説明

携帯端末装置

【課題】
折りたたみ式携帯端末装置において、携帯端末装置の状態に応じて各種情報を好適に画面上に表示させる。
【解決手段】
表面部に操作キーが配設された操作部側筐体と表示部側筐体とをヒンジ機構を介して連結し、操作部側筐体の表面部と表示部側筐体の表面部とを互いに対向させて操作部側筐体と表示部側筐体とを折り畳み可能な携帯端末装置において、表示部側筐体の表面部に各種情報を表示可能な第1表示手段を配設するとともに、操作部側筐体の裏面部にも各種情報を表示可能な第2表示手段を配設して、第1表示手段と第2表示手段との作動を制御することにより、携帯端末装置の状態に応じて第1表示手段と第2表示手段とに各種情報を好適に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの携帯端末装置に関し、操作部側筐体と表示部側筐体とをヒンジ機構によって折り畳み可能に連結した折り畳み式携帯端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末装置には、表面部に操作キー等を備えた操作部側筐体と表面部に各種情報を表示させるディスプレイ(表示手段)が配設された表示部側筐体とをヒンジ機構によって折り畳み可能に連結した折畳式携帯電話機などがある。この折畳式携帯電話機は、折り畳み時に操作部側筐体の表面部と対向する表示部側筐体の表面部にディスプレイが配設されており、操作部側筐体と表示部側筐体とを開いた開放状態では操作部側筐体の操作キーの入力操作に応じた入力内容などの各種情報が該ディスプレイに表示される。また、操作部側筐体と表示部側筐体とが折り畳まれた折畳状態において、時刻や着信案内などの各種情報を表示するために、表示部側筐体の裏面部にサブディスプレイ(表示手段)が配設されている。
【0003】
また、特許文献1に開示されているように、折畳状態においてもより多くの情報を表示させるために、表示部側筐体のディスプレイ部分を反転可能に構成し、表示部側筐体のディスプレイ部分を反転させて折畳状態とした場合に、折畳状態でも表示部側筐体の表面部に配設されたディスプレイに各種情報を表示させるようにした携帯端末装置が知られている。
【特許文献1】特開2002−344591号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示部側筐体の一部を反転可能に構成された携帯端末装置は、携帯端末装置の状態を折畳状態と解放状態との間で切り換える際に、表示部側筐体のディスプレイ部分をその都度反転させる操作が必要となり、使用者にとって使い勝手が悪いといった問題がある。
また、表示部側筐体の表面部と裏面部とにそれぞれディスプレイを配設しても、折畳状態と開放状態とのいずれの状態においても何れか一方のディスプレイを作動させて、この一方のディスプレイにのみで各種情報を表示させていたため、表示させる情報量に制約があった。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、開放状態及び折畳状態においても、表示部側筐体の一部を回転させることなく、より多くの各種情報を表示可能とする携帯端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するため、本発明の携帯端末装置は、表面部に各種情報を表示可能な第1表示手段が配設された第1筐体と、表面部に操作キーが配設された第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結するヒンジ機構とを有し、前記ヒンジ機構により前記第1筐体の表面部と前記第2筐体の表面部とを互いに対向させて前記第1筐体と前記第2筐体とが折り畳み可能に支持された携帯端末装置において、前記第2筐体の裏面部に配設されて各種情報を表示可能な第2表示手段と、前記第1表示手段と前記第2表示手段との作動を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
よって、第1筐体と第2筐体とを折り畳んだ状態でも、第2筐体の裏面部に配置された第2表示手段に各種情報を表示させることができる。
【0007】
また、前記第1筐体と前記第2筐体とが折り畳まれた状態か否かを検出する折畳状態検出手段を有し、前記制御手段は、前記折畳状態検出手段により、折畳状態と検出されると前記第1表示手段を非作動状態にするとともに前記第2表示手段を作動状態とすることを特徴とする。
よって、第1表示手段の非作動により消費電力を抑制できるとともに、第2表示手段の作動により必要な各種情報を第2表示手段に表示させることができる。
【0008】
また、前記第1筐体の裏面部に、カメラが配設され、前記制御手段は、前記カメラが作動されるカメラモードである場合、前記折畳状態検出手段により前記折畳状態が検出されると、前記第2表示手段に前記カメラの撮影画像を表示させ、前記折畳状態が検出されないと、前記第1表示手段に前記カメラの撮影画像を表示させることを特徴とする。
