説明

携帯通信端末

【課題】2つのアンテナと、2つの筐体と、これら筐体間を形態変更自在に連結する金属製の連結アームとを備え、これら2つのアンテナの双方と連結アームとが近接状態となる形態に変形され得る携帯通信端末において、この形態において、これら2つのアンテナを用いて電磁波を受信する場合であっても、これら2つのアンテナのうちの一方のアンテナを用いて行う通信性能の劣化を、従来よりも低減したい。
【解決手段】連結アームとグラウンド配線とを接続する接続回路を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信端末に関し、特に、電磁波の受信を行うための2つのアンテナを備える携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイバーシティ受信方式による受信を行うための2つのモノポールアンテナ(以後、「ダイバーシティ用アンテナ」と呼ぶ。)を備える携帯通信端末が知られている。
一般に、2つのアンテナが互いに近接して配置されていると、これら2つのアンテナ間の電磁気的な結合が強くなり、アンテナを用いて行う通信性能が劣化してしまう。
従って、携帯通信端末において、2つのダイバーシティ用アンテナのそれぞれは、これらアンテナ間の電磁気的な結合ができるだけ弱くなるように、携帯通信端末における筐体内の互いに離れた位置に配置される。
【0003】
しかしながら、携帯通信端末によっては、そのサイズ、形状、デザイン等の制約があるために、2つのダイバーシティ用アンテナを互いに離れた位置に配置することが困難となるものがある。
このような携帯通信端末において、アンテナを用いて行う通信性能の劣化を防止するための技術として、例えば、特許文献1で開示されている技術がある。
【0004】
この技術は、第1のダイバーシティ用アンテナと第2のダイバーシティ用アンテナとを備える携帯通信端末について、ダイバーシティ受信方式で受信を行わない場合において、第1のダイバーシティ用アンテナを用いて通信を行うときに、第2のダイバーシティ用アンテナに整合回路を接続して、第2のダイバーシティ用アンテナをアンテナとして機能しない状態とすることで、第1のダイバーシティ用アンテナを用いて行う通信性能の劣化を防止するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−11329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来の携帯通信端末では、ダイバーシティ方式で受信する場合には、第2のダイバーシティ用アンテナをアンテナとして機能する状態とする必要があるため、第1のダイバーシティ用アンテナを用いて行う通信性能の劣化を防止することができない。
ところで、2つの筐体のそれぞれにディスプレイを設けて、これらの筐体を、一平面に並ぶ形態と互いに重なる形態とに切り換えるために、両筐体を二又状の頑強な金属製の連結アームで連結する構成の携帯通信端末が開発されつつある。
【0007】
この種の携帯通信端末に2つのダイバーシティ用アンテナを配置するには、たとえ、これら2つのアンテナを互いに離れた位置に配置するとしても、金属製の連結アームがこれら2つのアンテナを電磁気的に強く結合させてしまう恐れが生じるといった新たな課題が生じる。
そこで、本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、2つのアンテナを用いて電磁波を受信する場合であっても、これら2つのアンテナのうちの一方のアンテナを用いて行う通信性能の劣化を、従来よりも低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る携帯通信端末は2つの筐体の一方に、電磁波を受信する2つのアンテナが設けられ、両筐体が連結アームで、互いに重なった第1形態と、重なりが解除された第2形態とに形態変更自在に連結され、且つ、前記2つの筐体が前記第1形態に変更されている時、前記2つのアンテナの双方と前記連結アームとが近接状態となる携帯通信端末であって、前記2つの筐体のいずれか一方のグラウンド配線と前記連結アームとが接続回路で接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る携帯通信端末は、2つのアンテナの双方と連結アームとが近接状態となる形態において、これら2つのアンテナを用いて電磁波を受信する場合であっても、これら2つのアンテナのうちの一方のアンテナを用いて行う通信性能の劣化を、従来よりも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】携帯電話機100の分解斜視図
【図2】(a)第1形態の携帯電話機100の斜視図、(b)第2形態の携帯電話機100の斜視図
【図3】携帯電話機100の変形動作を示す側面図
【図4】第1筐体110の正投影図
【図5】第2筐体120の正投影図
【図6】連結アーム130の正投影図
【図7】(a)第1アンテナ710の形状を示す斜視図、(b)第2アンテナ760の形状を示す斜視図、(c)第1筐体110の斜視図
【図8】(a)第1形態における、第1アンテナ710と連結アーム130との位置関係を示す側面図、(b)第1形態における、第2アンテナ760と連結アーム130との位置関係を示す側面図
【図9】共振周波数補正回路900の回路構成を示す回路図
【図10】(a)接続回路1000の回路構成を示す回路図、(b)第1筐体110の平面図
【図11】第1変形携帯電話機におけるアンテナ間結合度を示す図
【図12】第2アンテナの電気長を変更した場合におけるアンテナ間結合度を示す図
【図13】第2アンテナのアンテナ効率を示す図
