説明

撮像システムおよび撮像方法

【課題】波長スペクトルおよび偏光状態がそれぞれ異なる、複数の照射光が観察部位に照射されたときのそれぞれについて、観察部位からの戻り光の偏光状態が異なる複数の画像を得ること。
【解決手段】撮像システムは、異なる波長スペクトルごとに、偏光状態が異なる複数の照射光を観察部位に順次照射する照射部と、偏光状態が異なる複数の光をそれぞれ透過する複数の戻り光偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有し、観察部位からの戻り光を、複数の偏光状態ごとに透過する偏光フィルタ部と、偏光フィルタ部が透過した戻り光を、複数の偏光状態ごとに受光する受光部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システムおよび撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、観察部位に照射する照射光の波長スペクトルを選択的に切り替える技術が開示されている。また、特許文献2に示すように、観察部位に照射する照射光の偏光状態を選択的に切り替える技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−282965号公報
【特許文献2】特開2006−325973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術では、照射光の波長スペクトルおよび照射光の偏光状態がそれぞれ異なる、複数の照射光が観察部位に照射されたときのそれぞれについて、観察部位からの戻り光の偏光状態が異なる複数の画像を得ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、撮像システムであって、異なる波長スペクトルごとに、偏光状態が異なる複数の照射光を観察部位に順次照射する照射部と、偏光状態が異なる複数の光をそれぞれ透過する複数の戻り光偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有し、観察部位からの戻り光を、複数の偏光状態ごとに透過する偏光フィルタ部と、偏光フィルタ部が透過した戻り光を、複数の偏光状態ごとに受光する受光部とを備える。
【0005】
照射部は、光源と、異なる波長スペクトルのそれぞれを透過する複数のカラーフィルタと、偏光状態が異なる複数の照射光のそれぞれを透過する複数の照射光偏光フィルタとを有してもよく、複数のカラーフィルタおよび複数の照射光偏光フィルタのそれぞれを順次切り替えることにより、異なる波長スペクトルごとに、偏光状態が異なる複数の照射光を観察部位に順次照射してもよい。
【0006】
照射部は、複数のカラーフィルタが同一円周上に配設されている回転カラーフィルタと、複数の照射光偏光フィルタが同一円周上に配設されている回転偏光フィルタとを有してもよく、回転カラーフィルタを回転させることにより、複数のカラーフィルタを順次切り替えてもよく、回転偏光フィルタを回転させることにより、複数の照射光偏光フィルタを順次切り替えてもよい。
【0007】
偏光フィルタ部は、複数の偏光フィルタユニットがマトリクス状に配設されている偏光板を有してもよく、偏光板により、観察部位からの戻り光を、複数の偏光状態ごとに透過してもよい。
【0008】
また、本発明の第2の態様においては、撮像方法であって、異なる波長スペクトルごとに、偏光状態が異なる複数の照射光を観察部位に順次照射する照射工程と、偏光状態が異なる複数の光をそれぞれ透過する複数の戻り光偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットが、観察部位からの戻り光を、複数の偏光状態ごとに透過する偏光フィルタ工程と、偏光フィルタ工程によって透過された戻り光を、複数の偏光状態ごとに受光する受光工程とを備える。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決部に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、本実施の形態の撮像システム100の構成の一例を示す。撮像システム100は、内視鏡101、画像生成部102、表示部105、照射部106、及び鉗子107を備える。なお、図1においては、A部は、内視鏡101の先端部121を拡大して示す。
【0012】
