説明

携帯ナビゲーション方法および携帯ナビゲーション装置

【課題】実際的な使用に適した携帯ナビゲーション方法を提供する。
【解決手段】スタート地点から目的地までの予定ルートを設定する(ST110)。GPS機能にてこの携帯端末の現在位置を求め、現在位置が予定ルート上の位置に一致しているか判定する(ST120)。
現在位置が予定ルート上の位置に一致している場合には(ST130:YES)、第1の振動パターンの振動動作を行う。現在位置が予定ルート上の位置に一致していない場合には(ST130:NO)、第1の振動パターンとは異なる第2の振動パターンで振動動作を行う(ST170)。さらに、携帯端末の表示部に予定ルートに戻るための進行すべき方向を表示させる(ST180)。進行すべき方向をユーザーに告知するにあたっては、地磁気センサによって携帯端末が向いている方位を求め、進行すべき方向を表示画面上で表す表示矢印の向きを求め、この表示矢印を表示部に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯ナビゲーション方法および携帯ナビゲーション装置に関する。
例えば、携帯電話機等の携帯型端末装置を使用する携帯ナビゲーション方法および携帯ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS(Global Positioning System)機能付き携帯電話機が急速に普及しつつあり、それに伴い歩行者用のルート検索およびナビゲーションの使用シーンが増えてきている。
通常、従来のGPS機能付き携帯電話を用いてルート検索が行なわれる際には、特許文献1にも示されるように、下記のような手順となる。
(1)ルート検索用アプリが起動する。
(2)住所、電話番号、施設名等の情報に基づいて目的地が検索され、設定される。
(3)GPS測位処理を実行し、携帯電話機の現在地をルート検索のスタート地点に設定する。
(4)ルート検索を実施し、ルート案内を開始する。
【0003】
ルート案内にあたっては、LCD等の表示画面にスタート地点から目的地までの地図が示される。
ユーザーは、表示された地図を見ながら目的地に向かって移動する。
【0004】
また、表示地図と実際の景観との対応づけを支援するために、電子コンパス(地磁気センサ)を備えた携帯ナビゲーション装置も知られている(例えば特許文献2)。
このような携帯ナビゲーション装置では、携帯電話機を向けた方向が表示画面上で上になるように表示地図が回転するようになっている。
したがって、画面上の表示地図を見ることにより、地図上における自己位置だけでなく自己の見ている方角も容易に理解できるようになる。
実際の景観と地図の方角との対応がとりやすいので、正しい道を迅速かつ誤りなく判断し、スムースに目的地に向けて進むことができる。
【0005】
また、ユーザーが予定ルートから外れた場合に、ルートから外れたことをユーザーに通知し、さらに、予定ルートに対してユーザーがどのようにずれているかを通知する携帯通信端末が知られている(特許文献3)。
この特許文献3では、例えば、図5のような表示画面が提供される。
図5に示されるように、メインLCDモニタ26には、現在位置から目的地までの経路案内情報を含む地図が表示される。
さらに、メインLCDモニタ26に隣接してLED 38が設けられている。
LED 38は、異なる5つのパターンで発光できるようになっており、ここでは、無色(発光なし)、緑色、赤色、黄色、橙色で発光できるようになっている。
【0006】
そして、このLED38により、光ガイダンスサブ機能が提供される。
すなわち、使用者がナビゲーション機能の経路案内を使用しているときに、LED 38が発光する色によって使用者の進行方向の正誤を通知し、使用者の進行方向が誤った方向に向いた場合に、そのLED 38が発光する色の変化によって、進むべき方向(経路方向)を通知して、その経路方向に使用者の進行方向の向きを変えるように促す。
例えば、ユーザーが予定ルートに位置し、かつ、予定した方向に進行している場合には、LED 38は緑に発光する。
また、LED38は、ユーザーの位置が予定ルートから右方向にずれている場合には黄色で発光し、ユーザーの位置が予定ルートから左方向にずれている場合には橙色で発光し、ユーザーが予定ルート上にいるが反対方向に進んでいるときは赤色で発光する。
これにより、ユーザーは表示地図を見ながら移動しているときに、予定経路および予定進行方向に対して自分の位置および進行方向があっているがどうかを確認しながら進むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-216076号公報
【特許文献2】特開2009-296048号公報
