説明

換気装置

【課題】自然光を効率良く利用して光触媒を励起させて空気を脱臭したり殺菌したりする空気浄化機能を有した換気装置を提供することを目的としている。
【解決手段】自然光100を導光させる導光ダクト101と、屋外空気104を居住空間103に導く換気ダクト105と、屋外空気104を送風する送風機102とを備え、導光ダクト101によって導かれた自然光100によって励起し、屋外空気104を浄化できる光触媒106が換気ダクト105の内壁に担持されていることによって、空気を浄化する機能と、建物内に自然光100を導光する機能を有した換気装置が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を浄化する機能を有し、建物内に自然光を導光する機能を有した換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気を浄化する機能を有した空調システムは、空調用ダクト中に光触媒を用いた脱臭装置を設置した空調システムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
以下、その空調システムについて図3および図4を参照しながら説明する。
【0004】
図3に示すように、室内の空気1を、排気用ダクト2を通じて空調装置3に導入し、導入空気の温度・湿度を調整した後に、脱臭装置4に導入して、空気中の有害物質・黴・微生物等を脱臭・殺菌し、吸気用ダクト5を通じて建物内に臭いや微生物で汚染されていない空調された空気を循環させる空調システムがある。また、図4に示すように、天井裏に設置された空調用ダクト6の一部もしくは全部を光7が透過するようなガラスなどの光透過性材料8で置き換え、その中に光触媒9を設置し、空調用ダクト6の外部に設置した励起光源10から放出される光7が光透過性材料8を通して照射されるような脱臭装置である。光触媒9に励起光源10から放出される光7を照射することで光触媒9における価電子帯の電子が励起されて伝導帯に遷移し、電子と正孔が生じる。これら正孔と電子が光触媒9の表面に移動することで空気中の有害物質と反応するか、あるいは、空気中の酸素や水と反応し、スーパーオキサイドイオン(O2-)やヒドロキシラジカル(・OH)などの活性種が生成し、これら活性種が有害物質や黴・微生物と連続的に反応することで脱臭や殺菌が行われる仕組みになっている。
【0005】
また、この種の建物内に自然光を導光する導光装置は、採光装置11と光ダクト12とを接続してなる照明システムが知られている(特許文献2)。
【0006】
以下、その照明システムについて図5を参照しながら説明する。
【0007】
図5に示すように、凹面鏡の集光ミラーである光学系13を内蔵した採光装置11によって、自然光を採光し、光を導光する光ダクト12によって自然光を導き、出光部14から自然光を建物内へと導入する照明システムである。
【特許文献1】特開平7−35373号公報
【特許文献2】特開平11−25726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の空気を浄化する浄化装置を搭載した換気装置では、以下の課題があった。
【0009】
特許文献1に開示された方法では、空気を脱臭したり殺菌したりする際に作用する光触媒を励起(活性化)させるために、殺菌灯や高圧水銀灯、蛍光ランプ、キセノンランプなどを用いているため、脱臭や殺菌をしている間はこれらの励起光源に対して常に電力を供給する必要があるという課題があった。
【0010】
また、これら励起光源には寿命があり、空気の脱臭や殺菌をする効果を有る一定レベル以上に持続させるためには、これら励起光源の出力を監視・把握するための機器が必要となるし、寿命に達した場合は別途新品の励起光源を用意しなければならないし、励起光源を交換するために人為的メンテナンスが必要になるという課題があった。
【0011】
特許文献2に開示された方法では、自然光を採光する採光装置が一定の方向に固定されているため、自然光の照射方向が変化することによって建物内に導光される光の強度が低下してしまうという課題があった。
【0012】
また、出光部は固定され、かつ、光を遮断するものが無いため、照明が必要な方向に向きを変えることができないし、照明を必要としないときにも導光されてしまうという課題があった。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、自然光を利用して光触媒を励起(活性化)させて空気を脱臭したり殺菌したりすることで、電力を必要とせず、また交換部品を必要とせず、また、交換部品を交換するといったメンテナンスが必要なくなる空気を浄化する機能を有した換気装置を提供することを目的としている。
【0014】
さらに、空気を脱臭したり殺菌したりする光触媒を励起(活性化)させるための自然光を効率良く採光させることができ、採光した自然光を照明に必要な向きに変更することができ、採光した自然光を必要に応じて遮断することができる機能を有した換気装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的を達成するために、本発明が講じた第1の課題解決手段は、導光ダクトによって自然光を居住空間に導くと共に、換気ダクトの内壁に担持した光触媒を前記自然光によって励起し、前記換気ダクト内を通過する屋外空気を前記光触媒によって浄化し、浄化した前記屋外空気を送風機によって前記居住空間に吹出すことを特徴とするものである。
【0016】
また、第2の課題解決手段は、導光ダクトの内部を換気ダクトが貫通した構造を有することを特徴とするものである。
【0017】
また、第3の課題解決手段は、換気ダクトが光透過型材料を含むことを特徴とするものである。
【0018】
また、第4の課題解決手段は、導光ダクトの内壁が光反射型材料を含むことを特徴とするものである。
【0019】
また、第5の課題解決手段は、光触媒が可視光応答型の酸化チタンを含むことを特徴とするものである。
【0020】
また、第6の課題解決手段は、換気ダクトに吸着材が担持されていることを特徴とするものである。
【0021】
また、第7の課題解決手段は、光触媒が、二酸化チタン、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタン、酸素欠損型酸化チタンのいずれか一つ以上を含むことを特徴とするものである。
【0022】
