下ほど幅の狭い斜面となっている。ホッパー10の上開口は、揚げカスが投入される投入口11であり、下開口は揚げカスを圧縮室20に送る排出口13である。ホッパー10内の下部には、撹拌アーム15が設けられている。撹拌アーム15は回転軸16と同軸16から放射状に延びる複数本(この例では4本)のT字型のアーム部材17からなる。この撹拌アーム15は、ホッパー10に投入された揚げカスを撹拌して、揚げカスがくっつかない散積状態とするためのものである。また、ホッパー10内上部には、複数のガード棒19が掛け渡されており、作業者の手が撹拌アーム15に触れることを防いでいる。
【0007】
圧縮室20は、ホッパー10の下方に設けられ、図3に示すように、本体ケーシング5の底板5a上に立設する左右の側板20aと、上板20bとで構成された平らな中空の空間である。圧縮室20の上板20bには、ホッパー10の排出口13に連通する揚げカス供給口21が開いている。また、図6に示すように、圧縮室20の底板(本体ケーシングの底板5a)には搾り出された油が通過する複数の孔(油搾出孔)23が開けられている。
図5に示すように、圧縮室20の一方(図の右側)の開口は、同室内で圧縮された揚げカスの出口25となっており、反対側(図の左側)の開口は、スライダ30の挿入口27となっている。
【0008】
スライダ30は、平らな直方体状の固体部材である。同スライダ30は、図3に示すように、ケーシング5の底板5a上に立設された平行なガイド側板31にガイドされて、圧縮室20のスライド挿入口27から同室内を、後述する駆動機構40によって進退可能にスライドする。図5、図6において、右側が前進方向(前方)、左が後退方向(後方)である。図5(A)に示すスライド後退位置では、スライダ30の前端は圧縮室20の揚げカス供給口21の後方に達しており、このときに揚げカス供給口21は開かれている。一方、図5(B)に示す前進位置では、スライダ30の前端は揚げカス供給口21の前方に達しており、このときに揚げカス供給口21が塞がっている。
【0009】
さらに、図5に示すように、揚げカス出口25の上板20bの下面には、前方に向って斜め下方向に傾斜する傾斜面29aを備えた調整片29が取り付けられている。この調整片29は、圧縮室20内でスライドの前進運動で出口25に移動された揚げカスを、上下方向及びスライド進退方向において圧縮する。
【0010】
駆動機構40は、図3や図4に示すように、ケーシング5内に配置されたモータ41を有する。図5(B)に示すように、モータ41の出力軸41aには第1傘歯車43が固定され、同歯車43には第2傘歯車45が直角に噛み合っている。また、第2傘歯車45には、スライダ30の進退方向と直交する方向に延びるカムシャフト47が立設されている。このカムシャフト47は、スライダ30に形成されたカム孔33に係合する。カム孔33は、図6に示すように、スライド40の前進方向に凸の円弧状の形状である。
【0011】
モータ41の回転運動は、2つの傘歯車43、45によって減速及び方向転換されて、カムシャフト47を円軌道に沿って移動させる。図6において、例えばカムシャフト47がカム孔33の図の下端に位置する状態から時計回りに移動した場合、カムシャフト47はカム孔33を徐々に上に向って円軌道上を進む。このとき、カムシャフト47はカム孔33の図の左側の縁を押しながら進む。ここで、スライダ30はガイド側板31(図1参照)間を進退可能に支持されているので、シャフト47で押されると図の左方向にスライドする。そして、カムシャフト47が、図6の状態からほぼ90°時計方向に移動すると、同シャフト47はカム孔33のほぼ中心に達し、このときスライダ30は後退限に位置する。その後、カムシャフト47は徐々に図の右方向への速度成分を増す円運動を行い、カムシャフト47は、カム孔33内をさらに図の上方向に動いて、今度はカム孔33の右側の縁を押し始める。すると、スライダ30が図の右方向に押されてスライドする。そしてカムシャフト47が、図6の状態からほぼ180°時計方向に移動すると、同シャフト47はカム孔33の図の上端に達する。
【0012】
