説明

携帯端末および携帯端末用のスライド機構

【課題】スライド可動領域を第1筐体と第2筐体に分散することにより、各筐体の構造上の制約を分散することができる携帯端末を提供する。
【解決手段】第1筐体20には、スライド機構の第1シャフト1が収納されて、両端部が第1固定部30に嵌めこまれて固定される。第2筐体40には、スライド機構の第2シャフト5が収納されて、両端部が第2固定部48に嵌めこまれて固定される。スライド中間部材9は、第1筐体20と第2筐体40に対してフリー状態である。(C)の閉状態からロックキー24を開放すると、第1バネ3と第2バネ7の伸張方向の付勢力により、第2筐体40は図の右方向へ飛び出し、(B)の途中状態を経て、(A)の開状態で停止する。第1筐体20と第2筐体40間のスライド距離「L」に比べて、それぞれの筐体内部でのスライド中間部材9の移動距離は、「L/2」で済む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド型の携帯端末において、スライド機構の小型化を図り、さらに、スライド動作に対応できる上下筐体間の接続ケーブルの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
スライド機構の小型化を図ったスライド型携帯通信機がある(特許文献1参照。)。この特許文献1のスライド機構は、棒状のシャフト301上をアクチュエータ306がスライドする。棒状のシャフト301には、円筒形のばね307が配置されて、アクチュエータ306のスライド動作に弾性力を与える。そして、このスライド機構のシャフト301が携帯通信機の上筐体101のフレーム303に取り付けられ、スライド機構のアクチュエータ306が下筐体201に取り付けられて、上筐体101と下筐体201が相互にスライドする。フレーム303は、ばね307やアクチュエータ306のスライド可動領域として確保する必要がある。
【0003】
また、携帯機器用スライド機構がある(特許文献2参照。)。この特許文献2のスライド機構も特許文献1のスライド機構と同様である。
【0004】
上下筐体間の接続ケーブルとしてフレキシブル基板を使ったスライド式携帯電話機がある(特許文献3参照。)。この特許文献3では、スライド動作に伴って、フレキシブル基板9の折り曲げ部分が筐体内部を可動する。
【0005】
上下筐体間のケーブル部材としてリード線を使ったスライド式携帯電話機がある(特許文献4参照。)。上下筐体間のケーブル部材12は、リード線を30本束ねて樹脂性の外被を施した線材である。上下筐体をスライドさせる付勢力用にコイルバネ7が使われる。そして、このコイルバネ7の中の空間にケーブル部材12が配置されて、コイルバネ7の伸長収縮に合わせて、ケーブル部材12がコイルバネ7の中でたわむようにしてケーブル部材12の余長処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−333079号公報(頁4〜6、図1〜図7)
【特許文献2】特開2006−245347号公報(頁4〜6、図1〜図6)
【特許文献3】特開2006−128808号公報(頁3〜4、図1〜図2)
【特許文献4】特開2005−167306号公報(頁4〜5、図1〜図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のスライド機構では、スライドできる距離は、シャフト301の長さにほぼ等しくなる。したがって、所望のスライド距離を得るためには、シャフト301の長さを長くする必要があり、それを取り付けるフレーム303も長くなり、フレーム303を搭載する上筐体101の構造上の制限を受けるという問題がある。また、特許文献2も同様の問題がある。
【0008】
特許文献3のフレキシブル基板9は一般に幅広であり、その折り曲げ部分が筐体内部を可動するので、筐体内部にその可動スペースを確保する必要があり、筐体を小さくできないという問題がある。また、筐体のスライド距離に対応した分だけ、フレキシブル基板9が可動する必要があり、ある程度剛性が強い必要があり、剛性の弱いリード線等では配線のたわみ処理に問題がある。
【0009】
