説明

携帯端末

【課題】ユーザが端末本体部を把持して傾けた状態で、かつ、表示部の向きを変更して使用する場合にも、常に衛星電波受信アンテナの指向性を略天頂方向に向けることが可能な携帯端末を提供する。
【解決手段】この携帯通信端末100(携帯端末)は、上側本体部10に設けられ、表示方向を切替可能に構成された表示部20と、第1受信方向Da1に指向性を有するGPSアンテナ23と、第2受信方向Da2に指向性を有するGPSアンテナ24と、GPSアンテナ23とGPSアンテナ24とを選択するCPU41とを備え、第1表示方向D1を上方向として表示部20が傾けられて保持される場合に、GPSアンテナ23の第1受信方向Da1が略天頂方向を向くとともに、第2表示方向D2を上方向として表示部20が傾けられて保持される場合に、GPSアンテナ24の第2受信方向Da2が略天頂方向を向くように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末に関し、特に、アンテナを備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンテナを備えた携帯端末が知られている(たとえば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
上記特許文献1には、表示部が設けられた板状の上側筐体と、操作ボタンなどが設けられた板状の下側筐体と、上側筐体および下側筐体の間に設けられた中間筐体と、中間筐体内部に設けられた円偏波特性を有するGPS(Global Positioning System)受信用のパッチアンテナとを備えた折畳式携帯無線装置(携帯端末)が開示されている。この折畳式携帯無線装置は、上側筐体が中間筐体を介して、下側筐体に対して水平面内で回動(旋回)可能に構成することにより、下側筐体の向きを変えることなく上側筐体の表示部を縦横に変更して使用することができるように構成されている。また、中間筐体に設けられたパッチアンテナは、下側筐体を水平面上に置いた場合に、天頂方向(GPS衛星側)に指向性を有するように構成されている。これにより、上記特許文献1による折畳式携帯無線装置では、上側筐体とともに水平面内で旋回可能な中間筐体にパッチアンテナを設けることによって、水平面上に配置した状態で上側筐体を回動させ水平面内で表示部を縦横に変更する場合にも、中間筐体(パッチアンテナ)の回動によって指向性の方向が変わることなく、指向性を天頂方向に向けることができるように構成されている。
【0004】
上記特許文献2には、上側筐体および下側筐体と、直線偏波(水平偏波)の衛星電波受信アンテナと、直線偏波(垂直偏波)の通信アンテナとを備え、衛星電波受信アンテナの偏波面と通信アンテナの偏波面(垂直偏波および水平偏波)とが互いに直交するように構成された、測位装置(携帯端末)が開示されている。この衛星電波受信アンテナは、上下方向(鉛直方向)に延びる指向性を有し、鉛直方向と直交するアンテナの延びる軸方向からの電波は受信しにくくなるように構成されている。この衛星電波受信アンテナと通信アンテナとは、偏波面が直交するため、通信アンテナから送受信される電波を衛星電波受信アンテナが受信するのを抑制している。
【0005】
また、上記特許文献3には、筐体と、筐体の対向する両側面にそれぞれ設けられた第1の逆F型アンテナおよび第2の逆F型アンテナと、筐体の傾きを検出する検出器と、第1および第2の逆F型アンテナの一方から他方への接続切替を行う高周波信号切替器と、第1および第2の逆F型アンテナの設けられた側面と直交する方向の側面(前面)に設けられた受話器および送話器とを備えたアンテナ切替形携帯無線機(携帯端末)が開示されている。ユーザが受話器に耳を当て送話器を口元に近づけた状態の通話時においては、携帯無線機(筐体)が大きく傾くことになる。このため、このアンテナ切替形携帯無線機は、検出部がアンテナ切替形携帯無線機の傾きを検出し、検出部からの出力に基づいて高周波信号切替器が、筐体の対向する両側面にそれぞれ設けられた第1および第2の逆F型アンテナのうち、上方(鉛直方向上方)側に位置する逆F型アンテナと接続して電波の送受信を行うように構成されている。なお、上記特許文献3によるアンテナ切替形携帯無線機には、画像などを表示するための表示部は開示されていない。
【0006】
また、上記特許文献4には、筐体と、文字情報を表示する表示部と、複数のアンテナと、複数のアンテナから受信感度のよいアンテナを選択して切り替えるアンテナダイバーシティ通信を行うための選択部と、各アンテナに接続される受信部とを備えた携帯型無線通信機(携帯端末)が開示されている。この携帯型無線通信機では、複数のアンテナのそれぞれを、別個に設けられた回路基板またはグランドパターンに接続するなどにより、複数のアンテナの放射特性の相関が互いに小さくなるように構成されている。なお、上記特許文献4による携帯型無線通信機では、表示部を縦横に変更して使用する構成は開示されていない。
【0007】
【特許文献1】特開2007−166533号公報
【特許文献2】特開2006−145314号公報
【特許文献3】特開昭61−200702号公報
【特許文献4】特開平3−280625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の折畳式携帯無線装置では、中間筐体に設けられたパッチアンテナが、下側筐体を水平面上に置いた状態で天頂方向に指向性を有するように構成されている一方、GPSによる位置情報の表示機能(GPS機能)を使用する場合には、ユーザが表示部を見ながら操作を行う必要がある。このため、ユーザが下側筐体を把持し、表示部を見やすい角度に傾けて保持した状態で使用する場合には、パッチアンテナの指向性が天頂方向(GPS衛星側)ではなくユーザの方向に向いてしまうので、ユーザが装置を把持して使用する場合にはパッチアンテナの指向性を天頂方向に向けることができないという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の測位装置では、衛星電波受信アンテナが上下方向(重力方向)に延びる指向性を有し、重力方向と直交するアンテナの延びる軸方向からの電波は受信しにくくなるように構成されているため、筐体を回動して装置自体の向きを横向きにして傾けた場合には、衛星電波受信アンテナの指向性が横方向に傾いて衛星電波受信アンテナの延びる軸方向から衛星電波が入ることになり、衛星電波が受信しにくくなるという不都合がある。このため、測位装置の向きを変更して使用する場合には、衛星電波受信アンテナの指向性の方向を天頂方向に向けることができないという問題点がある。
【0010】
また、上記特許文献3に記載のアンテナ切替形携帯無線機では、筐体の対向する両側面の2つの逆F型アンテナのうち、上方側に位置する逆F型アンテナにより電波の送受信を行うように構成されている一方、GPSによる衛星電波を受信する場合には、アンテナの指向性を天頂方向に向ける必要がある。また、装置に表示部を設けるとともに表示部の向きを縦横に変更可能に構成した場合には、表示部の向きに応じて装置自体を縦横に持ち替える場合がある。このため、上方側に位置するアンテナを選択しても、表示部の向きが変更される場合には、アンテナの指向性を天頂方向に向けることができないという問題点がある。
【0011】
また、上記特許文献4に記載の携帯型無線通信機では、複数のアンテナから受信感度のよいアンテナを選択して切り替えるアンテナダイバーシティ通信を行う一方、GPSによる衛星電波を受信する場合には、アンテナの指向性を天頂方向に向ける必要がある。また、表示部の向きを縦横に変更可能に構成した場合には、表示部の向きに応じて装置自体を縦横に持ち替える場合がある。このため、アンテナダイバーシティ通信を行っても、表示部の向きが変更される場合には、複数のアンテナのうち少なくとも1つのアンテナの指向性を、常に天頂方向に向けることが困難であるという問題点がある。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ユーザが端末本体部を把持して傾けた状態で、かつ、表示部の向きを変更して使用する場合にも、常に衛星電波受信アンテナの指向性を略天頂方向に向けることが可能な携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0013】
この発明の第1の局面による携帯端末は、端末本体部と、端末本体部に設けられ、第1表示方向と第1表示方向とは異なる第2表示方向とに表示方向を切替可能に構成された表示画面部を含む表示部と、第1表示方向から表示部の表示面に対して所定の角度傾斜した第1受信方向に指向性の方向が設定された単一指向性を有する第1衛星電波受信アンテナと、第2表示方向から表示部の表示面に対して所定の角度傾斜した第2受信方向に指向性の方向が設定された単一指向性を有する第2衛星電波受信アンテナと、表示画面部の表示方向が第1表示方向の場合に第1衛星電波受信アンテナを選択し、表示画面部の表示方向が第2表示方向の場合に第2衛星電波受信アンテナを選択するように構成された制御部とを備え、端末本体部の使用時に、第1表示方向を上方向として表示部の表示面が水平方向に対して斜めに傾けられて保持される場合に、第1衛星電波受信アンテナの第1受信方向が略天頂方向を向くとともに、第2表示方向を上方向として表示部の表示面が水平方向に対して斜めに傾けられて保持される場合に、第2衛星電波受信アンテナの第2受信方向が略天頂方向を向くように構成されている。なお、本発明において、「略天頂方向」とは、天頂方向(鉛直上方)のみならず、天頂方向からずれた方向も含む概念である。
【0014】
この第1の局面による携帯端末では、上記のように、表示画面部の表示方向が第1表示方向の場合に第1衛星電波受信アンテナを選択し、表示画面部の表示方向が第2表示方向の場合に第2衛星電波受信アンテナを選択するように構成された制御部を備え、端末本体部の使用時に、第1表示方向を上方向として表示部の表示面が水平方向に対して斜めに傾けられて保持される場合に、第1衛星電波受信アンテナの第1受信方向が略天頂方向を向くとともに、第2表示方向を上方向として表示部の表示面が水平方向に対して斜めに傾けられて保持される場合に、第2衛星電波受信アンテナの第2受信方向が略天頂方向を向くように構成することによって、ユーザが表示部の表示方向(第1表示方向または第2表示方向)を変更し、かつ、視認性の観点から表示面を水平方向に対して傾けた状態で端末本体部を保持した場合にも、表示画面部の第1表示方向が上方向となる場合には第1受信方向の指向性が略天頂方向を向く第1衛星電波受信アンテナが制御部により選択され、第2表示方向が上方向となる場合には第2受信方向の指向性が略天頂方向を向く第2衛星電波受信アンテナが制御部により選択される。これにより、表示部の向きを第1表示方向または第2表示方向のいずれの方向に変更して使用する場合にも、常に衛星電波受信アンテナの指向性を略天頂方向に向けることができる。
【0015】
上記第1の局面による携帯端末において、好ましくは、制御部は、表示画面部の表示方向を第1表示方向と第2表示方向とに切り替える表示方向の切替信号を出力するように構成され、第1衛星電波受信アンテナと第2衛星電波受信アンテナとは、制御部から出力される切替信号に基づいて選択されるように構成されている。このように構成すれば、表示方向を第1表示方向と第2表示方向とに切り替える表示方向の切替信号に基づいて、第1衛星電波受信アンテナと第2衛星電波受信アンテナとが選択されるので、表示方向を第1表示方向と第2表示方向とに切り替える切替信号と、表示方向に応じて指向性が略天頂方向を向く第1衛星電波受信アンテナまたは第2衛星電波受信アンテナを選択する信号とを共通化することができる。これにより、表示方向を切り替える切替信号と、衛星電波受信アンテナを選択する信号とを別個に生成および出力する必要がないので、携帯端末の回路構成を簡素化することができる。
【0016】