【特許文献3】特開2009-162506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
携帯端末、例えば携帯電話機の表示画面は小さいものであり、画面に表示された地図を見て道を判断することはやはり難しい。
特許文献2では見やすいように地図を回転させたり、特許文献3ではLED38による光ガイダンスによるサポートを行ったりするので、多少は使いやすくなることが期待できる。
しかしながら、いずれにしても画面上の地図を見ながら進むことを前提にしている。
例えば、ご年配の方にとっては小さな表示画面の小さな地図は見にくいものである。
そして、実際の使用場面では、携帯端末の小さな表示画面に表示される小さな地図をじっと見ながら歩行することはあまりない。
そもそも、人や車の往来が激しい通りで携帯画面を見つめながら歩くことは現実的ではないし、危険でもある。
【0009】
本発明の目的は、実際的な使用態様に鑑み、実際的な使用に適したナビゲーションを実現する携帯ナビゲーション方法および携帯ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯ナビゲーション方法は、
携帯端末を用いて目的地までのルート案内を行う携帯ナビゲーション方法であって、
地図情報を用いて、スタート地点から目的地までの予定ルートを設定し、
GPS機能にてこの携帯端末の現在位置を求め、前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致しているか判定し、
前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致している場合には、第1の振動パターンの振動動作を行い、
前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致していない場合には、前記第1の振動パターンとは異なる第2の振動パターンで振動動作を行い、さらに、携帯端末の表示部に前記予定ルートに戻るための進行すべき方向を表示させる
ことを特徴とする。
【0011】
本発明の携帯ナビゲーション装置は、
目的地までのルート案内を行う携帯ナビゲーション装置であって、
地図情報を用いて、スタート地点から目的地までの予定ルートを設定するナビゲーション機能部と、
GPS機能にてこの携帯端末の現在位置を求めるGPS測位部と、
前記GPS測位部にて求めた前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致しているかを判定するルート一致判定部と、
前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致している場合には第1の振動パターンの振動動作を行い、かつ、前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致していない場合には前記第1の振動パターンとは異なる第2の振動パターンで振動動作を行う振動モータと、
前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致していない場合に表示部に前記予定ルートに戻るための進行すべき方向を表示させる表示矢印方向算出部と、を備える
ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】携帯端末(携帯ナビゲーション装置)の機能ブロック図。
【図2】設定されたルートの一例を示す図。
【図3】設定されたルートの一例を示す図。
【図4】ナビゲーション動作の実行処理を示すフローチャート。
【図5】従来のナビゲーション装置の表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態について説明する。
図1は、携帯端末(携帯ナビゲーション装置)100の機能ブロック図である。
携帯端末100は、例えば、携帯電話機、携帯ゲーム機、PDA等であり、携帯できる端末装置であればその種類は限定されない。
ここでは、主に、携帯電話機を例にして説明する。
【0014】
図1を参照し、各機能部について説明する。
GPS測位部110は、GPS信号を利用してこの携帯端末100の位置を求める。
ナビゲーション機能部120は、地図情報を格納し、スタート地点から目的地に到達するルート検索を行う。
スタート地点の設定は、ユーザーがキーパッド等の入力手段を用いて設定してもよく、GPS測位部で測定された現在位置をスタート地点にしてもよい。
目的地は、ユーザーがキーパッド等の入力手段を用いて設定してもよく、あるいは、無線通信回線を介して得られた位置情報を目的地に設定してもよい。
