説明

携帯端末、決済システム、決済方法、およびプログラム

【課題】利用者が利用条件を予め登録することなく、利用者認証の要否を判定すること。
【解決手段】本発明は、非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末に適用される。本発明の携帯端末は、前記携帯端末の利用者の属性情報および前記非接触ICカードの利用履歴情報を含むカード利用者情報が登録されるメモリと、前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記カード利用者情報を基に、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を算出し、算出した利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する判定部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話装置等の携帯端末において、非接触ICカードを利用して決済を行う前に、利用者認証の要否を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、非接触ICカードを搭載し、非接触ICカードを利用して決済を行う機能(クレジットカード機能や電子マネー機能)を備えた携帯電話装置が多くあり、携帯電話装置を所有する利用者は、非接触ICカードを店頭で利用して商品を購入することができる。
【0003】
しかし、携帯電話装置が盗難された場合は、盗難者により非接触ICカードが勝手に利用されてしまう可能性がある。
【0004】
これを防止する方法としては、例えば、携帯電話装置を遠隔操作して、非接触ICカードを利用する決済機能や、携帯電話装置の全機能を停止させる方法がある。
【0005】
しかし、上記の方法は、利用者が盗難に気づかないと実施することができないため、利用者が機能を停止させる前に、盗難者により利用限度額まで非接触ICカードが利用されてしまう可能性もある。
【0006】
また、クレジットカードを利用する際には、クレジットカード会社のサービスや提携店との契約によっては例外的に利用者認証が不要となることもあるが、原則としては署名、パスワードなどによる利用者認証が必要となる。
【0007】
例えば、署名による利用者認証の例としては、特許文献1に記載された方法がある。この方法では、ICカードを発行する際に、利用者の署名をICカード内に登録しておく。利用者がICカードを利用する際には、ICカードリーダにICカードを差し込むと共に、ICカードリーダに接続されたタブレット上に署名を行う。ICカードリーダは、利用者の署名とICカード内に登録されている署名との照合を行い、一致した場合に、ICカードを利用した決済を行うことができるようにする。これにより、署名を登録した利用者以外はICカードを利用することができなくなる。
【0008】
また、他の利用者認証の例としては、署名やパスワードの代わりに、利用者の指紋などの生体情報を使用する方法がある。この方法では、利用者の生体情報をICカード内に登録しておき、利用者がICカードを利用する際には生体情報を入力することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−163533号公報
【特許文献2】特許第4192864号公報
【特許文献3】特開2006−350450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した方法では、ICカードを電子マネーとして利用する場合は、毎回、利用者認証を行う必要がある。
【0011】
そこで、特許文献2には、非接触ICカードが搭載された携帯端末において、利用者が非接触ICカードの利用を許可する利用条件(非接触ICカードの利用場所、利用時間帯、および、利用内容)を予め登録しておき、決済前に、予め登録した利用条件で非接触ICカードを利用しようとしているか否かにより利用者認証の要否を判定する方法が記載されている。この方法によれば、携帯端末が盗難された場合も非接触ICカードを勝手に利用できないため、セキュリティ効果もありつつ、非接触ICカードを電子マネーとして利用する場合も、利用者認証を毎回行う必要がなくなる。しかし、利用者が予め利用条件を登録する必要があり、面倒であるという課題がある。
【0012】
また、特許文献3には、電子マネーやクレジットカードなどのICカードの方式ごとに、利用条件として店舗場所(位置情報)を予め登録する方法が記載されている。しかし、この方法でも、特許文献2と同様に、利用者自らが利用条件を予め登録する必要がある。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決し、利用者が利用条件を予め登録することなく、利用者認証の要否を判定することができる携帯端末、決済システム、決済方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の携帯端末は、
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末であって、
前記携帯端末の利用者の属性情報および前記非接触ICカードの利用履歴情報を含むカード利用者情報が登録されるメモリと、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記カード利用者情報を基に、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を算出し、算出した利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する判定部と、を有する。
【0015】
本発明の第2の携帯端末は、
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末であって、
