説明

搬送装置

【課題】基板の飛び出しを防止しつつ走行時において基板出し入れ方向での大きさの小型化を図ることができる搬送装置を提供する。
【解決手段】収納容器4を保持した状態で走行可能な走行保持体10と、収納容器4の開口6から基板5が飛び出すことを防止する飛び出し防止機構9とを設け、飛び出し防止機構9を、基板5の側面に接触する接触位置と基板5の側面から離間する離間位置とに移動可能な接触体26を備えて構成し、接触体26の接触位置を、基板出し入れ方向で、基板の開口側端部と中央部との間に接触体26が位置するように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円板形状の基板を上下方向に積層させた状態で収納し且つ側面に基板出し入れ用の開口が形成された収納容器を、保持した状態で走行可能な走行保持体と、前記走行保持体にて保持されている前記収納容器の前記開口から基板が飛び出すことを防止する飛び出し防止機構とが設けられている搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる搬送装置は、収納容器を保持した走行保持体を走行させて収納容器を搬送するものであり、走行保持体を走行させるときに収納容器の開口から基板が飛び出さないように飛び出し防止機構が設けられている。
そして、このような搬送装置の従来例として、飛び出し防止機構を、収納容器に収納されている基板の側面に接触する接触位置と基板の側面から離間する離間位置とに移動可能な接触体を備え、接触体の接触位置を、基板出し入れ方向で、収納容器に収納された基板の開口側端部の内方側から外方側に亘って位置するように設定して構成されているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ちなみに、飛び出し防止機構を接触位置に移動させた状態で走行保持体を走行させることで、収納容器から基板が飛び出ることを防止しながら搬送装置を走行させることができるようになっている。また、飛び出し防止機構を離間位置に移動させることで、搬送装置に備えた移載手段や外部の移載手段を用いて搬送保持体に保持されていた収納容器を容器搬送対象箇所に移載するときに、接触体に接触して破損することを未然に防止することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−077170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の搬送装置では、接触体を接触位置に移動させた状態で、接触体が、基板出し入れ方向で、基板の開口側端部の内方側から外方側に亘って位置している。このように、接触体を接触位置に移動させた状態で接触体が基板の開口側端部より外方側に存在していると、接触体が基板の開口側端部より外方側に存在している分、接触体を接触位置に移動させた状態での搬送装置の基板出し入れ方向の幅が大きくなり易く、走行時における搬送装置の基板出し入れ方向での大きさを小さくし難いものであった。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、基板の飛び出しを防止しつつ走行時における基板出し入れ方向での大きさを小さくし易い搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる搬送装置は、円板形状の基板を上下方向に積層させた状態で収納し且つ側面に基板出し入れ用の開口が形成された収納容器を、保持した状態で走行可能な走行保持体と、前記走行保持体にて保持されている前記収納容器の前記開口から基板が飛び出すことを防止する飛び出し防止機構とが設けられているものであって、その第1特徴構成は、
前記飛び出し防止機構が、前記走行保持体に保持された前記収納容器に収納されている基板の側面に接触する接触位置と基板の側面から離間する離間位置とに移動可能な接触体を備えて構成され、前記接触体の接触位置が、基板出し入れ方向で、前記収納容器に収納された基板の開口側端部と中央部との間に前記接触体が位置するように設定されている点にある。
【0008】
すなわち、飛び出し防止機構の接触体を接触位置に移動させた状態では、収納容器の開口から基板が飛び出すことを防止でき、飛び出し防止機構の接触体を離間位置に移動させた状態では、飛び出し防止機構に対して収納容器を相対的に移動させるときに接触体が基板に干渉することにより基板が破損することを防止できる。