また、第8の課題解決手段は、吸着材が、活性炭、ゼオライト、セピオライト、マンガン化合物、コバルト化合物、珪藻土、疎水化処理したシリカゲルのいずれか一つ以上を含むことを特徴とするものである。
【0023】
また、第9の課題解決手段は、居住空間に導いた自然光の方向を変更できるようにしたことを特徴とするものである。
【0024】
また、第10の課題解決手段は、自然光を遮断できるようにしたことを特徴とするものである。
【0025】
また、第11の課題解決手段は、自然光を受光する方向を変更できるようにしたことを特徴とするものである。
【0026】
また、第12の課題解決手段は、日射センサによって自然光を受光する方向を決定することを特徴とするものである。
【0027】
また、第13の課題解決手段は、循環ダクトの内壁に担持した光触媒を自然光によって励起し、前記循環ダクト内を通過する居住空間の空気を前記光触媒によって浄化することを特徴とするものである。
【0028】
また、第14の課題解決手段は、壁取り付け型であることを特徴とするものである。
【0029】
また、第15の課題解決手段は、天井取り付け型であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明の換気装置によれば、自然光を利用して光触媒を励起(活性化)させて居住空間に吹出し、給気する屋外空気を脱臭したり殺菌したりすることで、電力を必要とせず、また交換部品を必要とせず、また、交換部品を交換するといったメンテナンスが必要なくなる空気を浄化することができる。
【0031】
さらに、自然光を受光する方向を変更することによって、空気を脱臭したり殺菌したりする光触媒を励起(活性化)させるための自然光を効率良く受光させることができ、居住空間に導いた自然光の方向を変更したり遮断することで、照明が必要な向きに変更したり受光した自然光を必要に応じて遮断することができる。
【0032】
そして、請求項1記載の換気装置では、導光ダクトによって自然光を居住空間に導くと共に、換気ダクトの内壁に担持した光触媒を前記自然光によって励起し、換気ダクト内を通過する屋外空気を光触媒によって浄化し、浄化した屋外空気を送風機によって居住空間に吹出すことを特徴とする換気装置であり、導光ダクトによって屋外から居住空間へと自然光を導くことができるため、照明に電力を用いることなく居住空間を明るく保つことができるようになる。また、換気ダクトの内壁に担持された光触媒が、自然光によって励起(活性化)し、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。また、自然光によって光触媒を励起(活性化)できるので、電力を必要とせずに屋外空気を浄化することができるようになる。
【0033】
また、請求項2に記載の換気装置では、導光ダクトの内部を換気ダクトが貫通した構造を有することを特徴とする換気装置であり、導光ダクトによって導かれた自然光が換気ダクトに対して満遍なく照射され、これによって換気ダクトの内壁に担持された光触媒が満遍なく自然光を照射され、これによって照射された光触媒が無駄なく最大限に励起(活性化)されることによって、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと無駄なく最大限に変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。また、導光ダクトの内部を換気ダクトが貫通した構造を有することによって、換気装置を建物へ取り付けする際に、ダクトを通すための穴を一つ開ければ良くなるので施工性が向上する。また、屋外空気を通過させる換気ダクトを導光ダクトが囲むことによって、導光ダクト内の空気が断熱層となり、冬場などにおいて冷たい屋外空気を換気ダクトに通過させた際にも、換気ダクトの外壁の位置における結露を防止することができる。また、導光ダクトは受光部と出光部によって密閉されていることから、導光ダクト内の空気が自然光の熱エネルギーによって温まり、換気ダクト内を流れる屋外空気も温まることによって、居住空間に暖かい空気を送り込むことができるようになる。
【0034】
また、請求項3に記載の換気装置では、換気ダクトが光透過型材料を含むことを特徴とする換気装置であり、導光ダクトによって導かれた自然光が換気ダクトに照射された際に、効率良く換気ダクトを通過できるようになり、これによって換気ダクトの内壁に担持された光触媒が無駄なく最大限に励起(活性化)されることによって、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと無駄なく最大限に変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0035】
また、請求項4に記載の換気装置では、導光ダクトの内壁が光反射型材料を含むことを特徴とする換気装置であり、屋外に配置した自然光を受光することができる受光部から受光した自然光が、導光ダクトを通過する際に、導光ダクトの内壁が光反射型材料であるため、自然光が導光ダクトの壁面を通過しなくなるので、導光ダクトによって導かれた自然光が換気ダクトに対して満遍なく照射され、これによって換気ダクトの内壁に担持された光触媒が満遍なく自然光を照射され、これによって照射された光触媒が無駄なく最大限に励起(活性化)されることによって、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと無駄なく最大限に変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0036】
また、請求項5に記載の換気装置では、光触媒が可視光応答型の酸化チタンを含むことを特徴とする換気装置であり、可視光に応答できる酸化チタンを含むことによって、導光ダクトによって導かれた自然光のスペクトルのうち、380〜390nmの波長を有する紫外光(自然光の3%前後)以外に、400〜800nmの波長を有する可視光(自然光の大部分を占める)が有効に活用できるようになり、これによって換気ダクトの内壁に担持された可視光応答型の酸化チタンを含む光触媒が無駄なく最大限に励起(活性化)されることによって、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと無駄なく最大限に変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0037】
