説明

携帯電話機、移動通信システム及びそれらに用いる携帯電話機機能制限方法

【課題】 迷惑電話の発信や迷惑メールの送信等の迷惑行動に対する機能制限を行うことが可能な携帯電話機を提供する。
【解決手段】 行動監視・制御部14は、未監視状態時に生体認証データ入力部12から生体認証データを取得した時、監視情報確認・更新部21に対して生体認証データを送信し、監視情報の問い合わせを行う。監視情報確認・更新部21から個人監視情報を取得すると、行動監視・制御部14は監視行動パターン保存部15から監視行動パターンを参照し、監視機能定義と、監視機能で一致する機能に対しての迷惑条件定義に記述される条件と、監視状況情報の情報との照らし合わせを行う。行動監視・制御部14は迷惑条件定義に記述の条件を監視状況情報に含まれる情報が満たした時、機能制限定義に記述の機能制限を機能制限実行部13に送信し、携帯電話機機能11の制限を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機、移動通信システム及びそれらに用いる携帯電話機機能制限方法に関し、特に携帯電話機の利用者による迷惑発信や利用者以外による迷惑発信の規制に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機に対する問題としては、業者によるワン切り(携帯電話機を用いた詐欺行為)や迷惑メール(スパムメール等の無断広告メール)の大量送信、個人トラブル(ストーキング、金銭問題等)による昼夜を問わない特定個人に対しての電話の大量発呼や中傷メールの送信がある。
【0003】
これら問題に対して、現状では、携帯電話の運用会社側にてメールの発信履歴や通話の発信記録を調査して特定端末や番号に対して規制を行うことや、受信側の携帯電話機で、特定の電話番号以外の着信を拒否する設定、特定アドレスや特定機器からのメール受信(例えば、パーソナルコンピュータからインタネット経由のメールの受信)を拒否する設定等を行うことで対策を取っている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−101819号公報
【特許文献2】特開2005−086291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の迷惑電話や迷惑メール等に対する対策では、携帯電話機の運用会社側で調査・制限の限界や、受け側となる携帯電話機の設定による限界があり、根本的には業者や個人による悪意ある行動を行わせること自体を自動的に規制できる仕組みを持った携帯電話機を作成することが問題の解決に必要と考えられる。
【0006】
上記のように、携帯電話機に対する問題としては、業者や特定個人による迷惑行為(ワン切り、中傷メール大量受信、昼夜を問わない電話の発呼等)に対して、運営する携帯電話の運営会社側での特定端末に対する契約停止や受信側携帯移動機に従来搭載されるフィルタ機能によって対策を行っている。
【0007】
しかしながら、これら迷惑行為を行う業者や個人は、発信を行う端末を変えたり、設定を変えることで回避することが可能であり、本方法だけでは限界がある。根本的な面で、利用者自身に対して迷惑行為を行わせること自体を規制できるための仕組みを今後のために考える必要がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、迷惑電話の発信や迷惑メールの送信等の迷惑行動に対する機能制限を行うことができる携帯電話機、移動通信システム及びそれらに用いる携帯電話機機能制限方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による移動通信システムは、他端末との通信を行うための携帯電話機機能と、前記携帯電話機機能を用いた迷惑行動を監視する監視手段と、前記監視手段の監視結果が予め設定されている迷惑行動に対する条件を満たした時に前記携帯電話機機能を利用不可とする制限を行う機能制限実行手段とを含む携帯電話機を備えている。
【0010】
本発明による携帯電話機は、他端末との通信を行うための携帯電話機機能と、前記携帯電話機機能を用いた迷惑行動を監視する監視手段と、前記監視手段の監視結果が予め設定されている迷惑行動に対する条件を満たした時に前記携帯電話機機能を利用不可とする制限を行う機能制限実行手段とを備えている。
【0011】
本発明による携帯電話機機能制限方法は、他端末との通信を行うための携帯電話機機能を持つ携帯電話機に用いる携帯電話機機能制限方法であって、