内視鏡101は、鉗子口111、撮像部112、及びライトガイド113を有する。内視鏡101の先端部121は、その先端面130に撮像部112の一部としてのレンズ131を有する。また、先端部121は、その先端面130にライトガイド113の一部としての出射口132を有する。
【0013】
撮像部112は、レンズ131、偏光フィルタ部150、及び受光部の一例であるCCD160を有する。なお、CCD160に換えて、CMOS等の撮像素子であってもよい。偏光フィルタ部150は、レンズ131を透過した観察部位からの戻り光を、複数の偏光状態ごとに透過する。CCD160は、偏光フィルタ部150が透過した戻り光を、複数の偏光状態ごとに受光する。なお、撮像部112は、図示しないがCCD160を駆動させる撮像素子駆動ドライバ、AD変換器等も含む。つまり、撮像素子により撮像された画像が撮像素子駆動ドライバにより読み出されてAD変換器によってデジタル信号に変換される。
【0014】
照射部106は、内視鏡101の先端部121から照射される光を発光する。照射部106は、光源108を有し、該光源108により光を発光させる。ライトガイド113は、光を伝送する光ファイバ等で構成されている。ライトガイド113は、照射部106が照射した光を内視鏡101の先端部121にガイドする。照射部106が発光した光は、出射口132から照射される。
【0015】
照射部106は、回転偏光フィルタ109および回転カラーフィルタ110を有する。回転カラーフィルタ110には、複数のカラーフィルタが同一円周上に配設されている。回転偏光フィルタ109には、複数の照射光偏光フィルタが同一円周上に配設されている。照射部106は、回転カラーフィルタ110を回転させることにより、複数のカラーフィルタを順次切り替え、回転偏光フィルタ109を回転させることにより、複数の照射光偏光フィルタを順次切り替える。これにより、照射部106は、異なる波長スペクトルごとに、偏光状態が異なる複数の照射光を観察部位に順次照射する。
【0016】
鉗子口111には、鉗子107が挿入され、鉗子口111は鉗子107を先端部121にガイドする。なお、鉗子107は、各種の先端形状を備えてよい。また、鉗子口111には、鉗子107の他に、生体を処置する種々の処理具が挿入されてもよい。ノズル133は、水あるいは空気を送出する。
【0017】
画像生成部102は、撮像部112によって撮像された画像から、偏光状態が異なる複数の画像を生成する。表示部105は、画像生成部102によって生成された画像を表示する。
【0018】
図2は、偏光フィルタ部150が有する偏光板200及びCCD160の一例を示す。偏光板200は、複数の偏光フィルタユニット210を有する。偏光板200には、複数の偏光フィルタユニット210がマトリクス状に配設されている。
【0019】
複数の偏光フィルタユニット210のそれぞれは、偏光状態が異なる複数の光をそれぞれ透過する複数の戻り光偏光フィルタを有する。具体的には、複数の偏光フィルタユニット210のそれぞれには、第1戻り光偏光フィルタ151、第2戻り光偏光フィルタ152、第3戻り光偏光フィルタ153、及び第4戻り光偏光フィルタ154がマトリクス状に配設されている。
【0020】
第1戻り光偏光フィルタ151は、第1の方向の偏光状態の光を透過する。第4戻り光偏光フィルタ154は、第1の方向と直交する方向である第2の方向の偏光状態の光を透過する。第3戻り光偏光フィルタ153は、第1の方向と直交しない方向である第3の方向の偏光状態の光を透過する。第2戻り光偏光フィルタ152は、第3の方向と直交する方向である第4の方向の偏光状態の光を透過する。
【0021】
たとえば、図2に示す例では、第1戻り光偏光フィルタ151は、縦方向の偏光状態の光を透過する。また、第4戻り光偏光フィルタ154は、横方向の偏光状態の光を透過する。また、第3戻り光偏光フィルタ153は、左斜め方向の偏光状態の光を透過する。また、第2戻り光偏光フィルタ152は、右斜め方向の偏光状態の光を透過する。
【0022】
なお、図2では、直線偏光の光を透過する戻り光偏光フィルタを用いて説明したが、直線偏光ではなく、円偏光の光を透過する戻り光偏光フィルタであってもよい。また、縦方向の偏光状態、右斜め方向の偏光状態、左斜め方向の偏光状態、及び横方向の偏光状態の光を透過する戻り光偏光フィルタを用いたが、それ以外の偏光状態の光を透過する戻り光偏光フィルタでもよい。また、異なる偏光状態は4つに限られない。
【0023】
