説明

搬送システム

【課題】搬送システムにおいて、物品の転倒容易度を正確に得る。
【解決手段】搬送システムは、物品Wを搬送するシステムであって、搬入コンベア3と、速度制御部45と、第2光電センサ13と、判定部49とを備えている。搬入コンベア3は、物品Wを載置して移動する。速度制御部45は、物品Wを載置して移動中の搬入コンベア3の速度を制御する。第2光電センサ13は、減速時の物品Wの挙動を検出する。判定部49は、第2光電センサ13によって検出された物品Wの挙動に基づいて転倒容易度を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送するための搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送されてきた多数の物品を客先ごとに振り分ける物品仕分け装置として、上下軸回りに揺動自在な複数のダイバータが側壁に沿って配置されたメインコンベアと、ダイバータと対向する位置のメインコンベア側方に接続された分岐路とを有するものが知られている。この装置では、メインコンベア上を搬送されている物品が所定の位置に達すると、ダイバータが物品を横から押し出すようにして内側に揺動する。その結果、物品は、メインコンベアの搬送面上に突出したダイバータに沿って進行方向が変更されて、分岐路に払い出される(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−137717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、コンベアにより搬送される複数の荷物の仕分けを行う物品仕分け装置10が開示されている。物品仕分け装置10は、特性情報取得部17と、第1分岐部11〜第3分岐部13と、間隔調整部18と、分岐制御部15aと、間隔制御部15bとを備える。特性情報取得部17は、複数の荷物それぞれの特性情報を取得する。第1分岐部11〜第3分岐部13は、複数の荷物のうちの所定の荷物をコンベアから分岐した第1分岐コンベア〜第3分岐コンベアへ送り出す。間隔調整部18は、分岐動作を行うコンベアへ連続して送り出される2つの荷物の間の距離である荷物間隔を調整する。分岐制御部15aは、特性情報取得部17が取得した特性情報に応じて、第1分岐部11〜第3分岐部13に分岐動作を変化させる。間隔制御部15bは、当該2つの荷物のうちの先の荷物についての分岐動作に必要な時間が長いほど、間隔調整部18に当該荷物間隔を長くさせる。
【0005】
特許文献1の特性情報取得部は、特性情報として、例えば、物品の転倒容易度を取得する。転倒容易度は、通常は、各物品の搬送方向長さに対する高さの比で決定されていた。しかし、物品の転倒容易度は物品の重心の位置によっても影響される。したがって、寸法上では転倒しないと判別されていても、重心が上方にある場合は、物品が転倒することがあった。しかし、物品の重心を測定する方法もなかった。
【0006】
本発明の課題は、搬送システムにおいて、物品の転倒容易度を正確に得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る搬送システムは、物品を搬送するシステムであって、搬送体と、速度制御部と、物品挙動検出部と、判定部とを備えている。搬送体は、物品を載置して移動する。速度制御部は、物品を載置して移動中の搬送体の速度を制御する。物品挙動検出部は、減速時の物品の挙動を検出する。判定部は、物品挙動検出部によって検出された物品の挙動に基づいて転倒容易度を判定する。
このシステムでは、物品の転倒容易度は、搬送体が減速されたときの物品の挙動によって判定される。したがって、搬送システムにおいて、物品の転倒容易度を正確に得ることができる。
なお、「減速」は、搬送体が完全に停止させられる場合と、搬送体が停止させられず移動が続く場合とを含む。また、「物品の挙動」は、物品の動きの状態を意味しており、例えば減速時に生じる物品の傾きや浮き上がりを含んでいる。
【0008】
搬送システムは、物品の搬送経路に設けられ、搬送体に載置された物品を検出するためのセンサをさらに備えていてもよい。その場合、速度制御部は、センサが物品の検出を終了したタイミングを利用して搬送体を減速させる。
このシステムでは、搬送体の減速は、物品の検出を終了したタイミングを利用して行われる。したがって、センサによる検出の終了を基準に減速させるだけの簡単な制御で判定が行われる。
なお、「タイミングを利用して行われる」とは、タイミング直後、タイミングから所定時間が経過した後、その他タイミングに関連して、減速を開始することを意味する。