そして、接触体を接触位置に移動させた状態では、接触体が、基板出し入れ方向で、基板の開口側端部の内方側に位置している。このように、接触体を接触位置に移動させた状態で接触体が基板の開口側端部より外方側に存在していないため、接触体を接触位置に移動させた状態での搬送装置の基板出し入れ方向の幅が大きくなり難く、走行時における搬送装置の基板出し入れ方向での大きさを小さくし易い。
よって、基板の飛び出しを防止しつつ走行時における基板出し入れ方向での大きさを小さくし易い搬送装置を提供することができるに至った。
【0009】
本発明にかかる搬送装置の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記走行保持体が、前記開口が走行方向と交差する横方向に向く姿勢で前記収納容器を保持するように構成されている点にある。
【0010】
すなわち、走行保持体が、収納容器の開口が横方向を向く姿勢で収納容器を保持することで、基板出し入れ方向が横方向となるため、走行保持体の横方向での大きさを小さくすることで、走行保持体の走行経路の横幅を小さくできる。
【0011】
本発明にかかる搬送装置の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記飛び出し防止機構が、前記収納容器に収納された基板における基板出し入れ方向と直交する幅方向の中央に対してその両側に位置するように前記接触体を一対備え、前記一対の接触体を互いに前記幅方向に沿って接近移動させて前記接触位置に移動させ、前記一対の接触体を互いに前記幅方向に沿って離間移動させて前記離間位置に移動させる移動操作手段を備えて構成されている点にある。
【0012】
すなわち、一対の接触体を基板における幅方向の中央に対してその両側に位置させることで、接触体を基板に対して幅方向にバランスよく接触させた状態で基板の飛び出しを防止することができる。
また、一対の接触体を幅方向に互いに遠近移動させて、一対の接触体の位置を接触位置と離間位置とに移動させることにより、接触位置のみならず離間位置でも接触体を開口側端部と中央部との間に位置させることができるため、接触体を離間位置に移動させた状態でも搬送装置の基板出し入れ方向での大きさを小さくし易い。
【0013】
本発明にかかる搬送装置の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれか1つにおいて、前記走行保持体が、前記収納容器を保持する保持部と前記保持部を昇降自在に支持する走行自在な走行部とを備えて、前記走行部の走行及び前記昇降部の昇降により容器搬送対象箇所に前記収納容器を搬送可能に構成され、前記飛び出し防止機構が、前記保持部に支持されている点にある。
【0014】
すなわち、飛び出し防止機構を保持部に支持させることで、保持部を昇降移動させるときに飛び出し防止機構も一体的に昇降移動させることができるため、接触体を接触位置に移動させた状態で保持部を昇降移動させることができ、保持部を昇降移動させるときの収納容器からの基板の飛び出しを防止することができる。
【0015】
本発明にかかる搬送装置の第5特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれか1つにおいて、前記走行保持体が、前記収納容器を保持する保持部と前記保持部を昇降自在に支持する走行自在な走行部とを備えて、前記走行部の走行及び前記昇降部の昇降により容器搬送対象箇所に前記収納容器を搬送可能に構成され、前記飛び出し防止機構が、前記走行部に支持され、前記接触体が、前記保持部が前記走行部近くの走行用位置に昇降移動した状態で前記接触位置と前記離間位置とに移動可能に設けられている点にある。
【0016】
すなわち、保持部を走行用位置に昇降移動させ且つ接触体を接触位置に移動させた状態で走行部を走行させることで、走行部を走行させるときに収納容器から基板が飛び出すことを防止することができる。
そして、接触部を離間位置に移動させた状態で保持部を昇降移動させることで、収納容器に収納された基板に接触部が干渉することなく保持部を昇降移動させることができ、保持部を昇降移動させるときに飛び出し防止機構が収納容器に収納されている基板と干渉することを防止できる。
【0017】