CCD160は、画素161を複数有している。それぞれの画素161とそれぞれの戻り光偏光フィルタは一対一で対応している。つまり、ある一つの戻り光偏光フィルタを透過した光は、それに対応する一つの画素161が受光する。これにより、CCD160は、同時に複数の偏光状態の画像を撮像することができる。なお、それぞれの画素161とそれぞれの戻り光偏光フィルタはn対1で対応してもよい。つまり、ある一つの戻り光偏光フィルタを透過した光は、それに対応する複数の画素161が受光してもよい。
【0024】
画像生成部102は、撮像部112により撮像された画像から、異なる偏光状態毎の画像をそれぞれ生成する。具体的には、画像生成部102は、第1戻り光偏光フィルタ151を透過した光を撮像した縦方向の偏光状態の画像と、第2戻り光偏光フィルタ152を透過した光を撮像した右斜め方向の偏光状態の画像と、第3戻り光偏光フィルタ153を透過した光を撮像した左斜め方向の偏光状態の画像と、第4戻り光偏光フィルタ154を透過した光を撮像した横方向の偏光状態の画像とをそれぞれ生成する。
【0025】
より具体的には、画像生成部102は、第1戻り光偏光フィルタ151を透過した光を撮像した画素161の画素値から、縦方向の偏光状態の画像を生成する。また、第2戻り光偏光フィルタ152を透過した光を撮像した画素161の画素値から、右斜め方向の偏光状態の画像を生成する。また、第3戻り光偏光フィルタ153を透過した光を撮像した画素161の画素値から、左斜め方向の偏光状態の画像を生成する。また、第4戻り光偏光フィルタ154を透過した光を撮像した画素161の画素値から、横方向の偏光状態の画像を生成する。
【0026】
画像生成部102は、生成した偏光状態が異なる複数の画像を、表示部105に出力する。表示部105は、画像生成部102によって生成された偏光状態が異なる複数の画像を順次表示する。例えば、表示部105は、縦方向の偏光状態の画像、右斜め方向の偏光状態の画像、左斜め方向の偏光状態の画像、および横方向の偏光状態の画像を、予め定められている順番で表示する。これにより、表示部105は、偏光状態が遷移する画像を表示することができる。なお、表示部105は、画像生成部102によって生成された偏光状態が異なる複数の画像の一部または全部を同時に表示してもよい。表示部105は、たとえば、液晶、有機EL、ブラウン管、プラズマなどのディスプレイ装置が実現する。
【0027】
なお、画像生成部102は、コンピュータが備えるCPUがプログラムを実行することにより、その機能が実現されてもよく、電子回路によりその機能が実現されてもよい。撮像システム100は、撮像システム100が備える各機能部を制御する制御部をさらに備えてもよい。この場合、制御部は、コンピュータが備えるCPUがプログラムを実行することにより、その機能が実現されてもよく、電子回路により、その機能が実現されてもよい。
【0028】
図3は、回転カラーフィルタ110の一例を示す。回転カラーフィルタ110は、第1カラーフィルタ301、第2カラーフィルタ302、第3カラーフィルタ303、及び開口部304を有する。第1カラーフィルタ301は、たとえば、R波長領域(600〜700nm)を主成分とする波長スペクトルの光を主に透過する。第2カラーフィルタ302は、たとえば、G波長領域(500〜600nm)を主成分とする波長スペクトルの光を主に透過する。第3カラーフィルタ303は、たとえば、B波長領域(400〜500nm)を主成分とする波長スペクトルの光を主に透過する。照射部106は、回転カラーフィルタ110を、軸402を中心に回転させることができる。回転カラーフィルタ110は、開口部304の代わりに、たとえば、可視光の波長領域(400〜700nm)を主成分とする波長スペクトルの光を主に透過するカラーフィルタを有してもよい。
【0029】
図4は、回転偏光フィルタ109の一例を示す。回転偏光フィルタ109は、照射光偏光フィルタ311及び開口部312を有する。照射光偏光フィルタ311は、一方向の偏光状態の光を透過する。照射部106は、回転偏光フィルタ109を、軸401を中心に回転させることができる。
【0030】
図5は、回転偏光フィルタ109の他の一例を示す。回転偏光フィルタ109は、第1照射光偏光フィルタ411、第2照射光偏光フィルタ412、第3照射光偏光フィルタ413、第4照射光偏光フィルタ414、及び開口部415を有する。
【0031】
第1照射光偏光フィルタ411は、第1の方向の偏光状態の光を透過する。第2照射光偏光フィルタ412は、第1の方向と直交する方向である第2の方向の偏光状態の光を透過する。第3照射光偏光フィルタ413は、第1の方向と直交しない方向である第3の方向の偏光状態の光を透過する。第4照射光偏光フィルタ414は、第3の方向と直交する方向である第4の方向の偏光状態の光を透過する。
