説明

携帯機器

【課題】像ブレ補正機能付きのカメラモジュールが筐体内部に搭載されそのカメラモジュールが誤動作することのない携帯機器を提供する。
【解決手段】磁気検出素子であるホール素子を備えたカメラモジュール200を、磁気発生部品である受話口102のスピーカとの間に液晶ディスプレイ101を挟むとともに、バイブレータvibとの間にプッシュボタン105を挟み、さらに上側の筐体100Aと下側の筐体100Bが折畳まれて重畳されたときの重畳状態を検出するためのマグネットMg1との間に選択ボタン104を挟む。これらのことによりカメラモジュール200が備える磁気検出素子であるホール素子を、上記スピーカ、上記バイブレータ、上記マグネットから少なくとも10mm以上離れた位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールと該カメラモジュールとは別体の磁気発生部品とを備えた携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラ等には、ユーザの手ブレ等による撮影画像の乱れを抑制するために、各種の手ブレ補正機構が採用されている(特許文献1、2、3参照)。
【0003】
このような手ブレ補正機構としては、撮影用のレンズが保持された保持モジュールがピッチング方向とヨーイング方向とに回動自在となる様に、所謂ジンバル機構と呼ばれる方式を採用するものがある。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているようなジンバル機構の場合、自由回転する回転継手等を保持モジュールの上下左右の4箇所に配置する必要があることから、どうしても手ブレ補正機構が大型化する傾向にあり、また無理に小型化を図ろうとすると、上記回転継手の軸受け部等が脆弱化してしまうという不都合がある。
【0005】
そこで、保持モジュールの外周沿いの一点である軸点を揺動自在に支持するとともに、その保持モジュールの外周沿いの、上記軸点から互いに異なる第1の方向および第2の方向それぞれに離れた第1の駆動点および第2の駆動点それぞれを介して上記保持モジュールを駆動する駆動構造が本出願人により出願され、特願2006−269712号、特願2006−269713号、特願2006−269714号、特願2006−269715号等、未公開出願として提案されている。さらに本出願人は、これら先願にさらなる改良を加えて保持モジュールが揺動しているときの保持モジュールの位置検出精度を高めることを目的とした技術を特願2007−035341号の像ブレ補正ユニットとして提案している。これらの出願で提案されている駆動構造が実現すると、像ブレ補正機能を有していても小型のカメラモジュールが製作されるようになってそのカメラモジュールの、小型の携帯機器への搭載が可能になる。
【0006】
ここでそのカメラモジュールの作用を簡単に説明しておく。
【0007】
図10は、上記カメラモジュールの作用を説明する図である。
【0008】
図10(a)、図10(b)には、通常の撮影装置で撮影を行なっている最中に手ブレが発生したときに、レンズとセンサとの位置関係にどのような不具合が発生するかが示されており、図10(c)には、像ブレ補正機能を備えるカメラモジュールによってそのブレがどのように補正されるかが示されている。
【0009】
図10(a)に示す様に手ブレが発生しない場合には、上記カメラモジュールが搭載されていなくても、レンズの光軸とセンサの受光面(センサ面)の光軸とが互いに一致して正しい位置に被写体光が結像する。これに対して、図10(b)に示す様に像ブレ補正機能が付いていない場合には手ブレが発生するとレンズやセンサ面が矢印の方向に回転してレンズの光軸とセンサ面の光軸とがずれて正しい位置に被写体光が結像しなくなる。
【0010】
そこで手ブレ補正機能付きのカメラモジュールを携帯機器に搭載して撮影時に手ブレが発生したときには図10(c)に示す様にカメラモジュールをジャイロとして動作させることによって、携帯機器が回転したとしてもカメラモジュールが逆方向に回転して被写体光が常にセンサ面の正しい位置に結像するようにしている。このように像ブレ補正機能付きのカメラモジュールを携帯機器に搭載すると、携帯機器が撮影操作により回転したとしてもカメラモジュールの姿勢はいつでも撮影操作直前の姿勢に保たれて好適な撮影が行なわれる。
【0011】
ところで、最近の携帯機器においては更なる小型薄型化が求められており、その更なる小型薄型化された携帯機器であっても上記カメラモジュール以外に様々な電子部品が搭載される。この様々な電子部品の中にはスピーカ等の磁気発生素子等がある。一方、上記カメラモジュールには、像ブレを補正するための可動部の位置を検出するための磁気検出素子であるホール素子が配備されている。
【0012】
このため、上記カメラモジュールが携帯機器内部に搭載されるときにもしも上記スピーカ等の近くに上記カメラモジュールが搭載されると、上記ホール素子がスピーカ等の磁気発生素子からの磁力の影響を受けて誤動作してしまう恐れが出てくる。