本発明にかかる搬送装置の第6特徴構成は、第4又は第5特徴構成のいずれか1つにおいて、前記容器搬送対象箇所が、基板に対して処理を行う処理装置に隣接した状態で設けられ、前記保持部が、前記開口が前記処理装置側に向く姿勢で前記収納容器を保持するように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、保持部にて保持されている収納容器を容器搬送対象箇所に搬送することで、収納容器の開口が処理装置側に向いているため、収納容器と処理装置との間での基板の移載が行い易いものとなる。
【0019】
そして、飛び出し防止機構を保持部に設けた場合では、接触体を基板の開口側端部より内方側に位置することで、容器搬送対象箇所に位置する収納容器と処理設備との間に接触体が介在するスペースが必要ない。また、飛び出し防止機構を走行部に設けた場合では、飛び出し防止機構を走行部に残した状態で保持部が昇降移動するので、容器搬送対象箇所に位置する収納容器と処理設備との間に接触体が介在するスペースが必要ない。
このように容器搬送対象箇所に位置する収納容器と処理設備との間に接触体を介在させるスペースが必要ない分、容器搬送対象箇所を処理設備に近づけることができるため、容器搬送対象箇所に位置する収納容器と処理装置との距離が近くなり、収納容器と処理装置との間での基板の移載を行い易いものとなる。
【0020】
本発明にかかる搬送装置の第7特徴構成は、第1〜第6特徴構成のいずれか1つにおいて、前記飛び出し防止機構における前記接触体を移動操作する移動操作手段が、前記接触体を前記接触位置と前記離間位置とに移動操作させるアクチュエータを備えて構成されている点にある。
【0021】
すなわち、移動操作手段が、接触体を接触位置と離間位置とに移動操作させるアクチュエータを備えて構成されているため、そのアクチュエータの作動により接触体を任意のタイミングで接触位置と離間位置とに移動操作することができる。
よって、例えば、取り出し防止機構を保持部に支持させた場合では、保持部を昇降させる途中に飛び出し防止機構を接触位置と離間位置とに移動操作することで、収納容器を容器搬送対象箇所に降ろす又は容器搬送対象箇所から持ち上げるときに基板と接触体が擦れることを防止でき、また、飛び出し防止機構を走行部に支持させた場合では、保持部を走行用位置から昇降移動させる前に飛び出し防止機構を接触位置から離間位置に移動操作することで、保持部を昇降移動させるときに基板と接触体が擦れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】天井搬送車及び処理装置を示す斜視図
【図2】天井搬送車の正面図
【図3】天井搬送車の側面図
【図4】収納容器と接触体とを示す平面図
【図5】容器搬送対象箇所に位置する収納容器を示す正面図
【図6】制御ブロック図
【図7】別実施形態(1)における天井搬送車の側面図
【図8】別実施形態(3)における天井搬送車の正面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、搬送装置としての天井搬送車Aは、天井側に設置された走行レール1に案内支持される状態で複数設けられており、容器搬送対象箇所2の上方を経由する走行経路3に沿って走行して基板5を収納する収納容器4を搬送するように構成されている。容器搬送対象箇所2は、収納容器4から取り出した基板5に対して処理を行う処理装置Bに対して走行方向と直交する幅方向に隣接した状態で設けられている。
【0024】
図2〜図4に示すように、天井搬送車Aにて搬送される収納容器4は、ウェハ等の円板形状の基板5を上下方向に積層させた状態で収納し且つ側面に基板出し入れ用の開口6が形成されたオープンカセットにて構成されている。
説明を加えると、収納容器4は、基板5より少し大径の底板4b及び天板4cを備え、これら底板4bと天板4cとが側壁4dにて連結して構成されており、前側面に基板出し入れ用の開口6が形成されている。そして、収納容器4には、側壁4dにて支持される形態で基板5が上下方向に積層させた状態で収納されており、開口6を通して基板5が出し入れされるようになっている。ちなみに、側壁4dは、収納された基板4の側方から後方に亘って位置しており、この側壁4dにて後側面からの基板4の飛び出しが防止されている。また、収納容器4には、開口6を閉じる蓋は設けられていない。
【0025】
天井搬送車Aには、収納容器4を保持した状態で走行可能な走行保持体8と、走行保持体8にて保持されている収納容器4の開口6から基板5が飛び出すことを防止する飛び出し防止機構9とが設けられている。
走行保持体8は、収納容器4を保持する保持部10と、その保持部10を昇降自在に支持する走行自在な走行部11とを備えて、走行部11の走行及び保持部10の昇降により容器搬送対象箇所2に収納容器4を搬送可能に構成されている。