この場合において、好ましくは、第1衛星電波受信アンテナおよび第2衛星電波受信アンテナの両方に接続された選択スイッチをさらに備え、選択スイッチは、表示画面部の表示方向を第1表示方向に切り替える切替信号に基づいて第1衛星電波受信アンテナを選択するとともに、表示画面部の表示方向を第2表示方向に切り替える切替信号に基づいて第2衛星電波受信アンテナを選択するように構成されている。このように構成すれば、選択スイッチによって、第1表示方向に切り替える切替信号に基づいて第1衛星電波受信アンテナが選択され、第2表示方向に切り替える切替信号に基づいて第2衛星電波受信アンテナが選択される。これにより、衛星電波受信アンテナごとに受信部や受信レベルを比較する比較部を設けることなく、1つの選択スイッチのみにより、指向性が略天頂方向を向く衛星電波受信アンテナを選択することができる。
【0017】
上記制御部が表示方向の切替信号を出力する構成において、好ましくは、切替信号は、第1切替信号と第2切替信号とを含み、第1表示方向が上方向となる第1表示位置と、第2表示方向が上方向となる第2表示位置とに表示部を回動させる軸部と、軸部による表示部の回動を検出する回動検出部とをさらに備え、制御部は、回動検出部の検出信号に基づいて、表示部が第1表示位置に位置する場合に表示画面部の表示方向を第1表示方向に切り替える第1切替信号を出力するとともに、表示部が第2表示位置に位置する場合に表示画面部の表示方向を第2表示方向に切り替える第2切替信号を出力するように構成され、第1切替信号および第2切替信号に基づいて、それぞれ、第1衛星電波受信アンテナと第2衛星電波受信アンテナとが選択されるように構成されている。このように構成すれば、ユーザが表示部を第1表示位置または第2表示位置に回動させるだけで、回動検出部と第1切替信号または第2切替信号とにより、表示方向を切り替えるとともに、略天頂方向を向く衛星電波受信アンテナを選択することができる。
【0018】
上記制御部が表示方向の切替信号を出力する構成において、好ましくは、切替信号は、第1切替信号と第2切替信号とを含み、端末本体部の傾きを検出することにより表示部の上方向を検出する傾き検出部をさらに備え、制御部は、傾き検出部の検出信号に基づいて、表示部の上方向が表示画面部の第1表示方向に略一致する場合には表示画面部の表示方向を第1表示方向に切り替える第1切替信号を出力するとともに、表示部の上方向が表示画面部の第2表示方向に略一致する場合には表示画面部の表示方向を第2表示方向に切り替える第2切替信号を出力するように構成され、第1切替信号および第2切替信号に基づいて、それぞれ、第1衛星電波受信アンテナと第2衛星電波受信アンテナとが選択されるように構成されている。このように構成すれば、ユーザが端末本体部の向きを縦横に変更することにより表示部の向きを変更するだけで、傾き検出部と第1切替信号または第2切替信号とにより、表示方向を切り替えるとともに、略天頂方向を向く衛星電波受信アンテナを選択することができる。
【0019】
上記第1の局面による携帯端末において、好ましくは、表示部の表示面に対する第1衛星電波受信アンテナの第1受信方向および第2衛星電波受信アンテナの第2受信方向の所定の角度は、30度以上60度以下の角度を有する。ユーザが端末本体部を把持してGPS機能を使用する場合には、通常、ユーザが表示部を見やすいように、表示部を水平方向に対して45度程度(60度〜30度)の角度に傾けた状態で端末本体部が保持される。この結果、端末本体部を把持した状態において、第1表示方向が上方向となる場合には、第1衛星電波受信アンテナの第1受信方向が水平方向から45度程度(60度〜30度)傾いた表示部の表示面に対して30度以上60度以下の角度を有することとなるので、第1衛星電波受信アンテナの指向性の方向(第1受信方向)を、水平方向に対して略90度(略天頂方向)の近傍となるようにすることができる。同様に、第2表示方向が上方向となる場合には、第2衛星電波受信アンテナの第2受信方向が水平方向から45度程度(60度〜30度)傾いた表示部の表示面に対して30度以上60度以下の角度を有することとなり、第2衛星電波受信アンテナの指向性の方向(第2受信方向)を、水平方向に対して略90度(略天頂方向)の近傍となるようにすることができる。これにより、端末本体部を把持した使用時の状態で、常に表示方向に応じて衛星電波受信アンテナの指向性を略天頂方向に向けることができる。
【0020】
上記第1の局面による携帯端末において、好ましくは、表示画面部は、平面的に見て長方形状を有し、第1表示方向は表示画面部の長手方向を上方向とするように設定されるとともに、第2表示方向は表示画面部の短手方向を上方向とするように設定され、第1衛星電波受信アンテナは、表示部において、表示画面部の第1表示方向側に設けられているとともに、第2衛星電波受信アンテナは、表示部において、表示画面部の第2表示方向側に設けられている。このように構成すれば、長方形状の表示画面部が縦長(長手方向が上方向)となる第1表示方向を上方向として使用する場合には、指向性が略天頂方向を向く第1衛星電波受信アンテナを上方向(第1表示方向)側に配置することができる。また、長方形状の表示画面部が横長(短手方向が上方向)となる第2表示方向を上方向として使用する場合には、指向性が略天頂方向を向く第2衛星電波受信アンテナを上方向(第2表示方向)側に配置することができる。これにより、携帯端末の使用時に、指向性が略天頂方向を向く衛星電波受信アンテナを常に表示部の上方向側に配置することができるので、たとえば携帯端末の連結部分などにアンテナが設けられる場合と比較して、ユーザの手指などに遮られることなく良好な受信感度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1および図3は、本発明の第1実施形態による携帯通信端末の全体構成を示した斜視図である。また、図2および図4〜図10は、図1および図3に示した本発明の第1実施形態による携帯通信端末の詳細な構成を示した図である。まず、図1〜図10を参照して、本発明の第1実施形態による携帯通信端末100の構成について説明する。なお、第1実施形態では、携帯端末の一例である携帯通信端末100に本発明を適用した例について説明する。
【0023】
本発明の第1実施形態による携帯通信端末100は、図1に示すように、上側本体部10と、上側本体部10に設けられた表示部20と、下側本体部30とを備える。また、上側本体部10は、スピーカ11と、連結部12とを備えている。また、下側本体部30は、マイク31と、キーボード32と、連結部33と、通信アンテナ34(破線参照)とを備えている。また、図6に示すように、携帯通信端末100は、下側本体部30の内部に、通信回路35と、GPS受信回路36と、選択スイッチ37と、CPU(中央処理装置)41と、I/F(インターフェース)42と、RAM(Random Access Memory)43と、ROM(Read Only Memory)44と、ディスプレイ駆動回路45とを備えている。また、図1に示すように、表示部20は、ディスプレイ21と、フレーム22と、2つのGPSアンテナ23および24とを含んでいる。なお、上側本体部10および下側本体部30は、本発明の「端末本体部」の一例である。また、ディスプレイ21は、本発明の「表示画面部」の一例である。なお、GPSアンテナ23および24は、それぞれ、本発明の「第1衛星電波受信アンテナ」および「第2衛星電波受信アンテナ」の一例である。また、CPU41は、本発明の「制御部」の一例である。
【0024】
図1および図3に示すように、第1実施形態による携帯通信端末100の上側本体部10と下側本体部30とは、平面的に見て、略同形状の長方形状を有する。そして、第1実施形態による携帯通信端末100は、上側本体部10と下側本体部30とが開閉可能に構成されたいわゆる折り畳み型の携帯通信端末である。また、携帯通信端末100は、全地球測位システム(GPS)を用いた位置情報を表示部20に表示させる機能(GPS機能)を有する。
【0025】
携帯通信端末100の上側本体部10は、図1に示すように、平面的に見て板状の長方形状を有する表示部20と、軸部12aによって表示部20をR2方向に回動可能に支持する連結部12とから構成されている。また、連結部12は、下側本体部30の連結部33と軸部33aによってR1方向に回動可能に連結されている。これにより、上側本体部10は、図3に示す閉状態から下側本体部30に対してR1方向に開いて図2に示す開状態とすることができる。一方、上側本体部10は、軸部12aによりR2方向に開いて図4に示す開状態とすることができる。このように、携帯通信端末100は、2通りに開閉することができるように構成されている。第1実施形態では、これらの開状態のうち、図1および図2に示すように、表示部20のディスプレイ21の長手方向(D1方向)が携帯通信端末100の上方向となる状態を縦状態とするとともに、縦状態で表示を行う場合を縦表示状態とする。また、図4および図5に示すように、表示部20のディスプレイ21の短手方向(D2方向)が携帯通信端末100の上方向となる状態を横状態とするとともに、横状態で表示を行う場合を横表示状態とする。
【0026】
また、上側本体部10のスピーカ11は、CPU41からI/F42を介して出力される電気信号を音声に変換し、ユーザに伝達する機能を有する。このスピーカ11は、表示部20のフレーム22の外周部に設けられている。
【0027】
上側本体部10の連結部12は、表示部20をR2方向に回動(開閉)させるための軸部12aと、表示部20と係合して回動(開閉)を規制するための係合部12bと、表示部20のR2方向の回動(開閉)を検出するための開閉方向検出部12cとを含む。連結部12は、下側本体部30の連結部33に軸部33aを介して取り付けられることにより、上側本体部10と下側本体部30とを連結する機能を有する。なお、開閉方向検出部12cは、本発明の「回動検出部」の一例である。
【0028】
連結部12の軸部12aは、表示部20の短手方向(X方向)の一方端(X1方向)に設けられている。軸部12aは、軸部12aの延びる軸(表示部20の長手方向)を中心に表示部20を回動可能に支持するように構成されている。これにより、軸部12aは、表示部20を図3に示す閉状態から図4に示す開状態(第2表示位置Pd2)に開閉可能に支持するように構成されている。なお、表示部20が軸部12a回りに回動される場合、図8に示すように、表示部20は連結部12に対して任意の位置(第2表示位置Pd2)で保持することが可能なように構成されている。
【0029】
また、軸部12aには開閉方向検出部12cが取り付けられている。この開閉方向検出部12cはリードスイッチを有する。一方、表示部20の軸部12aの近傍にはリードスイッチを動作させるための図示しない磁石が設けられていて、表示部20の回動に合わせて軸部12a回りに回動するように構成されている。このため、表示部20が軸部12a回り(R2方向)に回動すると、表示部20に設けられた磁石が開閉方向検出部12cに近接または離間することにより、リードスイッチが動作する。これにより、表示部20のR2方向の開閉が検出されるように構成されている。この開閉方向検出部12cにより表示部20のR2方向の開閉が検出されると、開閉方向検出部12cから検出信号が出力され、CPU41に入力されるように構成されている。
【0030】
また、連結部12の係合部12bは、連結部12において、表示部20の短手方向(X方向)の軸部12aと反対側(X2方向)の端部に形成されている。係合部12bは、表示部20のフレーム22に形成された係合部22a(図4参照)と係合して、表示部20の軸部12a回りの回動を規制するように構成されている。表示部20を回動させて、表示部20が図3に示す閉状態に位置する場合に、連結部12の係合部12bとフレーム22の係合部22aとが係合するように構成されている。これにより、表示部20が図1に示す縦状態および図3に示す閉状態に保持されるように構成されている。なお、係合部12bおよび22aによる係合は、表示部20に対してR2方向に所定以上の力が加わることにより解除されるように構成されている。また、図1〜図3に示すように、係合部12bとフレーム22の係合部22aとが係合した状態で、表示部20の表面と連結部12の表面とが面一となるように構成されている。したがって、この状態では上側本体部10は平板形状を有する。
