説明

撮像装置、撮像方法および撮像プログラム

【課題】記録した際の画像の品質を前もって確認することができる撮像装置および撮像方法を提供すること。
【解決手段】撮像素子22によって撮像される画像と、撮影条件とを表示モニタ4にスルー表示し、角速度センサ24によって検出された手振れ量を指標として、撮影条件と対応付けて表示モニタ4に表示するようにカメラ制御部36により制御することで、スルー画像を記録した際の画像記録に関する品質を前もって表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、例えば、手振れ量に応じて表示中のスルー画像を記録した際の画像記録に関する品質を前もって表示することができる撮像装置、撮像方法および撮像プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手振れ量を検出して、スルー画像に表示させる技術としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1では、スルー画像を表示するとともに、手振れ量をグラフ化して表示部の下部に表示する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−180471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の場合、手振れ量をグラフ化して表示することはあっても、その手振れ量の状態で記録した時、どのような撮影条件、例えば、シャッタ速度やISO感度で記録されるのかユーザは確認することができなかった。また、どの程度手振れを抑えればユーザが所望する品質で記録できるのか一度記録した後に視認しなければ分からないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的は、記録した際の画像の品質をユーザが前もって確認することができる撮像装置、撮像方法および撮像プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1の発明は、撮像手段と、この撮像手段によって撮像される画像と、撮影条件とを表示する表示手段と、手振れ量を検出する検出手段と、この検出手段によって検出された手振れ量を指標として、前記撮影条件と対応付けて表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本願請求項2の発明は、上記請求項1の発明において、前記撮影条件とは、前記画像を記録する際のシャッタ速度であることを特徴とする。
【0008】
また、本願請求項3の発明は、上記請求項1の発明において、前記撮影条件とは、前記画像を記録する際のISO感度情報であることを特徴とする。
【0009】
また、本願請求項4の発明は、上記請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、前記検出手段によって検出された手振れ量に応じて、前記画像を記録した際のノイズ量を推測する推測手段と、前記撮像される画像に前記推測手段によって推測したノイズを付加して加工する加工手段とを更に備え、前記表示制御手段は、前記撮影条件として前記加工手段によって加工された画像を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0010】
また、本願請求項5の発明は、上記請求項4に記載の発明において、前記撮像される画像から均一な色の領域を選択する選択手段を更に備え、前記加工手段は、この選択手段によって選択された領域にノイズを付加して加工することを特徴とする。
【0011】
また、本願請求項6の発明は、上記請求項5に記載の発明において、前記表示制御手段は、前記加工手段によって加工された画像と加工対象となった領域とを関連付けて表示するよう制御することを特徴とする。
【0012】
本願請求項7の発明は、撮像素子によって撮像される画像と、撮影条件とを表示する表示ステップと、手振れ量を検出する検出ステップと、この検出ステップにより検出された手振れ量を指標として、前記撮影条件と対応付けて表示するよう前記表示ステップを制御する表示制御ステップとを有することを特徴とする。
【0013】
