説明

携帯情報機器

【課題】打楽器等の楽器音を一定した連続音で発音させることができる携帯情報機器を提供する。
【解決手段】本発明に係る携帯情報機器2は、楽器音データを記憶する記憶部24と、自装置に対するユーザの演奏動作を検出する動作検出部29を備え、制御部28は、動作検出部29により出力された動作情報と、予め設定された動作情報の閾値が定義された判定条件情報とに基づいて、ユーザによって押下された操作部20に対応する楽器音データの発音期間を特定し、当該発音期間において、音源21により当該楽器音データの発音と発音の停止を一定時間間隔で繰り返し行うことで、ユーザによる携帯情報機器2の演奏動作に応じた一定の連続音を発音する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏機能を有する携帯情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
楽器として用いることができる携帯電話機の技術が、下記特許文献1に開示されている。この特許文献1には、ユーザが携帯電話機を振ったときの振動を振動センサで検出し、振動センサの出力値が一定値を超える毎にパルス信号を出力してリズム音信号を生成し、スピーカへ出力する携帯電話機が開示されている。例えば、マラカス音が携帯電話機に設定されている場合には、携帯電話機を一定の強さで振る毎にマラカス音を出力することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−125455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、携帯電話機を1回振る動作に応じて楽器音を1回発音させることはできるが、振動センサの応答速度の限界により、携帯電話機を連続して振る等の連続動作と対応して楽器音を正確に繰り返し連続して発音させることは困難である。また、振動センサの出力情報に基づいて発音制御する場合、ノイズなどの混入によって誤って2度連続して発音が行われてしまう、いわゆる2度鳴りという現象が生じることがあるが、このような特性も連続音を発音する際に障害となっていた。
本発明は、打楽器等の楽器音を一定した連続音で発音させることができる携帯情報機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る携帯情報機器は、予め定められた楽器音の音データを記憶する記憶手段と、自装置に対するユーザの演奏動作を検出し、検出した演奏動作を示す動作情報を出力する動作検出手段と、前記動作検出手段により出力された動作情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記音データの発音期間を特定し、当該発音期間内において、当該音データの発音及び発音の停止を予め設定された一定時間間隔で繰り返し行う発音制御部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザの演奏動作に応じて発音期間を特定することができると共に、発音期間中は一定した音データを繰り返し出力することができる。
また、前記記憶手段は、前記楽器音の1又は複数の音データを記憶し、前記動作検出手段は、前記動作情報として、自装置の加速度を検出して出力し、前記音データが割当てられた入力操作部を有し、ユーザ操作を受付ける入力受付手段を備え、前記発音制御部は、前記入力受付手段により前記入力操作部に対する前記ユーザ操作が受付けられた際、前記動作検出手段により順次出力される加速度の正負に応じて、当該ユーザ操作に対応する前記音データの発音開始タイミングと発音期間を特定し、当該発音期間内において当該音データの発音及び発音の停止を予め設定された一定時間間隔で繰り返し指示する前記指示情報を前記発音手段に出力することとしてもよい。
この構成によれば、ユーザ操作に応じた音データの発音開始タイミングと発音期間を、ユーザの演奏動作を表す加速度の正負に応じて特定することができる。
【0007】
また、上記携帯情報機器において、前記記憶手段は、前記楽器音の1又は複数の音データを記憶し、前記動作検出手段は、前記動作情報として、自装置の加速度を検出して出力し、前記音データが割当てられた入力操作部を有し、ユーザ操作を受付ける入力受付手段を備え、前記発音制御部は、前記入力受付手段により前記ユーザ操作が受付けられた際、前記動作検出手段により出力された前記加速度が第1閾値を超えたときを前記ユーザ操作に対応する前記音データの発音開始タイミングとして特定し、前記発音手段による当該音データの発音の開始後、予め定められた判定時間毎に、前記動作検出手段により出力された加速度が第2閾値を超えているか否か判断し、前記第2閾値を超えたと判断された判定時間から次の判定時間までを前記発音期間として特定することとしてもよい。
この構成によれば、ユーザの演奏動作に応じて発音開始タイミングと発音期間を特定することができる。
【0008】
また、上記携帯情報機器において、前記発音制御手段は、前記判定時間内に前記加速度が前記第2閾値を超えた頻度に応じて、前記発音制御処理における前記一定時間間隔を変えて前記発音と発音の停止を指示する前記各指示情報を繰り返し出力することとしてもよい。
この構成によれば、ユーザの演奏動作に応じて、繰り返し発音させる音の速さを変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態に係る携帯電話機2の外観図である。
【図2】第1実施形態に係る携帯電話機2のブロック図である。
【図3】(a)は、第1実施形態におけるハンドベル音データの例を示す図である。(b)は、第1実施形態におけるハンドベル情報のデータ例を示す図である。(c)は、第1実施形態における演奏制御情報のデータ例を示す図である。
【図4】(a)は、第1実施形態におけるキー割り当て情報のデータ例を示す図である。(b)は、第1実施形態における判定条件情報のデータ例を示す図である。