【0013】
これを回避するためには例えばシールドを施すことが考えられるが、そうすると部品点数が増大するとともにシールドを配設するスペースが必要になり、これらのことが携帯機器を小型化する上において妨げになってしまう。
【特許文献1】特開平7−274056号公報
【特許文献2】特開2005−326807号公報
【特許文献3】特許第2612371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記事情に鑑み、像ブレ補正機能付きのカメラモジュールが筐体内部に搭載され、そのカメラモジュールが誤動作することのない携帯機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための本発明の第1の携帯機器は、
カメラモジュールとそのカメラモジュールとは別体の磁気発生部品とを備えた携帯機器において、
上記カメラモジュールが手ブレを補正するための可動部と、その可動部の位置を検出する磁気検出素子とを備え、
上記磁気発生部品が、上記カメラモジュールが撮影状態にあるときに、上記磁気検出素子から少なくとも(磁気発生部品の磁力[ガウス])1/2mm以上離れた位置に配置されたものであることを特徴とする。
【0016】
上記第1の携帯機器によれば、上記カメラモジュールが撮影状態にあるときに、上記磁気検出素子から少なくとも(磁気発生部品の磁力[ガウス])1/2mm以上離れた位置に磁気発生部品が配置され、磁気検出素子への磁力の影響が抑制され、カメラモジュールが備える磁気検出素子が誤動作することが抑制される。
【0017】
上記磁気発生部品は、スピーカであっても良い。
【0018】
例えば、携帯機器である携帯電話機等には、上記磁気発生部品として受話口にスピーカが備えられているので、上記カメラモジュールとそのカメラモジュールとは別体の磁気発生部品である上記スピーカとが(磁気発生部品の磁力[ガウス])1/2mm以上離れた位置に配置されると良い。
【0019】
本出願人が行った実験によれば、携帯機器に搭載されるスピーカの磁力は100ガウス程度であり、そのスピーカのマグネットから(100[ガウス])1/2=10mm以上離したところに上記カメラモジュールが搭載されると、カメラモジュール内の磁気検出素子には影響がないことが確認されている。このスピーカーが備えるマグネットが放つ磁力が携帯機器が備える磁気発生素子の中では最も大きいことが多い。
【0020】
つまり、スピーカの磁力が100ガウスであった場合には、磁気検出素子であるホール素子を備えたカメラモジュールを磁気発生素子であるスピーカから10mm以上離すとカメラモジュールの確実な動作が保証されることになる。
【0021】
また、上記カメラモジュールと上記スピーカとの間の位置に配置された、情報を表示する液晶ディスプレイを備える構成にしても良い。
【0022】
上記液晶ディスプレイの大きさは10mmを超えるものが多いので上記カメラモジュールと上記スピーカとの間に上記液晶ディスプレイを挟むことで上記10mm以上の距離は自然と確保される。
【0023】
また、当該携帯機器は、複数の筐体からなり、不使用時には複数の筐体を重畳させ使用時には該複数の筐体を重畳状態から解放する携帯機器であって、その複数の筐体の重畳を検出するマグネットとそのマグネットからの磁気を検出する磁気センサとを備え、上記磁気発生部品は上記マグネットであっても良い。
【0024】
その場合には、そのマグネットから10mmの距離を隔てた位置に上記カメラモジュールを搭載することになる。
【0025】
また、上記目的を達成する本発明の第2の携帯機器は、複数のカメラモジュールを備えた携帯機器において、
上記複数のカメラモジュールのうちの第1のカメラモジュールは、可動部を持たないカメラモジュールであり、
上記複数のカメラモジュールのうちの第2のカメラモジュールは、手ブレを補正するための可動部と、その可動部の位置を検出する磁気検出素子とを備えたカメラモジュールであって、
当該携帯機器は、上記第1のカメラモジュールに隣接した位置に配置されたスピーカを備え、
上記第2のカメラモジュールは、その第2のカメラモジュールに備えられた磁気検出素子が、上記スピーカから少なくとも10mm以上離れた位置に配置されていることを特徴とする。
【0026】
上記本発明の第2の携帯機器においては、上記第1のカメラモジュールには可動部が備えておらず、上記第2のカメラモジュールには、可動部が備えられ、上記磁気検出素子が備えられている。
【0027】
そこで、上記第1のカメラモジュールを上記スピーカに隣接して配置し上記第2のカメラモジュールをそのスピーカから少なくとも10mm以上離れた位置に配置すると、携帯機器内部に上記第1のカメラモジュールと上記第2のカメラモジュールとの双方をコンパクトに収納することが可能となる。
【0028】
ここで上記第2のカメラモジュールは、上記スピーカとの間の位置に配置された、情報を表示する液晶ディスプレイを備えていることが好ましい。
