説明

携帯電話による遠隔監視警報システム

【課題】携帯電話を用いて遠隔監視警報システムを構築する時、利用者数が多数となると自宅または事務所に設置される通信制御装置のコスト負担及び着信用IPアドレスの使用料金負担を低減できることが望まれる。
【解決手段】通信制御装置が収集した画像情報等をネット上のサーバにパケット化して送信する際、送信完了までの一時期だけ該画像情報等を記憶する通信方式の導入と通信制御装置とサーバ間でネットワーク層の通信リンクを常時確立している通信技術の導入により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話を使って自宅や事務所の様子を遠隔で監視し警報を発することができるシステムに関するものである。

【背景技術】
【0002】
ネットワークを利用する監視警報システムでは、監視対象の画像情報、アラーム情報、監視場所の音の情報などを分析し、異常と判断したときは、ネットワークを利用して遠方に通知する。自宅や事務所などを不在にしたときに、外出先の携帯電話にこれら監視警報情報を通知することで、侵入者に警報を発するなど異常事態に迅速に対応することを可能にする。
【0003】
このような遠隔監視警報システムにおいては、監視対象の画像情報、アラーム情報等を収集する情報収集機能、収集した情報を保存し、分析して異常か否かを判断する情報保存・分析機能、分析結果としての異常を警報として携帯端末に通知する警報通知機能、端末の指令を監視対象に中継する指令中継機能が必要となる。これらの諸機能をどこに配置するかで大別して2つの方式が考えられる。方式1は自宅または事務所内に設置される通信制御装置にすべての機能を集中配置する方法である。方式2は、情報収集機能のみを通信制御装置に配置し、情報保存・分析機能、警報通知機能、指令中継機能をネットワークを介したサービスセンタのサーバに配置する方法である.
【0004】
図1は方式2の具体的構成を示し、通信制御装置1とサーバ5が設置されている。一方、方式1は通信制御装置1にサーバ5の機能を持たせる方法であり、その場合にはサーバ5は不要となり、通信制御装置1から携帯電話6に直接警報を通知し、また必要に応じて携帯電話から直接通信制御装置にアクセスし、保存されている画像情報等を取り出したり、監視対象の警報装置等に対しての指令を発する。
【0005】
これに対し、方式2は通信制御装置1とサーバ5との間で諸機能を分担する方法であり、通信制御装置1はカメラ・センサ類2からの監視警報情報の収集を分担し、サーバ5は、監視警報の情報保存・分析と携帯電話6への警報通知と携帯電話からの指令中継を分担する方法である。この方法2では、通信制御装置1で収集した監視警報情報をサーバ5に送り込む機能が新たに必要となる。また、携帯電話6から通信制御装置1へのアクセスは、サーバ5を介して行われる。携帯電話6は、サーバ5にアクセスし、サーバ5に保存されている画像情報を取り出し、またサーバ5に向けて監視対象である警報装置等に対する指令を送信する。サーバ5はその指令を通信制御装置1に中継し、通信制御装置1は監視対象に指令を発する。
【0006】
上記方法1と方法2の主たる違いは、通信制御装置1とサーバ5の機能を一体化するか分離するかであるが、通信制御装置1に求められるハードウエア、ソフトウエア機能の質的量的な違いが両者の間に発生し、通信制御装置1を多数利用する大規模な遠隔監視警報システムではコスト面で大きな違いに結びつく。
【0007】
例えば各家庭または事務所に通信制御装置1を各1台設置し、全体で通信制御装置1を多数設置するような遠隔監視警報システムを構築する場合、通信制御装置1とサーバ5を一体化する方式1では、通信制御装置1にはカメラ・センサ類2から収集した情報を多量に記録する記憶装置を実装する必要があり、またサーバとして働くためのプロセッサやWeb機能を備える必要がある。これらハードウエア、ソフトウエア機能を実装することで通信制御装置1のコスト増加が必須であり、1台当たりでは小額であるとしても、全体では大幅なコスト増加に結びつく。
【0008】
通信制御装置1とサーバ5を分離する方式2では、通信制御装置1はカメラ・センサ類2から収集した情報を直ちにネットワークを介してサーバに転送することで、通信制御装置には情報を多量に記録する記憶装置を不要とできる。また携帯電話6と情報を授受するWeb機能はサーバ5が提供する。従って通信制御装置1はハードウエア、ソフトウエア機能を方式1に比較して軽減することが可能であり、コスト減は1台当たりでは小額でも、全体では大幅なコスト低減に結びつく。