よって、カメラモードを折畳状態で機能させる場合であっても、第2表示手段に撮影画像を表示することにより、撮影者は第2表示手段に表示されている撮影画像を見ながら撮影することができる。
【0009】
また、前記制御手段は、前記カメラモードであって、且つ前記折畳状態検出手段により前記折畳状態が検出されない場合に、前記第2表示手段にも前記カメラの撮影画像を表示させることを特徴とする。
よって、折畳状態が検出されない場合、例えば開放状態と判定されている場合には、第2表示手段にも撮影画像が表示されて、撮影者は第1表示手段を通じて撮影画像を確認することができ、被撮影者は第2表示手段を通じて撮影画像を確認することができる。
【0010】
また、前記ヒンジ機構は、前記第1筐体と前記第2筐体との回転軸方向に前記第1筐体と前記第2筐体とを互いにスライドさせるスライド機構を有しており、前記第1筐体と前記第2筐体とを互いに前記回転軸方向へスライドさせた状態で、前記第1表示手段と前記第2表示手段とが略同一平面となるように前記第1筐体と前記第2筐体とを相対回転可能とすることを特徴とする。
よって、スライド機構により第1筐体と第2筐体とを互いにスライドさせると共に軸方向に併設して、第1表示手段と第2表示手段とを略同一平面上に位置させることができる。
【0011】
また、前記ヒンジ機構は、前記回転軸を複数有し、当該複数の回転軸が併設されていることを特徴とする。
よって、第1表示手段と第2表示手段とをより同一平面上に配置させることができる。
【0012】
また、前記制御手段は、前記第1表示手段と前記第2表示手段とが略同一平面上に配設されるときに、前記第1表示手段と前記第2表示手段とを作動状態とすることを特徴とする。
よって、第1表示手段と第2表示手段とにより多くの情報を略同一平面上に表示させることができる。
【0013】
また、前記制御手段は、前記第1表示手段と前記第2表示手段とが略同一平面上に配設されるときに、前記第1表示手段と前記第2表示手段とを1つの表示手段として前記各種情報を表示させることを特徴とする。
よって、第1表示手段と第2表示手段とを1つの表示手段として各種情報を表示できるので、各種機能に応じて各種情報をより適性に表示させることができる。
【0014】
また、前記制御手段は、1つの情報を前記第1表示手段と前記第2表示手段とに分けて表示させることを特徴とする。
よって、1つの情報を第1表示手段と第2表示手段とに好適に表示させることができる。
【0015】
また、前記1つの情報は、複数に分割可能に構成されており、前記制御手段は、分割された前記1つの情報を前記第1表示手段と前記第2表示手段とに順次表示させることを特徴とする。
よって、1つの情報における分割された複数の情報を第1表示手段と第2表示手段とに順次表示させることができ、1つの情報をより好適に表示させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の携帯端末装置によれば、折畳状態などの携帯端末装置の各種状態に応じて、第1筐体の表面部に配設される第1表示手段と、第2筐体の裏面部に配設される第2表示手段とを好適に作動させることができ、より多くの情報を適正に表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の携帯端末装置の一例である携帯電話機の概観斜視図、図2は該携帯電話機の各種状態を示す概観正面図、図3は該携帯電話機におけるヒンジ機構の断面図、図4は該携帯電話機における画面作動機構を示すブロック図、図5及び図6は該携帯電話機における制御フローチャートを示す図、図7は該携帯電話機の変形実施形態を示す図である。
【0018】
図1(a)に示されるように、携帯端末機の一種である携帯電話機1は、操作部側筐体部(第2筐体)2と表示部側筐体部(第1筐体)3とを備えて構成される。そして、操作部側筐体部2は、表面部21に、各種設定や電話帳機能やメール機能などの各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン41や、電話番号の数字やメールなどの文字などを入力するための入力操作ボタン42や、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部43などを備えて構成される。また、表示部側筐体3は、表面部31に、各種情報を表示するためのメインディスプレイ(第1表示手段)61と、通話相手側の音声を出力する音声出力部51とを備えて構成されている。
【0019】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、ヒンジ機構7を介して連結されており、操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、図1(b)に示されるように、操作部側筐体2の表面部21と表示部側筐体3の表面部31とが対向して折り畳み可能に構成されている。