また、請求項6に記載の換気装置では、換気ダクトに吸着材が担持されていることを特徴とする換気装置であり、これによって換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質を吸着材の表面や細孔内へ吸着させることができるようになり、吸着材によって有害物質を光触媒の近傍に無駄なく最大限に供給することができるようになり、光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0038】
また、請求項7に記載の換気装置では、光触媒が、二酸化チタン、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタン、酸素欠損型酸化チタンのいずれか一つ以上を含むことを特徴とする換気装置であり、安全性が高く、経済性の高い酸化チタンを用いることによって、より安全性が高く、経済性の高い換気装置を得ることができるようになる。
【0039】
また、請求項8に記載の換気装置では、吸着材が、活性炭、ゼオライト、セピオライト、マンガン化合物、コバルト化合物、珪藻土、疎水化処理したシリカゲルのいずれか一つ以上を含むことを特徴とする換気装置であり、吸着性能の高いこれらの吸着材を用いることによって、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質を最大限に吸着させることができるようになり、吸着材によって有害物質を光触媒の近傍に無駄なく最大限に供給することができるようになり、光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。また、自然光が非常に弱い日中や夜間のときにも、吸着材によって有害物質を吸着できるため、有害物質の少ない浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0040】
また、請求項9に記載の換気装置では、居住空間に導いた自然光の方向を変更できるようにしたことを特徴とする換気装置であり、居住空間において照明が必要な方向に自然光を導くことができるようになるため、効率良く居住空間を明るくすることができる。また、自然光に含まれる紫外光を光触媒が吸収するため、出光部から出光される自然光には紫外光を含まないため、人体に対する紫外光の影響を最小限に留めることができるし、居住空間内の物質に対する紫外光の影響を最小限に留めることができるようにもなる。
【0041】
また、請求項10に記載の換気装置では、自然光を遮断できるようにしたことを特徴とする換気装置であり、居住空間において照明が必要無い場合には、自然光を遮断できるようになる。
【0042】
また、請求項11に記載の換気装置では、自然光を受光する方向を変更できるようにしたことを特徴とする換気装置であり、自然光の向きが変化した場合にも自然光を受光する方向を変更することで、屋外から居住空間へと自然光を効率良く導くことができるようになるため、照明に電力を用いることなく居住空間を明るく保つことができるようになる。また、換気ダクトの内壁に担持された光触媒が、効率良く導かれた自然光によって励起(活性化)し、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0043】
また、請求項12に記載の換気装置では、日射センサによって自然光を受光する方向を決定することを特徴とする換気装置であり、自然光の向きが変化した場合にも日射センサによって自動的に受光する最適な方向へと変更することで、屋外から居住空間へと自然光を効率良く導くことができるようになるため、照明に電力を用いることなく居住空間を明るく保つことができるようになる。また、換気ダクトの内壁に担持された光触媒が、効率良く導かれた自然光によって励起(活性化)し、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0044】
また、請求項13に記載の換気装置では、循環ダクトの内壁に担持した光触媒を自然光によって励起し、前記循環ダクト内を通過する居住空間の空気を前記光触媒によって浄化することを特徴とする換気装置であり、屋外空気に含まれる有害物質を浄化するだけでなく、居住空間内空気に含まれる有害物質をも浄化できるようになる。
【0045】
また、請求項14に記載の換気装置では、壁取り付け型であることを特徴とする換気装置であり、照明としての自然光および換気に必要な屋外空気を、居住空間における必要な位置に取り出すことができるようになる。
【0046】
また、請求項15に記載の換気装置では、天井取り付け型であることを特徴とする換気装置であり、照明としての自然光および換気に必要な屋外空気を、居住空間における必要な位置に取り出すことができるようになる。また、天井に取り付けすることによって、居住空間を広く保つことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
請求項1記載の発明は、導光ダクトによって自然光を居住空間に導くと共に、換気ダクトの内壁に担持した光触媒を前記自然光によって励起し、前記換気ダクト内を通過する屋外空気を前記光触媒によって浄化し、浄化した前記屋外空気を送風機によって前記居住空間に吹出すことを特徴とする換気装置であり、導光ダクトによって屋外から居住空間へと自然光を導くことができるため、照明に電力を用いることなく居住空間を明るく保つことができるようになる。また、換気ダクトの内壁に担持された光触媒が、自然光によって励起(活性化)し、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。また、自然光によって光触媒を励起(活性化)できるので、電力を必要とせずに屋外空気を浄化することができるようになる。
【0048】
また、請求項2の発明は、導光ダクトの内部を換気ダクトが貫通した構造を有することを特徴とする換気装置であり、導光ダクトによって導かれた自然光が換気ダクトに対して満遍なく照射され、これによって換気ダクトの内壁に担持された光触媒が満遍なく自然光を照射され、これによって照射された光触媒が無駄なく最大限に励起(活性化)されることによって、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと無駄なく最大限に変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。また、導光ダクトの内部を換気ダクトが貫通した構造を有することによって、換気装置を建物へ取り付けする際に、ダクトを通すための穴を一つ開ければ良くなるので施工性が向上する。また、屋外空気を通過させる換気ダクトを導光ダクトが囲むことによって、導光ダクト内の空気が断熱層となり、冬場などにおいて冷たい屋外空気を換気ダクトに通過させた際にも、換気ダクトの外壁の位置における結露を防止することができる。また、導光ダクトは受光部と出光部によって密閉されていることから、導光ダクト内の空気が自然光の熱エネルギーによって温まり、換気ダクト内を流れる屋外空気も温まることによって、居住空間に暖かい空気を送り込むことができるようになる。