【図14】第2アンテナのアンテナ効率を示す図
【図15】第2変形携帯電話機におけるアンテナ間結合度を示す図
【図16】第1アンテナ710のアンテナ効率を示す図
【図17】接続回路1000aの有無におけるアンテナ間結合度を示す図
【図18】接続回路1000aの有無における第1アンテナ710のアンテナ効率を示す図
【図19】接続回路1000aの有無における第2アンテナのアンテナ効率を示す図
【図20】アンテナ間結合度を示す図
【図21】第1アンテナ710のアンテナ効率を示す図
【図22】第2アンテナのアンテナ効率を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態>
<全体構成>
以下、本発明に係る携帯通信端末の一実施形態として、第1筐体と、第2筐体と、金属製の連結アームとを備え、この連結アームが第1筐体と第2筐体とを形態変更自在に連結することで、第1形態と第2形態とに選択的に変形自在となる携帯電話機100について説明する。
【0012】
この携帯電話機100は、モノポールアンテナである第1アンテナと第2アンテナとを備え、受信時には、これら第1アンテナと第2アンテナとを用いてダイバーシティ受信方式で受信を行い、送信時には第1アンテナのみを用いて送信を行う。
図1は、携帯電話機100の分解斜視図である。
同図に示されるように、携帯電話機100は、第1筐体110と、第2筐体120と、第1筐体110と第2筐体120とを接続する金属製の連結アーム130とから構成されている。
【0013】
連結アーム130は、その基端側が第1筐体110に回転自在に軸支されており、先端側が第2筐体120をスライド移動並びに回転自在に支持している。従って、この携帯電話機100は、第1筐体110と第2筐体120とが単なる相対回動するだけでなく、第1形態と第2形態とに変更することが可能である。なお、連結アーム130を軸支する第1筐体110の2つの部分(突起A410、突起B420、図10参照)を結んだ仮想的な線は、連結アーム130の回動中心線となる。
【0014】
図2(a)は、第1形態の携帯電話機100の斜視図であって、図2(b)は第2形態の携帯電話機100の斜視図である。
図2(a)に示されるように、携帯電話機100の第1形態とは、第1筐体110と第2筐体120とが互いに重ね合わせられている形態であり、他方、図2(b)に示されるように、携帯電話機100の第2形態とは、第1筐体110の主平面と第2筐体120の主平面とで1つの平面を形成するように、第1筐体110の1つの側面と第2筐体120の1つの側面とが互いに接触する形態であり、第1形態における、第1筐体110と第2筐体120とが重ね合わせられている状態が解除されている状態である。
【0015】
図3は、携帯電話機100を利用するユーザが、携帯電話機100を第1形態から第2形態へと形態を変更する場合における、過渡的な携帯電話機100の形態を段階的に示す側面図である。
同図に示されるように、ユーザは、携帯電話機100を第1形態から第2形態へ変形する場合に、まず、第2筐体120の主平面の向きを保ったまま、第2筐体120を連結アーム130の第1筐体110側の支点を中心にして右回りに回転させる(図3の変形中形態1参照)。
【0016】
ユーザは、第2筐体110の回転を継続させ、第2筐体120の主表面が、第1筐体110の主表面と同一平面となる位置まで第2筐体120を回転させる(図3の変形中形態2参照)。
最後に、ユーザは、第1筐体110の主表面と第2筐体120の主表面とが同一平面となる状態において、第2筐体120を第1筐体110側へスライドさせることで(図3の変形中形態2参照)、携帯電話機100を第2形態とする。
【0017】
以下、携帯電話機100の構成の詳細について、図面を参照しながら説明する。
<詳細構成>
図4は、第1筐体110の正投影図である。
同図に示されるように、第1筐体110は、2か所に切り欠き部を有する略直方体であって、主表面に第1ディスプレイ400の表示部を備えている。
【0018】
切り欠き部のそれぞれには、軸状の突起(図4中の突起A410、突起B420)が配置されている。
突起A410と突起B420とは、それぞれの中心軸が互いに同一直線上となるように配置されている。
第1ディスプレイ400は、映像等を表示する機能を備える表示装置であって、例えば液晶ディスプレイである。
【0019】
第1ディスプレイ400の主表面には、図示していない透明な第1タッチパッドが重ね合わせられている。
また、第1筐体110は、内部に、電子部品等を装着する基板と電池とを有し、この基板には、電池の陰極に接続されるグラウンドプレーンが形成されている。
図5は、第2筐体120の正投影図である。
【0020】
同図に示されるように、第2筐体120は、小さな直方体の上に大きな直方体が重ね合わせられた形状であって、大きな直方体の主表面に第2ディスプレイ500の表示部とレシーバ開口部510とマイク開口部520とを備え、一方小さな直方体はその側面に挿入孔A530と挿入孔B540とを備えている。
挿入孔A530と挿入孔B540とは、同一サイズで正対向する位置に形成された長孔である。
【0021】
これらの挿入孔には、それぞれ連結アーム130の先端側に設けた挿入棒A630(後述)、挿入棒B640(後述)が挿入される。
これら挿入孔A530、挿入孔B540の長径側寸法は、第1筐体110のスライド移動量を決定するもので、この寸法を適切に設定することで、図3に示した形態変更動作を可能にしている。
【0022】
第2ディスプレイ500は、映像等を表示する機能を備える表示装置であって、例えば液晶ディスプレイである。
第2ディスプレイ500の主表面には、図示していない透明な第2タッチパッドが重ね合わせられている。