【0029】
そうすると、上記第2のカメラモジュールと上記スピーカとの間に上記液晶ディスプレイが配置され、カメラモジュールに対する、スピーカからの磁力の影響が確実に排除される。
【0030】
上記目的を達成する本発明の第3の携帯機器によれば、上記カメラモジュールを備えた携帯機器において、
上記カメラモジュールは、手ブレを補正するための可動部と、その可動部の位置を検出する磁気検出素子とを備えたものであって、
当該携帯機器が、さらに、
スピーカを備えるとともに、
上記カメラモジュールを、上記スピーカとの間の位置に配置された、情報を表示する液晶ディスプレイを備えたことを特徴とする。
【0031】
上記第3の携帯機器によれば、手ブレを補正するための可動部とその可動部の位置を検出する磁気検出素子とを備えたカメラモジュールと上記スピーカとの間に液晶ディスプレイが配備されることによって磁気発生素子であるスピーカと磁気検出素子を備えるカメラモジュールとの間に10mm以上の距離が確保される。このため、カメラモジュールの確実な動作が保証される。
【0032】
また、当該携帯機器は携帯電話であっても良い。
【0033】
最近の携帯電話にはほとんどカメラモジュールが備えられ、その携帯電話には、受話口にスピーカが備えられている。
【0034】
そこでその携帯電話の受話口との間に上記液晶ディスプレイが配置されるようにカメラモジュールを搭載することで、磁気発生素子であるスピーカと磁気検出素子を備えるカメラモジュールの間に10mm以上の距離を確保してカメラモジュールが確実に動作するようにすると良い。
【発明の効果】
【0035】
以上説明した様に、像ブレ補正機能付きのカメラモジュールが小型の筐体内部に搭載されそのカメラモジュールが誤動作することのない携帯機器が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態が適用された携帯電話の外観斜視図である。
【0038】
図1(a)には、携帯電話100の前面図が示されている。携帯電話100の前面には、メニュー画面や、撮影画像などが表示される液晶パネル101、内部にスピーカ(図2参照)が配備されスピーカから発せられる音声を空間に放つための受話口102、各種機能の選択や、撮影を行う際のシャッタボタンとして使用される選択ボタン104、電話番号を入力するためのプッシュボタン105、内部にマイクロフォン(図3参照)が配備され、声をマイクロフォンに伝えるための送話口106、ユーザが入力した電話番号などを確定する確定ボタン107、電源ボタン108、および電話局を介さずに、近距離用の無線通信によって画像やアドレス情報などを送受信するための第2アンテナ109aが備えられている。また、本発明にいう磁気発生素子として上記スピーカ102のほかにマナーモード用のバイブレータVibと、折畳み自在の上側の筐体100Aと下側の筐体100Bとが折畳まれたときの重畳状態を検出するためのマグネットMg1が備えられている。図1からも分かるように本実施形態の携帯電話は折畳み自在のものであるので、上側の筐体100Aが下側の筐体100Bに重畳されたときにはそのマグネットMg1によって下側の筐体100Bの内部の磁気センサSENに磁力が与えられることにより上側と下側の筐体どうしが重畳されたことがその磁気センサSENによって検出される構成になっている。
【0039】
また図1(B)には、携帯電話100の背面図が示されている。携帯電話100の背面には、電話局を介して音声やメールなどのデータを送受信するための第1アンテナ103a(このアンテナ103も本発明にいう磁気発生素子に相当する)や撮影レンズ100aが配備されている。この撮影レンズ100aは、後述する像ブレ補正ユニットに保持されている。
【0040】
つまり、図1の携帯電話100は、本発明にいう携帯機器の一例であって、その携帯電話が、本発明にいうスピーカを有する受話口102を備えるとともに、カメラモジュール200と、その受話口102との間の位置に配置された、情報を表示する液晶ディスプレイ101を備えているということになる。
【0041】
図2は、図1の携帯電話100の内部構成を示すブロック図である。
【0042】
携帯電話100の内部には、カメラモジュール200、A/D(Analog/Degital)変換部113、マイクロフォン106、スピーカ102、インタフェース部120、第1アンテナ103a、第1送受信部103、入力コントローラ130、画像信号処理部140、ビデオエンコーダ150、画像表示装置160、第2アンテナ109a、第2送受信部109、メモリ170、CPU180、メディアコントローラ190、、バイブレータVib、磁気センサSENおよび図1に示す選択ボタン104やプッシュボタン105などといった各種スイッチ181が具備されており、さらに、記録メディア190aが接続されている。本実施形態においては、カメラモジュール200、ジャイロセンサ182、カメラモジュール200が備える保持モジュール(後述する)を駆動するための2つのドライバDR1,DR2(後述する)とで本発明にいうカメラモジュールの一例が構成される。