前記携帯電話機が、前記携帯電話機機能を用いた迷惑行動を監視する監視処理と、前記監視処理の監視結果が予め設定されている迷惑行動に対する条件を満たした時に前記携帯電話機機能を利用不可とする制限を行う機能制限実行処理とを実行している。
【0012】
すなわち、本発明の移動通信システムは、携帯電話機の従来機能(メーラ、電話機能等)に対して迷惑行動を携帯電話機内で監視し、予め設定されている迷惑行動に対する条件を満たした場合に、携帯電話機の従来機能の制限を行うことを可能としている。
【0013】
また、本発明の移動通信システムでは、携帯電話機に具備した生体認証データ(指紋や虹彩等)の入力装置にて得たユーザの生体認証データとそのユーザが行った迷惑行動とをサーバ側で管理し、ユーザによって生体認証データが入力された場合にサーバ側で管理している迷惑行動によって携帯電話機機能に制限を行うことで、携帯電話機に依存しないユーザ自身への機能制限を行うことが可能となる。
【0014】
これによって、迷惑行動を行う個人や業者が、一般ユーザの携帯電話機やSIM(Subscriber Identity Module)カードを入手した場合でも、携帯電話機やSIMカードに依存することなく、携帯電話機機能を利用できなくしている。
【0015】
さらに、本発明の移動通信システムでは、携帯電話機に具備した生体認証データ(指紋や虹彩等)の入力装置にて入力を行わない場合に、携帯電話機機能のすべてに制限を行うことで、悪意あるユーザが認証登録を行わずに、携帯電話機機能を利用することを防止することを可能としている。
【0016】
より具体的に説明すると、本発明の移動通信システムでは、携帯電話機機能(電話機能やメール機能等)を有する携帯電話機に、指紋や虹彩等の生体認証データを入力可能な生体認証データ入力部と、携帯電話機機能の制限を行う機能制限実行部と、監視行動パターンにしたがって携帯電話機機能のユーザ操作を監視して機能制限の制御と行動監視サーバへの監視情報の同期とを行う行動監視・制御部と、監視行動パターンを保存する監視行動パターン保存部とを具備している。
【0017】
また、本発明の移動通信システムでは、上記の携帯電話機の他に、行動監視サーバを設け、この行動監視サーバに、携帯電話機でのユーザ行動を監視するための監視情報を管理し、SIMカードの持ち主を管理・認証する監視情報確認・更新部と、監視情報保存部とを備えている。
【0018】
本発明の移動通信システムでは、これら携帯電話機及び行動監視サーバを使用して、ユーザが携帯電話機の機能を利用する行動を監視し、携帯電話機を利用した迷惑行動(迷惑電話の発信や迷惑メールの送信等)に対して自動的に機能制限を行うことを可能としている。
【0019】
さらに、本発明の移動通信システムでは、これら機能制限を行うための監視情報を、ユーザの生体認証データとともに行動監視サーバにて管理するため、別の携帯電話機やSIMカードを利用する場合でも、上記と同様の機能制限を行うことを可能としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、迷惑電話の発信や迷惑メールの送信等の迷惑行動に対する機能制限を行うことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例による移動通信システムの構成例を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例による移動通信システムは、ユーザが使用可能な携帯電話機1と、携帯電話機1と通信が可能な行動監視サーバ2とから構成されている。尚、図1においては、本発明の一実施例による移動通信システムを構成する基地局や基地局制御装置の図示を省略しており、行動監視サーバ2はこれら基地局や基地局制御装置内に設置しても、あるいはそれらの装置外に設置してもよい。
【0022】
携帯電話機1は、携帯電話機機能11と、生体認証データ入力部12と、機能制限実行部13と、行動監視・制御部14と、監視行動パターン保存部15とを備えている。また、行動監視サーバ2は、監視情報確認・更新部21と、監視情報保存部22とを備えている。
【0023】
携帯電話機機能11は、電話機能11aやメール機能11b等の携帯電話機1に搭載されているユーザ操作によって操作・利用可能な従来機能である。これらの機能は、機能制限実行部13からの制限要求を受けた場合にその機能の制限(電話機能利用停止・メール送信の禁止等)を行う。
【0024】
生体認証データ入力部12は、携帯電話機1のユーザの生体認証データ(指紋や虹彩等)を取得するI/F(インタフェース)を持ち、ユーザから入力された生体認証データを行動監視・制御部14に引き渡す。
【0025】
