説明

携帯端末装置

【課題】本発明は、切り替え素子やインピーダンスマッチング素子等からなる切り替え回路を用いることなく、本体アンテナと外部アンテナ入力端子との切り替えを必要最小限の部品で実現することができ、切り替え回路の配置スペースを確保することがないと共に、切り替え素子やインピーダンスマッチング素子等の損失による受信感度の低下を防止することができる携帯端末装置を提供することを課題とする。
【解決手段】クレードル2に載置した際に、コネクト手段によってクレードル2に設けられた信号接続ピン22と本体アンテナ11とが接続されるように構成することにより、携帯端末装置1をクレードル2に載置すると、信号接続ピン22と本体アンテナ11が接続され、信号接続ピン22から供給される信号を本体アンテナ11経由でチューナ部に入力させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送信号をアンテナによって受信し、受信した放送信号から再生した映像信号および音声信号を出力する携帯端末装置に関し、特に専用の載置台であるクレードルに載置可能な携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型の液晶表示パネルが設けられた携帯電話機等の携帯端末装置において、テレビジョン放送信号であるRF信号の受信機能を備え、携帯型テレビジョン受像機として用いることができる機種が普及している。このような携帯端末装置は、携帯時におけるRF信号の受信を想定し、装置本体に本体アンテナを備えていると共に、充電を行うためのクレードルに載置した場合には、据置のテレビジョン受像機として使用することができるように、クレードルに外部アンテナ入力端子が設けられているのが一般的であり、本体アンテナからのRF信号と、外部アンテナ入力端子から入力されたRF信号とのいずれかに切り換えて再生するように構成されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
しかしながら、従来技術では、本体アンテナと外部アンテナ入力端子との切り替えを、切り替え素子やインピーダンスマッチング素子等からなる切り替え回路を用いて行っており、切り替え回路の配置スペースが必要となってしまうと共に、切り替え素子やインピーダンスマッチング素子等の損失により受信感度が低下してしまうという問題点があった。
【特許文献1】特開2006−60419号公報
【特許文献2】特開2005−73005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、切り替え素子やインピーダンスマッチング素子等からなる切り替え回路を用いることなく、本体アンテナと外部アンテナ入力端子との切り替えを必要最小限の部品で実現することができ、切り替え回路の配置スペースを確保することがないと共に、切り替え素子やインピーダンスマッチング素子等の損失による受信感度の低下を防止することができる携帯端末装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の携帯端末装置は、クレードルに載置可能な携帯端末装置であって、信号を受信する本体アンテナと、該本体アンテナによって受信された信号を中間周波信号に変換する信号変換手段と、該信号変換手段によって変換された前記中間周波信号を映像信号と音声信号とに復調する信号復調手段と、前記クレードルに載置した際に、前記クレードルに設けられた信号接続ピンと前記本体アンテナとを接続するコネクト手段とを具備し、前記信号接続ピンから供給される信号を前記本体アンテナ経由で前記信号変換手段に入力させることを特徴とする。
【0006】
さらに、本発明の携帯端末装置は、前記本体アンテナは、筐体内に収納可能な棒状のアンテナ部と、当該アンテナ部を前記筐体内に収納する際に、前記アンテナ部が挿入される、内部絶縁された金属チューブとを有し、前記コネクト手段は、前記クレードルに設けられた前記信号接続ピンおよびグランド接続ピンと前記アンテナ部および前記金属チューブとをそれぞれ接続させることを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明の携帯端末装置は、前記アンテナ部を引き出した状態で前記クレードルに載置した際には、前記コネクト手段による前記信号接続ピンと前記アンテナ部との接続が解除されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の携帯端末装置は、クレードルに載置した際に、コネクト手段によってクレードルに設けられた信号接続ピンと本体アンテナとが接続されるように構成することにより、携帯端末装置をクレードルに載置すると、信号接続ピンと本体アンテナが接続され、信号接続ピンから供給される信号を本体アンテナ経由で信号変換手段であるチューナに入力させることができるため、切り替え素子やインピーダンスマッチング素子等からなる切り替え回路を用いることなく、本体アンテナと外部アンテナ入力端子との切り替えを必要最小限の部品で実現することができ、切り替え回路の配置スペースを確保することがないと共に、切り替え素子やインピーダンスマッチング素子等の損失による受信感度の低下を防止することができるという効果を奏する。
【0009】
さらに、本発明の携帯端末装置は、本体アンテナとして、筐体内に収納可能な棒状のアンテナ部と、当該アンテナ部を筐体内に収納する際に、アンテナ部が挿入される、内部絶縁された金属チューブとを有し、コネクト手段によって、クレードルに設けられた信号接続ピンおよびグランド接続ピンとアンテナ部および金属チューブとをそれぞれ接続させるように構成することにより、クレードルに入力されたRF信号を、同軸構造のアンテナ部経由で信号変換手段であるチューナに供給することができるため、信号のC/Nを十分に確保することができるという効果を奏する。
