説明

揺動型減衰装置およびそれを備えたベルトテンショナ装置

【課題】ケーシング10内に揺動ピストン51を配置して内部空間10aを2つの流体室C1,C2に区画する一方、それら両流体室C1,C2同士を連通路55により連通させ、これら流体室C1,C2および連通路55に磁気粘性流体Fを充填し、連通路55内の磁気粘性流体Fに磁界を印加することでケーシング10に対する揺動ピストン51の相対回動を減衰させるようにした揺動型減衰装置において、ケーシング10と揺動ピストン51との間の摺動隙間について、その寸法精度を高くしなくても、シール性を高められるようにする。
【解決手段】ケーシング10と揺動ピストン51との間の摺動隙間内の磁気粘性流体Fに磁界を印加する第2の磁界印加手段60を備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印加される磁界に応じて剪断応力が変化する磁気粘性流体を用いてケーシングと揺動ピストンとの間の相対回動に対する減衰力を変化させるようにした揺動型減衰装置に関し、特にケーシングと揺動ピストンとの間の摺動隙間におけるシール性を高める対策に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、磁気粘性流体を用いた従来の揺動型減衰装置としては、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
このものは、円筒状をなすケーシングの内部空間に、円筒状要素およびピストン羽根からなる揺動ピストンを配置して該内部空間を2つの流体室に区画する一方、円筒状要素の周りに断面円弧状のスリーブおよび絶縁層を配置してケーシングに一体に設けることで、スリーブとケーシングとの間に両流体室同士を連通する断面円弧状の隙間からなる連通路を形成し、これら2つの第2流体室ならびに連通路に、磁気粘性流体を充填するようになされている。
【0004】
そして、連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加することで、該連通路内の磁気粘性流体の剪断応力を増加させて見掛け上の粘度を高くし、これにより、連通路内における磁気粘性流体の通過抵抗を大きくすることができるので、ケーシングに対する揺動ピストンの相対回動を、連通路のみに磁界を印加できる程度の少ない磁力でもって効率よく減衰させることができるようになされている。
【特許文献1】特表2002−524703号公報(第6〜7頁,図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の揺動型減衰装置では、僅かではあるが、ケーシングと揺動ピストンとの間の摺動隙間を磁気粘性流体が通過するために、その分だけ減衰力が低下し、適正な磁気粘性特性が得られないという欠点がある。
【0006】
これに対しては、磁気粘性流体が摺動隙間を通過しないように、摺動隙間の寸法精度を高くすることが考えられるが、その場合には、部品の加工コストがかさむという問題を招くことになる。
【0007】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ケーシング内に揺動ピストンを配置して内部空間を2つの流体室に区画する一方、それら両流体室同士を連通路により連通させ、これら流体室および連通路に磁気粘性流体を充填し、連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加することでケーシングに対する揺動ピストンの相対回動を減衰させるようにした揺動型減衰装置において、磁気粘性流体の特性を活用することで、ケーシングと揺動ピストンとの間の摺動隙間について、その寸法精度を高くしなくても、シール性を高められるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成すべく、本発明では、ケーシングと揺動ピストンとの間の摺動隙間に介在する磁気粘性流体に着目し、この磁気粘性流体に磁界を印加して粘度を高くすることで、摺動隙間のシール性を高くするようにした。
【0009】
具体的には、本発明は、軸心側から半径方向外方に向かって延びかつ周方向に拡がるように形成された断面略扇形状の内部空間を有するケーシングと、このケーシングの内部空間に該ケーシングに対し摺動しつつ上記軸心回りの2つの回動方向において相対揺動可能に配置されていて、該内部空間を周方向に分割された2つの流体室に区画する揺動ピストンと、その2つの流体室同士を互いに連通する1つ以上の連通路と、これら2つの流体室および1つ以上の連通路に充填されていて、印加された磁界に応じて剪断応力を変化させる磁気粘性流体と、上記1つ以上の連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加する磁界印加手段とを備え、上記磁界印加手段により上記少なくとも1つの連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加して該磁気粘性流体の剪断応力を変化させることで上記ケーシングに対する揺動ピストンの相対回動を減衰させるようにした揺動型減衰装置を前提としている。