その後、さらにカムシャフト47が時計方向に回転すると、カムシャフト47は、カム孔33の図の右側の縁を押しながらカム孔33内を図の下方向に移動し始める。そして、シャフト47が270°回転すると、シャフト47はカム孔33のほぼ中心に達し、このときスライダ30は前進限に位置する。その後、カムシャフト47は、カム孔33内をさらに図の下方向に進んで今度はカム孔33の左縁を押し始める。すると、スライダ30は図の左方向に押されてスライドする。このように、シャフト47が一回転してカム孔33内を一往復する間に、スライダ30は前進位置(図5(B)参照)から後退位置(図5(A)参照)までスライドする。
【0013】
なお、スライダ30のカム孔33は、前述のように、スライドの前進方向に凸の円弧状の形状である。このようになっているのは、スライド前進端付近の揚げカス圧縮が進んだ時点で、ゆっくりと強い力で揚げカスを押すことができるようにするためである。
【0014】
このスライダ30の進退運動は、撹拌アーム15の回転にも連動して利用されている。図5(B)や図6に示すように、スライダ30の上面にはシャフト35が突設されている。図7に示すように、このシャフト35の上端には、スライド進退方向に延びるラック37が連結されている。このラック37は、撹拌アーム15の回転軸16に固定されたピニオン18と噛み合う。そして、スライダ30が進退運動すると同時にラック37が往復運動し、ピニオン18が両方向に回転して、撹拌アーム15を両方向に回転させる。
【0015】
この揚げカス装置の動作について、図3、図4、図5を主に参照して説明する。
揚げカスを処理する際は、モータ41を駆動してスライダ30を進退運動させながら揚げカスをホッパー10の投入口11から投入する。投入された揚げカスは、スライド進退運動に伴って回転する撹拌アーム15で撹拌されながらホッパー排出口13から圧縮室20の揚げカス投入口21を通って同室内に落下する。そして、スライダ30の進退運動によって、圧縮室20内を排出口25方向に進む。図5に示すように、排出口25には調整片29が設けられて出口面積が狭くなっているので、出口付近では揚げカスが前後方向及び上下方向から圧縮される。このとき、圧縮された揚げカスに含有されている油は、ケース部底板5aの孔23から下方に落下し、図3や図4に示す油受けトレイ50でいったん受けた後、同油受け50の排出口50aから容器51に回収される。
【0016】
一方、圧縮されて含有される油が搾り出された揚げカスは、圧縮室20の出口25から回収容器53に回収される(図4参照)。
【0017】
ところで、この装置1においては、ホッパー10に投入された揚げカスは撹拌アーム15で撹拌されながら排出口から圧縮室20内に落下する。揚げカスは多くの油分を含んでいるとともに、流動性が低いので、このような撹拌アーム15で撹拌して散在させることが必要である。しかし、例えば、ホッパー10一杯に揚げカスを投入した際、撹拌アーム15の回転領域内に存在する揚げカスは撹拌されて散在するが、同領域の上方や側方などに存在する揚げカスが上から押されて固まり、ブリッジを作ってしまうことがある。このような現象は、天ぷらカスよりもフライカスの場合に顕著に発生する。ブリッジが形成されると、投入された揚げカスが落下せずに詰まってしまい、人手でブリッジを崩すなどの処置が必要になる。
【0018】
【特許文献1】特開2005−13802
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ホッパーに投入された揚げカスをブリッジを形成しないでスムーズに送れる撹拌機構を備えた揚げカス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の実施の形態に係る揚げカス処理装置は、 天ぷらカスやフライカスなどの揚げカスを圧縮して減容させるとともに含有する油を搾る装置であって、 揚げカスの投入されるホッパーと、 該ホッパーから揚げカスが供給されて揚げカスが圧縮される室であって、圧縮されたカスの出口及び油搾出孔を有する圧縮室と、 該圧縮室内でスライドして前記揚げカスを押すスライダと、 該スライダの駆動機構と、を具備し、 前記ホッパー内において揚げカス送り方向に沿って並ぶ複数段の回転撹拌アームが設けられており、 隣り合う前段と後段の撹拌アームの回転軌跡が相互に入り込んでいることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、隣り合う撹拌アームの回転軌跡が相互に入り込むようにアームを配置しているため、揚げカスが固まってブリッジを形成するようなことがなく、揚げカスを安定して圧縮室に供給できる。
【0022】