レシーバ開口部510は、第2筐体120内部に配置されているレシーバから発せされた音声を、第2筐体120外部に伝えるために設けられた孔である。
【0023】
マイク開口部520は、携帯電話機100を利用するユーザの声等を、第2筐体120内部に配置されているマイクに伝えるために設けられた孔である。
図6は、連結アーム130の正投影図である。
同図に示されるように、連結アーム130は、正面視でコの字型をしており、コの字型の2つの先端には挿入棒A630、挿入棒B640が互いに向かい合う方向に形成されている。連結アーム130の基端両側には、一対の垂下片130A、垂下片130Bが下方へ垂下され、それらの垂下片130A、垂下片130Bの対向面に挿入孔C610、挿入孔D620が形成されている。
【0024】
挿入棒A630、B640とは、それぞれ軸上の突起であって、それぞれの中心軸が一致するよう配置されている。これらの突起は、それぞれ、第2筐体120の挿入孔A530、B540に挿入される。これによって連結アーム130に第2筐体120がスライド並びに回動自在に指示される。連結アーム130に対する第2筐体120のスライドは、特に、図3の変形中形態2の状態から、第1形態への変形を可能とするために有効である。
【0025】
挿入孔C610と挿入孔D620とは、それぞれ円筒状の孔であって、それぞれの中心軸が一致するように配置されている。これらの挿入孔には、それぞれ第1筐体の突起A410、第1筐体の突起B420が挿入される。
連結アーム130は、挿入孔C610に突起A410が挿入され、挿入孔D620に突起B420が挿入されることで、第1筐体110に接続され、これらの挿入孔の中心軸を中心として第1筐体110に対して回転することができるようになっている。
【0026】
上述した通り、携帯電話機100は、第1筐体110の主表面に第1ディスプレイ400の表示部を備え、第2筐体120の大きな直方体の主表面に第2ディスプレイ500の表示部を備えているため、第2形態において、第1ディスプレイ400の表示面と第2ディスプレイ500の表示面とが互いに同一平面上において近接する状態となる。
携帯電話機100は、第1筐体110内に第1アンテナ710と第2アンテナ760とを備え、800MHz帯の信号を用いて、外部の基地局との通信を行う。
【0027】
この携帯電話機100は、送信時には、第1アンテナ710を用いて、824MHz〜849MHzの周波数の信号を送信し、受信時には、第1アンテナ710と第2アンテナ760とを用いて、869MHz〜894MHzの周波数の信号を、ダイバーシティ受信方式で受信する。
図7(a)は、第1アンテナ710の形状を示す斜視図である。
【0028】
同図に示されるように、第1アンテナ710は、略直方体の外観を有するプラスチック製構造体である第1アンテナ構体720の主表面に形成され、端部が図面手前から奥方向に向かって延び受信回路に接続される。
この第1アンテナ710は、金属箔製(例えば銅箔製)のモノポールアンテナであって、アンテナの長さ(以下、「電気長」と呼ぶ。)は、70mmとなっている。
【0029】
一般に、モノポールアンテナの電気長は、効率良く通信を行うために、送受信を行う信号の波長の1/4程度となっていることが理想とされる。
第1アンテナ710は、効率良く通信を行うために、送受信する信号の周波数、及び、第1アンテナ710が取り付けられている第1アンテナ構体720の材質であるプラスチックの誘電率等から、その電気長が70mmと設定されている。
【0030】
図7(b)は、第2アンテナ760の形状を示す斜視図である。
同図に示されるように、第2アンテナ760は、略直方体の外観を有するプラスチック製構造体である第1アンテナ構体770の主表面に形成され、端部が図面手前から奥方向に向かって延び受信回路に接続される。
第2アンテナ760は、金属箔製(例えば銅箔製)のモノポールアンテナであって、電気長は、第1アンテナ710のアンテナ長70mmよりも短い58mmと設定されている。
【0031】
第2アンテナ760の電気長の決定方法については、後程、<第2アンテナ760の電気長についての実験>の項目で、図面を用いて詳細に説明する。
図7(c)は、第1アンテナ構体720と第2アンテナ構体770とが、第1筐体110内部に配置されていることを示す第1筐体110の斜視図である。
第1アンテナ構体720と第2アンテナ構体770とは、第1筐体110内部に配置されているため、第1筐体110外部から視認されることはないが、ここでは説明のために、便宜上第1筐体110の外部から、第1アンテナ構体720と第2アンテナ構体770とが視認され得るものとして図示している。
【0032】
同図に示されるように、第1アンテナ構体720は、第1筐体110における長手方向両側の2つの端面のうちの、一方の端面近傍の第1筐体110内部に、第1アンテナ710が外側を向くように配置され、第2アンテナ構体770は、第1筐体110における長手方向両側の2つの端面のうちの、他方の端面近傍の第1筐体110内部に、第2アンテナ760が外側を向くように配置されている。
【0033】
図8(a)は、第1形態における、第1アンテナ710と連結アーム130との位置関係を示す側面図である。
第1アンテナ構体720は、第1筐体110内部に配置されているため、第1筐体110外部から視認されることはないが、ここでは説明のために、便宜上第1筐体110の外部から、第1アンテナ構体720が視認され得るものとして図示している。
【0034】
同図に示すように、携帯電話機100が第1形態の場合に、第1アンテナ710と連結アーム130とは、互いに近接する関係となり、その距離は、例えば、7mmとなる。
図8(b)は、第1形態における、第2アンテナ760と連結アーム130との位置関係を示す側面図である。
