説明

携帯電話端末装置、及び携帯電話端末装置における動作設定方法

【課題】音声通信機能を有する携帯電話端末装置における音声通信機能を有効にするか無効にするかの設定を通信事業者のサービス窓口に持ち込むことなく行うことができる携帯電話端末装置、及び携帯電話端末装置における動作設定方法を提供する。
【解決手段】送信元を示す送信元情報と送信先を示す送信先情報とを含む無線信号を用いて音声を表す音声信号を送受信する音声通信部224と、アンテナ3で受信された無線信号の送信先情報が自機を示す情報であった場合に当該無線信号を取得する着信信号取得部221と、着信信号取得部221により取得された無線信号から送信元情報を取得する送信元情報取得部222と、所定の送信元を示す送信元情報を記憶する記憶部23と、送信元情報取得部222により取得された送信元情報と記憶部23に記憶されている送信元情報とが一致した場合に、音声通信機能を無効に設定する音声通信制御部223とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号を用いて、音声を表す音声信号を送受信する音声通信機能を有する携帯電話端末装置、及びこのような携帯電話端末装置における動作設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声通信機能とパケット通信機能とを有する携帯電話端末装置において、音声通信機能を有効にしたり、無効にしたりする設定の変更は、ユーザが勝手に設定を変更してしまうことを防止するために、携帯電話端末装置を通信事業者のサービス窓口に持ち込んで、通信事業者の通信サーバ側での設定を変更すると共に、通信事業者が所有している専用の設定装置を用いて携帯電話端末装置の設定を変更しなければならないようにしていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−32749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、音声通信機能とパケット通信機能とを有する携帯電話端末装置の所有者が、例えば通信料金を安くしたい等の理由により音声通信機能を無効にしたいと考えた場合や、一旦無効にした音声通信機能を再び使用したいと考えた場合、携帯電話端末装置を通信事業者のサービス窓口に持ち込んで設定を変更する必要があるため、不便であった。特に、携帯電話端末装置が1台ではなく、多数の場合には著しく不便である。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みて為された発明であり、音声通信機能を有する携帯電話端末装置における音声通信機能を有効にするか無効にするかの設定を通信事業者のサービス窓口に持ち込むことなく行うことができる携帯電話端末装置、及び携帯電話端末装置における動作設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明の第1の手段に係る携帯電話端末装置は、送信元を示す送信元情報と送信先を示す送信先情報とを含む無線信号を用いて音声を表す音声信号を送受信する音声通信部を備える携帯電話端末装置であって、予め設定された所定の送信元を示す送信元情報を記憶する記憶部と、前記無線信号を受信する受信部と、前記受信部により受信された無線信号の送信先情報が、自機を示す情報であった場合に当該無線信号を取得する着信信号取得部と、前記着信信号取得部により取得された無線信号から前記送信元情報を取得する送信元情報取得部と、前記送信元情報取得部により取得された送信元情報と前記記憶部に記憶されている送信元情報とが一致した場合に、前記音声通信部における音声信号の送受信動作を停止状態に設定する音声通信制御部とを備えることを特徴としている。
【0006】
また、上述の携帯電話端末装置において、前記音声通信部における音声信号の送受信動作を停止状態に設定する旨の停止指示を受け付ける停止指示受付部をさらに備え、前記音声通信制御部は、前記停止指示受付部により前記停止指示が受け付けられた後に前記送信元情報取得部により取得された送信元情報と前記記憶部に記憶されている送信元情報とが一致した場合に、前記音声通信部における音声信号の送受信動作を停止状態に設定することを特徴としている。
【0007】
また、上述の携帯電話端末装置において、送信元を示す送信元情報と送信先を示す送信先情報とを含む無線信号を用いて音声を表す音声信号を送受信する音声通信部を備える携帯電話端末装置であって、前記無線信号を受信する受信部と、前記受信部により受信された無線信号の送信先情報が、自機を示す情報であった場合に当該無線信号を取得する着信信号取得部と、前記音声通信部における音声信号の送受信動作を実行可能な状態に設定する旨の実行指示を受け付ける実行指示受付部と、前記実行指示受付部により前記実行指示が受け付けられた場合、前記音声通信部における音声信号の受信動作を開始させ、その後前記着信信号取得部により前記無線信号が取得された場合、前記音声通信部における音声信号の送信動作をさらに実行可能な状態に設定する音声通信制御部とを備えることを特徴としている。