【0010】
そして、上記の磁界印加手段を、第1の磁界印加手段とした上で、上記ケーシングと揺動ピストンとの間の摺動隙間内の磁気粘性流体に磁界を印加する第2の磁界印加手段を備えるようにする。
【0011】
上記の構成において、1つ以上の連通路は、摺動隙間の全部の領域のうちの一部の領域により形成されているものとすることができるし、上記の第2磁界印加手段については、摺動隙間内の磁気粘性流体に加え、2つの流体室内の磁気粘性流体にも磁界を印加するように構成されているものとすることができる。尚、これらの場合に、第1磁界印加手段と、第2磁界印加手段とは、単一の磁界印加手段により構成することもできる。また、上記ケーシングの外周に巻き付けられたコイル部を有する電磁石と、この電磁石に通電する給電手段とを備えるようにし、これら電磁石および給電手段により上記の磁界印加手段を構成することもできる。
【0012】
さらに、固定側に固定される固定部と、ベルトを押圧するための押圧部を有していて、該押圧部がベルトを押圧する方向と該押圧方向とは反対の方向との間で揺動可能に上記固定部に支持された揺動部と、上記固定部に対し、揺動部をベルト押圧方向に向かって付勢する付勢手段と、記揺動部の回動を減衰させる減衰手段とを備えたベルトテンショナ装置における減衰手段として、上記の揺動型減衰装置を用いることができる。この場合には、揺動型減衰装置のケーシングは、上記固定部および揺動部のうちの一方に連結されることになり、揺動型減衰装置の揺動ピストンは、上記固定部および揺動部のうちの他方に連結されることになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ケーシングの内部空間に揺動ピストンを配置して該内部空間を2つの流体室に区画する一方、それら両流体室間を互いに連通する連通路を形成し、これら流体室および連通路に磁気粘性流体を充填し、磁気回路により連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加して剪断応力を変化させることで、ケーシングに対する揺動ピストンの相対回動を減衰させるようにした揺動型減衰装置において、揺動ピストンとケーシングとの間に生じる隙間の全領域のうちの少なくとも一部の隙間領域を上記連通路として利用し、さらに、その揺動ピストンとの間に上記磁気回路を形成するようにしたので、揺動ピストン周りの隙間以外に新たな隙間を設け、その隙間により連通路を構成するようにする従来の場合に比べ、部品点数および部品組付工程を少なくして製造コストの低減に寄与することができるとともに、揺動ピストン周りのシール領域を少なくして信頼性および耐久性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図2および図3は、本発明の実施形態に係るベルトテンショナ装置の全体構成を示しており、このベルトテンショナ装置は、自動車用エンジンの出力トルクの一部を1本の伝動ベルトを介して複数の補機に伝達するようにしたサーペンタインレイアウトのベルト伝動装置において伝動ベルトに所定の張力を付与するために使用される。
【0015】
このベルトテンショナ装置は、エンジン側に固定される固定部10と、この固定部10に重なるように配置されていて、所定の揺動軸心P回りの2つの回動方向において固定部10に揺動可能に支持された揺動部20とを備えている。揺動部20は、伝動ベルトを押圧する押圧部としてのテンションプーリ30を有しており、これら固定部10と揺動部20との間には、テンションプーリ30が伝動ベルトを押圧する方向(図2の反時計回り方向)に向かって揺動部20を常時回動付勢する捻りコイルばね40と、揺動部20の回動を減衰させる揺動型ダンパ50とが介設されている。
【0016】
固定部10の周縁には、揺動部20に向かって突出する円環状の周壁11が設けられており、この周壁11における周方向の一部には、該周壁11を半径方向に貫通しかつ揺動部20の側に開放された形状の固定側係止部12が設けられている。周壁11の内周側には、断面円形状をなしていて揺動軸心Pを軸心とする円柱部13が上記該周壁11との間に断面凹字状の周溝を形成するように立設されている。この円柱部13には、該円柱部13の軸心部分を軸方向に貫通する軸孔14と、この軸孔14から半径方向外方に向かって延びかつ周方向に拡がる断面略扇形状の内部空間10aとが形成されている。