【0010】
さらに、本発明の携帯端末装置は、アンテナ部を引き出した状態でクレードルに載置した際には、コネクト手段による信号接続ピンとアンテナ部との接続が解除されるように構成することにより、クレードルに載置した際に、アンテナ部の状態に応じて、再生する信号を選択することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る携帯端末装置の実施の形態の構成を示すブロック図であり、図2は、図1に示す携帯端末装置におけるコネクト機構の構成を示す図であり、図3は、アンテナを収納した状態の図1に示す携帯端末装置をクレードルに載置した際のコネクト機構の構成を示す図であり、図4は、アンテナを引き出した状態の図1に示す携帯端末装置をクレードルに載置した際のコネクト機構の構成を示す図である。
【0013】
本実施の形態の携帯端末装置1は、地上波デジタル放送信号であるRF信号(高周波信号)を受信し、受信したRF信号から再生した映像信号および音声信号を出力する携帯型テレビジョン受像機であり、図1を参照すると、RF信号を受信する本体アンテナ11と、受信したRF信号を増幅する低雑音受信アンプ(LNA)12と、チューナ部13と、信号再生部14と、液晶ディスプレイ(LCD)15と、スピーカ16とを備え、外部アンテナ入力端子21が設けられたクレードル2に載置可能に構成されている。
【0014】
本体アンテナ11は、テレビジョン放送信号であるRF信号(Radio Frequency信号)を受信する受信手段として機能するホイップアンテナであり、筐体17内に収納可能な棒状のアンテナ部111と、アンテナ部111を筐体17に取り付けるネジ部112とを備え、アンテナ部111によって受信されたRF信号は、ネジ部112を介して低雑音受信アンプ(LNA)12に入力される。また、アンテナ部111を筐体17内に収納する際に、内部部品等に当接しないようにアンテナ部111が挿入されるスリーブチューブとして、内部絶縁された金属チューブ113が設けられており、金属チューブ113は、グランドされている。
【0015】
本体アンテナ11によって受信されたRF信号は、低雑音受信アンプ(LNA)12で増幅され、チューナ部13に入力される。チューナ部13は、図示しないチャンネル選局手段によって指定されたチャンネル(周波数帯域)に含まれるいずれか1つのセグメントを選局し、当該セグメントにおけるRF信号を中間周波信号に変換する信号変換手段であり、変換した中間周波信号を信号再生部14に出力する。
【0016】
信号再生部14は、中間周波信号を映像信号と音声信号とに復調する信号復調手段であり、映像信号を映像出力手段である液晶ディスプレイ(LCD)15に、音声信号を音声出力手段であるスピーカ16にそれぞれ出力する。
【0017】
クレードル2は、携帯端末装置1専用の載置台であり、外部アンテナ(家庭内のアンテナ)によって受信されたRF信号が入力される外部アンテナ入力端子21が設けられており、外部アンテナによって受信されたRF信号は、同軸ケーブル31とコネクタ32とを介して外部アンテナ入力端子21に入力される。また、クレードル2の携帯端末装置1が載置される載置面には、図2を参照すると、信号接続ピン22と、グランド接続ピン23とが、突出して設けられており、信号接続ピン22には、同軸ケーブル31の内導体、すなわち信号ラインが、グランド接続ピン23には、同軸ケーブル31の外導体、すなわちグランドラインがそれぞれ接続されている。
【0018】
携帯端末装置1の筐体17には、携帯端末装置1をクレードル2に載置する際に、クレードル2に設けられた信号接続ピン22およびグランド接続ピン23に対向する位置に、信号接続ピン22が嵌入される信号接続用開口部171とグランド接続ピン23が嵌入されるグランド接続用開口部172とがそれぞれ形成されている。信号接続用開口部171には、アンテナ部111を筐体17に収納した状態で、バネ181を介して電気的にアンテナ部111と接続されている金属片191が配置され、アンテナ部111と金属片191とがバネ181によって遠ざかる方向に付勢されている。また、グランド接続用開口部172には、バネ182を介して電気的に金属チューブ113と接続されている金属片192が配置され、金属チューブ113と金属片192とがバネ182によって遠ざかる方向に付勢されている。
【0019】
アンテナ部111を筐体17に収納した状態の携帯端末装置1をクレードル2に載置した際には、図3を参照すると、クレードル2に設けられている信号接続ピン22およびグランド接続ピン23が携帯端末装置1の筐体17に形成されている信号接続用開口部171およびグランド接続用開口部172にそれぞれ嵌入される。信号接続ピン22が信号接続用開口部171に嵌入されると、信号接続ピン22と金属片191がバネ181による付勢力によって押圧されて接続され、信号接続ピン22とアンテナ部111と接続される。また、グランド接続用開口部172にグランド接続ピン23が嵌入されると、グランド接続ピン23と金属片192とがバネ182による付勢力によって押圧されて接続され、グランド接続ピン23と金属チューブ113とが接続される。従って、外部アンテナから外部アンテナ入力端子21に入力されたRF信号は、同軸構造のアンテナ部111経由で低雑音受信アンプ(LNA)12に供給されることになる。
【0020】
