説明

携帯電子機器及び再生データ配信システム

【課題】携帯電子機器が無線接続しているときに、携帯電子機器の電波状況によってストリーミング画像の再生が途中で中断してしまった場合であっても、再接続後の途中再生を円滑に行うことができる携帯電子機器及び再生データ配信システムを提供すること。
【解決手段】通信部13が中断したストリーミング信号を受信した場合には、制御部9は、記憶部が記憶している再生中断データ21に基づいて、ストリーミング信号の再生の再開を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機、PDA、携帯型ゲーム機、携帯用テレビ、携帯用ラジオ等の携帯電子機器に関する。また、当該携帯電子機器を使用した再生データ配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録再生機器と再生機器(携帯電子機器)とが、ネットワークを介して接続され、記録再生機器自身で再生される際に使用されるコンテンツリスト情報に含まれる再生補助データを再生機器にネットワークを介して送信するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006―262437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、携帯電子機器が無線接続されている通信システムにおいては、携帯電子機器の電波状況の悪化によりストリーミング画像が途中で切断された場合には、再接続後の途中再生(レジューム再生)が円滑にできない。
【0005】
本発明の目的は、携帯電子機器が無線接続しているときに、携帯電子機器の電波状況によってストリーミング画像の再生が途中で中断してしまった場合であっても、再接続後の途中再生を円滑に行うことができる携帯電子機器及び再生データ配信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点の携帯電子機器は、再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器からのストリーミング信号を、基地局を介して受信する通信部と、前記通信部を制御する制御部と、記憶部と、前記ストリーミング信号を再生する再生部と、を有し、ストリーミング信号の再生が再生途中で中断した場合には、前記制御部は、ストリーミング信号の再生が中断した時間位置を含む再生中断データを生成し、前記記憶部は、前記再生中断データを記憶し、前記通信部が中断したストリーミング信号を受信した場合には、前記制御部は、前記記憶部が記憶している前記再生中断データに基づいて、ストリーミング信号の再生が完了していない部分から、ストリーミング信号の再生の再開を行う。
【0007】
本発明の第2の観点の携帯電子機器は、再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器からのストリーミング信号を、基地局を介して受信する通信部と、ストリーミング信号を再生している間は、再生中断データを所定時間毎に生成する制御部と、前記制御部が作成した前記再生中断データを記憶する記憶部と、前記ストリーミング信号を再生する再生部と、を有し、前記通信部が中断したストリーミング信号を受信した場合には、前記制御部は、前記記憶部が記憶している前記再生中断データに基づいて、ストリーミング信号の再生が完了していない部分から、ストリーミング信号の再生の再開を行う。
【0008】
好適には、前記制御部は、前記記憶部の前記再生中断データに基づいて、再生を開始する時間位置情報である再生開始時点データを作成し、前記通信部は、前記再生開始時点データを、前記基地局を介して前記記録再生機器に送信し、前記通信部は、前記記録再生機器が前記再生開始時点データに基づいてストリーミング信号の再生が完了しなかった部分から送信してくるストリーミング信号を受信し、前記制御部は、受信した前記ストリーミング信号を再生部に再生する。
【0009】
好適には、前記再生中断データには、ストリーミング信号の再生が完了している時点までの再生時間データが含まれている。
【0010】
好適には、前記再生中断データには、ストリーミング信号の再生が中断した時点での電波強度データが含まれている。
【0011】
本発明の第1の観点の再生データ配信システムは、再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器と、前記記憶再生装置からのストリーミング信号を、基地局を介して受信する通信部を含む携帯電子機器と、を有し、前記携帯電子機器は、前記通信部を制御する制御部と、記憶部と、前記ストリーミング信号を再生する再生部と、を有し、ストリーミング信号の再生が再生途中で中断した場合には、前記制御部は、ストリーミング信号の再生が中断した時間位置を含む再生中断データを生成し、前記記憶部は、前記再生中断データを記憶し、前記通信部が中断したストリーミング信号を受信した場合には、前記制御部は、前記記憶部が記憶している前記再生中断データに基づいて、ストリーミング信号の再生が完了していない部分から、ストリーミング信号の再生の再開を行う。
【0012】