【0017】
一方、揺動部20の軸心部分には、揺動軸心Pに沿って延びるように配置された軸部材21が固定部10の側に向かって突出する状態に揺動一体に設けられている。この軸部材21は、固定部10の軸孔14に揺動軸心P回りに回転可能に嵌挿保持されており、これにより、揺動部20は、揺動軸心P回りに揺動可能に固定部10に支持されている。そして、揺動部20の周縁には、固定部10に向かって突出する円環状の周壁22が設けられている。この周壁22における周方向の一部には、該周壁22を半径方向に貫通しかつ固定部10の側に開放された形状の揺動側係止部23が設けられている。また、揺動部20は、半径方向外方に向かって突出するように設けられたアーム24を有する。このアーム24の先端には枢支部25が設けられており、テンションプーリ30は、この枢支部25により揺動軸心Pに平行な軸心Q回りに回転可能に支持されている。
【0018】
捻りコイルばね40は、円筒状のコイル部41と、図示は省略するが、両コイル端からそれぞれ半径方向外方に向かって突出する固定側および揺動側の2つのタング42,43とを有する。両コイル端のうちの一方は、固定部10における周壁11と円柱部13との間の周溝内に収容されており、このコイル端から延びる固定側タング42は、固定側係止部12により周方向に移動不能に係止されている。両コイル端のうちの他方は、揺動部20の周壁22の内周側に該周壁22に沿って配置されており、このコイル端から延びる揺動側タング43は、揺動側係止部23により周方向に移動不能に係止されている。この捻りコイルばね40は、左ねじの方向に巻かれていて縮径された状態で固定部10および揺動部20間に介装されており、このことで、揺動部20は固定部10に対しベルト押圧方向(図2の反時計回り方向)に向かって常時付勢されている。
【0019】
揺動型ダンパ50は、ケーシングとしての固定部10の内部空間10aに配置されていて該内部空間10aを周方向に分割された第1および第2の2つの流体室C1,C2に区画するように設けられた揺動ピストン51を有する。この揺動ピストン51は、内部空間10aに位置する軸部材21の部位からなる軸心部位52と、この軸心部位52に揺動一体に設けられていて、該軸心部位52から半径方向外方に向かって延びるように形成された略矩形状の区画部53とからなっている。尚、ここでは、第1流体室C1はベルト押圧方向側に位置しており、第2流体室C2は反ベルト押圧方向側に位置しているものとする。
【0020】
上記の内部空間10aにおける揺動軸心P周りの内壁面は、軸心部位52の外周面との間に断面円弧状の隙間が形成されるように該揺動軸心Pを中心としかつ半径が軸心部位52の半径よりも僅かに大きい断面円弧状に形成されている。この断面円弧状の隙間は、2つの流体室C1,C2を互いに連通する連通路55となっている。尚、揺動ピストン51の区画部53と内部空間10aの内壁面との間の隙間は、固定部10に対する揺動ピストン51の回動に伴う区画部53の摺動を許容する摺動隙間とされている。
【0021】
上記2つの流体室C1,C2および連通路55には、印加される磁界に応じて粘度(剪断応力)を変化させる磁気粘性流体Fが充填されている。この磁気粘性流体Fは、揺動部20がベルト押圧方向(図2の反時計回り方向)に回動するときには、第1流体室C1の容積が小さくなりかつ第2流体室C2の容積が大きくなるので、連通路55を経由して第1流体室C1から第2流体室C2に移動し、一方、揺動部20が反ベルト押圧方向(同図の時計回り方向)に回動するときには、第2流体室C2の容積が小さくなりかつ第1流体室C1の容積が大きくなるので、連通路55を経由して第2流体室C2から第1流体室C1に移動することとなる。
【0022】
ここで、「磁気粘性流体(magnetorheological fluid)」とは、粒子径が0.5〜100μmである磁性体粒子を炭化水素系やシリコーン系などの溶媒に分散含有させてなるものであり、したがって、粒子径が1〜100nmと相対的に小さい磁性体粒子を溶媒に分散含有させてなるものである「磁性流体(magnetic fluid)」とは、特性が異なっており、また、適用分野も異なる。
【0023】
そして、本実施形態では、上記揺動型ダンパ50は、図1に模式的に示すように、連通路55内の磁気粘性流体F,各流体室C1,C2内の磁気粘性流体F,固定部10と揺動ピストン51の区画部53との間の摺動隙間内の磁気粘性流体Fの全てに磁界を印加する電磁石60を有する。尚、同図の仮想線は、電磁石60による磁力線を模式的に示している。