【図5】第1実施形態におけるハンドベル演奏処理を示す動作フロー図である。
【図6】第1実施形態におけるハンドベル演奏制御処理を示す動作フロー図である。
【図7】(a)は、第1実施形態のリング奏法におけるハンドベル音の出力制御を説明する図である。(b)は、第1実施形態のシェイク奏法におけるハンドベル音の出力制御を説明する図である。
【図8】第2実施形態におけるシェイク奏法のハンドベル演奏制御処理を示す動作フロー図である。
【図9】(a)は、第2実施形態のリング奏法におけるハンドベル音の出力制御を説明する図である。(b)は、第2実施形態のシェイク奏法におけるハンドベル音の出力制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の携帯情報機器の一実施形態として携帯電話機を用いて説明する。
<第1実施形態>
<外観>
図1は、本実施形態に係る携帯電話機の外観図である。図1に示すように、本実施形態における携帯電話機2は、上部筐体2a及び下部筐体2bで構成されている。上部筐体2aには、液晶ディスプレイ4とスピーカ6aが設けられており、下部筐体2bには、ユーザ操作を行うための操作ボタン部8とマイク10が設けられている。
【0011】
操作ボタン部8は、カーソルを上下左右に動かす方向キーや決定キー等の操作ボタン群8a、通話機能の際に用いるオンフック及びオフフック用の操作ボタン8b、0〜9までの数字を入力する数字キー群8cなどの各種操作ボタンが設けられている。
【0012】
本実施形態の携帯電話機2は、通話機能やメール送受信機能等のほか、ハンドベルの演奏機能を有しており、ユーザは、上記操作ボタンの押下操作により各機能を切替えることができる。ハンドベルの演奏機能は、携帯電話機2の操作ボタンに設定された1又は複数のハンドベルの音を、ユーザによる操作ボタンの押下操作に応じて出力する機能である。
なお、本実施形態では、数字キー群8cの予め定められた数字キーにハンドベルの音が予め設定されており、ハンドベルの演奏機能が有効であるときに、各数字キーを押下する操作が行われると、その数字キーに設定されているハンドベルの音を出力する。
【0013】
<構成>
次に、携帯電話機2の構成について説明する。図2は、本実施形態における携帯電話機2のブロック図である。図2に示すように、携帯電話機2は、操作部20、音源21、アンプ22、音声出力部23、記憶部24、収音部25、電話通信部26、表示部27、制御部28、及び動作検出部29を含んで構成されている。
【0014】
操作部20は、上述した各種操作ボタンを有し、各種操作ボタンをユーザが指で押下する押下操作や、押下した操作ボタンから指を離して押下操作を終了する押下終了操作等の各ユーザ操作を検知し、検知した各ユーザ操作を示す情報を制御部28へ送出する。
【0015】
音源21は、D/A変換部を有し、制御部28から入力される制御信号に応じて、音信号を生成して出力するものであり、例えばFM(Frequency Modulation)音源やPCM(Pulse Code Modulation)音源等である。音源21は、制御部28からの指示に応じて、後述する記憶部24におけるハンドベルの音高毎の音データ(以下、ハンドベル音データと言う)について音信号を生成して再生する。
なお、本実施形態では、記憶部24にハンドベル音データが記憶されている例について説明するが、音源21において予め設定されたハンドベル音の波形データを合成してハンドベル音の音信号を生成してもよいし、予めハンドベル音を録音した音データを音源21に保持し、その音データに基づいてハンドベル音の音信号を生成するようにしてもよい。
【0016】
アンプ22は、制御部28の制御の下、電話通信時における会話の音声や、音源21によって再生されたハンドベルの音信号の振幅を増幅する。音声出力部23は、受話用のスピーカ6aと、上部筐体2aの背面に設けられている音楽再生用のスピーカ6b(図示略)を有し、アンプ22によって増幅された通話時の会話の音声信号はスピーカ6aにおいて発音し、アンプ22によって増幅されたハンドベルの音信号はスピーカ6bにおいて発音する。
記憶部24は、不揮発性記憶媒体で構成され、携帯電話機2に設けられている各種機能の設定情報や、ユーザによって生成されたユーザデータのほか、ハンドベル演奏機能で用いる、ハンドベル音データとハンドベル情報及び演奏制御情報を記憶する。なお、ハンドベル音データ、ハンドベル情報及び演奏制御情報については後述する。
【0017】
収音部25は、上述のマイク25を有し、電話通信時におけるユーザ等の音声を収音し、収音した音声信号を制御部28に送出する。電話通信部26は、図示しないアンテナを介して移動体通信網の基地局と無線接続を行い、収音部25によって収音された音声信号をA/D変換して送信し、また、基地局を介して受信した音声データをD/A変換した音声信号を音声出力部23から出力する。表示部27は、制御部28の制御の下、待ち受け画面、ハンドベルの設定を行うハンドベル設定画面、ユーザデータ等の各画像を上述のディスプレイ4に表示する。
【0018】
制御部28は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のメモリとを含んで構成されている。CPUは、RAMをワーキングエリアとして、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、制御部28に接続された各部を制御し、通話機能等の通常機能やハンドベル演奏機能を実現する。
【0019】
ハンドベル演奏機能は、ユーザによって押下された数字キー群8cの数字キーに割当てられたハンドベルの音高に応じた音信号を、ユーザの演奏操作態様に応じて発音する演奏制御処理を行う機能である。