操作部側筐体2の裏面部22には、各種情報を表示するためのサブディスプレイ(第2表示手段)62が配設されている。そして、表示部側筐体3の表面部31に配設されたメインディスプレイ61と、操作部側筐体2の裏面部22に配設されたサブディスプレイ62とにより構成されたディスプレイ6によって、各種機能等に係る各種情報が表示されるように構成されている。
【0020】
ヒンジ機構7を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転させることにより、携帯電話機1の状態を、図1(a)に示されるように操作部側筐体2と表示部側筐体3とを互いに開いた開放状態と、図1(b)に示されるように操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ折畳状態とに選択的に設定することができる。
【0021】
携帯電話機1が開放状態にあるとき、メインディスプレイ61には、各種機能が非作動時で操作キー41,42が非操作状態にあるときには待受け画面として待受け画像が表示される。また、各種機能が作動しているときや操作キー41,42の操作時には機能や入力操作に応じた各種情報が表示され、例えば、電話をかける場合には入力された電話番号が表示されたりアドレス帳が表示され、メール機能の作動中はメール本文などが表示される。このように、開放状態では、使用者は操作キー41,42を操作する際にメインディスプレイ61を見ながら文章等の必要な入力操作を行うことができる。
なお、開放状態では、各種情報はメインディスプレイ61に表示されるので、操作部側筐体2の裏面部22に配設されているサブディスプレイ62は非表示状態となっている。
【0022】
一方、携帯電話機1を携帯する場合には、図1(b)に示されるように、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを互いに折り畳んだ折畳状態にされる。これにより、携帯電話機1の長さが開放状態の約半分程度とコンパクトになり、持ち運びが簡単になる。この場合に、表示部側筐体3が操作部側筐体2の操作キー41,42上に折り重なるように配置されるので、カバンやポケットに入れて携帯している最中に、誤って操作キー41,42が押されて発信されたり、電力消費されたりする不都合が回避される。
【0023】
この折畳状態では、表示部側筐体3のメインディスプレイ61が操作部側筐体2の表面部21に対面した位置に配置されているため、時刻、バッテリ残量、受信感度状態、着信状態などの各種情報をメインディスプレイ61に表示させても折畳状態のままでは確認することができない。それ故に、折畳状態では、メインディスプレイ61は表示手段として機能しないため、非作動状態とされる。そして、折畳状態では、これら情報を操作部側筐体2の裏面部22に配設されているサブディスプレイ62に表示させることにより、使用者はこれら情報を折畳状態でも簡単に確認することができる。
【0024】
このように、携帯電話機1が開放状態にあるときには、メインディスプレイ61が表示状態、サブディスプレイ62が非表示状態となり、折畳状態にあるときには、メインディスプレイ61が非表示状態、サブディスプレイ62が表示状態となる。なお、消費電力を抑制するために、長時間の不使用時には表示状態となっているメインディスプレイ61又はサブディスプレイ62を非表示状態とするようになっている。
【0025】
また、携帯電話機1の表示部側筐体3の裏面部32には、カメラ52が配設されている。このカメラ52は、カメラ52が起動されたカメラモードにあるときに、機能操作キー41や操作部側筐体2の側面部23,24に配設されている図示しない操作手段83を操作することにより撮影することが可能に構成されている。
携帯電話機1がカメラモードにあるときに、開放状態であれば、カメラ52によって撮影された画像が表示部側筐体3のメインディスプレイ61に表示され、折畳状態であれば同画像が操作部側筐体2の裏面部22に設けられているサブディスプレイ62に表示される。よって、カメラモードのときには、撮影画像が携帯電話機1の状態に応じてメインディスプレイ61とサブディスプレイ62とのいずれかに表示される。
【0026】
また、携帯電話機1は、図示しないテレビ用アンテナが設けられており、このアンテナで受信したテレビの画像情報をメインディスプレイ61又はサブディスプレイ62の少なくとも一方に表示させるとともに、受信した音声情報を図示しないスピーカーから出力するテレビ機能を備えている。
携帯電話機1がTVモードにあるときに、開放状態であれば、テレビ機能によって受信したテレビ画像が表示部側筐体3のメインディスプレイ61に表示され、折畳状態であれば同画像が操作部側筐体2の裏面部22に設けられているサブディスプレイ62に表示される。よって、TVモードのときにも、テレビ画像が携帯電話機1の状態に応じてメインディスプレイ61とサブディスプレイ62とのいずれかに表示される。
【0027】