【0026】
図1に示すように、走行保持体8は、開口6が走行方向と交差する横方向に向く姿勢で収納容器4を保持するように構成されており、走行保持体8を容器搬送対象箇所2の真上に位置した状態で、開口6が処理装置B側に向く姿勢で収納容器4を保持するように構成されている。
このように走行保持体8にて開口6が横方向を向く姿勢で収納容器4を保持することで、基板5の基板出し入れ方向は走行保持体8の走行方向と直交する横方向と同じ方向となり、基板出し入れ方向と直交する幅方向は走行保持体8の走行方向と同じ方向となっている。
【0027】
図2に示すように、走行部11の上部には、走行用モータ14にて回転駆動されて走行レール1の上面を転動する駆動輪15と、走行レール1の側面に当接する回転自在な案内輪16とが設けられている。そして、走行用モータ14にて駆動輪15が回転駆動され、案内輪16が走行レール1にて接触案内されることにより、走行部11が走行レール1に案内されて走行経路3に沿って走行するように構成されている。
【0028】
走行部11の上下中間部には、受電コイル12が設けられており、走行経路3に沿って配設された給電線13の交流電流の通電により磁界を発生させ、この磁界により天井搬送車A側での必要電力を発生させて、天井搬送車Aに対して無接触状態で給電を行うように構成されている。
【0029】
図3に示すように、走行部11の下部に設けられたカバー体17は、走行方向に延びる上カバー部17aと、その上カバー部17aの走行方向の両端から下方に延びる一対の前後カバー部17bとで、横側面視で下方が開口するコ字状に形成されている。上カバー部17a及び一対の前後カバー部17bの夫々は、その横方向の幅が収納容器4の横方向の幅より幅広に形成されており、保持部10にて保持された収納容器4がカバー体17から横方向に突出しないようになっている。
【0030】
また、走行部11の下部には、ワイヤ18を巻回して昇降用モータ19にて回転駆動される回転ドラム20が設けられており、そのワイヤ18の下端には保持部10が連結されている。そして、昇降用モータ19にて回転ドラム20を回転駆動させることにより、走行部11に吊り下げ支持された保持部10を、走行部11の近くに位置してカバー体17に囲まれた空間内に位置する走行用位置(図2及び図3参照)と、容器搬送対象箇所2に対して収納容器4を授受するべく走行用位置より下方に位置させた移載用位置(図5(a)参照)とに昇降移動させるように構成されている。
【0031】
図2及び図3に示すように、保持部10は、ワイヤ18の下端に連結された本体部22と、把持用モータ23にて揺動駆動される一対の把持爪24とが設けられている。一対の把持爪24は、本体部22から下方に突出する状態で且つ横方向に並べた状態で、横方向に沿う軸心周りに揺動自在に本体部22に支持されている。
そして、図示は省略するが、把持用モータ23にて一対の把持爪24を揺動駆動させることで、一対の把持爪24を互いに接近させて収納容器4における天板4cの上面に設けられたフランジ部4aを把持する把持姿勢と、一対の把持爪24を互いに離間させて収納容器4に対する把持を解除する把持解除姿勢とに切り替え可能に構成されている。
本体部22の横方向の幅は、カバー体17の横方向の幅より幅狭に構成されており、把持爪24の横方向の幅は、本体部22の横方向の幅より幅狭に構成されている。また、本体部22の横方向及び走行方向の幅は、収納容器4の横方向及び走行方向の幅と同じ幅に構成されている。
【0032】
飛び出し防止機構9は、保持部10に支持されている。この飛び出し防止機構9は、走行保持体8における保持部10に保持された収納容器4に収納されている基板5の側面に接触する接触位置(図4に実線で示す位置)と基板5の側面から水平方向に離間する離間位置(図4に仮想線で示す位置)とに移動可能な接触体26を備えて構成されている。
【0033】
飛び出し防止機構9について説明を加えると、図3及び図4に示すように、収納容器4に収納された基板5における走行方向の中央に対してその両側に位置するように接触体26を一対備え、一対の接触体26を互いに走行方向に沿って近接移動させて接触位置に移動させ、一対の接触体26を走行方向に沿って離間移動させて離間位置に移動させる移動操作手段としてのシリンダ装置27を備えて構成されている。このシリンダ装置27は、接触体26を接触位置と離間位置とに移動操作させるアクチュエータに相当する。
【0034】