外部サーバから送信されてきた、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件が登録されるメモリと、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記登録された利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する判定部と、を有する。
【0016】
本発明の第1の決済システムは、
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末を有してなる決済システムであって、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の利用者の属性情報および前記非接触ICカードの利用履歴情報を含むカード利用者情報を登録し、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記カード利用者情報を基に、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を算出し、算出した利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する。
【0017】
本発明の第2の決済システムは、
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末と、外部サーバと、を有してなる決済システムであって、
前記外部サーバは、
前記携帯端末の利用者の属性情報および前記非接触ICカードの利用履歴情報を含むカード利用者情報を登録し、
前記カード利用者情報を基に、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を算出し、
前記算出した利用条件を前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末は、
前記外部サーバから送信されてきた利用条件を登録し、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記登録された利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する。
【0018】
本発明の第1の決済方法は、
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末による決済方法であって、
前記携帯端末の利用者の属性情報および前記非接触ICカードの利用履歴情報を含むカード利用者情報を登録するステップと、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記カード利用者情報を基に、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を算出し、算出した利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定するステップと、を有する。
【0019】
本発明の第2の決済方法は、
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末による決済方法であって、
外部サーバから送信されてきた、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を登録するステップと、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記登録された利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定するステップと、を有する。
【0020】
本発明の第1のプログラムは、
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末に、
前記携帯端末の利用者の属性情報および前記非接触ICカードの利用履歴情報を含むカード利用者情報を登録する処理と、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記カード利用者情報を基に、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を算出し、算出した利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する処理と、を実行させる。
【0021】
本発明の第2のプログラムは、
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末に、
外部サーバから送信されてきた、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を登録する処理と、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記登録された利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の携帯端末は、非接触ICカードを利用して決済を行う前に、カード利用者情報を基に利用条件を算出し、算出した利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する。
【0023】
本発明の第2の携帯端末は、外部サーバから送信されてきた利用条件を登録し、非接触ICカードを利用して決済を行う前に、登録された利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する。
【0024】