第2アンテナ構体770は、第1筐体110内部に配置されているため、第1筐体110外部から視認されることはないが、ここでは説明のために、便宜上第1筐体110の外部から、第2アンテナ構体770が視認され得るものとして図示している。
【0035】
同図に示すように、携帯電話機100が第1形態の場合に、第2アンテナ760と連結アーム130とは、互いに近接する関係となり、その距離は、第1筐体110の主表面方向(図面上下方向)において、例えば、約5mmとなる。なお、携帯電話機100が第1形態の場合に、第2アンテナ760と連結アーム130との距離は、第1筐体110の短手方向においては、例えば、約3mmとなる場合もある。
【0036】
図9は、第2アンテナ760と、第2アンテナ760を用いて受信を行う受信回路との間に挿入されている共振周波数補正回路900の回路構成を示す回路図である。
共振周波数補正回路900は、第2アンテナ760と受信回路との間に直列接続されて、受信回路が配置されている第1筐体110内の基板上に配置される回路であって、第2アンテナ760の共振周波数を、そのアンテナの物理長によって決まる固有の共振周波数とは異なるものに変更する機能を有する。
【0037】
同図に示すように、共振周波数補正回路900は、第1キャパシタ910と第1インダクタ920とで構成され、ここでは、例えば、第1キャパシタ910が1.5pF、第1インダクタ920が15nHとして設定されることで、電気長58mmの第2アンテナ760の共振周波数を、電気長70mmのアンテナ固有の共振周波数に変更するように設定されている。
【0038】
共振周波数補正回路900を、第2アンテナ760と受信回路との間に挿入されていることによって得られる効果については、後程、<共振周波数補正回路900についての実験>の項目で、図面を用いて詳細に説明する。
図10(a)は、連結アーム130を、第1筐体110内の基板上のグラウンドプレーンに接続するための接続回路1000の回路構成を示す回路図である。
【0039】
同図に示すように、接続回路1000は、第2キャパシタ1010と第2インダクタ1020とが並列に接続されて構成されている。
接続回路1000において、第2インダクタ1020は、必ずしも必要というわけではなく、場合によっては省略することも可能である。
携帯電話機100では、接続回路1000を2つ用いることで、連結アーム130と第1筐体110内の基板上のグラウンドプレーンとの接続を実現している。
【0040】
連結アーム130と第1筐110内の基板上のグラウンドプレーンとを接続することによって得られる効果については、後程、<接続回路1000についての実験>の項目で、図面を用いて詳細に説明する。
図10(b)は、第1筐体110内に、接続回路1000aと接続回路1000bとが配置されていることを示す、第1筐体110の平面図である。
【0041】
同図に示すように、接続回路1000aは、第1筐体110内の突起B420付近に配置され、接続回路1000bは、第1筐体110内の突起A410付近に配置されている。
接続回路1000aは、接続回路1000aから延びる導線が、突起B420の中心軸上を通って、連結アーム130に回転可能に接続されることで、連結アーム130と電気的に接続され、ここでは、例えば、第2キャパシタ1010が2pF、第2インダクタ1020はなしと設定されている。
【0042】
接続回路1000bは、接続回路1000bから延びる導線が、突起A410の中心軸上を通って、連結アーム130に回転可能に接続されることで、連結アーム130と電気的に接続され、ここでは、例えば、第2キャパシタ1010が0.5pF、第2インダクタ1020はなしと設定されている。
<考察>
上述の構成を備える携帯電話機100は、第1形態に形態変更されている場合に、第1アンテナ710と金属製の連結アーム130との距離が、例えば、7mmとなり、第2アンテナ760と金属製の連結アーム130との距離が、第1筐体110の主表面方向(図面上下方向)において、例えば、約5mmとなるため、第1アンテナ710と第2アンテナ760とが、金属製の連結アーム130を介して、互いに、電磁気的に強く結合されてしまうことが懸念される。
【0043】
そのため、第1形態にける、第1アンテナ710と第2アンテナ760との電磁気的な結合度合いを緩和するために、(1)第2アンテナ760の電気長とアンテナ間結合度(後述)との関係についての実験、(2)共振周波数補正回路900の有無とアンテナ効率(後述)及びアンテナ間結合度との関係についての実験、(3)接続回路1000の有無とアンテナ間結合度及びアンテナ効率との関係についての実験、及び(4)携帯電話機100における、アンテナ間結合度及びアンテナ効率の向上についての実験を行った。
【0044】
以下、これらについて、順に図面を用いて説明する。
<第2アンテナ760の電気長についての実験>
一般に、2つのモノポールアンテナを備え、800MHz帯の信号を用いて通信を行う携帯電話機において、これらアンテナの効率を低下させず、第1アンテナから送信される出力が、第2アンテナを介して受信回路に入力される事による受信性能劣化を防止するためには、アンテナ間結合度は−20dB以下である必要がある。
【0045】
ここで、アンテナ間結合度とは、出力回路が一方のアンテナを用いて信号を送信する場合において、当該出力回路から当該一方のアンテナに供給される信号の電力と、当該一方のアンテナから出力される信号を受ける他方のアンテナにおいて測定される信号の電力との比率のことである。このアンテナ間結合度は、アンテナの性能を示す指標として、広く用いられている。
【0046】
