説明

携帯端末の充電台

【課題】 携帯端末に取付けられたハンドストラップを挟み込んでしまうことを確実に防止できる携帯端末の充電台を提供する。
【解決手段】 充電台1にはストラップ導入ステー16が設けられている。携帯型コードリーダ2を充電台1に載置すると、ストラップ導入ステー16が回動し、携帯型コードリーダ2に取付けられているハンドストラップ15を充電台1の後方に誘い込まれる(図1(a)〜(c))。ハンドストラップ15は、携帯型コードリーダ2が充電台1に完全に載置された状態では、携帯型コードリーダ2の受電面部4と間で形成されたストラップ収容部25の開口部25aを通じて外方に排出される(図1(d))。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末が所定のセット位置に載置された状態で当該携帯端末の受電面部に対して電気的に接触することにより充電する携帯端末の充電台に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信機或いは情報読取端末などの携帯端末を充電する場合、携帯端末を充電台の所定のセット位置に載置した状態で充電するようにしている。
【特許文献1】特開2002−135985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、携帯端末には落下防止用のハンドストラップが取付けられているのが一般的であることから、引用文献1のものでは、充電台のセット位置に対応した部位にストラップ収容溝を形成し、携帯端末が充電台に載置された状態では、携帯端末に取付けられたハンドストラップをストラップ収容溝に位置させることにより充電に支障を生じないように工夫している。
【0004】
しかしながら、ハンドストラップは柔軟であると共に比較的長いことから、携帯端末を充電台のセット位置に単に載置した場合には、携帯端末と充電台との間にハンドストラップを挟み込んでしまうことがあり、充電不良を生じてしまう虞がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、携帯端末に取付けられたハンドストラップを挟み込んでしまうことを確実に防止できる携帯端末の充電台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明によれば、携帯端末を充電台のセット位置に載置すると、携帯端末がセット位置に載置されるのに応動して、移動手段が携帯端末の受電面部の一方の端部から他方の端部に向かって移動するので、それに伴って、携帯端末に取付けられたハンドストラップが受電面部の一方の端部から他方の端部に向かって誘い込まれる。そして、携帯端末が充電台のセット位置に完全に載置された状態では、ハンドストラップは、ストラップ収容部の開口部を通じて外方に排出されるので、ハンドストラップが携帯端末と充電台との間に挟まれてしまうことを防止できる。
【0007】
請求項2の発明によれば、移動手段をワイヤー状の部材で形成することができるので、移動手段の小形化及び軽量化を図ることができる。
請求項3の発明によれば、ハンドストラップを充電台の後方に排出することができるので、排出されたハンドストラップが邪魔になることはないと共に、見映えが悪化することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施例)
以下、本発明を携帯型コードリーダに適用した第1実施例について図1ないし図6を参照して説明する。
図2は携帯型コードリーダの正面図である。この図2において、充電台1には携帯型コードリーダ(携帯端末に相当)2が載置されており、携帯型コードリーダ2が載置された状態で商用交流電源3(図3参照)から携帯型コードリーダ2に充電するようになっている。つまり、充電台1及び携帯型コードリーダ2には受電面部4及び充電端子5(図1参照)がそれぞれ設けられおり、充電台1に携帯型コードリーダ2が載置された状態では、それらの受電面部4及び充電端子5同士が導通接触することにより携帯型コードリーダ2に対して充電が行われるようになっている。
また、充電台1及び携帯型コードリーダ2には光通信機能が設けられており、充電台1に携帯型コードリーダ2が載置された状態で当該携帯型コードリーダ2に記憶された読取情報が光通信により充電台1側に送信可能となっている。
【0009】