【0032】
たとえば、図5に示す例では、第1照射光偏光フィルタ411は、縦方向の偏光状態の光を透過する。また、第2照射光偏光フィルタ412は、横方向の偏光状態の光を透過する。また、第3照射光偏光フィルタ413は、左斜め方向の偏光状態の光を透過する。また、第4照射光偏光フィルタ414は、右斜め方向の偏光状態の光を透過する。照射部106は、回転偏光フィルタ109を、軸401を中心に回転させることができる。
【0033】
図6は、回転偏光フィルタ109、回転カラーフィルタ110、及び光源108の対応関係の一例を示す。照射部106は、回転偏光フィルタ109を、軸401を中心に回転させることにより、光源108が発した照射光の偏光状態を切り替える。
【0034】
たとえば、図5に示した回転偏光フィルタ109を照射部106が有する場合、照射部106は、回転偏光フィルタ109を、軸401を中心に回転させることにより、光源108が発した照射光の光路上に、第1照射光偏光フィルタ411、第2照射光偏光フィルタ412、第3照射光偏光フィルタ413、第4照射光偏光フィルタ414、及び開口部415のいずれかを配置させる。これにより、照射部106は、光源108が発した照射光のうち、縦方向の偏光状態の照射光、横方向の偏光状態の照射光、左斜め方向の偏光状態の照射光、右斜め方向の偏光状態の照射光、及び全ての偏光状態の照射光のいずれかを観察部位に照射する。
【0035】
一方、図4に示した回転偏光フィルタ109を照射部106が有する場合、照射部106は、回転偏光フィルタ109を、軸401を中心に回転させることにより、光源108が発した照射光の光路上に、照射光偏光フィルタ311及び開口部312のいずれかを配置させる。これにより、照射部106は、光源108が発した照射光のうち、回転偏光フィルタ109の回転角度に応じた一方向の偏光状態の照射光及び全ての偏光状態の照射光のいずれかを観察部位に照射する。
【0036】
ここで、照射部106は、照射光偏光フィルタ311が上記光路上に配置されている範囲内において、回転偏光フィルタ109の回転角度を変更することにより、光源108が発した照射光の偏光状態を切り替える。たとえば、回転偏光フィルタ109が図4に示す状態にある場合、照射光偏光フィルタ311は、光源108が発した照射光のうち、横方向の偏光状態の照射光を透過する。この状態から、回転偏光フィルタ109を、反時計回りに略45度回転させることにより、光源108が発した照射光のうち、右斜め方向の偏光状態の照射光を透過する。また、回転偏光フィルタ109を、反時計回りに略90度回転させることにより、光源108が発した照射光のうち、縦方向の偏光状態の照射光を透過する。また、回転偏光フィルタ109を、反時計回りに略135度回転させることにより、光源108が発した照射光のうち、左斜め方向の偏光状態の照射光を透過する。
【0037】
また、照射部106は、回転カラーフィルタ110を、軸402を中心に回転させることにより、光源108が発した照射光の波長スペクトルを切り替える。たとえば、図3に示した回転カラーフィルタ110を照射部106が有する場合、照射部106は、回転カラーフィルタ110を、軸402を中心に回転させることにより、光源108が発した照射光の光路上に、第1カラーフィルタ301、第2カラーフィルタ302、第3カラーフィルタ303、及び開口部304のいずれかを配置させる。これにより、照射部106は、光源108が発した照射光の波長スペクトルを切り替える。
【0038】
照射部106は、回転カラーフィルタ110および回転偏光フィルタ109をそれぞれ回転させて、複数のカラーフィルタおよび複数の照射光偏光フィルタのそれぞれを順次切り替えることにより、異なる波長スペクトルごとに、偏光状態が異なる複数の照射光を観察部位に順次照射する。これにより、撮像部112は、照射光の波長スペクトルおよび照射光の偏光状態がそれぞれ異なる、複数の照射光が観察部位に照射されたときのそれぞれについて、観察部位からの戻り光の偏光状態が異なる複数の画像をそれぞれ撮像することができる。
【0039】
ここで、照射部106は、回転カラーフィルタ110に含まれる複数のカラーフィルタと、回転偏光フィルタ109に含まれる複数の照射光偏光フィルタとの組み合わせのうち、全ての組み合わせの照射光を観察部位に順次照射してもよい。また、照射部106は、回転カラーフィルタ110に含まれる複数のカラーフィルタと、回転偏光フィルタ109に含まれる複数の照射光偏光フィルタとの組み合わせのうち、予め定められている一部の組み合わせの照射光を観察部位に順次照射してもよい。