本実施形態における携帯電話機1は、ヒンジ機構7が操作部側筐体2と表示部側筐体とを互いに軸方向にスライド可能とするスライド機構を有する構成となっている。そして、携帯電話機1は、図2(a)に示される開放状態から、表示部側筐体3に対して操作部側筐体2をヒンジ機構7の軸方向(図2中の左方向)へ図2(b)に示されるようにスライドさせることができ、この図2(b)の状態から操作部側筐体2を表示部側筐体3に対してヒンジ軸周りに回転させると、図2(c)に示されるように、操作部側筐体2が表示部側筐体3の軸方向に併設されるスライド状態となる。
この図2(c)で示されるスライド状態では、表示部側筐体3の表面部31に配設されているメインディスプレイ61と操作部側筐体2の裏面部22に配設されているサブディスプレイ62とがヒンジ軸の軸方向に並んで略同一平面上に配置されることとなる。
【0028】
次に、ヒンジ機構7の詳細構造について説明する。図3(a)は、携帯電話機1が折畳状態又は開放状態にあるときのヒンジ機構7の状態を示す断面図であり、図3(b)は、スライド状態にあるときのヒンジ機構7の状態を示す断面図である。
ヒンジ機構7は、外筒部71と、該外筒部71の内周孔に相対回転可能に嵌合する中筒部72と、中筒部72の内周孔に相対回転可能に嵌合する内筒部73有して構成されている。そして、外筒部71の外周部が表示部側筐体3の端部に固定され、内筒部73の軸方向一端部が操作部側筐体2の側部からヒンジ軸と直行する方向に突出して配設されている突出部45の側面に固定されている。このようなヒンジ機構7の構成により、操作部側筐体2と表示部側筐体3とがヒンジ機構7のヒンジ軸を中心として相対回転可能に構成されている。
【0029】
また、ヒンジ機構7の内筒部73の外周部及び中筒部72の外周部には係合突部74,75が固設されており、この突部74,75に対向した中筒部72と外筒部71の内周面には突部74,75が係合する凹部76a,76b,77a,77bがそれぞれ軸方向に離れて形成されている。よって、図3(a)に示される開放状態から操作部側筐体2が軸方向(図3中の左方向)へスライドされると、内筒部73の突部74が中筒部72の一方の凹部76aとの係合が解除されて他方の凹部76bと係合するまでスライドする。更に操作部側筐体2がスライドされると、中筒部72の突部75が外筒部71の一方の凹部77aとの係合が解除されて他方の凹部77bと係合するまでスライドする。このように構成されたヒンジ機構7によって、操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、図3(a)に示す状態で折畳状態と開放状態の間で相対回転可能とされるとともに、図3(a)に示す開放状態と図3(b)に示すスライド状態との間でスライド可能とされる。
【0030】
なお、ヒンジ機構7は、携帯電話機1が開放状態にあるときにのみスライド可能とするスライド規制手段(図示省略)や、図3(c)に示すスライド状態から更にスライドすることを規制するストッパ(図示省略)を備えている。
また、図3中に太線で示されるように、ヒンジ機構7の内筒部73の内部には操作部側筐体2と表示部側筐体3とを通信接続するための通信線78が螺旋状に配設されており、図3(b)に示されるように、スライド状態でも通信線78により操作部側筐体2と表示部側筐体3とが通信接続可能に構成されている。なお、ヒンジ機構7の端部(図3における右端部)には蓋部材79が設けられている。
【0031】
携帯電話機1が折畳状態、開放状態、スライド状態の何れの状態にあるのかを検出するために、折畳状態を検出する折畳検出スイッチ81とスライド状態を検出する伸縮スイッチ82とを有する。
折畳検出スイッチ81は、図1(a)に示されるように、操作部側筐体2の表面部21に設けられた孔部81aに表示部側筐体3の表面部31に設けられた突部81bが挿入されるとON状態となるように構成される。
また、伸縮検出スイッチ82は、図1(a)に示されるように、操作部側筐体2の表面部21の側端部に設けられた溝部82aに表示部側筐体3の側面部33に設けられた突部82bが嵌挿されるとON状態となるように構成される。
【0032】
そして、折畳検出スイッチ81がON状態で且つ伸縮検出スイッチ82がOFF状態であることが検出されると、携帯電話機1が折畳状態にある判定される。また、折畳検出スイッチ81がOFF状態で且つ伸縮検出スイッチ82のON状態が検出されると、携帯電話機1がスライド状態にあると判定される。
なお、折畳検出スイッチ81と伸縮検出スイッチ82との両方のスイッチがOFF状態である場合には、携帯電話機1が折畳状態でもなくスライド状態でもない、即ち開放状態にあると判定される。なお、携帯電話装置1が折畳状態と開放状態との間や、開放状態とスライド状態との間の状態である場合にも両スイッチ81,82はOFF状態となって、携帯電話機1は開放状態にあると判定される。
【0033】
図4には、操作部側筐体2のメインディスプレイ61と表示部側筐体3のサブディスプレイ62との表示機能を制御するための構成ブロック図が示されている。