本願請求項8の発明は、撮像素子を備えた撮像装置が具備するコンピュータを、前記撮像素子によって撮像される画像と、撮影条件とを表示部に表示させる表示手段、手振れ量を検出する検出手段、この検出手段によって検出された手振れ量を指標として、前記撮影条件と対応付けて表示するよう前記表示部を制御する表示制御手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録した際の画像の品質をユーザが前もって確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態> 図1は、本発明に係る撮像装置の第1の実施形態である電子カメラの外観を示す正面図(図1(A))及び背面図(図1(B))である。
【0016】
電子カメラは、図1(A)に示すように、正面側にストロボ発光部1および撮影レンズ(レンズ群)2を有している。また、電子カメラの背面には図1(B)に示すように、モードダイアル3、表示モニタ4、カーソルキー5、SETキー6、ズームキー7(Wキー7−1、Tキー7−2)、手振れ補正機能キー10等が設けられている。また、上面にはシャッターキー8、電源キー9が設けられ、図示されていないが側部にはパーソナルコンピュータ(以下、パソコン)やモデム等の外部装置とUSBケーブルに接続する場合に用いるUSB端子接続部が設けられている。
【0017】
図2は、本発明の第1の実施形態の電子カメラの構成を説明するためのブロック図である。
【0018】
撮影レンズ2は、ズームレンズ2a、フォーカスレンズ2bおよび補正光学系21を有する。ズームレンズ2aは、ズーム制御機構(図示しない)によって光軸方向に進退駆動される。ズームレンズ1aが進退駆動されることで撮影画角が変化する。フォーカスレンズ2bは、フォーカス制御機構によって光軸方向に進退駆動される。フォーカスレンズ2bが進退駆動されることで撮影レンズ2のピント調節が行われる。補正光学系21は、補正光学系駆動部26に設けられたアクチュエータによって光軸と直交する方向に手振れを打ち消すように駆動(移動)される。補正光学系21が駆動されることで、撮像素子22の撮像面上に結像される被写体像がシフトする。
【0019】
撮像素子22はCMOSなどによって構成される。撮像素子22は、その撮像面上に結像される被写体像を撮像して撮像信号を出力する。信号処理部30は、アナログ撮像信号をディジタル信号に変換した上で所定の信号処理(たとえば、色補間処理、γ補正処理、ホワイトバランス処理、シェーディング補正処理など)を施す。タイミング発生部29は、撮像素子22から読み出す撮像信号の読み出しタイミング信号を発生する。
【0020】
角速度センサ24は、電子カメラの動きを物理的、直接的に検出し、角速度を示す動き検出信号をカメラ制御部36に出力する。
【0021】
光学振れ補正処理部25は、カメラ制御部36に設けられており、角速度センサ24からの検出信号の大きさに応じた補正量を出力する変換テーブルを有しており、カメラ制御部36から補正開始指令を受け付けて起動し、角速度センサ24で検出される検出信号に応じて補正量を算出し、補正光学系駆動部26に補正光学系21を駆動させる。
【0022】
補正光学系駆動部26は、カメラ制御部36からの補正量に応じて補正光学系21を撮影レンズ2の光軸と直交する方向に駆動する。なお、補正光学系21の駆動量は光学振れ補正処理部25によって決定される。
【0023】
画像処理部31は、信号処理部30から入力される画像データを所定のデータ形式にフォーマット変換したり、画像データを表示処理部32に与えたりする。表示処理部32は画像データを用いて映像信号を生成して表示モニタ4へ送出する。
【0024】
表示モニタ4は、液晶表示パネルなどによって構成され、表示処理部32から入力される映像信号による画像などを表示する。表示画像は、静止画撮影指示前に撮像素子22で逐次撮像されるスルー画像、静止画撮影指示後に撮像素子22で撮像される静止画、動画撮影時の動画、記録部34に記録されている画像データによる再生画などがある。これら画像は、操作部35の操作によって表示モニタ4上で、電気的に表示画角を変更して(電子ズーム)表示することができる。
【0025】
記録部34は、着脱可能なメモリーカードなどによって構成される。撮影モードにおいて、記録部34は画像処理部31でフォーマット変換された画像データを記録する。再生モードにおいて、記録部34に記録されている画像データが読み出されて画像処理部31へ送られる。画像処理部31は、再生画像を表示するための映像信号を生成する。なお、電子カメラは静止画撮影モード、および動画撮影モードのそれぞれを選択可能に構成されており、動画撮影時には音声データも記録してもよい。
【0026】
操作部35は、図1にて示したモードダイアル3、カーソルキー5、SETキー6、ズームキー7、シャッターキー8、電源キー9、手振れ補正機能キー10等を含み、各操作に応じた操作信号を発生してカメラ制御部36へ送出する。
