説明

撮像装置、および、撮像装置の制御方法

【課題】 撮像素子による電子シャッタとメカニカルシャッタを併用して露光時間を決定する構成を有する装置において、撮像素子による電子シャッタの動作タイミングをメカニカルシャッタの走行特性を反映させて適切に設定するためには、メカニカルシャッタ羽根の走行特性を検知するためのセンサを別途設ける必要があった。
【解決手段】 撮像素子の領域毎に電荷の蓄積を開始させるための第1の走査、または、領域毎に蓄積された電荷を読み出すための第2の走査のいずれかと、撮像素子の受光面を遮光するメカニカルシャッタの遮光羽根の走行との間に蓄積された電荷の量を用いて、遮光羽根の走行特性を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子における電荷の蓄積開始または読み出しのタイミングを制御する電子シャッタ機能と、遮光羽根にて撮像素子の受光面を遮光するメカニカルシャッタ機能とを併用した露光制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像素子としてプログレッシブスキャンタイプのCCD(以下、PS−CCDという)を備えたデジタルカメラ等の撮像装置がある。撮像素子としてこのPS−CCDを用いれば、撮像装置は電荷を吐き捨ててから蓄積された電荷を転送するまでの電荷の蓄積時間を制御することで、この撮像素子の出力から得られる画像データの露出状態を制御することができる。撮像素子としてPS−CCDを用いた場合、撮像装置はメカニカルシャッタがなくとも電荷の蓄積時間を調節することができるが、スミアの発生を抑えるためにメカニカルシャッタが備えられていることが好ましい。しかしながら、PS−CCDの電荷の蓄積動作を終了させてからメカニカルシャッタによって遮光されるまでの短い時間の間にも、PS−CCDには光束が到達するためスミアの発生を防ぐことはできない。このスミアの発生を抑制するために様々な技術が提案されている。
【0003】
これに対し、XYアドレス型の撮像素子であるCMOSイメージセンサは、CCDに比較してスミアの発生が無視できるほど小さいという長所を備えている。また、CMOSイメージセンサは大判化の技術開発が進んでいるため、高画質の画像データを得やすい大型の撮像素子が必要とされる一眼レフレックスタイプのデジタルカメラに用いられる場合が多い。
【0004】
しかしながらXYアドレス型であるCMOSイメージセンサは、所謂ローリングシャッタとして、行毎に異なるタイミングで電荷の蓄積を行っており、全ての画素において同時に蓄積動作を終了させることができない。CMOSイメージセンサの電荷の蓄積時間を制御して露出制御を行おうとすると、走査線の最初の行と最後の行とで蓄積期間が1フレーム近くずれてしまうため、動く被写体を静止画として撮像するには適していないと考えられる。そのため、CMOSイメージセンサの露光時間を制御するためのメカニカルシャッタが用いられている。
【0005】
ここで、CMOSイメージセンサの電荷の蓄積開始のための各行におけるリセット動作は、各行における蓄積電荷の信号レベルの読み出し動作のタイミングから、電荷の蓄積時間に要する時間分だけ先駆けて行われることになる。このリセット動作の速度は、蓄積電荷の信号レベルの読み出し動作の走査速度と異ならせることもできる。これを利用して、特許文献1にはCMOSイメージセンサのリセット動作をメカニカルシャッタの走行に沿う速度で1行ずつ行って露出制御を行う構成が開示されている。特許文献1に開示された構成は、メカニカルシャッタの走行に沿う速度で1行ずつリセット動作を行って電荷蓄積を開始してから、メカニカルシャッタで遮光し、その後に蓄積電荷の信号レベルの読み出し動作を1行ずつ行う。リセット動作とメカニカルシャッタの走行の間隔とを調整することで、画像データの露出制御を行うことができる。リセット動作をメカニカルシャッタの走行に沿う速度で1行ずつ行うため、走査線の最初の行と最後の行との蓄積時間のずれは、先幕である遮光羽根(以下、先羽根という)と後幕である遮光羽根(以下、後羽根という)を備えたメカニカルシャッタを用いた場合と同程度にまで改善することができる。この構成によれば、CMOSイメージセンサを用いているために動画撮像時のスミアを抑制することができるとともに、高速シャッタが可能となり、CMOSにて動く被写体の静止画撮像を行うことが可能となる。
【特許文献1】特開平11−41523号公報
【特許文献2】特開2005−159418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、メカニカルシャッタの先羽根および後羽根は一般にバネによって駆動されており、走行開始位置での保持は電磁石による吸着力が用いられていることが多い。このため、撮像装置の姿勢差、温度、湿度、メカニカルシャッタを保持する電磁石の駆動電圧、メカニカルシャッタの個体差、経時変化などの複数の影響によって、メカニカルシャッタでの走行特性を示す曲線(以下、走行曲線という)は常に一定とはならない。
【0007】
そこで、メカニカルシャッタの走行に対応させてリセット動作を適正なタイミングで行うためには、メカニカルシャッタの走行曲線を検出する検出系と、その検出結果に応じてリセット動作のタイミングを制御するフィードバック系を設ける必要がある。
【0008】
そこで、特許文献2には複数のフォトインタラプタを先羽根の走行方向に並べて配置し、先羽根を走行させてフォトインタラプタの出力より先羽根の走行曲線を検出する構成が開示されている。この構成を図13に示す。
【0009】
93は先羽根、94は後羽根、96は撮像素子である。90は先羽根93の走行方向に複数配置されたフォトインタラプタ90−1を備えた羽根検出機構であり、フォトインタラプタ90−1は発光部91−1と受光部92−1を先羽根の両側に配置している。フォトインタラプタ90−1にて先羽根の動きを検知して先羽根の走行曲線を求め、この走行曲線を基に後羽根の走行曲線を推定してリセット動作を行い、後羽根により遮光を行う。この構成によれば後羽根の走行曲線を事前に推定してリセット動作のタイミングを制御することができるが、フォトインタラプタを設けた分だけシャッタの構成が大型化してしまう。また、撮像素子の近傍に光センサを配置すると、光センサでの光が撮像素子の受光面に入射してしまわないような構成を別途設ける必要もある。
【0010】
このように、撮像素子による電子シャッタとメカニカルシャッタを併用して露光時間を決定する構成を有する装置において、撮像素子による電子シャッタの動作タイミングをメカニカルシャッタの走行特性を反映させて適切に設定するための構成について、まだ改善の余地があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
少なくとも好適な一つの実施の形態は、受光した光量に応じて電荷を蓄積する撮像素子と、撮像素子の受光面を遮光する遮光羽根を走行させることで撮像素子の遮光領域を変化させる遮光装置と、撮像素子の領域毎に電荷の蓄積を開始させるための第1の走査行い、撮像素子の領域毎に蓄積された電荷を読み出すための第2の走査を行う走査回路と、第1の走査と第2の走査のいずれかと、遮光装置の走行と、の間に蓄積された第1の電荷の量に応じて、遮光装置の走行特性を演算する制御回路を有する撮像装置を提供するものである。
【0012】
また、少なくとも好適な別の一つの実施の形態は、受光した光量に応じて電荷を蓄積する撮像素子と、撮像素子の受光面を遮光する遮光羽根を走行させることで撮像素子の遮光領域を変化させる遮光装置と、撮像素子の領域毎に電荷の蓄積を開始させるための第1の走査行い、撮像素子の領域毎に蓄積された電荷を読み出すための第2の走査を行う走査回路と、第1の走査と第2の走査のいずれかと、遮光装置の走行と、の間に蓄積された第1の電荷の量に応じて、第1の走査を行うタイミングを制御することによって、第1の走査と遮光装置の走行との間に蓄積される電荷の量を調整する制御回路を有する撮像装置を提供するものである。