この演奏制御処理では、制御部28は、数字キーの押下操作がなされた場合に、ユーザの演奏操作態様、即ち、数字キーを押下した状態で携帯電話機2を左右に振る動作に応じて、数字キーに割当てられたハンドベル音を1回だけ鳴らすリング奏法か、ハンドベルを細かく振ることによりハンドベルの音を連続して鳴らすシェイク奏法かを判定し、判定した奏法に応じてハンドベル音データのノートオン及びノートオフを示す制御信号を音源21に対して出力する処理が含まれている。
【0020】
続いて動作検出部29の構成について説明する。動作検出部29は、携帯電話機2を用いたユーザによる演奏動作、即ち、携帯電話機2を振る動作を検出し、その動作を示す動作情報を出力する機能を有する。本実施形態では、動作検出部29は、3軸の加速度センサ(図示略)を含んで構成されており、加速度センサは携帯電話機2の上部又は下部筐体内に設けられている。加速度センサは、携帯電話機2が左右に振られた場合の予め定められた一方向の加速度を正、その逆方向の加速度を負の値として検出し、検出した加速度の値を動作情報として出力する。なお、本実施形態では、加速度センサを用いて演奏動作を検出するものとするが、速度センサや振動センサなど、一定周期毎の携帯電話機2の運動量が検出できるものであればこれに限らない。
【0021】
<データ>
次に、本実施形態の携帯電話機2において記憶されているデータについて説明する。
図3(a)は、各音高のハンドベル音データの音量の時間的変化を示す波形イメージ図である。各ハンドベル音データ50は、各音高のハンドベルを1回鳴らしたときの波形データを表す波形パラメータであり、音高毎のハンドベル音データとして記憶されている。
【0022】
図3(b)は、音高毎のハンドベル音データを示すハンドベル情報51を示している。例えば、この図において、ハンドベル1は音高「ド」のハンドベル音データ50を示し、ハンドベル2は音高「レ」のハンドベル音データ50を示しており、各ハンドベル情報51は図3(a)のハンドベル音データ50と対応づけられている。
【0023】
図3(c)は、演奏制御情報のデータ例を示している。図3(c)に示すように、演奏制御情報52は、ハンドベル音データに対するノートオン信号及びノートオフ信号を繰り返し出力するための時間間隔を示すノートオンオフ切替時間及びノートオフオン切替時間を記憶している。本実施形態では、ノートオンオフ切替時間及びノートオフオン切替時間は予め記憶されているものとして説明するが、この各切替時間はユーザが任意に設定することができるようにしてもよい。
【0024】
次に、図4(a)は、数字キーに予め割当てられているハンドベル情報を示すキー割当て情報53のデータ例を示している。キー割当て情報53は、各数字キーを示すキー識別情報とハンドベルの音データを示すハンドベル情報とが対応づけられている。この例では、キー識別情報“1”に対応する数字キー「1」にはハンドベル1の音データ、即ち、音高がドのハンドベルの音データが割当てられている。
【0025】
なお、本実施形態では、1〜6の数字キーについてハンドベル1〜6の音データが各々割当てられている例について説明するが、割当てられる数字キー及びハンドベルの音高はこれに限らない。また、ハンドベルの音データを数字キーへ割当てる操作をユーザが任意に行ってもよい。
【0026】
図4(b)は、ハンドベル音データの発音の開始を判定するための発音開始条件とシェイク奏法を判定するためのシェイク奏法判定条件とを含む判定条件情報54を示している。発音開始条件には、発音を開始する条件として、数字キーの押下時に動作検出部29により出力された加速度aが第1閾値a0以上であることが定義されている。従って、数字キーを押下しただけではハンドベル音は発音されず、数字キーを押下しながら加速度a0以上で振る動作を行ったときに押下した数字キーのハンドベル音が発音される。
【0027】
また、シェイク奏法判定条件は、数字キーが押下されてから一定時間(以下、奏法判定時間)内の加速度aが第2閾値a1(a0>a1)以上であればシェイク奏法、a1より小さければリング奏法と判定するための奏法判定条件として用いられると共に、シェイク奏法と判定した場合における発音期間、つまり、ノートオン信号の出力可能期間を判定する連続発音期間判定条件としても用いられる。
シェイク奏法判定条件を連続発音期間判定条件として用いる場合、奏法判定時間の経過から一定時間(以下、発音判定時間)毎にa1以上の加速度aが検出されたか否かを判定し、a1以上の加速度aが検出された発音判定時間から次の発音判定時間までをシェイク奏法による発音期間と判定する。
従って、数字キーを押下しながら携帯電話機2を加速度a1以上で振る動作を行っている間はシェイク奏法による演奏が行われていると判定され、その間は連続したハンドベル音が発音される。
なお、本実施形態では、発音開始条件の加速度の閾値a0とシェイク奏法判定条件の加速度の閾値a1は予め設定されており、また、各閾値はa1<a0の関係であるものとして説明するが、これらの閾値は、ユーザが任意に設定してもよく、また、これらの閾値は、a1=a0、又はa1>a0の関係であってもよい。
【0028】
<動作>
以下、本実施形態における携帯電話機2の動作を説明する。図5は、本実施形態におけるハンドベル演奏処理の動作フローを示している。携帯電話機2の制御部28は、演奏モードを選択するユーザ操作を操作部20を介して受付け(ステップS1:YES)、数字キー群8cのハンドベル音が割当てられた数字キー(1〜6)を押下するユーザ操作を受付けると(ステップS2:YES)、ハンドベル演奏制御処理を行う(ステップS3)。
【0029】
ここで、ハンドベル演奏制御処理の詳細について説明する。図6は、ハンドベル演奏制御処理の動作フロー図を示している。制御部28は、キー割当て情報53を参照し、ステップS2において押下された数字キーに対応するハンドベル情報を記憶部24から読み出すと共に、記憶部24内の発音開始条件を参照し、発音開始タイミングか否か判定する(ステップS11)。つまり、数字キーが押下されたときに動作検出部29により検出された加速度がa0を超えたか否かを判断する。