図3は、充電台1及び携帯型コードリーダ2の電気的構成を概略的に示す機能ブロック図である。この図3において、充電台1は、電源回路6、通信制御回路9から構成されている。一方、携帯型コードリーダ2は、充電検出及び通信制御機能を有した制御部10、警音部11、通信回路12、充電回路7、電源用の二次電池13から構成されている。
【0010】
充電台1において、通信制御回路9はパソコン14と接続されており、携帯型コードリーダ2が読取ったコード情報をパソコン14に送信するようになっている。
携帯型コードリーダ2において、充電回路7は、充電台1の電源回路6から充電端子5、受電面部4を通じての給電状態で二次電池13に充電する。二次電池13は図示しない電源スイッチがオンに切換えられた状態で携帯型コードリーダ2の内部回路に給電すると共に、電源スイッチのオンオフ状態にかかわらず充電されるようになっている。
【0011】
制御部10は、充電回路7による充電状態を監視しており、その充電状態を通信回路12を通じて充電台1の通信制御回路9に送信する。また、制御部10は、通信回路12を通じて充電台1から通知された充電状態に基づいて充電開始したかを判断し、充電開始しなかったときは充電不良であると判断して警音部11を駆動するようになっている。
【0012】
ここで、携帯型コードリーダ2の基端部にはハンドストラップ15(図1参照)が取付けられており、携帯型コードリーダ2により読取作業を行う場合は、そのハンドストラップ15を手首に掛けて操作することにより落下防止を図ることができる。
【0013】
一方、充電台1には、本発明に関連してストラップ導入ステー(移動手段に相当)16が取付けられている。このストラップ導入ステー16は、後述するように携帯型コードリーダ2に取付けられているハンドストラップ15が充電台1との間に挟まってしまうことを防止するためのもので、以下、その構成について説明する。
【0014】
図4は破断して示す充電台の正面面、図5は破断して示す充電台の側面図、図6は充電台1の平面図である。これらの図4ないし図6において、充電台1の中央には載置部17が陥没形成されており、その載置部17に一対の充電端子5が上方に突出して設けられている。載置部17の周囲は壁面部18で囲繞されている。壁面部18において、載置部17の前面となる前壁面部18aの中間にはスリット部19が形成されている。載置部17には一段低くなった溝部20が後方に向かって形成されている。この溝部20は、後述するように携帯型コードリーダ2に取付けられたハンドストラップ15が位置すると共に、ストラップ導入ステー16の先端が位置するためのものである。
【0015】
壁面部18において載置部17の後面となる後壁面部18bの中間にはスリット部21が形成されている。このスリット部21は、後述するように携帯型コードリーダ2に取付けられたハンドストラップ15が位置するためのものである。後壁面部18bにおいてスリット部21で分断された両側の部位には後壁面部18bの上面よりも一段低い段部22が形成されていると共に、その段部22よりもさらに低い底面を有する溝部23が形成されており、その溝部23が載置部17に形成された溝部20に面一に連結している。
【0016】
ストラップ導入ステー16は、コ字形状に形成されたワイヤー状のスプリング部材からなり、その基端部16aが段部22に固定されたブラケット24のシャフト24aに巻回された状態で回動防止が図られている。基端部16aから延びる回動支持部16bの先端に移動部16cが設けられており、通常状態においては、図5に示すように水平方向を指向する初期位置に位置している。このストラップ導入ステー16は、下側方向の力が作用した場合は、シャフト24aを中心として下側方向に回動すると共に、下側方向の力が解除されると、弾性力により元の初期位置に復帰するようになっている。
【0017】
次に、上記構成の作用について説明する。
携帯型コードリーダ2を充電台1に載置して充電するときは、図1(a)に示すように携帯型コードリーダ2の端部に取付けられているハンドストラップ15を充電台1の後壁面部18bの中間に形成されたスリット部21に位置させた状態で載置部17に載置する。このとき、携帯型コードリーダ2が載置部17に載置される過程で、同図(b)に示すようにストラップ導入ステー16が携帯型コードリーダ2の受電面部4の一方の端部に当接する。
【0018】