【0008】
また、上述の携帯電話端末装置において、予め設定された所定の送信元を示す送信元情報を記憶する記憶部と、前記着信信号取得部により取得された無線信号から前記送信元情報を取得する送信元情報取得部とをさらに備え、前記音声通信制御部は、前記音声通信部における音声信号の受信動作を開始させた後前記着信信号取得部によって取得された無線信号から前記送信元情報取得部により取得された送信元情報と、前記記憶部に記憶されている送信元情報とが一致した場合に、前記音声通信部における音声信号の送信動作を実行可能な状態に設定することを特徴としている。
【0009】
そして、本発明の第2の手段に係る携帯電話端末装置における動作設定方法は、送信元を示す送信元情報と送信先を示す送信先情報とを含む無線信号を用いて音声を表す音声信号を送受信する音声通信部を備える携帯電話端末装置における動作設定方法であって、所定の送信元を示す送信元情報を予め記憶する工程と、無線信号を受信する工程と、前記受信した無線信号の送信先情報が、自機を示す情報であった場合に当該無線信号を取得する工程と、前記取得された無線信号から前記送信元情報を取得する工程と、前記取得した送信元情報と前記予め記憶されている送信元情報とが一致した場合に、前記音声通信部における音声信号の送受信動作を停止状態に設定する工程とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、上述の携帯電話端末装置における動作設定方法において、送信元を示す送信元情報と送信先を示す送信先情報とを含む無線信号を用いて音声を表す音声信号を送受信する音声通信部を備える携帯電話端末装置における動作設定方法であって、無線信号を受信する工程と、前記受信した無線信号の送信先情報が、自機を示す情報であった場合に当該無線信号を取得する工程と、前記音声通信部における音声信号の送受信動作を実行可能な状態に設定する旨の実行指示を受け付ける工程と、前記実行指示が受け付けられた場合、前記音声通信部における音声信号の受信動作を開始させ、その後前記無線信号が取得された場合、前記音声通信部における音声信号の送信動作をさらに実行可能な状態に設定する工程とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
このような構成の携帯電話端末装置及び携帯電話端末装置における動作設定方法によれば、所定の送信元を示す送信元情報が予め記憶され、送信元を示す送信元情報と送信先を示す送信先情報とを含む無線信号が受信され、受信された無線信号の送信先情報が自機を示す情報であった場合に当該無線信号が取得され、取得された無線信号から送信元情報が取得され、取得された送信元情報と予め記憶されている送信元情報とが一致した場合に、音声通信部における音声信号の送受信動作が停止状態に設定され、すなわち音声通信機能が無効に設定されるので、音声通信機能を有する携帯電話端末装置における音声通信機能を有効にするか無効にするかの設定を通信事業者のサービス窓口に持ち込むことなく行うことができる。
【0012】
そして、このような構成の携帯電話端末装置及び携帯電話端末装置における動作設定方法によれば、無線信号が受信され、受信された無線信号の送信先情報が自機を示す情報であった場合に当該無線信号が取得され、音声信号の送受信動作を実行可能な状態に設定する旨の実行指示が受け付けられた場合、音声信号の受信動作が開始され、その後無線信号が取得された場合、音声信号の送信動作がさらに実行可能な状態に設定され、すなわち音声通信機能が有効に設定されるので、音声通信機能を有する携帯電話端末装置における音声通信機能を有効にするか無効にするかの設定を通信事業者のサービス窓口に持ち込むことなく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る携帯電話端末装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す携帯電話端末装置1は、本体部2と、アンテナ3(受信部)とを備えている。また、本体部2は、無線部21と、制御部22と、記憶部23と、スピーカ24と、マイク25と、液晶表示器26と、キーボード27(停止指示受付部、実行指示受付部)と、外部インターフェース部28とを備えている。
【0015】
無線部21は、アンテナ3により受信された音声を表す音声信号や音声以外の例えば電子メールのデータを表すパケット等を復調して制御部22へ出力したり、制御部22から出力された音声信号やパケット等を示す信号を変調してアンテナ3により無線信号として送信させたりする無線通信回路である。
