説明

携帯電話部品の無静電蒸着方法

無線端末部品の無静電蒸着方法であって、無線端末部品の射出物の上に錫または錫−アルミニウム合金を蒸着するステップを含む方法を提供する。また、本発明は、無線端末部品の無静電蒸着方法であって、無線端末部品の射出物の上に錫または錫−アルミニウム合金を蒸着するステップと、蒸着された錫層または錫−アルミニウム合金層の上にSi、SiO2、Ti、TiO2、Al23及びこれらの配合物よりなる群から選ばれる1または2以上の物質を蒸着するステップを含む方法に関するものである。本発明による無線端末部品の無静電蒸着方法は、従来の技術の問題点、すなわち、鏡効果のために無線端末部品にニッケル、クロムなどの金属を蒸着する場合、静電気が発生して無線端末の内部回路性能に悪影響を及ぼす恐れがあるという問題点を克服し、鏡効果とラジオ波性能が維持可能になるだけではなく、無線端末部品の射出物の上に蒸着された錫または錫−アルミニウム合金が剥がれることを防ぎ、無線端末部品の耐傷付き性及び耐衝撃性を高めることができるというメリットがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ保護用のウィンドウ、ナビゲーションキー、サイドキー、ケースなどの無線端末部品の無静電蒸着方法に関する。具体的に、本発明は、無線端末部品の無静電蒸着方法であって、無線端末部品の射出物の上に錫(Sn)または錫−アルミニウム(Sn−Al)合金を蒸着するステップを含むことを特徴とする方法に関する。また、本発明は、無線端末部品の無静電蒸着方法であって、無線端末部品の射出物の上に錫または錫−アルミニウム合金を蒸着するステップと、蒸着された錫層または錫−アルミニウム合金層の上にSi、SiO2、Ti、TiO2、Al23及びこれらの配合物よりなる群から選ばれる1または2以上の物質を蒸着するステップと、を含む方法に関する。さらに、本発明は、錫または錫−アルミニウム合金層が蒸着されているか、あるいは、錫または錫−アルミニウム合金層と、Si、SiO2、Ti、TiO2、Al23及びこれらの配合物よりなる群から選ばれる1または2以上の物質層が順次に蒸着されている無線端末部品(特に、ディスプレイ保護用のウィンドウ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鏡効果(mirror effect)のために無線端末部品にニッケル(Ni)、クロム(Cr)などの金属を蒸着していたが、この場合、伝導性を有する金属により静電気が発生して無線端末の内部回路性能に悪影響を及ぼすという問題点があった。特に、高周波を用いる場合には、上記の問題点がさらに著しくなる。また、ニッケル、クロムなどによりめっきされた無線端末部品はラジオ波の放射性能を低減させるとういう問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は従来の技術における問題点、すなわち、鏡効果のために無線端末部品にニッケル、クロムなどの金属を蒸着する場合、静電気が発生して無線端末の内部回路性能に悪影響を及ぼす恐れがあるという問題点を克服し、鏡効果とラジオ波(RF)性能が維持可能になるだけではなく、無線端末部品の射出物の上に蒸着された錫または錫−アルミニウム合金が剥がれることを防ぎ、無線端末部品の耐傷付き性及び耐衝撃性を高めることを目的とする。
【0004】
また、本発明は、めっきされない物質または蒸着されない物質よりなる無線端末部品にも容易にパターンを形成することができ、設計自由度を高めることが可能になるだけではなく、高級化及び多様化したデザインと色合いの3次元形状に無線端末部品を製作することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ディスプレイ保護用のウィンドウ、ナビゲーションキー、サイドキー、ケースなどをはじめとする無線端末部品その他の情報通信機器部品の無静電蒸着方法を提供する。具体的に、本発明は、無線端末部品の無静電蒸着方法であって、無線端末部品の射出物の上に錫または錫−アルミニウム合金を蒸着するステップを含むことを特徴とする方法を提供する。本発明は、無線端末射出物の蒸着に当たって、伝導性が極めて低い錫または錫−アルミニウム合金を用いることにより、鏡効果を維持しながらも、静電気発生による無線端末内部回路性能の低下を防ぐことができる。錫または錫−アルミニウム合金が蒸着される無線端末部品の射出物は、めっき可能なアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)とめっき不可若しくはめっき困難なポリカーボネート樹脂(PC樹脂)を用いた二重射出により射出された無線端末部品の射出物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明による無線端末部品の無静電蒸着方法は、従来の技術における問題点を克服し、鏡効果とラジオ波性能が維持可能になるだけではなく、無線端末部品の射出物の上に蒸着された錫または錫−アルミニウム合金が剥がれることを防ぎ、無線端末部品の耐傷付き性及び耐衝撃性を高めることができるというメリットがある。