本発明においては、 前記撹拌アームが、上段撹拌アーム、中段撹拌アーム及び下段撹拌アームからなり、 前記上段撹拌アームが、前記ホッパーの幅方向において左側、中央、右側に配置された3本のアーム部材を有し、 前記中段撹拌アームが、前記上段撹拌アームの左側及び中央のアーム部材の間、及び、中央及び右側のアーム部材の間に入り込むアーム部材を有し、 前記下段撹拌アームが、前記ホッパーの幅方向において、前記中段撹拌アームのアーム部材の左右外側に配置されたアーム部材を有することが好ましい。
【0023】
本発明によれば、撹拌アームをホッパーの幅方向及び上下方向(揚げカス送り方向)に渡って配置しているので、ホッパー内の揚げカスをほぼ満遍なく撹拌することができる。特に、ホッパーの下部では、開口面積が狭くなっているとともに上方の揚げカスの重さによって揚げカスが特に密着しやすくなるので、上下の撹拌アームの回転軌跡を入り込ませて撹拌力を高めている。
【発明の効果】
【0024】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ホッパーに投入された揚げカスを満遍なく撹拌して、散在状態とすることができる。したがって、ブリッジの形成を防ぐことができ、揚げカスをスムーズに圧縮室に供給できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、改良の中心部分であるホッパー部の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の揚げカス処理装置のホッパーの構成を模式的に示す正面図である。図の右側に示す破線で描かれた円は、各撹拌アームを側面から見た回転軌跡を示す。
図2は、図1のホッパーの分解斜視図である。
この例のホッパー10は、図3〜図7で説明した揚げカス処理装置1のホッパー10と同様のものであり、各円錐台を逆にした形状で、各側板は下ほど幅の狭い斜面となっている。ホッパー10の上開口は、揚げカスが投入される投入口11であり、下開口は揚げカスが圧縮室に送られる排出口13である。この例においては、ホッパー10内の上段、中段、下段に、各々上撹拌アーム60、中撹拌アーム70、下撹拌アーム80が設けられている。
【0027】
上撹拌アーム60は、回転軸61と、同軸上に並んで設けられた3本のアーム部材63L、63C、63Rからなる。各アーム部材63は、回転軸61が挿通される円筒状の固定部63aと、固定部63aから対角方向に延びる、比較的長い2本のT字型のミキサー部63bからなる。各アーム部材63は、固定部63aが回転軸61に挿通されて、適宜な位置にスライドさせた後セットビス64(図2参照)により固定される。この例では、図1に示すように、各アーム部材63L、63C、63Rは、ホッパー10の幅方向において左側、中央、右側となるように配置される。
【0028】
中撹拌アーム70は、回転軸71と、同軸上に設けられた1個のアーム部材73からなる。アーム部材73は、回転軸71が挿通される円筒状の固定部73aと、固定部73aから斜め反対方向にそれぞれ延びる、比較的短い2本の直線状のミキサー部73bからなる。アーム部材73は、固定部73bが回転軸71に挿通されて、適宜な位置でセットビス74(図2参照)により固定される。この例では、アーム部材73は、図1に示すように、ホッパー10の幅方向において中央となるように配置される。
【0029】
中撹拌アーム70のアーム部材73の2本のミキサー部73bの先端は、上撹拌アーム60の左アーム部材63Lと中アーム部材63Cの間、及び、中アーム部材63Cと右アーム部材63Rの間にそれぞれ延びて入り込んでいる。そして、図1の右側に示すように、側面から見ると、中撹拌アーム70の回転軌跡C2と、上撹拌アーム60の回転軌跡C1は、一部が重なっている。
【0030】
下撹拌アーム80は、回転軸81と、同軸上に並んで設けられた2本のアーム部材83L、83Rからなる。各アーム部材83は、回転軸81が挿通される円筒状の固定部83aと、固定部83aから対角方向に延びる、比較的短い2本のT字型のミキサー部83bからなる。各アーム部材83は、固定部83aが回転軸81に挿通されて、適宜な位置にスライドさせた後セットビス84(図2参照)により固定される。この例では、2本のアーム部材83は、図1に示すように、ホッパー10の幅方向において、中アーム部材73の左側と右側となるように配置される。
