説明

搬送装置および画像形成装置

【課題】 開閉部材の開放を簡素な構成で検知することができる搬送装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】 筐体と、筐体の一部を構成する開閉部材と、開閉部材の内側に隣接して設けられ、搬送の対象物を搬送する搬送路と、搬送路上の所定箇所に対象物が存在するか否かを検知し検知結果に応じた検知信号を出力する第1検知器と、開閉部材が開いた場合に、開閉部材が開く動きに第1検知器を力学的に連動させて該第1検知器の位置および構造の少なくとも一方を変化させることで該第1検知器に、搬送路上に対象物が存在するときの検知信号と同じ検知信号を出力させる連動機構とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、装置本体に開閉可能に設けられたカバーと、装置本体に着脱自在に装着される着脱部材と、装置本体への着脱部材の装着を検知する検知スイッチと、着脱部材の装着動作に連動してカバーを閉じる方向の力を作用させる連動部材とを備え、装置本体に着脱部材を装着するという動作を行うだけで、連動部材の作用によりカバーが自動的に閉じられる様にしたことで、カバーの開閉を検知するインターロックスイッチの省略を可能にした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−119494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、開閉部材の開閉を簡素な構成で検知することができる搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る搬送装置は、
開閉可能な開閉部材を有する筐体と、
少なくとも一部が上記開閉部材の内側に隣接して設けられ、搬送の対象物を搬送する搬送路と、
上記搬送路上の所定箇所に上記対象物が存在するか否かを検知し当該検知結果に応じた検知信号を出力する第1検知器と、
上記開閉部材が開いた場合に、この開閉部材が開く動きに上記第1検知器を力学的に連動させてこの第1検知器の位置および構造の少なくとも一方を変化させることでこの該第1検知器に、上記搬送路上の所定箇所に上記対象物が存在するときの検知信号と同じ検知信号を出力させる連動機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る搬送装置は、
上記搬送路と上記開閉部材との間に配備され上記対象物をこの搬送路に沿って案内する案内部材を備え、
上記連動機構が、上記動きに上記第1検知器を力学的に連動させるとともに、その動きに上記案内部材も力学的に連動させてこの案内部材を上記搬送路から離れる方向に移動させるものであることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る搬送装置は、
上記第1検知器が、上記所定箇所に設けられ上記対象物に接触することで姿勢が変動する変動部材と、この変動部材によるこの姿勢の変動に基づいて、上記搬送路上の所定箇所に対象物が存在するか否かを検知する光検知素子とを少なくとも備えたものであり、
上記連動機構が、上記開閉部材が開く動きに上記変動部材を力学的に連動させて上記所定箇所から移動させることで、上記対象物にこの変動部材が接触しているときの検知信号と同じ検知信号をその光検知素子に出力させるものであることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る画像形成装置は、
開閉可能な開閉部材を有する筐体と、
上記筐体内に配備され、記録媒体上に像を記録する記録器と、
少なくとも一部が上記開閉部材の内側に隣接して設けられ、搬送の対象物を搬送する搬送路と、
上記搬送路上の所定箇所に上記対象物が存在するか否かを検知し当該検知結果に応じた検知信号を出力する第1検知器と、
上記開閉部材が開いた場合に、この開閉部材が開く動きに上記第1検知器を力学的に連動させてこの第1検知器の位置および構造の少なくとも一方を変化させることでこの該第1検知器に、上記前記搬送路上の所定箇所に上記対象物が存在するときの検知信号と同じ検知信号を出力させる連動機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る画像形成装置は、
上記第1検知器が、上記所定箇所に設けられ上記対象物に接触することで姿勢が変動する変動部材と、この変動部材によるこの姿勢の変動に基づいて、上記搬送路上の所定箇所に対象物が存在するか否かを検知する光検知素子とを少なくとも備えたものであり、
上記連動機構が、上記開閉部材が開く動きに上記変動部材を力学的に連動させて上記所定箇所から移動させることで、上記対象物にこの変動部材が接触しているときの検知信号と同じ検知信号をその光検知素子に出力させるものであることを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る画像形成装置は、
上記記録器は、
上記像を、上記搬送路上を搬送される記録媒体上に静電的に転写することでこの記録媒体上にその像を記録し、静電的な状態が上記開閉部材の開閉によって変化する転写記録器であり、
この画像形成装置が、上記転写記録器の静電的な状態の変化を検知する第2検知器を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項7に係る画像形成装置は、請求項6に係る画像形成装置において、
上記転写記録器が、上記搬送路を挟んで上記開閉部材とは反対側に設けられた第1の部材と、その開閉部材に取り付けられた第2の部材とを備え、これら第1の部材と第2の部材との間に電場を形成することで上記像を上記記録媒体上に転写するものであることを特徴とする。
【0012】
請求項8に係る画像形成装置は、請求項6に係る画像形成装置において、
上記転写記録器が、給電されることで上記像の静電的な転写を行うものであり、