【0049】
また、請求項3の発明は、換気ダクトが光透過型材料を含むことを特徴とする換気装置であり、導光ダクトによって導かれた自然光が換気ダクトに照射された際に、効率良く換気ダクトを通過できるようになり、これによって換気ダクトの内壁に担持された光触媒が無駄なく最大限に励起(活性化)されることによって、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと無駄なく最大限に変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0050】
光透過型材料としては、ガラスなどの無機材料や、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂などの有機材料を用いることができる。ここで、フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル系共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体、エチレン−モノクロロトリクロロトリフルオロエチレン系共重合体、ポリフッカビニリデン、ポリフッ化ビニルなどが挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィン系単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体が挙げられ、例としてはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0051】
また、請求項4の発明は、導光ダクトの内壁が光反射型材料を含むことを特徴とする換気装置であり、屋外に配置した自然光を受光することができる受光部から受光した自然光が、導光ダクトを通過する際に、導光ダクトの内壁が光反射型材料であるため、自然光が導光ダクトの壁面を通過しなくなるので、導光ダクトによって導かれた自然光が換気ダクトに対して満遍なく照射され、これによって換気ダクトの内壁に担持された光触媒が満遍なく自然光を照射され、これによって照射された光触媒が無駄なく最大限に励起(活性化)されることによって、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと無駄なく最大限に変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0052】
光反射型材料としては、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、マグネシウム等の金属またはその合金や、ステンレス等を用いることができる。
【0053】
また、請求項5の発明は、光触媒が可視光応答型の酸化チタンを含むことを特徴とする換気装置であり、可視光に応答できる酸化チタンを含むことによって、導光ダクトによって導かれた自然光のスペクトルのうち、380〜390nmの波長を有する紫外光(自然光の3%前後)以外に、400〜800nmの波長を有する可視光(自然光の大部分を占める)が有効に活用できるようになり、これによって換気ダクトの内壁に担持された可視光応答型の酸化チタンを含む光触媒が無駄なく最大限に励起(活性化)されることによって、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと無駄なく最大限に変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0054】
可視光応答型の光触媒としては、酸化チタンに種々の遷移金属をドーピングしたものが挙げられる。遷移金属としては、クロム、バナジウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、マンガン、セリウム、鉄などが挙げられる。
【0055】
また、請求項6の発明は、換気ダクトに吸着材が担持されていることを特徴とする換気装置であり、これによって換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質を吸着材の表面や細孔内へ吸着させることができるようになり、吸着材によって有害物質を光触媒の近傍に無駄なく最大限に供給することができるようになり、光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0056】
また、請求項7の発明は、光触媒が、二酸化チタン、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタン、酸素欠損型酸化チタンのいずれか一つ以上を含むことを特徴とする換気装置であり、安全性が高く、経済性の高い酸化チタンを用いることによって、より安全性が高く、経済性の高い換気装置を得ることができるようになる。なお、光触媒活性を有していれば結晶形については特に制限はなく、無定形、アナータス形、ルチル形、ブルカイト形のいずれでもよい。ルチル型とアナターゼ型酸化チタンの組み合せなど、結晶形の違う成分を複合してもなんら問題はない。なお、光触媒が銀、銅、亜鉛、ニッケル、クロムから選ばれるいずれか一つ以上の抗菌性金属を含んでいてもよく、自然光が照射されない場合でも抗菌性・防黴性が発揮されるので、菌や黴の繁殖を抑制することができる。なお、金属ではなく、銀・銅・亜鉛などの金属イオンを溶出する銀ゼオライト、銀含有リン酸ジルコニウムなどの無機化合物を用いてもなんら問題はない。
【0057】