本発明の第2の観点の再生データ配信システムは、再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器と、前記記憶再生装置からのストリーミング信号を、基地局を介して受信する通信部を含む携帯電子機器と、を有し、前記携帯電子機器は、再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器からのストリーミング信号を、基地局を介して受信する通信部と、ストリーミング信号を再生している間は、前記再生中断データを所定時間毎に生成する制御部と、前記制御部が作成した前記再生中断データを記憶する記憶部と、前記ストリーミング信号を再生する再生部と、を有し、前記通信部が中断したストリーミング信号を受信した場合には、前記制御部は、前記記憶部が記憶している前記再生中断データに基づいて、ストリーミング信号の再生が完了していない部分から、ストリーミング信号の再生の再開を行う。
【0013】
好適には、前記制御部は、前記記憶部の前記再生中断データに基づいて、再生を開始する時間位置情報である再生開始時点データを作成し、前記通信部は、前記再生開始時点データを、前記基地局を介して前記記録再生機器に送信し、前記通信部は、前記記録再生機器が前記再生開始時点データに基づいてストリーミング信号の再生が完了しなかった部分から送信してくるストリーミング信号を受信し、前記制御部は、受信した前記ストリーミング信号を再生部に再生する。
【0014】
好適には、前記再生中断データには、ストリーミング信号の再生が完了している時点までの再生時間データが含まれている。
【0015】
好適には、前記再生中断データには、ストリーミング信号の再生が中断した時点での電波強度データが含まれている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、携帯電子機器が無線接続しているときに、携帯電子機器の電波状況の悪化があってストリーミング画像の再生が途中で中断してしまった場合であっても、再接続後の途中再生を円滑に行うことができる携帯電子機器及び再生データ配信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムを説明する説明図である。
【図2】図1の携帯電話機の信号処理系を示すブロック図である。
【図3】再生中断時に制御部9が作成して、記憶部12に記憶させる内容の説明図である。
【図4】ストリーミング送信の中断が行われる場合の処理の説明図である。
【図5】ストリーミング再生を再開する処理の説明図である。
【図6】本発明の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムを説明する説明図である。
【0019】
図1のように、ネットワーク3に複数の有線再生機器4及び複数の基地局5が接続されている。
また、1つの基地局5の通信可能範囲には、複数の携帯電話機1が存在し得る。
なお、有線再生機器4とは、パーソナルコンピュータ(パソコン)、ビデオ録画機、テレビジョン等の通常有線で接続される電子機器、並びに、携帯電話機1、PDA、携帯型ゲーム機、携帯用テレビ、携帯用ラジオ等の通常は無線によって接続されるものであってもその時点では有線接続されているものが含まれる。
また、基地局5と交信しているものであれば、携帯電話機1に限らずPDA、携帯型ゲーム機、携帯用テレビ、携帯用ラジオ等であってもよい。
また、無線通信方法は携帯電話機1による方法に限る必要はなく、現在及び将来において利用される無線通信方法を含む。
【0020】
以上の様に、ネットワーク3は有線再生機器4及び基地局5を介した携帯電話機1が複数接続可能であるが、本件では、1人のユーザが有する、有線再生機器4の1つである記録再生機器2と携帯電話機1との間の通信を取り扱う。
そして、記録再生機器2及び携帯電話機1は、情報信号の発信及び受信の両方を行うことが可能である。
つまり、ストリーミング送信は記録再生機器2のみならず携帯電話機1からも可能であるが、本実施形態においては、記録再生機器2からストリーミング送信が行われ、携帯電話機1がこれを受信してその表示部8において画像等の情報が実際に表示される場合を、一例として想定している。
また、ストリーミング送信されるデータは、映画、テレビジョン放送等の動画を想定しているが、これに限るものではなく、音楽、静止画、プログラム、メール等のものであってもよい。
つまり、記録再生機器2が再生・記録することが可能であればどのようなものであってもよい。
以上のストリーミング送信されるデータを総称する概念として、以下「再生データ」という。
また、以下の説明においては、簡略化のために動画情報に限って説明するが、当然、動画以外にも適用可能である。
【0021】
また、記録再生機器2は、前もって記録しておいた、テレビジョン放送の録画データ、DVDの録画データ等に代表される録画再生データを送信する。
さらに、記録再生機器2は、ストリーミング送信している最中に受信しているテレビジョン放送の放送画像(音声も含む)をもリアルタイムにストリーミング送信する。
加えて、記録再生機器2は、記録再生機器2に現実に挿入等されているDVD及びCD等をリアルタイムに再生してストリーミング送信する。
【0022】
記録再生機器2にはテレビジョン6が接続されている。