【0009】
しかしながら、方式2を採用するとしても、通信制御装置1が担うカメラ・センサ類2からの常時連続的に発生する多量の情報取得処理、警報ランプ・警報音装置類3への指令処理、ネットワーク経由でのサーバとの情報送受処理、また関連する情報の記録保存処理に必要なハードウエア、ソフトウエア量は依然として多く(特許文献1、2)各家庭または事務所に多数の通信制御装置1を設置する遠隔監視警報システムを構築する場合、これらハードウエア、ソフトウエア量を削減し、総コストを低減することが課題である。
【0010】
また、従来方式では、通信制御装置1へ携帯電話6からアクセスする方式1の場合も、また、通信制御装置1へサーバ5からアクセスする方式2の場合も、通信制御装置1用に、URLまたはIPアドレスをネットワーク事業者から購入する必要があり(特許文献3、非特許文献1)、その分インターネット使用料が上乗せとなる。この使用料を回避する方策、すなわちURLまたはIPアドレスをネットワーク事業者から購入せずに同様のシステムを構築する手段としてダイナミックDNSという手法が存在するが、ダイナミックDNSはアドレスとしてのURLは固定するものの、そのURLに対応するIPアドレス割当てが時間経過とともに変化し、ダイナミックDNSサービスの信頼性により、遠隔監視警報システムが提供するサービスの信頼性に悪影響を与えることが懸念される問題がある。
【0011】
さらに、遠隔警報監視システムにおいて、同一自宅内あるいは同一事務所内で、多数のカメラから同時に画像収集する要望が増加すると予想され、その際に発生する多量の画像情報を経済的にサーバへ転送する方式の開発が課題である。
【0012】
またドアセンサ、振動センサなどのセンサ類を多数使用する場合には、センサの発する警報情報を収集する手段として有線あるいは無線による方式があるが、センサ自体は市販の安価品を使用可能であっても、情報収集手段を付加することによるコスト増が占める割合が大きく、システム全体のコストを押し上げる要因となる問題がある。
【特許文献1】特開2004-072702号公報
【特許文献2】特開2002-034029号公報
【特許文献3】特開2004-326623号公報 段落0081
【非特許文献1】水澤純一著、「情報通信ネットワーク入門」培風館、2005年5月27日、P149〜154
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
請求項1の発明は、通信制御装置1のハードウエア、ソフトウエアの負担を軽減し、安価な通信制御装置1の提供を目的とし、請求項2、5及び6の発明は、通信制御装置毎にIPアドレスまたはURLの購入をすることなく、携帯電話から通信制御装置にアクセスし、指令・指示を可能とするサービスの提供を目的とし、請求項3の発明は、複数カメラを収容する経済的な通信制御装置1の提供を目的とし、請求項4の発明は、市販の安価なセンサ類を用いて経済的な警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、方式2を基本とし、方式2に必要となる通信制御機能1とサーバ5の間での監視画像・警報情報の転送機能を実現するにあたり、図1において、通信制御装置1がカメラ・センサ類2から常時連続的に取得する多量情報の記録保存に必要となる記憶領域を最小限に抑える目的で、取得した監視画像・警報情報をネットワークを経由してサーバ5に直ちに送る通信方式を導入し、また、通信制御装置1とサーバ5間に常時通信リンクを確保する通信手段を導入することで通信制御装置1とサーバ5の連携を一体化し、上記諸課題を解決する。

【発明の効果】
【0015】
本発明は図1の通信制御装置1が各家庭または事務所向けに多数導入される遠隔監視警報システムにおいて、多量の監視警報情報を扱う通信制御装置1の監視警報情報を記憶保持する時間を一時的なものとして記憶装置の容量を削減してコスト低減を図り、システム全体として大幅な経済効果が達成できる。
【0016】
また、従来方式では、通信制御装置1用に、URLまたはIPアドレスをネットワーク事業者から購入する必要があり、その分インターネット使用料が上乗せになるが、本発明では、通信制御装置1とサーバ5との間に常時通信リンクが確保されているので、URLまたはIPアドレスをネットワーク事業者から購入する必要がなく、インターネット使用料の低減が図れる経済効果がある。
【0017】