ここでは、まず、携帯電話機100に対して、第2アンテナ760の電気長を70mmに変更し、共振周波数補正回路900と接続回路1000aとを削除するように変形した第1変形携帯電話機を用いて、第1アンテナ710と、電気長が70mmに変更された第2アンテナとのアンテナ間結合度について測定した。
図11は、第2アンテナ760の電気長を70mmに変更した場合における、第1アンテナ710と、電気長が70mmに変更された第2アンテナとのアンテナ間結合度の関係を示す図である。
【0047】
同図に示されるように、第1アンテナ710の送信周波数帯である824MHz〜849MHzにおいて、これらアンテナについてのアンテナ間結合度は、−20dB以下を達成していないことがわかる。
次に、第1変形形態電話機に対して、第2アンテナの電気長を70mmから順に66mm、62mm、58mmと変更した場合について、それぞれ、第1アンテナ710と、電気長が変更された第2アンテナとのアンテナ間結合度について測定した。
【0048】
図12は、第2アンテナ760の電気長を70mm、66mm、62mm、58mmに変更した場合における、第1アンテナ710と、電気長が変更された第2アンテナとのアンテナ間結合度の関係を示す図である。
同図に示されるように、第1アンテナ710の送信周波数帯である824MHz〜849MHzにおいて、第2アンテナの電気長を58mmに変更した場合に、第1アンテナ710と第2アンテナとのアンテナ結合度が、−20dBを達成することができている。
【0049】
これらの実験により、第1アンテナ710と第2アンテナとのアンテナ間結合度を−20dB以下にするためには、第2アンテナの電気長を58mmとすればよいことがわかる。
<共振周波数補正回路900についての実験>
一方、第2アンテナの電気長を58mmにすることで、第2アンテナの共振周波数が高周波数領域にシフトしてしまい、所望の周波数(869MHz〜894MHz)におけるアンテナ効率の低下を引き起こしてしまう。
【0050】
ここで、アンテナ効率とは、出力回路がアンテナを用いて信号を送信する場合において、当該出力回路から当該アンテナに供給される信号の電力と、当該アンテナから所定半径の球面全体で測定される信号の電力との比率のことである。このアンテナ効率は、例えば[%]を単位として表示される場合もある。
図13は、第2アンテナの電気長が70mmの場合と58mmの場合とにおける第2アンテナのアンテナ効率を示す図である。
【0051】
同図に示されるように、第2アンテナの電気長を70mmから58mmへ変更すると、第2アンテナのアンテナ効率が低下してしまうことがわかる。
第2アンテナの電気長を70mmから58mmへ変更することで低下してしまった第2アンテナのアンテナ効率を向上させるために、第2アンテナの電気長を58mmへ変更した上で、さらに共振周波数補正回路900を追加した第2変形携帯電話機を用いて、電気長が58mmの第2アンテナのアンテナ効率を測定した。
【0052】
図14は、図13に対して、第2変形携帯電話機における、電気長が58mmの第2アンテナのアンテナ効率を追加した図である。
同図に示されるように、共振周波数補正回路900を追加することで、第2アンテナの受信周波数である869MHz〜894MHzにおいて、電気長が58mmの第2アンテナのアンテナ効率が向上することがわかる。
【0053】
また、第2変形携帯電話機における、第1アンテナ710と、電気長が58mmの第2アンテナとのアンテナ間結合度を図15に示す。
同図に示されるように、第2変形携帯電話機は、第1アンテナ710の送信周波数帯である824MHz〜849MHzにおいて、第1アンテナ710と、電気長が58mmの第2アンテナとのアンテナ間結合度は、−20dB以下を達成していることがわかる。
【0054】
ここで、共振周波数補正回路900の補正レベルは、第1キャパシタ910の値と第2インダクタ920の値とを適宜変更することで調整することができる。
本実施の形態1において、第1キャパシタ910は、例えば1.5pF、第1インダクタ920は、例えば15nHとして設定されているが、これらの設定は、第2アンテナ760のアンテナ効率と、第1アンテナ710と第2アンテナ760とのアンテナ間結合とのバランスを考慮して設定されている。
【0055】
図16は、第1変形携帯電話機と第2変形携帯電話機とにおける第1アンテナ710のアンテナ効率とを示す図である。
同図に示されるように、共振周波数補正回路900を追加することで、第1アンテナ710のアンテナ効率が向上していることがわかる。
これらの実験により、第1アンテナ710と第2アンテナとのアンテナ間結合度を−20dB以下にした上で、さらに、所望の周波数帯における、第1アンテナ710と第2アンテナとのアンテナ効率の低下を防止するためには、第2アンテナの電気長を58mmとした上で、共振周波数補正回路900を挿入すればよいことがわかる。
【0056】
<接続回路1000についての実験>
さらなる第1アンテナ710と第2アンテナとのアンテナ間結合度の改善、及び、さらなる第1アンテナ710のアンテナ効率の改善を行うために、第1変形携帯電話機に対して、接続回路1000bを追加するように変形した第3変形携帯電話機を用いて、第1アンテナ710と、電気長が70mmに変更された第2アンテナとのアンテナ間結合度について測定した。
【0057】
図17は、接続回路1000aが追加されていない第1変形携帯電話機と、接続回路1000aが追加されている第3変形携帯電話機とにおける、第1アンテナ710と、電気長が70mmに変更された第2アンテナとのアンテナ間結合度を示す図である。
同図に示されるように、接続回路1000aを追加することで、第1アンテナ710の送信周波数帯である824MHz〜849MHzにおいて、これらアンテナについてのアンテナ間結合度が改善されていることがわかる。