また、携帯電話機1には表示部8と操作部11が配置されている。
【0023】
ストリーミング送信とは、送信する側の機器である記録再生機器2が連続的に信号を発信して、これを受信する装置(デバイス)である携帯電話機1が受信するものである。
そして、ストリーミング送信の場合には通信帯域を最大限利用する為に、送信した信号が受信側に実際に誤り無く届いたかを確認せずに連続的に送信している。
そのため、送信途中で受信側がその信号を受信できなくても、そのことを発信側が知ることはできない。
そして、基地局5と無線通信する携帯電話機1においてはそのような事態はしばしば発生し得る。
【0024】
この場合には、携帯電話機1と基地局5の通信環境が改善してユーザが再度その動画を視聴しようとした(レジューム再生)としても、記録再生機器2は、どこまで携帯電話機1が受信して再生したのかの情報を有していない。
その結果、記録再生機器2は動画データの最初から順に送信することしかできない。
このようになると、ユーザは中断した位置まで記録再生機器2が順次ストリーミング送信するまで待たなければならない。
そこで、本実施形態においては、携帯電話機1側にどこまでストリーミング送信を受信したのかを記憶しておいて、ストリーミング送信を再開する場合には、そのデータを記録再生機器2に送信することによって、中断した位置から記録再生機器2にストリーミング送信させる。
以下具体的な方法について記載する。
【0025】
図2は、図1の携帯電話機1の信号処理系を示すブロック図である。
【0026】
図2に示されるように、携帯電話機1は、通信部13と、操作部11と、音声入力部10と、表示部8と、ストリーミング信号再生部30、音声出力部31、記憶部12が制御部9によって制御されている。
【0027】
通信部13は、無線通信システムを捕捉し、通信ネットワークに接続される基地局5との間で無線通信を行い、各種データの送受信を行う。各種データとは、Web上のダウンロードサイトのからダウンロードされるファイルのデータ、音声通話時の音声データ、メール送受信時のメールデータ、ウェブ閲覧時のウェブページデータ、等である。
本発明では、特に、記録再生機器2から送信される信号を、基地局5を介して受信する。
【0028】
操作部11は、操作キー等から入力されるユーザの指示を受け付ける。
操作部11には、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー、ファンクションキーなど、各種の機能が割り当てられたキーが配置されている。
そして、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部9に出力する。
本発明においては、特に、中断したストリーミング送信されていた動画を、再度再生開始するというユーザによる入力を受け付ける。
【0029】
音声入力部10は、マイクロフォンにおいて入力される音声信号の入力処理を行う。
すなわち、音声入力部10は、マイクロフォンから入力された音声を増幅し、アナログ/デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部9に出力する。
【0030】
音声出力部30は、音声入力部10は、制御部9から供給される音声データに復号化、デジタル/アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカに出力する。
本発明においては、特に、ストリーミング送信される動画の音声を再生する。
【0031】
表示部8は、例えばLCDやOLED(Organic light-emitting diode(有機EL))を用いて構成されており、制御部9から供給される映像信号に応じた画像を表示する。
表示部8は、例えば、通信部13による無線発信時における発信先の電話番号、着信時における発信元の電話番号、受信メールや送信メールの内容、日付、時刻、電池残量、発信成否、待ち受け画面等を表示する。
【0032】
ストリーミング信号再生部30は、ストリーミング信号を再生する。
本発明においては、ストリーミング送信されている動画を再生する。
【0033】
記憶部12では、携帯電話機1の各種処理に利用される各種データを記憶する。
記憶部12は、例えば制御部9が実行するコンピュータのプログラム、通信相手の電話番号や電子メールアドレス等の個人情報を管理するアドレス帳、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、待ち受け画面用の画像ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータが記憶される。
本発明においては、特に、携帯電話機1が再生完了した部分を特定するためのデータである再生中断データ21を記憶している。
また、記憶部12ではストリーミング送信されてきた動画データを記憶する場合もある。
【0034】
なお、記憶部12は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、光ディスク装置など)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(例えばSRAM、DRAM)などによって構成される。