上記開閉部材が開いた場合に上記転写記録器への給電を遮断する遮断器を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る搬送装置によれば、連動機構を有さない場合に比べて簡素な構成で開閉部材の開閉を検知することができる。
【0014】
請求項2に係る搬送装置によれば、案内部材が連動しない場合と比べて、案内部材の周辺で生じた搬送対象物の詰まりを解消しやすい。
【0015】
請求項3に係る搬送装置によれば、変動部材による姿勢の変動を利用しない場合と比べて構成が簡易となる。
【0016】
請求項4に係る画像形成装置によれば、連動機構を有さない場合に比べて簡素な構成で開閉部材の開閉を検知することができる。
【0017】
請求項5に係る画像形成装置によれば、変動部材による姿勢の変動を利用しない場合と比べて構成が簡易となる。
【0018】
請求項6に係る画像形成装置によれば、本構成を有しない場合と比べて開閉部材の開放の認知性が向上する。
【0019】
請求項7に係る画像形成装置によれば、本構成を有しない場合に比べて、開閉部材の開放を迅速に認識することができる。
【0020】
請求項8に係る画像形成装置によれば、本構成を有しない場合に比べて、開閉部材の開放時における安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】プリンタの外観斜視図である。
【図2】プリンタの側面からの透視図である。
【図3】プリンタの搬送路の一部を示す図である。
【図4】プリンタの搬送路の一部を詳細に示す図である。
【図5】図2に示す透視図の一部の拡大図である。
【図6】方向変換ガイドに記録媒体が到達した後の状態を示す図である。
【図7】方向変換ガイドが開閉部材側に倒れた状態を示す図である。
【図8】2次転写ロールへの電圧印加回路を示す図である。
【図9】第2実施形態のプリントの側面からの透視図である。
【図10】図9に示す透視図の一部の拡大図である。
【図11】第2実施形態のプリントの方向変換ガイドに記録媒体が到達した後の状態を示す図である。
【図12】第2実施形態のプリントの方向変換ガイドが開閉部材側に倒れた状態を示す図である。
【図13】第3実施形態のプリントの側面からの透視図である。
【図14】図13に示す透視図の一部の拡大図である。
【図15】第3実施形態のプリントの方向変換ガイドに記録媒体が到達した後の状態を示す図である。
【図16】第3実施形態のプリントの方向変換ガイドが開閉部材側に倒れた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の画像形成装置の実施形態について説明する。
【0023】
図1は、プリンタの外観斜視図である。このプリンタ1が、本発明の搬送装置および本発明の画像形成装置に共通の第1実施形態である。
【0024】
図1に示すプリンタ1は、電子写真方式のフルカラープリンタであり、筐体100を備えている。この筐体100内には、詳しくは後述するが、記録媒体上にY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、および(黒)の計4色の各色トナーで像を形成する画像形成ユニットや、そのトナー像を記録媒体上に定着する定着器が収納されている。この筐体100が、本発明にいう筐体の一例に相当する。
【0025】
筐体100の4つの側面のうちの1つには、この筐体100の一部を構成する開閉部材10が備えられている。この開閉部材10は、記録媒体が搬送される搬送路L(図2参照)の一部に対向した位置に備えられており、この開閉部材10を開放すれば搬送路Lの一部が露出する。この開閉部材10は、取っ手10aを手前に引くことで開放される。この開閉部材10が、本発明にいう開閉部材の一例に相当する。
【0026】
筐体100の上面には、窪み1aが設けられており、その窪み1aには、トナー像が定着された記録媒体が排出される。
【0027】
また、この筐体100の上面には、ユーザによって操作される操作パネル201と、メッセージが表示される表示パネル202とからなる操作表示パネル200が設けられている。ユーザは、この操作パネル201を操作して、プリント枚数や画像拡縮等の各種指示をこのプリンタ1に与え、表示パネル202には、現在設定されているプリント条件や、ユーザーに対するエラーメッセージ等が表示される。
【0028】
図2は、プリンタの側面からの透視図である。
【0029】
図2には、図1に示される矢印Xの向きにプリンタ1を見た場合の透視図が示されている。尚、図2には、筐体100の上面の窪み1aに設けられた、トナー像が定着された記録媒体を排出するための排出口100aが示されている。また、図2の左側には、筐体100の一部を構成する開閉部材10が示されている。
【0030】
プリンタ1は、筐体100の底に媒体カセット2を備えており、媒体カセット2の左側には媒体引き出し部3を備えている。
【0031】
この媒体カセット2には、記録媒体が積み重ねられて収容されている。媒体引き出し部3は、この媒体カセット2から記録媒体を1枚ずつ引き出し、引き出した記録媒体を搬送路Lに送り込む。この搬送路Lは、開閉部材10の内側に沿って配備されており、搬送路Lに沿って、複数の搬送ローラ対300が備えられている。媒体引き出し部3によって搬送路Lに送り込まれた記録媒体は、複数の搬送ローラ対300によって図2における下方から上方に向けてこの搬送路Lに沿って搬送される。この搬送路Lが、本発明にいう搬送路の一例に相当する。
【0032】
また、プリンタ1は、媒体カセット2の上方に画像形成ユニット4を備えており、この画像形成ユニット4では、後述する様にトナー像を形成する。この画像形成ユニット4は、搬送路Lを搬送途中の記録媒体に対してトナー像を転写する。
【0033】
また、プリンタ1は、排出口100aの手前に定着器5を備えている。定着器5は、加熱ロール51と加圧ロール52とを有しており、加熱ロール51の内部には、発熱源であるハロゲンランプ510が内蔵されている。
【0034】