さらに、従来方式において、URLまたはIPアドレスをネットワーク事業者から購入せずに同様のシステムを構築する手段としてダイナミックDNSという手法が存在するが、ダイナミックDNSサービスの信頼性により、遠隔監視警報システムが提供するサービスの信頼性に悪影響が及ぶことが懸念されたが、本発明によるとURLまたはIPアドレスをネットワーク事業者から購入する必要がなく、かつダイナミックDNSも利用する必要がないので、この信頼性上の懸念が解消する効果がある。

【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明では、図1に示すインターネット4が社会基盤として整備されている環境で、かつWebページを表示することのできる携帯電話6も広く普及している社会環境で、自宅や事務所などを対象に遠隔監視警報システムを導入する場合、屋内または屋外に通信制御装置1を設置し、監視対象の情報を収集するためのカメラ・センサ類2を必要個所に適宜設置して、該カメラ・センサ類2と該通信制御装置1とを有線ないし無線回線で接続し、また、携帯電話6からの指令情報を受信して動作する警報ランプ・警報音装置類3を通信制御装置1に有線ないし無線回線で接続し、通信制御装置1はインターネット4を経由してサーバ5との間で安定的に常時通信リンクが提供され、携帯電話6も随時サーバ5へアクセスして安定的にWebサービスを受けることができることが、本発明を実施するための最良の形態である。

【実施例】
【0019】
遠隔監視警報システムの全体システム構成図を図1に示し、本発明による通信制御装置1とサーバ5の間で行われる通信シーケンスの実施例を図2に示す。遠隔監視警報システムが立ち上がるまでの初期段階では次のように動作する。すなわち、自宅や事務所に設置された通信制御装置1は電源ON 8されるとインターネット4を介してサーバ5にリンクを確立するためIPパケット9aを定期的に送信する。サーバ4の準備が整わない時点ではサーバ4から通信制御装置1への返事は返ってこないが、定期的にIPパケット9aを再送信することで、いずれサーバ5の準備が整った段階でサーバ5から通信制御装置1に確認応答のIPパケット9bが返送される。通信制御装置1は確認応答のIPパケット9bをサーバ5から受信9cすることで、通信装置1とサーバ5間にネットワーク層の通信リンクが確立したことを確認する。IPパケット9a及び9bは、ネットワーク層のリンク確立のためにだけ機能するよう働く。
【0020】
すなわち、IPパケット9a、9bにおいては、ネットワーク層のリンク確立にあたり、IPヘッダーの上位プロトコル表示を‘6’TCPとか‘17’UDPとかの既定のプロトコルにすると既定のプロトコルの規約の制限を受けるが、たとえば‘63’Any local networkと指定することにより、通信制御装置1とサーバ5の間で独自の規約によりリンク確立を達成することができる。
【0021】
通信制御装置1はサーバ5との間でネットワーク層の通信リンクが上記手順で確立すると、カメラ・センサ類2から情報の取得を始める。カメラ・センサ類2から取得する情報種別はWebカメラによる画像情報、マイクにより収集される周囲の音響情報、扉の開閉を検出するドアセンサーからのON/OFF信号、窓ガラスの開閉時に振動を検出する振動センサからのON/OFF信号などである。遠隔監視警報システムにおいては画像情報、音響情報などを連続的に多量に取得して記録しなければならないケースが発生する。そのような場合に通信制御装置1で情報記録をすると記録のための大容量記憶装置が必要となり装置コストを押し上げる要因となるので、通信制御装置1での情報記録を回避するために、カメラ・センサ類2から取得した画像情報など10bは直ちにインターネットを介してサーバ5に送信する。サーバ5は、受信した画像情報などを記録保存10dし、また必要に応じて適切な画像解析、画像処理を行うことで通信制御装置1の記憶、処理負担の大幅軽減を実現する。
【0022】
具体的には、通信制御装置1とサーバ5の間にネットワーク層の通信リンクが確立した状態においては、通信制御装置1はいつでもトランスポート層のパケットを送出することができる。トランスポート層のパケットとしてはコネクションレス型のUDPパケット、コネクション型のTCPパケットが代表的であるが、これに限られる訳ではなく、類似のパケット形式であっても良い。
【0023】
したがって、通信制御装置1はカメラ・センサ類2等から送られてくる画像情報等を図示されていない受信バッファに格納し、予め設定した1パケット分の画像情報等を格納すると直ちに受信バッファを送信バッファに切り替えて、送信バッファ内の画像情報等をUDPパケットまたはTCPパケットとしてサーバ5に送信開始する。