そのため、利用者が利用条件を予め登録することなく、利用者認証の要否を判定することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態の決済システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示した携帯電話装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した携帯電話装置の決済時の動作を説明するフローチャートである。
【図4】図3に示したステップA300における利用条件判定処理の一具体例を説明するフローチャートである。
【図5】図3に示したステップA300における利用条件判定処理の他の具体例を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態の決済システムの構成を示す図である。
【図7】関連する決済システムの決済時の動作を説明するシーケンス図である。
【図8】図6に示した決済システムの決済時の動作を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
(1)第1の実施形態
図1は、本実施形態の決済システムの構成を示した図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の決済システムは、非接触ICカードを搭載する携帯電話装置200と、店頭や駅の改札などに設置され、近距離無線通信にて非接触ICカードの読取りおよび書込みが可能なICカードリーダ・ライタ装置100と、を有している。
【0028】
ICカードリーダ・ライタ装置100および携帯電話装置200は、それぞれ近距離無線通信が可能な無線部を内蔵しており、非接触ICカードから読取るデータおよび非接触ICカードに書込むデータを近距離無線通信によって互いに送受信する。
【0029】
図2は、携帯電話装置200における本発明と関連する部分の構成を簡略化して示した図である。
【0030】
図2に示すように、本実施形態の携帯電話装置200は、CPU201と、操作部202と、表示部203と、制御部204と、センサ部205と、スピーカー206と、マイク207と、メモリ208と、非接触IC部209と、無線部210と、を有している。
【0031】
CPU201は、各種動作制御(命令)を行う。
【0032】
操作部202は、利用者が各種操作を入力するための部分である。
【0033】
表示部203は、各種情報を表示する液晶ディスプレイなどである。
【0034】
例えば、CPU201は、操作部202からの入力に従って、入力情報などを表示部203にて表示させる。
【0035】
制御部204は、各種制御を行う。
【0036】
センサ部205は、GPS衛星からの電波を基に携帯電話装置200の現在位置を測位するGPS処理部205aを具備する。
【0037】
スピーカー206は、音声を出力し、マイク207は、音声を集音する。
【0038】
メモリ208は、パスワード、指紋などの利用者認証に用いる認証情報を登録し管理する認証情報管理部208aと、利用者の属性情報(利用者名や利用者住所)および非接触ICカードの利用履歴情報(過去の利用情報)を含む「カード利用者情報」を登録し管理する利用情報管理部208bと、を具備する。
【0039】
非接触IC部209は、クレジットカード、電子マネーカード、交通機関の定期券、プリペイドカードなどの非接触ICカードを1つ以上具備する。
【0040】
無線部210は、無線信号用アンテナ210aを具備し、ICカードリーダ・ライタ装置100と近距離無線通信を行う。
【0041】
また、CPU201は、利用者が非接触ICカードを利用して決済を行おうとすると、利用情報管理部208bに登録された「カード利用者情報」を基に、非接触ICカードの利用を許可する「利用条件」を算出し、算出した「利用条件」で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する判定部201aを具備する。
【0042】
以下、本実施形態の携帯電話装置200の決済時の動作について、利用者が電子マネーカードを利用して店頭で商品を購入する場合を例に挙げて、図3を参照して説明する。
【0043】
図3に示すように、利用者は、店頭で商品を購入しようとする際に、店頭に設置されたICカードリーダ・ライタ装置100に対して携帯電話装置200の非接触IC部209をかざすことで、電子マネーカードを利用する(ステップA100)。
【0044】
次に、CPU201内の判定部201aは、「利用情報」:「利用カード」、「利用場所(位置情報)」、「利用時間」、「商品内容(利用内容)」、「購入金額(利用金額)」を取得する(ステップA200)。このとき、「利用カード」は、非接触IC部209から取得し、「利用場所(位置情報)」は、GPS処理部205aから取得し、「利用時間」は携帯電話装置200内の不図示の時計部から取得し、「商品内容(利用内容)」、「購入金額(利用金額)」は、ICカードリーダ・ライタ装置100から非接触IC部209を介して取得する。
【0045】
次に、判定部201aは、利用情報管理部208bに登録されている「カード利用者情報」:「利用者名」、「登録カード」、「利用者住所」、「登録カード利用履歴(過去の利用情報)」を基に「利用条件」を算出し、算出した「利用条件」に「利用情報」が合致しているか否かを判定する(ステップA300)。
【0046】
ステップA300において、「利用条件」に合致する場合、判定部201aは、利用者認証を不要と判定する(ステップA400)。この場合、判定部201aは、電子マネーカードに対し、決済処理命令を出力し、認証情報管理部208aに登録されているパスワードや指紋などの認証情報による利用者認証なしで、商品購入のための決済処理を行わせる。
【0047】