操作部側筐体2の内部には、メインディスプレイ61を駆動する第1画面駆動部91と、サブディスプレイ62を駆動する第2画面駆動部92と、第1画面駆動部91と第2画面駆動部92との駆動状態を制御するとともに各ディスプレイに表示させる画像データを入手して、該画像データを第1画面駆動部91と第2画面駆動部92との少なくとも一方に伝送する表示演算部93などを有する制御手段9が配設されており、当該制御手段9によって両ディスプレイ61,62の作動が制御されている。
また、表示演算部93は、折畳検出スイッチ81と伸縮検出スイッチ82との検出結果が入力され、これらスイッチの検出結果に応じて携帯電話機1が、折畳状態、開放状態、又はスライド状態に何れの状態にあるかを判定し、判定した状態に応じて第1画面駆動部91及び第2画面駆動部92の駆動状態を制御するとともに、メインディスプレイ61とサブディスプレイ62との表示状態を制御する。
【0034】
次に、本実施形態における携帯電話機1のディスプレイ6の画面表示制御について、図5,6に示されるフローチャートに基づき説明する。
まず、ステップS1にて、カメラ機能などの携帯電話機1における各種機能の作動状態や折畳検出スイッチ81及び伸縮検出スイッチ82の検出結果などの各種情報を入力する。そして、次のステップS2では、携帯電話機1が折畳状態であるか否かを判定する。ここでは、折畳検出スイッチ81がON状態で且つ伸縮検出スイッチ82がOFF状態であることが検出された場合には、折畳状態であると判定し、ステップS3に進む。ステップS3では、カメラモードであるか否かが判定され、カメラ機能が作動されてカメラモードに設定されている場合には、ステップS4に進み、サブディスプレイ62のみを起動して、該サブディスプレイ62をカメラ52によって撮影された画像を表示させるカメラ画像表示とする。ステップS3にてカメラモードではないと判定されると、サブディスプレイ62のみを起動して、該サブディスプレイ62を時刻、着信状態、バッテリ残量やアンテナ受信感度量などの待受け情報やメール本文や各種情報を表示する通常表示とする。
【0035】
ステップS2にて折畳状態でないと判定されると、ステップS6に進み、携帯電話機1が開放状態であるか否かが判定される。ステップS6にて開放状態であると判定される、即ち折畳検出スイッチ81及び伸縮検出スイッチ82が共にOFF状態であると、次のステップS7ではステップS3同様にカメラモードであるか否かが判定され、カメラモードと判定されるとステップS8に進み、メインディスプレイ61とサブディスプレイ62との両サブディスプレイを起動して、それぞれの画面にカメラ52の撮影画像を表示させるカメラ画像表示とする。このように、開放状態におけるカメラモードでは、両方のディスプレイ61,62に撮影画像を表示することにより、撮影者はメインディスプレイ61で撮影画像を確認することができるとともに、被撮影者はサブディスプレイ62で撮影画像を確認することができる。
【0036】
また、ステップS7でカメラモードでないと判定されると、ステップS9に進み、メインディスプレイ61のみを起動して、ステップS5同様に通常表示とする。
なお、開放状態におけるカメラモードでは、メインディスプレイ61とサブディスプレイ62との両方を表示させるようにしたが、メインディスプレイ61のみを起動して撮影画像を表示させるようにしてもよい。
ステップS6にて携帯電話機1が開放状態にないと判定されると、ステップS10に進み、携帯電話機1がスライド状態にあるか否かが判定される。ここで、折畳検出スイッチ81がOFF状態で且つ伸縮検出スイッチ82がON状態にあることが検出されると、携帯電話機1がスライド状態にあると判定され、ステップS11に進む。
【0037】
ステップS11では、携帯電話機1がカメラモードであるか否かが判定され、カメラ52が起動されたカメラモード状態にあると判定されると、ステップS12に進み、メインディスプレイ61とサブディスプレイ62との両ディスプレイを起動し、両ディスプレイを1つのディスプレイとしてカメラ52によって撮影された画像を両ディスプレイ61,62に一体表示させる。よって、撮影画像を、両ディスプレイ61,62に一体表示することにより、メインディスプレイ61又はサブディスプレイ62の一方のみに表示する場合に比して、撮影者はより拡大された画像を見ることができる。
【0038】
また、ステップS11にてカメラモードではないと判定されると、ステップS13に進み、携帯電話機がTVモードであるか否かが判定される。ここでテレビ機能が起動されてTVモードにあると判定されると、ステップS14に進み、テレビ機能によるテレビ画像を両ディスプレイ61,62に一体表示させる。よって、テレビ画像を、両ディスプレイ61,62に一体表示することにより、メインディスプレイ61又はサブディスプレイ62の一方のみに表示する場合に比して、使用者はより拡大されたテレビ画像を見ることができる。
【0039】