【0009】
速度制御部は、搬送体を減速させるときに物品の傾きがある大きさに達すれば、搬送体を加速させてもよい。
このシステムでは、減速時に物品の傾きがある大きさに達すれば、搬送体を加速することで物品の転倒を防止する。したがって、物品の転倒容易度を判定する際に物品が転倒しにくい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る搬送システムにおいて、物品の転倒容易度を正確に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態における物品仕分け装置の模式平面図。
【図2】物品仕分け装置の搬入コンベアの模式側面図。
【図3】搬入コンベア制御部のブロック構成図。
【図4】物品の転倒容易度を測定する制御を示すフローチャート。
【図5】傾き制御を示すフローチャート。
【図6】傾き制御における物品の状態を示す、搬入コンベアの模式側面図。
【図7】他の実施形態における、図6に対応する図。
【図8】他の実施形態における、図6に対応する図。
【図9】他の実施形態における、図6に対応する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)物品仕分け装置
図1を用いて、本発明の第1実施形態としての物品仕分け装置1を説明する。図1は、本発明の第1実施形態における物品仕分け装置の模式平面図である。
【0013】
物品仕分け装置1は、ベルトコンベアであり、構成される搬入コンベア3と、搬入コンベア3の下流側に接続されたメインコンベア5と、メインコンベア5の側方に接続された複数の分岐路7とを有している。なお、搬入コンベア3への物品供給は、その上流部に設置されたロボット等を含む物品供給装置(図示せず)によって行われる。
【0014】
図1および図2を用いて搬入コンベア3について説明する。図2は、物品仕分け装置の搬入コンベアの模式側面図である。
【0015】
搬入コンベア3は、物品Wを載置して移動する装置であり、ベルト3a、モータ駆動部53(図3)、コンベア用モータ17(図3)を備えている。
搬入コンベア3の途中には、第1光電センサ11が設けられている。第1光電センサ11は、搬入コンベア3に載置された物品Wを検出するためのセンサであり、物品Wが通過することにより遮蔽される一対の投・受光器から構成されている。第1光電センサ11は、タイミングセンサとして、搬入コンベア3上を搬送される物品WのON−OFFを検出する。第1光電センサ11は、さらに、物品WのON−OFFによって物品Wの搬送方向長さを検出することができる。なお、図2に示すように、第1光電センサ11の高さ位置は、搬入コンベア3のベルト3aの上面3bのわずか上である。
【0016】
また、搬入コンベア3の途中の第1光電センサ11より下流側において、物品Wが通過することにより遮蔽される複数対の投・受光器よりなる第2光電センサ13が設けられている。第2光電センサ13は、減速時の物品Wの挙動を検出する。具体的には、第2光電センサ13は、転倒判別センサとして、搬入コンベア3上を搬送される各物品Wの傾きまたは浮き上がりを検出することができる。第2光電センサ13は、第1光電センサ11よりわずかに搬送方向下流側に配置されている。第1光電センサ11と第2光電センサ13との搬送方向距離は、物品Wが第1光電センサ11を通過した直後に物品Wの搬送方向後側端が第2光電センサ13を確実に遮断している程度の距離である。第2光電センサ13は、下側から、第1センサ13a、第2センサ13b、第3センサ13c、第4センサ13dの順番で鉛直方向に並んだ4つのセンサから構成されている。各センサは上下方向にわずかな隙間を空けて配置されており、ピッチは一定である。なお、図2に示すように、第1センサ13aの高さ位置は、搬入コンベア3の上面のわずか上である。
【0017】
さらに、搬入コンベア3の途中の第1光電センサ11より上流側において、物品Wの上面に貼り付けられたバーコードを読み取るバーコードリーダ15が搬入コンベア3上方に設けられている。バーコードリーダ15は、搬入コンベア3上を搬送される各物品Wについて特性情報を示すバーコードを読み取って、バーコード情報に基づいてダイバータ23(後述)の動作の決定を行うためのものである。物品Wの特性情報は、物品Wの長さ、幅、高さ等の寸法情報、重量、形状および荷姿を示す情報、破損容易度を示す情報を含んでいる。なお、バーコードは物品Wのどの面に貼り付けられてもよく、この位置に応じてバーコードリーダ15を設置することとなる。搬入コンベア3はコンベア用モータ17(図3)の回転により駆動し、搬入コンベア3のベルトの送り量はエンコーダ19(図3)によって検出される。
