説明

搬送装置及び生産装置

【課題】 生産装置や、搬送装置の変更や、段取り換えを短期で安価に実現する。
【解決手段】 生産装置1は、3つのテーブルユニット4A〜4Cを2つの移載ユニット5A,5Bを介して連結させることで搬送装置を形成しており、各テーブルユニット4A〜4Cの側部には、作業ユニット6が1つずつ連結されている。テーブルユニット4A〜4Cのインデックステーブル3を同期して回転させることで、各作業ユニット6に対応する作業位置14A〜14Lに、ワークの作業治具2が順番に配置されるので、各作業ユニット6が所定の作業を行ったら、インデックステーブル3をさらに回転させる。このようにすることで、ワークの組み立てや、検査を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを搬送する搬送装置、ワークを搬送しながらワークに対して種々の作業を行う生産装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を量産する生産装置としては、ワークを支持させた作業治具を、コンベアユニットで搬送し、コンベアユニットの搬送経路中に作業工程順に作業位置を複数設定し、これら作業位置にワークが搬送されてきたときにワークに対して作業を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、直線状にワークを搬送する搬送装置の側方に、回転テーブルを配置し、搬送装置と回転テーブルとの間に設置された移載装置で、搬送装置からワークを回転テーブルに移載し、回転テーブルの外周に沿って並んだ作業者が、回転テーブルを回転させながら、回転テーブル上のワークに対して作業を行い、作業が終了したら移載装置で搬送装置に戻すように構成したものがある(例えば、特許文献2参照)。この生産装置では、作業治具の循環が不要になるので、占有面積を狭くでき、装置が安価になる。
【特許文献1】特開平6−48545号公報
【特許文献2】特開平5−208348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているような生産装置では、作業治具の位置決め精度を確保するために、作業工程ごとに位置決めユニットを必要とし、さらに作業治具を循環使用するためのリターンユニットが必要であった。このため、生産装置に含まれる搬送装置のコストが上がると共に、生産装置の占有面積が広くなり、1つの製品を製造するためのタクトタイムが長くなっていた。また、コンベアによる搬送は、塵埃を生じやすいので、このような塵埃を嫌う微小製品の製造は困難であった。
【0005】
また、特許文献2に開示されているような生産装置では、回転テーブル及び移載装置のレイアウトの自由度が低いため、互いの位置関係を予め正確に設定しなければならず、装置設計が難しかった。また、一旦、生産装置を構築した後では、回転テーブルや移載装置が故障したりした場合の交換や、変更が困難であり、交換に要する費用も過大なものになる。そして、多品種少量生産などのように、生産する製品を切り換える場合には、新規に生産装置を構築するに等しい段取り換えが必要であり、段取り換えに要する費用が膨大になる。ここで、微小で精密な製品を生産するにあたっては、クリーン環境の確保が必要であるが、生産装置の構成に規則性が無いために、生産装置の構成要素ごとに個々にクリーン対策を施さなければならず、生産装置の設営の効率が悪かった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、生産装置や、搬送装置の変更や、段取り換えを短期で安価に実現することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する本発明の請求項1に係る発明は、ユニット本体にテーブル部を回転自在に支持させたテーブルユニットを有し、前記テーブル部には、ワークを位置決めして支持するための支持部が回転方向に複数配設されており、前記ユニット本体には、前記テーブル部の回転方向に沿って前記ワークに対して作業を行う作業ユニット又は前記ワークを移載する移載ユニットを着脱自在な連結部が設けられていることを特徴とする搬送装置とした。
この搬送装置では、テーブル部を回転させることでワークを搬送することができ、さらに、テーブルユニットを連結部で他のユニットと連結させることでテーブルユニットを中心にして所定の作業を自動で実施できるようになる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の搬送装置において、前記テーブル部上の前記ワークを他の前記テーブルユニットの前記支持部に移載すべく、2つの前記テーブルユニットを前記移載ユニットを介して連結させたことを特徴とする。