一方、ステップA300において、「利用条件」に合致しない場合、判定部201aは、利用者認証を必要と判定する(ステップA500)。この場合、判定部201aは、表示部203に対し、利用者認証しないと商品購入ができない旨を表示させる。また、判定部201aは、利用者認証が行われた後に、電子マネーカードに対し、決済処理命令を出力し、商品購入のための決済処理を行わせる。このため、利用者は、利用者認証を行わないと、商品を購入することができない。なお、利用者認証は、ICカードリーダ・ライタ装置100または携帯電話装置200のどちらで実施されてもよい。
【0048】
その後、判定部201aは、利用情報管理部208bの「カード利用者情報」の「登録カード利用履歴(過去の利用情報)」として、「利用情報」を登録する(ステップA600)。
【0049】
ここで、ステップA300の利用条件判定処理の具体例について、利用者が電子マネーカードを利用して店頭で商品を購入する場合を例に挙げて、図4を参照して説明する。
【0050】
図4に示すように、まず、判定部201aは、利用情報管理部208b内の「カード利用者情報」の「登録カード利用履歴(過去の利用情報)」の「購入金額(利用金額)」を基に、過去の「購入金額(利用金額)」の平均金額を「利用条件」として算出する(ステップA301)。このとき、例えば、過去の所定期間内における「購入金額(利用金額)」の平均金額を算出する。
【0051】
次に、判定部201aは、「利用情報」の「購入金額(利用金額)」が、上記で算出した平均金額以下かどうかを判定する(ステップA302)。
【0052】
ステップA302において、「利用情報」の「購入金額(利用金額)」が平均金額よりも高い場合は、判定部201aは、ステップA500において、利用者認証が必要と判定する。
【0053】
一方、ステップA302において、「利用情報」の「購入金額(利用金額)」が平均金額以下である場合は、続いて、判定部201aは、利用情報管理部208b内の「カード利用者情報」の「利用者住所(位置情報)」を基に、利用者住所を中心とした所定範囲を「利用条件」として算出する(ステップA303)。
【0054】
次に、判定部201aは、「利用情報」の「利用場所(位置情報)」が、上記で算出した所定範囲内かどうかを判定する(ステップA304)。
【0055】
ステップA304において、「利用情報」の「利用場所(位置情報)」が所定範囲外である場合は、判定部201aは、ステップA500において、利用者認証が必要と判定する。
【0056】
一方、ステップA304において、「利用情報」の「利用場所(位置情報)」が所定範囲内である場合は、判定部201aは、ステップA400において、利用者認証が不要と判定する。
【0057】
続いて、ステップA300の利用条件判定処理の他の具体例について、利用者が交通機関の定期券またはプリペイドカードを利用して駅を入場または退場する場合を例に挙げて、図5を参照して説明する。
【0058】
本例では、判定部201aが取得する「利用情報」は、「利用カード」、「利用場所(位置情報)」、「利用時間」、「駅名(利用内容)」、「入場または退場の区分(利用内容)」、「利用金額」となる。ただし、定期の場合は、「利用期間(利用内容)」や「利用区間(利用内容)」も含まれ、プリペイドカードの場合は、「残金額」も含まれる。このとき、「利用カード」、「残金額」は、非接触IC部209から取得し、「利用場所(位置情報)」は、GPS処理部205aから取得し、「利用時間」は、携帯電話装置200内の不図示の時計部から取得し、「駅名」、「入場または退場の区分」、「利用金額」は、ICカードリーダ・ライタ装置100から非接触IC部209を介して取得する。また、定期の場合の「利用期間」は、入場時および退場時の利用時間から算出する。
【0059】
また、利用情報管理部208bに登録されている「カード利用者情報」は、「利用者名」、「登録カード(定期の場合は「有効期間」や「有効区間」の情報も含む)」、「利用者住所」、「登録カード利用履歴(過去の利用情報)」となる。
【0060】
なお、定期の場合、「利用期間」が「有効期間」内であり、かつ、「利用区間」が「有効区間」内であれば、「利用金額」が0円であり、決済処理が発生しないが、ここでは、「利用金額」が0円ではなく、決済処理が発生するものとして説明する。
【0061】
図5に示すように、まず、判定部201aは、利用情報管理部208b内の「カード利用者情報」の「登録カード利用履歴(過去の利用情報)」の「利用時間」を基に、利用者が頻繁に利用している利用時間帯を「利用条件」として算出する(ステップB301)。このとき、例えば、過去の所定期間内のある時間帯で所定回数以上利用されていれば、その時間帯を利用時間帯として算出する。
【0062】
次に、判定部201aは、「利用情報」の「利用時間」が、上記で算出した利用時間帯に含まれているかどうかを判定する(ステップB302)。
【0063】
ステップB302において、「利用情報」の「利用時間」が利用時間帯に含まれない場合は、判定部201aは、ステップA500において、利用者認証が必要と判定する。
【0064】
一方、ステップB302において、「利用情報」の「利用時間」が利用時間帯に含まれる場合は、続いて、判定部201aは、利用情報管理部208b内の「カード利用者情報」の「登録カード利用履歴(過去の利用情報)」の「駅名」を基に、過去に利用した利用駅を「利用条件」として算出する(ステップB303)。このとき、例えば、過去の所定期間内に利用した利用駅を算出する。
【0065】
次に、判定部201aは、「利用情報」の「駅名」が、上記で算出した過去の利用駅のいずれかに該当するかどうかを判定する(ステップB304)。
【0066】
ステップB304において、「利用情報」の「駅名」が過去の利用駅のいずれにも該当しない場合は、判定部201aは、ステップA500において、利用者認証が必要と判定する。
【0067】
一方、ステップB304において、「利用情報」の「駅名」が過去の利用駅のいずれかに該当する場合は、判定部201aは、ステップA400において、利用者認証が不要と判定する。
【0068】