ナビゲーション機能120部は、所定の記憶領域に地図情報を格納していてもよく、あるいは、無線通信回線を介して地図情報を取得するようにしてもよい。
【0015】
地磁気センサ130は、地磁気を利用して方位を求める。
好ましくは、3軸タイプの地磁気センサを搭載し、携帯端末100が傾斜しても正しく方位を算出できることが好ましい。
このような機能のために、携帯端末の傾斜を求めるジャイロセンサを付加してもよい。
【0016】
ルート一致判定部140は、ユーザー位置がルート910上に居るか否かを判定する。
例えば、図2に示すような道900において、ナビゲーション機能部120によりルート910が求められているとする。
このとき、GPS測位部110で測定した現在位置がルート910上にあるか否かを判定する。
【0017】
進行方向算出部150は、ナビゲーション機能部120で算出されたルート情報と、GPS測位部110で得られた現在位置と、に基づいて、進行すべき方向を算出する。
図2において、例えば地点P1に居るとすれば、進行すべき方向は、矢印921に示す方向である。
また、地点P2に居るとすれば、進行すべき方向は、矢印922に示す方向である。
さらに、地点P3はルート910から外れた地点である。
このようにルート910から外れている場合、ルート910に復帰するための方向(矢印923)を進行すべき方向として算出する。
【0018】
表示矢印方向算出部160は、携帯端末100の向きおよび傾斜の情報と、前記進行すべき方向の情報と、に基づいて、表示部107に表示すべき表示矢印の方向を算出する。
例えば、図3に示すように、地点P3での表示矢印は、矢印931である。
ここで、携帯端末100の向きは矢印941であるところ、携帯端末の向き(941)は、地磁気センサ130によって北方位からの角度として求められている。
同時に、前記進行すべき方向の情報は、進行方向算出部150で求められている。
したがって、表示矢印方向算出部160は、進行すべき方向を表示画面上で表す表示矢印931の向きを求めることができる。
【0019】
送受信回路101は、アンテナを有し、無線通信を行う。
キーパッド102は、複数の操作キーを有する入力装置である。
音制御部103は、スピーカー104およびマイク105の音を信号処理する。
例えば、通話を行う場合や音楽を再生する場合などに起動される。
表示制御部106は、表示部107の表示制御を行う。
表示部107は、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどである。
【0020】
振動モータ108は、その回転子の回転により振動を発生させる。
振動モータ108は、少なくとも二つの異なるパターンの振動を発生させることができる。
【0021】
CPU(中央処理装置)109は、全体の動作制御を行う。
【0022】
次に、ナビゲーション動作について説明する。
図4は、ナビゲーション動作の実行処理を示すフローチャートである。
ナビゲーションの開始にあたって、ユーザーは、例えば所定のキーパッド操作によってナビゲーション機能部120を起動させる。
ナビゲーション機能部120の起動によってナビゲーション動作が開始される(ST100)。
【0023】
ナビゲーションにあたり、まず、ルート設定が行われる(ST110)。
すなわち、ナビゲーション機能部120により、スタート地点から目的地に到達するルート検索が行われる(ST110)。
【0024】
このようにルート設定(ST110)が終わると、ユーザーは、目的地の方向に歩きだす。
この場合、ユーザーは、歩きだす前に、設定されたルート910を表示部107に表示させて、道順や方向を一旦確認してもよい。
あるいは、ユーザーは目的地の方向をおおよそ認識していることが多いので、そのような場合は地図表示を見ることなく、道900に沿って歩き出してもよい。
いずれにしても、歩行中は、表示部107に地図を表示させずに歩けばよい。
この場合、例えば、節電モードにして表示部107のライトを消しておき、携帯端末100をポケットやカバンに入れておいてもよい。
あるいは、携帯端末100を用いて、通話、メール、ゲーム、音楽再生などを行ってもよい。
【0025】
ユーザーが携帯端末100を持って移動するとき、携帯端末100は、定期的にルート一致判定を行う(ST120)。
すなわち、ルート一致判定部140により、ユーザー位置がルート910上に居るか否かを判定する。
ユーザー位置はGPS測位部110で求められる。
【0026】
GPS測位部110で求められたユーザー位置がルート上にある場合には(ST130:YES)、振動モータ108を第1の振動パターンで振動させる。
ここで、第1の振動パターンには、振動しない(無振動)を含む。
また、第1の振動パターンは、インターバルが長く、振動強度が弱い振動である。