シリンダ装置27は、シリンダ本体27aにおける長手方向の両端の夫々から連結ロッド27bが突出しており、その一対の連結ロッド27bの夫々に接触体26が連結されており、一対の連結ロッド27bをシリンダ本体27aに対して出退移動させて一対の接触体26を互いに遠近移動させるように構成されている。
【0035】
図3に示すように、シリンダ装置27は、本体部22の下面側に走行方向に沿う姿勢で設置されている。シリンダ装置27の長手方向の長さは、本体部22の走行方向の幅より短く、シリンダ装置27が本体部22から走行方向に突出しない状態で設けられている。図4に示すように、本体部22における幅方向の開口側端部と把持爪24との間に位置して本体部22から横方向に突出しない状態で設けられている。
【0036】
図2〜図4に示すように、シリンダ装置27における一対の連結ロッド27bの夫々は、シリンダ本体27aから走行方向の外方側に延び、その先端から基板5が存在する内方側(開口側の反対側)に延びる形状に形成されており、接触体26は連結ロッド27bの内方側に延びる部分の下端に連結されている。
【0037】
図4に示すように、接触体26は、硬度が高い硬質の樹脂材にて構成された棒状の軸芯部26aと、この軸芯部26aより硬度が低い軟質の樹脂材にて構成されて軸芯部26aの側周囲を覆う接触部26bとで構成されており、軸芯部26aに連結ロッド27bが連結され、接触部26bが基板5の側面に接触するようになっている。
【0038】
そして、接触体26の接触位置は、横方向で、収納容器4に収納された基板5における幅方向の開口側端部と中央部との間に設定され、走行方向で、収納容器4に収納された基板5における走行方向の端部と中央部との間に設定されている。
また、接触体26の離間位置は、横方向で、収納容器4に収納された基板5における幅方向の開口側端部と中央部との間に設定されている。
つまり、接触体26は、横方向においては基板5における横方向の開口側端部と中央部との間に位置しており、基板5における走行方向の端部と中央部との間で走行方向に沿って移動することで、接触位置と離間位置とに移動するようになっている。
【0039】
接触部26bの上下方向の長さは、収納容器4に積層させた状態で収納されている最上段の基板5と最下段の基板5との間隔より長く、底板4bと天板4cとの間隔より短い長さに構成されている。また、接触部26bは、軸芯部26aより太く形成されている。
よって、接触体26を接触位置に移動させた状態では、軸芯部26aが天板4cの近くまで移動し、接触部26bが開口6から収納容器内に進入して、接触部26bが収納容器4に収納されている基板5の全てに接触するようになっている。
また、接触体26を離間位置に移動させた状態では、軸芯部26aが天板4cから離れ、接触部26bの全体が開口6から収納容器外に退出するようになっている。
【0040】
図6に示すように、走行保持体8及び飛び出し防止機構9の作動を制御する制御手段Hが設けられている。
容器搬送対象箇所2に位置する収納容器4を受け取る場合では、制御手段Hは、収納容器4を保持しない走行保持体8を容器搬送対象箇所2に対応する停止位置まで走行させた後、保持部10を移載用位置まで下降させ、把持爪24を把持姿勢に切り替えて、容器搬送対象箇所2に位置する収納容器4を把持し、その後、保持部10を走行用位置まで上昇移動させるべく、走行保持体8の作動を制御するように構成されている。また、制御手段Hは、保持部10を走行用位置に上昇移動させる直前又は途中に接触体26を離間位置から接近位置に移動させるべく、飛び出し防止機構9の作動を制御するように構成されている。
【0041】
また、収納容器4を容器搬送対象箇所2に受け渡す場合では、制御手段Hは、収納容器4を保持する走行保持体8を容器搬送対象箇所2に対応する停止位置まで走行させた後、保持部10を移載用位置まで下降させ、把持爪24を把持解除姿勢に切り換えて、容器搬送対象箇所2に収納容器4を降ろし、その後、保持部10を走行用位置まで上昇移動させるべく、走行保持体8の作動を制御するように構成されている。また、制御手段Hは、保持部10を移載用位置まで下降させる途中又は下降完了後に接触体26を接触位置から離間位置に移動させるべく、飛び出し防止機構9の作動を制御するように構成されている。
【0042】