【0058】
本実施の形態1において、接続回路1000aは、第2キャパシタ1010が、例えば2pF、第2インダクタ1020が、例えばなしとして設定されているが、これらの設定は、第1アンテナ710と第2アンテナとのアンテナ間結合と、これらアンテナのアンテナ効率とのバランスを考慮して設定されることとなる。
接続回路1000aを追加することでアンテナ間結合度が改善される現象は、接続回路1000aが追加されると、連結アーム130は、より強固にグラウンド電位に固定されることとなり、連結アーム130を介して行われる、第1アンテナ710から第2アンテナ760への電磁波信号の伝搬量が低下することが原因であると推測される。
【0059】
図18は、接続回路1000aが追加されていない第1変形携帯電話機と、接続回路1000aが追加されている第3変形携帯電話機とにおける、第1アンテナ710のアンテナ効率を示す図である。
同図に示されるように、接続回路1000aを追加することで、第1アンテナ710のアンテナ効率が向上していることがわかる。
【0060】
図19は、接続回路1000aが追加されていない第1変形携帯電話機と、接続回路1000aが追加されている第3変形携帯電話機とにおける、第2アンテナのアンテナ効率を示す図である。
同図に示されるように、接続回路1000aを追加することで、第2アンテナの受信周波数である869MHz〜894MHzにおいて、一部を除いて、概ね、第2アンテナ710のアンテナ効率が向上していることがわかる。
【0061】
<携帯電話機100についての実験>
上述の各種実験と考察とを踏まえて、第1変形携帯電話機に対して、(1)第2アンテナのアンテナ長を58mmに変更し、(2)共振周波数補正回路900を追加し、(3)接続回路1000(a)を追加した携帯電話機、すなわち携帯電話機100についての実験と考察を行った。
【0062】
図20は、第1変形携帯電話機と携帯電話機100とにおける、第1アンテナ710と第2アンテナとのアンテナ間結合度を示す図である。
同図に示されるように、携帯電話機100は、第1変形携帯電話機に対して、これらアンテナ間のアンテナ間結合度が大きく改善され、第1アンテナ710の送信周波数帯である824MHz〜849MHzにおいて、アンテナ間結合度−20dB以下が達成されていることがわかる。
【0063】
図21は、第1変形携帯電話機と携帯電話機100とにおける、第1アンテナ710のアンテナ効率を示す図である。
同図に示されるように、携帯電話機100は、第1変形携帯電話機に対して、第1アンテナ710のアンテナ効率が大きく向上していることがわかる。
図22は、第1変形携帯電話機と携帯電話機100とにおける、第2アンテナのアンテナ効率を示す図である。
【0064】
同図に示されるように、第2アンテナの受信周波数である869MHz〜894MHzにおいて、一部を除いて、概ね、第2アンテナ710のアンテナ効率が向上していることがわかる。
<補足>
以上、本発明に係る携帯通信端末の一実施形態として、実施の形態において、携帯電話機100を例として説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態通りの携帯通信端末に限られないことはもちろんである。
(1)実施の形態において、携帯電話機100は、図2(a)に示される第1形態と、図2(b)に示される第2形態とに選択的に変形自在となる構成の例であったが、第1アンテナと金属製の連結アームとが互いに近接すると共に、第2アンテナと金属製の連結アームとが互いに近接する形態になり得る携帯電話機であれば、必ずしも、上記第1形態と上記第2形態とに選択的に変形自在となる構成の携帯電話機に限られる必要はない。
【0065】
例えば、第1アンテナと第2アンテナとを備える第1筐体と、第2筐体と、これら筐体を支持する金属製の連結アームとを備える折り畳み式携帯電話機、第1アンテナを備える第1筐体と、第2アンテナを備える第2筐体と、これら筐体を支持する金属製の連結アームとを備えるスライド式携帯電話機等が考えられる。
(2)実施の形態において、携帯電話機100は、800MHz帯の信号を用いて外部の基地局との通信を行う構成を例として説明したが、第1アンテナ710と第2アンテナ760との間のアンテナ間結合度が改善されるように、第1アンテナ710の電気長、第2アンテナ760の電気長、第1キャパシタ910の値、第1インダクタ920の値、第2キャパシタ1010の値、及び、第2インダクタ1020の値が適切に設定されているものであれば、必ずしも、800MHz帯の信号を用いて外部の基地局との通信を行う構成に限られない。
【0066】
例えば、2GHz帯の信号を用いて外部の基地局との通信を行う構成の携帯電話機等が考えられる。
(3)実施の形態において、携帯電話機100は、第1アンテナ710と第2アンテナ760との間のアンテナ間結合度を改善するために、(1)第2アンテナ760の電気長の調整と、(2)接続回路1000aの追加との2つの対策が施されている構成の例について説明したが、いずれか一方の対策だけでも、アンテナ間結合度の改善が実現され得るため、必ずしもこれら2つの対策が施されている構成に限られず、いずれか一方の対策が施されている構成であっても構わない。
【0067】
但し、いずれか一方の対策のみが施されている構成よりも、双方の対策が施されている構成の方が、より効果的にアンテナ間結合度が改善されることが見込まれる。
(4)実施の形態において、携帯電話機100は、第2アンテナ760のアンテナ効率を改善するために、(1)共振周波数補正回路900の追加と、(2)接続回路1000aの追加との2つの対策が施されている場合の例について説明したが、いずれか一方の対策だけでも、第2アンテナ760のアンテナ効率の改善が実現され得るため、必ずしもこれら2つの対策が施されている構成に限られず、いずれか一方の対策が施されている構成であっても構わない。