【0027】
カメラ制御部36は、CPU、およびCPUが実行する制御プログラムが格納されるROM、ワークRAM(不図示)を含んで構成され、操作部35から入力される操作信号に応じて各ブロックへ指令を出力し、カメラ動作を制御する。なお、ROMには、ズーム位置(ズーム段数)情報に対応するズーム倍率が記憶されているズームテーブルが含まれる。また、カメラ制御部36は、補正指令に応じて起動して角速度センサ24で検出される検出信号に応じて補正量を算出して補正光学系駆動部26に出力する光学振れ補正処理部25と、角速度センサ24で検出される検出信号に応じて撮影時のノイズ量を推測し表示処理部32に出力するノイズ量推測処理部27とが設けられている。尚、ノイズ量推測処理部27の具体的な動作については、第2の実施形態で詳述する。
【0028】
デバイス情報記憶部37には、撮影レンズ2に許容される最大許容振れ量や、撮像素子22の性能情報を記憶する性能情報記憶部371と、ISO感度とシャッタ速度とf値および手振れ量に基づいてノイズ量の値nを推測するためのテーブルを記憶する性能情報記憶部372とが設けられている。
【0029】
図3は、本発明の電子カメラの概略動作を示すフローチャートであり、このフローチャートは電子カメラのメインプログラムを説明するためのものである。以下に示す処理は基本的にカメラ制御部36が予めフラッシュメモリ等のプログラムメモリに記憶されたプログラムに従って実行する例で説明する。以下、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。また、電子カメラはズーム機能およびオートフォーカス機能を備えているものとして以下に説明する。
【0030】
図3で、ユーザが図1に示す電源キー9を操作して電子カメラの主電源をオンし、そしてモードダイアル3を操作して撮影モードに設定すると、カメラ制御部36はこれを検出し、ステップS10にて各回路部に入力する初期値や初期撮影条件を読み出し、各回路部に設定する。
【0031】
次いで、ステップS15にて、カメラ制御部36は、設定した撮影モードにおいて、スルー画像表示がON設定、すなわち、スルー画像表示するになっているか否かを判断する。ここで、ON設定されている場合はステップS20に進み、ON設定されていない場合はステップS30に進む。
【0032】
ステップS20にて、カメラ制御部36は、スルー画像表示を開始する。すなわち、カメラ制御部36は、タイミング発生部29にスルー画像表示処理に関する開始信号を出力する。これに応じてタイミング発生部29は、タイミング信号を撮像素子22と信号処理部30へ出力する。そして、撮像素子22は撮像した画像信号を信号処理部30に出力し、信号処理部30は画像信号から画像データを生成して画像処理部31に出力し、画像処理部31は画像データをフォーマット変換して表示処理部32に出力し、表示処理部32は画像データから映像信号を生成して表示モニタ4にスルー画像を表示する。この結果、表示モニタ4には図7に示すようなスルー画像が表示される。なお、図7に示す画像は図面の制約上静止画のように見えるが、所定の時間間隔でスルー画像が更新される。
【0033】
なお、図7に示すように、表示モニタ4の表示画面50には、現在の手振れ量を棒グラフ55で示すための棒グラフ表示エリア52、推奨されるf値を示すためのf値表示エリア54、推奨されるf値に対応する撮影条件を示すための撮影条件表示エリア56、推奨されるf値を変更した場合の第2の候補となるf値に対応する撮影条件を示すためのサブ表示エリア58が設けられている。
【0034】
次いで、ステップS30にて、カメラ制御部36は、図2に示す操作部35、詳細にはズームキー7からの信号を基にズーム指示があったか否かを調べ、ズーム指示があった場合はステップS40に進み、ズーム指示がなかった場合はステップS50に進む。
【0035】
次いで、ステップS40にて、ズーム指示があった場合は、カメラ制御部36は撮影レンズ2を制御してズーム処理を行わせる。つまり、ズーム用(ZOOM)ドライバ(不図示)に制御信号を送り、ズームモータを駆動して指定されたズーム段に対応するズーム位置にレンズを移動させ、ステップS50に進む。なお、カメラ制御部36は現在のズーム位置(ズーム段数)をワークRAMに記憶するようにしている。
【0036】
次いで、ステップS50にて、カメラ制御部36は、操作部35からの信号に基づいてシャッターキー8の半押し操作が開始されたか否かを調べる。シャッターキー8の半押し操作が開始された場合はステップS60に進み、シャッターキー8の半押し操作が開始されてない場合はステップS15に戻る。