【0024】
この電磁石60は、固定部10における円柱部13の外周に導電線が巻き付けられてなる電磁コイル61を有しており、この電磁コイル61から引き出された2本のリード線は電源部62に接続されている。本実施形態では、この電磁石60により、本発明における第1磁界印加手段および第2磁界印加手段が構成されている。
【0025】
次に、上記のように構成されたベルトテンショナ装置における揺動型ダンパ50の作用について説明する。
【0026】
揺動型ダンパ50の連通路55では、該連通路55内の磁気粘性流体Fが磁界を印加されていて見掛け上の粘度が高くなっているので、揺動ピストン51の相対回動に伴って連通路55内を通過しようとする磁気粘性流体Fに対する通過抵抗が大きい。よって、揺動ピストン51の相対回動は、磁気粘性流体Fに対する連通路55内での通過抵抗により減衰されることとなる。
【0027】
このとき、固定部10と揺動ピストン51との間の摺動隙間では、揺動ピストン51の回動に伴い、揺動ピストン51の回動方向前側の流体室C1(又はC2)の磁気粘性流体Fが摺動隙間を経由して回動方向後側の流体室C2(又はC1)に移動しようとする。
【0028】
これに対し、電磁石60の磁界は、連通路55内の磁気粘性流体Fのみならず、摺動隙間内の磁気粘性流体Fにも印加されているので、該摺動隙間においても、磁気粘性流体Fに対する通過抵抗が増加する。これにより、摺動隙間におけるシール性が高くなるので、この摺動隙間を経由して行われる両流体室C1,C2間での磁気粘性流体Fの通過が規制され、よって、その分だけ、そのような摺動隙間のシール性の不十分さによって磁気粘性流体Fの磁気粘性特性による減衰力が損なわれるという事態は抑えられる。
【0029】
したがって、本実施形態によれば、固定部10に対し揺動部20をテンションプーリ30が伝動ベルトを押圧する方向に捻りコイルばね40により回動付勢する一方、揺動型ダンパ50により揺動部20の回動を減衰させるようにしたベルトテンショナ装置において、揺動型ダンパ50として、固定部10の内部空間10aに、揺動部20に揺動一体に連結された揺動ピストン51を配置して該内部空間10aを揺動方向に分割された2つの流体室C1,C2に区画する一方、それら両流体室C1,C2間を互いに連通する連通路55を形成した上で、これら流体室C1,C2および連通路55に磁気粘性流体Fを充填し、連通路55内の磁気粘性流体Fに磁界を印加して剪断応力を変化させて固定部10に対する揺動ピストン51の回動を減衰させるようにする際に、固定部10の円柱部13上に電磁コイル61を巻き付けてなる電磁石60に通電して固定部10および揺動ピストン51間の摺動隙間内の磁気粘性流体Fにも磁界を印加するようにしたので、そのような摺動隙間を経由して行われる両流体室C1,C2間での磁気粘性流体Fの移動を規制することができ、よって、摺動隙間の寸法精度を高くするための加工コストを掛けることなく、そのような磁気粘性流体Fの移動に起因する減衰力の低下を抑えることができる。
【0030】
しかも、連通路55内の磁気粘性流体Fに磁界を印加する手段と、摺動隙間内の磁気粘性流体Fに磁界を印加する手段とを共通化するようにしたので、各手段を個別に設けるようにする場合に比べて、部品点数および工数の増加を抑えることができる。
【0031】
尚、上記の実施形態では、揺動ピストン51の軸心部位52周りの隙間領域の一部を利用して連通路55を構成するようにしているが、揺動ピストン51が揺動軸心Pから離れた位置に位置していて軸心部位52を有していない場合には、揺動軸心Pに近い部位周りの隙間領域を利用して連通路55を構成するようにしてもよいし、さらには、軸心部位52の有無に拘わらず、揺動ピストン51周りの隙間の全領域のうち、少なくとも一部の任意の隙間領域により連通路55を構成するようにしてもよい。
【0032】
また、上記の実施形態では、連通路55内の磁気粘性流体Fに磁界を印加する手段と、固定部10および揺動ピストン51間の摺動隙間内の磁気粘性流体Fに磁界を印加する手段とを共用化するようにしているが、各手段を個別に設けるようにしてもよい。
【0033】
また、上記の実施形態では、磁力発生手段として電磁石60を用いるようにしているが、例えば一定の磁界を常に印加するような場合には、磁力発生手段として永久磁石を用いるようにしてもよい。
【0034】
また、上記の実施形態では、ベルトテンショナ装置の固定部10をケーシングとし、そのケーシング内に配置した揺動ピストン51を揺動部20に揺動一体に連結するようにしているが、揺動部20側にケーシングを設定する一方、固定部10に揺動ピストン51を連結するようにしてもよい。