【0043】
CPU180は、図2に示す携帯電話100の各種要素に処理の指示を伝えて、各種要素を制御する。例えば、撮影を行う撮影モードが設定された状態で図1の選択ボタン104が押下されると、CPU180からカメラモジュール200が備えるCCD112に指示が与えられるとともに、ジャイロセンサ182により検出された手ブレを打ち消す方向にカメラモジュール200が備える保持モジュール(後述)を揺動させるようにドライバDR1,DR2に指示が与えられて手ブレが補正されつつ撮影が行なわれる。このカメラモジュール200の構成については、後で詳しく説明する。
【0044】
図1(A)の選択ボタン104が押下されたことを受けてCPU180はカメラモジュール200内のCCD112に電子シャッタを設定して撮影処理を開始させる。
【0045】
このときには選択ボタン104が押下されたときの手ブレの方向がジャイロセンサ182で検出されCPU180に通知される。CPU180は、そのジャイロセンサ182の検出結果を受けてドライバDR1,DR2に補正方向を通知し、ドライバDR1,DR2に像ブレ補正ユニット200内のコイル(後述する)を駆動させカメラモジュール200内の保持モジュール(後述する)をブレに応じて揺動させながら撮影を実施させる。こうして選択ボタン104が押されたときの手ブレが補正されてCCD112にブレなく被写体光が結像される。
【0046】
そしてCCD112は、撮影レンズ100aを通ってきた被写体光を電子シャッタのシャッタ秒時の間中受光して、被写体光に基づく被写体像をアナログ信号である被写体信号として読み取る。そのCCD112で生成された被写体信号は、A/D変換部113でデジタルの撮影画像データに変換され、変換後の撮影画像データは、入力コントローラ130を介して画像信号処理部140に送られる。
【0047】
画像信号処理部140では、画像データにRGBレベルの調節、ガンマ調整等といった画像処理が施され、さらに、画像処理後の画像データに圧縮処理が施される。圧縮後の画像データは、一旦メモリ170に送られる。
【0048】
メモリ170には、この携帯電話100内で実行されるプログラムが記憶されたり、中間バッファとして用いられる記録速度が高速なSDRAM、各種メニュー画面用のデータや、ユーザの設定内容などが記憶されたデータ保存用のメモリであるSRAM、圧縮された画像データが記憶されるVRAMが含まれている。VRAMは、複数領域に分割されており、画像データが複数領域に順番に記憶され、記憶された画像データはビデオエンコーダ150やメディアコントローラ190に順次に読み出される。
【0049】
ビデオエンコーダ150は、CPU180からの指示に従って、メモリ170から圧縮後の画像データを取得し、圧縮後の画像データを、液晶パネル101で表示できるデータ形式に変換する。変換後の画像データは画像表示装置160に送られ、画像表示装置160によって、画像データが表す画像が液晶パネル101に表示される。メディアコントローラ190は、メモリ170に記憶された圧縮後の画像データを記録メディア190aへ記録したり、記録メディア190aに記録された画像データを読み出すためのものである。
【0050】
また、図1(A)に示すプッシュボタン105を使って電話番号が入力され、確定ボタン107が押下されると、電話番号が設定されて相手装置との通信が開始される。このとき、携帯電話100の電話番号や入力された電話番号などの通信情報がCPU180から第1送受信部103に伝えられ、通信情報が電波に変換されてアンテナ103aに伝えられ、アンテナ103aから電波が発せられる。第1アンテナ103aから発せられた電波は、建物や電柱などといった各所に設けられている共同アンテナ(図示しない)を介して電話局に伝わり、電話局で、指定された電話番号が割り当てられた相手装置との接続が確立される。
【0051】
相手装置との接続が確立すると、ユーザが携帯電話100に向けて発した声が、マイクロフォン106で集音され、集音された声がインタフェース部120で音声データを表わす電波に変換されて、第1送受信部103の第1アンテナ103aによって相手装置に送信される。また、第1アンテナ103aを介して受信された音声用の電波は、インタフェース部120で音声データに変換され、スピーカ102から音声として発せられる。第1送受信部103、第1アンテナ103aでは、音声データだけではなく、電話番号の代わりにメールアドレスを使ってメールを表わすメールデータも送受信される。第1アンテナ103aで受信されて、第1送受信部103でデジタル化されたメールデータは、入力コントローラ130によってメモリ170に記憶される。
【0052】