特許文献4の構造では、伸長収縮するコイルバネ7の中の狭い空間に、筐体のスライド距離に対応した分だけ、ケーブル部材12を引っ掛からずにスムーズに出し入れすることは難しいという問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題を解決し、シャフトを2本設けて各シャフトを第1筐体と第2筐体に分散して取り付けることにより、短いシャフトであっても比較的長いスライド距離を得ることができ、また、スライド可動領域を第1筐体と第2筐体に分散することにより、各筐体の構造上の制約を分散することができる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の携帯端末は、第1の筐体と当該第1の筐体に対面する第2の筐体とを有する携帯端末に配設されるスライド機構であって、摺動用の第1のガイド筒穴と第2のガイド筒穴が並行に2個設けられたスライド中間部材と、前記第1のガイド筒穴に挿入されて摺動し、前記第1の筐体への取り付け用の両端部を有し、一対の前記端部が前記第1の筐体の2個所に設けられた第1固定部にはめ込まれることにより前記第1の筐体に固定される第1のシャフトと、前記第1のシャフトの一方の端部と前記スライド中間部材間に併設されて、この両者間が伸長する方向に摺動させる付勢力を生じる第1のバネ部材と、前記第2のガイド筒穴に挿入されて摺動し、前記第2の筐体への取り付け用の両端部を有し、一対の前記端部が前記第2の筐体の2個所に設けられた第2固定部にはめ込まれることにより前記第2の筐体に固定される第2のシャフトと、前記第2のシャフトの一方の端部と前記スライド中間部材間に併設されて、この両者間が伸長する方向に摺動させる付勢力を生じる第2のバネ部材とを有し、前記第1の筐体および第2の筐体の側部に配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シャフトを2本設けて各シャフトを第1筐体と第2筐体に分散して取り付けることにより、短いシャフトであっても比較的長いスライド距離を得ることができ、また、スライド可動領域を第1筐体と第2筐体に分散することにより、各筐体の構造上の制約を分散することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の各実施例に係る携帯端末およびスライド機構の外観斜視図。
【図2】本発明の実施例1に係る携帯端末のスライド開状態の上面、側面、および底面図の透視図。
【図3】本発明の実施例1に係る携帯端末のスライド状態を説明する側面図の透視図。
【図4】本発明の実施例2に係る携帯端末のスライド開状態の上面、側面、および底面図の透視図。
【図5】本発明の実施例2に係る携帯端末のスライド状態を説明する側面図の透視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の各実施例に係る携帯端末およびスライド機構の外観斜視図であり、筐体がスライドして開いた状態を示す。図1(A)は携帯端末100の外観斜視図、図1(B)はスライド機構50の外観斜視図である。スライド機構50は、携帯端末100の点線矢印間に内蔵される。図1(A)、(B)両図の縮尺は異なる。
【0015】
まず、図1(B)について説明する。スライド機構50は、第1シャフト1、端部2、第1バネ3、端部4、第2シャフト5、端部6、第2バネ7、端部8、スライド中間部材9などから構成される。スライド中間部材9は、第1ガイド筒穴10と第2ガイド筒穴11が並行に設けられる。
【0016】
第1シャフト1は、第1バネ3と第1ガイド筒穴10に通されて、両端を端部2と端部4で固定される。第2シャフト5は、第2バネ7と第2ガイド筒穴11に通されて、両端を端部6と端部8で固定される。第1シャフト1と第2シャフト5の長さは同じである。
【0017】
第1バネ3と第2バネ7は、伸長方向の付勢力が生じるスプリングコイルバネである。したがって、スライド機構50は、端部2と端部6とが離れる方向に、第1シャフト1と第2シャフト5がスライド中間部材9を介してスライドする。第1バネ4と第2バネ7の形状およびバネ強度は同じである。
【0018】
スライド機構50の端部2と端部4は、携帯端末100の第1筐体20に取り付けられて固定される。また、端部6と端部8は、第2筐体40に取り付けられて固定される。したがって、スライド機構50は、携帯端末100の第1筐体20と第2筐体40が相互にスライドする付勢力を与える。
【0019】
なお、付勢力によりスライドしたあとの衝撃を緩和する緩衝部を、スライド中間部材9と端部4間に、第1シャフト1に外嵌して設け、また、スライド中間部材9と端部8間に、第2シャフト5に外嵌して設けるが、図示を省略する。
【0020】
次に、図1(A)について説明する。携帯端末100は、第1筐体20が第2筐体40を包み込む構造であり、第1筐体20のガイド凸部25と第2筐体40のガイド凹部43が底面側からスライド方向に設けられ、両者が鞘状に合わさって、ガイドとしてスライド自在に係合している。
【0021】