【0031】
また、表示部20は、平面的に見て長方形状を有するディスプレイ21と、長方形状を有するフレーム22とから構成されている。ディスプレイ21は、フレーム22に嵌め込まれて固定されている。ディスプレイ21の表示面21aとフレーム22の表面とは面一となるように形成されており、表示部20は、平板形状を有する。
【0032】
表示部20のディスプレイ21は、ディスプレイ駆動回路45より出力される画像情報を表示する機能を有する。この画像情報には、画像データのほか、GPSを用いた携帯通信端末100の位置情報、着信および送信先の電話番号や電子メールの内容、携帯通信端末100の設定情報などのデータが含まれる。GPS機能の使用時、送信先の選択、メール作成や携帯通信端末100の設定時には、ユーザがディスプレイ21に表示された画像情報を視認しながらキーボード32の操作を行うように構成されている。
【0033】
また、ディスプレイ21は、ディスプレイ駆動回路45によって出力される画像情報の向きが変更されることにより、表示方向を切り替えるように構成されている。すなわち、図1および図2に示すように、携帯通信端末100が縦状態にある場合には、ディスプレイ21は、ディスプレイ21の長手方向を上下方向とする第1表示方向D1(上方向)に表示されるように構成されている。一方、図5に示すように、携帯通信端末100が横状態にある場合には、ディスプレイ21は、ディスプレイ21の短手方向を上下方向とする第2表示方向D2(上方向)に表示されるように構成されている。これにより、携帯通信端末100は、上側本体部10または表示部20の開閉方向を変更することにより、ディスプレイ21を縦長の画面(縦状態)としても、横長の画面(横状態)としても使用することができるように構成されている。
【0034】
第1実施形態では、表示部20(ディスプレイ21)の表示方向の切り替えは、上側本体部10(表示部20)の開閉方向を変更することにより行われるように構成されている。具体的には、縦長の第1表示方向D1で携帯通信端末100を使用する場合には、上側本体部10が閉状態(図3参照)からR1方向に開かれて、縦状態に保持される。このとき、下側本体部30の連結部33に設けられた後述する開閉方向検出部33bによって、R1方向の回動が検出され、検出信号がCPU41に出力されるように構成されている。この検出信号に基づき、CPU41からディスプレイ駆動回路45に表示方向の切替信号(第1切替信号)が出力され、ディスプレイ21に出力される画像情報の表示方向を第1表示方向D1とするように構成されている。一方、横長の第2表示方向D2で携帯通信端末100を使用する場合には、閉状態(図3参照)から表示部20がR2方向に開かれて、横状態に保持される。このとき、上側本体部10の連結部12に設けられた開閉方向検出部12cによって、R2方向の回動が検出され、検出信号がCPU41に出力される。この検出信号に基づき、CPU41からディスプレイ駆動回路45に表示方向の切替信号(第2切替信号)が出力され、ディスプレイ21に出力される画像情報の表示方向を第2表示方向D2とするように構成されている。したがって、これらの開閉方向検出部12cおよび33bは、上側本体部10(表示部20)の開閉方向を検出することによって、表示部20の上方向が第1表示方向D1であるか第2表示方向D2であるかを検出している。この開閉方向検出部12cおよび33bからの上方向の検出信号に応じて、CPU41が、ディスプレイ21の表示方向を変更するように構成されている。なお、開閉方向検出部33bは、本発明の「回動検出部」の一例である。
【0035】
また、図1に示すように、フレーム22は、ディスプレイ21の外周を取り囲むようにしてディスプレイ21を固定および保護することにより表示部20の外周部を構成している。また、フレーム22は、外周部にスピーカ11と、2つのGPSアンテナ23および24とを内蔵している。また、フレーム22は、連結部12と接する側の短辺の角部近傍において、連結部12と軸部12aによって連結され、R2方向に回動可能に支持されている。また、図4に示すように、フレーム22の軸部12aとの連結部分のX1方向の反対側には、連結部12の係合部12bと係合する係合部22aが形成されている。
【0036】
また、フレーム22の外周部に内蔵されたGPSアンテナ23は、図1に示すように、フレーム22において、ディスプレイ21の第1表示方向D1側の短辺に設けられている。一方、GPSアンテナ24は、フレーム22において、ディスプレイ21の第2表示方向D2側の長辺に設けられている。したがって、図1に示すように、GPSアンテナ23は、携帯通信端末100が縦状態にある場合に、ディスプレイ21の表示方向の上方向側(第1表示方向D1)の先端部に配置されるように構成されている。また、図5に示すように、GPSアンテナ24は、携帯通信端末100が横状態にある場合に、ディスプレイ21の表示方向の上方向側(第2表示方向D2)の先端部近傍に配置されるように構成されている。
【0037】
GPSアンテナ23および24は、図7および図8に示すように、それぞれアンテナ表面23a、24aに対して上方(Da1およびDa2方向)に単一指向性を有するとともに、円偏波特性を有するように構成されている。このGPSアンテナ23および24は、図9および図10に示すように、アンテナ表面23a、24aに対して上方(Da1およびDa2方向)に広い指向性パターンQを有するため、GPSアンテナ23および24のDa1およびDa2方向の指向性を略天頂方向(GPS衛星200側)に向けた状態で、最も広範囲にGPS衛星200からの衛星電波(測位用電波)を受信することが可能である。これにより、GPSアンテナ23および24は、それぞれ、指向性の方向Da1およびDa2を略天頂方向(Z1方向)に向けた場合に、位置の異なる複数のGPS衛星200からの衛星電波(測位用電波)を適切に受信することができる。
【0038】
また、フレーム22の第1表示方向D1側に配置されたGPSアンテナ23は、図7に示すように、ディスプレイ21(表示部20)の表示面21aに対して第1表示方向D1から、角度θを有するように固定的に設置されている。ここで、角度θは、略30度以上略60度以下の範囲で設定される。第1実施形態では、この角度θは約45度となるように構成されている。このため、GPSアンテナ23は、指向性の方向がディスプレイ21の第1表示方向D1から表示面21aに対して角度θ(約45度)傾いた第1受信方向Da1に設定されている。
【0039】
また、フレーム22の第2表示方向D2側に配置されたGPSアンテナ24もGPSアンテナ23と同様に、図8に示すように、ディスプレイ21(表示部20)の表示面21aに対して第2表示方向D2から、角度θを有するように固定的に設置されている。この角度θもGPSアンテナ23と同じ約45度となるように構成されている。このため、GPSアンテナ24は、指向性の方向がディスプレイ21の第2表示方向D2から表示面21aに対して角度θ(約45度)傾いた第2受信方向Da2に設定されている。
【0040】
ここで、携帯通信端末100は、表示部20(ディスプレイ21)の表示方向の上方向が携帯通信端末100の上方向となるように(ユーザにより)保持され、使用される。すなわち、携帯通信端末100を縦状態にして使用する場合には、ユーザにより下側本体部30が縦向き(下側本体部30の長手方向が上下方向)に把持され、第1表示方向D1が携帯通信端末100の上方向となるように構成されている。この場合、図9に示すように、表示部20の第1表示方向D1側の先端部近傍に配置されたGPSアンテナ23が携帯通信端末100の上方向側に配置される。また、携帯通信端末100を横状態にして使用する場合には、ユーザにより下側本体部30が横向きに(下側本体部30の短手方向が上下方向)把持され、第1表示方向D1が携帯通信端末100の上方向となるように構成されている。この場合、図10に示すように、表示部20の第2表示方向D2側の先端部近傍に配置されたGPSアンテナ23が携帯通信端末100の上方向側に配置される。
【0041】
なお、図9および図10に示すように、通常、携帯通信端末100をユーザが把持してGPSによる位置情報を表示部20(ディスプレイ21)に表示させる機能(GPS機能)を使用する場合には、表示部20に表示される画像を見ながらキーボード32を操作する必要がある。このため、携帯通信端末100は、表示部20(ディスプレイ21)の表示面21aがユーザにとって見易い角度となるように、表示部20の表示方向の上方向が水平面に対して所定の角度φ(約45度)だけ傾くようにして使用されると考えられる。具体的には、図9に示すように、携帯通信端末100を縦状態で使用する場合には、表示部20の表示方向の上方向である第1表示方向D1が、水平面に対して角度φ(約45度)だけ傾くように保持される。また、図10に示すように、携帯通信端末100を横状態で使用する場合には、表示部20の表示方向の上方向である第2表示方向D2が、水平面に対して角度φ(約45度)だけ傾くように保持される。
【0042】
このように、携帯通信端末100のGPS機能を使用する場合には、表示部20の表示方向の上方向が水平面に対して角度φ(約45度)だけ傾くようにして使用される。この場合、図9に示すように、GPSアンテナ23の第1受信方向Da1が、ディスプレイ21(表示部20)の表示面21aに対して第1表示方向D1から角度θ=約45度の方向となるため、GPSアンテナ23の第1受信方向Da1は、水平面から約45度(表示部20の傾きφ)+約45度(第1受信方向Da1の傾きθ)=約90度の鉛直上方(略天頂方向(Z1方向))を向くように構成されている。また、図10に示すように、GPSアンテナ24の第2受信方向Da2が、ディスプレイ21(表示部20)の表示面21aに対して第2表示方向D2から角度θ=約45度の方向となるため、GPSアンテナ24の第2受信方向Da2は、水平面から約45度(表示部20の傾きφ)+約45度(第2受信方向Da2の傾きθ)=約90度の鉛直上方(略天頂方向(Z1方向))を向くように構成されている。
【0043】
これにより、第1実施形態では、携帯通信端末100をユーザが把持して表示部20を見ながら使用する場合に、GPSアンテナ23および24の指向性が、携帯通信端末100が縦向きで使用される縦状態と、携帯通信端末100が横向きで使用される横状態とのいずれの状態にある場合においても、略天頂方向(鉛直上方(Z1方向))を向くように構成されている。すなわち、図9に示すように、携帯通信端末100が縦状態で使用される場合において、GPSアンテナ23が表示部20の上端部近傍に配置されて第1表示方向D1が表示部20の上方向となる状態で、GPSアンテナ23の指向性(第1受信方向Da1)が略天頂方向を向くように構成されている。同様に、図10に示すように、携帯通信端末100が横状態で使用される場合において、GPSアンテナ24が表示部20の上端部近傍に配置されて第2表示方向D2が表示部20の上方向となる状態で、GPSアンテナ24の指向性(第2受信方向Da2)が略天頂方向(Z1方向)を向くように構成されている。
【0044】
また、携帯通信端末100の下側本体部30は、図2に示すように、上側本体部10に対応した長方形状を有する。図3に示すように、上側本体部10と下側本体部30とを折り畳んだ閉状態では、上側本体部10の外形と下側本体部30の外形とが略重なるように構成されている。下側本体部30の上面には、マイク31と、キーボード32と、連結部33とが配置されている。また、下側本体部30の内部には、通信アンテナ34、通信回路35、GPS受信回路36、および、選択スイッチ37が内蔵されている。また、下側本体部30の内部には、携帯通信端末100の制御を行うためのCPU41、I/F42、RAM43、ROM44、および、ディスプレイ21への画像出力を行うためのディスプレイ駆動回路45が内蔵されている。
【0045】