第1の振動パターンのインターバルは、例えば、数秒から数10秒程度にすることが例として挙げられる。
【0027】
すなわち、ユーザーが設定されたルート910に沿って移動しているときには、ユーザーには第1の振動パターンが伝わる。
これにより、ユーザーは自身が正しい道を歩いていることが分かる。
そして、この場合、ナビゲーション機能部120、GPS測位部110およびルート一致判定部140はバックグランドで動作し、携帯端末100は他のアプリケーションの動作を許容する(ST150)。
道は、多くの場合、道なりに進めばよいので、表示地図を常に見ながら歩く必要性はそれほどない。
したがって、例えば、ユーザーは、他のアプリケーションを使用して通話、メール、ゲーム、音楽再生を行ってもよく、あるいは、表示部107のライトを消した節電モードを継続してもよい。
【0028】
目的地に到着するまでST120に戻ってループを繰り返し、目的地に到着したところで(ST160:YES)、ナビゲーションを終了する。
したがって、もし、ユーザーが、設定されたルートに従って間違いなく歩き続けた場合、ユーザーには第1の振動パターンが感じられるだけである。
特に、第1の振動パターンとして無振動を設定した場合、ユーザーには何らの告知や指示も与えられないこととなる。
ユーザーとしては、携帯端末100からの告知や指示などの煩わしさがないので、快適に歩行することができる。
【0029】
ここで、ユーザーが例えば曲がり角を間違えるなどにより、設定されたルート910から外れた場合、ルート一致判定(ST120)においてルート上にいないことが検出される(ST130:NO)。
この場合、携帯端末100は、振動モータ108を第2の振動パターンで振動させる。
ここで、第2の振動パターンは、第1の振動パターンよりもインターバルが短く、振動強度が強い振動である。
これにより、ユーザーは自分が設定されたルートから外れたことを認識できる。
第2の振動パターンのインターバルは数ミリ秒とし、すなわち、第2の振動パターンの振動周波数を数10Hz程度にする。
【0030】
また、例えば携帯端末が閉じた状態である場合には、第2の振動パターンで知らせるのみならず、音声で、「予定ルートから外れました」などと通知するようにしてもよい。振動動作のみでは、ユーザーが気付かない場合もあり得るが、音声を付加することで、ユーザーがいち早く予定ルートか離れたことを知ることができる。なお、第2の振動パターンでの振動のみとするか、音声のみとするか、又は、両方でユーザーに知らせるかは、ユーザが予め設定可能とすることができる。
【0031】
ルート上にいない場合(ST130:NO)、さらに、地磁気センサ130、進行方向算出部150および表示矢印方向算出部160が起動される。
そして、進行方向算出部150により、ナビゲーション機能部120で算出されたルート情報と、GPS測位部110で得られた現在位置と、に基づいて、進行すべき方向が算出される。
さらに、表示矢印方向算出部160により、携帯端末100の向きおよび傾斜の情報と、進行すべき方向の情報と、に基づいて、表示部107に表示すべき表示矢印の方向が算出される。
これは、前述のように、図3の点P3において、携帯端末100の向きおよび傾斜が地磁気センサ130で検出されるので、表示矢印方向算出部160は、進行すべき方向を表示画面上で表す表示矢印931の向きを求める。
このようにして求められた表示矢印は、表示部107に表示される。
【0032】
したがって、ユーザーが、第2の振動パターンを感じたときに携帯端末100の表示部107を見ると、自分が進むべき方向が一目でわかるようになっている。
このとき、ユーザーは、自分の体の向きや携帯端末100の向きを様々に変える必要はない。
ユーザーは、表示部107に示された矢印を見て、その矢印の方向に方向転換すればよい。
このようにして、ユーザーが正しいルートに向けて方向転換し、正しいルートに戻れば、ST120からST160のループに戻る。
【0033】
ここで、道が分岐していたり、交差点のように交差していたとしても、ユーザーは地点P3で復帰方向を示されれば、すぐに正しい方向を理解することができる。
したがって、表示部107の表示矢印931を一回確認して、方向転換すれば、あとは携帯端末100をカバンやポケットにいれてもよい。
そして、地点P2に至ったときに、第2の振動パターンが第1の振動パターンになったことを振動から感じることで、自分が確かに正しい道に戻ったことがわかる。
【0034】
このような本実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