【0024】
該パケットの送信を完了すると送信バッファは受信バッファに切り替えられ次の画像情報等の格納に備える。送信完了の判断は、UDPパケットの場合は、送信バッファ内のパケット送信動作終了が送信完了となるが、TCPパケットの場合には、パケット送信動作終了では完了とはならず、サーバ5より誤りなく当該TCPパケットを受信した旨の確認応答パケットを受信したときに送信完了となる。このように本発明の通信制御装置では、画像情報等を受信バッファに格納して、受信バッファが送信バッファに切りかえられ、送信バッファの内容の送信が完了するまでの時間だけ、一時的に該画像情報等を装置内に記憶する以外、該画像情報等が通信制御装置内に記憶されることがないのが特徴である。
【0025】
さて、このように本発明の遠隔監視警報システムにおいては、画像情報等は通信制御装置1には一時的にしか記憶されないが、サーバ5には長期間保存記憶されます。したがって、記憶装置の必要容量は通信制御装置1だけでなくサーバ5の分を含めてシステム全体で考える必要があります。
【0026】
そこで具体的に検討するために、利用者を1万人と想定した大規模な遠隔監視警報システムでの設備数を計算すると、通信制御装置1は1万台必要であるのに対して、サーバ5は数台程度で十分である。通信制御装置1にカメラ画像などの情報を記録する機能を持たせる場合にはシステム全体のコストが通信制御装置1の台数に比例して増加するコスト項目が発生するのに対して、ネットワークを介してサーバ5に記録する場合には、サーバ5に大規模記憶装置を用いることになるが、記憶装置は規模が大きくなるほどビット単価が低下することと多数の利用者で記憶領域を共用する仕組みを適用できるので、情報記憶のための設備を減少させることが可能となることより遠隔監視警報システム全体として、記憶装置の設備投資額を大幅に低減できることとなります。
【0027】
ここで加入者数1万規模の大規模遠隔監視警報システムについて効果を評価したが、下は数十加入から効果は期待できるし、上は1万を超えて数万、数十万となればさらに効果は大きくなることは言うまでもない。
【0028】
次に、サーバ5は通信制御装置1から受信した画像情報等の内容を分析して、必要に応じて携帯電話6に電子メールを利用してアラーム情報11aを提供する。例えばドアセンサが検出したドア開閉アラームを利用者が携帯電話で受信することを希望している場合には携帯電話6にその旨通知11bする。あるいはWebカメラの連続画像情報をサーバ5でモーション検知のソフトウエア処理を実施して、画像の中に動きを検出した場合には携帯電話6に電子メールを送信11aして利用者にアラーム通知11bする。
【0029】
メールを受信したときに利用者が携帯電話6を利用して、自宅あるいは事務所の様子を見たいと希望するときは、Webカメラ画像などを調べる目的で、携帯電話6からサーバ5にアクセスする。携帯電話6での操作は、受信したメール中に記載されているURLをクリック12aすることで簡便にアクセスができる。通信制御装置1が連続してカメラ・センサ類2の情報をサーバ5に転送する連続転送動作モード12bあるときは、携帯電話6からアクセスがあるとサーバ5は受信中のWebカメラの画像情報などを直ちに携帯電話6に送信12cする。携帯電話6で画像情報などを確認した後、利用者は警報指令などの操作を行うことが出来る。
【0030】
また、通信制御装置1がサーバ5との通信リンクを維持しながらもWebカメラ情報を連続してサーバ5に送る動作モードにないときは、携帯電話6からの要求に応じてサーバ5は通信制御装置1に指示を出して、カメラ・センサ類から画像情報などをインターネット4を介して取得し携帯電話6に送信する。
【0031】
利用者が携帯電話6からサーバ5に対してする指示、指令がどのようにして中継され正しく利用者の通信制御装置1に送付されるかを詳しく述べる。
まず、サーバ5は表1に示すテーブル情報を記憶装置に記憶している。表1の通信制御装置のデバイス番号とは、利用者の自宅または事務所に設置された通信制御装置に付与されたMACアドレスと呼ばれる装置毎に固有のデバイス番号であり、加入者名とは契約している利用者の名前であり、携帯電話のデバイス番号とは携帯番号に付与されたMACアドレスであって、契約加入者は複数個の携帯電話についてそのデバイス番号を届け出ることができ、通信中IPアドレスとは通信制御装置1とサーバ5が現に確立したリンクで使用しているIPアドレスのうち通信制御装置1を示すIPアドレスである。