ステップS13にて、TVモードではないと判定されると、ステップS15に進み、携帯電話機1の表示モードとしてメインディスプレイ61とサブディスプレイ62とを1つのディスプレイとして一体表示させる一体表示モードが選択されているか否かが判定され、一体表示モードが選択されていると判定されると、ステップS16に進み、メインディスプレイ61とサブディスプレイ62とを一体表示させる。この場合、両ディスプレイ61,62は通常表示となる。
【0040】
ステップS15にて、一体表示モードが選択されていないと判定されると、ステップS17に進み、メインディスプレイ61とサブディスプレイ62とが個別表示となる。例えば、メインディスプレイ61にメール本文を表示させ、サブディスプレイ62には入力用文字列を表示させる。または、メインディスプレイ61にアドレス帳の登録者リストを表示させ、サブディスプレイ62には該登録者のうちの一人の個人情報を表示させる。このように、それぞれのディスプレイ61,62には、個別に各種情報が表示されることとなる。
【0041】
そして、ステップS4,S5,S8,S9,S12,S14,S16,S17が終了するとリターンされて、再度同じフローチャートが繰り返し行われる。
なお、ステップS10にてスライド状態でない、即ち折畳検出スイッチ81がON状態で且つ伸縮検出スイッチ82がON状態にあると判定されると、携帯電話装置1の状態を判別できないエラー状態と判定し、両ディスプレイ61,62には何も表示させることなくリターンさせる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の携帯電話機1は、表示部側筐体3の表面部31にメインディスプレイ61を配設するとともに、操作部側筐体2の裏面部22にサブディスプレイ62を配設した構成であるので、携帯電話機1が折畳状態にあるときにも解放状態にあるときにも各種情報を好適に少なくとも一方のディスプレイに表示させることができる。また、操作部側筐体2の裏面部22にサブディスプレイ62が配設されているので、折畳状態でも各種情報をサブディスプレイ62に表示させることができ、折畳状態や解放状態に応じてメインディスプレイ61が設けられている表示部側筐体3を回転させる必要がない。
【0043】
特に、表示部側筐体3の裏面部32にカメラ52が配設される場合には、折畳状態でカメラ52を使用する際にも、操作部側筐体2の裏面部22に設けられたサブディスプレイ62に撮影画像を表示させることができるとともに、開放状態で使用する際には、メインディスプレイ61に撮影画像を表示させることはもちろんのこと、サブディスプレイ62にも撮影画像を表示させることにより被撮影者にも撮影画像を表示させることができる。
【0044】
また、ヒンジ機構7にスライド機構を設けたので、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを軸方向に併設したスライド状態として、表示部側筐体3の表面部31に配設されたメインディスプレイ61と操作部側筐体2の裏面部22に配設されたサブディスプレイ62とを軸方向に併設することができる。この状態において、メインディスプレイ61とサブディスプレイ63とを一体表示させたり個別の情報を並べて表示させたりすることができる。
【0045】
なお、メインディスプレイ61とサブディスプレイ61とは、スライド状態で互いに近接するように、表示部側筐体3の表面部31と操作部側筐体2の裏面部22にそれぞれ配設されるようにしたほうが好ましい。
また、ディスプレイ61,62に表示されている情報の入力は、操作部側筐体2の表面部21に配置されている操作キーの操作や、ディスプレイの画面へのタッチ操作によっても画面操作や文字入力が行われるように構成されている。
【0046】
次に、本発明の携帯端末装置の他の実施形態について説明する。
上述した実施形態における携帯電話機1では、ヒンジ機構7がヒンジ軸を1本のみ有している構成であり、折畳状態とするために、ヒンジ軸は操作部側筐体2及び表示部側筐体3に対してそれぞれ表面部21,31側にずれた位置に位置されている。このように、ヒンジ軸を1本として表面部側にずらして配置させてスライド機構を構成した場合、スライド状態では表示部側筐体3の表面部31と操作部側筐体2の裏面部22とを同一平面状に位置させることが困難である。
【0047】
そこで、本変形実施形態では、ヒンジ機構7´がヒンジ軸を複数有して構成されている。詳細には、図7に示されるように、操作部側筐体2の一端に第1ヒンジ軸11が設けられ、表示部側筐体3の一端に第2ヒンジ軸12が設けられ、第1ヒンジ軸11と第2ヒンジ軸12とが第3ヒンジ軸とによって連結されている。第1ヒンジ軸11は操作部側筐体2と第3ヒンジ軸13とを相対回転可能に連結し、第2ヒンジ軸12は表示部側筐体3と第3ヒンジ軸13とを相対回転可能に連結し、第3ヒンジ軸13は第1ヒンジ軸11と第2ヒンジ軸12とを相対回転可能に連結するとともにスライド機構を有している。
【0048】