【0018】
メインコンベア5は、搬送方向を前後方向とするスチール製ベルトコンベアにより構成されており、搬送方向に沿って左右両側に設けられた側壁21を有している。左右側壁21は、前後に所定間隔で左右一対となった不連続部を複数有している。この対となる左右の不連続部は搬送面を挟んで略対向する位置にあり、一方の不連続部には金属等の剛体により構成される板状のダイバータ23が設けられ、他方の不連続部には分岐路7が接続されている。
【0019】
ダイバータ23は、物品接触部25と、物品接触部25から後方外側に折り曲げられた折り曲げ部27とを有し、駆動用モータ(図示せず)の回転により折り曲げ部27の後端部の上下軸29回りに揺動自在となっている。ダイバータ23の待機状態において、物品接触部25の内側面は側壁21の内側面と面一となり、且つ、折り曲げ部27が外側に折り曲げられていることによって、通過する物品Wがダイバータ23に引っ掛かることがない。また、物品接触部25を含むダイバータ23が摩擦係数の小さい金属等により構成されているので、通過する物品Wがダイバータ23に擦れて損傷することも防止している。なお、本実施の形態に示す例では、物品Wは予め対応するダイバータ23のある側(右または左側)に寄せられており、ダイバータ23の動作によって物品Wが受ける衝撃を少なくするとともに、物品が正確且つ確実に分岐路7に払い出されるようになっている。
【0020】
メインコンベア5の進入部(最上流部)には、物品Wが通過することにより遮蔽される一対の投・受光器よりなる第3光電センサ31が設けられている。第3光電センサ31は、メインコンベア5上を搬送される各物品Wについて、ダイバータ23の動作開始タイミングの決定を行うためのものである。メインコンベア5は駆動用モータ(図示せず)の回転により駆動し、メインコンベア5のベルトの送り量はエンコーダ(図示せず)によって検出される。
【0021】
分岐路7は、搬送方向を左右方向とするローラコンベアにより構成されており、搬送方向に沿って前後両側に設けられた側壁35を有している。すなわち、分岐路7は、前後の側壁35間に左右に所定間隔で回転自在に設けられた多数のローラ(図示せず)を有している。ローラコンベアの搬送面はメインコンベア5から遠ざかるにつれて下り傾斜しており、物品Wは自重によって分岐路7内を搬送される。ローラのうち最もメインコンベア5側(1本目)のものは駆動ローラとなされ、この駆動ローラによってメインコンベア5上から払い出される物品Wを確実に分岐路7内に引き込むことができる。なお、分岐路7は全てメインコンベア5の右側または左側のみに設けられていてもよく、このような場合、ダイバータ23は全て左側または右側の側壁21に沿って配置される。
【0022】
メインコンベア5付近において、分岐路7の前後幅はメインコンベア5に近づくにつれて次第に後方に拡がっている。なお、分岐路7の側壁35は、メインコンベア5の側壁21と連続して形成されている。
【0023】
(2)搬入コンベア制御部
図3を用いて、搬入コンベア制御部41について説明する。図3は、搬入コンベア制御部のブロック構成図である。
【0024】
搬入コンベア制御部41は、CPU、RAM、ROM等からなりプログラムを実行するコンピュータであり、搬入コンベア3の動作を制御する。搬入コンベア制御部41は、メインコンベア制御部43と交信可能である。搬入コンベア制御部41は、速度制御部45と、長さ検出部47と、判定部49と、バーコード解読部51とを有している。
【0025】
速度制御部45は、物品Wを載置して移動中の搬入コンベア3の速度を制御する。具体的には、速度制御部45は、制御信号をモータ駆動部53に送信することで、モータ駆動部53にコンベア用モータ17を駆動させ、その結果、搬入コンベア3の速度を制御することができる。つまり、速度制御部45は、搬入コンベア3を、加速、減速、一定速度で動かすことができる。速度制御部45は、また、速度制御部45は、第1光電センサ11からの検出信号を受信する。
【0026】
長さ検出部47は、第1光電センサ11およびエンコーダ19からの検出信号を受信することで、物品Wの長さを検出する。なお、コンベアを一定速で動作させている場合は、長さ検出部47は、第1光電センサ11がONになっている時間にコンベア速度を掛けることで、荷物長さを算出する。
【0027】