機能制限実行部13は、ユーザに対しての通知手段(画面表示・音声等)を持ち、行動監視・制御部14から要求された機能制限要求、制限解除要求を受けて、携帯電話機機能11の機能制限状況を管理する。ユーザによって携帯電話機機能11において機能が利用される際に、管理する機能制限状況から制限を受けている機能が利用されることを検知した場合、携帯電話機機能11に対して該当機能の利用の制限要求を行い、ユーザに対して通知手段による通知を行う。
【0026】
行動監視・制御部14は、後述する未監視状態と監視状態とを持つ。行動監視・制御部14は、未監視状態時に生体認証データ入力部12から生体認証データを取得した時、特定ユーザが携帯電話機1を認証開始したものと判断し、監視情報確認・更新部21に対して生体認証データを送信し、監視情報の問い合わせを行う。
【0027】
問い合わせ応答として監視情報確認・更新部21から個人監視情報を取得すると、行動監視・制御部14は監視行動パターン保存部15から監視行動パターンを参照し、監視機能定義と、監視機能で一致する機能に対しての迷惑条件定義に記述される条件と、監視状況情報の情報との照らし合わせを行う。
【0028】
その結果、迷惑条件定義に記述の条件を監視状況情報に含まれる情報が満たしている場合に、行動監視・制御部14は機能制限定義に記述の機能制限を機能制限実行部13に送信し、迷惑条件定義を満たさない機能について、制限解除要求を機能制限実行部13に送信する。
【0029】
最後に、行動監視・制御部14は監視状態へと状態遷移する。監視状態において、行動監視・制御部14はユーザ操作状況を監視し、監視行動パターンに含まれる迷惑条件定義に記述の条件に関連する行動を検知した際に、監視状況情報に含まれる情報を更新し、更新した監視状況情報に含まれる情報が迷惑条件定義に定義される条件を満たした場合に、機能制限定義に記述の機能制限を機能制限実行部13に送信する。また、行動監視・制御部14は最後に更新された監視状況情報を行動監視サーバ2に送信する。
【0030】
さらに、行動監視・制御部14は監視状態にて、ユーザによる特定動作(折りたたみ形携帯電話機での携帯をたたむ動作、特定キーの長押し等)が行われた際に、ユーザが携帯電話機1の利用を完了したものと認識し、携帯電話機機能11のすべての機能に対しての機能制限要求を機能制限実行部13に送信し、行動監視・制御部14で保持していた個人監視情報を破棄する。その後に、行動監視・制御部14は未監視状態に遷移する。
【0031】
監視行動パターン保存部15は、携帯電話機機能11に含まれる各種機能(電話機能、メール機能等)に対する監視行動パターンを保持する。
【0032】
監視情報確認・更新部21は、携帯電話機1からの監視情報の問い合わせによって生体認証データを取得すると、取得した生体認証データで認証可能な生体認証データを持つ個人監視情報を監視情報保存部22から検索し、その検索結果を携帯電話機1に返却する。
【0033】
検索結果で該当のものがない場合、監視情報確認・更新部21は、新たに個人監視情報を作成し、取得した生体認証データを生体認証データに登録したものを携帯電話機1に返却する。まあ、作成したデータを監視情報保存部22に保存する。
【0034】
監視情報確認・更新部21は、携帯電話機1からの監視情報の更新問い合わせに対して、取得した個人監視情報に含まれる生体認証データで認証可能な生体認証データを持つ個人監視情報を監視情報保存部22から検索し、取得したデータで更新を行う。監視情報保存部22は、ユーザ毎の生体認証データを含んだ個人監視情報を保持している。
【0035】
図2(a)は図1に示す携帯電話機機能11に対しての迷惑行動とその行動に対する制限とを記述した監視行動パターンを示す図であり、図2(b)は個人監視情報に含まれる監視状況情報を示す図であり、図2(c)は各ユーザの迷惑行動の監視情報である個人監視情報を示す図である。
【0036】
監視行動パターンAは、監視機能定義A1と、迷惑条件定義A2と、機能制限定義A3とによって構成されている。監視機能定義A1は携帯電話機1にて監視を行う機能の機能名の定義を示す。
【0037】
迷惑条件定義A2は、監視機能定義A1の機能に対しての迷惑行動とするための判定条件を示す。例えば、監視機能的定義A1が「電話機能」の時、「1秒以内の電話発信を十回連続で行う」、「1時間毎に同一の電話番号に対しての発信を24時間以上続ける」等が本項目にあたる。
【0038】
機能制限定義A3は、迷惑条件定義A2の条件をユーザが満たした場合の制限対象及びその内容を示す。例えば、「メール機能を利用禁止にする。」、「電話の発信を禁止する」等が本項目にあたる。
【0039】