【0007】
本発明による無線端末部品の転写インモールドまたはインサートインモールド射出方法は、めっきされない物質よりなる無線端末部品にも容易にパターンを形成することができ、設計自由度を高めることが可能になるだけではなく、高級化及び多様化したデザインと色合いの3次元形状に無線端末部品を製作することができるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】無線端末部品の射出物の上に錫(Sn)層または錫−アルミニウム(Sn−Al)合金層が蒸着されていることを示す図である。
【図2】無線端末部品の射出物の上に錫(Sn)層または錫−アルミニウム(Sn−Al)合金層、及びSi、SiO2、Ti、TiO2、Al23及びこれらの配合物よりなる群から選ばれる1または2以上の物質層が順次に蒸着されていることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、ディスプレイ保護用のウィンドウ、ナビゲーションキー、サイドキー、ケースなどをはじめとする無線端末部品その他の情報通信機器部品の無静電蒸着方法が提供される。具体的に、この実施形態によれば、無線端末部品の無静電蒸着方法であって、無線端末部品の射出物の上に錫または錫−アルミニウム合金を蒸着するステップを含むことを特徴とする方法が提供される。この実施形態は、無線端末射出物の蒸着に当たって、伝導性が極めて低い錫または錫−アルミニウム合金を用いることにより、鏡効果を維持しながらも、静電気発生による無線端末の内部回路性能の低下を防ぐことができる。
【0010】
錫または錫−アルミニウム合金が蒸着される無線端末部品の射出物は、めっき可能なアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂とめっき不可若しくはめっき困難なポリカーボネート樹脂を用いた二重射出により射出された無線端末部品の射出物であることが好ましい。しかしながら、無線端末部品の射出物は、必ずしも二重射出により製造されたものである必要がなく、いかなる射出物も採用可能である。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、無線端末部品の無静電蒸着方法であって、無線端末部品の射出物の上に錫または錫−アルミニウム合金を蒸着するステップと、蒸着された錫層または錫−アルミニウム合金層の上にSi、SiO2、Ti、TiO2、Al23及びこれらの配合物よりなる群から選ばれる1または2以上の物質を蒸着するステップと、を含む方法が提供される。錫または錫−アルミニウム合金層の上にSi、SiO2、Ti、TiO2、Al23及びこれらの配合物よりなる群から選ばれる1または2以上の物質層を蒸着することにより、無線端末部品の射出物の上に蒸着された錫または錫−アルミニウム合金が剥がれることを防ぎ、蒸着された表面の硬さを高めて無線端末部品の耐傷付き性及び耐衝撃性を高めることができる。
【0012】
無線端末部品の無静電蒸着方法に用いられる錫−アルミニウム合金中の錫対アルミニウムの重量比は、85重量%:15重量%〜95重量%:5重量%、好ましくは、90重量%:10重量%である。錫−アルミニウム合金は電気めっきされることがあるが、電気めっきされた錫−アルミニウム合金は完全な固溶体をなし、比較的に低い融点、優れた電気及び熱伝導度、優れた軟性などの特性を示す。
【0013】
この実施形態による無線端末部品の無静電蒸着方法において、錫層または錫−アルミニウム合金層の上に蒸着されるSi、SiO2、Ti、TiO2、Al23及びこれらの配合物よりなる群から選ばれる1または2以上の物質層の厚さは、約0.5〜20μmであることが好ましい。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態によれば、錫または錫−アルミニウム合金層が蒸着されているか、あるいは、錫または錫−アルミニウム合金層と、Si、SiO2、Ti、TiO2、Al23及びこれらの配合物よりなる群から選ばれる1または2以上の物質層が順次に蒸着されている無線端末部品が提供される。特に、この実施形態は、背面に錫または錫−アルミニウム合金層が蒸着されているか、あるいは、錫または錫−アルミニウム合金層と、Si、SiO2、Ti、TiO2、Al23及びこれらの配合物よりなる群から選ばれる1または2以上の物質層が順次に蒸着されているディスプレイ保護用のウィンドウを提供する。
【0015】