このように利用条件は、登録カードごとに設定することが可能である。
【0069】
また、図4および図5を組み合わせ(図4のステップA301〜A304の後に、図5のステップB301,B302を実行)、「利用時間帯」をさらに考慮することで、より利用者の行動に合わせた利用条件を算出でき、小額決済の場合でも利用者認証の要否を判定することができる。
【0070】
上述したように本実施形態においては、携帯電話装置200は、非接触ICカードを利用して決済を行う前に、「カード利用者情報」を基に「利用条件」を算出し、その「利用条件」で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する。
【0071】
そのため、利用者が利用条件を予め登録することなく、利用者認証の要否を判定することができるという効果が得られる。
【0072】
また、例えば、非接触ICカードが電子マネーカードである場合、「利用条件」を過去の利用金額の平均金額とし、利用金額が平均金額を超えていれば、利用者認証を必要と判定する。
【0073】
そのため、利用者に対し、利用金額が通常よりも多いことの注意喚起を行うことができるという効果が得られる。
【0074】
また、例えば、非接触ICカードが交通機関の定期またはプリペイドカードである場合、「利用条件」を過去の利用駅とし、過去の利用駅に該当しなければ、利用者認証を必要と判定する等、過去とは異なる利用がなされる場合に利用者認証を必要と判定する。
【0075】
そのため、携帯電話装置200が盗難された場合、盗難者により利用限度額まで非接触ICカードが利用されてしまう可能性を低減できるという効果が得られる。
(2)第2の実施形態
図6は、本実施形態の決済システムの構成を示した図である。
【0076】
図6に示すように、本実施形態の決済システムは、第1の実施形態と比較して、利用情報管理装置300を設けた点が異なる。
【0077】
利用情報管理装置300は、クレジットカード会社、鉄道会社などが運用し、携帯電話装置200と同様の「カード利用者情報」を登録し管理している外部サーバである。
【0078】
この種の利用情報管理装置300においては、図7のようにして、利用情報管理装置300で決済の要否を判定することが可能である。
【0079】
すなわち、図7に示すように、利用者は、例えば、店頭で商品を購入しようとする場合、店頭に設置されたICカードリーダ・ライタ装置100に対して携帯電話装置200の非接触IC部209をかざす(ステップC100)。すると、非接触ICカードがICカードリーダ・ライタ装置100により検出される(ステップC101)。
【0080】
次に、携帯電話装置200は、ICカードリーダ・ライタ装置100を介して利用情報管理装置300へ「利用情報」を送信する(ステップC102)。
【0081】
次に、利用情報管理装置300は、利用情報管理装置300内の「カード利用者情報」を基に、決済処理の可否を判定し(ステップC103)、決済判定結果をICカードリーダ・ライタ装置100を介して携帯電話装置200に送信する(ステップC104)。
【0082】
携帯電話装置200においては、決済判定結果が決済処理が可能であることを示していれば、CPU201は、非接触IC部209へ決済処理命令を出力し(ステップC105)、非接触IC部209は、決済処理を実行し(ステップC106)、決済処理の完了後、ICカードリーダ・ライタ装置100を介して利用情報管理装置300へ決済処理結果を送信する(ステップC107)。
【0083】
その後、利用情報管理装置300は、「利用情報」を「カード利用者情報」として登録する(ステップC108)。
【0084】
これに対して、第1の実施形態の携帯電話装置200は、自身で利用条件を算出し、利用者認証の要否を判定して決済を行うため、利用情報管理装置300による決済判定は不要になるケースが増えると考えられる。
【0085】
しかしながら、例えば、携帯電話装置200を買い換えて、買い換え前に使用していた非接触カードを、買い換え後も継続して使用する場合、利用情報管理部208b内の「カード利用者情報」が不十分であるために、「利用条件」を算出できない可能性がある。
【0086】
そこで、本実施形態においては、携帯電話装置200は、利用情報管理部208b内の「カード利用者情報」が不十分である場合には、利用情報管理装置300から「利用条件」を入手する。
【0087】
以下、本実施形態の決済システムの決済時の動作について、図8を参照して説明する。
【0088】
図8に示すように、利用者は、例えば、店頭で商品を購入しようとする場合、店頭に設置されたICカードリーダ・ライタ装置100に対して携帯電話装置200の非接触IC部209をかざす(ステップD100)。すると、非接触ICカードがICカードリーダ・ライタ装置100により検出される(ステップD101)。
【0089】
次に、携帯電話装置200においては、CPU201内の判定部201aは、利用情報管理部208b内の「カード利用者情報」が「利用条件」を算出できる情報量として十分かどうかを判定する(ステップD102)。このとき、例えば、「利用条件」が、利用金額の平均金額(図4)、利用時間帯(図5)、過去の利用駅(図5)である場合は、過去の「利用情報」が所定数以上あれば情報量が十分と判定する。また、「利用条件」が、利用者住所を中心とした所定範囲(図4)である場合は、「カード利用者情報」に利用者住所が登録されていれば情報量が十分と判定する。
【0090】
ステップD102において、情報量が十分である場合は、携帯電話装置200の内部において、図3に示したような利用者認証の要否の判定が行われる。
【0091】
一方、ステップD102において、情報量が十分でない場合は、続いて、CPU201内の判定部201aは、利用情報管理部208bに「利用条件」が登録されているかどうかを判定する(ステップD103)。本実施形態においては、後述のように、利用情報管理装置300から送信されてきた「利用条件」を、携帯電話装置200の利用情報管理部208bに登録することが可能であるため、利用情報管理装置300から以前に送信された「利用条件」が登録されている可能性がある。