監視状況情報Bは、監視機能B1と、監視状況情報B2とによって構成されている。監視機能B1は監視を行う機能を示す。監視状況情報B2は迷惑条件定義A2にしたがって、判断するための情報を示す。例えば、監視機能定義A1が「メール機能」、迷惑条件定義A2が「1日に1000通以上のメールを送信する」となる場合、「日付、本日のメール送信件数」が監視状況情報B2となる。
【0040】
個人監視情報Cは、生体認証データC1と、監視状況情報Bとによって構成されている。生体認証データC1は生体認証入力部12によって入力された、サーバ側にてユーザの個人監視情報Cを特定するための生体認証データを示す。
【0041】
図3は図1に示す行動監視・制御部14が持つ状態遷移を示す図である。図3において、未監視状態(状態D)は携帯電話機1の各種機能が機能制限実行部13によって制限され、携帯電話機機能11が利用できない状況を示し、生体認証データ入力部12から生体認証データを入力することで監視状態(状態E)に遷移する。
【0042】
監視状態(状態E)は、入力した生体認証データのユーザが携帯電話機機能11を操作していることを監視している状況を示し、ユーザによる特定動作(折りたたみ形携帯電話機での携帯をたたむ動作、特定キーの長押し等)によって、未監視状態(状態D)に遷移する。
【0043】
図4は本発明の一実施例による携帯電話機1の各種操作を示す図である。これら図1〜図4を参照して本発明の一実施例による携帯電話機1の動作について説明する。
【0044】
図4(a)〜(c)は、本実施例の動作のトリガとなるユーザ操作を示している。図4(a)に示す操作Fは、図1における行動監視・制御部14が未監視状態(状態D)である場合に、ユーザが認証データを入力した場合を示している。図4(b)に示す操作Gは、操作Fの完了後にユーザが携帯電話機1の携帯電話機機能11を利用して操作する場合を示している。図4(c)に示す操作Hは、操作Fの完了後にユーザが特定動作(折りたたみ形携帯電話機での携帯をたたむ動作、特定キーの長押し等)を行った場合を示している。
【0045】
まず、操作Fの場合について説明する。操作Fが行われると、生体認証データ入力部12は、ユーザより入力された生体認証データを行動監視・制御部14に引き渡す。
【0046】
行動監視・制御部14は未監視状態(状態D)にて生体認証データ入力部12より生体認証データを取得すると、ユーザの認証開始であると認識し、行動監視サーバ2の監視情報確認・更新部21に対して生体認証データを送信し、監視情報の問い合わせを行う。
【0047】
監視情報確認・更新部21は、行動監視・制御部14からの監視情報の問い合わせによって生体認証データを取得すると、取得した生体認証データで認証可能な生体認証データC1を持つ個人監視情報Cを監視情報保存部22より検索し、その検索結果を行動監視・制御部14に返却する。
【0048】
検索結果で該当のものがない場合、監視情報確認・更新部21は、新たに個人監視情報Cを作成し、取得した生体認証データを生体認証データC1に登録したものを行動監視・制御部14に返却する。また、監視情報確認・更新部21は、作成したデータ(個人監視情報C)を監視情報保存部22に保存する。
【0049】
行動監視・制御部14は、個人監視情報Cを取得すると、監視行動パターン保存部15から監視行動パターンAを参照し、監視機能定義A1と、監視機能B1で一致する機能に対しての迷惑条件定義A2に記述される条件と、監視状況情報B2の情報との照らし合わせを行う。
【0050】
その結果、行動監視・制御部14は、迷惑条件定義A2に記述の条件を監視状況情報B2に含まれる情報が満たしている場合に、機能制限定義A3に記述の機能制限を機能制限実行部13に送信し、迷惑条件定義A2を満たさない機能について、制限解除要求を機能制限実行部13に送信する。最後に、行動監視・制御部14は、監視状態(状態E)へ状態遷移する。
【0051】
機能制限実行部13は、行動監視・制御部14からの機能制限要求、制限解除要求を受けて、携帯電話機機能11の機能制限状況を更新する。これによって、未監視状態(状態D)から監視状態(状態E)への遷移時には、生体認証データの入力を行ったユーザが制限を受けている機能以外は制限がなくなるため、利用可能となる。
【0052】
次に、操作Gについて説明する。ユーザによって操作Gが行われると、行動監視・制御部14は、携帯電話機機能11にて監視行動パターンAに含まれる迷惑条件定義A2に記述の条件に関連する行動が行われていないかをチェックし、条件に関連する行動を検知した時に監視状況情報B2に含まれる情報を更新する。
【0053】