第1筐体20の上面側には、受話器21、表示部22、多機能キー23などが設けられる。第1筐体20の側面側には、ロックキー24が設けられる。第2筐体40の上面側には、送話器41、テンキー42などが設けられる。
【0022】
ユーザは、第1筐体20の方に第2筐体40をスライド機構50の付勢力に抗してスライドして最後まで押し込むと、内部のロック機構(図示せず)により、第1筐体20と第2筐体40とが閉状態でロックされる。そして、ユーザは、第1筐体20を手に持ったまま、ロックキー24を押下するとロック機構が解除されて、スライド機構50の付勢力により、第2筐体40が飛び出して、図1(A)の開状態になる。
【実施例1】
【0023】
次に、携帯端末100の内部構造の詳細について説明する。実施例1は、スライド機構50を一式設けた例である。
【0024】
図2は、本発明の実施例1に係る携帯端末のスライド開状態の上面、側面、および底面図の透視図である。スライド機構50の付勢力により開いて安定した状態を示す。図2(A)は上面図であり、説明をわかりやすくするために、スライド機構50とケーブル70の関連部分を透視した状態で示す。図2(B)は側面図、図2(C)は底面図であり、スライド機構50とケーブル70が側面から見ると重なって説明しづらいので、スライド機構50の関連部分を透視した状態で示す。図2(D)は側面図、図2(E)は底面図であり、ケーブル70の関連部分を透視した状態で示す。
【0025】
第1筐体20に設ける部材は、スライド機構50とケーブル70を除いて、符合20〜30番台で示す。第2筐体40に設ける部材は、符合40番台で示す。
【0026】
第1筐体20には、図1で示した部材以外に、第1基板26、コネクタ27、窓28、窓29、第1固定部30などを有する。第2筐体40には、図1で示した部材以外に、第2基板44、コネクタ45、窓46、窓47、第2固定部48などを有する。
【0027】
「スライド機構50関連」
スライド機構50の第1シャフト1側の端部2と端部4は、第1筐体20の第1固定部30(2箇所)に取り付け固定される。第1固定部30(2箇所)は、端部2と端部4が嵌め込まれる構造である。
【0028】
スライド機構50の第2シャフト5側の端部6と端部8は、第2筐体40の第2固定部48(2箇所)に取り付け固定される。第2固定部48(2箇所)は、端部6と端部8が嵌め込まれる構造である。
【0029】
窓29と窓47は、第1筐体20と第2筐体40間を貫通するスライド中間部材9用のスペースであり、また、スライド動作に伴って移動するスライド中間部材9の移動距離がスライド方向に確保してある。
【0030】
これにより、第1筐体20と第2筐体40に対して、スライド機構50が付勢力を与え、自在なスライドを行うことができる。
「ケーブル70関連」
ケーブル70は、数10本の細線同軸線を結束したケーブルであり、スライドする第1筐体20と第2筐体40間の電気信号の接続用であり、耐ノイズ性と柔軟性に優れる。ケーブル70の両端は、コネクタ27とコネクタ45に接続される。
【0031】
第1基板26には、受話器21、コネクタ27、カメラ撮像部(図示せず)などが搭載される。また、表示部22や多機能キー23(図1)との接続部(図示せず)がある。第2基板44には、送話器41、テンキー42、コネクタ45、CPUなどの制御部(図示せず)などが搭載される。
【0032】
窓28と窓46は、第1筐体20と第2筐体40間を貫通するケーブル70用のスペースであり、また、スライド動作に伴って移動するケーブル70の移動距離がスライド方向に確保してある。
【0033】
図3は、本発明の実施例1に係る携帯端末のスライド状態を説明する側面図の透視図である。図3(A)は、携帯端末の筐体がスライド機構50の付勢力によりスライドして開いた安定状態であり、先の図2(B)、(D)と同じであり、スライド機構50の関連部分の透視図と、ケーブル70の関連部分の透視図に分けて示す。図3(B)は、開状態と閉状態の間の途中状態であり、この状態に自動で留まることはない。図3(C)は、スライドして閉じてロック機構(図示せず)によりロックされた安定状態である。
【0034】
図3(A)では、第1バネ3と第2バネ7の伸張方向の付勢力により、第1筐体20と第2筐体40が開く方向にスライドした状態で安定している。この状態から、ユーザは、第1筐体20の方に第2筐体40をスライド機構50の付勢力に抗してスライドして押し込み、図3(B)の途中状態を経て、最後まで押し込むと、図3(C)の閉状態になり、この閉状態では、内部のロック機構(図示せず)により、第1筐体20と第2筐体40とが直接ロックされて閉状態で安定する。
【0035】