【0030】
制御部28は、ステップS11において加速度がa0を超えた(a≧a0)と判断した場合には(ステップS11:YES)、ステップS11において読み出したハンドベル情報に対するノートオン信号を音源21へ出力し、音源21によりハンドベル情報に対応する記憶部24内のハンドベル音データの音信号を生成し、生成された音信号をアンプ22において増幅し、増幅した音信号を音声出力部23から出力する(ステップS12)。
【0031】
そして、制御部28は、加速度がa0を超えた後、奏法判定時間内にリング奏法かシェイク奏法かを判定する。具体的には、記憶部24内のシェイク奏法判定条件を参照して、動作検出部29により出力された加速度が第2閾値a1を超えたか否か、即ち、奏法判定時間内にa1以上の加速度が検出されたか否か判断する(ステップS13)。a1以上の加速度が検出されたか否かは、動作検出部29により出力された加速度をRAMに順次記憶し、奏法判定時間内におけるa1以上の各加速度のうち、当該加速度と直前に検出された加速度との差が0以上である加速度があれば、a1以上の加速度が検出されたと判断する。
なお、ステップS11において、加速度がa0を超えていないと判断した場合には(ステップS11:NO)、加速度がa0を超えるまで発音を行わずに待機する。
【0032】
ステップS13において、制御部28は、奏法判定時間内に加速度がa1を超えなかったと判断した場合には(ステップS13:NO)、数字キーの押下終了操作がなされるまで(ステップS14:NO)ノートオン信号を音源21に出力した状態で待機し、数字キーの押下終了操作がなされたときにノートオフ信号を音源21に出力し、音源21は音信号を徐々に減衰させてアンプ22及び音声出力部23へ出力する(ステップS15)。
【0033】
ここで、リング奏法におけるハンドベル音の出力制御のイメージを図7(a)を用いて説明する。同図に示す波形61は、リング奏法によるハンドベル音の出力エンベロープを示し、波形62は、ハンドベル音が割当てられた数字キーの押下操作を示している。また、波形63は、数字キーの押下操作中に動作検出部29により検出された加速度のデータ例を示している。なお、波形61の下方に図示した矢印64a及び64bは、ノートオン信号とノートオフ信号の出力を各々表している。
同図において、ユーザによりタイミングT1で数字キーが押下され、動作検出部29により検出された加速度がa0を超えたタイミングT2を発音開始タイミングとして、当該数字キーに割当てられたハンドベル音データに対するノートオン信号が音源21に出力される。
【0034】
音源21は、ノートオン信号に基づいて当該ハンドベル音データの波形データに基づく音信号を生成し、アンプ22及び音声出力部23を介して当該ハンドベル音データの発音を開始する。そして、制御部28により数字キーの押下終了操作がなされたタイミングT3でノートオフ信号が音源21に出力され、波形61で示すように、音源21によりハンドベルの音が徐々に減衰されて消音される。
このように、リング奏法キーの押下時にノートオン信号64aを出力し、押下終了操作時にノートオフ信号64bを出力することにより、数字キーの押下時間内にハンドベルの音データが1回だけ出力され、リング奏法を行ったようにハンドベルの音が出力される。
【0035】
図6に戻り、ステップS13において、制御部28は、奏法判定時間内にa1以上の加速度が検出されたと判断した場合には(ステップS13:YES)、シェイク奏法によるハンドベルの演奏動作態様であると判定し、シェイク奏法による発音制御処理を行う。
【0036】
制御部28は、加速度がa1を超えた時点から1回目の発音判定時間が経過するまではノートオン信号を出力した状態で待機し(ステップS16:NO)、1回目の発音判定時間が経過したときに(ステップS16:YES)、ステップS12のノートオン信号に対するノートオフ信号を音源21に出力する。音源21は、制御部28からのノートオフ信号に従って出力中の音信号を徐々に減衰してアンプ22及び音声出力部23へ出力する(ステップS17)。これにより、シェイク奏法による1回目のハンドベル音が発音される。
【0037】
続いて、制御部28は、記憶部24から演奏制御情報52を読み出し演奏制御情報52に従って、ステップS11において読み出したハンドベル情報に対するノートオン信号とノートオフ信号を繰り返し音源21に出力する。音源21は、制御部28から逐次出力されるノートオン信号に従って、各信号により指示されたハンドベル情報に対応するハンドベル音の波形データの開始時点T0(図3(a))から一定期間(アタック部分を含む)のハンドベル音データに対する音信号を生成してアンプ22及び音声出力部23へ出力すると共に、制御部28から逐次出力されるノートオフ信号に従って、音信号を徐々に減衰してアンプ22及び音声出力部23へ出力する(ステップS18)。これにより、ハンドベル音が一定時間間隔で連続して出力される。
【0038】
そして、制御部28は、ステップS18の処理と並行して、ステップS16における1回目の発音判定時間の経過時から2回目以降の発音判定時間毎に、加速度がa1を超えなかったか否か、又は、数字キーの押下終了操作がなされたか否か判断する(ステップS19)。
【0039】
ステップS19において、制御部28は、2回目以降の発音判定時間において、加速度がa1を超えていた場合、又は、数字キーの押下終了操作がされなかった場合には(ステップS19:NO)、当該発音判定時間はシェイク奏法による演奏動作が継続中であると判断し、次の発音判定時間までを発音期間としてステップS18の処理を繰り返し行う。即ち、シェイク奏法による演奏動作が継続中であると判断された発音判定時間から次の発音判定時間まではノートオン信号が出力可能であり、ノートオン及びノートオフ信号を音源21に対して繰り返し出力する。
【0040】