画像形成ユニット4により表面に画像が転写された記録媒体は、定着器5によって加熱および加圧され、表面のトナー像は、記録媒体の表面に定着される。その後記録媒体は、排出口100aから窪み1aへ排出される。
【0035】
ここで、画像形成ユニット4における、トナー像の形成およびトナー像の転写について説明する。
【0036】
画像形成ユニット4は、4つの画像形成部4Y、4M、4C、4K、1次転写部40、および2次転写部41を備えている。
【0037】
4つの画像形成部4Y、4M、4C、4Kは、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、および(黒)の計4色のトナー像をそれぞれ形成する。
【0038】
1次転写部40は、中間転写ベルト404を備えており、4つの画像形成部4Y、4M、4C、4Kにより形成された各色トナー像をこの中間転写ベルト404に順次積みかさねて転写(1次転写)させる。
【0039】
各画像形成部4Y、4M、4C、4Kは、中間転写ベルト404の循環移動方向(矢印B方向)上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に1列に配置されている。画像形成部4Y、4M、4C、4Kは、使用するトナーの色が異なる以外は互いに同様の構成を有している。イエローを担当する画像形成部4Yに代表させて符号を付して説明する。
【0040】
画像形成部4Yは、感光体ロール41Yを備えており、感光体ロール41Yは、矢印A方向に回転する、紙面に垂直な方向に延びたロールである。この感光体ロール41Yの上方には、帯電ロール42Yが備えられている。この帯電ロール42Yは、この感光体ロール41Yに接触して従動回転し、感光体ロール41の表面に電荷を付与する。帯電ロール42Yの左斜め上方には、露光器43Yが備えられている。
【0041】
ここで、プリンタ1には、図2の右側上方に示される制御部6が備えられている。この制御部6は、このプリンタ1の内部の各機能部の動作を制御していると共に、外部から送信されてきた画像データを受信し、Y色、M色、C色、およびK色の各色毎の画像データに分解する。そして、各色毎の画像データを対応する色の露光器に送信する。
【0042】
制御部6からY色用の画像データを受信した露光器43Yは、その画像データに応じて感光体ロール41Yの表面を露光する。これにより、感光体ロール41Yの表面には、送信されてきた画像データに応じた静電潜像が形成される。感光体ロール41Yの左横には、現像ロール44Yが備えられている。現像ロール44Yは、帯電したY色トナーを表面に保持して回転する。現像ロール44Yには電圧が印加されており、感光体ロール41Yの表面に形成されている静電潜像と現像ロール44Yとの間には電界が発生する。このため、現像ロール44Yが、帯電したトナーを保持しながら回転することで、帯電トナーが静電潜像側に移行し、静電潜像がトナーで現像される。各感光体ロールの表面に形成されたトナー像は、1次転写部40により中間転写ベルト404の表面に転写される。
【0043】
1次転写部40の構成要素である中間転写ベルト404は、駆動ロール401、テンションロール402、およびバックアップロール403に架け渡されて矢印B方向に周回移動している。駆動ロール401は、モータ(図示せず)により駆動されて、中間転写ベルト404を予め定められた速度で周回移動させる。テンションロール402は、中間転写ベルト404に対して一定の張力(テンション)を与える。バックアップロール403は、2次転写部41の構成要素でもあり、中間転写ベルト404を挟んで2次転写ロール411と対向している。
【0044】
また、1次転写部40は、中間転写ベルト404を挟んで各感光体ロールに対向して配置された1次転写ロール40Y、40M、40C、40Kを備えている。1次転写ロール40Y、40M、40C、40Kは、各感光体ロールとの間に中間転写ベルト404を挟み付けている。各1次転写ロールには、トナーの帯電極性とは逆極性の電圧が印加される。これにより、各感光体ロールの表面に形成されているトナー像が中間転写ベルト404に静電吸引され、中間転写ベルト404の表面に転写される。このプリンタ1では、循環移動する中間転写ベルト404上の同一の位置に各色のトナー像が重ねられて転写されるように、各画像形成部4Y、4M、4C、4Kにおけるトナー像の形成タイミングおよび第1次転写部40における電圧印加タイミングが調整されている。尚、4色のトナー像が積み重ねられた積層トナー像は、2次転写部41により記録媒体上に転写される。
【0045】
2次転写部41は、2次転写ロール411とバックアップロール403とを備えている。バックアップロール403は、中間転写ベルト404の内周面側に配置されて地絡されており、2次転写ロール411は、中間転写ベルト404を挟んでバックアップロール403に対向して配置されている。尚、詳しい説明は後に譲るが、2次転写ロール411は、開閉部材10に保持されており、開閉部材10が開放されると、二次転写ロール411は、中間転写ベルト404および対向ロール403から離間する。この2次転写部が、本発明にいう記録器および転写記録器の一例に相当する。また、バックアップロール403が、本発明の第1の部材の一例に相当し、2次転写ロール411が、本発明の第2の部材の一例に相当する。
【0046】
また、2次転写ロール411には、電圧が印加されており、バックアップロール403との間に電界が形成されている。この電界によって、中間転写ベルト404上に転写されている積層トナー像は、搬送路Lに沿って搬送される記録媒体上に2次転写される。
【0047】
ここで、プリンタが占める床面積の挟小化が近年求められてきており、この要求に応えるために、水平方向に引き出した記録媒体を垂直方向に延びる搬送路に沿って上昇させ、その途中でトナー像の転写および記録媒体への定着を行う本実施形態のプリンタ1のような形式が採用されている。
【0048】
この様なタイプのプリンタでは、水平方向に引き出した記録媒体を鉛直方向上方に方向転換させる必要がある。
【0049】