携帯型コードリーダ2の充電台1に対する載置を継続すると、ストラップ導入ステー16の回動支持部16bが携帯型コードリーダ2に押されて水平方向の初期位置から下方向に回動し、携帯型コードリーダ2の通過経路と交差するようになる。すると、ストラップ導入ステー16の移動部16cは、図1(c)に示すように携帯型コードリーダ2の通過経路全体を交差するのに伴って携帯型コードリーダ2の受電面部4の一方の端部から他方の端部に向かって移動するようになる。これにより、携帯型コードリーダ2の端部に取付けられているハンドストラップ15は、ストラップ導入ステー16の移動に伴って充電台1の後方に向かって誘い込まれるようになる。
【0019】
そして、携帯型コードリーダ2が載置部17に完全に載置された状態(所定のセット位置に載置された状態)では、図1(d)に示すようにストラップ導入ステー16が受電面部4の他方の端部まで移動して載置部17に形成された溝部20に位置するようになるので、携帯型コードリーダ2に取付けられたハンドストラップ15はストラップ導入ステー16により完全に誘い込まれた状態となっている。このような状態では、充電台1の充電端子5が携帯型コードリーダ2の受電面部4に接触するので、携帯型コードリーダ2への充電が開始すると共に、携帯型コードリーダ2が収集したデータが充電台1との間の光通信によりパソコン14に送信されるようになる。
【0020】
ここで、携帯型コードリーダ2を充電台1の載置部17に完全に載置した状態では、携帯型コードリーダ2の受電面部4と充電台1の載置部17の溝部20との間にストラップ収容部25(図1(d)参照)が形成される。このストラップ収容部25には充電台1の後方を臨む開口部25aが形成されており、ハンドストラップ15は、その開口部25aを通じて充電台1の後方に排出された形態となっている。
一方、携帯型コードリーダ2を充電台1から取り出すと、ストラップ導入ステー16がワイヤー部材の弾性力により水平方向の初期位置に復帰するようになる。
【0021】
このような実施例によれば、充電台1にストラップ導入ステー16を設け、携帯型コードリーダ2を充電台1に載置する際に、ストラップ導入ステー16により携帯型コードリーダ2に取付けられたハンドストラップ15を受電面部4の一方の端部から他方の端部に誘い出すことにより、携帯型コードリーダ2が充電台1に載置された状態で、ハンドストラップ15を充電台1のストラップ収納部25の開口部25aを通じて後方に排出するようにしたので、ハンドストラップを充電台に形成した溝部に位置させる従来構成のものに比較して、携帯型コードリーダ2と充電台1との間にハンドストラップが挟まれてしまうことを確実に防止することができる。従って、携帯型コードリーダ2を確実に充電したり、携帯型コードリーダ2と充電台1との間の光通信を確実に実行したりすることができる。
しかも、ストラップ導入ステー16をワイヤー部材から形成するようにしたので、低コストで容易に実施することができると共に、ストラップ導入ステー16の小形化及び軽量化を図ることができる。
【0022】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例について図7を参照して説明するに、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。この第2実施例は、ストラップ導入ステー16として、スプリング部材に代えてワイヤー状の鋼材を用いたことを特徴とする。
ストラップ導入ステー16は線状の鋼材からなり、図7に示すようにその基端部16aに重錘31を取付けることにより初期位置への復元力を与えるようにしている。このストラップ導入ステー16による作用効果は第1実施例と同一である。
【0023】
このような実施例によれば、第1実施例と同様に、ストラップ導入ステー16に初期位置への復元力を与えることができるので、携帯型コードリーダ2の充電台1に対する載置により、ストラップ導入ステー16の移動に伴って携帯型コードリーダ2に取付けられたハンドストラップ15を充電台1の外部に誘い出すことができると共に、携帯型コードリーダ2を充電台1から取外した場合は、ストラップ導入ステー16を初期位置に自動的に復帰させることができる。
【0024】
(第3実施例)
次に、本発明の第3実施例について図8ないし図10を参照して説明する。この第3実施例は、ストラップ導入ステー16によるハンドストラップ15の誘い出し方向を充電台1の横方向に設定したことを特徴とする。
【0025】