【0032】
携帯電話6で電子メールを受信し、受信メール内に記載されたURLをクリック12aすると携帯電話6から無線IPパケットが送信され、図示されていない携帯電話無線基地局で受信され、携帯電話事業者の設備するモバイルIPネット7に送り込まれ、該モバイルIPネット内の図示されていないサーバによってURLが解析され、インターネット4へ該無線IPパケットは転送され、サーバ5で受信される。
【0033】
サーバ5で受信された該無線IPパケットには、モバイルIPネット7内の図示されていないサーバのIPアドレスと携帯電話の固有デバイス番号であるMACアドレスが記載されている。そこでサーバ5は表1を参照して、該携帯電話の固有デバイス番号に対応する加入者名と通信中IPアドレスを読み出す。その後、利用者が携帯電話の画面表示に従って発する指令・指示がサーバ5に送られてくると、該サーバ5は、通信制御装置1と通信中であるので通信リンクが確立されている状態にあり、通信中IPアドレスを宛先として、通信メッセージの一つとしてパケットを組み立て、その中に中継すべき該指令・指示を記載することで、該利用者の通信制御装置1に該指令・指示が正しく送付される。また、保存記録中の画像ファイルから加入者名対応の画像を読み出し、携帯電話に送付したり、通信中IPアドレスに対応する通信中の画像情報をそのまま携帯電話に送付することもできる。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
利用者は複数の携帯電話を利用することを希望することが考えられるので、表1に示すテーブルには複数の携帯電話のデバイス番号の登録ができる。その中のいずれの携帯電話から該サーバにアクセスしても該テーブルより、同一の通信中IPアドレスを読みだすことができ、利用者が登録した複数の携帯電話の内、どの携帯電話を使用しても利用者の意図する指令・指示が意図するセンサ類あるいは警報類に伝達される。
【0037】
また、電話機のMACアドレスによって、加入者名を割り出し、通信中IPアドレスを読みだす方式では、携帯電話の盗難や悪意の第三者による指令・指示を伝えることになり好ましくないと考えられる。この対策として広く行われているユーザID及びパスワードを加入者より事前に届け出てもらって、これを用いる方法もある。
【0038】
この方法では、サーバの有するテーブルは表2となる。表2において、通信制御装置のデバイス番号、加入者名及び通信中IPアドレスは表1の場合と同一である。ユーザID及びパスワードは、契約加入者が事前に届け出たものであり、携帯電話のデバイス番号に代わるものであり、この場合も複数のユーザID及びパスワードを登録することができる。
【0039】
携帯電話6で電子メールを受信し、受信メール内に記載されたURLをクリック12aすると携帯電話6から無線IPパケットが送信され、図示されていない携帯電話無線基地局で受信され、携帯電話事業者の設備するモバイルIPネット7に送り込まれ、該モバイルIPネット内の図示されていないサーバによってURLが解析され、インターネット4へ該無線IPパケットは転送され、サーバ5で受信される点は、表1の場合と同じでる。
【0040】
サーバ5で受信される該無線パケットには、モバイルIPネット内の図示されていないサーバのIPアドレス及び携帯電話のMACアドレスは記載されているが、ユーザID及びパスワードは記載されていないので、サーバ5は利用者にユーザID及びパスワードの入力を促すパケットをモバイルIP内の図示されていないサーバ宛てに送る。このとき携帯端末のMACアドレスも同時に該サーバ5より図示されないサーバに送られてくるので、該図示されないサーバはそのMACアドレスの携帯端末にユーザID及びパスワードの入力促進パケットを送る。その結果、ユーザIDとパスワードの入力を促す画面が携帯電話のディスプレイ画面6fに表示される。
【0041】
これに応じて、利用者がユーザID及びパスワードを携帯電話の操作ボタンにより入力するとその情報が無線パケット化され、サーバ5へ転送される。ユーザID及びパスワードを入手したサーバ5は、表2を参照して、ユーザIDを鍵として検索し、対応するパスワードが正しいことを確認して、対応する加入者名及び通信中IPアドレスを読みだす。その後、利用者が携帯電話の画面表示に従って発する指令・指示がサーバ5に送られてくると、通信中IPアドレスを宛先として通信中のメッセージの一つとしてパケットが組み立てられ、該指令・指示を中継することで該利用者の通信制御装置1に該指令・指示が送付される点はMACアドレスによる場合と同様である。また、保存記録中の画像ファイルから加入者名対応の画像を読み出し、携帯電話に送付したり、通信中IPアドレスに対応する通信中の画像情報をそのまま携帯電話に送付する点も同様である。