そして、図3(C)の閉状態において、ユーザは、第1筐体20を手に持ったまま、ロックキー24を押下するとロック機構が解除されて、スライド機構50の伸張方向の付勢力により、第2筐体40が飛び出して、図3(B)の途中状態を経て、図3(A)の開状態になって安定する。
【0036】
なお、ロック機構(図示せず)は本発明の主旨とは直接関係ないので説明しないが、例えば、特開2006−245347号の図6のロック機構などを用いればよい。
【0037】
次に、スライド中間部材9の動きについて説明する。第1バネ3と第2バネ7の強度、形状が同じであるため、図3(A)、(B)、(C)のいずれの状態でも、スライド中間部材9は、端部2と端部6間のほぼ中間位置になるようにスライドする。
【0038】
第1筐体20を基準にして、第2筐体40がスライドした距離を、図中に「L」で示す。これに対して、第1筐体20を基準にして、第1筐体20の中で、スライド中間部材9がスライドした距離を、図中に「L/2」で示す。また、距離として図示しないが、第2筐体40を基準にして、第2筐体40の中で、スライド中間部材9がスライドした距離も、同じ「L/2」である。
【0039】
すなわち、第1筐体20と第2筐体40間のスライド距離「L」に対して、第1筐体20と第2筐体40それぞれの中では、スライド中間部材9のスライド距離「L/2」を確保すればよい。すなわち、第1筐体20と第2筐体40がそれぞれスライド距離を半分ずつ分担すればよい。
【0040】
ケーブル70の動きについて説明する。ケーブル70の一方の端部のコネクタ27に対してコネクタ45は、距離「L」を移動する。しかし、ケーブル70はUターンしているので、Uターン部分の移動距離は、その半分の「L/2」で済む。ケーブル70は、図示したように移動し、窓28と窓46は、ケーブル70のUターン部分の移動に対応できるスライド方向の長さであればよい。
【0041】
実施例1によれば、従来のシャフト1本の場合に比べて、第1シャフト1、第2シャフト5のように短いシャフトを2本設けて、各シャフトを第1筐体と第2筐体に分散して取り付けることにより、短いシャフトであっても比較的長いスライド距離を得ることができる。
【0042】
また、各筐体内のスライド中間部材9のスライド距離も各筐体に分散され、この可動領域を確保するための窓2、窓47のスライド方向の距離も各筐体に分散して短くすることができ、各筐体の構造上の制約および各筐体間のケーブル配線の制約を分散することが可能となる。また、これらの窓のスライド方向の距離が短くできるので、窓が外部に見えてしまうことを防ぐことができる。
【0043】
なお、第1バネ3、第2バネ7は、伸長方向の付勢力を生じるバネであったが、短縮方向の付勢力を生じるバネにして、第1バネ3を第1シャフト1の端部4とスライド中間部材9との間に設けて第1バネ3の両端を固着し、第2バネ7を第2シャフト5の端部8とスライド中間部材9との間に設けて第2バネ7の両端を固着するようにしてもよい。また、伸長方向の付勢力を生じるバネと短縮方向の付勢力を生じるバネの組み合わせでもよい。
【実施例2】
【0044】
図4は、本発明の実施例2に係る携帯端末のスライド開状態の上面、側面、および底面図の透視図である。実施例1との相違点は、スライド機構は、第1スライド機構50と第2スライド機構51の2式を設けて、第2スライド機構51については、ケーブル70と一体構造にしたことである。図4(A)は上面図であり、説明をわかりやすくするために、第1スライド機構50、第2スライド機構51、ケーブル70の関連部分を透視した状態で示す。
【0045】
図4(B)は側面図、図4(C)は底面図であり、第2スライド機構51とケーブル70の関連部分を透視した状態で示す。ただし、側面図は、第4シャフト5aと第2基板44とが重なるために、説明をわかりやすくするために、第2基板44を意図してずらして記載している。第1スライド機構50の側面図は、実施例1と同じであり、側面図の図示を省略する。また、第1実施例と同じものには同一番号を付して説明を省略し、相違点を主に以下に説明する。
【0046】
実施例1に対して第2スライド機構51を追加する。第2スライド機構51は、第1スライド機構50と同じ構造であり、第3シャフト1aの両端部は、第1筐体20の第3固定部30a(2箇所)に嵌め込まれて固定される。第4シャフト5aの両端部は、第2筐体40の第4固定部48a(2箇所)に嵌め込まれて固定される。
【0047】
スライド中間部材9aには、ケーブル70の途中箇所を通して固定するための穴12がある。ケーブル70の途中箇所は、スライド中間部材9aの移動と一緒に移動することになる。ケーブル70の一方の端部が接続されるコネクタ45は、実施例1とは異なる位置に配置されている。ケーブル70は、S字状の形状に配置される。