(1)小さい携帯画面上の表示地図を終始見ながら歩行することは一般的ではなく不便であるところ、本実施形態では、ユーザーが表示画面を見続けることを前提とせず、振動パターンによってユーザーに進行方向の正否を告知するようにしている。
ここで、車載用のナビゲーション装置であれば車内に装置を固定することができるのでナビゲーション装置を手に持つ必要はないのに対し、歩行中に携帯端末を手で持ち続けるとすると疲れてしまう。
また、荷物で両手がふさがっていることもあり得る。
したがって、従来技術のように、表示地図やLEDの発光などでユーザーに告知するなど、ユーザーが常に表示画面を見ていることを前提としたナビゲーション方法は実際の歩行中には使いにくいという問題がある。
【0035】
この点、本実施形態では、ユーザーが表示画面を見続けることを前提とせず、予定ルートを歩行しているときと予定ルートから外れたときとで振動パターンを変えることでユーザーに進行方向の正否を告知するようにしている。
したがって、本実施形態は、歩行者を道案内するナビゲーション方法およびその装置として適している。
また、ユーザーがナビゲーションのために表示画面を見続けることを前提としないので、GPS測位部110、ナビゲーション機能部120およびルート一致判定部140の動作をバックグラウンドで実行させるようにし、表示画面は他のアプリケーションに開放している。
したがって、ユーザーは歩行中に携帯端末を他の用途、例えば、メールや音楽再生などに利用することができる。
【0036】
(2)本実施形態では、予定ルートから外れた場合に、振動パターンの変更によってユーザーに告知するようにしている。
ここで、車載ナビゲーション装置などでは、交差点の入り口にさしかかったときやルートを外れた場合に音声で告知するようになっている。
車の中などのように仕切られたスペース内では音声案内は便利であるが、人の往来が激しい道を歩行中に音声案内が頻繁に流れると、他の人々に迷惑である。
また、予定ルートにはバスや電車などの公共交通機関を利用する区間もあるので、このような区間では音声案内は都合が悪い。
この点、振動パターンは他の人には迷惑になりにくいので、街中を歩行するときに本実施形態のナビゲーションを気兼ねなく利用することができる。
【0037】
(3)本実施形態では、ルートから外れたことは振動パターンの変化で知らせるが、進路方向については表示矢印を表示画面に表示するようにしている。
例えば、特開2002-236856号公報や特開2010-60423号公報には、振動を利用した道案内として、「進路に沿っている場合は振動させ、進路から外れた場合は振動させない」、という内容が開示されているが、振動だけで進路方向まで指示しようとすることには無理がある。
特開2002-236856号公報や特開2010-60423号公報の構成では、ルートから外れたことをユーザーが認識したとしても、正しいルートに戻るためには、携帯端末をいろいろな方向に向けたり、いろいろな方向に実際に歩き出してみて振動が変わるかどうかを確かめなければならない。
この点、本実施形態では、振動パターンの変化によってルートから外れたことを告知するが、進路方向については表示矢印によってユーザーに提供するようにしている。
ユーザーとしては、ルートから外れたことに気付いたときに表示部107の表示矢印を確認すれば、すぐに正しいルートに復帰することができる。
【0038】
(4)本実施形態では、交差点の入り口などで進行方向の案内を前もって行わないので、ユーザーがルートから外れる確率はやや高くなる。
しかし、車の場合には一旦道を間違えると簡単には戻れないが、歩行者の場合はすぐに方向転換できるので、道を少し間違えてしまってもそれほどの不都合はなく、むしろ、交差点ごとに音声で案内されることの煩わしさがないので快適に歩行することができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
正しいルートを歩行している最中であっても、ユーザーのリクエストに応じて表示部に表示矢印を表示させるようにしてもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0040】
26…モニタ、100…携帯端末、101…送受信回路、102…キーパッド、103…音制御部、104…スピーカー、105…マイク、106…表示制御部、107…表示部、108…振動モータ、110…GPS測位部、120…ナビゲーション機能部、130…地磁気センサ、140…ルート一致判定部、150…進行方向算出部、160…表示矢印方向算出部、900…道、910…予定ルート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を用いて目的地までのルート案内を行う携帯ナビゲーション方法であって、
地図情報を用いて、スタート地点から目的地までの予定ルートを設定し、