そこで、このプリンタ1には、図2の左下の隅に示される方向転換ガイド7が備えられている。この方向転換ガイド7は、記録媒体の搬送方向を転換する箇所に備えられ、記録媒体を搬送路Lに沿って案内する。この方向転換ガイド7が、本発明にいう案内部材の一例に相当する。
【0050】
この方向転換ガイド7は、長手方向が紙面に垂直な方向に延びる板部材であり、下端に紙面に垂直な方向に延びる回転軸70を有している。また、この方向転換ガイド7は、上端に凸部71を有している。また、開閉部材10は、この開閉部材10が閉鎖されている際にこの凸部71と接触する位置に突起101を有している。
【0051】
方向転換ガイド7は、開閉部材10が閉鎖されているときには開閉部材10と搬送路Lとの間で起立し記録媒体の搬送方向を転換させる。この方向転換ガイド7は、開閉部材10が開放されるに伴い開閉部材10の方に倒れ搬送路Lを露出させる。また、方向転換ガイド7は、開閉部材10が閉鎖されるに伴い、これら突起101と凸部71との相互作用により徐々に起き上がる。この様に方向転換ガイド7の動きを開閉部材10の動きに連動させているのは、ユーザがこの開閉部材10を開放する目的の多くが、搬送路Lに詰まった記録媒体の除去にあるからである。また、このプリンタ1では、開閉部材10の側に2次転写ロール411が保持されていることから、開閉部材10を開放することが、搬送路Lの一部である2次転写ロール411と中間転写ベルト404の隙間を広げることとなり、詰まった記録媒体の除去に資することとなる。
【0052】
このプリンタ1は、方向変換ガイド7の内側での記録媒体の詰まりを検出するために光学センサ400と作用部材8を備えている。
【0053】
光学センサ400は、発光部と受光部とを有している。光学センサ400は、発光部から受光部に向けて光を照射し、受光部では、その光を受光したか否かに応じたオンオフ信号を出力する。光学センサ400が出力した信号は、制御部6に送信される。
【0054】
作用部材8は、両端の直線部81が互いの延長線上にあるクランク状の金属棒であって、1対の支持部材800(図3参照)に両端の直線部81が支持されている。このため、作用部材8の姿勢は、直線部81を中心に変化する。以下説明するように、作用部材8と光学センサ400が協働することで記録媒体が検知されており、光学センサ400と作用部材8とを併せたものが、本発明にいう第1検知器の一例に相当する。
【0055】
また、作用部材8は、両端の直線部81を繋ぐ折れ曲がり部82を有しており、この折れ曲がり部82からは、第1突出部83が突出している。この第1突出部83は、方向転換ガイド7を貫通して搬送路L側に突き出ている。この第1突出部83は、搬送路Lに沿って搬送される記録媒体の先端によって突き上げられる。直線部81からは、第2突出部84が突出している。記録媒体による第1突出部83の突き上げにより、作用部材8の姿勢が直線部81を中心に変化すると、第2突出部84は光学センサ400の発光部と受光部との間から抜ける。これにより、受光部では光を受光することとなり、結果として記録媒体を検知することとなる。その後、記録媒体が通過し終わると、それまで突き上げられていた第1端部81は下がり、第2突出部84は光学センサ400の発光部と受光部との間に入り込む。これにより、受光部では光を受光できなくなる。制御部6では、搬送路Lを搬送中の記録媒体の長さおよび記録媒体の搬送速度を把握しており、第1端部81が突き上げられて(オン信号)から下に降りる(オフ信号)と考えられるまでの時間(予想時間)を演算する。また、制御部6では、光学センサ400からの信号に基づいて、実際に記録媒体が方向変換ガイド7の内側を通過し始めてから通過し終わるまでの時間(実時間)、すなわち第1端部81が実際に突き上げられてから下がるまでの時間を計測している。これにより、制御部6では、実時間が予想時間よりも、予め設定されている猶予時間を超えて長くなった時点で、方向転換ガイド7の内側で記録媒体の詰まりが発生したと認識する。
【0056】
図3は、プリンタの搬送路の一部を示す図である。
【0057】
図3には、開閉部材10の開放により、プリンタ1の搬送路の一部が露出した状態が示されている。尚、図3では、本来であれば図4に示すように開閉部材10の開放に伴って開閉部材10側に倒れるはずの方向転換ガイド7が、説明の便宜上起立したままの状態で示されている。また、図3には、搬送路に沿って備えられている搬送ロール対300や中間転写ベルト404が示されている。
【0058】
開閉部材10の内側には、2次転写ロール411の一端を支持する導電性ベアリング4111と他端を支持する絶縁性ベアリング4112とをそれぞれ保持する絶縁性保持部材102が取り付けられている。プリンタ本体側には、2次転写ロール411の両端部分を受け入れる切欠900aが設けられている。
【0059】
また、開閉部材10には、供給経路については後述するが、開閉部材102が保持している2次転写ロール411に対して電圧を印加する給電バネ412が取り付けられている。プリンタ本体側には、開閉部材10に取り付けられている給電バネ412に対応する位置に電気接点900が備えられている。2次転写ロール411は、開閉部材10が閉じられることでプリンタ本体側の電気接点900に接触した給電バネ412を通じてプリンタ本体側から電圧印加を受ける。この給電バネ412が、本発明の遮断器の一例に相当する。
【0060】
作用部材8は、前述したようにクランク状に折れ曲がった金属棒であり、両端の直線部81を繋ぐ折れ曲がり部82は、一方の直線部81に対して直角方向に一旦延びて、その後折れ曲がって直線部81に平行に進み、もう一方の直線部81に向けて再び折れ曲がった形状を有している。
【0061】
また、作用部材8には、折れ曲がり部82の中央部分から突出した第1突出部83と、直線部81から突出した第2突出部84とが備えられている。
【0062】
光学センサ400は、発光部401と受光部402とで構成されており、第2突出部84は、発光部401と受光部402との間に入り込んだり、これらの間から外れたりする。
【0063】