また、この携帯電話100には、電話局を介して他の携帯電話などといった相手装置と通信するための通信インタフェース(第1送受信部103、第1アンテナ103a)とは別に、電話局を介さずに、近距離用の無線通信によって通信するための無線通信インタフェース(第2送受信部109、第2アンテナ109a)も備えられている。近距離無線通信用の通信インタフェースとしては、赤外線通信やブルートゥース(Bluetooth)などを適用することができる。本実施形態では、通信インタフェースとして赤外線通信が適用されており、他の携帯電話などから直接送信されてきた赤外線が第2アンテナ109aで受信されると、その受信された赤外線に基づく電気信号が第2送受信部109でピックアップされて、デジタルのデータに変換される。逆に、外部装置にデータを送信するときには、第2送受信部109にデータが伝えられ、そのデータが第2送受信部109で電波に変換されて、第2アンテナ109aから発せられる。
【0053】
この第2アンテナ109aで画像を表わす赤外線が受信されると、第2送受信部109では赤外線に基づく電気信号が画像データに変換される。変換された画像データは、撮影画像データと同様にして、画像表示装置160に送られて画像データが表わす画像が液晶パネル101に表示されたり、メディアコントローラ190を介して記録メディア190aに記録される。
【0054】
また、マナーモードが選択ボタン104の操作等により設定されているときには、第1送受信部103aを経由して送られたきた着信状態を表わす情報をCPU180が受け取ってバイブレータVibを振動させることによりユーザに着信状態であることを知らせている。また図1の上側の筐体と下側の筐体とが折畳まれて重畳されたときには、Mgの磁力が磁気センサSENによって検出され重畳状態であることが検出されるようにもなっている。
【0055】
携帯電話100は、基本的には以上のように構成されている。
【0056】
続いて、携帯電話100が備えるカメラモジュール200の構成を詳しく説明する。
【0057】
図3は、カメラモジュール200の分解斜視図である。また、図4は図3の分解斜視図に示されている各部材が組み込まれた後のカメラモジュール200を示す図である。さらに図5は、カメラモジュール200を携帯電話100に組み込むときの状態を説明する図である。
【0058】
図3、図4においては、左下が被写体側にあたる。
【0059】
図3には、左下の被写体側からカバー201、保持モジュール202、画像信号転送用のフレキシブル基板FR1、図3の第1の方向に延びる基板203Aと図3の第2の方向に延びるた基板203Bとの双方に形成された各コイルを通電するためのフレキシブル基板FR2、コイルが形成された基板203A,203Bそれぞれを保持する一対のアームARM1,ARM2、各基板203A,203B上に形成されたコイルに対向するようにN極とS極とが並べられたマグネットMG1,MAG2を保持するコの字型のヨーク2041,2042、2本のアームそれぞれを移動自在に支持するとともに2つのヨーク2041,2042がそれぞれ第1の方向と第2の方向に延びる面に固定される支持部材205が、順序良くそれぞれ分解された状態で示されている。これらが組立てられると、図4に示す形になる。
【0060】
まず、図3を参照して構成を説明していく。
【0061】
図3の一番右側には、保持モジュール202を揺動させるための2つの駆動機構を支持する、くの字型の支持部材205が示されている。この支持部材205に保持モジュールを揺動させるための2つの駆動機構が支持されるとともに保持モジュールが揺動自在に支持される。
【0062】
この支持部材205には、上記2本のアームARM1,ARM2の両端部に設けられている孔部H1,H2,H3,H4がそれぞれ挿通される案内部材2051,2052,2053が3箇所に設けられている。これらの案内部材2051〜2053は、くの字型の形状を持つ支持部材205の各頂点部にそれぞれ設けられていて、中央の案内部材2051には、双方のアームARM1,ARM2の両端部の孔のうちの孔H1と孔H3とが共通に挿通されるようになっている。
【0063】
つまり、2本のうちの一方のアームARM1が支持部材205のくの字型の中心の頂点にある案内部材2051とくの字の一方の端部側の頂点にある案内部材2052とに挿通され、他方のアームARM2がくの字型の中心の頂点にある案内部材2051と他方の端部側の頂点にある案内部材2053に挿通される。なお、図示されてはいないが、これらのアームARM1,ARM2の一方の端部側(孔H2、孔H4があるところ)の保持モジュール側には、保持モジュール側の球状の凸部に係合する凹部がそれぞれ設けられている。また支持部材205のくの字型の中心部の、保持モジュール側には、保持モジュール202を支持するための支持部があり、この支持部には凹部が設けられている。
【0064】