この搬送装置では、移載ユニットを介して複数のテーブルユニットを連結させることで搬送経路の長さを調整できる。また、テーブルユニットと移載ユニットとの連結の仕方を変えることで、搬送経路の形状を容易に変化させることができる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の搬送装置において、前記連結部は、前記作業ユニット又は前記移載ユニットを位置決めする位置決め部材と、前記作業ユニット又は前記移載ユニットをその前記テーブルユニットに電気的に接続させる接続部材とを有することを特徴とする。
この搬送装置では、位置決め部材で位置決めした状態でユニット同士を連結できるので、搬送途中で位置精度が要求される作業を行う場合に、ワークごとに位置決め工程を設けなくても、自動で作業を行えるようになる。また、テーブルユニットを中心にして電気的な接続を構成すると、複数のユニットを連動して動作させることができる。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の搬送装置において、前記接続部材は、前記作業ユニット又は前記移載ユニットに電力を供給するためのコネクタと、前記テーブル部の回転に同期して前記作業ユニット又は前記移載ユニットを駆動させるための通信用のコネクタとを有することを特徴とする。
この搬送装置では、1つのユニットをホストとし、そのユニットを中心にして複数のユニットを連結させることで、電気的な配線が容易になると共に、多数の作業を連動して行える。
【0011】
請求項5に係る発明は、ユニット本体に回転自在に支持されたテーブル部を有し、前記テーブル部には、ワークを位置決めして支持するための支持部が回転方向に複数配設されたテーブルユニットと、前記テーブルユニットの前記ユニット本体に設けられた連結部に位置決めして連結され、前記ワークに対して作業を行う作業ユニットと、を備えることを特徴とする生産装置とした。
この生産装置では、テーブルユニットでワークの搬送を主に行い、テーブルユニットに連結された作業ユニットで作業を行うようにしたので、複数の作業を自動で実施することができる。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の生産装置において、前記テーブルユニットの前記ユニット本体に設けられた連結部に位置決めして連結され、前記テーブル部上の前記ワークを他の前記テーブルユニットの前記支持部に移載する移載ユニットを有することを特徴とする。
この生産装置では、移載ユニットを介して複数のテーブルユニットを連結させることで搬送経路の長さを調整でき、これに伴って作業工程数を増減させることができる。また、テーブルユニットと移載ユニットとの連結の仕方を変えることで、生産装置全体の形状を工場などに合わせて変化させることができる。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項5又は請求項6に記載の生産装置において、フィルターファンユニットが取り付けられ、前記テーブルユニット及び前記作業ユニットを少なくとも覆うカバーを備えることを特徴とする。
この生産装置では、装置全体の大きさや、形状を予め特定しやすいので、クリーン環境を容易に構築できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る搬送装置では、ワークを支持して回転自在なテーブルをユニット化し、このテーブルユニットに連結部を設け、他のユニットを連結できるようにしたので、搬送経路の長さの調整や、搬送経路のレイアウトが容易になる。
また、本発明に係る生産装置では、テーブルユニットと作業ユニットとを連結させる連結部が共通化されているため、工程順の変更、工程の追加、段取り換えにも容易に対応でき、汎用性と拡張性の高い生産装置が実現できる。さらに、マシンダウンに対するリスクを小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
図1に本実施の形態に係る生産装置の平面図を示す。生産装置1は、ワークを支持する作業治具2を複数載せたインデックステーブル3(テーブル部)を有するテーブルユニット4A,4B,4Cを3つ有し、これらテーブルユニット4A〜4Cを2つの移載ユニット5A,5Bを介して連結させると共に、テーブルユニット4A〜4Cの周囲に8つの作業ユニット6(6A〜6H)を連結させて構成されている。
【0016】