方向変換ガイド7は、両端上部に、開閉部材10に設けられている突起101に接触する凸部701を有し、中央部に、第1突出部83が貫通している貫通孔7aを有している。
【0064】
図4は、プリンタの搬送路の一部を詳細に示す図である。
【0065】
図4には、開閉部材10の開放に伴って方向転換ガイド7が開閉部材10側に倒れた様子が示されている。
【0066】
この様に方向転換ガイド7が開閉部材10側に倒れると、方向転換ガイド7の陰で媒体カセットに近接して配置されている搬送ロール対300が露出することから、記録媒体の詰まりの解消は簡易となる。
【0067】
ここで、一般的なプリンタでは、開閉部材の開放はインターロックスイッチなどの高価な部品によって確実に検知されている。
【0068】
しかしながら、床面積の狭小化に加えて、廉価版のプリンタに対する市場ニーズがあり、これに応えるには、高価な部品を使用しない簡素な構成とする必要がある。
【0069】
そこで、このプリンタ1では、以下に説明する工夫により、安全性に支障の出ない範囲で、開閉部材10の開閉検知専用の高価な部品が撤廃されている。
【0070】
図5は、図2に示す透視図の一部の拡大図である。
【0071】
図5には、方向変換ガイド7の周辺の側面からの透視拡大図が示されており、方向変換ガイド7に記録媒体がまだ到達する前の状態が示されている。
【0072】
作用部材8の第1突出部83は、方向転換ガイド7に記録媒体が到達する前は、方向変換ガイド7の貫通孔7aの下側の縁近くにまで下がった状態にある。その際、第2突出部84は、光学センサ400の検知範囲に入っている。
【0073】
図6は、方向変換ガイドに記録媒体が到達した後の状態を示す図である。
【0074】
作用部材8の第1突出部83は、方向転換ガイド7に到達した記録媒体に突き上げられ、方向変換ガイド7の貫通孔7aの中央付近にまで上昇した状態にある。その際、第2突出部84は、光学センサ400の検知範囲から外れており、制御部6では、前述したように実時間の計測が行われている。そして、制御部6では、実時間が予想時間よりも、予め設定されている猶予時間を超えて長くなった時点で、この方向変換ガイド7の内側で記録媒体の詰まりが発生したと認識する。
【0075】
図7は、方向変換ガイドが開閉部材側に倒れた状態を示す図である。
【0076】
図7には、開閉部材10が開放されたことに伴い、方向変換ガイド7も開閉部材10の方に倒れた様子が示されている。
【0077】
作用部材8の第1突出部83は、方向変換ガイド7が開閉部材10の方に倒れたことにより、直線部81を中心に大きく回転し、搬送路Lから離れて方向変換ガイド7の貫通孔7aの上側の縁近くまで移動した状態にある。すなわち、作用部材8と光学センサ400とで構成された第1検知器の構造が変化している。その結果、第2突出部84は、光学センサ400の検知範囲からはずれるため、光学センサ400からは、方向変換ガイド7の内側を記録媒体が通過しているときと同じオン信号が出力される。
【0078】
開閉部材10の開放に伴い突起101が凸部71から離れ、突起101による支えが外れることで方向変換ガイド7が倒れ、方向変換ガイド7が倒れることで作用部材8を移動させる一連の機構が、本発明にいう連動機構の一例に相当する。
【0079】
制御部6では、開閉部材10が開放されたことで、実時間が予想時間よりも、予め設定されている猶予時間を超えて長くなった場合と、この方向変換ガイド7の内側で記録媒体の詰まりが発生したことで、実時間が予想時間よりも、予め設定されている猶予時間を超えて長くなった場合との区別がつかない。
【0080】
この様にプリンタ1では、記録媒体の詰まりと開閉部材10の開放とのうちいずれが発生したかは区別できないが、開閉部材10が開放されれば、その開放は検知される。
【0081】
そこで、プリンタ1では、実時間が予想時間よりも、予め設定されている猶予時間を超えて長くなった時点で、操作・表示パネル200にメッセージ「開閉部材を開けて記録媒体が詰まっているか確認してください。しっかりと開閉部材を閉めてください」を表示する。そして表示は維持したまま、各動作部への電圧印加が停止される。この様に、記録媒体の詰まりと開閉部材10の開放との双方をユーザに確認させるメッセージを表示することで、ユーザは双方とも確認する必要があるが、記録媒体の詰まりの確認の際には必ず開閉部材10の開閉を伴うことから、ユーザに大きな負担をかけることはないと考えられる。
【0082】
また、このプリンタ1では、開閉部材10が開放されることで、前述した給電バネ412(図3参照)がプリンタ本体側の電気端子900から離間する。これにより、開閉部材10に保持されている2次転写ロール411への電圧印加が停止される。
【0083】
図8は、2次転写ロールへの電圧印加回路を示す図である。
【0084】
図8に示される部材のうち電気端子900を除く残りの部材が開閉部材10側に配設されている。
【0085】
電気端子900に接触している給電バネ412は、電圧印加回路の一部である台座プレート413を介して揺動バネ414に繋がっている。
【0086】
揺動バネ414は、導電性ベアリング4111に固定されている接触台座4113に接触子415を介して繋がっている。この揺動バネ414は、2次転写ロール411の軸方向への揺動に対応して伸縮しながら、接触子415を台座プレート413に押し付けていて導通を確実に維持している。
【0087】
以上のような電圧印加回路により電圧が印加されている2次転写ロール411は、開閉部材10が開放されて、互いに接触していた電気端子900と給電バネ412とが離間すると、2次転写ロール411への電圧印加は停止される。これにより、ユーザが開閉部材10を開けた際に、電圧印加中の2次転写ロール411に誤って触れてしまう事態が回避されている。
【0088】