判定部49は、第2光電センサ13によって検出された物品Wの挙動に基づいて、物品Wの転倒容易度(安定性)を判定する。具体的には、物品Wの挙動は、第2光電センサ13から検出信号によって得られる。判定部49は、長さ検出部47から物品Wの長さ情報を受信する。判定部49は、判定結果を速度制御部45に送信する。判定部49は、バーコード解読部51と互いの情報を交信する。
【0028】
バーコード解読部51は、バーコードリーダ15から検出信号を受信して、それを解読する。
【0029】
メインコンベア制御部43は、CPU、RAM、ROM等からなりプログラムを実行するコンピュータであり、搬入コンベア3の動作を制御する。メインコンベア制御部43は、第3光電センサ31からの検出信号を受信する。メインコンベア制御部43の機能については、以下、簡略化した説明を行う。メインコンベア制御部43は、メインコンベア駆動用のモータ(図示せず)およびダイバータ23を駆動するモータ(図示せず)の回転を制御する。
【0030】
(3)物品仕分け装置の概略動作
本実施形態における物品仕分け装置1の概略動作を説明する。
最初に、物品Wが、搬入コンベア3に供給される。物品Wは、バーコードリーダ15の下方を通過し、バーコードリーダ15によってバーコード情報(物品Wの仕分け先および高さ)を読み取られる。次に、物品Wは、第1光電センサ11の投・受光器間を遮蔽し、この遮蔽時間および搬入コンベア3の搬送速度から物品Wの搬送方向長さを検出される。その後、物品Wは、減速により傾いた状態にされ、それにより物品Wの転倒容易度を測定される。転倒容易度測定後に、物品Wは、仕分け先に対応するダイバータ23側(右或いは左側)に寄せられてメインコンベア5に供給される。物品Wは、寄せられた側の側壁21に沿ってメインコンベア5上を搬送される。
【0031】
物品Wは、メインコンベア5上の所定のダイバータ23の側方において、搬送方向長さに応じた所定位置に達すると、ダイバータ23によって分岐路7に仕分けられる。
なお、物品Wの転倒容易度に応じて、物品Wの仕分け先を変更可能である。例えば、最も転倒しやすい物品Wは、特定の分岐路7に仕分けてしまい、それ以上メインコンベア5上を移動しないようにできる。その場合は、作業者が物品Wを目的の分岐路7または搬送先に運ぶことになる。
【0032】
さらに、ダイバータ23の動作速度は、メインコンベア5の搬送速度を考慮した上で物品Wの転倒容易度に比例するように変更してもよい。その場合、物品Wの転倒容易度が高ければ(転倒しやすければ)ダイバータ23の動作速度を低くして、物品Wの転倒容易度が低ければ(転倒しにくければ)ダイバータ23の動作速度は高くする。
【0033】
仕分け動作時に、物品Wは、ダイバータ23に沿うように進行方向が斜め前方に変更されて、分岐路7に払い出される。このとき、分岐路7内の1本目の駆動ローラ(図示せず)によって、物品Wはメインコンベア5上に残ることなく分岐路7内に引き込まれる。分岐路7に払い出された物品Wは、自重によって分岐路7の終端部まで搬送された後、次の工程に送られる。
【0034】
(4)搬送コンベア制御部の転倒容易度判定動作
図4を用いて、搬入コンベア制御部41の転倒容易度判定動作について説明する。図4は、物品の転倒容易度を測定する制御を示すフローチャートである。
【0035】
(4−1)転倒容易度の測定
ステップS1では、速度制御部45は、第1光電センサ11が物品Wによってオフ状態になるのを待つ。
【0036】
ステップS2では、速度制御部45は、第1光電センサ11がオン状態になるのを待つ。
【0037】
ステップS3では、速度制御部45は、モータ駆動部53に減速信号を送信し、それによりコンベア用モータ17を減速回転させる。搬入コンベア3の減速度は、転倒条件に合わせて決められる。例えば、搬入コンベアの減速度は、搬入コンベア3が完全に停止するものであってもよいし、減速のみで停止しないものでもよい。減速度の大きさは、物品仕分け装置1内で最も強い減速度またはそれよりわずかにわずかに下に設定できる。その場合、減速によって倒れなかった物品Wは物品仕分け装置1内では倒れる可能性がほとんどないことになるので、安全性が向上する。
【0038】
以上に述べたように、速度制御部45は、第1光電センサ11が物品Wの検出を開始した後に検出を終了したタイミングを利用して搬入コンベア3を減速させる。このように搬入コンベア3の減速が物品Wの検出を終了したタイミングを利用して行われるので、第1光電センサ11による検出の終了を基準に減速させるだけの簡単な制御で判定が行われる。また、この実施形態では、物品Wの後端の正確な位置を把握した上で、物品Wの挙動を正確に検出できる。
【0039】