【0016】
記憶部23は、例えば書換可能な不揮発性のメモリの一例であるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)を用いて構成されており、予め設定された所定の送信元を示す送信元情報である例えば通信事業者の電話番号や、自機を示す識別情報等を記憶している。
【0017】
スピーカ24は、制御部22から出力された音声信号を音声に変換して出力する。マイク25は、ユーザの音声を音声信号に変換して制御部22へ出力する。液晶表示器26は、制御部22から出力された制御信号に応じて文字や画像の表示を行う。キーボード27は、ユーザが操作可能な複数のキースイッチが配列されて構成されており、ユーザがキースイッチを押下することにより入力した情報や指示命令を制御部22へ出力する。外部インターフェース部28は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置をデータ入出力可能に接続するインターフェース回路である。
【0018】
制御部22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶素子、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の記憶素子、及びその周辺回路等を備えて構成され、所定の制御プログラムを実行することにより、着信信号取得部221、送信元情報取得部222、音声通信制御部223、音声通信部224、及びパケット通信部225として機能する。
【0019】
着信信号取得部221は、アンテナ3により受信され、無線部21によって復調された無線信号の送信先情報が、例えば記憶部23に記憶されている識別情報と一致し、すなわち自機を示す情報であった場合に当該無線信号を取得する。送信元情報取得部222は、着信信号取得部221により取得された無線信号から送信元の電話番号を取得する。
【0020】
音声通信制御部223は、キーボード27によってユーザからの音声通信部224における音声信号の送受信動作を停止状態に設定する旨の停止指示が受け付けられた後に送信元情報取得部222により取得された送信元の電話番号と、記憶部23に記憶されている通信事業者の電話番号とが一致した場合に、音声通信部224における音声信号の送受信動作を停止状態に設定、すなわち音声通信機能を無効に設定する。
【0021】
また、音声通信制御部223は、キーボード27によってユーザからの音声通信部224における音声信号の送受信動作を実行可能な状態に設定する旨の実行指示が受け付けられた場合、音声通信部224における音声信号の受信動作を開始させた後着信信号取得部221によって取得された自機宛の無線信号から送信元情報取得部222により取得された送信元の電話番号と、記憶部23に記憶されている通信事業者の電話番号とが一致した場合に、音声通信部224における音声信号の送信動作を実行可能な状態に設定、すなわち音声通信機能を有効に設定する。
【0022】
音声通信部224は、音声通信制御部223によって音声信号の送信動作を実行可能な状態に設定された状態で、ユーザがキーボード27を用いて音声通信の指示、すなわち電話をかける操作を行うと、マイク25から出力された音声信号を無線部21へ出力してアンテナ3から無線信号として送信させると共に、アンテナ3により受信され、無線部21によって復調された音声信号をスピーカ24へ出力して音声出力を行わせる。
【0023】
パケット通信部225は、例えばユーザがキーボード27を用いて文章等の情報を入力すると、その情報を例えば電子メールとして無線部21へ出力してパケット通信を実行させると共に、アンテナ3により受信され、無線部21によって復調されたパケット通信のデータを液晶表示器26へ出力して文字や画像として表示させる。
【0024】
次に、上述のように構成された携帯電話端末装置1の動作について説明する。図2は、音声通信機能を有効な状態から無効状態に変更する際の携帯電話端末装置1の動作の一例を説明するための説明図である。携帯電話端末装置1は、音声通信部224による音声通信機能が有効な状態に設定されている。
【0025】
まず、ユーザによって、音声通信機能を無効状態に変更するための前処理として、キーボード27を用いて音声通信機能を無効状態に変更、すなわち音声通信部224における音声信号の送受信動作を停止状態に設定する旨の停止指示が入力され、音声通信制御部223によって、当該停止指示がキーボード27によって受け付けられたことが例えば記憶部23に記憶される(ステップS1)。
【0026】