また、このプリンタ1では、光学センサ400からの信号に基づく前述のメッセージを表示したまま、各動作部への電圧印加が停止されるが、その後、ユーザによって、記録媒体の詰まりが除去されて開閉部材10が閉じられたことを、制御部6では、光学センサ400からの信号が、記録媒体の詰まりや開閉部材の開放を表すオン信号ではなく正常を表すオフ信号であることで確認する。これにより、このプリンタ1では、各動作部への電力の供給が再開される。
【0089】
次に、本発明の搬送装置および本発明の画像形成装置に共通の第2実施形態について説明する。
【0090】
第2実施形態と第1実施形態とでは、方向転換ガイドの内側での記録媒体の詰まりの検出の仕方が異なっている。また、第2実施形態では、2次転写ロール411に近接した位置で中間転写ベルト404の表面電位を計測している点も第1実施形態と異なっている。以下、これらの相違点について説明する。
【0091】
図9は、第2実施形態のプリンタの側面からの透視図である。尚、図9では、図2に示す部材と同じ種類の部材には、図2において付されている符号と同じ符号が付されている。
【0092】
第2実施形態のプリンタ11では、方向転換ガイド77に光学センサ771が取り付けられていると共に、起立した状態の方向転換ガイド77と搬送路Lを挟んで対向する箇所に反射板78を備えている。また、このプリンタ11では、中間転写ベルト404の表面電位を電位計測器500で計測しており、この電位計測器500は、インターロックスイッチに比べて廉価な部品である。光学センサ771と反射板78は、以下に説明するように協働して記録媒体を検知しており、光学センサ771と反射板78とを併せたものが、本発明の第1検知器の一例に相当する。
【0093】
図10は、図9に示す透視図の一部の拡大図である。
【0094】
図10には、方向変換ガイド77の周辺が示されており、方向変換ガイド77に記録媒体がまだ到達する前の状態が示されている。
【0095】
方向転換ガイド77に取り付けられている光学センサ771は、方向転換ガイド77に記録媒体が到達する前は、光学センサ771から出射され反射板78で反射された反射光を受光する。この受光は、光学センサ771と反射板78とが対向した特定配置になっていることで実現される。光学センサ77は、受光したことを表す信号を制御部6へ送信する。
【0096】
図11は、方向変換ガイドに記録媒体が到達した後の状態を示す図である。
【0097】
方向転換ガイド77に記録媒体が到達すると、記録媒体が光学センサ771と反射板78との間に入り込むため、光学センサ771から出射された光は、記録媒体によって遮られる。そのため、光学センサ771は、受光していないことを表すオフ信号を制御部6へ送信する。
【0098】
制御部6では、このオフ信号が来てからの経過時間を計測し、その計測時間(実時間)が予想時間よりも、予め設定されている猶予時間を超えて長くなった時点で、この方向変換ガイド77の内側で記録媒体の詰まりが発生したと認識する。
【0099】
図12は、方向変換ガイドが開閉部材側に倒れた状態を示す図である。
【0100】
図12には、開閉部材10が開放されたことに伴い、方向変換ガイド77も開閉部材10の方に倒れた様子が示されている。
【0101】
方向転換ガイド77が、開閉部材10の開放に伴って開閉部材10の方に倒れると、方向転換ガイド77に取り付けられている光学センサ771は、反射板78と対向する位置から外れ、上述した特定配置とは別の配置になる。すなわち、光学センサ771と反射板78とで構成された第1検知器の構造が変化する。その結果、光学センサ771は、反射光を受光しなくなり、オフ信号を制御部6へ送信する。開閉部材10の開放に伴い突起101が凸部71から離れ、突起101による支えが外れることで方向変換ガイド7が倒れ、方向変換ガイド7が倒れることで光学センサ771を移動させる一連の機構が、本発明にいう連動機構の一例に相当する。
【0102】
制御部6では、このオフ信号も、記録媒体が方向転換ガイド77に到達した時のオフ信号と区別しない。
【0103】
このため、制御部6では、実時間が予想時間よりも、予め設定されている猶予時間を超えて長くなった時点で、記録媒体の詰まりか開閉部材10の開放かのいずれかが起きていると認識する。
【0104】
このプリンタ11には、2次転写ロール411に近接した位置に、中間転写ベルト404の表面電位を計測するための電位計測器500(図9参照)が備えられている。電位計測器500で測定された電位を表す信号は制御部6へ送信される。2次転写部41では、前述したように、電圧が印加された2次転写ロール411と地絡されているバックアップロール403との間に電界が形成されて積層トナー像が記録媒体へ転写される。制御部6では、中間転写ベルト404の、電圧が印加されている2次転写ロール411との対面を終えた直後の部位の表面電位を電位計測器500を使用してモニタしている。これにより、制御部6では、2次転写ロール411と中間転写ベルト404と間の静電的な状態の変化が把握されている。この電位計測器500が、本発明にいう第2検出器の一例に相当する。
【0105】
2次転写ロール411と中間転写ベルト404と間の静電的な状態は様々な要因で変化するが、このプリンタ11では、この電位計測器500で計測される電位に、正常な画像形成動作中に生じ得る変化を超える大きな変化が生じれば、直ちに制御部6が2次転写ロール411への電圧印加を停止させる。仮に、開閉部材10が僅かでも開かれれば、2次転写ロール411と中間転写ベルト404との間の距離は開き、2次転写ロール411と中間転写ベルト404と間の静電的な状態は大きく変化する。この結果、このプリンタ11では、開閉部材10が開けられた場合には2次転写ロール411への電圧印加は停止されることになる。この様に、電圧印加が停止されることで、開閉部材10の開放時に電圧印加中の2次転写ロール441に触れる事態が回避されており安全性が確保されている。また、このプリンタ11では、開閉部材10が僅かでも開かれれば静電的な状態変化が電位計測器500で検知されるので実時間が予想時間よりも猶予時間を超えて長くなった時点を待つことなく迅速に検知される。
【0106】
最後に、本発明の搬送装置および本発明の画像形成装置に共通の第3実施形態について説明する。