【0035】
制御部9は、携帯電話機1の全体的な動作を統括的に制御する。
すなわち、制御部9は、携帯電話機1の各種処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWeb上のダウンロードサイトの閲覧など)が操作部11の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各ブロックの動作(通信部13における信号の送受信、表示部8における画像の表示等)を制御する。
【0036】
また、制御部9は、通信部13に通信する電波の電波強度を算出する。
さらに、算出された電波強度に応じて、表示部8に表示している受信電波強度示を変化させる機能を有する。
本発明において、制御部9は、特にストリーミング送信を受けている場合に送信の中断があった場合に、再生中断データ21を作成し、再開時に再生中断データ21から再生開始時点データを作成する。
【0037】
図3は、再生中断時に制御部9が作成して、記憶部12に記憶させる内容の説明図である。
【0038】
再生の中断があった場合には、制御部9は再生中断データ21を作成する。そして、図3のような形式で再生中断データ21は、記憶部12に記憶される。
図3において、複数の再生中断データ21が記載されているのは中断された再生データは複数存在する可能性があるからである。
【0039】
再生中断データ21は、再生ナンバーデータ22、記録再生機器データ23、コンテンツデータ24、タイトルデータ25、再生時間データ26、サムネイルデータ27及び電波強度データ28を有している。
【0040】
再生ナンバーデータ22は、複数の再生中断データ21が作成される場合があるので、それらを区別するために付与されている。
【0041】
記録再生機器データ23は、ネットワーク3に接続されている記録再生機器2のデータである。
具体的には、記録再生機器2のIPアドレス、MACアドレス(Media Access Control address)である。このように、記録再生機器データ23を有することから、携帯電話機1は、再生再開時に記録再生機器2を特定することができる。
また、記録再生機器データ23を有することから、複数の記録再生機器2を有するユーザにおいて、どの記録再生機器2からのストリーミング送信が中断されたのかを特定することができる。
【0042】
コンテンツデータ24は、記録再生機器2がストリーミング送信しているデータが、ハードディスク(HDD)に既に記憶しているデータなのか、それとも、リアルタイムでDVD、CD等の光ディスクをリアルタイムに読み込んで送信しているデータなのかを記憶している。
【0043】
タイトルデータ25は、複数の再生中断が行われていた場合に、ユーザが再生再開を行う操作をする場合に、これを表示部8に表示させて選択を容易にする。
【0044】
再生時間データ26は、再生の中断が動画の最初から何秒後の時点において行われているかのデータである。
再生開始時に、制御部9はこの再生中断データ21をもとに再生開始時点データを作成し、再生開始時点データの信号を記録再生機器2に送信する。
なお、再生時間データ26は動画の最初から何秒後の時点における時間情報に限定する趣旨ではなく、他のデータであってもよい。
例えば、動画全体を複個に分割して何フレーム目の何秒後という形式のデータであってもよい。
【0045】
サムネイルデータ27は、動画の一場面を静止画データである。もっとも、動画の一場面ではなく、特別に作成された静止画データであってもよい。
このサムネイルデータ27は、複数の再生中断が行われていた場合に、ユーザが再生再開を行う操作をする場合に、これを表示部8に表示させて選択を容易にする。
【0046】
電波強度データ28は、ストリーミング再生の停止が行われた時点での電波強度情報である。
【0047】
以上の構成をもつ携帯電話機1において、現実にストリーミング送信の中断及び再開が行われる場合の処理について以下説明する。
【0048】
図4は、ストリーミング送信の中断が行われる場合の処理の説明図である。
【0049】
ステップST01において、ストリーミング受信が中断したかの判断がなされる。もし、中断がなされていなければ、このステップST01の処理を繰り返す。
【0050】
ステップST02において、中断の原因が、ユーザが操作部11を操作して中断処理を行ったものであるかを判断する。
そして、ユーザが自主的に中断を行った場合には、ステップST06に処理を移行する。
一方、ユーザが自主的に中断を行っていない場合には、ステップST03に処理を移行する。なぜなら、ユーザが自主的に中断を行ていない場合には、通信強度が低下したことが原因である場合が多く、その場合には、通信強度の低下は一時的である可能性があるからである。
なお、ユーザが自主的に中断を行った場合であるかの判断の方法は、ユーザの操作部11への入力によって中断指令があったか否かによる方法がある。また、他の方法としては、中断がなされる寸前の電波強度によってなすこともできる。
【0051】
ステップST06において、図3で示した再生中断データ21を制御部9は作成する。そして、作成された再生中断データ21は記憶部12に記憶される。
【0052】