【0048】
窓28、窓46は、第1筐体20と第2筐体40間を貫通するスライド中間部材9a用
用のスペースであり、スライド動作に伴って移動するスライド中間部材9aの移動距離がスライド方向に確保してある。また、窓28、窓46は、第1筐体20と第2筐体40間を貫通するケーブル70用のスペースを兼ねており、スライド動作に伴って移動するケーブル70の移動距離がスライド方向に確保してある。
【0049】
スライド機構を2式設けたので、各バネの強度は、実施例1に比べて半分でよく、バネを小さくすることができる。
【0050】
次に、携帯端末のスライド状態について説明する。
図5は、本発明の実施例2に係る携帯端末のスライド状態を説明する側面図の透視図である。第1スライド機構50については、実施例1と同じであるので図示説明を省略する。図5(A)は、携帯端末の筐体が第1スライド機構50と第2スライド機構51の付勢力によりスライドして開いた安定状態であり、先の図4(B)と同じである。図5(B)は、開状態と閉状態の間の途中状態であり、この状態に自動で留まることはない。図5(C)は、スライドして閉じてロック機構(図示せず)によりロックされた安定状態である。
【0051】
第2スライド機構51の動作は、実施例1のスライド機構50の動作と同じであり、説明を省略する。
【0052】
ケーブル70の動きについて説明する。ケーブル70の一方の端部のコネクタ27に対してスライド中間部材9aの穴(ケーブル70の略中間部の固定点)は、距離「L/2」を移動する。したがって、ケーブル70の第1筐体20側のUターン部分の移動距離は、その半分の「L/4」で済む。また、同様に、ケーブル70の第2筐体40側のUターン部分の第2筐体40に対する移動距離は、「L/4」で済む。ケーブル70は、図示したように移動し、窓28と窓46は、ケーブル70のUターン部分の移動に対応できるスライド方向の長さであればよい。
【0053】
なお、第2スライド機構51にケーブル70を一体化したが、第1スライド機構50にケーブル70を一体化してもよい。
【0054】
実施例2によれば、実施例1の効果および、さらに、ケーブル70の移動距離を短くすることができて、細線同軸線のようにフレキシブルケーブル等に比べて剛性が比較的弱いケーブルであっても対応することができる。
【0055】
他の実施例として、実施例2の状態から第1のスライド機構50を削除して、第2のスライド機構51とケーブル70の一体構造のみとしてもよい。それにより、窓の数を少なくすることができる。
【0056】
また、実施例2の状態から第2のスライド機構51のバネを削除して、第2のスライド機構51は付勢力なしのガイド機構として動作させてもよい。その場合、スライド中間部材9aは、第2のスライド機構51の中間位置にバネで強制されないので、ケーブル70の一体構造をやめて、実施例1のように専用の窓を設けてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 第1シャフト
1a 第3シャフト
2 端部
3 第1バネ
4 端部
5 第2シャフト
5a 第4シャフト
6 端部
7 第2バネ
8 端部
9、9a スライド中間部材
10 第1ガイド筒穴
11 第2ガイド筒穴
12 穴
20 第1筐体
21 受話器
22 表示部
23 多機能キー
24 ロックキー
25 ガイド凸部
26 第1基板
27 コネクタ
28、29 窓
30 第1固定部
30a 第3固定部
40 第2筐体
41 送話器
42 テンキー
43 ガイド凹部
44 第2基板
45 コネクタ
46、47 窓
48 第2固定部
48a 第4固定部
50 第1スライド機構
51 第2スライド機構
70 ケーブル
100 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と当該第1の筐体に対面する第2の筐体とを有する携帯端末に配設されるスライド機構であって、
摺動用の第1のガイド筒穴と第2のガイド筒穴が並行に2個設けられたスライド中間部材と、
前記第1のガイド筒穴に挿入されて摺動し、前記第1の筐体への取り付け用の両端部を有し、一対の前記端部が前記第1の筐体の2個所に設けられた第1固定部にはめ込まれることにより前記第1の筐体に固定される第1のシャフトと、
前記第1のシャフトの一方の端部と前記スライド中間部材間に併設されて、この両者間が伸長する方向に摺動させる付勢力を生じる第1のバネ部材と、
前記第2のガイド筒穴に挿入されて摺動し、前記第2の筐体への取り付け用の両端部を有し、一対の前記端部が前記第2の筐体の2個所に設けられた第2固定部にはめ込まれることにより前記第2の筐体に固定される第2のシャフトと、