【0040】
たとえば、図3に示す回転カラーフィルタ110に含まれる複数のカラーフィルタと、図5に示す回転偏光フィルタ109に含まれる複数の照射光偏光フィルタとを組み合わせた場合、照射部106が照射することができる照射光の種類は20とおりである。照射部106は、この20とおりの照射項を順次照射してもよい。この場合、撮像部112は、この20とおりの照射項が観察部位に照射されたときのそれぞれについて、観察部位からの戻り光の偏光状態が異なる複数の画像を撮像することができる。
【0041】
照射部106は、予め定められている間隔で、回転カラーフィルタ110に含まれる複数のカラーフィルタおよび回転偏光フィルタ109に含まれる複数の照射光偏光フィルタのすくなくとも一方を切り替えてもよい。たとえば、照射部106は、1フレームごと、または予め定められているフレーム数ごとに、回転カラーフィルタ110に含まれる複数のカラーフィルタおよび回転偏光フィルタ109に含まれる複数の照射光偏光フィルタのすくなくとも一方を切り替えてもよい。
【0042】
本実施の形態の撮像システム100によれば、波長スペクトルが異なる複数の照射光が観察部位に照射されたときのそれぞれについて、観察部位からの戻り光の偏光状態が異なる複数の画像を得ることができる。具体的には、R波長領域を主成分とする照射光、G波長領域を主成分とする照射光、B波長領域を主成分とする照射光、および可視光領域を主成分とする照射光が観察部位に照射されたときのそれぞれについて、縦方向の偏光状態の画像、横方向の偏光状態の画像、右斜め方向の偏光状態の画像、および左斜め方向の偏光状態の画像をそれぞれ得ることができる。たとえば、可視光領域を主成分とする照射光が観察部位に照射されたときに得られた、偏光状態が異なる複数の画像を、観察部位が明るく写し出されている白黒画像として得ることができる。
【0043】
なお、撮像システム100は、一の波長スペクトルの照射光が観察部位に照射されたときに得られた、偏光状態が異なる複数の画像の合成画像または差分画像を生成してもよい。また、撮像システム100は、波長スペクトルが異なる複数の照射光が観察部位に照射されたときのそれぞれについて得られた、偏光状態が同じである複数の画像の合成画像または差分画像を生成してもよい。たとえば、撮像システム100は、R波長領域を主成分とする照射光、G波長領域を主成分とする照射光、およびB波長領域を主成分とする照射光が観察部位に照射されたときのそれぞれについて得られた、偏光状態が同じである複数の画像の合成画像を生成してもよい。
【0044】
また、本実施の形態の撮像システム100によれば、偏光状態が異なる複数の照射光が観察部位に照射されたときのそれぞれについて、観察部位からの戻り光の偏光状態が異なる複数の画像を得ることができる。具体的には、縦方向の偏光状態の照射光、横方向の偏光状態の照射光、右斜め方向の偏光状態の照射光、左斜め方向の偏光状態の照射光、および全ての偏光状態の照射光が観察部位に照射されたときのそれぞれについて、縦方向の偏光状態の画像、横方向の偏光状態の画像、右斜め方向の偏光状態の画像、および左斜め方向の偏光状態の画像をそれぞれ得ることができる。
【0045】
たとえば、本実施の形態の撮像システム100は、縦方向の偏光状態の照射光を観察部位に照射したときに撮像された、横方向の偏光状態の画像を、観察部位の表面反射成分が除去された画像として得ることができる。特に、本実施の形態の撮像システム100は、波長スペクトルが異なる複数の照射光を観察部位に照射したときのそれぞれの、観察部位の表面反射成分が除去された画像を得ることができる。
【0046】
また、本実施の形態の撮像システム100は、縦方向の偏光状態の照射光を観察部位に照射したときに撮像された、縦方向の偏光状態の画像と、横方向の偏光状態の照射光を観察部位に照射したときに撮像された、縦方向の偏光状態の画像との差分画像を、観察部位の表面反射成分の画像として得ることができる。特に、本実施の形態の撮像システム100は、波長スペクトルが異なる複数の照射光を観察部位に照射したときのそれぞれの、観察部位の表面反射成分の画像を得ることができる。
【0047】
なお、撮像システム100は、偏光状態が異なる複数の照射光が観察部位に照射されたときのそれぞれについて得られた、偏光状態が同じである複数の画像の合成画像または差分画像を生成してもよい。また、撮像システム100は、一の偏光状態の照射光が観察部位に照射されたときに得られた、偏光状態が異なる複数の画像の合成画像または差分画像を生成してもよい。