ステップST03において、携帯電話機1は一定時間待機する。例えば数秒程度である。
ステップST03における処理を行う理由は、以下の理由による。
ユーザによってストリーミング受信の中断が行われたわけではない場合には、その原因は電波強度が低下したことである場合が多い。
そして、電波強度の低下は一時的である場合も多い。例えば、一時的に建物の陰に入った場合などである。
このような場合には、すぐに電波強度が回復することが考えられるため、ユーザに再度、再生再開操作を行わせると、操作性が落ちてしまうからである。
【0053】
ステップST04において、携帯電話機1は再度のストリーミング受信を試みる。
【0054】
そして、ステップST05において、受信を再開できたか判断する。
そして、一定時間が経過しても受信を再開できなかったのであれば受信強度の低下は一時的ではなかったものと判断して、完全に中断するステップST06の処理に移行する。
一方、通信が再開した場合には、通信を再開するステップST07の処理に移行する。
【0055】
ステップST07において、携帯電話機1は通信を再開して、ストリーミング再生を継続する。
その後、ステップST01の処理に移行する。
【0056】
図5は、ストリーミング再生を再開する処理の説明図である。
【0057】
ステップST11において、ストリーミング再生が中断した理由が、電波強度が低下したことが原因であるかを判断する。
具体的には、再生中断データ21の電波強度データ28を参照して判断する。
そして、電波強度の低下が原因の場合には、ステップST12の処理に移行する。
電波強度の低下が原因でない場合には、ステップST15の処理に移行する。
【0058】
ステップST12において、電波強度を測定する。
そして、ステップST13において、測定した電波強度がストリーミング再生を再開可能な強度であるか判定する。
そして、ストリーミング再生を再開可能な程度に電波強度が達している場合には、ステップST14に移行する。
一方、ストリーミング再生を再開可能な程度に達していない場合には、ステップST12に戻る。
【0059】
ステップST14において、通信を再開可能である旨の表示を表示部8等に表示してユーザに通知する。このように、通信再開可能となった旨の表示がなされることによって、ユーザは今すぐ再生を再開するか判断することが可能となる。
【0060】
ステップST15において、ユーザによる再生再開する旨の操作が行われたか判定する。
そして、ユーザによる再生再開する旨の操作がなされていない場合には、ステップST11に戻る。
一方、ユーザによる再生再開する旨の操作がなされた場合には、ステップST16の処理に移行する。
【0061】
ステップST16において、制御部9は再生中断データ21中の再生時間データ26、タイトルデータ25及びコンテンツデータ24を含んだ再生開始時点データを作成する。
【0062】
そして、ステップST17において、制御部9は通信部13を通じて、作成した再生開始時点データの信号を記録再生機器2に送信する。
これを受けた、記録再生機器2は、再生開始時点データに含まれているコンテンツデータ24から、ストリーミング送信を行う対象がHDDに記憶されている動画データなのか、それともDVD等に記憶されている動画データなのかの判断を行う。
さらに、記録再生機器2は、再生開始時点データに含まれているタイトルデータ25から、動画データの特定を行う。
加えて、記録再生機器2は、再生開始時点データに含まれている再生時間データ26から、特定された動画データのどの部分からストリーミング送信を開始する位置を特定する。
最後に、記録再生機器2は、特定された動画データの特定された開始位置から、携帯電話機1に対してストリーミング送信を開始する。
【0063】
ステップST18において、携帯電話機1はストリーミング再生を再開する。
【0064】
以上の様に構成することによって、ユーザは再生開始時において、特別な操作なく再生中断があった部分から再び視聴を開始することができる。
つまり、以上の様に構成することによって携帯電話機1の操作性が向上する。
さらに、図4のステップST02〜ステップST05の処理があることによって、通信強度が一時的に低下した場合であっても、ユーザは特別な操作を行わなくても視聴を継続することができる。
また、図5のステップST11〜ステップST14の処理があることによって、ストリーミング再生再開が可能となったことをユーザは容易に知ることができる。
【0065】
図6は、本発明の変形例の説明図である。
【0066】
図6は、基本的に図4と同じ処理であるが異なる点は、太枠で示したステップST06が最初に処理されることである。
このように構成したことによって、再生中断するまで定期的に制御部9は再生中断データ21を作成して、変更のあった部分を更新している。通常の場合においては更新されるのは再生時間データ26である。
そして、中断があった場合には、当該更新はなされなくなり、自動的に、中断時の再生中断データ21が作成される。
このように構成することによって、ストリーミング再生が中断された場合に制御部9は特別な処理を行わなくて済む。
つまり、通常ストリーミング再生時には、制御部9は再生中断データ21に該当するデータを記憶部12に記憶して利用しているのが通常であることから、再生の中断があった時にわざわざ再生中断データ21を作成しなくて済むという利点がある。