【0037】
次いで、シャッターキー8の半押し操作が開始されると、ステップS60にて、カメラ制御部36は、その時点で選択されているズーム位置(ズーム段数)に対応した焦点距離でオートフォーカス(AF)処理、自動露出計測(AE)処理、および自動ホワイトバランス(AWB)制御処理を実行する。そして、カメラ制御部36は、ステップS60での各種処理による結果を各部に反映させ、再度、撮像素子22、信号処理部30を経て取得した画像データを画像処理部31から表示処理部32に接続された表示モニタ4に表示する。
【0038】
次いで、ステップS70にて、カメラ制御部36は、シャッターキー8が全押しされたか否かを調べる。シャッターキー8が全押しされた場合はステップS80に進み、シャッターキー8が全押しされてない場合はステップS75に進む。
【0039】
次いで、ステップS75にて、カメラ制御部36は、操作部35からの信号に基づいてシャッターキー8の半押し操作が解除されたか否かを調べる。シャッターキー8の半押し操作が解除された場合はステップS30に戻り、シャッターキー8の半押し操作が解除されてない場合はステップS70に戻る。
【0040】
次いで、シャッターキー8が全押しされた場合には、ステップS80にて、カメラ制御部36は、新たに静止画に用いる画像信号を撮像素子22から取得する。すなわち、カメラ制御部36は、タイミング発生部29に静止画画像取得処理に関する開始信号を出力する。これに応じてタイミング発生部29は、タイミング信号を撮像素子22と信号処理部30へ出力する。そして、撮像素子22は撮像した高精細の画像信号を信号処理部30に出力し、信号処理部30は画像信号から画像データを生成して画像処理部31に出力し、画像処理部31は1フレーム分の画像データ(静止画像データ)をJPEG圧縮処理し、圧縮された静止画像データを記録部34に記録して1フレーム分の静止画像の撮影処理し、ステップS15に戻る。
【0041】
図4は、本発明に係る撮像装置の第1の実施形態である電子カメラの手振れ制御処理について説明するためのフローチャートである。なお、図4に示す手振れ制御処理は、図3に示す電子カメラの概略動作の処理と並列して実行されていることとする。
【0042】
ところで、ユーザが手振れ補正機能キー10を操作した場合、ユーザの操作に応じたON/OFF操作信号が操作部35に入力される。このとき、操作部35は割り込み信号を発生してカメラ制御部36に出力するので、カメラ制御部36は操作内容を示すフラグをメモリ(不図示)のON/OFF設定フラグ領域に設定する。
【0043】
図4において、ステップS110にて、カメラ制御部36は、操作部35により設定されたON/OFF設定フラグ領域を調べ、手振れ補正機能がオンに設定されているか否かを判断する。
【0044】
そして、ステップS110で、手振れ補正機能がON設定されていると判断できると、ステップS113にて、カメラ制御部36は、角速度センサ24へスタート信号を与えて、当該電子カメラに生じる振れ量の検出を開始させる。
【0045】
この角速度センサ24によって検出される当該電子カメラに生じる振れ量情報(検出信号)は、カメラ制御部36、または、カメラ制御部36に設けられた光学振れ補正処理部25に入力される。
【0046】
次いで、ステップS115にて、カメラ制御部36は、操作部35により設定されたON/OFF設定フラグ領域を調べ、手振れ補正機能がオフに設定されたか否かを判断する。
【0047】
手振れ補正機能がオフに設定された場合は、ステップS117に進み、カメラ制御部36は、停止信号を角速度センサ24に与えて、当該電子カメラに生じる振れ量の検出を停止させ、ステップS110に戻る。なお、手振れ補正機能がオフに設定された場合に、補正光学系21が駆動されているときには、これらの駆動を停止する。
【0048】
一方、ステップS115において、手振れ補正機能がオフに設定されていなかった場合、すなわち、手振れ補正機能が継続してオンに設定されている場合には、ステップS119に進む。
【0049】
次いで、ステップS119にて、カメラ制御部36は、光学振れ補正処理部25に補正指令を送る。光学振れ補正処理部25は、カメラ制御部36から補正指令を受け付けて起動し、角速度センサ24で検出される検出信号に応じて補正量を算出して補正光学系駆動部26に送り、ステップS115に進む。尚、このとき、補正光学系駆動部26は、光学振れ補正処理部25からの補正量に応じて補正光学系21を駆動させる。