【0092】
ステップD103において、「利用条件」が登録されている場合は、携帯電話装置200の内部において、その「利用条件」を用いて、図3に示したような利用者認証の要否の判定が行われる。
【0093】
一方、ステップD103において、「利用条件」が登録されていない場合は、続いて、CPU201内の判定部201aは、非接触IC部209およびICカードリーダ・ライタ装置100を介して利用情報管理装置300へ「カード利用者情報」および「利用情報」を送信する(ステップD104)。
【0094】
次に、利用情報管理装置300は、利用情報管理装置300内の「カード利用者情報」を基に、決済処理の可否を判定し(ステップD105)、決済判定結果をICカードリーダ・ライタ装置100を介して携帯電話装置200に送信する(ステップD106)。
【0095】
携帯電話装置200においては、決済判定結果が決済処理が可能であることを示していれば、CPU201内の判定部201aは、非接触IC部209へ決済処理命令を出力し(ステップD107)、非接触IC部209は、決済処理を実行し(ステップD108)、決済処理の完了後、ICカードリーダ・ライタ装置100を介して利用情報管理装置300へ決済処理結果を送信する(ステップD109)。
【0096】
次に、利用情報管理装置300は、「利用情報」を「カード利用者情報」として登録する(ステップD110)。
【0097】
次に、利用情報管理装置300は、利用情報管理装置300内の「カード利用者情報」を基に、「利用条件」を算出し(ステップD111)、「利用条件」をICカードリーダ・ライタ装置100を介して携帯電話装置200に送信する(ステップD112)。このときの算出方法は、携帯電話装置200内の判定部201aが行う算出方法と同様である。
【0098】
その後、携帯電話装置200においては、非接触IC部209は、利用情報管理装置300から送信されてきた「利用条件」を利用情報管理部208bに登録する(ステップD113)。
【0099】
これにより、以降は、利用情報管理部208bの「カード利用者情報」が不十分な場合も、携帯電話装置200の内部において、利用情報管理部208bに登録された「利用条件」を用いて、図3に示したような利用者認証の要否の判定を行うことが可能となる。
【0100】
上述したように本実施形態においては、携帯電話装置200は、利用情報管理部208bの「カード利用者情報」が不十分な場合、利用情報管理装置300から「利用条件」を入手し、その「利用条件」を用いて利用者認証の要否を判定する。
【0101】
そのため、第1の実施形態と同様に、利用者が利用条件を予め登録することなく、利用者認証の要否を判定することができるという効果が得られる。
【0102】
なお、本実施形態においては、携帯電話装置200および利用情報管理装置300の双方で「カード利用者情報」を登録するものとして説明したが、「カード利用者情報」は利用情報管理装置300にのみ登録する構成でも良い。この構成の場合、「利用条件」は全て利用情報管理装置300で算出され、図8のステップD102の処理は不要になる。
【0103】
この構成の場合、携帯電話装置200のメモリ208の記憶容量は、利用情報管理装置300と比較して十分に小さいため、メモリ208の記憶容量の有効活用が可能になるという効果が得られる。また、「利用条件」は全て、利用情報管理装置300内の「カード利用者情報」を基に算出されるため、各会社のノウハウが反映され、より高セキュリティな利用条件を用いることができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0104】
100 ICカードリーダ・ライタ装置
200 携帯電話装置
201 CPU
201a 判定部
202 操作部
203 表示部
204 制御部
205 センサ部
205a GPS処理部
206 スピーカー
207 マイク
208 メモリ
208a 認証情報管理部
208b 利用情報管理部
209 非接触IC部
210 無線部
210a 無線信号用アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末であって、
前記携帯端末の利用者の属性情報および前記非接触ICカードの利用履歴情報を含むカード利用者情報が登録されるメモリと、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記カード利用者情報を基に、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を算出し、算出した利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する判定部と、を有する携帯端末。
【請求項2】
前記携帯端末の現在位置を測位するGPS処理部をさらに有し、
前記属性情報には、利用者の住所を表す位置情報が含まれ、
前記利用履歴情報には、前記非接触ICカードが電子マネーカードである場合における過去の利用金額の情報が含まれ、
前記判定部は、
前記非接触ICカードが電子マネーカードである場合、過去の利用金額の平均金額と、前記利用者の住所を中心とした所定範囲と、を前記利用条件として算出し、
前記非接触ICカードを利用する利用金額が前記算出した平均金額以下であり、かつ、前記非接触ICカードを利用する利用場所が前記算出した所定範囲内にある場合に、利用者認証が不要と判定する、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記利用履歴情報には、前記非接触ICカードが交通機関の定期またはプリペイドカードである場合における過去の利用駅と利用時間の情報が含まれ、
前記判定部は、