【0067】
以上の実施形態によれば、携帯電話機1は、再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器2からのストリーミング信号を、基地局5を介して受信する通信部13と、通信部13を制御する制御部9と、記憶部12と、ストリーミング信号を再生する表示部8と、を有している。
また、ストリーミング信号の再生が再生途中で中断した場合には、制御部9は、ストリーミング信号の再生が中断した時間位置を示す再生中断データ21を生成し、記憶部12は、再生中断データ21を記憶する。
そして、通信部13が中断したストリーミング信号を受信した場合には、制御部9は、記憶部12が記憶している再生中断データ21に基づいて、ストリーミング信号の再生が完了していない部分から、再度ストリーミング信号の再生を行う。
このような構成によって、ユーザは再生再開時に特別の操作を行わなくても中断した位置から再生をさせることができ、操作性が向上する。
【0068】
以上の実施形態によれば、携帯電話機1は、再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器2からのストリーミング信号を、基地局5を介して受信する通信部13を有している。
また、ストリーミング信号を再生している間は、再生中断データ21を所定時間毎に生成する制御部9と、制御部9が作成した再生中断データ21を記憶する記憶部12と、ストリーミング信号を再生する表示部8と、を有している。
そして、通信部13が中断したストリーミング信号を受信した場合には、制御部9は、記憶部12が記憶している再生中断データ21に基づいて、ストリーミング信号の再生が完了していない部分から、ストリーミング信号の再生の再開を行う。
このような構成によって、ユーザは再生再開時に特別の操作を行わなくても中断した位置から再生をさせることができ、操作性が向上する。
また、ストリーミング再生が中断された場合に制御部9は特別な処理を行わなくて済む。つまり、通常ストリーミング再生時には、制御部9は再生中断データ21に該当するデータを記憶部12に記憶して利用しているのが通常であることから、再生の中断があった時にわざわざ再生中断データ21を作成しなくて済むという利点がある。
【0069】
制御部9は、記憶部12の再生中断データ21に基づいて、再生を開始する時間位置情報である再生開始時点データを作成し、通信部13は、再生開始時点データを、基地局5を介して記録再生機器2に送信する。
そして、通信部13は、記録再生機器2が再生開始時点データに基づいてストリーミング信号の再生が完了しなかった部分から送信してくるストリーミング信号を受信し、制御部9は、受信したストリーミング信号を表示部8に再生する。
このように構成したことによって、ストリーミング再生の中断があった位置から、再度ストリーミング送受信をおこうことができる。
そして、そのことによって通信量の低減を図ることが可能となる。
【0070】
再生中断データ21には、ストリーミング信号の再生が完了している時点までの再生時間データ26が含まれている。
このように構成したことによって、ストリーミング再生の中断があった位置を記憶しておき、再生の再開を行う時に中断があった位置から再生再開を行うことが可能となる。
【0071】
再生中断データ21には、ストリーミング信号の再生が中断した時点での電波強度データ28が含まれている。
このような情報によって、ストリーミング再生が中断した理由が、ユーザの操作によるものなのか、それと電波強度の低下によるのかを判断することができる。
そして、電波強度の低下が原因である場合には、電波強度が回復したときに、ストリーミング再生が再度可能となった旨の通知をすることが可能となる。
【0072】
以上の実施形態によれば、本発明の再生データ配信システムは、再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器2と、記録再生機器2からのストリーミング信号を、基地局5を介して受信する通信部13を含む携帯電話機1と、を有している。
また、携帯電話機1は、通信部13を制御する制御部9と、記憶部12と、ストリーミング信号を再生する表示部8と、を有している。
そして、ストリーミング信号の再生が再生途中で中断した場合には、制御部9は、ストリーミング信号の再生が中断した時間位置を含む再生中断データ21を作成し、記憶部12は、再生中断データ21を記憶する。
加えて、通信部13が中断したストリーミング信号を受信した場合には、制御部9は、記憶部12が記憶している再生中断データ21に基づいて、ストリーミング信号の再生が完了していない部分から、ストリーミング信号の再生の再開を行う。
このような構成によって、ユーザは再生再開時に特別の操作を行わなくても中断した位置から再生をさせることができ、操作性が向上する。
【0073】
以上の実施形態によれば、本発明の再生データ配信システムは、再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器2と、記録再生機器2からのストリーミング信号を、基地局5を介して受信する通信部13を含む携帯電話機1と、を有している。