このように、接触体26の接触位置や離間位置を、横方向で、収納容器4に収納された基板5における幅方向の開口側端部と中央部との間に設定することで、接触体26が横幅方向で基板5の開口側端部より開口側に位置しない。よって、天井搬送車Aの横幅を幅狭に構成し易いとともに、容器搬送対象箇所2に収納容器4を降ろすときに収納容器4を処理装置B近くに降ろすことができ、収納容器4と処理装置Bとの間での基板5の移載を行い易いものとなる。
【0043】
〔別実施形態〕
(1) 上記実施形態では、飛び出し防止機構9を、保持部10に支持させたが、飛び出し防止機構9を、走行部11に支持させてもよい。
具体的には、例えば、図7に示すように、シリンダ装置27を、カバー体17における一対の前後カバー部17bの夫々に設置し、このシリンダ装置27に接触体26を連結して、シリンダ装置27の伸縮作動により、一対の接触体26を互いに遠近移動させて接触位置と退避位置とに移動するように構成してもよい。
【0044】
(2) 上記実施形態では、保持部10を走行用位置と移載用位置との間での昇降移動させる間に、接触体26を接触位置と離間位置とに移動させるようにしたが、保持部10が走行用位置に位置する状態で、接触体26を接触位置と離間位置とに移動させるようにしてもよい。
具体的には、例えば、収納容器4を保持する走行保持体8を容器搬送対象箇所2に対応する停止位置まで走行させた後、保持部10の移載用位置への下降を開始する前に、接触体26を接触位置から離間位置に移動させ、また、収納容器4を保持する保持部10の走行用位置に上昇させた後、走行保持体8の走行を開始させる前に、接触体26を離間位置から接触位置に移動させるべく、制御手段Hにて飛び出し防止機構9の作動を制御するように構成してもよい。
【0045】
(3) 上記実施形態では、天井搬送車Aを、オープンカセット専用に構成したが、図8に示すように、FOUP30を搬送するためのFOUP用の天井搬送車Aに飛び出し防止機構9を設けてオープンカセットを搬送可能な天井搬送車Aを構成してもよい。
【0046】
(4) 上記実施形態では、走行保持体8を、開口6が横方向に向く姿勢で収納容器4を保持するように構成したが、走行保持体8を、開口6が走行方向に向く姿勢で収納容器4を保持するように構成してもよい。
【0047】
(5) 上記実施形態では、飛び出し防止機構9を、基板5における幅方向の中央に対してその両側に位置するように接触体26を一対備えて構成したが、飛び出し防止機構9を、基板5における幅方向の中央に対してその一方側のみに位置するように接触体26を1つ備えて構成してもよい。
【0048】
(6) 上記実施形態では、接触体26を幅方向に沿って移動させて接触位置と離間位置とに移動させたが、接触体26を基板出し入れ方向に沿って移動させて接触位置と離間位置とに移動させてもよい。つまり、接触体26を一対備えた場合、一対の接触体26を基板出し入れ方向に沿って移動させることで、一対の接触体26を互いに接近離間させることなく接触位置と離間位置とに移動させるようにしてもよい。
【0049】
(7) 上記実施形態では、飛び出し防止機構9を、接触体26を接触位置と離間位置とに移動操作させるアクチュエータを備えて構成したが、飛び出し防止機構9に、アクチュエータを備えなくてもよい。具体的には、飛び出し防止機構9を、保持部10の下降移動に伴って容器搬送対象箇所2の近傍に設けられた操作部材にて押し操作されることで、接触体26を接触位置から離間位置に移動操作し、保持部10の上昇移動に伴って操作部材による押し操作が解除されることで、接触体26を離間位置から接触位置に移動操作する連結手段を備えて構成してもよい。
【0050】
また、接触体26を接触位置と離間位置とに移動操作するアクチュエータ(シリンダ装置27)と把持爪28を把持姿勢と把持解除姿勢とに姿勢変更させるアクチュエータ(把持用モータ24)とを兼用することで、接触体26を移動操作する専用のアクチュエータを備えなくてもよい。
具体的には、例えば、把持爪28が把持姿勢のときは接触体26が接触位置となり、把持爪28が把持解除姿勢のときは接触体26が離間位置となるように、接触体26を把持爪28に取り付けて、把持用モータ24にて把持爪28が把持姿勢と把持解除姿勢に姿勢変更するのに連動して接触体26が接触位置と離間位置とに移動操作されるように構成してもよい。
【0051】
(8) 上記実施形態では、走行保持体8を、天井側に設置された走行レール1に案内支持させて天井近くを走行する天井走行式としたが、走行保持体8を、床面上を自走する、床面上に設置されたレールに案内されて床面上を走行する、又は、床面上に設置されたレールに案内支持されてレール上を走行する床面走行式としてもよい。