【0050】
図5は、本発明に係る撮像装置の第1の実施形態である電子カメラのスルー画像表示処理について説明するためのフローチャートである。なお、図5に示すスルー画像表示処理は、図3に示す電子カメラの概略動作の処理と並列して実行されていることとする。
【0051】
上述したように、ユーザが手振れ補正機能キー10を操作した場合、ユーザの操作に応じたON/OFF操作信号が操作部35に入力され、操作部35は割り込み信号を発生してカメラ制御部36に出力するので、カメラ制御部36は操作内容を示すフラグをメモリ(不図示)のON/OFF設定フラグ領域に設定する。
【0052】
図5において、ステップS210にて、カメラ制御部36は、操作部35により設定されたON/OFF設定フラグ領域を調べ、手振れ補正機能がONに設定されているか否かを判断する。
【0053】
そして、ステップS210で、手振れ補正機能がONに設定されていないと判断した場合、ステップS215にて、カメラ制御部36は、スルー表示指令を画像処理部31に出力し、信号処理部30から入力される画像データを表示処理部32に出力させる。表示処理部32は、この画像データを用いて映像信号を生成し、表示モニタ4はこの生成された映像信号に基づくスルー画像を表示する。
【0054】
ここで、ステップS220にて、カメラ制御部36は、内部に設けられたタイマ(図示しない)を用いて一定時間経過したか否か判断し、一定時間経過していない場合にはステップS215に戻り、一定時間経過した場合にはステップS210に戻る。
【0055】
一方、ステップS210で、手振れ補正機能がON設定されていると判断できる場合、ステップS230にて、カメラ制御部36は、角速度センサ24へスタート信号を与えて、当該電子カメラに生じる手振れ量の検出を開始させ、さらに、角速度センサ24から振れ量情報を入力する。
【0056】
次いで、ステップS240にて、カメラ制御部36は、性能情報記憶部371から読み出した撮影レンズ2や補正光学系駆動部26に許容される最大許容振れ量に対する現在の振れ量の割合Sを算出する。
【0057】
次いで、ステップS250にて、カメラ制御部36は、現在の手振れ量の割合Sに基づいて、表示画面50(図7)の棒グラフ表示エリア52に表示すべき割合Sに対応する棒グラフ55の画像データを生成し、表示処理部32にこの画像データを出力することで、表示モニタ4の表示画面50に棒グラフ55が表示される。なお、カメラ制御部36により生成される棒グラフ55のレベル53は、表示画面50(図7)の棒グラフ表示エリア52のy座標の値に割合Sを乗算すれば算出することができる。
【0058】
次いで、ステップS260にて、カメラ制御部36は、現在の手振れ量に対応するシャッタ速度、ISO感度、f値を算出する。ここで、手振れ量とシャッタ速度との関係について説明する。
【0059】
電子カメラのシャッタが開いている時間(シャッタ速度)が短いと、手振れよりも先に撮像素子22から画像を取り込むことができるため、振れない画像を記録することができる。そこで、手振れ量に対して、振れない画像を記録可能なシャッタ速度の最低値をカメラ制御部36の内部テーブルに記憶しておき、まず始めに、カメラ制御部36が手振れ量に対するシャッタ速度の最低値を内部テーブルから読み出して、シャッタ速度を求め、次に、このシャッタ速度に対応するISO感度、f値をマルチプログラム線図を参照して求める。
【0060】
ここで、図6を参照して、性能情報記憶部371に記憶されているマルチプログラム線図について説明する。
【0061】
このマルチプログラム線図の縦軸は、撮影レンズ2のf値(絞り値)を指し、横軸はシャッタ速度を指し、図中の斜線はEV(Exposure Value:露出値)値を指す。単純に被写体の明るさを考えると、EV値が小さいほど暗く、大きいほど明るいことを意味する。つまり、図6の左上が最も暗い被写体であることを示し、右下に移動するに従ってEV値が大きくなる明るい被写体であることを示している。
【0062】
EV値=0が、f値=1、シャッタ速度=1秒で適正露出になる被写体の明るさを意味する。図6において、f値またはシャッタ速度が一段上下するごとに、EV値は1ずつ増減する。
【0063】
例えば、f値=1をf値=1.4に、シャッタ速度=1秒を1/2秒にすれば、すなわち、f値とシャッタ速度をそれぞれ1段ずつ増せば、EV値=0+1+1=2となる。例えば、ISO100のフィルムの場合、晴天順光時においてEV値=15、曇天においてはEV値=12、日光の入る室内においてはEV値=7、人工照明の室内においてはEV値=5程度になる。