【0013】
また、少なくとも好適なさらに別の一つの実施の形態は、上記の撮像装置の機能を実施させるための制御方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、撮像素子による電子シャッタとメカニカルシャッタを併用して露光時間を決定する構成を有する装置において、メカニカルシャッタ羽根の走行を検知するためのセンサを別途設けることなく、電子シャッタの動作タイミングを適切に設定するための構成を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に図面を用いながら本発明の好適な実施の形態について説明を行う。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態にかかる撮像システムの構成図である。本実施の形態にかかる撮像システムは、撮像装置であるカメラ本体100と、カメラ本体100に装着される交換レンズ装置200とを有している。この交換レンズ装置200はカメラ本体100と着脱可能でなく、カメラ本体100と一体に構成されているものであっても構わない。
【0017】
まず、交換レンズ装置200内の構成について説明する。201は撮影レンズであり、光軸L方向に移動可能となっている。ここで、図1では、簡略化のために1つのレンズだけを示しているが、複数のレンズ群で構成されている。
【0018】
202はレンズCPU、203はレンズ駆動回路であり、レンズCPU202はレンズ駆動回路203を介して撮像レンズ201の位置を制御する。また、レンズCPU202は交換レンズ装置200側の通信接点204およびカメラ本体100側の通信接点113を介して、カメラ本体100内のカメラCPU101と通信を行う。
【0019】
次に、カメラ本体100内の構成について説明する。
【0020】
101はカメラCPUであり、102はミラー部材である。103はファインダ光学系であり、104はXYアドレス型の撮像素子であるCMOSイメージセンサである。105はメカニカルシャッタ装置であるフォーカルプレーンシャッタである。ミラー部材102は撮影レンズ201を通過した被写体像である光束を反射させてファインダ光学系103に導くためのものである。このミラー部材102は図1に示すように光路上に存在し光束を光学ファインダ103に導くための位置と、光路上から退避し光束を撮像素子104に導くための位置とで切り替わる。ユーザーはファインダ光学系103を除いて被写体の様子をモニタする場合は、ミラー部材102は図1に示すように光路上に位置する。静止画を撮像する場合、もしくは、ユーザーが映像表示回路110に表示された被写体の動画像を観察することにより被写体の様子をモニタする場合は、ミラー部材102が図1の上方に跳ね上がることで光路から退避する。
【0021】
撮像素子104の被写体側にはシャッタ装置105が配置されており、シャッタ装置105の遮光羽根を光路から退避させることで、光束が撮像素子104に到達する。
【0022】
106はシャッタ駆動回路であり、メカニカルシャッタ装置105の駆動を制御する。107はパルス発生回路、108は垂直駆動変調回路である。パルス発生回路107は撮像素子104に走査クロックや制御パルスを供給する。また、パルス発生回路107で発生した走査クロックうち、水平走査用のクロックは直接撮像素子104に入力され、垂直走査用のクロックは垂直駆動変調回路108によってクロック周波数が所定の周波数に変調されて撮像素子104に入力される。また、パルス発生回路107は、信号処理回路109にもクロック信号を出力する。
【0023】
109は信号処理回路であり、撮像素子104から読み出された信号に対して公知のアナログ信号処理、デジタル信号処理を施すことにより画像データを生成する。110はEVF(エレクトリックビューファインダ)等の映像表示回路であり、信号処理回路109にて生成された表示用画像データを用いて表示を行う。111は画像記録回路であり、信号処理回路109にて生成された記録用画像データをカメラ本体の内部メモリ、あるいは、カメラ本体に着脱可能な記録媒体に記録する。
【0024】
112はスイッチユニットであり、撮像条件を設定するために操作されるスイッチや、撮像準備動作および撮像動作を開始させるために操作されるスイッチを含む。113は通信接点であり、交換レンズ装置200側の通信接点204を介して、交換レンズ装置200内のレンズCPU202と通信を行う。
【0025】
本実施の形態の撮像システムは後述するように、静止画を撮像する場合は、先羽根を開いて光路を開放し、撮像素子104のリセット動作を行い、後羽根を閉じて光路を閉鎖し、そして、撮像素子104の蓄積電荷を読み出す。被写体をモニタするための動画を撮像する場合は、遮光羽根を開いて光路を開放した状態で、撮像素子104の読み出し動作を周期的に行う。
【0026】
図2は本実施の形態にかかるシャッタ装置105の構成図である。301はシャッタ開口を有するシャッタ地板、301aはシャッタ開口である。302は先幕スリット形成羽根であり、先羽根スリット形成端302aを有する。303〜305は先羽根覆い羽根であり、順に、第1先羽根303、第2先羽根304、第3先羽根305と記す。306は先羽根用の第1のアームであり、シャッタ地板1に設けられた軸301dの周りに回転自在に枢着され、該第1のアーム306の先端側に設けられたカシメダボ308aで先羽根スリット形成羽根302を該第1のアーム306に対して回転自在に支持する。306aは先羽根にばね力等の駆動力を伝達する先羽根駆動部材の駆動ピンを嵌入させる穴であり、この穴306aを介して軸301dと同軸に回転軸を設けられた先羽根駆動部材から動力を伝えられる。307は先羽根用の第2のアームであり、シャッタ地板301に設けられた軸301eの周りに回転自在に枢着され、第2のアーム307の先端側に設けられたカシメダボ309aで先羽根スリット形成羽根302を第2のアーム307に対して回転自在に支持する。このようにして先羽根スリット形成羽根302と先羽根用の第1のアーム306と第2のアーム307とにより平行リンクを形成する。同様に、先羽根覆い羽根のうち、第1先羽根303,第2先羽根304,第3先羽根305は、先羽根用の第1のアーム306と第2のアーム307の中間部にそれぞれのカシメダボ308bと309b,308cと309c,308dと309dで回転自在に支持され、平行リンクを形成する。以上、302〜309の各部材により第1遮光板である先羽根が構成される。
【0027】
後羽根は先羽根と同様の構成であり、310は後羽根スリット形成羽根、310aは後羽根スリット形成端、311〜313は後羽根覆い羽根であり、順に、第1後羽根311、第2後羽根312、第3後羽根313と記す。314は後羽根用の第1のアームであり、シャッタ地板1に設けられた軸301fの周りに回転自在に枢着され、該アームの先端側に設けられたカシメダボ316aで後羽根スリット形成羽根310を第1のアーム314に対して回転自在に支持する。また、314aは後羽根にばね力等の駆動力を伝達する後羽根駆動部材の駆動ピンを嵌入させる穴であり、この穴314aを介して軸301fと同軸に回転軸を設けられた後羽根駆動部材から動力を伝えられる。315は後羽根用の第2のアームであり、シャッタ地板301に設けられた軸301gの周りに回転自在に枢着され、該第2のアーム315の先端側に設けられたカシメダボ317aで後羽根スリット形成羽根310を第2のアーム315に対して回転自在に支持する。このようにして後羽根スリット形成羽根310と後羽根用の第1のアーム314と第2のアーム315とにより平行リンクを形成する。同様に、後羽根覆い羽根のうち、第1後羽根311,第2後羽根312,第3羽根313は、第1のアーム314と第2のアーム315の中間部にそれぞれのカシメダボ316bと317b,316cと317c,316dと317dで回転自在に支持され、平行リンクを形成する。以上、310〜317の部材により第2遮光板である後羽根が構成される。