【0107】
第3実施形態と第1実施形態とでは、方向転換ガイドの内側での記録媒体の詰まりの検出方法が異なっている点と、2次転写ロール411が開閉部材10ではなくプリンタ本体に収容されている点とが相違する。また、第3実施形態では、2次転写ロール411への電圧印加が、開閉部材側の導通部材を本体側の隙間に差し込んでいることで繋がる電気回路で行われており、開閉部材10が開かれるとその隙間から導電部材が抜けて電気回路が遮断されて2次転写ロール411への電圧印加が絶たれる点も第1実施形態と相違する。以下、これらの相違点について説明する。この導通部材が、本発明にいう遮断器の一例に相当する。
【0108】
図13は、第3実施形態のプリントの側面からの透視図である。尚、図13では、図2に示す部材と同じ種類の部材には、図2において付されている符号と同じ符号が付されている。
【0109】
第3実施形態のプリンタ12では、方向転換ガイド777に光学センサ7771が取り付けられており、方向転換ガイド777の上部7772と下部7773が、紙面に垂直な方向に延びた連結軸7770で連結されている。また、このプリンタ12では、開閉部材10の下部にフィルムシート778が取り付けられている。光学センサ7771は、光学センサ7771の直前を物体が覆うと、その物体からの反射光を受光してオン信号を出力するセンサである。この第3実施形態では、後述するように光学センサ7771が単独で記録媒体を検知しており、この光学センサ7771が、本発明にいう第1検知器の一例に相当する。
【0110】
また、プリンタ12には、2次転写ロール411への電圧印加を行う電気回路600が備えられており、開閉部材側の導通部材16が本体側の接点601、602の隙間に差し込まれていることで2次転写ロール411には電圧が印加される。一方、開閉部材10が開かれ、接点601、602の隙間から導電部材16が抜けると、電気回路は遮断されて2次転写ロール411への電圧印加が絶たれる。
【0111】
図14は、図13に示す透視図の一部の拡大図である。
【0112】
図14には、方向変換ガイド777の周辺が示されており、方向変換ガイド777に記録媒体がまだ到達する前の状態が示されている。
【0113】
方向転換ガイド777に取り付けられている光学センサ7771は、方向転換ガイド777に記録媒体が到達する前は反射光を受光しておらず、オフ信号を制御部6へ送信する。
【0114】
図15は、方向変換ガイドに記録媒体が到達した後の状態を示す図である。
【0115】
方向転換ガイド777に取り付けられている光学センサ7771は、方向転換ガイド777に記録媒体が到達すると、記録媒体で反射された反射光を受光してオン信号を制御部6に送信する。
【0116】
制御部6では、光学センサ7771から反射光の受光を表すオン信号の受信開始からの経過時間を計測し、その計測時間(実時間)が予想時間よりも、予め設定されている猶予時間を超えて長くなった時点で、この方向変換ガイド777の内側で記録媒体の詰まりが発生したと認識する。
【0117】
図16は、方向変換ガイドが開閉部材側に倒れた状態を示す図である。
【0118】
図16には、開閉部材10が開放されたことに伴い、方向変換ガイド777も開閉部材10の方に倒れた様子が示されている。
【0119】
この方向転換ガイド777は、前述したように、中央部分に紙面に垂直な方向に延びた連結軸7770を有している。また、図示は省略したが、この方向転換ガイド777には、上部7772を反時計回りに素早く回転させる付勢を上部7772に与えるバネ部材が備えられている。このため、開閉部材10の突起101が方向転換ガイド777の凸部71から離れると、上部7772は素早く反時計回りに回転した後、方向転換ガイド777は開閉部材10の方へ倒れる。
【0120】
方向転換ガイド777が、開閉部材10の開放に伴って開閉部材10の方に倒れると、方向転換ガイド777に取り付けられている光学センサ7771は、既に倒れている開閉部材10の下部に取り付けられているフィルムシート778に対向する。すなわち、光学センサ7771の単独で機能する第1検知器の位置が変化することになる。その結果、光学センサ7771は、フィルムシート778で反射してきた反射光を受光してオン信号を制御部6に送信する。開閉部材10の開放に伴い突起101が凸部71から離れ、突起101による支えが外れることで方向変換ガイド7が倒れ、方向変換ガイド7が倒れることで光学センサ7771を移動させる一連の機構が、本発明にいう連動機構の一例に相当する。
【0121】
制御部6では、このオン信号も、記録媒体が方向転換ガイド777に到達した時のオフ信号と区別しない。
【0122】
このため、制御部6では、実時間が予想時間よりも、予め設定されている猶予時間を超えて長くなった時点で、記録媒体の詰まりか開閉部材10の開放かのいずれかが起きていると認識する。
【0123】
尚、このプリンタ12では、開閉部材10がユーザによって閉鎖され始めると、方向変換ガイド777の上部7772は、開閉部材10に連動する押し上げ機構(図示省略)で押し上げられて時計回りに回転し、その後、方向変換ガイド777は、突起101と凸部71との相互作用により起きあがる。
【0124】
このプリンタ11では、開閉部材10が開かれ、開閉部材側の導通部材16が2次転写ロール411へ電圧を印加する電気回路600から抜けると、直ちにプリンタ本体側に備えられている二次転写ロール411への電圧印加が停止される。この結果、このプリンタ12では、開閉部材10が開けられた場合には2次転写ロール411への電圧印加は停止されることになる。この様に、電圧印加が停止されることで、開閉部材10の開放時に電圧印加中の2次転写ロール441に触れる事態が回避されており安全性が確保されている。
【0125】
尚、以上の実施形態では、本発明にいう転写記録器の例として、2次転写部41を示したが、本発明にいう転写記録器は、搬送路上を搬送される記録媒体上に静電的に転写することで記録媒体上に像を記録し、静電的な状態が開閉部材の開閉によって変化するものであれば良く、例えば、感光体ロールが表面に保持する像を記録媒体上に静電的に転写する1次転写部であってもよい。