また、携帯電話機1は、再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器2からのストリーミング信号を、基地局5を介して受信する通信部13と、ストリーミング信号を再生している間は、再生中断データ21を所定時間毎に作成する制御部9とを有している。
さらに、制御部9が作成した再生中断データ21を記憶する記憶部12と、ストリーミング信号を再生する表示部8と、を有している。
そして、通信部13が中断したストリーミング信号を受信した場合には、制御部9は、記憶部12が記憶している再生中断データ21に基づいて、ストリーミング信号の再生が完了していない部分から、ストリーミング信号の再生の再開を行う。
このような構成によって、ユーザは再生再開時に特別の操作を行わなくても中断した位置から再生をさせることができ、操作性が向上する。
また、ストリーミング再生が中断された場合に制御部9は特別な処理を行わなくて済む。つまり、通常ストリーミング再生時には、制御部9は再生中断データ21に該当するデータを記憶部12に記憶して利用しているのが通常であることから、再生の中断があった時にわざわざ再生中断データ21を作成しなくて済むという利点がある。
【0074】
制御部9は、記憶部12の再生中断データ21に基づいて、再生を開始する時間位置情報である再生開始時点データを作成する。
また、通信部13は、再生開始時点データを、基地局5を介して記録再生機器2に送信し、通信部13は、記録再生機器2が再生開始時点データに基づいてストリーミング信号の再生が完了しなかった部分から送信してくるストリーミング信号を受信する。
そして、制御部9は、受信したストリーミング信号を表示部8に再生する。
このように構成したことによって、ストリーミング再生の中断があった位置から、再度ストリーミング送受信をおこなうことができる。
そして、そのことによって通信量の低減を図ることが可能となる。
【0075】
再生中断データ21には、ストリーミング信号の再生が完了している時点までの再生時間データ26が含まれている。
このように構成したことによって、ストリーミング再生の中断があった位置を記憶しておき、再生の再開を行う時に中断があった位置から再生再開を行うことが可能となる。
【0076】
再生中断データ21には、ストリーミング信号の再生が中断した時点での電波強度データ28が含まれている
このような情報によって、ストリーミング再生が中断した理由が、ユーザの操作によるものなのか、それと電波強度の低下によるのかを判断することができる。
そして、電波強度の低下が原因である場合には、電波強度が回復したときに、ストリーミング再生が再度可能となった旨の通知をすることが可能となる。
【0077】
以上説明してきた実施態様においては、記録再生機器2からのストリーミング送信を受けて再生を行っていたのは携帯電話機1であったが、逆に、携帯電話機1からのストリーミング送信を受けて再生を行うのが記録再生機器2であってもよい。
また、再生再開を行うのが、再生の中断を受けた携帯電話機1である必要はなく、他の携帯電話機1によって再生再開を行うこともできる。
この場合には、再生中断データ21を他の携帯電話機1に送信する必要がある。
さらに、再生再開を行うのは、記録再生機器2であってもよいし、他の有線再生機器4であってもよい。
【0078】
なお、以上の実施態様において、動画データは本発明の再生データの一例である。
つまり、再生データには、動画データ、静止画データ、音楽データ等の各種データが含まれる。
また、表示部8は本発明の再生部の一例である。
【0079】
本発明は、以上の実施態様に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0080】
携帯電子機器は、携帯電話機1に限定されない。例えば、携帯電子機器は、ノートパソコン、PDA、ゲーム機、カメラであってもよい。また、携帯電子機器は、折り畳み式のものに限定されない。ケースが一体的に構成されたもの(1つのみのケース)であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…携帯電子機器(携帯電話機)、2…記録再生機器、3…ネットワーク、4…有線再生機器、5…基地局、6…ディスプレイ、8…表示部、9…制御部、10…音声操作部、11…操作部、12…記憶部、13…通信部、21…再生中断データ、22…再生ナンバーデータ、23…記憶再生機データ、24…コンテンツデータ、25…タイトルデータ、26…再生時間データ、27…サムネイルデータ、28…電波強度データ、30…ストリーミング信号再生部、31…音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器からのストリーミング信号を、基地局を介して受信する通信部と、
前記通信部を制御する制御部と、
記憶部と、
前記ストリーミング信号を再生する再生部と、を有し、
ストリーミング信号の再生が再生途中で中断した場合には、
前記制御部は、ストリーミング信号の再生が中断した時間位置を含む再生中断データを生成し、
前記記憶部は、前記再生中断データを記憶し、