【0028】
図3は、メカニカルシャッタの先羽根、後羽根の駆動タイミングの差によって静止画の露光制御を行う従来の撮像システムにおける、被写体をモニタするための動画を撮像する場合の機械的動作を示すフローチャートである。
【0029】
カメラ本体100は被写体をモニタするための動画を映像表示回路110に表示させる撮像モードが設定されると、ステップS1にてカメラCPU101はミラー部材102を跳ね上げて光路から退避させる。ステップS2でカメラCPU101は、シャッタ開口1aを覆っていた先羽根を走行させ、先羽根をシャッタ開口1aから退避させる。ステップS3でカメラCPU101は撮像素子104に読み出し動作を周期的に行わせる。これにより、被写体をモニタするための動画像データを得ることができる。ここで、ユーザーによってスイッチユニット112に含まれるレリーズスイッチSWが操作されると、ステップS4でカメラCPU101は後羽根を走行させてシャッタ開口1aを覆う。ステップS5でカメラCPU101は光路から退避させていたミラー部材102を下げて一度光路上に戻し、先羽根および後羽根を走行開始位置まで戻すためのチャージ動作を行わせる。このチャージ動作により、シャッタ装置105の先羽根はシャッタ開口1aを覆うことになる。ステップS6でカメラCPU101は撮像素子104のリセット動作を行わせ、ステップS7で先羽根を走行させてシャッタ開口1aから先羽根を退避させる。そして露出制御のために設定された時間が経過したらステップS8でカメラCPU101は後羽根を走行させてシャッタ開口1aを後羽根で覆い、ステップS9でカメラCPU101は撮像素子104に蓄積電荷の読み出し動作を行わせる。
【0030】
上述したフローチャートでは、カメラCPU101は被写体をモニタするための動画を撮像する前に先羽根を走行させているが、静止画の撮像時に再び先羽根を走行させる必要がある。そのため、静止画を撮像する直前に少なくとも先羽根をチャージする必要がある。仮に、ステップS4で後羽根を走行させずに走行開始位置に保持したままとし、ステップS5で先羽根のみをチャージする構成としても、チャージ動作は必要となる。
【0031】
図4に、本実施の形態における撮像システムにて、被写体をモニタするための動画を撮像する場合の機械的動作を示すフローチャートを示す。図4に示すフローチャートでは、被写体をモニタするための動画を撮像するために先羽根を走行させているが、静止画の撮像時は先羽根を走行させる必要がない。そのため、静止画を撮像する直前に先羽根のチャージ動作が行われない。
【0032】
被写体をモニタするための動画を映像表示回路110に表示させる撮像モードが設定されると、ステップS11にてカメラCPU101はミラー部材102を光路から退避させる。ステップS12でカメラCPU101は撮像素子104にリセット動作を行わせる。ステップS13でカメラCPU101はシャッタ開口1aを覆っていた先羽根を走行させ、先羽根をシャッタ開口1aから退避させる。ステップS14でカメラCPU101は撮像素子104に読み出し動作を行わせ、後羽根の走行曲線を推定するための画像データを得る。ステップS15でカメラCPU101は撮像素子104に読み出し動作を周期的に行わせる。これにより、被写体をモニタするための動画像データを得ることができる。ここで、ユーザーによってスイッチユニット112に含まれるレリーズスイッチSWが操作されると、ステップS16でカメラCPU101は推定された後羽根の走行曲線に沿うように撮像素子104にリセット動作を行わせる。ステップS17でステップS16でのリセット動作を基準として露出制御のために設定された時間が経過したら、カメラCPU101は後羽根を走行させてシャッタ開口1aを後羽根で覆う。そしてステップS18でカメラCPU101は撮像素子104に蓄積電荷の読み出し動作を行わせる。
【0033】
次に本実施の形態におけるXYアドレス型の撮像素子104の構成および動作について説明する。まず、撮像素子104の構成について図5、図6の模式図を用いて説明する。
【0034】
図5、図6において、1はフォトダイオード(以下、PDという)で、光電変換によって光を電荷に変換し、露光量に応じて光電変換された電荷を蓄積する。2は転送ゲート(以下、TXという)で、PD1での電荷蓄積終了に応じて、PD1で蓄積された電荷を信号読み出しのためにフローティングディフュージョンアンプ(以下、FDという)3に転送する。FD3は、PD1で蓄積された電荷量を電圧量に変換する。
【0035】
4は選択ゲート(以下、SELという)で、FD3からの信号を読み出す際の選択スイッチである。5はリセットゲート(以下、RSという)で、PD1での蓄積電荷やFD3での電圧をリセットするために使用される。7は画素ブロックであり、PD1、TX2、FD3、SEL4、RS5を有している。撮像素子104は、複数の画素ブロックの集合体として構成されており、600万画素の撮像素子では、600万個の画素ブロック7が配置されている。
【0036】
次に、撮像素子104の動作について説明する。
【0037】
まず、電荷蓄積を開始する前に、RS5によってPD1およびFD3のリセット動作を行う。具体的には、TX2およびRS5をオン状態にする。そして、TX2およびRS5をオフ状態にすると、PD1において電荷蓄積が開始される。電荷蓄積が開始された時点でのFD3の電荷はゼロとなっているため、まずはSEL4をオン状態にすることで、このときの信号を垂直出力線10に読み出す。そして、この出力信号は、図6に示すS−n回路ブロック42内に撮像素子104の列数だけ存在する回路モジュール8のスイッチ16を介してキャパシタCTN17に、リセットノイズレベルとして記憶される。なお、φPTNはスイッチ16のオン状態、オフ状態を制御するための信号である。
【0038】
所定時間が経過したら、TX2をオン状態にすることで、PD1で蓄積されている電荷すべてを、TX2を介してFD3に転送する。そして、蓄積電荷を読み出すまでの待機時間が経過した後、SEL4をオン状態にすることで蓄積電荷に対応した出力が垂直出力線10から読み出される。上記蓄積電荷に対応した出力は、スイッチ11を介してキャパシタCTS12に信号レベルとして記憶される。なお、φPTSはスイッチ11のオン状態、オフ状態を制御するための信号である。
【0039】
上述した動作によって、キャパシタCTS12およびキャパシタCTN17のそれぞれには信号レベルおよびリセットノイズレベルが記憶されていることになるため、読み出しスイッチ13、18をオン状態にして、差動アンプ15に接続することでノイズを排除した蓄積信号を得ることができる。これは、リセットノイズのキャンセルというCCDでよく使われている相関2重サンプル(CDS)という機能と同様である。14および19は、差動アンプ15の入力線の配線浮遊容量を示している。
【0040】
ここで、図6に示す開口画素領域40には、画素ブロック7が600万個存在すると仮定する。また、画素数の縦横の比率が135フィルムの比率とすると、横方向で3000個の画素ブロック7が配置され、縦方向で2000個の画素ブロックが配置されていることになる。そして、S−n回路ブロック42内の回路モジュール8は、3000個存在することになる。また、水平出力部43は1個のみ存在することになる。
【0041】