【0068】
但し、いずれか一方の対策のみが施されている構成よりも、双方の対策が施されている構成の方が、より効果的に第2アンテナ760のアンテナ効率が改善されることが見込まれる。
(5)実施の形態において、通信を行う信号の周波数帯が800MHz帯の携帯電話機100について、アンテナ間結合度が−20dB以下である必要があるとして説明したが、一般に、必要となるアンテナ間結合度は、通信を行う信号の周波数帯、及び変調方法によって、それぞれ値が異なるため、通信を行う周波数帯、及び変調方法によっては、必ずしも、アンテナ間結合度が−20dB以下である必要がある場合に限られない。
(6)実施の形態において、携帯通信端末が携帯電話機である場合の例について説明したが、携帯通信端末は必ずしも携帯電話機に限られる必要はなく、例えば、通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)であっても構わない。
(7)以下、さらに本発明の一実施形態に係る携帯通信端末の構成及びその変形例と各効果について説明する。
(a)本発明の一実施形態に係る携帯通信端末は、2つの筐体の一方に、電磁波を受信する2つのアンテナが設けられ、両筐体が連結アームで、互いに重なった第1形態と、重なりが解除された第2形態とに形態変更自在に連結され、且つ、前記2つの筐体が前記第1形態に変更されている時、前記2つのアンテナの双方と前記連結アームとが近接状態となる携帯通信端末であって、前記2つの筐体のいずれか一方のグラウンド配線と前記連結アームとが接続回路で接続されていることを特徴とする。
【0069】
上述の構成を備える本実施形態に係る携帯通信端末は、接続回路によって、連結アームとグラウンド配線とが接続されることとなり、接続回路を備えない従来の携帯通信端末に比べて、連結アームは、より強固にグラウンド電位に固定されることとなる。これにより、連結アームを介する、2つのアンテナ間のアンテナ間結合度が、従来よりも低減されることとなる。
【0070】
従って、本実施形態に係る携帯通信端末は、2つのアンテナの双方と連結アームとが近接状態となる形態において、これら2つのアンテナを用いて、例えばダイバーシティ方式で受信する場合であっても、これら2つのアンテナのうちの一方のアンテナを用いて行う通信性能の劣化を、従来よりも低減することができる。
なお、ここで言うグラウンド配線とは、グラウンド電位に接続された配線のことであり、例えば、内蔵される電池の陰極がグラウンド電位となる携帯通信端末においては、その電池の陰極に接続される配線のことである。実施の形態におけるグラウンドプレーンも、ここで言うグラウンド配線に含まれる。
【0071】
(b)また、前記2つのアンテナのうちの一方のアンテナである第1アンテナを用いて所定の周波数帯の電磁波を放出するために、当該第1アンテナに前記所定の周波数帯の信号を出力する出力回路とを備え、前記2つのアンテナのうちの他方のアンテナである第2アンテナは、前記第1形態である場合において、前記出力回路が前記第1アンテナに前記所定の周波数帯の信号を出力しているときにおける、前記出力回路が出力する当該信号の強度と、当該第2アンテナにおける当該信号の受信強度との比率が、前記第1アンテナと当該第2アンテナとが電磁気的に所定結合度以下の比率となるように長さが調整されているとしてもよい。
【0072】
これにより、この携帯通信端末は、第1アンテナと第2アンテナとを電磁気的に所定結合度以下の状態とすることができる。
(c)また、前記第1アンテナと前記第2アンテナとはモノポールアンテナであり、
前記第2アンテナの長さは、前記第1アンテナの長さよりも短くなるように調整されているとしてもよい。
【0073】
これにより、この携帯通信端末は、第2アンテナを第1アンテナよりもコンパクトなものとすることができる。
(d)また、前記第2アンテナを含み、前記第2アンテナを用いて前記所定の周波数帯の電磁波を受信する受信回路を備え、前記受信回路は、前記受信回路の共振周波数を、前記第2アンテナの共振周波数よりも低くするための共振周波数補正回路を含み、前記第2アンテナと前記共振周波数補正回路とは、互いに直列接続されているとしてもよい。
【0074】
これにより、この携帯通信端末は、受信回路の共振周波数を、第1アンテナの共振周波数よりも高周波数側にずれたものとなっている第2アンテナの共振周波数に対して、低周波数側にずらしたものとすることができる。
(e)また、前記接続回路は、キャパシタを有し、前記グラウンド配線と前記連結アームとの接続を、当該キャパシタを介して行うとしてもよい。
【0075】
これにより、連結アームとグラウンド配線との接続を、直流成分を除外した接続とすることができる。
(f)また、前記2つの筐体の一方の筐体である第1筐体は、略直方体の外観を有し、当該第1筐体に対する前記連結アームの回動中心線に平行な方向の両側に第1端面と第2端面とを有し、前記第1アンテナは、前記第1筐体内における前記第1端面近傍に配置され、前記第2アンテナは、前記第1筐体内における前記第2端面近傍に配置され、前記連結アームは、前記第1筐体を前記第1端面において軸支する第1支持部と、前記第1筐体を前記第2端面において軸支する第2支持部と、前記第1支持部と前記第2支持部とを橋絡する橋絡部とからなり、前記第1形態では、前記第1支持部と前記第1アンテナとの距離、及び前記第2支持部と前記第2アンテナとの距離が、前記第2形態である場合よりも短縮するとしてもよい。
【0076】
これにより、この携帯通信端末は、第1アンテナと第2アンテナとが、第1筐体において互いに離れた位置に配置されることとなる。