下側本体部30のマイク31は、携帯通信端末100のユーザの声を検出して電気信号に変換する機能を有する。また、図6に示すように、この電気信号に変換された音声は、I/F42を介してCPU41に出力されるように構成されている。
【0046】
下側本体部30のキーボード32は、ユーザが携帯通信端末100の操作を行うための入力情報をCPU41へ出力する機能を有する。また、図1に示すように、携帯通信端末100のユーザは、キーボード32のダイヤルボタン32aから電話番号の入力、文字入力などを行う。また、携帯通信端末100は、機能ボタン32bから、携帯通信端末100の設定や、GPSを用いた位置情報の表示などの各種機能を実行するように構成されている。ユーザは、GPSによる位置情報の取得および表示を行う場合には、表示部20(ディスプレイ21)に表示される項目や、現在位置を示す画像を見ながら選択ボタン32cを操作することにより、GPSによる位置情報の表示機能を実行する。また、携帯通信端末100は、メールボタン32dにより、電子メール送受信に関する機能を実行するように構成されている。
【0047】
また、下側本体部30の連結部33は、下側本体部30に固定的に設けられ、上側本体部10を回動可能に支持するように構成されている。連結部33は、内部に軸部33aと開閉方向検出部33bとを含んでいる。連結部33は、軸部33aにより上側本体部10の連結部12と連結されている。この軸部33aは、下側本体部30の短辺方向(X方向)に延びるように形成されていて、上側本体部10の連結部12を軸部33a回り(R1方向)に回動可能に支持するように構成されている。これにより、連結部12と連結部33とにより連結された上側本体部10と下側本体部30とが、R1方向に開閉可能に構成されている。このように、携帯通信端末100は、上側本体部10を軸部33a回り(R1方向)に回動させることによって、表示部20を第1表示位置Pd1に回動させ、ディスプレイ21の第1表示方向D1が上方向となる縦状態とすることが可能なように構成されている。
【0048】
また、軸部33aには開閉方向検出部33bが取り付けられている。この開閉方向検出部33bはリードスイッチを有する。一方、連結部12の軸部33aの近傍にはリードスイッチを動作させるための図示しない磁石が設けられていて、連結部12(上側本体部10)の回動に合わせて軸部33a回りに回動するように構成されている。このため、上側本体部10が軸部33a回り(R1方向)に回動すると、連結部12に設けられた磁石が開閉方向検出部33bに近接または離間することにより、リードスイッチが動作する。これにより、上側本体部10のR1方向への開閉が検出されるように構成されている。この開閉方向検出部33bにより上側本体部10のR1方向の開閉が検出されると、開閉方向検出部33bから検出信号が出力され、CPU41に入力されるように構成されている。
【0049】
また、携帯通信端末100の通信回路35は、下側本体部30に内蔵された通信アンテナ34を介して通信電波の送受信を行う機能を有する。通信回路35は、基地局を介して携帯電話網およびインターネットへの無線通信接続を行うことができるように構成されている。これにより、携帯通信端末100は、他の通信端末との電話回線を用いた通話や、電子メールの送受信を行う。また、通信回路35が受信した情報は、CPU41へ出力される。
【0050】
また、携帯通信端末100のGPS受信回路36は、全地球測位システム(GPS)を用いて携帯通信端末100の位置情報を取得する機能を有する。GPS受信回路36には、GPSアンテナ23または24により受信された複数のGPS衛星200(図9参照)からの測位用電波が入力されるように構成されている。GPS受信回路36は、受信した測位用電波の情報に基づき三次元測位を行うことにより、携帯通信端末100の現在位置の測定を行うように構成されている。GPS受信回路36は、図6に示すように、選択スイッチ37を介して2つのGPSアンテナ23および24と選択的に接続されるように構成されている。具体的には、携帯通信端末100が縦状態で使用される場合には、第1受信方向Da1が略天頂方向(図9参照)を向くGPSアンテナ23が選択スイッチ37により選択されることにより、GPS受信回路36はGPSアンテナ23と接続される。また、携帯通信端末100が横状態で使用される場合には、第2受信方向Da2が略天頂方向(図10参照)を向くGPSアンテナ24が選択スイッチ37により選択されることにより、GPS受信回路36はGPSアンテナ24と接続される。なお、GPS受信回路36を用いて取得した位置情報は、CPU41に出力されるように構成されている。
【0051】
また、下側本体部30に内蔵された選択スイッチ37は、GPSアンテナ23およびGPSアンテナ24の両方に選択的に接続され、携帯通信端末100のGPS機能を使用する際に測位用電波を受信するGPSアンテナを選択する機能を有する。選択されたGPSアンテナ23または24は、選択スイッチ37を介してGPS受信回路36と接続される。また、選択スイッチ37には、CPU41からディスプレイ21の表示方向を切り替えるための切替信号(第1切替信号または第2切替信号)が出力されるように構成されている。この選択スイッチ37によるGPSアンテナ23または24の選択は、CPU41から出力される表示方向の切替信号(第1切替信号または第2切替信号)に基づいて行われるように構成されている。
【0052】
また、下側本体部30に内蔵されたCPU41は、携帯通信端末100の全体の制御を行うように構成されている。すなわち通信回路35を介した携帯通信端末100の通信制御およびGPS受信回路36を介した位置情報の取得を行うとともに、スピーカ11、マイク31およびキーボード32の制御を行うように構成されている。また、CPU41は、ROM44よりプログラムを読み出し、RAM43をワークエリアとして所定の機能を実行するとともに、携帯通信端末100の機器設定情報、送受信された電子メール、画像データおよび位置情報などを図示しない不揮発性メモリに記憶させる機能を有する。また、CPU41は、ディスプレイ駆動回路45に画像情報を出力することにより、携帯通信端末100の機能に応じた画像をディスプレイ21に表示させるように構成されている。GPSによる位置情報の表示機能を使用する際には、CPU41がキーボード32からの入力情報に基づきGPS受信回路36を介して位置情報の取得を行い、取得した携帯通信端末100の現在位置の画像をディスプレイ駆動回路45を介してディスプレイ21に出力させるように構成されている。
【0053】
また、CPU41は、ディスプレイ21の表示方向を第1表示方向D1と第2表示方向D2とに切り替えるための切替信号(第1切替信号または第2切替信号)をディスプレイ駆動回路45および選択スイッチ37に出力するように構成されている。CPU41は、この切替信号(第1切替信号または第2切替信号)を、開閉方向検出部12cおよび33bからの検出信号に基づいて出力するように構成されている。具体的には、図1に示すように、上側本体部10が軸部33a回りに回動(開閉)されると、開閉方向検出部33bによりR1方向の回動の検出信号がCPU41に出力される。CPU41は、この開閉方向検出部33bからの検出信号に基づき、ディスプレイ21の表示方向を第1表示方向D1に切り替える切替信号(第1切替信号)を出力するように構成されている。また、図4および図5に示すように、表示部20が軸部12a回りに回動(開閉)されると、開閉方向検出部12cによりR2方向の回動の検出信号がCPU41に出力される。CPU41は、この開閉方向検出部12cからの検出信号に基づき、ディスプレイ21の表示方向を第2表示方向D2に切り替える切替信号(第2切替信号)を出力するように構成されている。
【0054】
これにより、CPU41は、ディスプレイ駆動回路45に切替信号(第1切替信号または第2切替信号)を出力することによって、ディスプレイ21の表示方向を第1表示方向D1と第2表示方向D2とに切り替える機能を有する。また、CPU41は、選択スイッチ37に切替信号(第1切替信号または第2切替信号)を出力することによって、GPS衛星200からの測位用電波を受信するためのGPSアンテナ23とGPSアンテナ24とを選択する機能を有する。そして、携帯通信端末100は、縦状態で使用される場合には、CPU41から第1表示方向D1に切り替える切替信号(第1切替信号)が出力されることにより、第1表示方向D1が携帯通信端末100の上方向となるとともに、携帯通信端末100の上端部に配置されたGPSアンテナ23が選択されるように構成されている。また、携帯通信端末100が横状態で使用される場合には、CPU41から第2表示方向D2に切り替える切替信号(第2切替信号)が出力されることにより、第2表示方向D2が携帯通信端末100の上方向となるとともに、携帯通信端末100の上端部に配置されたGPSアンテナ24が選択されるように構成されている。
【0055】
また、下側本体部30のI/F42は、スピーカ11、マイク31、キーボード32と接続されている。CPU41によるスピーカ11、マイク31、キーボード32の制御および情報の入出力は、I/F42を介して行われるように構成されている。CPU41とスピーカ11、マイク31およびキーボード32との入出力信号は、I/F42により各デバイスに適した信号に変換されてそれぞれ出力されるように構成されている。
【0056】
また、下側本体部30のRAM43は、CPU41による制御に伴い生成される一時データを書き換え可能に記憶する機能を有する。また、ROM44には、GPSを用いた位置情報の取得などのCPU41による各種の機能を実現させるためのプログラムなどが記憶されている。
【0057】
また、下側本体部30のディスプレイ駆動回路45は、CPU41から出力される画像情報や色情報に基づき、所定のタイミングで表示信号をディスプレイ21に出力することにより、ディスプレイ21に画像を表示させる機能を有する。このディスプレイ駆動回路45は、CPU41から出力されるディスプレイ21の表示方向の切替信号に基づいて、ディスプレイ21の表示方向を第1表示方向D1と、第2表示方向D2とに切り替えるように構成されている。
【0058】
次に、図1〜図4、図6、図9および図10を参照して、第1実施形態によるGPSアンテナ23および24の選択動作について説明する。
【0059】
第1実施形態では、開閉方向検出部12cおよび33bから出力される検出信号に基づき、CPU41から表示方向の切替信号(第1切替信号または第2切替信号)がディスプレイ駆動回路45および選択スイッチ37に出力される。そして、切替信号(第1切替信号または第2切替信号)に基づき、ディスプレイ駆動回路45によりディスプレイ21の表示方向が切り替えられるとともに、選択スイッチ37によりGPSアンテナ23または24が選択される。
【0060】
具体的には、図1に示すように、GPSアンテナ23に選択される場合は、ユーザにより上側本体部10が閉状態(図3参照)からR1方向に開かれて、表示部20が第1表示位置Pd1まで回動される。これにより、携帯通信端末100は、縦状態に保持される。このとき、下側本体部30の連結部33に設けられた開閉方向検出部33bによって、連結部12(上側本体部10)のR1方向の回動が検出され、検出信号がCPU41に出力される。この検出信号に基づき、CPU41からディスプレイ駆動回路45および選択スイッチ37に表示方向を第1表示方向D1とする切替信号(第1切替信号)が出力される。図1および図2に示すように、この切替信号(第1切替信号)に基づき、ディスプレイ駆動回路45により、ディスプレイ21に出力される画像情報の表示方向が第1表示方向D1に変更される。また、図6に示すように、第1表示方向D1とする切替信号が選択スイッチ37にも出力されることにより、GPSアンテナ23が選択スイッチ37を介してGPS受信回路36と接続される。これにより、ディスプレイ21が第1表示方向D1で表示される縦表示状態では、フレーム22の第1表示方向D1側に配置されたGPSアンテナ23が選択される。