充電台1の正面を示す図8、充電台1の側面を示す図9、充電台1の平面を示す図10において、充電台1の載置部17には、充電台1の横方向に向かって一段低い溝部41が形成されている。壁面部18において載置部17の側方となる側壁面部18cにスリット部42が形成されている。このスリット部42は、携帯型コードリーダ2に取付けられたハンドストラップ15が位置するためのものである。スリット部42により分断された両側の部位には一段低い段部43が形成されており、その段部43に、ストラップ導入ステー16が設けられている。この実施例では、ストラップ導入ステー16は、携帯型コードリーダ2が充電台1に載置されるのに伴って先端の移動部16cが充電台1の横方向に移動するもので、携帯型コードリーダ2が充電台1に完全に載置された状態では、携帯型コードリーダ2に取付けられたハンドストラップ15は、携帯型コードリーダ2の受電面部4と充電台1との間に形成されたストラップ収容部の開口部(何れも図示せず)から横方向に排出された形態となる。
【0026】
このような実施例によれば、携帯型コードリーダ2に取付けられたハンドストラップ15を充電台1の横方向に排出することができるので、充電台1の後面を例えば壁面に密着して使用する場合に有効である。
【0027】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
ストラップ導入ステー16によるハンドストラップ15の誘い出し方向としては、充電台1の後方或いは側方に限らず、充電台1の前方となるように構成してもよい。
携帯型コードリーダ2が充電台1に載置されるのに伴って、転動体が携帯型コードリーダの受電面部の一方の端部から他方の端部に転動することにより携帯型コードリーダ2に取付けられたハンドストラップ15を充電台1の外部に誘い出すようにしてもよい。
本発明を、携帯電話機の充電台に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施例における携帯型コードリーダの載置過程を順に示す充電台の破断面図
【図2】携帯型コードリーダの載置状態で示す充電台の正面図
【図3】携帯型コードリーダ及び充電台の電気的構成を示す図
【図4】破断して示す充電台の正面図
【図5】破断して示す充電台の側面図
【図6】充電台の平面図
【図7】本発明の第2実施例を示す図5相当図
【図8】本発明の第3実施例を示す充電台の正面図
【図9】充電台の側面図
【図10】充電台の平面図
【符号の説明】
【0029】
図面中、1は充電台、2は携帯型コードリーダ(携帯端末)、4は受電面部、5は充電端子、15はハンドストラップ、16はストラップ導入ステー(移動手段)、16bは回動支持部、16cは移動部、25はストラップ収容部、25aは開口部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末が所定のセット位置に載置された状態で当該携帯端末の受電面部に対して電気的に接触することにより充電する充電台において、
前記携帯端末が前記セット位置に載置されるのに応動して前記受電面部の一方の端部から他方の端部に向かって移動する移動手段と、
前記セット位置に載置された前記携帯端末の前記受電面部との間で前記移動手段の移動方向に向かって開口する開口部を形成するストラップ収容部とを備え、
前記移動手段は、前記携帯端末が前記セット位置に載置されるのに応動して移動する際に、前記携帯端末に取付けられたハンドストラップを前記受電面部の前記一方の端部から前記他方の端部に向かって誘い込み、前記携帯端末が前記セット位置に載置された状態では、前記ハンドストラップを前記ストラップ収容部の前記開口部を通じて外方に排出することを特徴とする携帯端末の充電台。
【請求項2】
前記移動手段は、
前記携帯端末が前記セット位置に載置される際に通過する通過経路と交差するように軸支された回動支持部と、
この回動支持部の先端に設けられ、前記回動支持部の回転に伴って前記携帯端末の通過経路全体と交差する移動部とを備え、
前記携帯端末が前記セット位置に載置されていない状態では、前記携帯端末が前記セット位置に載置される過程で前記移動部が前記受電面部の前記一方の端部に当接する初期位置に位置決めされていることを特徴とする携帯端末の充電台。
【請求項3】
前記ストラップ収容部の前記開口部は、後方に向かって開口していることを特徴とする請求項1または2記載の携帯端末の充電台。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−60823(P2007−60823A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243882(P2005−243882)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】