【0035】
さらに、上記の実施形態では、本発明に係る揺動型減衰装置が組み込まれてなるベルトテンショナ装置の場合について説明しているが、本発明は、それ以外の種々の装置における揺動型減衰装置として用いることができるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係るベルトテンショナ装置における揺動型ダンパの全体構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】ベルトテンショナ装置の全体構成を示す横断面図である。
【図3】ベルトテンショナ装置の全体構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 固定部(ケーシング)
10a 内部空間
20 揺動部
30 テンションプーリ(押圧部)
40 捻りコイルばね(付勢手段)
50 揺動型ダンパ(揺動型減衰装置)
51 揺動ピストン
55 連通路
60 電磁石(第1磁界印加手段,第2磁界印加手段)
C1 第1流体室(流体室)
C2 第2流体室(流体室)
F 磁気粘性流体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心側から半径方向外方に向かって延びかつ周方向に拡がるように形成された断面略扇形状の内部空間を有するケーシングと、
上記ケーシングの内部空間に該ケーシングに対し摺動しつつ上記軸心回りの2つの回動方向において相対揺動可能に配置され、該内部空間を周方向に分割された2つの流体室に区画する揺動ピストンと、
上記2つの流体室同士を互いに連通する1つ以上の連通路と、
上記2つの流体室および上記1つ以上の連通路に充填され、印加された磁界に応じて剪断応力を変化させる磁気粘性流体と、
上記1つ以上の連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加する磁界印加手段とを備え、
上記磁界印加手段により上記少なくとも1つの連通路内の磁気粘性流体に磁界を印加して該磁気粘性流体の剪断応力を変化させることで上記ケーシングに対する上記揺動ピストンの相対回動を減衰させるようにした揺動型減衰装置であって、
上記磁界印加手段は、第1の磁界印加手段であり、
上記ケーシングと上記揺動ピストンとの間の摺動隙間内の磁気粘性流体に磁界を印加する第2の磁界印加手段を備えていることを特徴とする揺動型減衰装置。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動型減衰装置において、
1つ以上の連通路は、摺動隙間の全部の領域のうちの一部の領域により形成されていることを特徴とする揺動型減衰装置。
【請求項3】
請求項1に記載の揺動型減衰装置において、
第2磁界印加手段は、摺動隙間内の磁気粘性流体に加え、2つの流体室内の磁気粘性流体にも磁界を印加するように構成されていることを特徴とする揺動型減衰装置。
【請求項4】
請求項1に記載の揺動型減衰装置において、
第1磁界印加手段と、第2磁界印加手段とは、単一の磁界印加手段により構成されていることを特徴とする揺動型減衰装置。
【請求項5】
請求項4に記載の揺動型減衰装置において、
ケーシングの外周に巻き付けられたコイル部を有する電磁石と、
上記電磁石に通電する給電手段とを備え、
磁界印加手段は、上記電磁石および上記給電手段により構成されていることを特徴とする揺動型減衰装置。
【請求項6】
固定側に固定される固定部と、
ベルトを押圧するための押圧部を有し、該押圧部がベルトを押圧する方向と該押圧方向とは反対の方向との間で揺動可能に上記固定部に支持された揺動部と、
上記固定部に対し、上記揺動部を上記ベルト押圧方向に向かって付勢する付勢手段と、 上記揺動部の回動を減衰させる減衰手段とを備えたベルトテンショナ装置であって、
上記減衰手段は、請求項1,2,3,4,5のうちの何れか1項に記載の揺動型減衰装置により構成され、
上記揺動型減衰装置のケーシングは、上記固定部および上記揺動部のうちの一方に連結され、
上記揺動型減衰装置の揺動ピストンは、上記固定部および上記揺動部のうちの他方に連結されていることを特徴とするベルトテンショナ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−283798(P2006−283798A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101101(P2005−101101)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】