この実施形態による錫または錫−アルミニウム合金などが蒸着された無線端末部品は優れた鏡効果を示すだけではなく、静電気発生による無線端末の内部回路性能の低下の問題がほとんどない。
【0016】
また、本発明の他の実施形態によれば、無線端末部品の転写インモールドまたはインサートインモールド射出方法であって、錫または錫−アルミニウム合金がめっきされたポリエチレンテレフタレート(PET)などのフィルムを用いることを特徴とする方法が提供される。
【0017】
転写インモールドは、所定のパターンが印刷されたフィルムを金型に入れて射出を行うことにより、射出物にパターンを転写することをいい、インサートインモールドは、パターンが印刷されたフィルムを金型に入れて射出を行うことにより、射出物にフィルムが一体に結合されて射出物にパターンを形成することを言う。
【0018】
この実施形態によれば、無線端末部品の射出物に錫または錫−アルミニウム合金を直接的に蒸着するのではなく、ポリエチレンテレフタレートフィルムに錫または錫−アルミニウム合金などを蒸着した後、このフィルムを用いて無線端末部品射出物の転写インモールドまたはインサートインモールドを行う。これにより、めっきされない物質または蒸着されない物質にも容易にパターンを形成することができ、設計自由度を高めることができる。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることにより、無線端末部品の射出物や蒸着層などが変形されることを防ぐことができ、様々な色合いの製品を製造することができる。
【0019】
以上、本発明の具体的な実施形態を挙げて本発明を説明したが、これらは単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。当業者であれば、本発明の範囲を逸脱しない範囲内において説明された実施形態を変更または変形することができ、このような変更または変形も本発明の範囲を逸脱するものではない。よって、本発明の範囲は説明された実施形態ではなく、特許請求の範囲及びその均等物により定まるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末部品の無静電蒸着方法であって、
無線端末部品の射出物の上に錫を蒸着するステップを含む無線端末部品の無静電蒸着方法。
【請求項2】
無線端末部品の無静電蒸着方法であって、
無線端末部品の射出物の上に錫−アルミニウム合金を蒸着するステップを含む無線端末部品の無静電蒸着方法。
【請求項3】
Si、SiO2、Ti、TiO2、Al23及びこれらの配合物よりなる群から選ばれる1または2以上の物質を蒸着するステップをさらに含む請求項1または2に記載の無線端末部品の無静電蒸着方法。
【請求項4】
前記無線端末部品は、ディスプレイ保護用のウィンドウ、ナビゲーションキー、サイドキーまたはケースである請求項1または2に記載の無線端末部品の無静電蒸着方法。
【請求項5】
前記無線端末部品の射出物は、めっき可能なアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂とめっき不可若しくはめっき困難なポリカーボネート樹脂を用いた二重射出により射出される請求項1または2に記載の無線端末部品の無静電蒸着方法。
【請求項6】
前記錫−アルミニウム合金中の錫対アルミニウムの重量比は、85重量%:15重量%〜95重量%:5重量%である請求項2に記載の無線端末部品の無静電蒸着方法。
【請求項7】
前記錫−アルミニウム合金中の錫対アルミニウムの重量比は、90重量%:10重量%である請求項6に記載の無線端末部品の無静電蒸着方法。
【請求項8】
無線端末部品の転写インモールドまたはインサートインモールド射出方法であって、
錫または錫−アルミニウム合金が蒸着されたフィルムを用いる方法。
【請求項9】
錫または錫−アルミニウム合金層が蒸着されている無線端末部品。
【請求項10】
前記錫または錫−アルミニウム合金層の上に、Si、SiO2、Ti、TiO2、Al23及びこれらの配合物よりなる群から選ばれる1または2以上の物質層が順次に蒸着されている請求項9に記載の無線端末部品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−501727(P2010−501727A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525507(P2009−525507)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004197
【国際公開番号】WO2008/026893
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(507248424)イー.エム.ダブリュ.アンテナ カンパニー リミテッド (41)
【Fターム(参考)】