また、請求項8の発明は、吸着材が、活性炭、ゼオライト、セピオライト、マンガン化合物、コバルト化合物、珪藻土、疎水化処理したシリカゲルのいずれか一つ以上を含むことを特徴とする換気装置であり、吸着性能の高いこれらの吸着材を用いることによって、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質を最大限に吸着させることができるようになり、吸着材によって有害物質を光触媒の近傍に無駄なく最大限に供給することができるようになり、光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。また、自然光が非常に弱い日中や夜間のときにも、吸着材によって有害物質を吸着できるため、有害物質の少ない浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。光触媒と併用して使用する吸着材としては、光触媒が励起する400nm以下の紫外波長領域に吸収端を持つような吸着剤を混ぜると,吸着剤が紫外線を吸収してしまい,光触媒の励起効率が著しく低下してしまう恐れがある。400nm以下の紫外波長領域に吸収端を持たない吸着剤としてはゼオライトやシリカゲルなどが適しており,特にゼオライトを疎水化処理したハイシリカゼオライトは400nm付近にほとんど吸収波長を持たず,且つ疎水化処理することで有害物質を吸着する能力が向上するため好適である。換気ダクトに光触媒や吸着材を担持する方法としては、予め光触媒と吸着材を混合した状態の分散スラリーを塗布しても良いし、吸着材を塗布した後に吸着材を光触媒の担体として光触媒を担持しても良い。光触媒や吸着材の固定化にはケイ素化合物を用いると良い。ケイ素化合物が光触媒を固定化するとともに、照射された光を乱反射するので、光触媒に効率的に光をあてることができる。ケイ素化合物としては、シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、シリケート化合物の加水分解物などが挙げられる。シリケート化合物としては、テトラエトキシシランおよびその重合体であるメトキシポリシロキサン、エトキシポリシロキサン、ブトキシポリシロキサン、リチウムシリケートなどが挙げられ、これらの金属アルコキシド類は、水と酸または塩基によって加水分解され、固定化剤として用いることができる。また、シリコーン樹脂を用いてもなんら問題はない。これらのケイ素化合物と光触媒と吸着材を混合して塗布面に塗布し、乾燥させることにより光触媒の固定化ができる。
【0058】
また、請求項9の発明は、居住空間に導いた自然光の方向を変更できるようにしたことを特徴とする換気装置であり、居住空間において照明が必要な方向に自然光を導くことができるようになるため、効率良く居住空間を明るくすることができる。また、自然光に含まれる紫外光を光触媒が吸収するため、自然光には紫外光を含まないため、人体に対する紫外光の影響を最小限に留めることができるし、居住空間内の物質に対する紫外光の影響を最小限に留めることができるようにもなる。
【0059】
また、請求項10の発明は、自然光を遮断できるようにしたことを特徴とする換気装置であり、居住空間において照明が必要ない場合には、自然光を遮断できるようになる。
【0060】
また、請求項11の発明は、自然光を受光する方向を変更できるようにしたことを特徴とする換気装置であり、自然光の向きが変化した場合にも受光する方向を変更することで、屋外から居住空間へと自然光を効率良く導くことができるようになるため、照明に電力を用いることなく居住空間を明るく保つことができるようになる。また、換気ダクトの内壁に担持された光触媒が、効率良く導かれた自然光によって励起(活性化)し、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0061】
また、請求項12の発明は、日射センサによって自然光を受光する方向を決定することを特徴とする換気装置であり、自然光の向きが変化した場合にも日射センサによって自動的に受光する最適な方向へと変更することで、屋外から居住空間へと自然光を効率良く導くことができるようになるため、照明に電力を用いることなく居住空間を明るく保つことができるようになる。また、換気ダクトの内壁に担持された光触媒が、効率良く導かれた自然光によって励起(活性化)し、換気ダクト内を通過する屋外空気に含まれる有害物質が光触媒によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間に供給し続けることができるようになる。
【0062】
日射センサは、ヒートシンク型やエプリー型といった分類があるが、いずれにしても日射エネルギーを熱エネルギーに変換し、発生する温度変化を利用して測定するものである。カーボンブラックで塗装された受光面が日射を吸収して熱エネルギーへと変換し、受光面の真下に設置されたサーモパイルセンサーにより受光面と基準点との間の温度差を電力として検出する仕組みである。
【0063】
日射センサは、センサの前後左右方向に対して指向特性を有しているため、前後左右の角度によってセンサ感度が異なる。このため、日射センサを一方向で固定してしまうと、変化する自然光の向きに対して正確に受光する方向を決定できないので、日射センサ単独、または、日射センサを取り付けた受光部を変化する自然光を感知する全域に常時、または、定期的に駆動させてやることで正確に受光する方向を決定することができるようになる。
【0064】
また、請求項13の発明は、循環ダクトの内壁に担持した光触媒を自然光によって励起し、前記循環ダクト内を通過する居住空間の空気を前記光触媒によって浄化することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の換気装置であり、屋外空気に含まれる有害物質を浄化するだけでなく、居住空間内空気に含まれる有害物質をも浄化できるようになる。 居住空間内の空気を循環ダクト、および、居住空間内の空気を循環する送風機を専用に備えても良いし、屋外空気を送風するための換気ダクトと、送風機を兼用しても良い。
【0065】
また、請求項14の発明は、壁取り付け型であることを特徴とする換気装置であり、照明としての自然光および換気に必要な屋外空気を、居住空間における必要な位置に取り出すことができるようになる。
【0066】
また、請求項15の発明は、天井取り付け型であることを特徴とする換気装置であり、照明としての自然光および換気に必要な屋外空気を、居住空間における必要な位置に取り出すことができるようになる。また、天井に取り付けすることによって、居住空間を広く保つことができるようになる。
【0067】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0068】
(実施の形態1)