ステップS4では、長さ検出部47は、第1光電センサ11およびエンコーダ19の検出結果から、つまり、第1光電センサ11が遮蔽された時間中のエンコーダ19の回転数(パルス値)から搬入コンベア3上の物品Wの搬送方向長さを検出する。
【0040】
ステップS5では、物品Wの傾きが制御される。傾き制御の詳細は後述する。ステップS5によって、物品Wの転倒容易度が得られる。
【0041】
ステップS6では、搬入コンベア制御部41は、物品Wの転倒容易度をメインコンベア制御部43に送信する。
【0042】
ステップS7では、速度制御部45は、モータ駆動部53に一定走行信号を送信し、それによりコンベア用モータ17を一定速度で回転させる。
【0043】
(4−2)傾き制御
図5を用いて、図4のステップS5の詳細ステップを説明する。図5は、傾き制御を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS11では、判定部49は、長さ検出部47から物品Wの搬送方向長さ情報を取得する。
【0045】
ステップS12では、判定部49は、所定時間が経過しているか否かを判断する。所定時間が経過していればプロセスはステップS16に移行し、所定時間が経過していなければプロセスはステップS13に移行する。
【0046】
ステップS13では、判定部49は、第2光電センサ13の第4センサ13dがOFFになっているか否かを判断する。第4センサ13dがOFFになっていればプロセスはステップS14に移行して、第4センサ13dがOFFになっていなければプロセスはステップS12に戻る。以上をまとめると、プロセスは、ステップS12とステップS13を繰り返し、所定時間が経過すればステップS14を飛ばしてステップS15に移行し、所定時間内に第4センサ13dがOFFになればステップS14に移行する。
なお、ステップS12における計測終了は、第1センサ13aがOFFになってから次にONになる変化(傾いた物品Wが元の姿勢に戻ったことを意味する)に基づいて判断されてもよい。
【0047】
ステップS14では、判定部49は、速度制御部45に第4センサ13dがOFFになったことを送信し、それに基づいて速度制御部45がモータ駆動部53に加速信号を送信する。それにより、モータ駆動部53がコンベア用モータ17を加速するように回転させる。以上の結果、搬入コンベア3が減速から加速に変更され、物品Wは、搬送方向前側に傾いていた姿勢から元の直立した姿勢に戻る。
以上に説明したように、速度制御部45は、搬入コンベア3を減速させるときに物品Wの傾きがある大きさに達すれば、搬入コンベア3を加速させる。その結果、物品Wの転倒が防止される。つまり、物品Wの転倒容易度を判定する際に、物品Wの転倒が生じにくい。
【0048】
ステップS15では、判定部49は、物品Wの転倒容易度を判定する。転倒容易度は、主に、物品Wが傾いたときにOFFとなっているセンサの数(浮き上がり量)および物品Wの搬送方向長さから得られた傾き角度で決められる。転倒容易度は、「傾きやすい」「傾きにくい」の二段階でもよいし、例えば物品Wの傾き角度に応じた二段階以上であってもよい。判定部49は、物品Wの搬送方向長さおよびバーコード解読部51から得られた他の情報(重量、幅方向長さ)を、物品Wの転倒容易度を判定するための条件に加えてもよい。
【0049】
図6を用いて、物品Wの傾き制御の具体例を説明する。図6は、傾き制御における物品の状態を示す、搬入コンベアの模式側面図である。
【0050】
図6では、搬入コンベア3が減速されたので、物品Wが搬送方向前側に傾いている。具体的には、物品Wの後端底面が搬入コンベア3のベルト3aの上面3bから浮き上がっている。図においては、物品Wの後端底面が、第1センサ13a、第2センサ13b、第3センサ13cより上方に移動しており、それらセンサがOFFになっている。以下2つの場合について分けて説明する。
第1の場合は、図6の状態からさらに物品Wが傾いて第4センサ13dがOFFになる。この場合、速度制御部45は搬入コンベア3を減速するこ。その結果、物品Wは元の姿勢に戻る。また、判定部49は、物品Wの転倒容易度を第4センサ13dに対応したものと判定する
第2の場合は、図6の状態から物品Wがさらに傾かず、第4センサ13dがOFFにならない。この場合は、速度制御部45は搬入コンベア3を減速しない。その結果、物品Wは自重によって元の姿勢に戻る。また、判定部49は、物品Wの転倒容易度を第3センサ13cに対応してものと判定する。
【0051】
メインコンベア制御部43は、搬入コンベア制御部41から、物品Wの転倒容易度およびバーコード情報を受信する。
【0052】