次に、ユーザによって、通信事業者に対して携帯電話端末装置1における音声通信サービスの解約手続きが行われる(ステップS2)。この場合、音声通信サービスの解約手続きは、例えばインターネット等の通信手段を用いて行われてもよく、例えば携帯電話端末装置1を用いた音声通話や電子メール等のパケット通信により行われてもよく、例えば携帯電話端末装置1以外の電話機を用いた音声通話やファクシミリ等の通信手段を用いて行われてもよい。
【0027】
次に、通信事業者は、音声通信サービスの解約手続きが行われると、解約手続きの対象となった携帯電話端末装置1に対して電話をかける。そうすると、通信事業者の基地局から、送信元情報である通信事業者の電話番号と送信先情報である携帯電話端末装置1の識別番号とを含んだ音声通信による無線信号が送信され、いわゆる音声発信が行われる(ステップS3)。
【0028】
次に、携帯電話端末装置1において、通信事業者の基地局から送信された音声通信の無線信号がアンテナ3で受信され、無線部21で復調され、さらに着信信号取得部221によって、当該復調された無線信号の送信先情報が記憶部23に記憶されている識別情報と比較され、一致した場合に当該無線信号が取得され、いわゆる音声着信が行われる(ステップS4)。そして、送信元情報取得部222によって、着信信号取得部221により取得された無線信号から送信元の電話番号が取得される(ステップS5)。
【0029】
次に、音声通信制御部223によって、音声通信部224における音声通信機能の設定変更処理が実行され、音声通信機能が無効に設定される(ステップS6)。図3は、音声通信制御部223による音声通信機能の設定変更処理の一例を詳細に示すフローチャートである。まず、音声通信制御部223によって、停止指示がキーボード27によって受け付けられたことが記憶部23に記憶されているか否かが確認され(ステップS11)、停止指示の受付が記憶部23に記憶されていなければ音声通信機能の設定を変更することなく、すなわち音声通信機能を有効にしたまま処理を終了する(ステップS11でNO)。
【0030】
一方、ステップS11において、停止指示の受付が記憶部23に記憶されていればステップS12へ移行し(ステップS11でYES)、音声通信制御部223によって、送信元情報取得部222により取得された送信元の電話番号と、記憶部23に記憶されている通信事業者の電話番号とが比較され(ステップS12)、両番号が一致しない場合には音声通信機能の設定を変更することなく、すなわち音声通信機能を有効にしたまま処理を終了する(ステップS12でNO)。
【0031】
一方、ステップS12において、送信元の電話番号と通信事業者の電話番号とが一致すればステップS13へ移行し(ステップS12でYES)、音声通信部224における音声通信機能が無効に設定され、すなわち音声通信部224における音声信号の送受信動作が停止状態にされる(ステップS13)。
【0032】
以上、ステップS1〜S6、及びステップS11〜S13の処理により、通信事業者は、音声通信サービスの解約手続きが行われた携帯電話端末装置1に対して音声発信を行うだけで音声通信機能を無効に設定することができるので、ユーザは、携帯電話端末装置1を通信事業者のサービス窓口に持ち込むことなく音声通信機能を無効に設定することができる。
【0033】
また、ステップS1及びステップS11の処理により、通信事業者が解約手続きの対象となる携帯電話端末装置1に対して音声発信を行う前に、ユーザが前処理として、キーボード27を用いて音声通信機能を無効状態に変更する旨の停止指示を入力する操作を行わなければ通信事業者からの音声着信が有っても音声通信機能が無効に設定されることがないので、間違い電話により誤って携帯電話端末装置1の音声通信機能が無効に設定されることを抑制することができる。
【0034】
また、例えば通信事業者において音声通信サービスの解約手続きが行われた場合、例えば通信事業者における基地局側のみで当該携帯電話端末装置1の音声通信サービスを停止した場合には、例えばユーザが誤って携帯電話端末装置1を用いて音声通信による発信操作を行うと、携帯電話端末装置1から基地局へ音声通信の発信が実行されて携帯電話端末装置1と基地局との間における通信トラフィックが増大するという不都合があるが、図1に示す携帯電話端末装置1によれば、通信事業者は、例えば音声通信サービスの解約手続きが行われた場合等、携帯電話端末装置1による音声通信機能を停止させたい場合に携帯電話端末装置1に対して音声通信機能を無効にする設定を行うことができるので、携帯電話端末装置1の音声通信サービスを停止させた状態でユーザが例えば誤って携帯電話端末装置1を用いて音声通信による発信操作を行った場合においても携帯電話端末装置1と基地局との間における通信トラフィックが増大することを抑制することができる。
【0035】