行動監視・制御部14は、更新した監視状況情報B2に含まれる情報が迷惑条件定義A2に定義される条件を満たした場合に、機能制限定義A3に記述の機能制限を機能制限実行部13に送信する。
【0054】
これによって、監視行動パターンAに予め登録されている悪意行動をユーザが行い続けた時に、機能制限定義A3に記述の機能制限が実施され、以降、ユーザが携帯電話機機能11を利用する場合、制限対象の機能をユーザが利用しようとした際に、機能制限実行部13から携帯電話機機能11に該当機能の制限要求が行われ、ユーザに対して、通知手段(画面表示・音声等)によって制限されていることの通知が行われる。
【0055】
最後に、操作Hについて説明する。ユーザによって操作Hが行われると、行動監視・制御部14は、この特定動作を受けてユーザによる利用を完了と認識し、携帯電話機機能11のすべての機能に対しての機能制限要求を機能制限実行部13に送信し、行動監視・制御部14で保持していた個人監視情報を破棄する。その後に、行動監視・制御部14は、未監視状態(状態B)に遷移する。
【0056】
機能制限実行部13は、行動監視・制御部14からの機能制限要求、制限解除要求を受けて、携帯電話機機能11の機能制限状況をすべての機能を利用不可にする。これによって、未監視状態(状態E)から監視状態(状態D)への遷移時には、ユーザによって生体認証データの入力がされていない状況となるため、すべての機能に対して利用不可能となる。
【0057】
図5は本発明の一実施例による携帯電話機1における発信規制を説明するための図である。これら図1〜図5を参照して、本発明の一実施例による携帯電話機1の具体的な動作について説明する。
【0058】
図5において、ユーザIは通常の利用者、ユーザJは特定の人物(Xさん)に対して悪意のある迷惑行動を行う人物と想定し、それぞれが携帯電話機を所持していることとする。また、Jさんの所有する携帯電話機以外の別の電話機としてKさんの携帯電話機があるものとする。さらに、各携帯電話機に対する迷惑行動の定義として、I〜Kさんの携帯電話機の条件を適用することとする。
【0059】
尚、Iさん及びJさんはともに自分の所持する携帯電話機の機能を始めて利用するものとする。この時のIさんがIさんの携帯電話機に指紋認証データを入力場合を例1、IさんがIさんの携帯電話機に#キー長押しを入力する場合を例2、IさんがKさんの携帯電話機に指紋認証データを入力場合を例3、JさんがJさんの携帯電話機に指紋認証データを入力後、メール機能を利用してXさんに中傷メールを100件送信送信した場合を例4、JさんがKさんの携帯電話機の指紋認証データを入力する場合を例5とする。これら例1〜3,例4,5はそれぞれIさん、Jさんが順番に行うものとする。
【0060】
例1の場合、Iさんの携帯電話機に対してIさんの指紋認証データ入力が行われると、Iさんの携帯電話機から行動監視サーバ2に対して監視情報確認が行われるが、行動監視サーバ2側にAさんの指紋認証データを持った個人監視情報がないため、個人監視情報が新規に作成され、これがIさんの携帯電話機に渡される。
【0061】
Iさんの携帯電話機ではこのデータを行動監視・制御部14にて受けて監視行動パターン(図5のパターン#1,#2)と比較を行うが、特に条件を満たさないため、機能制限実行部13に対して電話機能11a、メール機能11bの制限解除要求を行い、監視状態に移る。これによって、Iさんの携帯電話機では電話機能11a及びメール機能11bが利用可能となる。
【0062】
例2の場合、Iさんの携帯電話機に対して#キー長押しを検知することによって、行動監視・制御部14から機能制限実行部13に対して電話機能11a、メール機能11bの制限要求を行い、未監視状態に移る。これによって、Iさんの携帯電話機では電話機能11a及びメール機能11bの利用が不可能な状態に戻る。
【0063】
例3の場合、Kさんの携帯電話機に対してIさんの指紋認証データ入力が行われると、Kさんの携帯電話機から行動監視サーバ2に対して監視情報確認が行われる。この時、行動監視サーバ2側にはすでにIさんの指紋認証データを持った個人監視情報が存在するため、このデータがKさんの携帯電話機に渡される。Kさんの携帯電話機ではこのIさんの個人監視情報を行動監視・制御部14にて受けて監視行動パターン(図5:パターン#1,#2)と比較を行うが、特に条件を満たさないため、機能制限実行部13に対して電話機能11a、メール機能11bの制限解除要求を行い、監視状態に移る。これによって、Kさんの携帯電話機で電話機能11a及びメール機能11bが利用可能となる。
【0064】