一方、アンテナ部111を引き出した状態の携帯端末装置1をクレードル2に載置した際には、図4を参照すると、クレードル2に設けられている信号接続ピン22およびグランド接続ピン23が携帯端末装置1の筐体17に形成されている信号接続用開口部171およびグランド接続用開口部172にそれぞれ嵌入されるが、アンテナ部111とバネ181との接続が解除されているため、グランド接続ピン23のみが金属チューブ113とが接続される。従って、アンテナ部111で受信されたRF信号が低雑音受信アンプ(LNA)12に供給されることになる。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態によれば、クレードル2に載置した際に、コネクト手段によってクレードル2に設けられた信号接続ピン22と本体アンテナ11とが接続されるように構成することにより、携帯端末装置1をクレードル2に載置すると、信号接続ピン22と本体アンテナ11が接続され、信号接続ピン22から供給される信号を本体アンテナ11経由でチューナ部13に入力させることができるため、切り替え素子やインピーダンスマッチング素子等からなる切り替え回路を用いることなく、本体アンテナ11と外部アンテナ入力端子21との切り替えを必要最小限の部品で実現することができ、切り替え回路の配置スペースを確保することがないと共に、切り替え素子やインピーダンスマッチング素子等の損失による受信感度の低下を防止することができるという効果を奏する。
【0022】
さらに、本実施の形態によれば、本体アンテナ11として、筐体17内に収納可能な棒状のアンテナ部111と、当該アンテナ部111を筐体17内に収納する際に、アンテナ部111が挿入される、内部絶縁された金属チューブ113とを有し、コネクト手段によって、クレードル2に設けられた信号接続ピン22およびグランド接続ピン23とアンテナ部111および金属チューブ113とをそれぞれ接続させるように構成することにより、クレードル2に入力されたRF信号を、同軸構造のアンテナ部111経由でチューナ部13に供給することができるため、信号のC/Nを十分に確保することができるという効果を奏する。
【0023】
さらに、本実施の形態によれば、アンテナ部111を引き出した状態でクレードル2に載置した際には、コネクト手段による信号接続ピン22とアンテナ部111との接続が解除されるように構成することにより、クレードル2に載置した際に、アンテナ部111の状態に応じて、再生する信号を選択することができるという効果を奏する。
【0024】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る携帯端末装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す携帯端末装置におけるコネクト機構の構成を示す図である。
【図3】アンテナを収納した状態の図1に示す携帯端末装置をクレードルに載置した際のコネクト機構の構成を示す図である。
【図4】アンテナを引き出した状態の図1に示す携帯端末装置をクレードルに載置した際のコネクト機構の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 携帯端末装置
2 クレードル
11 本体アンテナ
12 低雑音受信アンプ(LNA)
13 チューナ部
14 信号再生部
15 液晶ディスプレイ(LCD)
16 スピーカ
17 筐体
21 外部アンテナ入力端子
22 信号接続ピン
23 グランド接続ピン
31 同軸ケーブル
32 コネクタ
111 アンテナ部
112 ネジ部
113 金属チューブ
171 信号接続用開口部
172 グランド接続用開口部
181、182 バネ
191、192 金属片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレードルに載置可能な携帯端末装置であって、
信号を受信する本体アンテナと、
該本体アンテナによって受信された信号を中間周波信号に変換する信号変換手段と、
該信号変換手段によって変換された前記中間周波信号を映像信号と音声信号とに復調する信号復調手段と、
前記クレードルに載置した際に、前記クレードルに設けられた信号接続ピンと前記本体アンテナとを接続するコネクト手段とを具備し、
前記信号接続ピンから供給される信号を前記本体アンテナ経由で前記信号変換手段に入力させることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記本体アンテナは、筐体内に収納可能な棒状のアンテナ部と、当該アンテナ部を前記筐体内に収納する際に、前記アンテナ部が挿入される、内部絶縁された金属チューブとを有し、
前記コネクト手段は、前記クレードルに設けられた前記信号接続ピンおよびグランド接続ピンと前記アンテナ部および前記金属チューブとをそれぞれ接続させることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記アンテナ部を引き出した状態で前記クレードルに載置した際には、前記コネクト手段による前記信号接続ピンと前記アンテナ部との接続が解除されることを特徴とする請求項2記載の携帯端末装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−38719(P2009−38719A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202941(P2007−202941)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】