GPS機能にてこの携帯端末の現在位置を求め、前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致しているか判定し、
前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致している場合には、第1の振動パターンの振動動作を行い、
前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致していない場合には、前記第1の振動パターンとは異なる第2の振動パターンで振動動作を行い、さらに、携帯端末の表示部に前記予定ルートに戻るための進行すべき方向を表示させる
ことを特徴とする携帯ナビゲーション方法。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯ナビゲーション方法において、
前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致している場合には、第1の振動パターンの振動動作を行い、かつ、表示部には地図表示を行わないで他のアプリケーションによる表示部の利用を許容する
ことを特徴とする携帯ナビゲーション方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の携帯ナビゲーション方法において、
前記第1の振動パターンは、無振動であるか、または、前記第2の振動パターンよりもインターバルが長くかつ強度が弱い振動である
ことを特徴とする携帯ナビゲーション方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の携帯ナビゲーション方法において、
前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致していない場合に携帯端末の表示部に前記予定ルートに戻るために進行すべき方向を表示させるにあたっては、
GPS機能によって得られた現在位置を予定ルートと対比して進行すべき方向を算出し、
地磁気センサによって携帯端末が向いている方位を求め、
前記進行すべき方向を表示画面上で表す表示矢印の向きを求める
ことを特徴とする携帯ナビゲーション方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の携帯ナビゲーション方法において、
前記第2の振動パターンの振動動作に換えて、又は当該振動動作と共に、音声により、前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致していないことをユーザーに通知する
ことを特徴とする携帯ナビゲーション方法。
【請求項6】
目的地までのルート案内を行う携帯ナビゲーション装置であって、
地図情報を用いて、スタート地点から目的地までの予定ルートを設定するナビゲーション機能部と、
GPS機能にてこの携帯端末の現在位置を求めるGPS測位部と、
前記GPS測位部にて求めた前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致しているかを判定するルート一致判定部と、
前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致している場合には第1の振動パターンの振動動作を行い、かつ、前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致していない場合には前記第1の振動パターンとは異なる第2の振動パターンで振動動作を行う振動モータと、
前記現在位置が前記予定ルート上の位置に一致していない場合に表示部に前記予定ルートに戻るための進行すべき方向を表示させる表示矢印方向算出部と、を備える
ことを特徴とする携帯ナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載の携帯ナビゲーション装置において、
方位を求める地磁気センサと、
GPS測位部によって得られた現在位置を予定ルートと対比して進行すべき方向を算出する進行方向算出部と、をさらに備え、
前記表示矢印方向算出部は、前記進行すべき方向を表示画面上で表す表示矢印の向きを求める
ことを特徴とする携帯ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−220849(P2011−220849A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90622(P2010−90622)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】