例4の場合、Jさんの携帯電話機に対してJさんの指紋認証データ入力が行われると、例1と同様の動作にて、行動監視サーバ2側にJさんの指紋認証データを持った個人監視情報が新規作成され、このデータに対して監視行動パターンでの条件を満たさないため、機能制限実行部13に対して電話機能11a、メール機能11bの制限解除要求を行い、監視状態に移ることで、Jさんの携帯電話機で電話機能11a及びメール機能11bが利用可能となる。
【0065】
次に、この状態でXさんに対して、Jさんの携帯電話機上より100件の中傷内容を含んだメールが送信されると、1回送信毎に、行動監視サーバ2側のJさんの個人監視情報に含まれるメール機能に対する監視状況情報が更新される。100件目のメール送信時に、行動監視・制御部14にて監視行動パターンとの比較が行われ、パターン#2の条件を満たすため、機能制限実行部13に対してメール機能11bの利用不可要求が行われ、メール機能11bに対して利用制限が行われる。これによって、JさんはXさんに対する中傷メールを送信ために、これ以上、メール機能11bを利用することができなくなる。
【0066】
例5の場合、Kさんの携帯電話機に対してJさんの指紋認証データ入力が行われると、Kさんの携帯電話機から行動監視サーバ2に対して監視情報確認が行われる。この時、行動監視サーバ2側にはすでにJさんの指紋認証データを持った個人監視情報が存在するため、このデータがKさんの携帯電話機に渡される。Kさんの携帯電話機ではこのJさんの個人監視情報を行動監視・制御部14にて受けて監視行動パターン(図5:パターン#1,#2)との比較を行うが、例4にて、Jさんが実施した迷惑行動によって、パターン#2の条件を満たしているため、機能制限実行部13に対してメール機能11bの利用不可要求が行われ、電話機能11aは利用可能要求が行われ、Kさんの携帯電話機でもJさんはメール機能11bを利用することができなくなる。
【0067】
このように、本実施例では、ユーザの生体認証データとそのユーザの迷惑行動に対する監視情報とを行動監視サーバ2側で管理しており、どの携帯電話機を利用する際にも必ず行動監視サーバ2側への生体認証を行わなくてはならないため、迷惑行動を行うユーザによる移動機機能に対する機能制限を、所有する携帯電話機に依存せずに、ユーザ毎に行うことができる。
【0068】
また、本実施例では、携帯電話機側にて予め迷惑行動とみなす監視行動パターンを登録し、条件にしたがって携帯電話機側にて機能制限を行うことが可能であるため、ユーザによる迷惑行動に対して各ユーザに対して自動的に機能制限をかけることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、携帯電話を利用した迷惑行動(ストーカーによる無言電話や大量メール送信)、携帯電話を利用した迷惑メールの大量発信の抑制といった用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施例による移動通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】(a)は図1に示す携帯電話機機能11に対しての迷惑行動とその行動に対する制限とを記述した監視行動パターンを示す図、(b)は個人監視情報に含まれる監視状況情報を示す図、(c)は各ユーザの迷惑行動の監視情報である個人監視情報を示す図である。
【図3】図1に示す行動監視・制御部14が持つ状態遷移を示す図である。
【図4】本発明の一実施例による携帯電話機1の各種操作を示す図である。
【図5】本発明の一実施例による携帯電話機1における発信規制を説明するための図である。
【符号の説明】
【0071】
1 携帯電話機
2 行動監視サーバ
11 携帯電話機機能
11a 電話機能
11b メール機能
12 生体認証データ入力部
13 機能制限実行部
14 行動監視・制御部
15 監視行動パターン保存部
21 監視情報確認・更新部
22 監視情報保存部
A 監視行動パターン
A1 監視機能定義
A2 迷惑条件定義
A3 機能制限定義
B 監視状況情報
B1 監視機能
B2 監視状況情報
C 個人監視情報
C1 生体認証データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他端末との通信を行うための携帯電話機機能と、前記携帯電話機機能を用いた迷惑行動を監視する監視手段と、前記監視手段の監視結果が予め設定されている迷惑行動に対する条件を満たした時に前記携帯電話機機能を利用不可とする制限を行う機能制限実行手段とを含む携帯電話機を有することを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