【0042】
図3は携帯電話のディスプレイ画面6fの事例である。通信制御装置1からサーバ5に送られた画像情報などは情報量が多量なため携帯電話6のディスプレイ画面6fにすべてを一度に表示することが困難である。図3では通信制御装置1が3台のWebカメラからの情報をサーバに送信し、サーバから3台のWebカメラ情報6a、6b、6cを携帯電話6に送信し、それを携帯電話6のディスプレイ上に表示する例である。携帯電話6のディスプレイ画面にはWebカメラの撮像画像以外に、カメラ・センサ類2、警報ランプ・警報音装置類3の動作状態を表示し6d、また警報ランプ・警報音装置類にON/OFF指令を出すためのボタン類6eも表示する。
【0043】
このように情報量が多くて一度にすべての情報を表示することが困難な場合には、表示ページを切り替える方式などがあるが、図3では縦方向に長い画面で構成し6h、ディスプレイ画面にはその一部6gを表示し、画面スクロール操作で必要個所を閲覧する例を示している。
【0044】
携帯電話に表示されるWebカメラ画像などを見て、自宅または事務所の侵入者に対して警報を発したいと考える利用者は、サーバ5が携帯電話6に送信する画面を利用して警報を送信することが出来る。図2下段に示すように、携帯電話6で警報ランプON13aを指示するとその情報はサーバに伝えられ、サーバ5は通信制御装置1に警報ランプON指示13bを送信し、通信制御装置1は警報ランプ・警報音装置類3に実装されている警報ランプを点灯13dする。
【0045】
通信制御装置1に収容されるWebカメラの台数が複数台になると多量の画像情報を収集することになり、同時にその情報を記録する方法に工夫が必要となる。前述の本発明の通信制御装置1における画像情報等の格納、送信方式を採用することで、通信制御装置1にこのような多量の情報を記録保存する機能を持たずにサーバ5に転送することが可能になる。
【0046】
図4は1台の通信制御装置1のカメラ・センサ類2として3台のWebカメラを接続したときの通信シーケンスの例である。Webカメラ1、Webカメラ2、Webカメラ3が同時に画像を撮像し通信制御装置1に送る14a、14b、14c。
【0047】
通信制御装置1は、まずWebカメラ1,2,3からの画像情報をそれぞれ対応する図示されていない受信バッファ1,2,3に格納開始し、満杯になった受信バッファは直ちに送信バッファ1,2,3に切り替え、サーバ5に対しての図示されていない送信キュウにつなぎ込むと同時に確保済みの新たな受信バッファ4,5,6を用いて後続の画像情報を漏れなく格納して行く。次に通信制御装置1は、送信バッファ1の内容をサーバ5に送信開始し、送信動作終了すると送信完了を待たずに直ちに送信バッファ2の内容をサーバ5に送信開始し、送信動作終了すると送信完了を待たずに直ちに送信バッファ3の内容をサーバ5に送信開始することにより、いずれのWebカメラの画像情報が長期間にわたり通信制御装置1に記憶されることがなく、大容量の記憶装置を持たずに複数台のWebカメラを収容する通信制御装置を実現できる。
【0048】
社会生活の中で安全の確保の重要性が高まるにつれて、各種の警報装置が安価に市販されるようになっている。しかしながらこのように安価な警報装置を遠隔監視警報システムに組み込むとすると安価な警報装置からの情報収集手段として有線または無線回線の回路を通信制御装置1との間に付加しなければならない。警報装置自体が安価であるだけに付加回路のコストが相対的に占める割合が大きく、遠隔監視警報システムの全体コストを押し上げます。そこで有線または無線回線によることなく安価警報装置の発する音響情報を利用して遠隔監視警報システムを構成することで問題の解決を図ります。
【0049】
図5で市販警報装置16を遠隔監視警報システムと連携させ、市販警報装置16が発する警報音を通信制御装置1に接続されたマイク2dで収音することで、センサとして安価な市販品を利用し、センサと通信制御装置1間に通常必要となる有線・無線回線を不要とし、さらにセンサなどを設置するときに伴う工事費の節約を可能とするものである。
【0050】