なお、ステップS1及びステップS11は、必ずしも必要ではなく、例えば、図4、図5に示すように、図2のステップS1における停止指示の受け付け、及び図3のステップS11における停止指示の受付の有無の確認処理を実行しない構成としてもよい。この場合であっても、通信事業者は、音声通信サービスの解約手続きが行われた携帯電話端末装置1に対して音声発信を行うだけで音声通信機能を無効に設定することができるので、ユーザは、携帯電話端末装置1を通信事業者のサービス窓口に持ち込むことなく音声通信機能を無効に設定することができる。
【0036】
次に、音声通信機能を無効状態から有効状態に変更する際の携帯電話端末装置1の動作について説明する。図6は、音声通信機能を無効状態から有効状態に変更する際の携帯電話端末装置1の動作の一例を説明するための説明図である。携帯電話端末装置1は、音声通信部224による音声通信機能が無効状態に設定されている。
【0037】
そして、まず、ユーザによって、音声通信機能を有効状態に変更するための前処理として、キーボード27を用いて音声通信機能を有効状態に変更、すなわち音声通信部224における音声信号の送受信機能を動作可能状態に設定する旨の実行指示が入力され、当該実行指示がキーボード27によって受け付けられると、音声通信制御部223によって、音声通信部224における音声信号の受信動作が開始され、すなわち音声着信のみが可能な状態に設定される(ステップS21)。
【0038】
次に、ユーザによって、通信事業者に対して例えば携帯電話端末装置1における音声通信サービスを利用可能とする契約手続きが行われる(ステップS22)。この場合、音声通信サービスの契約手続きは、例えばインターネット等の通信手段を用いて行われてもよく、例えば携帯電話端末装置1を用いた音声通話や電子メール等のパケット通信により行われてもよく、例えば携帯電話端末装置1以外の電話機を用いた音声通話やファクシミリ等の通信手段を用いて行われてもよい。
【0039】
次に、通信事業者は、音声通信サービスの契約手続きが行われると、契約手続きの対象となった携帯電話端末装置1に対して電話をかける。そうすると、通信事業者の基地局から、送信元情報である通信事業者の電話番号と送信先情報である携帯電話端末装置1の識別番号とを含んだ音声通信による無線信号が送信され、いわゆる音声発信が行われる(ステップS23)。
【0040】
次に、携帯電話端末装置1において、通信事業者の基地局から送信された音声通信の無線信号がアンテナ3で受信され、無線部21で復調され、さらに着信信号取得部221によって、当該復調された無線信号の送信先情報が記憶部23に記憶されている識別情報と比較され、一致した場合に当該無線信号が取得され、いわゆる音声着信が行われる(ステップS24)。
【0041】
この場合、ステップS21において、キーボード27によって予め実行指示が受け付けられていなければ、音声通信部224による音声信号の受信が行われないため、通信事業者の基地局から送信された音声通信が受信されることはなく、予め実行指示がキーボード27によって受け付けられた場合のみ、音声着信するようにされている。
【0042】
そして、送信元情報取得部222によって、着信信号取得部221により取得された無線信号から送信元の電話番号が取得される(ステップS25)。
【0043】
次に、音声通信制御部223によって、音声通信部224における音声通信機能の設定変更処理が実行され、音声信号の送信及び受信機能が共に有効に設定される(ステップS26)。図7は、音声通信制御部223による音声通信機能の設定変更処理の一例を詳細に示すフローチャートである。まず、音声通信制御部223によって、送信元情報取得部222により取得された送信元の電話番号と、記憶部23に記憶されている通信事業者の電話番号とが比較され(ステップS31)、両番号が一致しない場合には音声通信機能の設定を変更することなく、すなわち音声信号の送信機能を無効にしたまま処理を終了する(ステップS31でNO)。
【0044】
一方、ステップS31において、送信元の電話番号と通信事業者の電話番号とが一致すればステップS32へ移行し(ステップS31でYES)、音声通信部224における音声通信機能が送受信共に有効に設定され、すなわち音声通信部224における音声信号の送受信動作が実行可能な状態にされる(ステップS32)。
【0045】
以上、ステップS21〜S26、及びステップS31,S32の処理により、通信事業者は、音声通信サービスの契約手続きが行われた携帯電話端末装置1に対して音声発信を行うだけで音声通信機能を有効に設定することができるので、ユーザは、携帯電話端末装置1を通信事業者のサービス窓口に持ち込むことなく音声通信機能を有効に設定することができる。
【0046】