一方、垂直シフトレジスタ41は、選択信号φSEL、リセット信号φRS、転送信号φTXによってそれぞれSEL4、RS5、TX2を順次オン状態にすることで、撮像素子104の開口画素領域40の縦方向(列方向)において読み出し動作を行うことができる。ここで、TX2はMOSトランジスタのように見えるが、これはCCDのPDと垂直CCDの間にあるシフトゲートと同じタイプの転送ゲートである。
【0042】
本実施の形態では、暗電流の発生しない埋め込みフォトダイオードとノイズの少ない完全電荷転送ゲートを例に説明しているが、一般に使用されるフォトダイオードおよびMOSトランジスタを用いても同様の機能を得ることができる。
【0043】
次に、上述した撮像素子104の基本的な読み出し動作の仕組みについて、図7を用いて説明する。
【0044】
図7の上側に示す5本の信号波形行のうち上から3本の信号波形行はそれぞれ選択信号φSEL(v)、リセット信号φRS(v)、および転送信号φTX(v)を表す。各信号は、各nMOSトランジスタであるSEL4、RS5、TX2のゲート信号と考えることができる。また、図中の(v)は、撮像素子104の垂直方向における行の番号を示している。
【0045】
図7の下側に示す平行四辺形の図形は、撮像素子104の各行における画素の動作を、時間軸で示したものである。図7において、50は撮像素子104の撮像面の開口画素領域40のうち最も下側に位置する行(以下、最下行という)を示し、51は撮像素子104の撮像面の開口画素領域40のうち最も上側に位置する行(以下、最上行という)を示す。撮像レンズ201を介して撮像素子104の撮像面で結像した被写体像は上下が反転するため、得られる画像データの上下方向にあわせるため、ここでは最下行が上に、最上行が下になるよう記載してある。
【0046】
タイミング52において、50における各画素のTX2およびRS5を同時にオン状態とすると、最下行50に含まれる各画素のPD1およびFD3が同時にリセットされ、電荷蓄積が開始される。
【0047】
図7は、最下行から最上行に向かって順に、各行における電荷蓄積の開始、電荷蓄積の終了および蓄積電荷の読み出しが行われるローリング動作について説明した図である。
【0048】
最下行50の各画素においてPD1のリセット動作による電荷蓄積が開始されると、1行の読みだし時間に相当する時間が経過した後に、2行目におけるリセット動作が行われる。そして、以下順に同じインターバルで最上行51までPD1のリセットを行う。53は、最上行51において電荷蓄積が開始されるタイミングを示す。
【0049】
56の平行四辺形で示す領域は、電荷蓄積が行われている領域(以下、電荷蓄積領域という)を示す。54は、最下行50における電荷蓄積の終了タイミングを示す。ここで、タイミング54は、最下行50における蓄積電荷の読み出し動作のタイミングと考えることもできる。
【0050】
電荷蓄積領域56の横方向の長さ、すなわち、タイミング52からタイミング54までの時間は、各行における電荷蓄積時間Tintとなる。各行において電荷蓄積が終了したときには、各行に含まれる画素の電荷転送と、各行の列走査による信号読み出しを行う。
【0051】
すなわち、図7の58に示すように、まず各画素のRS5をオン状態にすることで、FD3の電荷を空にするFDリセット動作を行う。そして、各画素のSEL4およびスイッチ16をオン状態にすることで、リセットレベルを読み出してキャパシタCTN17に記憶する。その後すぐにTX2をオン状態にすることで、全画素の電荷を一括転送する。
【0052】
次に、SEL4およびスイッチS11をオン状態にして、信号レベルをキャパシタCTS12に記憶する。各行に含まれる画素の信号は、水平方向の画素数の分だけ設けられたS−n回路42に全て蓄えられた後、例えば図6の左側に存在するS−n回路42から順番に水平読み出し選択スイッチ13、18を順次操作することで差動アンプ15に順次入力される。これにより、各行の全画素の出力を水平方向に走査し、読み出すことができる。
【0053】
1行分の画素が読み出し動作が完了すると、垂直シフトレジスタ41は次の行の読み出し動作を行う。そして、すべての行に対して読み出し動作を行う。すべての行に対する読み出し動作の完了タイミングが、タイミング55となる。
【0054】
読み出し動作を行うときには、58に示すように各種の制御信号のパルスを発生させ、各行における複数の画素の電荷蓄積信号を列走査して読み出す必要があるため、すべての行に対する読み出し動作を完了させるまでには時間を要する。
【0055】
また、最下行から最上行にかけてのローリング動作に伴う各行における電荷蓄積時間を等しくするために、各行の電荷蓄積を開始させるタイミングの行間インターバルを設定する必要がある。なお、1つの行に対して蓄積電荷の読み出し動作が終了すると、この行は実質的に次の電荷蓄積を開始することになる。57は、最下行から最上行にかけて、読み出し動作が行われているタイミングと、画像データの垂直方向における位置とを読み出し動作の走査特性を示す走査直線である。
【0056】
次に、図8および図9を用いて、本実施の形態の特徴部分について説明する。図8は、撮像素子104およびシャッタ装置105の後羽根を光軸方向の被写体側から見た図であり、リセット動作および後羽根の走行が途中まで行われているときの状態を示している。
【0057】
矢印20は、リセット動作および読み出し動作の走査方向と、後羽根の走行方向を示す。
【0058】
21は撮像素子104の撮像面である。22は後羽根であり、図8では撮像面21の一部の領域を遮光している。23は撮像素子104のうち蓄積電荷がリセットされる行(リセット行)を示している。リセット行23は、電荷の蓄積が開始された位置を示している。
【0059】
リセット行23と後羽根22の先端24の間のスリットによって形成される領域が電荷蓄積領域となる。そして、撮像素子104ではリセット行23が通過してから、すなわち、リセット動作が開始されてから後羽根22によって遮光状態となるまでの時間が、その領域における露光による電荷蓄積時間となる。また、電荷蓄積の開始タイミングは、撮像素子104の行毎で異なっており、上述したように最下行で電荷蓄積動作が最も早く開始され、最上行で電荷蓄積動作が最も遅く開始される。
【0060】
図9(a),(b),(c)は、撮像素子104のリセット動作の走査タイミングを後羽根の走行曲線に沿わせるための動作について説明する図である。すなわち、図9(a),(b),(c)は図4で説明したステップS12〜ステップS14、およびステップS16〜ステップS18で説明した動作を説明するための図である。
【0061】
図9(a)において、60は撮像画面を示している。撮像画面60では、画面中心に人物が位置し、画面左上には太陽が位置している。また、画面左下は、人物の影で暗くなっている。
【0062】
図9(a)は、先羽根の走行動作に伴う電荷蓄積動作を説明するための図である。この動作は、被写体をモニタするための動画を映像表示回路110に表示させる撮像モードを開始するために先羽根を走行させる際に行われる。図9(a),(b),(c)において、縦軸は撮像素子104の撮像面の上下方向における位置を示し、横軸は時間を示す。ただし、画像データの向きにあわせるために、撮像面の最下行が上に、最上行が下にくるように縦軸が設定されている。
【0063】
50は撮像面の開口画素領域40の最下行、51は撮像面の開口画素領域40の最上行を示す。62は先羽根の走行曲線を示す。ここで、先羽根は、上述したようにバネ力によって駆動されるため、一定の速度で走行せず、その走行軌跡は走行曲線62に示すようになる。
【0064】
図9(a)では、先羽根が撮像面の最下行50から最上行51に移動するまでに約4msかかっている。本実施の形態では、先羽根を走行させる前のタイミング61において、撮像素子104の全画素における電荷のリセットを行う。そして、先羽根を走行させることで撮像素子104の撮像面への露光を行う。
【0065】