図5の通信シーケンスは、市販警報装置16として、ドアセンサ、振動センサなどのが発する警報音15aを通信制御装置1がマイク2dで収音して15b、サーバ5に送信し15c、サーバ5では収集した警報音が異常事態を通知するアラームであることを判定して15e、携帯電話にアラーム通知する15f事例の通信シーケンスを示す。

【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】システム構成図
【図2】基本通信シーケンス
【図3】携帯電話画面
【図4】3台のWebカメラ収容時の通信シーケンス例
【図5】市販警報装置の警報音を利用する通信シーケンス例
【符号の説明】
【0052】
1 通信制御装置
2 カメラ・センサ類
2a Webカメラ1
2b Webカメラ2
2c Webカメラ3
3 警報ランプ・警報音装置類
4 インターネット
5 サーバ
6 携帯電話
6a Webカメラ1画像
6b Webカメラ2画像
6c Webカメラ3画像
6d センサ類、警報装置類の状態表示など
6e 警報装置類の操作ボタン表示など
6f 携帯電話のディスプレイ画面
6g 携帯電話ディスプレイに表示する範囲
6h Webから携帯電話に送信するディスプレイ表示内容
7 モバイルIPネット
8 電源ON
9a IPパケット
9b 確認応答のIPパケット
9c 確認応答IPパケットの受信
10a 画像情報などの収集と送信
10b 画像情報などの取得
10c 画像情報などをサーバに送信
10d 受信した画像情報などを記録
11a アラームをメールで送信
11b アラームメール受信
12a メールを開いてURLをクリック
12b 連続転送動作モード中
12c 画像情報などを携帯に送信
13a 警報ランプON操作
13b 警報ランプON指示
13c 警報ランプON処理
13d 警報ランプ点灯
14a Webカメラ1画像収集
14b Webカメラ2画像収集
14c Webカメラ3画像収集
14d 3台のWebカメラ画像を直ちにサーバに送信
14e 3台のWebカメラ画像を受信し記録保存
15a 警報音鳴動
15b 警報音をマイクで収集
15c 収集音をサーバに送信
15d 収集音をサーバで受信
15e サーバで受信した収集音から市販警報装置が発生したアラームであることを判定
15f 警報通知をメールで送信
15g 電子メールで警報を受信
16 市販警報装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭または事務所内にカメラ・センサ類及び通信制御装置が設置され、
サービスセンタにサーバ装置が設置され、
該カメラ・センサ類は、家庭または事務所内において、該通信制御装置に接続され、
該通信制御装置は、該カメラ・センサ類より画像情報、センシング情報を収集し、収集した該画像情報、センシング情報をOSIのトランスポート層のパケットに組み上げ、インタネット経由、該サーバ向けに送信し、該パケット送信完了まで、一時的に該画像情報、センシング情報を蓄積する以外は、該通信制御装置内に該画像情報、センシング情報を蓄積することがないことを特徴とする通信制御装置

【請求項2】
請求項1記載の通信制御装置において、
該通信制御装置は、電源投入時あるいは再起動時の初期設定処理を完了した直後に、該通信制御装置が初期設定処理を完了し通信可能状態にあることをサーバに通知するために、該サーバに向けて、ネットワーク層のパケットを送信し、
該サーバは、該通信制御装置が送信した該通知パケットを受信すると、該通信制御装置に向けて該通知パケットを受信した旨の確認通知パケットを送信し、
該通信制御装置は、該確認通知パケットが該通信制御装置に到着するまでは、一定時間間隔で該通信制御装置が通信可能状態にあることを通知するパケットの再送を該サーバに向けて繰り返すことを特徴とする通信方式。
【請求項3】
請求項1記載の通信制御装置において、
該通信制御装置が複数台のWebカメラを収容し、
該複数台のWebカメラから順次あるいは同時に画像情報を収集し、
該画像情報を該複数台のWEBカメラに対応したトランスポート層のパケットに組み立て、
該複数台のWEBカメラ対応パケットをサーバに転送するに際し、1のWEBカメラ対応パケットの送信動作終了に引き続き2のWEBカメラ対応のパケットを送信開始し、2のWEBカメラ対応のパケットの送信動作終了に引き続き3のWEBカメラ対応のパケットを送信開始し、最終的に該複数台のWEBカメラ対応パケットの送信動作を終了することを特徴とする通信方式。
【請求項4】
携帯電話による遠隔監視警報システムにおいて、
家庭または事務所内にセンサ類及び通信制御装置が設置され、