また、ステップS21の処理により、音声通信機能の契約手続きの対象となる携帯電話端末装置1に対してユーザが前処理として、キーボード27を用いて音声通信機能を有効状態に変更する旨の実行指示を入力する操作を行わなければ通信事業者からの音声着信が受信されず、従って音声通信機能が有効状態に変更されることがないので、例えば間違い電話により誤って携帯電話端末装置1の音声通信機能が無効から有効に変更されることが抑制される。
【0047】
なお、ステップS25及びステップS31は、必ずしも必要ではなく、例えば、ステップS24において携帯電話端末装置1により受信された無線信号の送信元の電話番号に関わらず、当該無線信号が当該携帯電話端末装置1宛、すなわち当該無線信号の送信先情報が記憶部23に記憶されている識別情報と一致していれば、音声通信部224における音声通信機能が送受信共に有効に設定される構成としてもよい。
【0048】
これにより、通信事業者等、携帯電話端末装置1の音声通信機能を有効に設定しようとする者は、音声通信サービスの契約手続きが行われた携帯電話端末装置1に対して音声通信機能を有効に設定するべく音声発信を行う際に、送信元の電話番号が特定の番号に限定されないので、不特定の電話機を用いて携帯電話端末装置1に電話をかけることにより、携帯電話端末装置1の音声通信機能を有効に設定することができる。
【0049】
また、図2における解約手続き(ステップS2)や図6における契約手続き(ステップS22)は、契約に係るものである必要はなく、例えば単にユーザによる前処理(ステップS1,S21)が行われたことを示す通知であってもよい。
【0050】
また、解約手続き(ステップS2)や契約手続き(ステップS22)を受け付けたり、音声発信(ステップS3,S23)を行ったりするのは、必ずしも通信事業者である必要はなく、例えば、通信事業者以外の者が、他の電話機やファクシミリ等の通信手段を用いて解約手続き(ステップS2)や契約手続き(ステップS22)を受け付けたり、電話回線を介して携帯電話端末装置1と音声通信可能な通信装置、例えば他の電話機やパーソナルコンピュータのモデム装置等を用いて音声発信(ステップS3,S23)を行うようにしてもよい。
【0051】
また、ステップS1における停止指示、及びステップS21における実行指示は、キーボード27によって受け付けられる例に限られず、例えば外部インターフェース部28によって、外部インターフェース部28の外部に接続されたパーソナルコンピュータや専用の端末装置等からの停止指示や実行指示が受け付けられるようにしてもよい。
【0052】
また、音声発信(ステップS3,S23)によって、携帯電話端末装置1の音声通信機能の設定を変更することができるので、例えば通信事業者以外の者が携帯電話端末装置1のパケット通信機能を用いたサービス、例えば防犯に用いられる監視装置の監視情報や、工場内における生産ラインの稼動状態を示す情報等を携帯電話端末装置1のパケット通信により送信、収集するサービス等を行う場合等に、必要のない音声通信機能の設定を変更するためにパケット通信による専用コマンドを用いたり、その専用コマンドを送信するサーバ装置を設けたりする必要がなく、音声通信機能を用いてすなわち音声通信機能の設定を変更しようとする対象の携帯電話端末装置1へ電話をかけることにより、設定を変更することができる。従って、通信事業者のみならず、通信事業者以外の者が携帯電話端末装置1における音声通信機能の有効、無効の設定を遠隔から変更することができるシステムを構築することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯電話端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す携帯電話端末装置において、音声通信機能を有効な状態から無効状態に変更する際の動作の一例を説明するための説明図である。
【図3】図2に示す音声通信機能の設定変更処理の一例を詳細に示すフローチャートである。
【図4】図2に示す携帯電話端末装置の動作の変形例を示す説明図である。
【図5】図3に示す携帯電話端末装置の動作の変形例を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す携帯電話端末装置において、音声通信機能を無効状態から有効状態に変更する際の動作の一例を説明するための説明図である。
【図7】図6に示す音声通信機能の設定変更処理の一例を詳細に示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 携帯電話端末装置
2 本体部
3 アンテナ
21 無線部
22 制御部
23 記憶部
24 スピーカ
25 マイク
26 液晶表示器
27 キーボード
28 外部インターフェース部
221 着信信号取得部
222 送信元情報取得部
223 音声通信制御部
224 音声通信部