【0048】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施の形態の撮像システム100の構成の一例を示す。
【図2】偏光フィルタ部150が有する偏光板200及びCCD160の一例を示す。
【図3】回転カラーフィルタ110の一例を示す。
【図4】回転偏光フィルタ109の一例を示す。
【図5】回転偏光フィルタ109の他の一例を示す。
【図6】回転偏光フィルタ109、回転カラーフィルタ110、及び光源108の対応関係の一例を示す。
【符号の説明】
【0050】
100 撮像システム
101 内視鏡
102 画像生成部
105 表示部
106 照射部
107 鉗子
108 光源
109 回転偏光フィルタ
110 回転カラーフィルタ
111 鉗子口
112 撮像部
113 ライトガイド
121 先端部
130 先端面
131 レンズ
132 出射口
133 ノズル
150 偏光フィルタ部
151 第1戻り光偏光フィルタ
152 第2戻り光偏光フィルタ
153 第3戻り光偏光フィルタ
154 第4戻り光偏光フィルタ
160 CCD
161 画素
200 偏光板
210 偏光フィルタユニット
301 第1カラーフィルタ
302 第2カラーフィルタ
303 第3カラーフィルタ
304 開口部
311 照射光偏光フィルタ
312 開口部
411 第1照射光偏光フィルタ
412 第2照射光偏光フィルタ
413 第3照射光偏光フィルタ
414 第4照射光偏光フィルタ
415 開口部
401 軸
402 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる波長スペクトルごとに、偏光状態が異なる複数の照射光を観察部位に順次照射する照射部と、
偏光状態が異なる複数の光をそれぞれ透過する複数の戻り光偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有し、前記観察部位からの戻り光を、前記複数の偏光状態ごとに透過する偏光フィルタ部と、
前記偏光フィルタ部が透過した前記戻り光を、前記複数の偏光状態ごとに受光する受光部と
を備える撮像システム。
【請求項2】
前記照射部は、
光源と、
前記異なる波長スペクトルのそれぞれを透過する複数のカラーフィルタと、
前記偏光状態が異なる複数の照射光のそれぞれを透過する複数の照射光偏光フィルタと
を有し、
前記複数のカラーフィルタおよび前記複数の照射光偏光フィルタのそれぞれを順次切り替えることにより、前記異なる波長スペクトルごとに、前記偏光状態が異なる複数の照射光を前記観察部位に順次照射する
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記照射部は、
前記複数のカラーフィルタが同一円周上に配設されている回転カラーフィルタと、
前記複数の照射光偏光フィルタが同一円周上に配設されている回転偏光フィルタと
を有し、
前記回転カラーフィルタを回転させることにより、前記複数のカラーフィルタを順次切り替え、前記回転偏光フィルタを回転させることにより、前記複数の照射光偏光フィルタを順次切り替える
請求項2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記偏光フィルタ部は、前記複数の偏光フィルタユニットがマトリクス状に配設されている偏光板を有し、前記偏光板により、前記観察部位からの戻り光を、前記複数の偏光状態ごとに透過する
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の撮像システム。
【請求項5】
異なる波長スペクトルごとに、偏光状態が異なる複数の照射光を観察部位に順次照射する照射工程と、
偏光状態が異なる複数の光をそれぞれ透過する複数の戻り光偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットが、前記観察部位からの戻り光を、前記複数の偏光状態ごとに透過する偏光フィルタ工程と、
前記偏光フィルタ工程によって透過された前記戻り光を、前記複数の偏光状態ごとに受光する受光工程と
を備える撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−104422(P2010−104422A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276877(P2008−276877)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】