また支持部材205のくの字型の中央の頂点を中心に図3の第1の方向に延びる面と第2の方向に延びる面には、それぞれコの字型のヨーク204A,204Bが接着固定されるようになっている。これらのコの字型のヨーク204A,204Bは、コイルが形成された基板203A,203Bがある側に開口が向くように配設されるので、それぞれの開口側からマグネットMG1,MAG2と平行になるように基板203A,203Bそれぞれが収容されるようにして配設される。その各基板203A,203Bには、基板上のコイルに通電を行なうためのフレキシブル基板FR2が接続されるようになっている。このコイルが形成された基板203A,203Bには、アームARM1,ARM2の動きに応じて揺動する保持モジュール202の位置を検出するためのホール素子DET1,DET2が備えられている。なお、ホール素子DET1,DET2それぞれは、本出願人が既に出願した先行特許である特願2007−035341号にその構成が記載されているように、コイルが形成された基板203A,203Bとともに移動して、アームARM1,ARM2に保持モジュール202を駆動させているときに各々のマグネットMAG1,MAG2から受ける磁力の変化を検出するものであって、案内部材2051〜2053に沿ってアームARM1,ARM2が光軸方向に動いているときにその光軸方向に対して水平に広がる各マグネットMAG1,MAG2からの磁力の変化を検出する。
【0065】
前述した様に、くの字型の支持部材205の中央の頂点部の保持モジュール202側には、保持モジュール202の球状の凸部が係合して保持モジュール202を支持する支持部となる凹部が設けられているので、その凹部に保持モジュール202の凸部PBが係合するとともに、支持部材205に移動自在に支持された2本のアームARM1,ARM2それぞれに設けられている球状の凹部が保持モジュール202の第1の駆動点D1の凸部と第2の駆動点D2の凸部に係合すると、図4に示す様に保持モジュール202が揺動自在に支持部材205に支持されることになる。
【0066】
なお図3には、第1の駆動点D1と第2の駆動点D2を示すために、球状の凸部を持つ棒状の部材2021A,2021Bとそれらの棒状の部材2021に挿通されるバネ2022A,2022Bがそれぞれ示されている。それぞれのバネ2022A,2022Bは、コイルが通電されていないときに2本のアームARM1,ARM2それぞれを動かないようにする機能を持つ部材であって、各バネ2022A,2022Bはコイルが通電されないときには凸部(第1の駆動点D1,第2の駆動点D2)を、アーム側の凹部にバネ付勢により押し付けることでコイルの通電を切った後はその通電を切ったときに位置していた位置にアームを静止させる機能を有する。
【0067】
またこの例では、保持モジュール202にレンズの他CCD112も保持される構成のものが示されているため、揺動する保持モジュール202に画像信号転送用のフレキシブル基板FR1が接続されている。そのフレキシブル基板FR1は、CCD112が実装されているセンサ基板PCBに一端が接続され、そのセンサ基板PCBから少なくとも最初に延在する部分が、保持モジュール202から外側に向かって、軸点PBと第1の駆動点D1を結ぶ第1の方向と軸点PBと第2の駆動点D2を結ぶ第2の方向の双方に対し斜めの方向に延在するように接続されている。このようにすると、揺動があまりフレキシブル基板に伝わらなくなる。
【0068】
ここまでの像ブレ補正ユニット200に関する説明は、特願2007−035341号で提案した構成の説明とほぼ同じ内容である。
【0069】
ここで本実施形態においては特願2007−035341号の構成を持つカメラモジュールを、上記課題を達成するために、図5に示す様に携帯電話内部の狭いスペースであってしかも磁気発生素子(受話口102のスピーカ、マグネットMg1,バイブレータvibからの磁力の影響を逃れることができる位置に巧みに組み込んでいるのでその構成を説明する。
【0070】
本実施形態の携帯電話においては、本発明にいう磁気発生素子となる受話口(スピーカ)102が上側の筐体100Aの上部に備えられおり、また本発明にいう磁気発生素子となるアンテナ103aが下側の筐体100Bの右上方に備えられている。さらに下側の筐体100Bの右下側にも本発明にいう磁気発生素子となるバイブレータVibが備えられており、上側筐体100Aの左上方にも本発明にいう磁気発生素子となるマグネットMg1が備えられている。
【0071】
これらの配置を考えると、図5に示す下側筐体100Bの左上の位置にカメラモジュール200を搭載することさえできれば、いずれの磁気発生素子からの影響も除去されるようになる。前述した様に、携帯電話の受話口102にあるスピーカが備えるマグネットの磁力はおよそ100ガウス程度であり、この100ガウス程度の磁力であれば、10mm以上離せば磁力の影響がないことが本出願人の実験によって確認されている。
【0072】