【0031】
また、図1の右側に示すように、側面から見ると、下撹拌アーム80の回転軌跡C3と、中撹拌アーム70の回転軌跡C2は、一部が重なっている。なお、この重なりは、上下撹拌アーム回転軌跡の重なりよりも大きくなっている。
【0032】
次に、各撹拌アームの駆動機構について図2を参照して説明する。
上撹拌アーム60の回転軸61は、ホッパー10内を幅方向に横切るように挿通されている。そして、両端部が、ホッパー10の両側に設けられたベアリングホルダー10aに支持されたベアリング65に、回転可能に保持されている。回転軸61の一方の端部はベアリング65から突き出ており、この突き出た部分に上平歯車66がキー67で固定されている。そして、同軸61は、上平歯車66の外側で、ベアリングホルダープレート100に支持されたベアリング68に、回転可能に支持されている。上平歯車66とベアリング65、68間にはそれぞれスペーサ69が介されている。
ベアリングホルダープレート100は、支柱101を介してホッパー10のベアリングホルダー10aに取り付けられている。
【0033】
中撹拌アーム70の回転軸71も、ホッパー10内を幅方向に横切るように挿通されている。そして、両端部が、ホッパー10の両側に設けられたベアリングホルダー10aに支持されたベアリング75に、回転可能に保持されている。回転軸71の一方の端部はベアリング75から突き出ており、この突き出た部分に中平歯車76がキー77で固定されている。そして、同軸71は、中平歯車76の外側で、ベアリングホルダープレート100に支持されたベアリング78に、回転可能に支持されている。中平歯車76とベアリング75、78間にはそれぞれスペーサ79が介されている。
【0034】
また、上平歯車66と中平歯車76は、アイドラ歯車96を介して噛み合っている。アイドラ歯車96にはシャフト91が挿通固定されている。シャフト91の両端は、ホッパー10のベアリングホルダー10aとベアリングホルダープレート100に支持されたベアリング95、98に、回転可能に支持されている。アイドラ歯車96とベアリング98間にはスペーサ99が介されている。
【0035】
下撹拌アーム80の回転軸81は、ホッパー10内を幅方向に横切るように挿通されている。そして、両端部が、ホッパー10の両側に設けられたベアリングホルダー10aに支持されたベアリング85に、回転可能に保持されている。回転軸81の一方の端部はベアリング85から突き出ており、この突き出た部分に下平歯車86がキー87で固定されている。この下平歯車86は、中平歯車76に噛み合っている。そして、同軸81は、下平歯車86の外側で、ベアリングホルダープレート100に支持されたベアリング88に、回転可能に支持されている。下平歯車86とベアリング85、88間にはそれぞれスペーサ89が介されている。
【0036】
この例では、上下の平歯車66、86の歯数は同じで、中平歯車76とアイドラ歯車96の歯数は同じである。そして、上下平歯車66、86の歯数は、中平歯車76、アイドラ歯車96の歯数よりも少なく設定されている。例えば、上下平歯車66、86の歯数は18で、中平歯車76、アイドラ歯車96の歯数は36である。
【0037】
この例においては、図7に示す、スライド進退方向に延びるラック37は、中平歯車76に噛み合っている。スライダ30の進退運動に伴ってラック37がスライド進退方向に移動すると、中平歯車76は回転し、同平歯車76に噛み合う下平歯車86が回転するとともに、アイドラ歯車96を介して上平歯車66が回転する。
【0038】
例えば、中平歯車76が時計方向に回転すると、同歯車76が固定された中撹拌アーム70も時計方向に回転する。そして、中平歯車76に噛み合う下平歯車86は反時計方向に回転し、下平歯車86に固定された下撹拌アーム80も反時計方向に回転する。一方、中平歯車76と、アイドラ歯車96を介して噛み合う上平歯車66は時計方向に回転する。そして、上平歯車66に固定された上撹拌アーム60も時計方向に回転する。この例では、上下平歯車66、86は、中平歯車76の回転速度の2倍の速度で回転するので、上撹拌アーム60と下撹拌アーム80は、中撹拌アーム70の2倍の速度で回転する。
【0039】