また、制御部28は、2回目以降の発音判定時間において加速度がa1を超えなかった場合、又は、数字キーの押下終了操作がなされた場合には(ステップS19:YES)、当該発音判定時間においてシェイク奏法による演奏動作が終了したものと判断し、その発音判定時間の経過時からノートオン信号を音源21へ出力しないよう制御する。
【0041】
そして、制御部28は、当該発音判定時間の経過前のノートオン信号が出力された状態である場合には(ステップS20:YES)、演奏制御情報のノートオンオフ切替時間に従ってノートオフ信号を音源21に出力し、音源21は、制御部28からのノートオフ信号に従って音信号を徐々に減衰してアンプ22及び音声出力部23へ出力する(ステップS21)。また、制御部28は、当該発音判定時間の経過前のノートオン信号が出力された状態でなければ(ステップS20:NO)、演奏制御処理を終了する。
【0042】
ここで、シェイク奏法におけるハンドベル音の出力制御のイメージを図7(b)を用いて説明する。同図に示す波形71はシェイク奏法によるハンドベル音の出力エンベロープを示しており、波形72は、ハンドベル音が割当てられた数字キーの押下操作を示している。また、波形73は、数字キーの押下操作中に動作検出部29により検出された加速度のデータ例を示している。
【0043】
ユーザによりタイミングT1で数字キーが押下され、動作検出部29により検出された加速度がa0を超えたタイミングT2を発音開始タイミングとして、当該数字キーに割当てられたハンドベル音データに対するノートオン信号が音源21に出力される。そして、タイミングT2から最初の発音判定時間Δtの経過時点T3で1回目のノートオン信号に対するノートオフ信号が出力される。これにより、1回目のハンドベル音の発音が終了する。
【0044】
続いて、図7(b)の波形73の黒丸で示すように、T2〜T7の各発音判定時間において、加速度がa1を超えているので、T2からT8の期間はハンドベル音の発音期間と判定され、ノートオン信号64a及びノートオフ信号64bが、ノートオンオフ切替時間t11及びノートオフオン切替時間t12に従って繰り返し出力される。これにより、2回目以降のハンドベル音が繰り返し発音される。
【0045】
このように、本実施形態では、5回目の発音判定時間T6〜T7までは加速度がa1を超えているので、6回目の発音判定時間の終了時点T8までをゲートタイムとして、ノートオン信号及びノートオフ信号が繰り返し出力される。即ち、n回目の発音判定時間においてシェイク奏法の演奏動作が継続していると判定された場合には、n+1回目の発音判定時間が終了するまでをゲートタイムとみなしてノートオン信号を出力する。その結果、図7(b)に示すように、T7においてシェイク奏法の演奏動作が終了している場合でも、T7〜T8の期間までハンドベル音が発音される。
そして、6回目の発音判定時間T7〜T8の間は加速度がa1を超えていないので、T8のタイミング以降はノートオン信号を出力しないように制御する。また、T8を経過する時点でノートオン状態である場合には、演奏制御情報に従ってノートオフ信号を出力することで、発音されているハンドベル音のエンベロープのリリース部に向かって消音される。
【0046】
ハンドベル演奏制御処理は以上の通りである。図5に戻り、制御部28は、操作部20を介して演奏モードを解除するユーザ操作を受付けるまで(ステップS4:NO)、ステップS2及びステップS3の処理を繰り返し行い、演奏モードを解除するユーザ操作を受付けたときに(ステップS4:YES)、ハンドベルの演奏処理を終了して通常モードに移行する。
【0047】
なお、ステップS1において、制御部28は、演奏モードを選択するユーザ操作を操作部20を介して受付けなければ(ステップS1:NO)、ユーザ操作に応じて通常モードの処理を行い、ステップS2において、数字キー以外の操作ボタンの押下操作を示す情報を操作部20から受付けた場合には(ステップS2:NO)、上記ステップS4の演奏モードが解除されたか否かの判断を行い、判断結果に応じて上述した各処理を行う。
【0048】
本実施形態では、携帯電話機2の数字キーを押下した状態で携帯電話機2を振るという簡易な操作により、リング奏法又はシェイク奏法の各ハンドベル音が各々発音される。また、ユーザが携帯電話機2を押下して振る動作を行ったタイミングでハンドベル音の発音を開始すると共に、その後、押下した状態で振る動作を継続している時間内をシェイク奏法の演奏動作が継続していると判断し、その時間内とその時間から一定時間内において一定時間間隔で繰り返しハンドベル音を発音することができる。即ち、押下時における加速度を発音タイミングのトリガとして用いると共に、発音後の加速度をシェイク奏法による発音期間の判定に用い、その発音期間は一定間隔でハンドベル音を連続して発音させることができる。従って、シェイク奏法の演奏期間をユーザの演奏動作に応じて判定することができると共に、実際にシェイク奏法でハンドベル演奏を行っているように一定の連続したハンドベル音を発音させることができる。
【0049】
<第2実施形態>
次に、第1実施形態の携帯電話機2と同じ構成を備えた携帯電話機を用いて、第1実施形態とは異なるシェイク奏法による演奏制御処理を行う例について説明する。なお、本実施形態における携帯電話機は第1実施形態と同様であるため、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成は同一の符号を用い、第1実施形態と異なる処理について説明を行う。
【0050】
図8は、本実施形態のシェイク奏法による演奏制御処理を示す動作フローである。以下、第1実施形態で用いた図5の処理は本実施形態と同様であるため説明を省略し、図8に即して演奏制御処理の説明を行う。なお、以下の説明では、制御部28は、キー割当て情報53を参照し、ステップS2において押下された数字キーに対応するハンドベル情報を記憶部24から読み出し、数字キーがユーザによって押下された後、動作検出部29により正の加速度が最初に検出されているものとして説明する。