よって、携帯電話機1が折畳状態にある時には、図7(a)に実線で示されるように、ヒンジ機構7´の各ヒンジ軸11〜13が互いに回転し、操作部側筐体2の表面部21と表示部側筐体3の表面部31とが互いに対面した状態となり、開放状態にある時には、図(a)に破線で示されるように、ヒンジ機構7´の各ヒンジ軸11〜13が互いに回転し、操作部側筐体2の表面部21と表示部側筐体3の表面部31とが略同一平面上に位置する状態となる。
【0049】
さらに、この開放状態からヒンジ軸13を軸方向にスライドさせるととともにヒンジ軸13を中心として表示部側筐体3と操作部側筐体2とを互いに相対回転させることにより、図7(b)に示されるように、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが軸方向に併設されることとなる。この場合、ヒンジ機構7´をヒンジ軸を3つ備えた構成としたことにより、表示部側筐体3の表面部31と操作部側筐体2の裏面部22とを同一平面上に配置させることができ、表示部側筐体3の表面部31に配置されているメインディスプレイ61と操作部側筐体2の裏面部22に配置されているサブディスプレイ62とをより平面的に位置させることができる。
【0050】
このように、ヒンジ機構7´のヒンジ軸を3つ配置することにより、スライド状態で2つのディスプレイをより平面的に配置させることができる。
なお、本変形実施形態は、ヒンジ軸を3つとした構成であるが、ヒンジ軸を2つ以上配置する構成とすればよい。ヒンジ軸を2つ配置する構成では、スライド状態において、操作部側筐体2と表示部側筐体3との高さがずれる可能性があるが、操作部側筐体2の裏面部22と表示部側筐体3の表面部31とを同一平面上に配置させることができる。
【0051】
以上で本発明の携帯端末装置についての説明を終了するが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では、携帯端末装置として携帯電話装置1に適用した例を示したが、この適用に限定されることなく、他の折りたたみ式携帯端末装置に適用することも可能である。
また、スライド機構の構成は、上述した構成に限定されることなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを軸方向に併設することを可能とした構成であればよい。
また、上記実施形態では、携帯端末装置の状態を検出する手段として、折畳検出スイッチ81と伸縮検出スイッチ82とを備えていたが、この構成に限定されることなく、携帯端末装置の状態(折畳状態、開放状態、スライド状態)を検出できる構成であればよい。そして、検出した携帯端末装置の状態に応じてメインディスプレイ61とサブディスプレイ62の起動及び表示内容を制御するように構成すればよい。
【0052】
また、スライド状態におけるメインディスプレイ61とサブディスプレイ62とに一体的に表示させる1つの情報の一例として、テレビ画像情報を説明したが、この例に限定されることなくいろいろな情報を一体的に表示させることが可能である。
例えば、電子書籍の書籍情報をメインディスプレイ61とサブディスプレイ62とに一体的に表示させることも可能である。この場合、書籍情報はページ毎に分割された情報で構成されているため、この分割されたページごとの書籍情報をメインディスプレイ61とサブディスプレイ62とにそれぞれ順次表示させればよい。例えば、右側に配置されるメインディスプレイ61にnページ目の書籍情報を表示させ、左側に配置されるサブディスプレイ62にn+1ページ目の書籍情報を表示させ、操作部側筐体2と表示部側筐体3との少なくとも一方に配設されている図示しない操作手段83によりページ捲り操作が行われると、メインディスプレイ61にn+2ページ目の書籍情報を、またサブディスプレイ62にn+3ページ目の書籍情報を表示させて、通常の書籍のように書籍情報を順次表示させるように構成すればよい。または、ページめくり操作により、メインディスプレイ61にn+1ページ目の書籍情報を、またサブディスプレイ62にn+2ページ目の書籍情報を表示させて、1ページ毎の書籍情報をスライドさせて順次表示させるように構成してもよい。なお、ページ毎に情報を順次表示させるだけでなく、1行毎の書籍情報を順次スライドさせて表示させるように構成してもよい。
このように、1つの情報をメインディスプレイ61とサブディスプレイ62とに一体的に表示させる一体表示モードでは、当該1つの情報が複数に分割されている場合には、この分割情報を両ディスプレイ61,62に順次表示させるように構成すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の携帯端末装置に係る実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の携帯端末装置に係る実施形態の正面図である。
【図3】本発明の携帯端末装置に係る実施形態の部分拡大断面図である。