図2に示すように、テーブルユニット4Aは、床面に設置される立方形の脚部10と、脚部10上に固定されたベース部11とからなるユニット本体12を有し、ユニット本体12の上部中心には、ダイレクトドライブモータ13が固定されている。ダイレクトドライブモータ13の回転軸には、インデックステーブル3が固定されている。インデックステーブル3の上面部には、回転中心回りに等間隔で配設された4つの作業位置14A、14B、14K、14Lが設置されている。これら作業位置14A、14B、14K、14Lは、それぞれが作業治具2を位置決めして支持する保持部になっている。ユニット本体12のベース部11内は、電装ボックスが収容されている。この電装ボックスは、生産装置1のメインコントローラ(不図示)とのリンク機能を有している。ユニット本体12の4つの側面のそれぞれには、連結部16が形成されている。連結部16は、ベース部11の鉛直面を有する平面部11Aから水平に突出させた一対のピン17(位置決め部材)と、ピン17よりも平面部11Aの隅部側のそれぞれに1組ずつ穿設された上下2つのボルト孔18と、脚部10の鉛直な平面部10Aに配設した4つのコネクタ19とからなる。各コネクタ19は、電源供給用と、通信用と、エア供給用と、予備用とがそれぞれに割り当てられている。なお、他のテーブルユニット4B,4Cは、テーブルユニット4Aと同じ構成であるので説明を省略する。
【0017】
図3に示すように、移載ユニット5Aは、テーブルユニット4A,4B同士を連結する中間部材でもある移載ユニットベース部20を有している。移載ユニットベース部20内には、不図示の電装ボックスを有し、移載ユニットベース部20上には昇降機構部21が設けられており、この昇降機構部21に回転アーム22が回転及び昇降自在に支持されている。回転アーム22は、その両端部にチャック23A、23Bが取り付けられており、隣り合う2つのテーブルユニット4A,4Bの作業治具2、又は作業治具2に支持されたワークを把持できるようになっている。ここで、移載ユニットベース部20の対向する2つの側面のそれぞれには、連結部24が形成されている。連結部24は、鉛直面を有する平面部20Aに形成された一対の孔25と、孔25よりも平面部20Aの隅部側のそれぞれに2組穿設された上下2つのボルト挿通孔26と、ケーブル27で移載ユニットベース部20の電装ボックスから引き出されたソケット28とを有している。孔25は、テーブルユニット4A,4B側のピン17を嵌入可能な大きさ及び位置に形成されている。ボルト挿通孔26は、テーブルユニット4A,4B側のボルト孔18に対応した位置に形成されている。ソケット28は、テーブルユニット4A,4B側の各コネクタ19に装着されるもので、少なくとも1つ設けられている。なお、他の移載ユニット5Bは、移載ユニット5Aと同じ構成であるので説明を省略する。
【0018】
図4に、作業ユニット6の一例である部品組付ユニット6Aの概略構造を示す。この部品組付ユニット6Aは、作業ユニットベース部31を有し、作業ユニットベース部31の上面にはXYZロボット32と、ワークを整列供給するパレット33とが配設されている。XYZロボット32は、ワークを把持する部品チャック34を3軸方向に移動自在に構成されており、その移動範囲はパレット33上から図1に示すテーブルユニット4Aの作業治具2に至るまでの範囲に設定されている。なお、パレット33には、例えば、ワークを収容するための凹部(不図示)が複数配設されている。
【0019】
ここで、作業ユニットベース部31には、生産装置1のメインコントローラとのリンク機能を有する電装ボックス35が設けられており、この電装ボックス35からは4本のケーブル36が延び、そのそれぞれの先端部にはソケット37が設けられている。これらソケット37は、テーブルユニット4A側のコネクタ19に接続される。このようなソケット37及びケーブル36と、作業ユニットベース部31の前側の鉛直面を有する平面部31Aと、平面部31Aに形成された一対の孔38及びボルト挿通孔39とで、部品組付ユニット6Aの連結部40が形成されている。孔38及びボルト挿通孔39は、テーブルユニット4A側の連結部16の構造に合わせて形成されている。なお、平面部31Aは、電装ボックス35よりも幅方向に突出しており、この突出部分にボルト挿通孔39が上下方向に2つずつ2組形成されている。
【0020】