【0061】
図9に示すように、携帯通信端末100が縦状態で使用される場合、ユーザにより下側本体部30が把持されて、表示部20は第1表示方向D1を上方向として第1表示位置Pd1に保持される。このとき、表示部20は、視認性の確保のため水平方向から角度φ(約45度)で保持される。この縦状態で選択されるGPSアンテナ23の指向性の第1受信方向Da1は、ディスプレイ21の第1表示方向D1から角度θ(約45度)に設定されている。このため、第1受信方向Da1は、表示部20の水平方向に対する角度φ(約45度)+第1受信方向Da1の表示面21aに対する角度θ(約45度)=約90度の略天頂方向(Z1方向)を向く。
【0062】
また、図4に示すように、GPSアンテナ24に選択される場合は、ユーザにより表示部20が閉状態(図3参照)からR2方向(図1参照)に開かれて、表示部20が第2表示位置Pd2まで回動される。これにより、携帯通信端末100は、横状態に保持される。このとき、上側本体部10の連結部12に設けられた開閉方向検出部12cによって、表示部20のR2方向の回動が検出され、検出信号がCPU41に出力される。この検出信号に基づき、CPU41からディスプレイ駆動回路45および選択スイッチ37に表示方向を第2表示方向D2とする切替信号(第2切替信号)が出力される。図4に示すように、この切替信号(第2切替信号)に基づき、ディスプレイ駆動回路45により、ディスプレイ21に出力される画像情報の表示方向が第2表示方向D2に変更される。また、図6に示すように、第2表示方向D2とする切替信号(第2切替信号)が選択スイッチ37にも出力されることにより、GPSアンテナ24が選択スイッチ37を介してGPS受信回路36と接続される。これにより、ディスプレイ21が第2表示方向D2で表示される横表示状態では、フレーム22の第2表示方向D2側に配置されたGPSアンテナ24が選択される。
【0063】
図10に示すように、携帯通信端末100が横状態で使用される場合、ユーザにより下側本体部30が把持されて、表示部20は第2表示方向D2を上方向として第2表示位置Pd2に保持される。このとき、表示部20は、視認性の確保のため水平方向から角度φ(約45度)で保持される。この横状態で選択されるGPSアンテナ24の指向性の第2受信方向Da2は、ディスプレイ21の第2表示方向D2から角度θ(約45度)に設定されている。このため、第2受信方向Da2は、表示部20の水平方向に対する角度φ(約45度)+第2受信方向Da2の表示面21aに対する角度θ(約45度)=約90度の略天頂方向(Z1方向)を向く。
【0064】
第1実施形態では、上記のように、第1表示方向D1を上方向として表示部20(ディスプレイ21)の表示面21aが水平方向に対して斜めに傾けられて保持される場合に、GPSアンテナ23の第1受信方向Da1が略天頂方向(Z1方向(図9参照))を向くとともに、第2表示方向D2を上方向として表示部20(ディスプレイ21)の表示面21aが水平方向に対して斜めに傾けられて保持される場合に、GPSアンテナ24の第2受信方向Da2が略天頂方向(Z1方向(図10参照))を向くように構成することによって、ユーザが表示部20の表示方向(第1表示方向D1または第2表示方向D2)を変更し、かつ、視認性の観点から表示面21aを水平方向に対して角度φ傾けた状態で下側本体部30を把持した場合にも、ディスプレイ21の第1表示方向D1が上方向となる場合には第1受信方向Da1が略天頂方向(Z1方向)を向くGPSアンテナ23がCPU41により選択され、第2表示方向D2が上方向となる場合には第2受信方向Da2が略天頂方向(Z1方向)を向くGPSアンテナ24がCPU41により選択される。これにより、表示部20の向きを第1表示方向D1または第2表示方向D2のいずれの方向に変更して使用する場合にも、常にGPSアンテナ(23または24)の指向性(第1受信方向Da1または第2受信方向Da2)を略天頂方向(Z1方向)に向けることができる。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、CPU41を、ディスプレイ21の表示方向を第1表示方向D1と第2表示方向D2とに切り替える表示方向の切替信号(第1切替信号または第2切替信号)を出力するように構成するとともに、GPSアンテナ23とGPSアンテナ24とを、CPU41から出力される切替信号(第1切替信号または第2切替信号)に基づいて選択されるように構成することによって、表示方向の切替信号(第1切替信号または第2切替信号)に基づいてGPSアンテナ23とGPSアンテナ24とが選択されるので、表示方向を第1表示方向D1と第2表示方向D2とに切り替える切替信号と、表示方向に応じて指向性が略天頂方向を向くGPSアンテナ23またはGPSアンテナ24を選択する信号とを共通化することができる。これにより、表示方向を切り替える切替信号と、GPSアンテナ23または24を選択する信号とを別個に生成および出力する必要がないので、携帯通信端末100の回路構成を簡素化することができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、選択スイッチ37を、ディスプレイ21の表示方向を第1表示方向D1に切り替える切替信号(第1切替信号)に基づいてGPSアンテナ23を選択するとともに、ディスプレイ21の表示方向を第2表示方向D2に切り替える切替信号(第2切替信号)に基づいてGPSアンテナ24を選択するように構成することによって、選択スイッチ37によって、第1表示方向D1に切り替える切替信号(第1切替信号)に基づいてGPSアンテナ23が選択され、第2表示方向D2に切り替える切替信号(第2切替信号)に基づいてGPSアンテナ24が選択される。これにより、GPSアンテナごとに受信部や受信レベルを比較する比較部を設けることなく、1つの選択スイッチ37のみにより、指向性が略天頂方向(Z1方向)を向くGPSアンテナ23および24を選択することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、CPU41を、開閉方向検出部12cおよび33bの検出信号に基づいて、表示部20が第1表示位置Pd1に位置する場合にディスプレイ21の表示方向を第1表示方向D1に切り替える切替信号(第1切替信号)を出力するとともに、表示部20が第2表示位置Pd2に位置する場合にディスプレイ21の表示方向を第2表示方向D2に切り替える切替信号(第2切替信号)を出力するように構成し、第1切替信号および第2切替信号に基づいて、それぞれ、GPSアンテナ23とGPSアンテナ24とが選択されるように構成することによって、ユーザが表示部20を第1表示位置Pd1または第2表示位置Pd2に回動させるだけで、開閉方向検出部12cおよび33bと、第1切替信号または第2切替信号とにより、表示方向を第1表示方向D1と第2表示方向D2とに切り替えるとともに、略天頂方向(Z1方向)を向くGPSアンテナ23とGPSアンテナ24とを選択することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、表示部20の表示面21aに対するGPSアンテナ23の第1受信方向Da1およびGPSアンテナ24の第2受信方向Da2の所定の角度θは、約45度の角度を有することによって、ユーザが下側本体部30を把持してGPS機能を使用する場合には、通常、ユーザが表示部20を見やすいように、表示部20を水平方向に対して角度φ(約45度)に傾けた状態で下側本体部30が保持される。この結果、下側本体部30を把持した状態において、第1表示方向D1が上方向となる場合には、GPSアンテナ23の第1受信方向Da1が水平方向から約45度傾いた表示部20の表示面21aに対して約45度の角度θを有することとなり、GPSアンテナ23の指向性の方向(第1受信方向Da1)を、水平方向に対して略90度(略天頂方向(Z1方向))の近傍となるようにすることができる。同様に、第2表示方向D2が上方向となる場合には、GPSアンテナ23の第2受信方向Da2が水平方向から約45度傾いた表示部20の表示面21aに対して約45度の角度θを有することとなり、GPSアンテナ24の指向性の方向(第2受信方向Da2)を、水平方向に対して略90度(略天頂方向(Z1方向))の近傍となるようにすることができる。これにより、下側本体部30を把持した状態で、常に表示方向に応じてGPSアンテナ23または24の指向性を略天頂方向(Z1方向)に向けることができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、ディスプレイ21は、平面的に見て長方形状を有し、第1表示方向D1はディスプレイ21の長手方向を上方向とするように設定されるとともに、第2表示方向D2はディスプレイ21の短手方向を上方向とするように設定され、GPSアンテナ23を、表示部20において、ディスプレイ21の第1表示方向D1側に設けるとともに、GPSアンテナ24を、表示部20において、ディスプレイ21の第2表示方向D2側に設けることによって、長方形状のディスプレイ21が縦長(長手方向が上方向)となる第1表示方向D1を上方向として使用する場合には、指向性が略天頂方向(Z1方向)を向くGPSアンテナ23を上方向(第1表示方向D1)側に配置することができる。また、長方形状のディスプレイ21が横長(短手方向が上方向)となる第2表示方向D2を上方向として使用する場合には、指向性が略天頂方向(Z1方向)を向くGPSアンテナ24を上方向(第2表示方向D2)側に配置することができる。これにより、携帯通信端末100の使用時に、指向性が略天頂方向(Z1方向)を向くGPSアンテナ23または24を常に表示部20の上方向側に配置することができるので、たとえば携帯通信端末100の連結部分などにアンテナが設けられる場合と比較して、ユーザの手指などに遮られることなく良好な受信感度を得ることができる。
【0070】
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2実施形態による携帯通信端末を説明するための斜視図である。また、図12は、本発明の第2実施形態による携帯通信端末の表示方向の変化を説明するための図である。また、図13〜図17は、本発明の第2実施形態による携帯通信端末の詳細を説明するための図である。この第2実施形態では、表示部20の開閉方向を2つの開閉方向検出部12cおよび33bにより検出することにより、ディスプレイ21の表示方向を切り替えるとともにGPSアンテナ23および24を選択するように構成した上記第1実施形態と異なり、表示部120の回動を1つの回動方向検出部120aにより検出することにより、ディスプレイ21の表示方向を切り替えるとともにGPSアンテナ23および24を選択するように構成した例について説明する。なお、回動方向検出部120aは、本発明の「回動検出部」の一例である。
【0071】
この第2実施形態では、図11に示すように、携帯通信端末101の上側本体部110は、表示部120と、表示部120を背面側(表示面21aの反対側)から軸部112aによって回動可能に支持する連結部112とから構成されている。なお、上側本体部110は、本発明の「端末本体部」の一例である。
【0072】
第2実施形態では、携帯通信端末101は、上側本体部110の表示部120が、軸部112a回りにR3方向に第1表示位置Pd1と第2表示位置Pd2とに回動することによって、ディスプレイ21が縦長の縦状態(縦表示状態)と、ディスプレイ21が横長の横状態(横表示状態)とに切替可能に構成されている。
【0073】