図1は本発明における実施の形態1の概略を表している。導光ダクト101によって自然光100を居住空間103に導くと共に、換気ダクト105の内壁に担持した光触媒106を前記自然光100によって励起し、換気ダクト105内を通過する屋外空気104を光触媒106によって浄化し、浄化した屋外空気104を送風機102によって居住空間103に吹出すことことができる換気装置である。
【0069】
また、導光ダクト101の内部を換気ダクト105が貫通した構造となっている。この構造によって、導光ダクト101によって導かれた自然光100が換気ダクト105に対して満遍なく照射され、これによって換気ダクト105の内壁に担持された光触媒106が満遍なく自然光100を照射され、これによって照射された光触媒106が無駄なく最大限に励起(活性化)されることによって、換気ダクト105内を通過する屋外空気104に含まれる有害物質が光触媒106によって酸化/還元されることによって無害な物質へと無駄なく最大限に変換されるため、浄化された屋外空気104を居住空間103に供給し続けることができるようになる。
【0070】
また、導光ダクト101の内部を換気ダクト105が貫通した構造を有することによって、換気装置を建物へ取り付けする際に、ダクトを通すための穴を一つ開ければ良くなるので施工性が向上する。また、屋外空気104を通過させる換気ダクト105を導光ダクト101が囲むことによって、導光ダクト101内の空気が断熱層となり、冬場などにおいて冷たい屋外空気104を換気ダクト105に通過させた際にも、換気ダクト105の外壁の位置における結露を防止することができる。また、導光ダクト101は密閉されており、導光ダクト101内の空気が自然光100の熱エネルギーによって温まり、換気ダクト105内を流れる屋外空気104も温まることによって、居住空間103に暖かい空気を送り込むことができるようになる。
【0071】
また、換気ダクト105が光透過型材料を含むことによって導かれた自然光100が換気ダクト105に照射された際に、効率良く換気ダクト105を通過できるようになり、これによって換気ダクト105の内壁に担持された光触媒106が無駄なく最大限に励起(活性化)されることによって、換気ダクト105内を通過する屋外空気104に含まれる有害物質が光触媒106によって酸化/還元されることによって無害な物質へと無駄なく最大限に変換されるため、浄化された屋外空気を居住空間103に供給し続けることができるようになる。また、導光ダクト101の内壁が光反射型材料を含むことによって、自然光100が、導光ダクト101を通過する際に、自然光100が導光ダクト101の壁面を通過しなくなるので、導光ダクト101によって導かれた自然光100が換気ダクト105に対して満遍なく照射され、これによって換気ダクト105の内壁に担持された光触媒106が満遍なく自然光100を照射され、これによって照射された光触媒106が無駄なく最大限に励起(活性化)されることによって、換気ダクト105内を通過する屋外空気104に含まれる有害物質が光触媒106によって酸化/還元されることによって無害な物質へと無駄なく最大限に変換されるため、浄化された屋外空気104を居住空間103に供給し続けることができるようになる。
【0072】
また、換気ダクト105に吸着材が担持されていると良い。これによって換気ダクト105内を通過する屋外空気104に含まれる有害物質を吸着材の表面や細孔内へ吸着させることができるようになり、吸着材によって有害物質を光触媒106の近傍に無駄なく最大限に供給することができるようになり、光触媒106によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気104を居住空間103に供給し続けることができるようになる。また、自然光100の方向を変更できるようにしたことによって、居住空間103において照明が必要な方向に自然光100を導くことができるようになるため、効率良く居住空間103を明るくすることができる。
【0073】
また、自然光100に含まれる紫外光を光触媒106が吸収するため、居住空間103に到達する自然光100には紫外光を含まないため、人体に対する紫外光の影響を最小限に留めることができるし、居住空間103内の物(壁や家具など)に対する紫外光の影響を最小限に留めることができるようにもなる。また、自然光100を遮断できるようにしたことによって、居住空間103において照明が必要ない場合には、自然光100を遮断できるようになるため照明機能の向上に繋がる。また、自然光100を受光する方向を変更できるようにしたことによって、自然光100の向きが変化した場合にも受光する方向を変更することで、屋外から居住空間103へと自然光100を効率良く導くことができるようになるため、照明に電力を用いることなく居住空間103を明るく保つことができるようになる。
【0074】
また、換気ダクト105の内壁に担持された光触媒106が、効率良く導かれた自然光100によって励起(活性化)し、換気ダクト105内を通過する屋外空気104に含まれる有害物質が光触媒106によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気104を居住空間103に供給し続けることができるようになる。さらに、日射センサを用いて最も受光する方向を決定することによって、自然光100の向きが変化した場合にも日射センサによって自動的に受光する最適な方向へと変更することで、屋外から居住空間103へと自然光100を効率良く導くことができるようになるため、照明に電力を用いることなく居住空間103を明るく保つことができるようになる。また、換気ダクト105の内壁に担持された光触媒106が、効率良く導かれた自然光100によって励起(活性化)し、換気ダクト105内を通過する屋外空気104に含まれる有害物質が光触媒106によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気104を居住空間103に供給し続けることができるようになる。
【0075】