そこで、アンテナ103aとの間に選択スイッチ104を備える位置(図1参照)であって、またバイブレータVibとの間にプッシュボタン105を備える位置(図1参照)であって、しかも受話口102との間に液晶ディスプレイ101を備える位置にカメラモジュール200を巧みに配設している。いずれの部品も10mm以上の大きさを備えているので、いずれの磁気発生素子からも10mm以上離れた位置にカメラモジュール200が配設されてカメラモジュール200が備える磁気検出素子であるホール素子への磁気の影響が好適に排除される。その結果カメラモジュール200の確実な動作が保証される。
【0073】
以上説明した様に、像ブレ補正機能付きのカメラモジュールが小型の筐体内部に搭載されそのカメラモジュールが誤動作することのない携帯機器が実現する。なお、磁荷m,距離r,透磁率μとすると、磁界の強さHは
【0074】
【数1】

【0075】
で表わすことができる。したがって磁界は距離の二乗に反比例するため、磁界が100ガウスの場合は、(100)1/2=10mm,200ガウスの場合は(200)1/2=14.14mm以上離れた位置に配置すれば良い。
【0076】
ここで、第1実施形態では、折畳み自在の携帯電話の構成を説明したが、携帯電話には上側の筐体と下側の筐体がスライド式のものもあるのでそのスライド式の構成を持つ携帯電話の例を第2実施形態として説明する。
【0077】
図6は、スライド式の構成を持つ携帯電話300の構成を示す図である。
【0078】
図6(a)には、上側の筐体300Aと下側の筐体300Bが重畳された状態が示されており、図6(b)には、図6(a)の状態から上側の筐体300Aが図の上側にスライドされて開放された状態が示されており、図6(c)には、図6(b)を側方から見た図が示されている。
【0079】
図6に示す様にスライド式のものであっても、第1実施形態と同様の位置にカメラモジュール200を配設することで、カメラモジュール200の確実な動作を得ることが可能となる。
【0080】
また、図7、図8に第3、第4実施形態を示しその構成を説明する。
【0081】
図7は、カメラモジュール200を上側筐体の300Aの液晶ディスプレイ301の左下方に配設した例を示す図であり、図8は、カメラモジュール200をプッシュボタン305の左下方に配設した例を示す図である。
【0082】
図7(a)、(b)に示す第3実施形態においては、カメラモジュール200を上側の筐体300Aの液晶ディスプレイの左下側に配設しても、図7(b)に示す様に、アンテナ303、バイブレータvib、受話口302から10mm以上離れた位置にカメラモジュール200を配設することができる。このようにしても良い。
【0083】
また、マイク306にはエレクトリックコンデンサマイクが通常使われていてそのマイクが磁気発生素子になることはないので、図8に示す様にマイク306に隣接する位置にカメラモジュール200を配設しても良い。撮影時にやや持ち難くなる欠点はあるものの、図8に示す位置に配設してもカメラモジュールの確実な動作は保証される。
【0084】
最後に、携帯電話の中には、テレビ電話用に自己撮り用と通常撮影用との2つのカメラを備えたものがあるので、その場合の例を説明する。
【0085】
図9は、2台のカメラモジュール200,400を備えた場合の構成を説明する図である。
【0086】
図9には、第1のカメラモジュール400が備える撮影レンズ100bと第2のカメラモジュール200が備える撮影レンズ100aがそれぞれ示されている。
【0087】
図9の例の自己撮り用の第1のカメラモジュール400には、可動部が備えられておらず、通常撮影用の第2のカメラモジュール200には可動部が備えられており、この第2のカメラモジュール200には図3の構成のものが用いられている。
【0088】
この場合には、第1のカメラモジュール400を受話口(スピーカ)102のそばに配置し、第2のカメラモジュール200を、スピーカ102から少なくとも10mm以上離れた位置、ここでは液晶ディスプレイ101を間に挟んだ位置に配置している。
【0089】
このように2台のカメラモジュールを備えている場合には、図9のように配置すれば小型の筐体であっても2台のカメラモジュールがコンパクトに収納される。
【0090】
なお上記実施形態では、2台のカメラモジュールを例に掲げたが、3台以上あっても良く、その場合には、スピーカのもう一方の側やマイクのそば等に配設することができる。
【0091】
また、撮影レンズと撮像素子が一体となった保持モジュールを揺動させることによって手ブレ補正を行うカメラモジュールについて説明したが、このタイプのカメラモジュールに限定されず、可動部を磁気検出素子で検出するタイプであれば、撮影レンズとCCDを相対的に移動させることによって手ブレ補正を行うタイプのカメラモジユールであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態が適用された携帯電話の外観斜視図である。
【図2】図1の携帯電話100の内部構成を示すブロック図である。
【図3】カメラモジュール200の分解斜視図である。
【図4】図3の分解斜視図に示されている各部材が組み込まれた後のカメラモジュール200を示す図である。
【図5】カメラモジュール200を携帯電話100に組み込むときの状態を説明する図である。