前記携帯電話機機能を用いた迷惑行動を判定するための個人監視情報を当該携帯電話機機能を使用する利用者毎に管理するサーバを含み、
前記携帯電話機は、前記利用者を特定する認証情報の入力時に前記サーバから前記個人監視情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記個人監視情報に基づいて前記機能制限実行手段に前記携帯電話機機能を利用不可とする制限を実行させる手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の移動通信システム。
【請求項3】
前記認証情報が、少なくとも指紋データ及び虹彩データを含む生体認証データであることを特徴とする請求項2記載の移動通信システム。
【請求項4】
前記個人監視情報は、少なくとも前記生体認証データと当該生体認証データで特定される利用者が行った迷惑行動の情報とを含むことを特徴とする請求項3記載の移動通信システム。
【請求項5】
前記携帯電話機は、前記生体認証データの入力を行わない場合に前記携帯電話機機能のすべてに利用不可の制限を行うことを特徴とする請求項3または請求項4記載の移動通信システム。
【請求項6】
他端末との通信を行うための携帯電話機機能と、前記携帯電話機機能を用いた迷惑行動を監視する監視手段と、前記監視手段の監視結果が予め設定されている迷惑行動に対する条件を満たした時に前記携帯電話機機能を利用不可とする制限を行う機能制限実行手段とを有することを特徴とする携帯電話機。
【請求項7】
前記携帯電話機機能を使用する利用者を特定する認証情報の入力時に、前記携帯電話機機能を用いた迷惑行動を判定するための個人監視情報を前記利用者毎に管理するサーバから前記個人監視情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記個人監視情報に基づいて前記機能制限実行手段に前記携帯電話機機能を利用不可とする制限を実行させる手段とを含むことを特徴とする請求項6記載の携帯電話機。
【請求項8】
前記認証情報が、少なくとも指紋データ及び虹彩データを含む生体認証データであることを特徴とする請求項7記載の携帯電話機。
【請求項9】
前記個人監視情報は、少なくとも前記生体認証データと当該生体認証データで特定される利用者が行った迷惑行動の情報とを含むことを特徴とする請求項8記載の携帯電話機。
【請求項10】
前記生体認証データの入力を行わない場合に前記携帯電話機機能のすべてに利用不可の制限を行うことを特徴とする請求項8または請求項9記載の携帯電話機。
【請求項11】
他端末との通信を行うための携帯電話機機能を持つ携帯電話機に用いる携帯電話機機能制限方法であって、
前記携帯電話機が、前記携帯電話機機能を用いた迷惑行動を監視する監視処理と、前記監視処理の監視結果が予め設定されている迷惑行動に対する条件を満たした時に前記携帯電話機機能を利用不可とする制限を行う機能制限実行処理とを実行することを特徴とする携帯電話機機能制限方法。
【請求項12】
前記携帯電話機を含む移動通信システムに、前記携帯電話機機能を用いた迷惑行動を判定するための個人監視情報を当該携帯電話機機能を使用する利用者毎に管理するサーバを設け、
前記携帯電話機が、前記利用者を特定する認証情報の入力時に前記サーバから前記個人監視情報を取得する取得処理と、前記取得処理で取得した前記個人監視情報に基づいて前記機能制限実行処理において前記携帯電話機機能を利用不可とする制限を実行させる処理とを実行することを特徴とする請求項11記載の携帯電話機機能制限方法。
【請求項13】
前記認証情報が、少なくとも指紋データ及び虹彩データを含む生体認証データであることを特徴とする請求項12記載の携帯電話機機能制限方法。
【請求項14】
前記個人監視情報は、少なくとも前記生体認証データと当該生体認証データで特定される利用者が行った迷惑行動の情報とを含むことを特徴とする請求項13記載の携帯電話機機能制限方法。
【請求項15】
前記携帯電話機が、前記生体認証データの入力を行わない場合に前記携帯電話機機能のすべてに利用不可の制限を行うことを特徴とする請求項13または請求項14記載の携帯電話機機能制限方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−193534(P2008−193534A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27439(P2007−27439)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】