メインコンベア制御部43は、所定のダイバータ23を選択し、そのダイバータ23が動作を開始すべきエンコーダの回転数を算出する。ダイバータ23の選択は、第3光電センサ31によって物品Wがメインコンベア5上に進入したことを検出した時点のエンコーダ(図示せず)の回転数,物品Wの搬送方向長さおよびバーコード情報から認識した物品Wの仕分け先に基づく。また、メインコンベア制御部43は、物品Wの転倒容易度に基づいてダイバータ23の動作速度を算出する。なお、これらの回転数および動作速度の算出は、メインコンベア5の搬送速度を考慮して行われる。そして、エンコーダが算出した所定の回転数に達すると、ダイバータ23が算出した所定の速度で動作すべく、モータ駆動部(図示せず)を介してモータ(図示せず)を回転させる。
【0053】
以上に述べたように、物品の転倒容易度は、搬送体が減速されたときの物品の挙動によって判定される。したがって、搬送システムにおいて、物品の転倒容易度を正確に得ることができる。これより、搬送システムの搬送能力を最大限に発揮させることができる。具体的には、搬送システムにおける搬送体の加減速を、物品が倒れない範囲で最も大きくできる。また、倒れやすい物品Wをダイバータまたは作業者によって搬送体から早期に取り除くことによって、搬送体の加減速度を大きくできる。以上の結果、物品Wの搬送効率が向上する。
【0054】
(5)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0055】
(5−1)転倒容易度判別センサとしての光電センサの配置
第1実施形態では、複数の光電センサは物品Wの搬送方向後側端下部に対応する位置に鉛直方向に同一ピッチで配置されていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。
複数の光電センサは、物品Wの上部に対応する位置、物品の上部の搬送方向前側の位置に配置可能である。また、複数の光電センサは、各位置において、鉛直方向、水平方向、斜め方向に並んでいてもよい。さらに、複数の光電センサのピッチは一定でなくてもよい。
【0056】
(5−2)転倒容易度判別センサとしての他のセンサ
第1実施形態では、転倒容易度判別センサとして、物品に対して側方から投光する複数の光電センサが用いられていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。
図7を用いて、転倒容易度判別センサとして、レーザ測長器を用いた場合を説明する。図7は、他の実施形態における、図6に対応する図である。
レーザ測長器61は、第1光電センサ11よりわずかに搬送方向下流側に配置されている。レーザ測長器61は、搬入コンベアとしてのローラコンベア63の内部に配置されており、上方にレーザ光を発射して、さらに、反射してきたレーザ光を受光可能となっている。
以上より、レーザ測長器61は、物品Wの後端下面が浮き上がったときに、浮き上がり量を測定できる。判定部は、浮き上がり量に基づいて、物品Wの転倒容易度を判定する。
【0057】
図8を用いて、転倒容易度判別センサとして、カメラを用いた場合を説明する。図8は、他の実施形態における、図6に対応する図である。
カメラ65は、第1光電センサ11よりわずかに搬送方向下流側に配置されている。カメラ65は、傾いた状態の物品Wの中心に側方から対向するように、搬入コンベア3のベルト3aの上面3bから高く配置されている。
以上より、カメラ65は、物品W全体を撮影し、さらに図示しない画像処理部が撮影画像を画像処理する。判定部は、画像処理結果に基づいて、物品Wの転倒容易度を判定する。
【0058】
(5−3)搬送体としての搬送台車
第1実施形態では、搬送体としてコンベアを用いていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。
図9を用いて、搬送体として搬送台車を用いた実施形態を説明する。図9は、他の実施形態における、図6に対応する図である。
搬送台車67は、物品Wを上面に載置した状態で自動走行可能である。第1光電センサ69は、搬送台車67とは別に独立し設けられており、搬送台車67が所定位置を走行するときに物品Wを検出する。搬送台車67には、第1実施形態と同様に複数の光電センサ71a〜71dからなる第2光電センサ71が設けられている。第2光電センサ71は、搬送台車67の搬送方向後端下側部分に設けられている。以上の構成により、第1実施形態と同様に、物品Wの転倒容易度を正確に判定できる。
この実施形態に対しては、他の実施形態で前述した転倒容易度判別センサを適用可能である。
【0059】
(5−4)その他
【0060】