【図6】スライド式の構成を持つ携帯電話300の構成を示す図である。
【図7】カメラモジュール200を上側筐体の300Aの液晶ディスプレイ301の左下方に配設した例を示す図である。
【図8】カメラモジュール200をプッシュボタン305の左下下方に配設した例を示す図である。
【図9】2台のカメラモジュール200,400を備えた場合の構成を説明する図である。
【図10】カメラモジュールの作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0093】
100 携帯電話
101 液晶パネル
102 送話口
103a 第1アンテナ
104 選択ボタン
105 プッシュボタン
106 受話口
107 確定ボタン
108 電源ボタン
109a 第2アンテナ
112 CCD
113 A/D変換部
120 インタフェース部
121 マイクロフォン
122 スピーカ
130 入力コントローラ
140 画像信号処理部
150 ビデオエンコーダ
160 画像表示装置
170 メモリ
180 CPU
181 各種スイッチ
200 像ブレ補正ユニット
100a レンズ
201 カバー
202 保持モジュール
203A,203B 基板
204A,204B ヨーク
2051,2052,2053 案内部材
FR1,FR2 フレキシブル基板
ARM1,ARM2 アーム
PB 軸点(球状の凸部)
D1 第1の駆動点(球状の凸部)
D2 第2の駆動点(球状の凸部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールと該カメラモジュールとは別体の磁気発生部品とを備えた携帯機器において、
前記カメラモジュールが、手ブレを補正するための可動部と、該可動部の位置を検出する磁気検出素子とを備え、
前記磁気発生部品が、前記カメラモジュールが撮影状態にあるときに、前記磁気検出素子から少なくとも(磁気発生部品の磁力[ガウス])1/2mm以上離れた位置に配置されたものであることを特徴とする携帯機器。
【請求項2】
前記磁気発生部品の磁力が100ガウスであって、該磁気発生部品が前記磁気検出素子から10mm以上離れた位置に配置されたものであることを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項3】
前記磁気発生部品は、スピーカであることを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項4】
前記カメラモジュールと前記スピーカとの間の位置に配置された、情報を表示する液晶ディスプレイを備えたことを特徴とする請求項3記載の携帯機器。
【請求項5】
当該携帯機器は、複数の筐体からなり、不使用時には複数の筐体を重畳させ使用時には該複数の筐体を重畳状態から開放する携帯機器であって、該複数の筐体の重畳を検出するための、マグネットと該マグネットからの磁気を検出する磁気センサとを備え、前記磁気発生部品は前記マグネットであることを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項6】
複数のカメラモジュールを備えた携帯機器において、
前記複数のカメラモジュールのうちの第1のカメラモジュールは、可動部を持たないカメラモジュールであり、
前記複数のカメラモジュールのうちの第2のカメラモジュールは、手ブレを補正するための可動部と、該可動部の位置を検出する磁気検出素子とを備えたカメラモジュールであって、
当該携帯機器は、前記第1のカメラモジュールに隣接した位置に配置されたスピーカを備え、
前記第2のカメラモジュールは、該第2のカメラモジュールに備えられた磁気検出素子が、前記スピーカから少なくとも10mm以上離れた位置に配置されていることを特徴とする携帯機器。
【請求項7】
前記第2のカメラモジュールは、前記スピーカとの間の位置に配置された、情報を表示する液晶ディスプレイを備えたことを特徴とする請求項6記載の携帯機器。
【請求項8】
カメラモジュールを備えた携帯機器において、
前記カメラモジュールは、手ブレを補正するための可動部と、該可動部の位置を検出する磁気検出素子とを備えたものであって、
当該携帯機器が、さらに、スピーカを備えるとともに、前記カメラモジュールと、前記スピーカとの間の位置に配置された、情報を表示する液晶ディスプレイを備えたことを特徴とする携帯機器。
【請求項9】
当該携帯機器が、携帯電話であることを特徴とする請求項1から8のうちのいずれか1項記載の携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−71495(P2009−71495A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236651(P2007−236651)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】