前記非接触ICカードが交通機関の定期またはプリペイドカードである場合、過去の利用駅と、過去に所定回数以上利用した利用時間帯と、を前記利用条件として算出し、
前記非接触ICカードを利用する利用駅が前記算出した過去の利用駅のいずれかに該当し、かつ、前記非接触ICカードを利用する利用時間が前記算出した利用時間帯に含まれる場合に、利用者認証が不要と判定する、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末であって、
外部サーバから送信されてきた、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件が登録されるメモリと、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記登録された利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する判定部と、を有する携帯端末。
【請求項5】
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末を有してなる決済システムであって、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の利用者の属性情報および前記非接触ICカードの利用履歴情報を含むカード利用者情報を登録し、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記カード利用者情報を基に、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を算出し、算出した利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する、決済システム。
【請求項6】
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末と、外部サーバと、を有してなる決済システムであって、
前記外部サーバは、
前記携帯端末の利用者の属性情報および前記非接触ICカードの利用履歴情報を含むカード利用者情報を登録し、
前記カード利用者情報を基に、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を算出し、
前記算出した利用条件を前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末は、
前記外部サーバから送信されてきた利用条件を登録し、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記登録された利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する、決済システム。
【請求項7】
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末による決済方法であって、
前記携帯端末の利用者の属性情報および前記非接触ICカードの利用履歴情報を含むカード利用者情報を登録するステップと、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記カード利用者情報を基に、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を算出し、算出した利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定するステップと、を有する決済方法。
【請求項8】
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末による決済方法であって、
外部サーバから送信されてきた、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を登録するステップと、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記登録された利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定するステップと、を有する決済方法。
【請求項9】
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末に、
前記携帯端末の利用者の属性情報および前記非接触ICカードの利用履歴情報を含むカード利用者情報を登録する処理と、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記カード利用者情報を基に、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を算出し、算出した利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する処理と、を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
非接触ICカードを搭載し、該非接触ICカードを利用して決済を行う携帯端末に、
外部サーバから送信されてきた、前記非接触ICカードの利用を許可する利用条件を登録する処理と、
前記非接触ICカードを利用して決済を行う前に、前記登録された利用条件で非接触ICカードを利用しているか否かに応じて、利用者認証の要否を判定する処理と、を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−88952(P2012−88952A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235356(P2010−235356)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】