【0126】
また、以上の実施形態では、本発明にいう画像形成装置の例として、いわゆるタンデム型のカラープリンターを示したが、本発明にいう画像形成装置はこれに限らず、例えば、中間転写ベルトを有しないモノクロ専用プリンタであっても良い。
【0127】
また、以上の実施形態では、本発明にいう画像形成装置の一例としてプリンタを示したが、本発明にいう画像形成装置はプリンタに限られず、例えば、画像読み取り装置で読み取られたデータに基づいて画像を形成する複写機やファクシミリであってもよい。
【0128】
また、本発明の搬送機器は、さらに、画像形成装置には限られず、開閉部材の開閉を簡素な構成で検知する搬送機器一般に適用可能である。
【符号の説明】
【0129】
1、11、12 プリンタ
10 開閉部材
16 導通部材
400、771、7771 光学センサ
403 バックアップロール
404 中間転写ベルト
41 2次転写部
411 2次転写ロール
412 給電バネ
500 電位計測器
6 制御部
7、77、777 方向転換ガイド
71 凸部
778 フィルムシート
78 反射板
8 作用部材
81 直線部
82 折れ曲がり部
83 第1突出部
84 第2突出部
900 電気接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な開閉部材を有する筐体と、
少なくとも一部が前記開閉部材の内側に隣接して設けられ、搬送の対象物を搬送する搬送路と、
前記搬送路上の所定箇所に対象物が存在するか否かを検知し当該検知結果に応じた検知信号を出力する第1検知器と、
前記開閉部材が開いた場合に、該開閉部材が開く動きに前記第1検知器を力学的に連動させて該第1検知器の位置および構造の少なくとも一方を変化させることで該第1検知器に、前記搬送路上の所定箇所に前記対象物が存在するときの検知信号と同じ検知信号を出力させる連動機構と、
を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記搬送路と前記開閉部材との間に配備され前記対象物を該搬送路に沿って案内する案内部材を備え、
前記連動機構が、前記動きに前記第1検知器を力学的に連動させるとともに、該動きに前記案内部材も力学的に連動させて該案内部材を前記搬送路から離れる方向に移動させるものであることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1検知器が、前記所定箇所に設けられ前記対象物に接触することで姿勢が変動する変動部材と、該変動部材による該姿勢の変動に基づいて、前記搬送路上の所定箇所に対象物が存在するか否かを検知する光検知素子とを少なくとも備えたものであり、
前記連動機構が、前記開閉部材が開く動きに前記変動部材を力学的に連動させて前記所定箇所から移動させることで、前記対象物に該変動部材が接触しているときの検知信号と同じ検知信号を前記光検知素子に出力させるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項4】
開閉可能な開閉部材を有する筐体と、
前記筐体内に配備され、記録媒体上に像を記録する記録器と、
少なくとも一部が前記開閉部材の内側に隣接して設けられ、搬送の対象物を搬送する搬送路と、
前記搬送路上の所定箇所に対象物が存在するか否かを検知し当該検知結果に応じた検知信号を出力する第1検知器と、
前記開閉部材が開いた場合に、該開閉部材が開く動きに前記第1検知器を力学的に連動させて該第1検知器の位置および構造の少なくとも一方を変化させることで該第1検知器に、前記搬送路上の所定箇所に前記対象物が存在するときの検知信号と同じ検知信号を出力させる連動機構と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記第1検知器が、前記所定箇所に設けられ前記対象物に接触することで姿勢が変動する変動部材と、該変動部材による該姿勢の変動に基づいて、前記搬送路上の所定箇所に対象物が存在するか否かを検知する光検知素子とを少なくとも備えたものであり、
前記連動機構が、前記開閉部材が開く動きに前記変動部材を力学的に連動させて前記所定箇所から移動させることで、前記対象物に該変動部材が接触しているときの検知信号と同じ検知信号を前記光検知素子に出力させるものであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記録器は、
前記像を、前記搬送路上を搬送される記録媒体上に静電的に転写することで該記録媒体上に該像を記録し、静電的な状態が前記開閉部材の開閉によって変化する転写記録器であり、
この画像形成装置が、前記転写記録器の静電的な状態の変化を検知する第2検知器を備えたことを特徴とする請求項4又は5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写記録器が、前記搬送路を挟んで前記開閉部材とは反対側に設けられた第1の部材と、該開閉部材に取り付けられた第2の部材とを備え、該第1の部材と該第2の部材との間に電場を形成することで前記像を前記記録媒体上に転写するものであることを特徴とする請求項6項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記転写記録器が、給電されることで前記像の静電的な転写を行うものであり、
前記開閉部材が開いた場合に前記転写記録器への給電を遮断する遮断器を備えたことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−68492(P2012−68492A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214033(P2010−214033)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】