また、連結部112は、軸部112aと、表示部120を軸部112aを介して支持する支持部112bと、下側本体部30の軸部33aと係合する軸受部112cとからなる。軸部112aは、表示部120を表示面21aと同一面内で回動可能に支持するように構成されている。この軸部112aは、図12に示すように、平面的に見て、長方形状のディスプレイ21の中心で表示部120を支持している。また、軸部112aは、支持部112bに設けられている。支持部112bは、表示部120を軸部112aを介して支持するとともに、図示しない係合部によって表示部120のR3方向の回動角度を所定の範囲に規制する機能を有する。これにより、表示部120のR3方向の回動は、図11に示す第1表示位置Pd1から時計方向に約90度の範囲に設定されている。図12に示すように、表示部120は、第1表示位置Pd1から時計方向に回動して、第2表示位置Pd2に移動するように構成されている。このとき、携帯通信端末101は、横状態となる。
【0074】
また、連結部112は、軸受部112cにより下側本体部30の連結部33と連結され、第1実施形態と同様に軸部33a回りにR1方向に回動可能に構成されている。
【0075】
また、表示部120は、ディスプレイ21と、ディスプレイ21を取り囲むようにして固定するフレーム122とから構成されている。
【0076】
第2実施形態では、フレーム122の内部に、図14および図15に示すように、回動方向検出部120aが内蔵されている。図11に示すように、回動方向検出部120aはフレーム122内部の軸部112a近傍の、X2方向側に設けられている。この回動方向検出部120aは、表示部120と一体的に回動するように構成されている。したがって、回動方向検出部120aは、図11に示す第1表示位置Pd1では軸部112aのX2方向側に配置されるとともに、図12に示す第2表示位置Pd2では軸部112aのY1方向側に移動するように構成されている。
【0077】
この回動方向検出部120aはリードスイッチを有する。一方、連結部112の支持部112bの近傍にはリードスイッチを動作させるための図示しない磁石が設けられている。具体的には、表示部120が第1表示位置Pd1または第2表示位置Pd2に回動されて回動方向検出部120aが移動すると、支持部112bに設けられた磁石が回動方向検出部120aに近接または離間することにより、リードスイッチが動作する。これにより、表示部120のR3方向の回動が検出され、図11の第1表示位置Pd1と、図12の第2表示位置Pd2とが検出されるように構成されている。この回動方向検出部120aにより表示部120のR3方向の回動が検出されると、回動方向検出部120aから検出信号が出力され、CPU41に入力されるように構成されている。図13に示すように、CPU41は、この回動方向検出部120aの検出信号に基づいて、表示方向の切替信号(第1切替信号または第2切替信号)をディスプレイ駆動回路45と選択スイッチ37とに出力するように構成されている。
【0078】
また、フレーム122には、2つのGPSアンテナ23および24が内蔵されている。図11に示すように、第2実施形態では、2つのGPSアンテナ23および24は、両方ともフレーム122の第1表示方向D1の短辺側(携帯通信端末101の先端側)に配置されている。ここで、GPSアンテナ24は、フレーム122の第2表示方向D2側に配置されている。これにより、図14に示すように、携帯通信端末101を、表示部120が第1表示位置Pd1に位置する縦状態で使用する場合には、GPSアンテナ23(および24)が携帯通信端末101の先端部(上方向側)に配置されるように構成されている。また、図15に示すように、携帯通信端末101を、表示部120が第2表示位置Pd2に位置する横状態で使用する場合には、GPSアンテナ24が携帯通信端末101の先端部(上方向側)に配置されるように構成されている。
【0079】
なお、携帯通信端末101のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0080】
次に、図11〜図13、図16および図17を参照して、本発明の第2実施形態によるGPSアンテナ23および24の選択動作について説明する。
【0081】
第2実施形態では、図13に示すように、回動方向検出部120aから出力される検出信号に基づき、CPU41から表示方向の切替信号(第1切替信号または第2切替信号)がディスプレイ駆動回路45および選択スイッチ37に出力される。そして、切替信号(第1切替信号または第2切替信号)に基づき、ディスプレイ駆動回路45によりディスプレイ21の表示方向が切り替えられるとともに、選択スイッチ37によりGPSアンテナ23または24が選択される。
【0082】
具体的には、図11に示すように、GPSアンテナ23に選択される場合は、ユーザにより表示部120が第2表示位置Pd2からR3方向(反時計方向)に回動されて、表示部120が第1表示位置Pd1まで回動される。これにより、携帯通信端末101は、縦状態に保持される。このとき、フレーム122の内部に設けられた回動方向検出部120aによって、表示部120のR3方向の回動が検出され、検出信号がCPU41に出力される。この検出信号に基づき、CPU41からディスプレイ駆動回路45および選択スイッチ37に表示方向を第1表示方向D1とする切替信号(第1切替信号)が出力される。図11に示すように、この切替信号(第1切替信号)に基づき、ディスプレイ駆動回路45により、ディスプレイ21に出力される画像情報の表示方向が第1表示方向D1に変更される。また、図13に示すように、第1表示方向D1とする切替信号(第1切替信号)が選択スイッチ37にも出力されることにより、GPSアンテナ23が選択スイッチ37を介してGPS受信回路36と接続される。これにより、ディスプレイ21が第1表示方向D1で表示される縦表示状態では、フレーム122の第1表示方向D1側に配置されたGPSアンテナ23が選択される。
【0083】
図16に示すように、携帯通信端末101が縦状態で使用される場合、ユーザにより下側本体部30が把持されて、表示部120は第1表示方向D1を上方向として第1表示位置Pd1に保持される。このとき、表示部120は、視認性の確保のため水平方向から角度φ(約45度)で保持される。この縦状態で選択されるGPSアンテナ23の指向性の第1受信方向Da1は、ディスプレイ21の第1表示方向D1から角度θ(約45度)に設定されている。このため、第1受信方向Da1は、表示部20の水平方向に対する角度φ(約45度)+第1受信方向Da1の表示面21aに対する角度θ(約45度)=約90度の略天頂方向(Z1方向)を向く。
【0084】
また、図12に示すように、GPSアンテナ24に選択される場合は、ユーザにより表示部120が第1表示位置Pd1からR3方向(時計方向)に回動されて、表示部120が第2表示位置Pd2まで回動される。これにより、携帯通信端末101は、横状態に保持される。このとき、フレーム122の内部に設けられた回動方向検出部120aによって、表示部120のR3方向の回動が検出され、検出信号がCPU41に出力される。この検出信号に基づき、CPU41からディスプレイ駆動回路45および選択スイッチ37に表示方向を第2表示方向D2とする切替信号(第2切替信号)が出力される。図13に示すように、この切替信号(第2切替信号)に基づき、ディスプレイ駆動回路45により、ディスプレイ21に出力される画像情報の表示方向が第2表示方向D2に変更される。また、図13に示すように、第2表示方向D2とする切替信号(第2切替信号)が選択スイッチ37にも出力されることにより、GPSアンテナ24が選択スイッチ37を介してGPS受信回路36と接続される。これにより、ディスプレイ21が第2表示方向D2で表示される横表示状態では、フレーム122の第2表示方向D2側に配置されたGPSアンテナ24が選択される。
【0085】
図17に示すように、携帯通信端末101が横状態で使用される場合、ユーザにより下側本体部30が把持されて、表示部120は第2表示方向D2を上方向として第2表示位置Pd2に保持される。このとき、表示部120は、視認性の確保のため水平方向から角度φ(約45度)で保持される。この横状態で選択されるGPSアンテナ24の指向性の第2受信方向Da2は、ディスプレイ21の第2表示方向D2から角度θ(約45度)に設定されている。このため、第2受信方向Da2は、表示部120の水平方向に対する角度φ(約45度)+第2受信方向Da2の表示面21aに対する角度θ(約45度)=約90度の略天頂方向(Z1方向)を向く。
【0086】
第2実施形態では、上記のように、CPU41を、回動方向検出部120aの検出信号に基づいて、表示部120が第1表示位置Pd1に位置する場合にディスプレイ21の表示方向を第1表示方向D1に切り替える切替信号(第1切替信号)を出力するとともに、表示部120が第2表示位置Pd2に位置する場合にディスプレイ21の表示方向を第2表示方向D2に切り替える切替信号(第2切替信号)を出力するように構成し、第1切替信号および第2切替信号に基づいて、それぞれ、GPSアンテナ23とGPSアンテナ24とが選択されるように構成することによって、ユーザが表示部120を第1表示位置Pd1または第2表示位置Pd2に回動させるだけで、回動方向検出部120aと第1切替信号および第2切替信号とにより、表示方向を第1表示方向D1と第2表示方向D2とに切り替えるとともに、略天頂方向(Z1方向)を向くGPSアンテナ23とGPSアンテナ24とを選択することができる。なお、第2実施形態のように構成した場合にも、第1実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0087】
(第3実施形態)
図18は、本発明の第3実施形態による携帯通信端末の全体構成を示した斜視図である。また、図19および図20は、本発明の第3実施形態による携帯通信端末の表示方向の変化を説明するための図である。また、図21〜図23は、本発明の第3実施形態による携帯通信端末の詳細を説明するための図である。この第3実施形態では、表示部20の開閉方向を2つの開閉方向検出部12cおよび33bにより検出することにより、ディスプレイ21の表示方向を切り替えるとともにGPSアンテナ23および24を選択するように構成した上記第1実施形態と異なり、表示部220が固定的に設けられた端末本体部210の傾きを1つの加速度センサ213(図21参照)により検出することにより、ディスプレイ21の表示方向を切り替えるとともにGPSアンテナ23および24を選択するように構成した例について説明する。なお、加速度センサ213は、本発明の「傾き検出部」の一例である。
【0088】
この第3実施形態では、図18に示すように、携帯通信端末102の端末本体部210は、端末本体部210に固定的に設けられた表示部220を含む。また、図21に示すように、端末本体部210の内部には、端末本体部210の傾きを検出することにより固定的に設けられた表示部220の上方向を検出する加速度センサ213が設けられている。
【0089】
第3実施形態では、携帯通信端末102は、表示部220が固定的に設けられた端末本体部210を、第1表示方向D1または第2表示方向D2を端末本体部210の上方向となるように把持することにより、ディスプレイ21が縦長の縦状態と、ディスプレイ21が横長の横状態とに切替可能に構成されている。
【0090】
携帯通信端末102の端末本体部210は、平面的に見て長方形状の平板形状を有している。端末本体部210の上面には、スピーカ11、マイク31およびキーボード32が設けられている。なお、これらのスピーカ11、マイク31およびキーボード32の構成は第1実施形態と同様である。
【0091】
また、端末本体部210の内部には、加速度センサ213が内蔵されている。この加速度センサ213は、重力加速度を含む加速度を直交する3軸(X軸、Y軸およびZ軸(図18参照))に関して検出することができるように構成されている。この加速度センサ213は、重力方向(重力加速度の方向)に対する傾きから、端末本体部210の傾きを検出することができるように構成されている。第3実施形態では、表示部220が端末本体部210に固定的に設置されているため、この端末本体部210の傾きに基づいて、表示部220の傾きを検出することができるように構成されている。この加速度センサ213により検出された端末本体部210(表示部220)の傾きの検出信号は、CPU41に出力されるように構成されている。
【0092】