また、図1に示す他の作業ユニット6の概略構成について説明する。部品組付ユニット6Bと、部品組付ユニット6Fと、排出ユニット6Hとは、部品組付ユニット6Aと同じ構成を有し、パレット33の形状、及びパレット33に整列されるワークの種類が異なる。接着剤塗布ユニット6Cは、作業ユニットベース部31上に接着剤供給用のノズル41が作業位置14Gに臨むように支持されている。調整ユニット6Dは、作業ユニットベース部31上にワークの位置を調整する調整機構42が作業位置14Hに臨むように設けられている。UV(紫外線)照射ユニット6Eは、作業ユニットベース部31上にUV光源43を有し、UV光源43のライトガイド44の先端部が作業位置14Iに臨むように位置決めされている。溶着ユニット6Gは、作業ユニットベース部31上に溶着装置45を有し、溶着に用いられる電極部分は作業位置14Kに臨むように進退自在に設けられている。
【0021】
次に、この生産装置1の設置手順について説明する。
最初にホストとして機能するテーブルユニット4Aを設置し、このテーブルユニット4Aの一つの連結部16に部品組付ユニット6Aを連結する。具体的には、テーブルユニット4A側の連結部16であるコネクタ19に、部品組付ユニット6A側のソケット37を装着する。これによって、テーブルユニット4Aから部品組付ユニット6Aに電力供給、制御用の通信、エア供給が可能になる。さらに、テーブルユニット4A側の連結部16であるピン17を、部品組付ユニット6A側の孔38に挿入する。平面部11A,31A同士を突き当てると共に、ピン17と孔38とが嵌合することでテーブルユニット4Aに対して部品組付ユニット6Aが位置決めされるので、部品組付ユニット6Aのボルト挿通孔39からボルトを挿入してテーブルユニット4Aのボルト孔18に螺入する。これによって、テーブルユニット4Aに対して部品組付ユニット6Aが位置決めして固定される。同様にして、テーブルユニット4Aにおいて部品組付ユニット6Aと向かい合う位置に溶着ユニット6Gを位置決めして固定する。さらに、テーブルユニット4Aにおいて部品組付ユニット6Aを中心にして部品組付ユニット6Aから90°回転させた位置に排出ユニット6Hを位置決めして固定する。
【0022】
テーブルユニット4Aの残りの連結部16には、移載ユニット5Aの一方の連結部24を同様にして連結させる。そして、移載ユニット5Aの他方の連結部24には、テーブルユニット4Bの連結部16を連結させ、2つのテーブルユニット4A,4Bを移載ユニット5Aを介して連結させる。この際に、連結部16と連結部24とは位置決めして連結されるので、テーブルユニット4Bの位置は、テーブルユニット4Aを基準にして相対的に定まる。
【0023】
テーブルユニット4Bには、部品組付ユニット6Bを部品組付ユニット6Aと隣り合う位置に連結し、部品組付ユニット6Bと向かい合うように部品組付ユニット6Fを連結する。さらに、残りの連結部16には、移載ユニット5Bを介してテーブルユニット4Cを連結する。これによって、3つのテーブルユニット4A〜4Cが2つの移載ユニット5A,5Bを介して相対的に位置決めされた状態で連結される。テーブルユニット4Cには、接着剤塗布ユニット6Cを部品組付ユニット6Bに隣り合う位置に連結し、接着剤塗布ユニット6Cと向かい合うようにUV照射ユニット6Eを連結する。そして、残った連結部16には、調整ユニット6Dを連結する。
【0024】
このように、生産装置1では、テーブルユニット4Aを基準として他のテーブルユニット4B,4C、移載ユニット5A,5B、作業ユニット6がそれぞれ相対的に位置決めして固定される。また、テーブルユニット4Aをホストとして、他のテーブルユニット4B,4C、移載ユニット5A,5B、作業ユニット6が電気的に、かつ制御可能にインターフェースでパラレルに接続される。なお、図5に示すように、生産装置1をクリーン対応のカバーユニット50で覆っても良い。生産装置1の全体又は分割した部分のクリーン環境を実現するカバーユニット50は、フィルターファンユニット51と、天板52と、フレーム53と、複数の側板54とで構成されている。
【0025】
次に、この生産装置を用い、1つの製品を製造するまでの工程について説明する。なお、生産される製品の一例を図6に示す。完成品である光学部品60は、T字状のホルダ部材61に2つのプリズム62,63を固定した構成を有している。ホルダ部材61の中央及び中央から離れた位置には、光を通過させる絞り孔64と、プリズム62を固定するための取付孔65とが設けられている。この光学部品60を組み立てる際には、図7に示すような作業治具2を用いる。作業治具2は、テーブルユニット4A〜4Cのインデックステーブル3の各作業位置14A〜14Lに位置決めして支持されるベース部2Aを有し、プリズム62を挿入可能な凹部2Bが形成されている。また、作業治具2の上面及び側面には、ホルダ部材61を当接可能になっている。ここで、光学部品60の製造工程の概略を図7から図9を用いて説明すると、図7に断面形状を示す作業治具2の凹部2Bに、図8に示すようにプリズム62を挿入する。さらに、図9に示すように、プリズム62に一体的に成形された突起62Aを取付孔65を挿入させるようにして、ホルダ部材61を作業治具2の上面及び側面に支持させる。突起62Aと取付孔65の周縁部とを接着剤で固定してから、仮想線で示すように、残りのプリズム63をホルダ部材61に載せ、プリズム63の外周の少なくとも一部をホルダ部材61に溶着する。