【図4】本発明の携帯端末装置に係る実施形態における画面制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の携帯端末装置に係る実施形態の制御方法を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の携帯端末装置に係る実施形態の制御方法を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の携帯端末装置に係る変形実施形態を示す外観側面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 携帯電話機(携帯端末装置)、2 操作部側筐体、3 表示部側筐体、6 ディスプレイ、61 メインディスプレイ、62 サブディスプレイ、7,7´ ヒンジ機構、81 折畳検出スイッチ、82 伸縮検出スイッチ、9 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面部に各種情報を表示可能な第1表示手段が配設された第1筐体と、表面部に操作キーが配設された第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結するヒンジ機構とを有し、
前記ヒンジ機構により前記第1筐体の表面部と前記第2筐体の表面部とを互いに対向させて前記第1筐体と前記第2筐体とが折り畳み可能に支持された携帯端末装置において、
前記第2筐体の裏面部に配設されて各種情報を表示可能な第2表示手段と、
前記第1表示手段と前記第2表示手段との作動を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記第1筐体と前記第2筐体とが折り畳まれた状態か否かを検出する折畳状態検出手段を有し、
前記制御手段は、前記折畳状態検出手段により、折畳状態と検出されると前記第1表示手段を非作動状態にするとともに前記第2表示手段を作動状態とする
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記第1筐体の裏面部に、カメラが配設され、
前記制御手段は、前記カメラが作動されるカメラモードである場合、前記折畳状態検出手段により前記折畳状態が検出されると、前記第2表示手段に前記カメラの撮影画像を表示させ、前記折畳状態が検出されないと、前記第1表示手段に前記カメラの撮影画像を表示させる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記カメラモードであって、且つ前記折畳状態検出手段により前記折畳状態が検出されない場合に、前記第2表示手段にも前記カメラの撮影画像を表示させる
ことを特徴とする請求項3記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記ヒンジ機構は、前記第1筐体と前記第2筐体との回転軸方向に前記第1筐体と前記第2筐体とを互いにスライドさせるスライド機構を有しており、前記第1筐体と前記第2筐体とを互いに前記回転軸方向へスライドさせた状態で、前記第1表示手段と前記第2表示手段とが略同一平面となるように前記第1筐体と前記第2筐体とを相対回転可能とする
ことを特徴とする請求項1乃至4記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記ヒンジ機構は、前記回転軸を複数有し、当該複数の回転軸が併設されている
ことを特徴とする請求項5記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1表示手段と前記第2表示手段とが略同一平面上に配設されるときに、前記第1表示手段と前記第2表示手段とを作動状態とする
ことを特徴とする請求項5又は6記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1表示手段と前記第2表示手段とが略同一平面上に配設されるときに、前記第1表示手段と前記第2表示手段とを1つの表示手段として前記各種情報を表示させる
ことを特徴とする請求項7記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記制御手段は、1つの情報を前記第1表示手段と前記第2表示手段とに分けて表示させる
ことを特徴とする請求項8記載の携帯端末装置。
【請求項10】
前記1つの情報は、複数に分割可能に構成されており、
前記制御手段は、分割された前記1つの情報を前記第1表示手段と前記第2表示手段とに順次表示させる
ことを特徴とする請求項9記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−166339(P2006−166339A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358352(P2004−358352)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】