【0051】
制御部28は、数字キーが押下された後、動作検出部29によって検出された加速度が0より大きい加速度であるので(ステップS31:YES)、ノートオン信号を音源21へ出力し、音源21によりハンドベル情報に対応する記憶部24内のハンドベル音データの音信号を生成し、生成された音信号をアンプ22において増幅し、増幅した音信号を音声出力部23から出力する(ステップS32)。なお、制御部28は、ステップS31において、動作検出部29により0より大きい加速度が検出されるまで待機する(ステップS31:NO)。
【0052】
そして、制御部28は、その後、動作検出部29によって出力された加速度が負に変化した場合には(ステップS33:YES)、続いて、動作検出部29によって出力された加速度が正に変化したか否か判断する(ステップS34)。即ち、制御部28は、動作検出部29から出力された加速度をRAMに順次記憶し、加速度が0になる毎に、その加速度の前後における加速度の正負を判断することにより、加速度の正負の変化を判断する。なお、ステップS33において、制御部28は、動作検出部29によって出力された加速度が負に変化しなかった場合には(ステップS33:NO)、ノートオン信号を出力した状態で待機する。
【0053】
そして、ステップS34において、制御部28は、加速度が正に変化していないと判断した場合には(ステップS34:NO)、リング奏法であると判断する。続いて、制御部28は、数字キーの押下終了操作がなされるまでノートオン信号を出力した状態で待機し(ステップS35:NO)、数字キーの押下終了操作がなされたときに(ステップS35:YES)、ステップS32に対するノートオフ信号を音源21に出力する。音源21は、ノートオフ信号に従って、音信号を徐々に減衰させてアンプ22及び音声出力部23へ出力する(ステップS36)。これにより、リング奏法によるハンドベル音が1回だけ出力される。
【0054】
ここで、図9を用いて、本実施形態のリング奏法によるハンドベル音の出力制御について説明する。図9(a)は、リング奏法によるハンドベル音の出力制御を表す図であり、この図において、波形81及び波形82は、本実施形態におけるリング奏法出力エンベロープと数字キーの押下操作を表し、波形83は加速度データ例を表している。
なお、同図の±a3は、加速度の波形83において、−a3〜+a3の範囲内の加速度を0に近似するための閾値である。
【0055】
この図の例では、数字キーが押下され、加速度が0以上であるT1のタイミングを発音開始タイミングとしてノートオン信号が出力される。その後、加速度が正から負へ変化し、T2のタイミングで加速度が負から正へ変化せず0に収束しているため、この時点で、1回だけ携帯電話機2を左右に振る動作を行ったリング奏法であると判断される(ステップS33:YES,S34:NO)。そして、T3のタイミングで数字キーの押下操作が終了されているため、T3のタイミングでノートオフ信号が出力される。これにより、T1〜T3の間にリング奏法によるハンドベル音が1回だけ発音される。
【0056】
図8に戻り、動作の説明を続ける。ステップS34において、制御部28は、加速度の符号が正に変化したと判断した場合には(ステップS34:YES)、シェイク奏法であると判断し、ステップS32に対するノートオフ信号を音源21に出力し、音源21は、ノートオフ信号に従って音信号を徐々に減衰させてアンプ22及び音声出力部23へ出力する(ステップS37)。
【0057】
続いて、制御部28は、記憶部24から演奏制御情報52を読み出し、演奏制御情報52に従って、ステップS31において読み出したハンドベル情報に対するノートオン信号とノートオフ信号を音源21に繰り返し出力する。音源21は、制御部28から逐次出力されるノートオン信号に従って、各信号により指示されたハンドベル情報に対応するハンドベル音の波形データの開始時点T0(図3(a))から一定期間(アタック部分を含む)のハンドベル音データに対する音信号を生成してアンプ22及び音声出力部23へ出力し、また、制御部28から逐次出力されるノートオフ信号に従って音信号を徐々に減衰してアンプ22及び音声出力部23へ出力する(ステップS38)。
【0058】
制御部28は、ステップS38の処理と並行して、動作検出部29によって出力される加速度が正・負を繰り返して変化しているか否かを、加速度が0になる毎に判断する(ステップS39)。制御部28は、加速度が正負を繰り返して変化していると判断した場合には、その判断時まではシェイク奏法による演奏動作が継続されているものと判断して、次の判断時までを発音期間としてステップS38の処理を継続する (ステップS39:YES)。
【0059】
また、制御部28は、動作検出部29によって正と負の加速度が繰り返し検出されなかった場合には(ステップS39:NO)、シェイク奏法による演奏動作が終了したと判断し、当該判断時点においてノートオン信号が出力されている状態であるか否か判断する(ステップS40)。
【0060】
ステップS40において、制御部28は、ノートオン信号が出力されている状態であると判断した場合には(ステップS40:YES)、演奏制御情報52に従って、出力中のノートオン信号に対するノートオフ信号を音源21に出力し、音源21により音信号を徐々に減衰させてアンプ22及び音声出力部23へ出力する(ステップS41)。
また、制御部28は、ノートオン信号が出力されている状態でないと判断した場合には(ステップS40:NO)、演奏制御処理を終了する。
【0061】
ここで、図9(b)を用いて、本実施形態のシェイク奏法によるハンドベル音の出力制御について説明する。図9(b)は、シェイク奏法によるハンドベル音の出力制御を表す図であり、この図において、波形91及び波形92は、本実施形態におけるシェイク奏法出力エンベロープと数字キーの押下操作を表し、波形93は加速度データ例を表している。
【0062】