前記第2のシャフトの一方の端部と前記スライド中間部材間に併設されて、この両者間が伸長する方向に摺動させる付勢力を生じる第2のバネ部材とを有し、
前記第1の筐体および第2の筐体の側部に配設したこと
を特徴とする携帯端末用のスライド機構。
【請求項2】
第1の筐体と、この第1の筐体に対面する第2の筐体と、この第1および第2の筐体に取り付けられて第1および第2の筐体を相互に摺動させる付勢力を生じるスライド機構とを備える携帯端末であって、
前記スライド機構は、
摺動用の第1のガイド筒穴と第2のガイド筒穴が並行に2個設けられたスライド中間部材と、
前記第1のガイド筒穴に挿入されて摺動し、前記第1の筐体への取り付け用の両端部を有し、一対の前記端部が前記第1の筐体の2個所に設けられた第1固定部にはめ込まれることにより前記第1の筐体に固定される第1のシャフトと、
前記第1のシャフトの一方の端部と前記スライド中間部材間に併設されて、この両者間が伸長する方向に摺動させる付勢力を生じる第1のバネ部材と、
前記第2のガイド筒穴に挿入されて摺動し、前記第2の筐体への取り付け用の両端部を有し、一対の前記端部が前記第2の筐体の2個所に設けられた第2固定部にはめ込まれることにより前記第2の筐体に固定される第2のシャフトと、
前記第2のシャフトの一方の端部と前記スライド中間部材間に併設されて、この両者間が伸長する方向に摺動させる付勢力を生じる第2のバネ部材とを
有し、
前記スライド機構を前記第1の筐体および第2の筐体の側部に配設し、配設した状態において、前記第1のシャフトの両端部が前記第1の筐体に固定され、前記第2のシャフトの両端部が前記第2の筐体に固定されることを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
第1の筐体と、この第1の筐体に対面する第2の筐体と、この第1および第2の筐体に取り付けられて第1および第2の筐体を相互に摺動させる第1のスライド機構およびこの第1のスライド機構と平行に設けられる第2のスライド機構とを備える携帯端末であって、
前記第1のスライド機構は、
摺動用の第1のガイド筒穴と第2のガイド筒穴が並行に2個設けられたスライド中間部材と、
前記第1のガイド筒穴に挿入されて摺動し、前記第1の筐体への取り付け用の両端部を有し、一対の前記端部が前記第1の筐体の2個所に設けられた第1固定部にはめ込まれることにより前記第1の筐体に固定される第1のシャフトと、
前記第1のシャフトの一方の端部と前記スライド中間部材間に併設されて、この両者間が伸長する方向に摺動させる付勢力を生じる第1のバネ部材と、
前記第2のガイド筒穴に挿入されて摺動し、前記第2の筐体への取り付け用の両端部を有し、一対の前記端部が前記第2の筐体の2個所に設けられた第2固定部にはめ込まれることにより前記第2の筐体に固定される第2のシャフトと、
前記第2のシャフトの一方の端部と前記スライド中間部材間に併設されて、この両者間が伸長する方向に摺動させる付勢力を生じる第2のバネ部材とを
有し、
前記第2のスライド機構は、
摺動用の第3のガイド筒穴と第4のガイド筒穴が並行に2個設けられたスライド中間部材と、
前記第3のガイド筒穴に挿入されて摺動し、前記第1の筐体への取り付け用の両端部を有する第3のシャフトと、
前記第4のガイド筒穴に挿入されて摺動し、前記第2の筐体への取り付け用の両端部を有する第4のシャフトとを
有し、
前記第1及び第2のスライド機構を前記第1の筐体および第2の筐体の側部に配設し、配設した状態において、前記第1のシャフトの両端部が前記第1の筐体に固定され、前記第2のシャフトの両端部が前記第2の筐体に固定され、前記第3のシャフトの両端部が前記第1の筐体に固定され、前記第4のシャフトの両端部が前記第2の筐体に固定されることを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−151897(P2012−151897A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−85910(P2012−85910)
【出願日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【分割の表示】特願2007−317508(P2007−317508)の分割
【原出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(310022372)富士通モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】