225 パケット通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信元を示す送信元情報と送信先を示す送信先情報とを含む無線信号を用いて音声を表す音声信号を送受信する音声通信部を備える携帯電話端末装置であって、
予め設定された所定の送信元を示す送信元情報を記憶する記憶部と、
前記無線信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された無線信号の送信先情報が、自機を示す情報であった場合に当該無線信号を取得する着信信号取得部と、
前記着信信号取得部により取得された無線信号から前記送信元情報を取得する送信元情報取得部と、
前記送信元情報取得部により取得された送信元情報と前記記憶部に記憶されている送信元情報とが一致した場合に、前記音声通信部における音声信号の送受信動作を停止状態に設定する音声通信制御部とを備えること
を特徴とする携帯電話端末装置。
【請求項2】
前記音声通信部における音声信号の送受信動作を停止状態に設定する旨の停止指示を受け付ける停止指示受付部をさらに備え、
前記音声通信制御部は、前記停止指示受付部により前記停止指示が受け付けられた後に前記送信元情報取得部により取得された送信元情報と前記記憶部に記憶されている送信元情報とが一致した場合に、前記音声通信部における音声信号の送受信動作を停止状態に設定すること
を特徴とする請求項1記載の携帯電話端末装置。
【請求項3】
送信元を示す送信元情報と送信先を示す送信先情報とを含む無線信号を用いて音声を表す音声信号を送受信する音声通信部を備える携帯電話端末装置であって、
前記無線信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された無線信号の送信先情報が、自機を示す情報であった場合に当該無線信号を取得する着信信号取得部と、
前記音声通信部における音声信号の送受信動作を実行可能な状態に設定する旨の実行指示を受け付ける実行指示受付部と、
前記実行指示受付部により前記実行指示が受け付けられた場合、前記音声通信部における音声信号の受信動作を開始させ、その後前記着信信号取得部により前記無線信号が取得された場合、前記音声通信部における音声信号の送信動作をさらに実行可能な状態に設定する音声通信制御部とを備えること
を特徴とする携帯電話端末装置。
【請求項4】
予め設定された所定の送信元を示す送信元情報を記憶する記憶部と、
前記着信信号取得部により取得された無線信号から前記送信元情報を取得する送信元情報取得部とをさらに備え、
前記音声通信制御部は、前記音声通信部における音声信号の受信動作を開始させた後前記着信信号取得部によって取得された無線信号から前記送信元情報取得部により取得された送信元情報と、前記記憶部に記憶されている送信元情報とが一致した場合に、前記音声通信部における音声信号の送信動作を実行可能な状態に設定すること
を特徴とする請求項3記載の携帯電話端末装置。
【請求項5】
送信元を示す送信元情報と送信先を示す送信先情報とを含む無線信号を用いて音声を表す音声信号を送受信する音声通信部を備える携帯電話端末装置における動作設定方法であって、
所定の送信元を示す送信元情報を予め記憶する工程と、
無線信号を受信する工程と、
前記受信した無線信号の送信先情報が、自機を示す情報であった場合に当該無線信号を取得する工程と、
前記取得された無線信号から前記送信元情報を取得する工程と、
前記取得した送信元情報と前記予め記憶されている送信元情報とが一致した場合に、前記音声通信部における音声信号の送受信動作を停止状態に設定する工程とを備えること
を特徴とする携帯電話端末装置における動作設定方法。
【請求項6】
送信元を示す送信元情報と送信先を示す送信先情報とを含む無線信号を用いて音声を表す音声信号を送受信する音声通信部を備える携帯電話端末装置における動作設定方法であって、
無線信号を受信する工程と、
前記受信した無線信号の送信先情報が、自機を示す情報であった場合に当該無線信号を取得する工程と、
前記音声通信部における音声信号の送受信動作を実行可能な状態に設定する旨の実行指示を受け付ける工程と、
前記実行指示が受け付けられた場合、前記音声通信部における音声信号の受信動作を開始させ、その後前記無線信号が取得された場合、前記音声通信部における音声信号の送信動作をさらに実行可能な状態に設定する工程とを備えること
を特徴とする携帯電話端末装置における動作設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−143001(P2007−143001A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336743(P2005−336743)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】