図9(b)に示すように、リング奏法の場合と同様、数字キーが押下され、加速度が0以上であるT1のタイミングを発音開始タイミングとしてノートオン信号が出力される。その後、加速度が正から負へ変化し、T2のタイミングで加速度が負から正へ変化しているため、この時点で、携帯電話機2を2回以上左右に振る動作を行ったシェイク奏法であると判断される(ステップS34:YES)。
【0063】
そして、T3までは正負の加速度が繰り返し検出されているため、T1〜T3までは連続したハンドベル音が発音される。T3の時点において、負から正へ加速度が変化せずに0に収束しているため、この判断時点においてシェイク奏法の演奏動作が終了したものと判断してT3以降はノートオン信号を出力しない。なお、この例では、T3の時点でノートオン状態ではないためシェイク奏法による演奏制御処理を終了する。
【0064】
上述した実施形態では、リング奏法かシェイク奏法かの判断と、シェイク奏法による演奏動作が継続しているか否かの判断を、加速度の正負に基づいて判断することができる。そのため、加速度の正負の判断時において演奏動作が継続していないと判断した場合には、その時点以降はノートオン信号を出力しないように制御することができ、第1実施形態のように、ユーザの演奏動作が終了してから一定時間内は音が鳴るということはなく、ユーザの演奏動作と発音とのズレを低減させることができる。
【0065】
なお、上述した実施形態では、最初に正の加速度を検出した例について説明したが、負の加速度を検出した場合には、図8のステップS33の処理を行わずに、ステップS34において負の加速度を検出したか否かを判断すればよい。そして、負の加速度を検出した場合には、加速度が負→正→負に変化することになるので、シェイク奏法と判断してステップS37以下の処理を行う。また、負の加速度を検出しなかった場合には、加速度が負→正に変化することになるので、リング奏法と判断してステップS35以下の処理を行うようにすればよい。
【0066】
<変形例>
本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよく、各変形例を組み合わせて実施してもよい。以下、本発明に係る実施形態の変形例について説明する。
【0067】
(1)上述した第1実施形態では、発音開始条件を判定した後の一定時間毎の加速度が閾値a1を超えていればシェイク奏法の発音期間と判定し、シェイク奏法による発音制御を継続して行う例であったが、一定時間毎の加速度が閾値以上である場合に、その一定時間内に閾値を超えた頻度に応じて演奏制御情報52、即ち、ノートオンオフ切替時間及びノートオフオン切替時間を変更するようにしてもよい。具体的には、一定時間内の閾値を超えた頻度が予め設定された閾値以上であれば、ノートオンオフ切替時間t11とノートオフオン切替時間t12を短くしたり、一定時間内の閾値を超えた頻度が予め設定された値より小さければ、ノートオンオフ切替時間t11とノートオフオン切替時間t12を長くするなど、携帯電話機2が振られる強さや速度に応じて連続して発音する発音間隔を変化させる。なお、この場合には、閾値を超えた頻度に応じて演奏制御情報の各時間を変更する制御情報を予め記憶部24に記憶しておく。
【0068】
(2)また、上述した第1実施形態では、携帯電話機2の数字キーにハンドベルの音高が割当てられている例について説明したが、ハンドベルの各音高のリング奏法及びシェイク奏法が数字キーに割当てられていてもよい。この場合には、奏法毎にハンドベル音が数字キーに割当てられているため、図6のステップS13で説明したようにリング奏法かシェイク奏法かを判定する必要がない。そのため、この場合には、キー割当て情報53として、各数字キーに対応するハンドベル情報以外に当該数字キーに割当てられている奏法を示す情報を予め設定する。そして、押下された数字キーがリング奏法を割当てた数字キーであれば、図6のステップS13(リング奏法かシェイク奏法かを判断する処理)を除く、ステップS11、14、15の処理を行い、シェイク奏法を割当てた数字キーであれば、ステップS11、12、S16〜S21の処理を行うことで、各奏法に応じたハンドベル音を出力することができる。
【0069】
(3)また、上述した第1実施形態では、図6の動作フローにおいて、リング奏法によるノートオフ信号の出力を数字キーの押下終了操作に応じて行う例(ステップS13〜S15)について説明したが、ノートオン信号の出力後、予め設定された時間経過後にノートオフ信号を出力してハンドベル音の発音を停止し、数字キーが押下されている状態であれば、押下終了操作がなされるまで発音開始条件の判定(図6のステップS11以下)を行うようにしてもよい。この場合には、演奏制御情報52として、リング奏法の場合におけるノートオンオフ切替時間を予め設定しておく。このように構成することにより、ユーザは、数字キーの押下終了操作を行うことなく、リング奏法によるハンドベル音の発音を繰り返し行うことができ、また、同一数字キーのハンドベル音に対するリング奏法からシェイク奏法の切替えを容易に行うことができる。
【0070】
(4)また、上述した第1実施形態では、正の第1閾値及び第2閾値を設定する例であったが、正負の各閾値を設定するようにしてもよいし、加速度データを絶対値に変換して正の各閾値を設定するようにしてもよい。
【0071】
(5)また、上述した第2実施形態では、加速度を0に近似する閾値として±a3を予め設定しているものとして説明したが、正又は負の一方だけに閾値を設けてもよいし、正と負で異なる閾値を設定するようにしてもよい。
【0072】
(6)また、上述した第2実施形態では、図9(b)において、数字キーが押下されたタイミングT1でノートオン信号が音源21に出力され、加速度が正→負に変化した後の加速度が0となるタイミングT2でノートオフ信号が音源21に出力されるものとして説明したが、T1からT2までの時間間隔が予め設定した一定時間より短い場合には、当該一定時間の経過時にノートオフ信号を音源21へ出力するようにしてもよい。T1からT2までの時間間隔が短い場合には、適切な長さのハンドベル音を発音することができないため、上記のように構成することにより、適切な長さのハンドベル音を発音させることができる。