【0026】
以上の製造工程における生産装置1の動作について、図1を主に参照しながら説明する。なお、以下においては、各ユニット4A〜4C,5A,5B,6A〜6Hが順番に動作するように説明するが、実際には全ての作業位置14A〜14Lに対して、同時にユニット4A〜4C,5A,5B,6A〜6Hが動作し、複数の光学部品60が流れ作業によって連続して製造されるものとする。
【0027】
部品組付ユニット6Aのパレット33には、複数のプリズム62が整列されているので、1つのプリズム62を部品チャック34で把持して取り出し、取り出したプリズム62をXYZロボット32でテーブルユニット4Aの作業位置14Aにある作業治具2の凹部2Bに挿入する。XYZロボット32が待避し、他の全てのユニットにおける作業が終了したことを検出したら、各インデックステーブル3が90°回転し、それぞれの作業位置14A〜14Lの作業治具2が次工程の作業位置14A〜14Lに搬送される。なお、各工程の終了後の判定及び次工程への切り替えタイミングについては、以下の各工程において同じものとする。
【0028】
このため、作業位置14Aにおいてプリズム62を搭載した作業治具2は、作業位置14Bに移動する。ここでは、移載ユニット5Aの回転アーム22を下降させ、チャック23Aが作業位置14Bの作業治具2を把持する。これと同時に、反対側のチャック23Bは、作業位置14Cの作業治具2を把持する。移載ユニット5Aの回転アーム22を上昇させてから180°回転し、再び下降させ、チャック23A、23Bを開く。これによって、作業位置14Bと作業位置14Cの作業治具2が置き換わり、プリズム62を載せた作業治具2が作業位置14Cに移動する。その一方で、作業位置14Cにあった作業治具2は作業位置14Bに移動する。続いて、インデックステーブル3をさらに90°同じ方向に回転させる。作業位置14Cにある作業治具2は、作業位置14Dに移動する。
【0029】
作業位置14Dでは、部品組付ユニット6Bがパレット33上のホルダ部材61を供給し、プリズム62上に載せる。この作業治具2は、インデックステーブル3を回転させることで作業位置14Eに移動した後、移載ユニット5Bで作業位置14Fに移動させられ、さらにインデックステーブル3の回転によって作業位置14Gに至る。この間の動作は、前記した作業位置14Aから作業位置14Cに至るまでと同じである。作業位置14Gでは、接着剤塗布ユニット6Cのノズル41が、プリズム62の突起62Aとホルダ部材61の取付孔65の周縁部との間に接着剤を注入する。接着剤を注入したら、インデックステーブル3の回転によって作業位置14Hに移動し、調整ユニット6Dでプリズム62に対するホルダ部材61の位置合わせを行う。位置合わせが終了した作業治具2は、インデックステーブル3の回転によって作業位置14Iに移動する。
【0030】
作業位置14Iでは、UV照射ユニット6Eで、接着剤を硬化させて、プリズム62とホルダ部材63とを位置決めした状態で固定する。この後に作業治具2は、インデックステーブル3の回転によって作業位置14Fに再び戻る。移載ユニット5Bで前記と同様にして作業位置14Eと作業位置14Fとのそれぞれの作業治具2を交換し、その後にインデックステーブル3を回転させると、ホルダ部材61を載せた作業治具2は作業位置14Jに移動する。作業位置14Jでは、部品組付ユニット6Fがパレット33上のプリズム63を供給し、図9に示す仮想線で示すような位置に載せる。さらに、インデックステーブル3が回転すると、作業位置14Cに戻り、ここから移載ユニット5Aで作業位置14Bに移載される。作業位置14Bからは、インデックステーブル3の回転によって作業位置14Kに移動する。作業位置14Kでは、溶着ユニット6Gでプリズム63とホルダ部材61とを溶着する。ここまでの作業で、光学部品60の組み立てが完了するので、インデックステーブル3を回転させて、作業位置14Lに移動させ、排出ユニット6Hで作業治具2から光学部品60を回収してパレット33に整列させる。
【0031】