日射センサは、ヒートシンク型やエプリー型といった分類があるが、いずれにしても日射エネルギーを熱エネルギーに変換し、発生する温度変化を利用して測定するものである。カーボンブラックで塗装された受光面が日射を吸収して熱エネルギーへと変換し、受光面の真下に設置されたサーモパイルセンサーにより受光面と基準点との間の温度差を電力として検出する仕組みである。日射センサは、センサの前後左右方向に対して指向特性を有しているため、前後左右の角度によってセンサ感度が異なる。このため、日射センサを一方向で固定してしまうと、変化する自然光100の向きに対して正確に受光する方向を決定できないので、日射センサ単独、または、日射センサを取り付けた導光ダクトを変化する自然光100を感知する全域に常時、または、定期的に駆動させてやることで正確に受光する方向を決定することができるようになる。
【0076】
また、実施の形態1で説明した換気装置を、壁取り付け型にすることによって、照明としての自然光および換気に必要な屋外空気を、居住空間における必要な位置に取り出すことができるようになるし、天井取り付け型にすることによって、照明としての自然光および換気に必要な屋外空気を、居住空間における必要な位置に取り出すことができるようになる。また、天井に取り付けすることによって、居住空間を広く保つことができるようになる。
【0077】
光触媒106としては、二酸化チタン、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタン、酸素欠損型酸化チタンのいずれか一つ以上を選択すると良い。これらの酸化チタンは安全性が高く、経済性の高い。光触媒106としての活性を有していれば結晶形については特に制限はなく、無定形、アナータス形、ルチル形、ブルカイト形のいずれでもよい。ルチル型とアナターゼ型酸化チタンの組み合せなど、結晶形の違う成分を複合してもなんら問題はない。
【0078】
また、光触媒106が銀、銅、亜鉛、ニッケル、クロムから選ばれるいずれか一つ以上の抗菌性金属を含んでいても良く、自然光が照射されない場合でも抗菌性・防黴性が発揮されるので、菌や黴の繁殖を抑制することができる。なお、金属ではなく、銀・銅・亜鉛などの金属イオンを溶出する銀ゼオライト、銀含有リン酸ジルコニウムなどの無機化合物を用いてもなんら問題はない。また、光触媒106が可視光応答型の酸化チタンを含んでいるとさらに良い。
【0079】
可視光に応答できる酸化チタンを含むことによって、導光ダクト101によって導かれた自然光100のスペクトルのうち、380〜390nmの波長を有する紫外光(自然光の3%前後)以外に、400〜800nmの波長を有する可視光(自然光の大部分を占める)が有効に活用できるようになり、これによって換気ダクト105の内壁に担持された可視光応答型の酸化チタンを含む光触媒106が無駄なく最大限に励起(活性化)されることによって、換気ダクト105内を通過する屋外空気104に含まれる有害物質が光触媒106によって酸化/還元されることによって無害な物質へと無駄なく最大限に変換されるため、浄化された屋外空気104を居住空間に供給し続けることができるようになる。可視光応答型の光触媒106としては、酸化チタンに種々の遷移金属をドーピングしたものが挙げられる。遷移金属としては、クロム、バナジウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、マンガン、セリウム、鉄などが挙げられる。
【0080】
光透過型材料としては、ガラスなどの無機材料や、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂などの有機材料を用いることができる。ここで、フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル系共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体、エチレン−モノクロロトリクロロトリフルオロエチレン系共重合体、ポリフッカビニリデン、ポリフッ化ビニルなどが挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィン系単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体が挙げられ、例としてはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0081】
光反射型材料としては、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、マグネシウム等の金属またはその合金や、ステンレス等を用いることができる。
【0082】
吸着材としては、活性炭、ゼオライト、セピオライト、マンガン化合物、コバルト化合物、珪藻土、疎水化処理したシリカゲルのいずれか一つ以上を選択すると良い。吸着性能の高いこれらの吸着材を用いることによって、換気ダクト105内を通過する屋外空気104に含まれる有害物質を最大限に吸着させることができるようになり、吸着材によって有害物質を光触媒106の近傍に無駄なく最大限に供給することができるようになり、光触媒106によって酸化/還元されることによって無害な物質へと変換されるため、浄化された屋外空気104を居住空間103に供給し続けることができるようになる。
【0083】
また、自然光100が非常に弱い日中や夜間のときにも、吸着材によって有害物質を吸着できるため、有害物質の少ない浄化された屋外空気104を居住空間103に供給し続けることができるようになる。光触媒106と併用して使用する吸着材としては、光触媒106が励起する400nm以下の紫外波長領域に吸収端を持つような吸着剤を混ぜると,吸着剤が紫外線を吸収してしまい,光触媒106の励起効率が著しく低下してしまう恐れがある。400nm以下の紫外波長領域に吸収端を持たない吸着剤としてはゼオライトやシリカゲルなどが適しており,特にゼオライトを疎水化処理したハイシリカゼオライトは400nm付近にほとんど吸収波長を持たず,且つ疎水化処理することで有害物質を吸着する能力が向上するため好適である。換気ダクト105に光触媒106や吸着材を担持する方法としては、予め光触媒106と吸着材を混合した状態の分散スラリーを塗布しても良いし、吸着材を塗布した後に吸着材を光触媒106の担体として光触媒106を担持しても良い。光触媒106や吸着材の固定化にはケイ素化合物を用いると良い。
【0084】