(g)また、前記第1筐体は、主表面に第1ディスプレイを備え、前記2つの筐体の他方の筐体である第2筐体は、主表面に第2ディスプレイを備え、前記第2形態は、前記第1筐体の主表面と前記第2筐体の主表面とで、1つの平面を形成するように、前記第1筐体の1つの側面と前記第2筐体の1つの側面とが互いに対向する形態であり、前記第1形態は、前記第1筐体の主表面と前記第2筐体の裏面とが互いに対向する形態であるとしてもよい。
【0077】
これにより、この携帯通信端末は、第2形態において、第1ディスプレイと第2ディスプレイとが、1つの平面状に、互いに並べられて配置される位置関係とすることができる。
(h)また、前記第1アンテナと前記第2アンテナとが所定結合度以下の比率は、−20dB以下であるとしてもよい。
【0078】
これにより、この携帯通信端末は、第1アンテナと第2アンテナとのアンテナ結合度が、第1アンテナと第2アンテナとが電磁気的に所定の結合度以下の状態である−20dB以下となる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、金属製の連結アームを備える携帯通信端末に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
100 携帯電話機
110 第1筐体
120 第2筐体
130 連結アーム
710 第1アンテナ
760 第2アンテナ
900 共振周波数補正回路
1000 接続回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの筐体の一方に、電磁波を受信する2つのアンテナが設けられ、両筐体が連結アームで、互いに重なった第1形態と、重なりが解除された第2形態とに形態変更自在に連結され、且つ、前記2つの筐体が前記第1形態に変更されている時、前記2つのアンテナの双方と前記連結アームとが近接状態となる携帯通信端末であって、
前記2つの筐体のいずれか一方のグラウンド配線と前記連結アームとが接続回路で接続されている
ことを特徴とする携帯通信端末。
【請求項2】
前記2つのアンテナのうちの一方のアンテナである第1アンテナを用いて所定の周波数帯の電磁波を放出するために、当該第1アンテナに前記所定の周波数帯の信号を出力する出力回路とを備え、
前記2つのアンテナのうちの他方のアンテナである第2アンテナは、前記第1形態である場合において、前記出力回路が前記第1アンテナに前記所定の周波数帯の信号を出力しているときにおける、前記出力回路が出力する当該信号の強度と、当該第2アンテナにおける当該信号の受信強度との比率が、前記第1アンテナと当該第2アンテナとが電磁気的に所定結合度以下の比率となるように長さが調整されている
ことを特徴とする請求項1記載の携帯通信端末。
【請求項3】
前記第1アンテナと前記第2アンテナとはモノポールアンテナであり、
前記第2アンテナの長さは、前記第1アンテナの長さよりも短くなるように調整されている
ことを特徴とする請求項2記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記第2アンテナを含み、前記第2アンテナを用いて前記所定の周波数帯の電磁波を受信する受信回路を備え、
前記受信回路は、前記受信回路の共振周波数を、前記第2アンテナの共振周波数よりも低くするための共振周波数補正回路を含み、
前記第2アンテナと前記共振周波数補正回路とは、互いに直列接続されている
ことを特徴とする請求項3記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記接続回路は、キャパシタを有し、前記グラウンド配線と前記連結アームとの接続を、当該キャパシタを介して行う
ことを特徴とする請求項4記載の携帯通信端末。
【請求項6】
前記2つの筐体の一方の筐体である第1筐体は、略直方体の外観を有し、当該第1筐体に対する前記連結アームの回動中心線に平行な方向の両側に第1端面と第2端面とを有し、
前記第1アンテナは、前記第1筐体内における前記第1端面近傍に配置され、
前記第2アンテナは、前記第1筐体内における前記第2端面近傍に配置され、
前記連結アームは、前記第1筐体を前記第1端面において軸支する第1支持部と、前記第1筐体を前記第2端面において軸支する第2支持部と、前記第1支持部と前記第2支持部とを橋絡する橋絡部とからなり、
前記第1形態では、前記第1支持部と前記第1アンテナとの距離、及び前記第2支持部と前記第2アンテナとの距離が、前記第2形態である場合よりも短縮する
ことを特徴とする請求項5記載の携帯通信端末。
【請求項7】
前記第1筐体は、主表面に第1ディスプレイを備え、
前記2つの筐体の他方の筐体である第2筐体は、主表面に第2ディスプレイを備え、
前記第2形態は、前記第1筐体の主表面と前記第2筐体の主表面とで、1つの平面を形成するように、前記第1筐体の1つの側面と前記第2筐体の1つの側面とが互いに対向する形態であり、
前記第1形態は、前記第1筐体の主表面と前記第2筐体の裏面とが互いに対向する形態である
ことを特徴とする請求項6記載の携帯通信端末。
【請求項8】
前記第1アンテナと前記第2アンテナとが所定結合度以下の比率は、−20dB以下である
ことを特徴とする請求項6記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−186645(P2012−186645A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48147(P2011−48147)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】