前記通信部が中断したストリーミング信号を受信した場合には、前記制御部は、前記記憶部が記憶している前記再生中断データに基づいて、ストリーミング信号の再生が完了していない部分から、ストリーミング信号の再生の再開を行う
携帯電子機器。
【請求項2】
再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器からのストリーミング信号を、基地局を介して受信する通信部と、
ストリーミング信号を再生している間は、再生中断データを所定時間毎に生成する制御部と、
前記制御部が作成した前記再生中断データを記憶する記憶部と、
前記ストリーミング信号を再生する再生部と、を有し、
前記通信部が中断したストリーミング信号を受信した場合には、前記制御部は、前記記憶部が記憶している前記再生中断データに基づいて、ストリーミング信号の再生が完了していない部分から、ストリーミング信号の再生の再開を行う
携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記記憶部の前記再生中断データに基づいて、再生を開始する時間位置情報である再生開始時点データを作成し、
前記通信部は、前記再生開始時点データを、前記基地局を介して前記記録再生機器に送信し、
前記通信部は、前記記録再生機器が前記再生開始時点データに基づいてストリーミング信号の再生が完了しなかった部分から送信してくるストリーミング信号を受信し、
前記制御部は、受信した前記ストリーミング信号を再生部に再生する
請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記再生中断データには、ストリーミング信号の再生が完了している時点までの再生時間データが含まれている
請求項1〜3いずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記再生中断データには、ストリーミング信号の再生が中断した時点での電波強度データが含まれている
請求項1〜4いずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器と、
前記記憶再生装置からのストリーミング信号を、基地局を介して受信する通信部を含む携帯電子機器と、を有し、
前記携帯電子機器は、
前記通信部を制御する制御部と、
記憶部と、
前記ストリーミング信号を再生する再生部と、を有し、
ストリーミング信号の再生が再生途中で中断した場合には、
前記制御部は、ストリーミング信号の再生が中断した時間位置を含む再生中断データを生成し、
前記記憶部は、前記再生中断データを記憶し、
前記通信部が中断したストリーミング信号を受信した場合には、前記制御部は、前記記憶部が記憶している前記再生中断データに基づいて、ストリーミング信号の再生が完了していない部分から、ストリーミング信号の再生の再開を行う
再生データ配信システム。
【請求項7】
再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器と、
前記記憶再生装置からのストリーミング信号を、基地局を介して受信する通信部を含む携帯電子機器と、を有し、
前記携帯電子機器は、
再生データをストリーミング送信可能な記録再生機器からのストリーミング信号を、基地局を介して受信する通信部と、
ストリーミング信号を再生している間は、再生中断データを所定時間毎に生成する制御部と、
前記制御部が作成した前記再生中断データを記憶する記憶部と、
前記ストリーミング信号を再生する再生部と、を有し、
前記通信部が中断したストリーミング信号を受信した場合には、前記制御部は、前記記憶部が記憶している前記再生中断データに基づいて、ストリーミング信号の再生が完了していない部分から、ストリーミング信号の再生の再開を行う
再生データ配信システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記記憶部の前記再生中断データに基づいて、再生を開始する時間位置情報である再生開始時点データを作成し、
前記通信部は、前記再生開始時点データを、前記基地局を介して前記記録再生機器に送信し、
前記通信部は、前記記録再生機器が前記再生開始時点データに基づいてストリーミング信号の再生が完了しなかった部分から送信してくるストリーミング信号を受信し、
前記制御部は、受信した前記ストリーミング信号を再生部に再生する
請求項6又は7に記載の再生データ配信システム。
【請求項9】
前記再生中断データには、ストリーミング信号の再生が完了している時点までの再生時間データが含まれている
請求項6〜8いずれか1項に記載の再生データ配信システム。
【請求項10】
前記再生中断データには、ストリーミング信号の再生が中断した時点での電波強度データが含まれている
請求項6〜9いずれか1項に記載の再生データ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−10100(P2011−10100A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152489(P2009−152489)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】