ケイ素化合物が光触媒106を固定化するとともに、照射された光を乱反射するので、光触媒106に効率的に光をあてることができる。ケイ素化合物としては、シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、シリケート化合物の加水分解物などが挙げられる。シリケート化合物としては、テトラエトキシシランおよびその重合体であるメトキシポリシロキサン、エトキシポリシロキサン、ブトキシポリシロキサン、リチウムシリケートなどが挙げられ、これらの金属アルコキシド類は、水と酸または塩基によって加水分解され、固定化剤として用いることができる。また、シリコーン樹脂を用いてもなんら問題はない。これらのケイ素化合物と光触媒106と吸着材を混合して塗布面に塗布し、乾燥させることにより光触媒106の固定化ができる。
【0085】
(実施の形態2)
実施の形態1と同一部分は同一符号を附し詳細な説明は省略する。図2には、本発明の実施の形態2の換気装置を示す図である。循環ダクト108の内壁に担持した光触媒106を自然光100によって励起し、循環ダクト108内を通過する居住空間内の空気107を光触媒106によって浄化することを特徴とする換気装置である。
【0086】
これによって、屋外空気104に含まれる有害物質を浄化するだけでなく、居住空間103内空気に含まれる有害物質をも浄化できるようになる。なお、居住空間内の空気を循環する送風機102は専用に備えても良いし、屋外空気104を送風するための送風機102を兼用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、自然光を利用して光触媒を励起(活性化)させて空気を脱臭したり殺菌したりすることで、電力を必要とせず、また交換部品を必要とせず、また、交換部品を交換するといったメンテナンスが必要なくなる空気を浄化する機能を有した換気装置で、さらに、空気を脱臭したり殺菌したりする光触媒を励起(活性化)させるための自然光を効率良く受光させることができ、受光した自然光を照明に必要な向きに変更することができ、受光した自然光を必要に応じて遮断することができる機能を有した換気装置となり、非常に有用である。住宅用の換気装置のみならず、ビルなどの建造物全ての換気装置や空調機器などにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態1の換気装置を示す図
【図2】本発明の実施の形態2の換気装置を示す図
【図3】従来の空気を浄化する機能を有した空調システムを示す図
【図4】従来の空気を浄化する機能を有した空調システムを示す図
【図5】従来の建物内に自然光を導光する導光装置を示す図
【符号の説明】
【0089】
100 自然光
101 導光ダクト
102 送風機
103 居住空間
104 屋外空気
105 換気ダクト
106 光触媒
107 居住空間内の空気
108 循環ダクト
1 室内の空気
2 排気用ダクト
3 空調装置
4 脱臭装置
5 吸気用ダクト
6 空調用ダクト
7 光
8 光透過性材料
9 光触媒
10 励起光源
11 採光装置
12 光ダクト
13 光学系
14 出光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光ダクトによって自然光を居住空間に導くと共に、換気ダクトの内壁に担持した光触媒を前記自然光によって励起し、前記換気ダクト内を通過する屋外空気を前記光触媒によって浄化し、浄化した前記屋外空気を送風機によって前記居住空間に吹出すことを特徴とする換気装置。
【請求項2】
導光ダクトの内部を換気ダクトが貫通した構造を有することを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
換気ダクトが光透過型材料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の換気装置。
【請求項4】
導光ダクトの内壁が光反射型材料を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の換気装置。
【請求項5】
光触媒が可視光応答型の酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の換気装置。
【請求項6】
換気ダクトに吸着材が担持されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の換気装置。
【請求項7】
光触媒が、二酸化チタン、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタン、酸素欠損型酸化チタンのいずれか一つ以上を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の換気装置。
【請求項8】
吸着材が、活性炭、ゼオライト、セピオライト、マンガン化合物、コバルト化合物、珪藻土、疎水化処理したシリカゲルのいずれか一つ以上を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の換気装置。
【請求項9】
居住空間に導いた自然光の方向を変更できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の換気装置。
【請求項10】
自然光を遮断できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の換気装置。
【請求項11】
自然光を受光する方向を変更できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の換気装置。
【請求項12】
日射センサによって自然光を受光する方向を決定することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の換気装置。
【請求項13】
循環ダクトの内壁に担持した光触媒を自然光によって励起し、前記循環ダクト内を通過する居住空間の空気を前記光触媒によって浄化することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の換気装置。
【請求項14】
壁取り付け型であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の換気装置。
【請求項15】
天井取り付け型であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−241101(P2008−241101A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80949(P2007−80949)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】