この実施の形態によれば、テーブルユニット4A〜4Cがユニット化されていて、その連結部16を用いることで、必要工程数分のテーブルユニット4A〜4Cと、移載ユニット5A,5Bを機械的に位置決めし、かつ電気的、制御的にも連結することで搬送装置を構築することができる。したがって、その中の1つのユニットにホスト機能を持たせ、全てのテーブルユニット4A〜4C及び移載ユニット5A,5Bを制御することで、回転運動を中心として搬送経路(搬送装置)を構築することができる。テーブルユニット4A〜4Cと、移載ユニット5A,5Bとの連結の仕方を変えることで、搬送装置のレイアウトを容易に変化させることができる。
また、テーブルユニット4A〜4Cの連結部16は、テーブルユニット4A〜4Cと、作業ユニット6とをどちらも連結可能であるから、搬送装置の円状周囲に作業ユニット6を希望の工程順に、機械的に位置決めし、かつ電気的、制御的に連結することができる。このような生産装置1は、テーブルユニット4Aをホストとして、制御することが可能であるので、3つのインデックステーブル3の回転と、他のユニット5A,5B,6A〜6Hの動作とを簡単に同期させることが可能になる。したがって、複数の工程を有する生産装置1を簡単に構築することができる。さらに、作業ユニット6を外してテーブルユニット4A〜4Cを追加すれば、搬送装置を延長することが容易であり、また工程を変更することもできるので、非常にフレキシビリティが高く、リスクにも強い。
【0032】
特に、微小精密製品を生産する場合には、生産装置1の大きさに比べて製品サイズが小さいために、テーブルユニット4A〜4Cと、作業ユニット6とをミニマムサイズで共通化できる。したがって、モデルチェンジや生産変動によるラインの対応製品の切り換えなどに容易に対応できて投資回収効率が高い。
一方、クリーン環境の実現についても、略同じサイズのユニット4A〜4C,5A,5Bを組合わせて構成している搬送経路であるから、ダウンフローのシミュレーションも容易で、均一なサイズで設計されたものを効率よく取り付けることで高レベルのクリーン環境が実現できる。
さらに、共通のユニット構造を有するので、短納期で生産装置1を立ち上げることが可能であると共に、搬送をいくつかの作業ユニット6で共有する構造であるので、生産装置1のコストを安価できる。
【0033】
(第2の実施の形態)
図10を主に参照して第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付してある。また、重複する説明は省略する。
図10に示すように、生産装置71は、作業位置14Lに対応する連結部16に移載ユニット5Cを介してテーブルユニット4Dが連結されており、テーブルユニット4Dの3つの作業位置72B,72C,72Dのそれぞれに、作業ユニット6としての品質検査ユニット6Iと、不良排出ユニット6Jと、排出ユニット6Hとが連結されている。これらユニット6H,6I,6Jは、第1の実施の形態と同様な連結部40を有している。そして、これらユニット4D,5C,6H,6I,6Jは、テーブルユニット4Aをホストとして電気・制御的にもインターフェースでパラレルに接続されてる。
【0034】
テーブルユニット4Dは、インデックステーブル3に載置される作業治具73の構成が第1の実施の形態と異なる。このため、移載ユニット5Cは、作業位置14Lから光学部品60だけを取り出して、テーブルユニット4D上の作業位置72Aの作業治具73に移し変える。インデックステーブル3を同時に時計方向に90°回転させ、作業治具73を72Bの位置に移動させる。ここでは、品質検査ユニット6Iの検査部75を用いて、光学部品60の性能検査が行われる。さらに、インデックステーブル3を同時に時計方向に90°回転させ、作業治具73を作業位置72Cに移動させる。ここでは、性能検査で不良判定された光学部品60を不良排出ユニット6Jでパレット33に排出する。良品と判定されていた場合には、ここでの搬出は行わず、インデックステーブル3を同時にさらに時計方向に90°回転させて作業治具73を作業位置72Dに移動させてから、排出ユニット6Hで回収してパレット33に整列させる。
【0035】
この実施の形態では、異なる作業治具73を使う工程を移載ユニット5Cで光学部品60のみを載せ替えれば良く、さらに搬送経路を延長できて拡張性も高い。異なる作業治具2,73を用いる場合でも連続した生産を行うことができる。特に、品質検査を含めた生産装置71を高い柔軟性を持ったままで構築することが可能になる。その他の効果は、第1の実施の形態と同じである。
【0036】
なお、本発明は、前記の各実施の形態に限定されずに広く応用することが可能である。