先羽根が最下行から退避してから所定時間t0が経過した後に、撮像素子104の電荷読み出し動作を開始する。ここでの電荷読み出し動作は、すべての行に対して電荷読み出しを行うのではなく、特定の複数の行に対してのみ電荷読み出しを行うスキップ読みを行っている。予想される走行曲線に基づいて所定の走査速度で行われる。
【0066】
ここで、リセット動作が行われてからスキップ読みが行われるまでの時間が、撮像素子104における電荷蓄積時間となる。スキップ読みが一定の速度で行われるのに対し、先羽根は走行曲線62に示す軌跡を描きながら走行するため、先羽根の走行によって開始される露光による電荷蓄積時間(以下、露光蓄積時間という)は行毎に異なる。
【0067】
すなわち、先羽根の走行曲線62とスキップ読みの走査特性を示す走査直線63との間の時間が露光蓄積時間となる。この露光蓄積時間は撮像素子104の垂直方向における位置に応じて差が生じる。この露光蓄積時間の差は、先羽根の走行曲線62を表していることになる。このため、撮像素子104の垂直方向における露光蓄積時間の分布を正確に検出できれば、先羽根の走行曲線62を求めることができる。
【0068】
ここで、撮像画面内での明るさが全領域において一定である場合には、スキップ読みによって得られる露光量(電荷蓄積量)を検出するだけで、撮像素子104の各行における露光蓄積時間を求めることができる。そして、各行の露光蓄積時間を求めることで、先羽根の走行曲線62を求めることができる。しかし、実際には得られた露光量には露光蓄積時間に関する情報に加えて、被写体の輝度に関する情報が含まれてしまう。
【0069】
だが、撮像画面内の明るさを全領域において一定とすることは容易ではない。また、撮像画面内の明るさを全領域において一定とするための処理を行えば、被写体をモニタするための動画像データを得るまでのタイムラグが増加する。そこで、上述したスキップ読みによって得られた画像データから、被写体の輝度に関する情報を差し引くことで、露光蓄積時間に関する情報を求める。
【0070】
この場合、露光量の分布に関するデータは、基準線68に対するW1(v)までの距離で示すように、撮像素子104の垂直方向の関数として表される。すなわち、W1(v)は、先羽根の走行からスキップ読みまでの間で得られる画像データの射像、すなわち、各行における電荷蓄積量を示す。
【0071】
また、スキップ読みに伴う露光蓄積時間の分布に関するデータは、基準線68に対してW3(v)に示すように、撮像素子104の垂直方向の関数で表される。ここで、変数vは、撮像素子104における各行の位置を示す値であり、最下行の位置をv=0とする。
【0072】
データW1(v)からデータW3(v)を導き出すために、図9(b)に示す動作によって、被写体の輝度に関する情報を含む画像データの取得を行う。
【0073】
撮像面の最下行を先羽根が通過したタイミング65から、スキップ読みに伴う撮像面の最下行の電荷蓄積終了タイミング66までの時間をt0とする。そして、各行における電荷蓄積時間を、t(v)の関数として表す。
【0074】
図9(a)に示す動作では、撮像素子104の全画素から蓄積電荷を読み出すこともできる。
【0075】
しかし、先羽根の走行時間が上述したように約4msであるのに対して、全画素の読み出しを行うようにすると、電荷読み出しに要する時間が先羽根の走行時間に対して長くなってしまう。これでは、後羽根の走行曲線を得るために先羽根を走行させてから、先羽根を走行させて被写体をモニタするための動画を表示させる状態を実行するまでの時間が、上述した電荷読み出しに要する時間の分だけ長くなってしまう。したがって、電荷読み出しに要する時間は、先羽根の走行時間と略同じとすることが好ましい。
【0076】
本実施の形態では、上述したようにスキップ読みを行うことによって、電荷読み出しに要する時間を先羽根の走行時間に合わせるようにしている。
【0077】
なお、本実施の形態では、上述したように特定の行に対してのみ電荷読み出しを行うスキップ読みを行っているが、撮像面のうち一部の領域に対応した画素から電荷読み出しを行うようにしてもよい。例えば、撮像素子104のうち複数の列(全列ではない)を含む領域だけで電荷読み出し動作を行ったり、上記複数の列を含む領域のうち一部の行を間引いた領域で電荷読み出し動作を行ったりすることができる。
【0078】
次に、撮像画面に含まれる被写体の輝度情報を取得するための動作について、図9(b)を用いて説明する。ここで、図9(a)の動作で説明したように、先羽根は既に走行を完了しており、撮像素子104の撮像面には被写体の光束が到達している。
【0079】
まず、撮像面の最下行50から最上行51にかけて各行のリセット動作を行う。そして、所定時間が経過した後に、撮像面の下側から上側にかけてスキップ読みを行う。ここで、リセット動作の垂直方向の走査速度(垂直方向の移動速度)と、スキップ読みの垂直方向の走査速度(垂直方向の移動速度)は、互いに等しくなるように設定されている。このため、すべての行において露光蓄積時間は等しくなる。71はリセット動作の走査直線、72はスキップ読みの走査直線を示す。
【0080】
上述した動作によって得られた露光量のデータ(射像)をW2(v)の関数で表すと、該関数は被写体の輝度情報を表すものとなる。すなわち、露光量のデータW2(v)には、露光蓄積時間に関する情報と、被写体の輝度に関する情報が含まれているが、すべての行において露光蓄積時間を一定にすれば、W2(v)から被写体の輝度に関する情報を得ることができる。
【0081】
したがって、カメラCPU101は図9(a)の動作によって得られたデータW1(v)を、図9(b)の動作によって得られたデータW2(v)で割り算することによって規格化すれば、露光蓄積時間の分布に関するデータであるW3(v)を得ることができる。この露光蓄積時間の分布に関するデータW3(v)から、先羽根の走行曲線62を推定することが可能となる。
【0082】
ここで、走査直線71で示したリセット動作は走査直線63で示したスキップ読みに兼用できるので、図9(a)と図9(b)に示す動作を連続して行うことができる。この結果、図9(a)に示す動作から図9(b)に示す動作に移行する際の時間をほぼ無視することができ、図9(a)での被写体と図9(b)での被写体の間の状況変化をわずかなものとすることができる。よって、W3(v)から被写体の輝度に関する情報をほぼ排除することができる。
【0083】
従って、カメラCPU101はデータW3(v)に基づいてリセット動作のタイミング制御を行うことで、リセット行23の走査特性と、後羽根の走行曲線とを略一致させることができる。これにより、リセット行23および後羽根によって形成されるスリットを一定の幅で移動させることができ、撮像素子104の全撮像領域において露光時間を一定にすることができる。
【0084】
なお、先羽根および後羽根をほぼ同一の構造とすることで、これら先羽根と後羽根の走行曲線を略一致させることができる。つまり、撮像装置の姿勢差、温度、湿度、メカニカルシャッタを保持する電磁石の駆動電圧、メカニカルシャッタの個体差、経時変化などの複数の影響による後羽根の走行曲線の変化を、先羽根の走行曲線を検出することによって推定することが可能となる。
【0085】
よって、カメラCPU101はリセット動作の走査特性を先羽根の走行曲線に沿わせることによって、リセット動作の走査特性を後羽根の走行曲線に沿わせることができる。
【0086】
撮像素子104の各行におけるリセット動作の制御時刻Tは、下記式によって求めることができる。
【0087】
T=t(v)−t0*W3(v)/W3(0)
上記式は、撮像面の最下行での電荷蓄積時間t0を基準にして、各行の露光量W3(v)を最上行の露光量W3(0)で割り算したものを、各行におけるスキップ読みまでの電荷蓄積時間t(v)から引いたものである。
【0088】