CPU41は、加速度センサ213による傾きの検出信号に基づいて、表示部220の上方向がディスプレイ21の第1表示方向D1に略一致する場合にはディスプレイ21の表示方向を第1表示方向D1に切り替える切替信号(第1切替信号)をディスプレイ駆動回路45に出力するとともに、表示部220の上方向がディスプレイ21の第2表示方向D2に略一致する場合にはディスプレイ21の表示方向を第2表示方向D2に切り替える切替信号(第2切替信号)をディスプレイ駆動回路45に出力するように構成されている。この際、切替信号(第1切替信号または第2切替信号)は、選択スイッチ37にも出力され、ディスプレイ21の表示方向に応じてGPSアンテナ23または24が選択されるように構成されている。
【0093】
また、表示部220は、ディスプレイ21と、ディスプレイ21を取り囲むようにして固定するフレーム222とから構成されている。
【0094】
第3実施形態では、図18に示すように、フレーム222には、2つのGPSアンテナ23および24が内蔵されている。2つのGPSアンテナ23は、フレーム222の第1表示方向D1の短辺側に配置されている。また、GPSアンテナ24は、フレーム222の第2表示方向D2の長辺側に配置されている。これにより、図19に示すように、携帯通信端末102を、表示部220の第1表示方向D1が上方向となるように端末本体部210を把持した縦状態で使用する場合には、GPSアンテナ23が携帯通信端末102の先端部(上方向側)に配置されるように構成されている。また、図20に示すように、携帯通信端末102を、表示部220の第2表示方向D2が上方向となるように端末本体部210を把持した横状態で使用する場合には、GPSアンテナ24が携帯通信端末102の先端部(上方向側)に配置されるように構成されている。
【0095】
なお、携帯通信端末102のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0096】
次に、図19〜図23を参照して、本発明の第3実施形態によるGPSアンテナ23および24の選択動作について説明する。
【0097】
第3実施形態では、図21に示すように、加速度センサ213から出力される端末本体部210の傾きの検出信号に基づき、CPU41から表示方向の切替信号(第1切替信号または第2切替信号)がディスプレイ駆動回路45および選択スイッチ37に出力される。そして、切替信号(第1切替信号または第2切替信号)に基づき、ディスプレイ駆動回路45によりディスプレイ21の表示方向が切り替えられるとともに、選択スイッチ37によりGPSアンテナ23または24が選択される。
【0098】
具体的には、図19に示すように、GPSアンテナ23が選択される場合は、ユーザにより端末本体部210のY1方向側が把持されて、表示部220が第1表示方向D1を上方向とした縦向きに保持される。これにより、携帯通信端末102は、縦状態に保持される。このとき、端末本体部210の内部に設けられた加速度センサ213によって、端末本体部210(表示部220)の上方向(第1表示方向D1)が検出され、検出信号がCPU41に出力される。この検出信号に基づき、CPU41からディスプレイ駆動回路45および選択スイッチ37に表示方向を第1表示方向D1とする切替信号(第1切替信号)が出力される。図19に示すように、この切替信号(第1切替信号)に基づき、ディスプレイ駆動回路45により、ディスプレイ21に出力される画像情報の表示方向が第1表示方向D1に変更される。また、図21に示すように、第1表示方向D1とする切替信号(第1切替信号)が選択スイッチ37にも出力されることにより、GPSアンテナ23が選択スイッチ37を介してGPS受信回路36と接続される。これにより、ディスプレイ21が第1表示方向D1で表示される縦表示状態では、フレーム222の第1表示方向D1側に配置されたGPSアンテナ23が選択される。
【0099】
図22に示すように、携帯通信端末102が縦状態で使用される場合、ユーザにより端末本体部210が把持されて、表示部220が第1表示方向D1を上方向となるように保持される。このとき、表示部220は、視認性の確保のため水平方向から角度φ(約45度)で保持される。この縦状態で選択されるGPSアンテナ23の指向性の第1受信方向Da1は、ディスプレイ21の第1表示方向D1から角度θ(約45度)に設定されている。このため、第1受信方向Da1は、表示部20の水平方向に対する角度φ(約45度)+第1受信方向Da1の表示面21aに対する角度θ(約45度)=約90度の略天頂方向(Z1方向)を向く。
【0100】
また、図20に示すように、GPSアンテナ24が選択される場合は、ユーザにより端末本体部210が横向きに把持されて、表示部220が第2表示方向D2を上方向とした横向きに保持される。これにより、携帯通信端末102は、横状態に保持される。このとき、端末本体部210の内部に設けられた加速度センサ213によって、端末本体部210(表示部220)の上方向(第2表示方向D2)が検出され、検出信号がCPU41に出力される。この検出信号に基づき、CPU41からディスプレイ駆動回路45および選択スイッチ37に表示方向を第2表示方向D2とする切替信号(第2切替信号)が出力される。図21に示すように、この切替信号(第2切替信号)に基づき、ディスプレイ駆動回路45により、ディスプレイ21に出力される画像情報の表示方向が第2表示方向D2に変更される。また、図21に示すように、第2表示方向D2とする切替信号(第2切替信号)が選択スイッチ37にも出力されることにより、GPSアンテナ24が選択スイッチ37を介してGPS受信回路36と接続される。これにより、ディスプレイ21が第2表示方向D2で表示される横表示状態では、フレーム222の第2表示方向D2側に配置されたGPSアンテナ24が選択される。
【0101】
図23に示すように、携帯通信端末102が横状態で使用される場合、ユーザにより端末本体部210が把持されて、表示部220は第2表示方向D2を上方向として保持される。このとき、表示部220は、視認性の確保のため水平方向から角度φ(約45度)で保持される。この横状態で選択されるGPSアンテナ24の指向性の第2受信方向Da2は、ディスプレイ21の第2表示方向D2から角度θ(約45度)に設定されている。このため、第2受信方向Da2は、表示部220の水平方向に対する角度φ(約45度)+第2受信方向Da2の表示面21aに対する角度θ(約45度)=約90度の略天頂方向を向く。
【0102】
第3実施形態では、上記のように、CPU41は、加速度センサ213の検出信号に基づいて、表示部220の上方向がディスプレイ21の第1表示方向D1に略一致する場合にはディスプレイ21の表示方向を第1表示方向D1に切り替える切替信号(第1切替信号)を出力するとともに、表示部220の上方向がディスプレイ21の第2表示方向D2に略一致する場合にはディスプレイ21の表示方向を第2表示方向D2に切り替える切替信号(第2切替信号)を出力するように構成し、第1切替信号および第2切替信号に基づいて、それぞれ、GPSアンテナ23とGPSアンテナ24とが選択されるように構成することによって、ユーザが端末本体部210の向きを縦横に変更することにより表示部220の向きを変更するだけで、加速度センサ213と第1切替信号および第2切替信号とにより、表示方向を切り替えるとともに、略天頂方向を向くGPSアンテナ23または24を選択することができる。なお、第3実施形態においても、2つのGPSアンテナを用いて表示部220の向きを第1表示方向D1または第2表示方向D2のいずれの方向に変更して使用する場合にも、常にGPSアンテナ(GPSアンテナ23および24)の指向性を略天頂方向(Z1方向)に向けることができる第1実施形態の効果は、同様に得ることが可能である。
【0103】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0104】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、携帯端末の一例としての携帯通信端末100(101、102)に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、携帯電話機としての通信機能のない携帯GPS端末、携帯情報端末(PDA)および携帯ゲーム機など、携帯通信端末以外の携帯端末にも広く適用可能である。すなわち、端末本体部と、表示部と、衛星電波受信アンテナとを備えた携帯端末であれば本発明を適用することができる。
【0105】
また、上記第1〜第3実施形態では、2つのGPSアンテナ23および24の指向性を、携帯通信端末100が縦向きで使用される縦状態と、携帯通信端末100が横向きで使用される横状態とのいずれの状態にある場合においても、略天頂方向(鉛直上方(Z1方向))を向くように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、2つの衛星電波受信アンテナの指向性を、縦向きおよび横向き以外の向きで使用される場合に略天頂方向(Z1方向)を向くように構成してもよい。また、衛星電波受信アンテナを3つ以上備え、第1表示方向および第2表示方向以外の方向を端末本体部の上方向とした場合にも、衛星電波受信アンテナの指向性が略天頂方向(Z1方向)を向くように構成してもよい。
【0106】
また、上記第1〜第3実施形態では、衛星電波受信アンテナの一例としてGPSアンテナ23および24に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、GPSによる測位用電波を受信するアンテナ以外の衛星電波を受信するアンテナを用いてもよい。
【0107】
また、上記第1〜第3実施形態では、GPSアンテナ23および24を、表示部20(ディスプレイ21)の表示面21aに対して第1表示方向D1または第2表示方向D2から、約45度の角度θを有するように固定的に設置されている例を示したが、本発明はこれに限らず、衛星電波受信アンテナは、約45度以外の角度θで設置されるように構成してもよい。衛星電波受信アンテナの所定の角度は、30度以上60度以下の範囲で設定されればよく、携帯端末のユーザが表示部を見ながら使用する場合に角度φだけ傾けた状態で、衛星電波受信アンテナの指向性が略天頂方向(Z1方向)を向くように構成すればよい。
【0108】
また、上記第1実施形態では、平面的に見て長方形状を有する表示部20が、上側本体部10に開閉可能に取り付けられた例を示したが、本発明はこれに限らず、表示部は平面的に見て長方形状に形成されている必要はなく、長方形状以外の円形、楕円形および正方形などの形状を有するように構成されていてもよい。
【0109】
また、上記第1実施形態では、表示部20を、軸部33aと軸部12aとによりR1方向とR2方向とに回動可能に構成することにより、縦状態(第1表示位置Pd1)と横状態(第2表示位置Pd2)との2通りに開閉可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、表示部はR1方向およびR2方向とは異なる方向に回動するように構成してもよい。
【0110】
また、上記第2実施形態では、表示部120を、軸部112aによりR3方向に回動可能に構成することにより、縦状態(第1表示位置)から時計方向(R3方向)に約90度回動して横状態(第2表示位置)になるように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、表示部は反時計方向に回動して横状態となるように構成してもよい。また、表示部を、90度以上回動するように構成してもよい。
【0111】
また、上記第2実施形態では、表示部120を、平面的に見て中心の位置で軸部112aと連結され、表示面21aと同一面内で回動可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、表示部は平面的に見て中心の位置で回動可能に構成する必要はない。表示部は、平面的に見て角部近傍など、平面的に見て表示部の中心以外の位置で回動可能に構成されてもよい。