上述したように、上中下段の各撹拌アーム60、70、80は、回転軌跡C1、C2、C3が重なるように、相互に入り込むように配置されている。さらに、図1に示すように、各撹拌アーム60、70、80の各アーム部材63、73、83は、ホッパー10の幅方向に渡って配置されている。また、開口面積の広いホッパー10の上部においては、揚げカスの嵩密度が比較的小さいため、撹拌アームが受ける抵抗も比較的小さい。そこで、上撹拌アーム60のアーム部材63を比較的長くして、アーム部材63のミキサー部63bをホッパー10の奥行き方向に渡って届くようにしている。このような配置により、ホッパー内に投入された揚げカスはほぼ満遍なく撹拌されて散在状態となるとともに、ブリッジの形成を防ぐことができる。
また、ホッパー10の下部では、開口面積が狭くなっているとともに上方の揚げカスの重さによって揚げカスが特に密着しやすくなる。そこで、この部分では、特に中下段の撹拌アーム60、70の各アーム部材63、73を密に配置するとともに、回転軌跡を入り込ませている。
【0040】
なお、ホッパー10の側壁の部分では、各撹拌アーム60、70、80の回転軌跡が重なっていないが、この部分ではブリッジが形成されたとしても自重で落下しやすいため、特に問題は起こらない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の揚げカス処理装置のホッパーの構成を模式的に示す正面図である。
【図2】図1のホッパーの分解斜視図である。
【図3】本発明者らが提案した揚げカス処理装置の全体構成を模式的に示す一部分解斜視図である。
【図4】揚げカス処理装置の側面図である。
【図5】揚げカス処理装置のスライダ及び圧縮室の構成及び作用を説明する側面図であり、図5(A)はスライダ後退時、図5(B)はスライダ前進時を示す。平面図である。
【図6】揚げカス処理装置のスライダ及び圧縮室付近の構成を説明する平面図である。
【図7】撹拌アーム回転機構を説明する図である。
【符号の説明】
【0042】
10 ホッパー 11 投入口
13 排出
60 上撹拌アーム 61 回転軸
63 アーム部材 64 セットビス
65 ベアリング 66 上平歯車
67 キー 68 ベアリング
69 スペーサ
70 中撹拌アーム 71 回転軸
73 アーム部材 74 セットビス
75 ベアリング 76 中平歯車
77 キー 78 ベアリング
79 スペーサ
80 下撹拌アーム 81 回転軸
83 アーム部材 84 セットビス
85 ベアリング 86 下平歯車
87 キー 88 ベアリング
89 スペーサ
91 シャフト 95 ベアリング
96 アイドラ歯車 98 ベアリング
99 スペーサ
100 ベアリングホルダープレート 101 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天ぷらカスやフライカスなどの揚げカスを圧縮して減容させるとともに含有する油を搾る装置であって、
揚げカスの投入されるホッパーと、
該ホッパーから揚げカスが供給されて揚げカスが圧縮される室であって、圧縮されたカスの出口及び油搾出孔を有する圧縮室と、
該圧縮室内でスライドして前記揚げカスを押すスライダと、
該スライダの駆動機構と、を具備し、
前記ホッパー内において揚げカス送り方向に沿って並ぶ複数段の回転撹拌アームが設けられており、
隣り合う前段と後段の撹拌アームの回転軌跡が相互に入り込んでいることを特徴とする揚げカス処理装置。
【請求項2】
前記撹拌アームが、上段撹拌アーム、中段撹拌アーム及び下段撹拌アームからなり、
前記上段撹拌アームが、前記ホッパーの幅方向において左側、中央、右側に配置された3本のアーム部材を有し、
前記中段撹拌アームが、前記上段撹拌アームの左側及び中央のアーム部材の間、及び、中央及び右側のアーム部材の間に入り込むアーム部材を有し、
前記下段撹拌アームが、前記ホッパーの幅方向において、前記中段撹拌アームのアーム部材の左右外側に配置されたアーム部材を有することを特徴とする請求項1記載の揚げカス処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−190581(P2007−190581A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10087(P2006−10087)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(504296585)株式会社ジェイ・クラフト (6)
【Fターム(参考)】