図9(b)の動作が完了すると、撮像素子104の読み出し動作を周期的に行って、被写体をモニタするための動画の撮像と表示を開始する。そして映像表示回路110にて動画が表示されている際にユーザーによってレリーズスイッチSWが操作されると、図9(c)に示す静止画撮像が開始される。
【0089】
まず上記の制御時刻Tに基づく各行におけるリセット動作を最下行から最上行に向けて開始する。そして最下行のリセット動作を開始してから予め設定された露光時間が経過した時点で、後羽根がリセット動作の最下行にかかるよう後羽根を開放し、走行させる。このリセット動作の走査曲線74と後羽根の走行曲線75はほぼ一致する。そして、後羽根の走行が完了した後に、最下行から最上行に向けて撮像素子104の全画素を対象として読み出し動作を行う。
【0090】
このように本実施の形態によれば、被写体をモニタするための動画の撮像から静止画の撮像に移行する際には、先羽根をチャージする必要がないため、レリーズスイッチSWの操作に応じて直ちに静止画の撮像に移行することができる。
【0091】
上述したように、本実施の形態の撮像システムによれば、先羽根の走行曲線を撮像素子の出力を用いて検出しているため、他のセンサ等の検出部材を用いて先羽根の走行曲線を検出する必要がなくなる。このため、撮像システムを大型化、あるいは、コストアップをさせる必要がない。しかも、撮像装置の姿勢差、温度、湿度、メカニカルシャッタを保持する電磁石の駆動電圧、メカニカルシャッタの個体差、経時変化などの複数の影響を、静止画の撮像の直前に検出できるため、これらの影響による後羽根の走行曲線の変化を高い精度で補償することが可能となる。
【0092】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明を行う。本実施の形態にかかる撮像システムの基本的な構成は第1の実施の形態にかかる撮像システムとほぼ同じである。本実施の形態の撮像システムでは、カメラ本体100のシャッタ装置105が先羽根を有していない点が異なる。
【0093】
図10は本発明の第2の実施の形態にかかるシャッタ装置105の構成図である。第1の実施の形態のシャッタ装置とは、先羽根を構成する先幕スリット形成羽根302、第1先羽根303、第2先羽根304、第3先羽根305、先羽根用の第1のアーム306、先羽根用の第2のアーム307、カシメダボ308a〜308d、309a〜309dを有していない点が異なる。つまり、本実施の形態のシャッタ装置105は、後羽根のみを有している。後羽根スリット形成羽根310、第1後羽根311,第2後羽根312,第3羽根313は、第1のアーム314、第2のアーム315、カシメダボ316a〜316d、317a〜317dにて構成される後羽根のみを有している。
【0094】
図11に、本実施の形態における撮像システムにて、被写体をモニタするための動画を撮像する場合の機械的動作を示すフローチャートを示す。図11に示すフローチャートでは、被写体をモニタするための動画を撮像する前に、後羽根を走行させて後羽根の走行曲線を検出するための画像信号を得る。よって、被写体をモニタするための動画の撮像を開始する前に、走行させた後羽根をチャージさせる必要がある。
【0095】
カメラ本体100は被写体をモニタするための動画を映像表示回路110に表示させる撮像モードが設定されると、ステップS21にてカメラCPU101はミラー部材102を跳ね上げて光路から退避させる。ステップS22でカメラCPU101は撮像素子104にリセット動作を行わせ、ステップS23で後羽根を走行させる。そしてステップS24でカメラCPU101は撮像素子104に読み出し動作を行わせ、後羽根の走行曲線を求めるための画像データを得ている。ステップS25でカメラCPU101は走行させた後羽根を走行開始位置に戻すためのチャージを行わせる。ステップS26でカメラCPU101は撮像素子104に読み出し動作を周期的に行わせる。これにより、被写体をモニタするための動画像データを得ることができる。ここで、ユーザーによってスイッチユニット112に含まれるレリーズスイッチSWが操作されると、ステップS27でカメラCPU101は求められた後羽根の走行曲線に沿うようにリセット動作を行わせる。ステップS28でステップS27でのリセット動作を基準として露出制御のために設定された時間が経過したら、カメラCPU101は後羽根を走行させてシャッタ開口1aを後羽根で覆わせる。そしてステップS29でカメラCPU101は撮像素子104に蓄積電荷の読み出し動作を行わせる。
【0096】
図12(a),(b),(c)は、撮像素子104のリセット動作の走査タイミングを後羽根の走行曲線に沿わせるための動作について説明する図である。図12(a)は図9(a)と異なるが、図12(b)、(c)はそれぞれ図9(b)、(c)と同じである。
【0097】
図12(a)において、60は撮像画面を示している。撮像画面60では、画面中心に人物が位置し、画面左上には太陽が位置している。また、画面左下は、人物の影で暗くなっている。
【0098】
図12(a)は、後羽根の走行動作に伴う電荷蓄積動作を説明するための図である。この動作は、被写体をモニタするための動画を映像表示回路110に表示させる撮像モードを開始する前に行われる。図12(a)、(b),(c)において、縦軸は撮像素子104の撮像面の上下方向における位置を示し、横軸は時間を示す。ただし、画像データの向きにあわせるために、撮像面の最下行が上に、最上行が下にくるように縦軸が設定されている。
【0099】
50は撮像面の開口画素領域40の最下行、51は撮像面の開口画素領域40の最上行を示す。81はリセット動作の走査特性を示す走査直線、82は後羽根の走行曲線、83は読み出し動作の走査特性を示す走査直線である。本実施の形態では、先羽根がないため、シャッタ装置105を駆動させる前は撮像素子104に光束が到達する状態となる。
【0100】
後羽根の走行曲線を検知するために、まず、リセット動作の走査速度(垂直方向の移動速度)が一定となるように最下行から最上行に向かって行毎にリセット動作を行う。カメラCPU101は、タイミング85にて最下行のリセット動作が開始されてから所定時間t0が経過したタイミング86で後羽根が最下行にかかるように、後羽根の走行を開始させる。そして後羽根の走行が完了してから、撮像素子104の電荷読み出し動作を開始する。ここでの電荷読み出し動作は、すべての行に対して電荷読み出しを行うのではなく、特定の複数の行に対してのみ電荷読み出しを行うスキップ読みを行ってもよい。すべての行に対して電荷の読み出しを行えば、後羽根のより正確な走行曲線を得ることができる。
【0101】
ここで、リセット動作が行われてから蓄積電荷の読み出しが行われるまでの時間が、撮像素子104における電荷蓄積時間となる。リセット動作が走査直線81に示すように一定の速度で行われるのに対し、後羽根は走行曲線82に示す軌跡を描きながら走行するため、後羽根の走行によって開始される露光に伴う電荷蓄積時間(露光蓄積時間)は行毎に異なる。
【0102】
すなわち、リセット動作の走査直線81と後羽根の走行曲線82との間の時間が露光蓄積時間となる。この露光蓄積時間は撮像素子104の垂直方向における位置に応じて差が生じる。この露光蓄積時間の差は、後羽根の走行曲線82を表していることになる。このため、撮像素子104の垂直方向における露光蓄積時間の分布を正確に検出できれば、後羽根の走行曲線82を求めることができる。
【0103】
よって、カメラCPU101は第1の実施の形態と同様に各行における電荷蓄積データをW1(v)として求めれば、第1の実施の形態と同様の方法によって求めたW2(vv)を求めることで、露光蓄積時間に分布に関するW3(v)を求めることができる。
【0104】
あとは、カメラCPU101は、撮像素子104の各行におけるリセット動作の制御時刻Tを、下記式によって求める。