【0112】
また、上記第1実施形態では、開閉方向検出部33bはリードスイッチを有するとともに、連結部12の軸部33aの近傍にはリードスイッチを動作させるための図示しない磁石が設けられている例を示したが、本発明はこれに限らず、回動検出部は、リードスイッチおよび磁石以外にも、機械式のスイッチや、近接センサなどが用いられてもよい。回動検出部は、軸部による表示部の回動を検出可能であればどのようなスイッチおよびセンサを用いてもよい。
【0113】
また、上記第3実施形態では、端末本体部210の内部に加速度センサ213を設けるとともに、端末本体部210の傾きを検出することができるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、傾き検出部は、加速度センサ以外にも、ジャイロセンサなどを用いてもよい。傾き検出部は、端末本体部(表示部)の傾きを検出可能であればどのようなセンサを用いてもよい。
【0114】
また、上記第1〜第3実施形態では、GPSアンテナ23および24を、表示部20のフレーム22に内蔵した例を示したが、本発明はこれに限らず、第1衛星電波受信アンテナおよび第2衛星電波受信アンテナをフレームの表面に露出するように設けてもよく、フレーム表面上に配置してもよい。また、第1衛星電波受信アンテナおよび第2衛星電波受信アンテナを表示部のフレームに設けなくてもよい。第1衛星電波受信アンテナおよび第2衛星電波受信アンテナは、表示部に設けられていればよい。
【0115】
また、上記第1および第2実施形態では、携帯通信端末100(101)を、表示部20(120)を開閉(回動)させることにより縦向きにも横向きにも使用可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、携帯端末は、縦向きと横向き以外の向きで使用するように構成してもよい。
【0116】
また、上記第1〜第3実施形態では、GPSアンテナ23および24を、それぞれ、アンテナ表面23aおよび24aに対して上方(Da1方向およびDa2方向)に単一指向性を有するとともに、円偏波特性を有するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、GPSアンテナは、円偏波特性以外にも、直線偏波特性を有するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の第1実施形態による携帯通信端末を縦向きに使用する場合の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による携帯通信端末を縦向きに使用する場合の平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による携帯通信端末を折り畳んだ状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による携帯通信端末を横向きに使用する場合の平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による携帯通信端末を横向きに使用する場合の側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態による携帯通信端末の構成を示すブロック図である。
【図7】図1に示した第1実施形態による携帯通信端末を縦向きに使用する場合のGPSアンテナの配置を模式的に示す縦方向断面図である。
【図8】図1に示した第1実施形態による携帯通信端末を横向きに使用する場合のGPSアンテナの配置を模式的に示す縦方向断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態による携帯通信端末の表示部を縦向きに使用する場合のGPSアンテナの指向性の方向を説明するための模式図である。
【図10】本発明の第1実施形態による携帯通信端末の表示部を横向きに使用する場合のGPSアンテナの指向性の方向を説明するための模式図である。
【図11】本発明の第2実施形態による携帯通信端末を縦向きに使用する場合の全体構成を示す斜視図である。
【図12】図11の第2実施形態による携帯通信端末の表示部を横向きにした場合の平面図である。
【図13】本発明の第2実施形態による携帯通信端末の構成を示すブロック図である。
【図14】図11に示した第2実施形態による携帯通信端末の表示部を縦向きに使用する場合のGPSアンテナの配置を模式的に示す縦方向断面図である。
【図15】図11に示した第2実施形態による携帯通信端末の表示部を横向きに使用する場合のGPSアンテナの配置を模式的に示す縦方向断面図である。
【図16】本発明の第2実施形態による携帯通信端末の表示部を縦向きに使用する場合のGPSアンテナの指向性の方向を説明するための模式図である。
【図17】本発明の第2実施形態による携帯通信端末の表示部を横向きに使用する場合のGPSアンテナの指向性の方向を説明するための模式図である。
【図18】本発明の第3実施形態による携帯通信端末を縦向きに使用する場合の全体構成を示す斜視図である。
【図19】図19の第3実施形態による携帯通信端末の表示部を縦向きにした場合の平面図である。
【図20】図19の第3実施形態による携帯通信端末の表示部を横向きにした場合の平面図である。
【図21】本発明の第3実施形態による携帯通信端末の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第3実施形態による携帯通信端末の表示部を縦向きに使用する場合のGPSアンテナの指向性の方向を説明するための模式図である。
【図23】本発明の第3実施形態による携帯通信端末の表示部を横向きに使用する場合のGPSアンテナの指向性の方向を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0118】
10、110 上側本体部(端末本体部)
12a、33a、112a 軸部
12c、33b 開閉方向検出部(回動検出部)
20、120、220 表示部
21 ディスプレイ(表示画面部)
21a 表示面
23 GPSアンテナ(第1衛星電波受信アンテナ)
24 GPSアンテナ(第2衛星電波受信アンテナ)
30 下側本体部(端末本体部)
41 CPU(制御部)
100、101、102 携帯通信端末(携帯端末)
120a 回動方向検出部(回動検出部)
210 端末本体部
213 加速度センサ(傾き検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末本体部と、
前記端末本体部に設けられ、第1表示方向と前記第1表示方向とは異なる第2表示方向とに表示方向を切替可能に構成された表示画面部を含む表示部と、
前記第1表示方向から前記表示部の表示面に対して所定の角度傾斜した第1受信方向に指向性の方向が設定された単一指向性を有する第1衛星電波受信アンテナと、
前記第2表示方向から前記表示部の表示面に対して所定の角度傾斜した第2受信方向に指向性の方向が設定された単一指向性を有する第2衛星電波受信アンテナと、
前記表示画面部の表示方向が前記第1表示方向の場合に前記第1衛星電波受信アンテナを選択し、前記表示画面部の表示方向が前記第2表示方向の場合に前記第2衛星電波受信アンテナを選択するように構成された制御部とを備え、
前記端末本体部の使用時に、前記第1表示方向を上方向として前記表示部の表示面が水平方向に対して斜めに傾けられて保持される場合に、前記第1衛星電波受信アンテナの第1受信方向が略天頂方向を向くとともに、前記第2表示方向を上方向として前記表示部の表示面が水平方向に対して斜めに傾けられて保持される場合に、前記第2衛星電波受信アンテナの第2受信方向が略天頂方向を向くように構成されている、携帯端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示画面部の表示方向を前記第1表示方向と前記第2表示方向とに切り替える表示方向の切替信号を出力するように構成され、
前記第1衛星電波受信アンテナと前記第2衛星電波受信アンテナとは、前記制御部から出力される前記切替信号に基づいて選択されるように構成されている、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記第1衛星電波受信アンテナおよび前記第2衛星電波受信アンテナの両方に接続された選択スイッチをさらに備え、
前記選択スイッチは、前記表示画面部の表示方向を前記第1表示方向に切り替える前記切替信号に基づいて前記第1衛星電波受信アンテナを選択するとともに、前記表示画面部の表示方向を前記第2表示方向に切り替える前記切替信号に基づいて前記第2衛星電波受信アンテナを選択するように構成されている、請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記切替信号は、第1切替信号と第2切替信号とを含み、
前記第1表示方向が上方向となる第1表示位置と、前記第2表示方向が上方向となる第2表示位置とに前記表示部を回動させる軸部と、
前記軸部による前記表示部の回動を検出する回動検出部とをさらに備え、
前記制御部は、前記回動検出部の検出信号に基づいて、前記表示部が前記第1表示位置に位置する場合に前記表示画面部の表示方向を前記第1表示方向に切り替える前記第1切替信号を出力するとともに、前記表示部が前記第2表示位置に位置する場合に前記表示画面部の表示方向を前記第2表示方向に切り替える前記第2切替信号を出力するように構成され、
前記第1切替信号および前記第2切替信号に基づいて、それぞれ、前記第1衛星電波受信アンテナと前記第2衛星電波受信アンテナとが選択されるように構成されている、請求項2または3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記切替信号は、第1切替信号と第2切替信号とを含み、
前記端末本体部の傾きを検出することにより前記表示部の上方向を検出する傾き検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記傾き検出部の検出信号に基づいて、前記表示部の上方向が前記表示画面部の第1表示方向に略一致する場合には前記表示画面部の表示方向を前記第1表示方向に切り替える前記第1切替信号を出力するとともに、前記表示部の上方向が前記表示画面部の第2表示方向に略一致する場合には前記表示画面部の表示方向を前記第2表示方向に切り替える前記第2切替信号を出力するように構成され、
前記第1切替信号および前記第2切替信号に基づいて、それぞれ、前記第1衛星電波受信アンテナと前記第2衛星電波受信アンテナとが選択されるように構成されている、請求項2または3に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記表示部の表示面に対する前記第1衛星電波受信アンテナの第1受信方向および前記第2衛星電波受信アンテナの第2受信方向の所定の角度は、30度以上60度以下の角度を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記表示画面部は、平面的に見て長方形状を有し、
前記第1表示方向は前記表示画面部の長手方向を上方向とするように設定されるとともに、前記第2表示方向は前記表示画面部の短手方向を上方向とするように設定され、
前記第1衛星電波受信アンテナは、前記表示部において、前記表示画面部の第1表示方向側に設けられているとともに、
前記第2衛星電波受信アンテナは、前記表示部において、前記表示画面部の第2表示方向側に設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−109522(P2010−109522A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277771(P2008−277771)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】