【0073】
(7)また、上述した第1及び第2実施形態では、携帯電話機2の数字キーにハンドベルを割当てる例について説明したが、数字キー以外の他の操作ボタンにハンドベルの音の割当てを行うようにしてもよい。また、携帯電話機2に一の音データのみを予め記憶させておき、操作ボタンの押下を行うことなく携帯電話機2を振る動作だけでリング奏法又はシェイク奏法による音データを出力するよう制御してもよい。なお、この場合のリング奏法におけるノートオフ信号の出力タイミング、及び、シェイク奏法における最後のノートオン信号に対するノートオフ信号の出力タイミングは、例えば、ノートオン信号の出力時から予め設定された時間の経過時を出力タイミングとしてもよいし、いずれかの操作ボタンが押下されたタイミングをノートオフ信号の出力タイミングとしてもよい。
【0074】
(8)上述した第1及び第2実施形態では、携帯情報機器として携帯電話機2を用いて説明したが、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯情報端末、ゲーム機、電子辞書など、ユーザが手に持つことができる携帯情報機器であればこれに限らない。
【0075】
(9)上述した第1及び第2実施形態及び変形例における制御部28によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネットなどの通信手段を用いて携帯電話機2にダウンロードさせることも可能である。
【0076】
(10)また、上述した第1及び第2実施形態では、数字キーにハンドベルの音高を設定する例であったが、ハンドベル以外のマラカスやタンバリン等の打楽器等の楽器音を割当てるようにしてもよい。
【0077】
(11)また、上述した第1及び第2実施形態のシェイク奏法の発音制御において、各ハンドベル音の波形データにおける開始時点からアタック部分を含む一定期間分のデータを繰り返し出力する例について説明したが、各ハンドベル音の波形データにおける任意の一定期間分のデータを繰り返し出力してもよいし、繰り返し出力する毎に波形データにおける発音対象のデータの開始時を変動させ、その開始時から一定期間分のデータを出力してもよい。
【符号の説明】
【0078】
2・・・携帯電話機、4・・・ディスプレイ、6a,6b・・・スピーカ、8・・・操作ボタン部、8c・・・数字キー、10・・・マイク、20・・・操作部、21・・・音源、22・・・アンプ、23・・・音声出力部、24・・・記憶部、25・・・収音部、26・・・電話通信部、27・・・表示部、28・・・制御部、29・・・動作検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた楽器音の音データを記憶する記憶手段と、
自装置に対するユーザの演奏動作を検出し、検出した演奏動作を示す動作情報を出力する動作検出手段と、
前記動作検出手段により出力された動作情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記音データの発音期間を特定し、当該発音期間内において、当該音データの発音及び発音の停止を予め設定された一定時間間隔で繰り返し行う発音制御部と
を備えることを特徴とする携帯情報機器。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記楽器音の1又は複数の音データを記憶し、
前記動作検出手段は、前記動作情報として、自装置の加速度を検出して出力し、
前記音データが割当てられた入力操作部を有し、ユーザ操作を受付ける入力受付手段を備え、
前記発音制御部は、前記入力受付手段により前記入力操作部に対する前記ユーザ操作が受付けられた際、前記動作検出手段により順次出力される加速度の正負に応じて、当該ユーザ操作に対応する前記音データの発音開始タイミングと発音期間を特定し、当該発音期間内において当該音データの発音及び発音の停止を予め設定された一定時間間隔で繰り返し指示する前記指示情報を前記発音手段に出力することを特徴とする請求項1記載の携帯情報機器。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記楽器音の1又は複数の音データを記憶し、
前記動作検出手段は、前記動作情報として、自装置の加速度を検出して出力し、
前記音データが割当てられた入力操作部を有し、ユーザ操作を受付ける入力受付手段を備え、
前記発音制御部は、前記入力受付手段により前記ユーザ操作が受付けられた際、前記動作検出手段により出力された前記加速度が第1閾値を超えたときを前記ユーザ操作に対応する前記音データの発音開始タイミングとして特定し、前記発音手段による当該音データの発音の開始後、予め定められた判定時間毎に、前記動作検出手段により出力された加速度が第2閾値を超えているか否か判断し、前記第2閾値を超えたと判断された判定時間から次の判定時間までを前記発音期間として特定することを特徴とする請求項1記載の携帯情報機器。
【請求項4】
前記発音制御手段は、前記判定時間内に前記加速度が前記第2閾値を超えた頻度に応じて、前記発音制御処理における前記一定時間間隔を変えて前記発音と発音の停止を指示する前記各指示情報を繰り返し出力することを特徴とする請求項3記載の携帯情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−53321(P2011−53321A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200273(P2009−200273)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】