【0105】
T=t(v)+t0*W3(v)/W3(0)
このように本実施の形態によれば、後羽根の走行曲線を撮像素子の出力を用いて検出しているため、他のセンサ等の検出部材を用いて後羽根の走行曲線を検出する必要がなくなる。このため、撮像システムを大型化、あるいは、コストアップをさせる必要がない。
【0106】
また、本実施の形態ではリセット動作の走査直線81と後羽根の走行曲線82との間の露光蓄積時間にて後羽根の走行曲線を求めるための電荷蓄積データW1(v)を求めたが、これに限られるものではない。第1の実施の形態と同様に、後羽根の走行曲線と読み出し動作の走査直線との間の露光蓄積時間を用いて電荷蓄積データW1(v)を求めることもできる。
【0107】
また、シャッタ装置105が遮光装置を構成し、カメラCPU101が制御回路を構成し、垂直シフトレジスタ41、S−n回路42、水平出力部43、パルス発生回路107、および、垂直駆動変調回路108等で走査回路を構成する。
【0108】
なお、上述の各実施の形態において、撮像素子104をCMOSイメージセンサとして説明を行ったが、撮像素子はXYアドレス型であればCMOSイメージセンサに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる撮像システムの構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかるシャッタ装置の構成図である。
【図3】従来の撮像システムにおける被写体をモニタするための動画を撮像する場合の機械的動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態にかかる撮像システムにおける被写体をモニタするための動画を撮像する場合の機械的動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態にかかる撮像素子の構成の模式図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態にかかる撮像素子の構成の別の模式図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態にかかる撮像素子の基本的な読み出し動作を説明するための図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態にかかる撮像素子およびシャッタ装置を被写体側から見た図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態にかかる露光量の分布に関するデータを示すW1(v)、被写体の輝度情報を取得するためのデータを示すW2(v)、および、W1(v)とW2(v)より求められたW3(v)を利用してリセット動作を行う方法を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態にかかるシャッタ装置の構成図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態にかかる撮像システムにおける被写体をモニタするための動画を撮像する場合の機械的動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施の形態にかかる露光量の分布に関するデータを示すW1(v)、被写体の輝度情報を取得するためのデータを示すW2(v)、および、W1(v)とW2(v)より求められたW3(v)を利用してリセット動作を行う方法を示す図である。
【図13】従来のフォトインタラプタを用いて先羽根の走行特性を検知する装置の構成図である。
【符号の説明】
【0110】
22 後羽根
40 開口画素領域
41 垂直シフトレジスタ
42 S−n回路ブロック
43 水平出力部
100 カメラ本体
102 ミラー部材
103 ファインダ光学系
104 CMOSイメージセンサ
105 シャッタ装置
106 シャッタ駆動回路
107 パルス発生回路
108 垂直駆動変調回路
109 信号処理回路
110 映像表示回路
111 画像記録回路
112 スイッチユニット
113 通信接点
200 交換レンズ装置
201 撮影レンズ
202 レンズCPU
203 レンズ駆動回路
204 通信接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光した光量に応じて電荷を蓄積する撮像素子と、
前記撮像素子の受光面を遮光する遮光羽根を走行させることで前記撮像素子の遮光領域を変化させる遮光装置と、
前記撮像素子の領域毎に電荷の蓄積を開始させるための第1の走査行い、前記撮像素子の領域毎に蓄積された電荷を読み出すための第2の走査を行う走査回路と、
前記第1の走査と第2の走査のいずれかと、前記遮光装置の走行との間に蓄積された第1の電荷の量に応じて、前記遮光装置の走行特性を演算する制御回路とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記走査回路は前記遮光装置による前記遮光領域の変化する方向に前記第1の走査および前記第2の走査を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御回路は前記第1の電荷の量と、前記第1の走査が行われてから前記第2の走査が行われるまでの間に蓄積された第2の電荷の量とに応じて前記遮光装置の走行特性を演算することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の電荷は前記第1の走査が行われてから前記遮光装置による受光面の遮光が行われるまでの間に蓄積された電荷であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の電荷は前記遮光装置による受光面の遮光が解除されてから前記第2の走査が行われるまでの間に蓄積された電荷であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記走査回路は前記第1の電荷を得るために行われる前記第2の走査を前記受光面の一部の領域に対して行うことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記走行特性とは、前記遮光装置の走行中における時間経過に対する前記遮光羽根の走行位置を示すものであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御回路は前記演算された走行特性に基づいて、前記第1の走査を行うタイミングを制御することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項9】
受光した光量に応じて電荷を蓄積する撮像素子と、
前記撮像素子の受光面を遮光する遮光羽根を走行させることで前記撮像素子の遮光領域を変化させる遮光装置と、
前記撮像素子の領域毎に、電荷の蓄積を開始させるための第1の走査行い、前記撮像素子の領域毎に、蓄積された電荷を読み出すための第2の走査を行う走査回路と、
前記第1の走査と第2の走査のいずれかと、前記遮光装置の走行との間に蓄積された第1の電荷の量に応じて、前記第1の走査を行うタイミングを制御することによって、前記第1の走査と前記遮光装置の走行との間に蓄積される電荷の量を調整する制御回路とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記制御回路は前記第1の電荷の量と、前記第1の走査と前記第2の走査の間に蓄積された第2の電荷の量に応じて、前記第1の走査を行うタイミングを制御する特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記制御回路は前記第1の走査を行う際における時間経過に対する走査領域の位置を示す曲線の形状が、前記遮光装置の走行中における時間経過に対する前記遮光羽根の走行位置を示す曲線の形状に近づくように前記第1の走査を行うタイミングを制御することを特徴とする請求項9または10に記載の撮像装置。