【0052】
(9) 上記実施形態では、移載用位置を走行用位置より下方に設定し、保持部10を走行部11近くの走行用位置から下降移動させて移載用位置に移動させるように構成したが、移載用位置を走行用位置より上方に設定し、保持部10を走行部11の近くの走行用位置から上昇移動させて移載用位置に移動させるように構成してもよい。また、移載用位置を走行用位置の横側方に設定し、保持部10を走行部11近くの走行用位置から横側方に移動させて移載用位置に移動させるように構成してもよい。また、保持部10を走行部11に移動不能に支持させて、容器搬送対象箇所2近くに設けられた容器移載装置にて保持部10と容器搬送対象箇所2との間で収納容器4を移載するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 走行レール
2 容器搬送対象箇所
4 収納容器
5 基板
6 開口
8 走行保持体
9 飛び出し防止機構
10 保持部
11 走行部
26 接触体
27 アクチュエータ(移動操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板形状の基板を上下方向に積層させた状態で収納し且つ側面に基板出し入れ用の開口が形成された収納容器を、保持した状態で走行可能な走行保持体と、
前記走行保持体にて保持されている前記収納容器の前記開口から基板が飛び出すことを防止する飛び出し防止機構とが設けられている搬送装置であって、
前記飛び出し防止機構が、前記走行保持体に保持された前記収納容器に収納されている基板の側面に接触する接触位置と基板の側面から離間する離間位置とに移動可能な接触体を備え、前記接触体の接触位置を、基板出し入れ方向で、前記収納容器に収納された基板の開口側端部と中央部との間に前記接触体が位置するように設定して構成されている搬送装置。
【請求項2】
前記走行保持体が、前記開口が走行方向と交差する横方向に向く姿勢で前記収納容器を保持するように構成されている請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記飛び出し防止機構が、前記収納容器に収納された基板における基板出し入れ方向と直交する幅方向の中央に対してその両側に位置するように前記接触体を一対備え、前記一対の接触体を互いに前記幅方向に沿って接近移動させて前記接触位置に移動させ、前記一対の接触体を互いに前記幅方向に沿って離間移動させて前記離間位置に移動させる移動操作手段を備えて構成されている請求項1又は2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記走行保持体が、前記収納容器を保持する保持部と前記保持部を昇降自在に支持する走行自在な走行部とを備えて、前記走行部の走行及び前記昇降部の昇降により容器搬送対象箇所に前記収納容器を搬送可能に構成され、
前記飛び出し防止機構が、前記保持部に支持されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記走行保持体が、前記収納容器を保持する保持部と前記保持部を昇降自在に支持する走行自在な走行部とを備えて、前記走行部の走行及び前記昇降部の昇降により容器搬送対象箇所に前記収納容器を搬送可能に構成され、
前記飛び出し防止機構が、前記走行部に支持され、
前記接触体が、前記保持部が前記走行部近くの走行用位置に昇降移動した状態で前記接触位置と前記離間位置とに移動可能に設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記容器搬送対象箇所が、基板に対して処理を行う処理装置に隣接した状態で設けられ、
前記保持部が、前記開口が前記処理装置側に向く姿勢で前記収納容器を保持するように構成されている請求項4又は5記載の搬送装置。
【請求項7】
前記飛び出し防止機構における前記接触体を移動操作する移動操作手段が、前記接触体を前記接触位置と前記離間位置とに移動操作させるアクチュエータを備えて構成されている請求項1〜6いずれか1項に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−64799(P2012−64799A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208283(P2010−208283)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】