例えば、移載ユニット5A〜5Cを互いに直交する向きに配置することで、全体としての搬送経路を略L字状にすることが可能になる。
ワークは、光学部品60に限定されずに種々のものを製造することができる。また、作業ユニット6の種類や組み合わせは、実施の形態に限定されない。各ユニットの配置や、数は実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る生産装置を示す概略構成を示す平面図である。
【図2】テーブルユニットの概略構成を示す斜視図である。
【図3】移載ユニットの概略構成を示す斜視図である。
【図4】作業ユニットの一例として部品組付ユニットの概略構成を示す斜視図である。
【図5】カバーユニットの一例を示す斜視図である。
【図6】ワークの一例としての光学部品を示す側面図である。
【図7】図6に示す光学部品を生産するために用いる作業治具の概略構成図である。
【図8】光学部品の組立手順を説明する図である。
【図9】光学部品の組立手順を説明する図である。
【図10】生産装置を示す概略構成を示す平面図であって、図1に示すものから延長させた装置構成を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1,71 生産装置
2 作業治具
3 インデックステーブル(テーブル部)
4A〜4D テーブルユニット(搬送装置)
5A,5B,5C 移載ユニット(搬送装置)
6 作業ユニット
12 ユニット本体
14A〜14L,72A〜72D 作業位置(支持部)
16 連結部
17 ピン(位置決め部材)
19 コネクタ(接続部材)
50 カバーユニット(カバー)
51 フィルターファンユニット
60 光学部品(ワーク)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット本体にテーブル部を回転自在に支持させたテーブルユニットを有し、前記テーブル部には、ワークを位置決めして支持するための支持部が回転方向に複数配設されており、前記ユニット本体には、前記テーブル部の回転方向に沿って前記ワークに対して作業を行う作業ユニット又は前記ワークを移載する移載ユニットを着脱自在な連結部が設けられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記テーブル部上の前記ワークを他の前記テーブルユニットの前記支持部に移載すべく、2つの前記テーブルユニットを前記移載ユニットを介して連結させたことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記連結部は、前記作業ユニット又は前記移載ユニットを位置決めする位置決め部材と、前記作業ユニット又は前記移載ユニットをその前記テーブルユニットに電気的に接続させる接続部材とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記接続部材は、前記作業ユニット又は前記移載ユニットに電力を供給するためのコネクタと、前記テーブル部の回転に同期して前記作業ユニット又は前記移載ユニットを駆動させるための通信用のコネクタとを有することを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
ユニット本体に回転自在に支持されたテーブル部を有し、前記テーブル部には、ワークを位置決めして支持するための支持部が回転方向に複数配設されたテーブルユニットと、
前記テーブルユニットの前記ユニット本体に設けられた連結部に位置決めして連結され、前記ワークに対して作業を行う作業ユニットと、
を備えることを特徴とする生産装置。
【請求項6】
前記テーブルユニットの前記ユニット本体に設けられた連結部に位置決めして連結され、前記テーブル部上の前記ワークを他の前記テーブルユニットの前記支持部に移載する移載ユニットを有することを特徴とする請求項5に記載の生産装置。
【請求項7】
フィルターファンユニットが取り付けられ、前記テーブルユニット及び前記作業ユニットを少なくとも覆うカバーを備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の生産装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−347717(P2006−347717A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177479(P2005−177479)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】