【請求項12】
受光した光量に応じて電荷を蓄積する撮像素子と、
前記撮像素子の受光面を遮光する先羽根または後羽根を走行させることで前記撮像素子の遮光領域を変化させる遮光装置と、
前記撮像素子の領域毎に電荷の蓄積を開始させるための第1の走査行い、前記撮像素子の領域毎に蓄積された電荷を読み出すための第2の走査を行う走査回路と、
前記先羽根による前記撮像素子の受光面の遮光が解除されてから前記第2の走査が行われるまでの間に蓄積された第1の電荷の量と、前記第1の走査が行われてから前記第2の走査が行われるまでの間に蓄積された第2の電荷の量とに応じて、前記第1の走査タイミングを制御することにより、前記第1の走査が行われてから前記後羽根による前記撮像素子の受光面の遮光が行われるまでの間に蓄積される第3の電荷の量を調節する制御回路とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
前記制御回路は前記走査回路と前記駆動部材とを前記第1の電荷が前記第2の電荷よりも先に得られるように制御することを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
受光した光量に応じて電荷を蓄積する撮像素子と、前記撮像素子の受光面を遮光する遮光羽根を走行させることで前記撮像素子の遮光領域を変化させる遮光装置と、前記撮像素子の領域毎に電荷の蓄積を開始させるための第1の走査行い、前記撮像素子の領域毎に蓄積された電荷を読み出すための第2の走査を行う走査回路とを備えた撮像装置の制御方法において、
前記走査回路による前記第1の走査と第2の走査のいずれかと、前記遮光装置による前記遮光羽根の走行と、の間に蓄積された第1の電荷を得る工程と、
前記第1の電荷の量に応じて、前記遮光装置の走行特性を演算する演算工程とを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項15】
前記第1の電荷を得る工程では、前記走査回路が前記遮光装置による前記遮光領域の変化する方向に前記第1の走査または前記第2の走査を行うことを特徴とする請求項14に記載の撮像装置の制御方法。
【請求項16】
前記第1の走査が行われてから前記第2の走査が行われるまでの間に蓄積された第2の電荷を得る工程を有し、前記演算工程では前記第1の電荷の量と前記第2の電荷の量に応じて前記遮光装置の走行特性を演算することを特徴とする請求項14または15に記載の撮像装置の制御方法。
【請求項17】
前記第1の電荷を得る工程では前記走査回路が前記第1の走査を行ってから前記遮光装置が前記撮像素子の受光面を遮光することを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の撮像装置の制御方法。
【請求項18】
前記第1の電荷を得る工程では前記遮光装置が前記撮像素子の受光面の遮光を解除してから前記走査回路が前記第2の走査を行うことを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の撮像装置の制御方法。
【請求項19】
前記第1の電荷を得る工程では前記走査回路は前記第2の走査を前記受光面の一部の領域に対して行うことを特徴とする請求項18に記載の撮像装置の制御方法。
【請求項20】
前記走行特性とは前記遮光装置の走行中における時間経過に対する前記遮光羽根の走行位置を示すものであることを特徴とする請求項14から19のいずれかに記載の撮像装置の制御方法。
【請求項21】
前記演算工程にて演算された走行特性に基づいて前記第1の走査を行うタイミングを制御する制御工程を有することを特徴とする請求項14から20のいずれかに記載の撮像装置の制御方法。
【請求項22】
受光した光量に応じて電荷を蓄積する撮像素子と、前記撮像素子の受光面を遮光する遮光羽根を走行させることで前記撮像素子の遮光領域を変化させる遮光装置と、前記撮像素子の領域毎に電荷の蓄積を開始させるための第1の走査行い、前記撮像素子の領域毎に蓄積された電荷を読み出すための第2の走査を行う走査回路とを備えた撮像装置の制御方法において、
前記走査回路による前記第1の走査と第2の走査のいずれかと、前記遮光装置による前記遮光羽根の走行と、の間に蓄積された第1の電荷を得る工程と、
前記走査回路が前記第1の電荷の量に応じて設定されたタイミングで前記第1の走査を行ってから、前記遮光装置が前記撮像素子の受光面を遮光する制御工程とを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項23】
受光した光量に応じて電荷を蓄積する撮像素子と、前記撮像素子の受光面を遮光する遮光羽根を走行させることで前記撮像素子の遮光領域を変化させる遮光装置と、前記撮像素子の領域毎に電荷の蓄積を開始させるための第1の走査行い、前記撮像素子の領域毎に蓄積された電荷を読み出すための第2の走査を行う走査回路とを備えた撮像装置の制御方法において、
前記走査回路による前記第1の走査と第2の走査のいずれかと、前記遮光装置による前記遮光羽根の走行と、の間に蓄積された第1の電荷を得る工程と、
前記走査回路による前記第1の走査が行われてから前記第2の走査が行われるまでの間に蓄積された第2の電荷を得る工程と、
前記走査回路による前記第1の走査が行われてから前記遮光装置による前記撮像素子の受光面の遮光が行われるまでの間に蓄積された第3の電荷を得る工程とを有し、
前記第3の電荷を得る工程では前記第1の電荷の量と前記第2の電荷の量に応じて、前記走査回路による前記第1の走査が行われるタイミングが制御されることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項24】
前記第3の電荷を得る工程では前記第1の走査を行う際における時間経過に対する走査領域の位置を示す曲線の形状が、前記遮光装置の走行中における時間経過に対する前記遮光羽根の走行位置を示す曲線の形状に近づくように、前記走査回路による前記第1の走査が行われるタイミングが制御されることを特徴とする請求項23に記載の撮像装置の制御方法。
【請求項25】
受光した光量に応じて電荷を蓄積する撮像素子と、前記撮像素子の受光面を遮光する先羽根または後羽根を走行させることで前記撮像素子の遮光領域を変化させる遮光装置と、前記撮像素子の領域毎に電荷の蓄積を開始させるための第1の走査行い、前記撮像素子の領域毎に蓄積された電荷を読み出すための第2の走査を行う走査回路とを備えた撮像装置の制御方法において、
記遮光装置の先羽根による前記撮像素子の受光面の遮光の解除が行われてから前記走査回路による前記第2の走査が行われるまでの間に蓄積された第1の電荷を得る工程と、
前記走査回路による前記第1の走査が行われてから前記第2の走査が行われるまでの間に蓄積された第2の電荷を得る工程と、
前記走査回路による前記第1の走査が行われてから前記遮光装置の後羽根による前記撮像素子の受光面の遮光が行われるまでの間に蓄積された第3の電荷を得る工程とを有し、
前記第3の電荷を得る工程では前記第1の電荷の量と前記第2の電荷の量に応じて、前記走査回路による前記第1の走査が行われるタイミングが制御されることを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−101492(P2006−101492A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241061(P2005−241061)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】