(A)第1実施形態では、最上位の第4センサ13dがOFFになれば加速を行うようになっていたが本発明はそれに限定されない。
減速度を十分に小さくすることで、物品Wの傾きを小さくして、その結果、加速を行わないようにしていてもよい。
加速の要否を判断するためのセンサを物品Wごとに決定するようにしていてもよい。その場合、ステップS11とステップS12の間で、判定部49は、第1センサ13a、第2センサ13b、第3センサ13c、第4センサ13dの中から限界センサを決定する。限界センサとは、そのセンサがOFFになれば物品がそれ以上は傾かないように加速を行う必要があるセンサである。判定部49は、限界センサの決定に当たって、長さ情報、バーコード解読部51から受信した各種情報を参照してもよい。
【0061】
(B)第1実施形態では第1光電センサが物品Wの位置の認識と物品Wの搬送方向長さの測定を両方行っていたが、本発明はそれに限定されない。物品Wの位置の認識と物品Wの搬送方向長さの測定を別の手段で行ってもよい。
【0062】
(C)第1実施形態では第2光電センサが物品Wの転倒容易度の検出と限界倒れ角度の検出とを両方行っていたが、本発明はそれに限定されない。物品の転倒容易度の検出と限界倒れ角度の検出を別の手段で行ってもよい。
【0063】
(D)第1実施形態では物品Wの減速時の挙動を検出するために、光電センサを用いていたが、本発明はそれに限定されない。例えば、エリアセンサを設けて、傾いた物品が設定されたエリア内において検出される面積を測定してもよい。
【0064】
(E)第1実施形態では、メインコンベアにおいてはダイバータによって自動仕分けを行っていたが、本発明はそれに限定されない。例えば、作業者が最も転倒しやい物品Wを特定の分岐路に仕分けてもよい。
【0065】
(F)第1実施形態では物品仕分け装置としてベルトコンベアが用いられていたが、本発明はそれに限定されない。例えば、物品仕分け装置は、ローラコンベアまたはチェーンコンベアであってもよい。
【0066】
(G)第1実施形態ではセンサは搬入コンベアに設けられていたが、本発明はそのような実施形態に限定されない。例えば、センサはメインコンベアに設けられており、メインコンベアにおいて物品の転倒容易度を判定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、物品を搬送するための搬送システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 物品仕分け装置
3 搬入コンベア(搬送体)
3a ベルト
3b 上面
5 メインコンベア
7 分岐路
11 第1光電センサ(センサ)
13 第2光電センサ(物品挙動検出部)
15 バーコードリーダ
17 コンベア用モータ
19 エンコーダ
21 側壁
23 ダイバータ
25 物品接触部
27 折り曲げ部
29 上下軸
31 第3光電センサ
35 側壁
41 搬入コンベア制御部
43 メインコンベア制御部
45 速度制御部
47 長さ検出部
49 判定部
51 バーコード解読部
53 モータ駆動部
61 レーザ測長器
63 ローラコンベア
65 カメラ
67 搬送台車
69 第1光電センサ
71 第2光電センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送システムであって、
物品を載置して移動する搬送体と、
前記物品を載置して移動中の前記搬送体の速度を制御する速度制御部と、
減速時の前記物品の挙動を検出する物品挙動検出部と、
前記物品挙動検出部によって検出された前記物品の挙動に基づいて転倒容易度を判定する判定部と、
を備えた搬送システム。
【請求項2】
前記物品の搬送経路に設けられ、前記搬送体に載置された前記物品を検出するためのセンサをさらに備えており、
前記速度制御部は、前記センサが前記物品の検出を終了したタイミングを利用して前記搬送体を減速させる、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記速度制御部は、前記搬送体を減速させるときに前記物品の傾きがある大きさに達すれば、前記搬送体を加速させる、請求項1または2に記載の搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−148564(P2011−148564A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9803(P2010−9803)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】