サービスセンタにはサーバ装置が設置され、
サービスを受ける顧客が携帯電話を所有し、
該通信制御装置はインタネット経由、サービスセンタに設置された該サーバと交信ができ、
顧客が所有する該携帯電話は、モバイルIPネットを経由してインタネット経由、該サーバと交信ができ、
該通信制御装置は、該センサ類が発する警報音含め家庭または事務所内で発生する音をマイクで収集し、該収集した音情報をインタネット経由、該サーバ向けに送信し、
該サーバは、送られてきた該音情報を分析して、該センサ類が発する異常事態を通知する警報音が含まれているときは、異常事態を顧客の携帯電話にインタネット経由、モバイルIPネットを通して通知することを特徴とする警報通知方式。
【請求項5】
携帯電話による遠隔監視警報システムにおいて、
家庭または事務所内にカメラ・センサ類、警報ランプ・警報装置及び通信制御装置が設置され、
サービスセンタにはサーバ装置が設置され、
サービスを受ける顧客が携帯電話を所有し、
該カメラ・センサ類、警報ランプ・警報装置は、家庭または事務所内において、該通信制御装置に接続され、
該通信制御装置はインタネット経由、サービスセンタに設置された該サーバと交信ができ、
顧客が所有する該携帯電話は、モバイルIPネットを経由してインタネット経由、該サーバと交信ができ、
該サーバは、該通信制御装置に付与された固有のデバイス番号、契約加入者名、加入者が所有する単一または複数台の携帯電話の固有のデバイス番号及び通信中IPアドレスをテーブルとして記憶する記憶手段を有し、
該サーバは、該契約加入者が届け出た契約加入者名、該加入者が所有する単一または複数台の携帯電話の固有のデバイス番号を該通信制御装置の固有デバイス番号に対応する契約加入者名、携帯電話の固有のデバイス番号として該テーブル上に記憶し、
該通信制御装置が電源投入時あるいは再起動時の初期設定完了時に該サーバへアクセスしたときに、該サーバは、その際送ってくるパケットに記載されている該通信制御装置の固有デバイス番号を用いて、該パケットのIPヘッダーに記載されている送信元IPアドレスを通信中IPアドレスとして該テーブル上に記憶し、
該携帯電話がURLにより該サーバにアクセスしたときに、該サーバは、該アクセス用パケットに記載されている該携帯電話番号の固有のデバイス番号を用いて、該記憶手段に記憶されている該テーブルを参照して、該契約加入者名及び該通信中IPアドレスを割り出し、
該携帯電話から入力される顧客の該カメラ・センサ類、警報ランプ・警報装置に対する指令・指示を該通信中IPアドレス宛てのパケットに記載して送付することを特徴とする携帯電話を用いた遠隔監視警報システム。
【請求項6】
請求項5の遠隔監視警報システムにおいて、
該サーバは、該通信制御装置に付与された固有のデバイス番号、契約加入者名、単一または複数個のユーザID及びパスワード及び通信中IPアドレスをテーブルとして記憶する記憶手段を有し、
該サーバは、該契約加入者が届け出た契約加入者名、単一または複数個のユーザID及びパスワードを該通信制御装置の固有デバイス番号に対応する契約加入者名、単一または複数個のユーザID及びパスワードとして該テーブル上に記憶し、
該通信制御装置が電源投入時あるいは再起動時の初期設定完了時に該サーバへアクセスしたときに、該サーバは、送ってくるパケットに記載されている該通信制御装置の固有デバイス番号を用いて、該パケットのIPヘッダーに記載されている送信元IPアドレスを通信中IPアドレスとして該テーブル上に記憶し、
該携帯電話が該サーバへURLによりアクセスしたときに、該サーバは、顧客より入力されるユーザID及びパスワードを用いて、該記憶手段に記憶されている該テーブルを参照して、該契約加入者名及び該通信中IPアドレスを割り出し、
携帯電話から入力される顧客の該カメラ・センサ類、警報ランプ・警報装置に対する指令・指示を該通信中IPアドレス宛てのパケットに記載して送付することを特徴とする携帯電話を用いた遠隔監視警報システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−20626(P2009−20626A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181546(P2007−181546)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(506367283)株式会社エルメック (1)
【Fターム(参考)】