【0064】
ISO感度は、図6においてはISO感度=100の場合を想定している。ISO感度を2倍にするとEV値に+1を加算した値が同等になる。ISO感度を上げるとシャッタ速度を速く設定したり、f値を小さくすることが可能だがノイズが多くなる傾向を示す。
【0065】
f値は、レンズの口径を指し、値が小さいほど、大きい口径を表す。口径が大きければ被写体界深度が浅くなり、ピントの合った被写体が際立つ、例えばポートレート風の画像が得られ、一方、口径が小さければピントの合う深度が広くなる。撮像状況や被写体に合わせて、上記3つのパラメータを組み合わせて露出を行う。
【0066】
電子カメラにおいては、上記3つのパラメータは自動設定するのが一般的だが、ユーザの要望に応じてマニュアル設定も可能である。マニュアル設定の場合、露出(EV値)の設定は、プログラム線図を使用して、ISO感度、シャッタ速度、F値の3つのパラメータで設定される。
【0067】
図5に戻り、ステップS270にて、カメラ制御部36は、算出したシャッタ速度、ISO感度、f値などの撮影条件に関するテキストコードに変換し、さらに、このテキストコードから適用するテキスト画像に変換し、テキスト画像を表示処理部32に出力する。この結果、表示処理部32から表示モニタ4の表示画面50に撮影条件に関するテキスト画像がスルー画像に重畳されて表示される。
【0068】
次いで、ステップS280にて、カメラ制御部36は、性能情報記憶部371から読み出した撮影レンズ2のズーム範囲内でのf値を変更した場合での、シャッタ速度、ISO感度などの撮影条件を性能情報記憶部371から読み出したマルチプログラム線図を参照して算出する。
【0069】
次いで、ステップS290にて、カメラ制御部36は、f値を変更した場合での、シャッタ速度、ISO感度をテキストコードに変換し、さらに、このテキストコードから適用するテキスト画像に変換し、テキスト画像を表示処理部32に出力する。この結果、図7に示すように、表示モニタ4の表示画面50のサブ表示エリア58に撮影条件の組がスルー画像に重畳されて表示される。
【0070】
図7にて、手振れ量が棒グラフ55で示すレベル53の場合には、撮影条件として「ISO:200」、「シャッタ:1/400」を撮影条件として電子カメラの撮影が行われることを示している。
【0071】
図7に示す棒グラフ55は、手振れ量が大きくなるほど長くなることを示しており、f値=2.7の時に同じ露光を得るために、ISO感度とシャッタ速度との撮影条件の組み合わせを表示するようにしている。
【0072】
ここで、ステップS295にて、カメラ制御部36は、内部に設けられたタイマを用いて一定時間経過したか否か判断し、一定時間経過していない場合にはステップS290に戻り、一定時間経過した場合にはステップS230に戻る。
【0073】
以上のように、電子カメラがスルー画像表示モードに設定され、手振れ補正機能キーがONに設定された場合に、手振れ量のレベルを棒グラフで表示して、現在の手振れ量で撮影した場合の最適なシャッタ速度とISO感度とF値などの画像記録に関する品質を示す撮影条件を撮影に先立って前もって表示することができる。このため、ユーザはグラフィカルに表示された手振れ量に対応する撮影条件の情報を視認することができ、手振れ量の棒グラフに対応するISO感度が低くなるように当該電子カメラを把持することで、ISO感度を下げ、シャッタ速度を遅くしてノイズの少ない画像を記録する準備を行うことができる。この際、手振れ量を検出してリアルタイムに手振れ量を示す棒グラフが変更されるので、棒グラフを視認しながらノイズの少ない画像を記録することができる。
【0074】
さらに、被写体のEV値によってシャッタ速度の値が変わる。また、f値を変更した時に、図7に示すように、変更後のf値に対応するISO感度とシャッタ速度との撮影条件の組み合わせをサブ表示エリア58に表示するので、現在の手振れ量に対応する別の撮影条件を撮影に先立って前もって参照することができる。
【0075】
<第2の実施形態> 図8は、本発明に係る撮像装置の第2の実施形態である電子カメラの概略動作を示すフローチャートであり、このフローチャートは電子カメラのメインプログラムを説明するためのものである。図8に示すフローチャートは、図3に示すフローチャートに対して、ステップS50とS60との間にステップS340〜S360を組み入れたことを特徴とするので、以下、第2の実施形態の特徴的な部分のみ説明し、第1の実施形態と同様の部分はその説明を省略する。
【0076】
図8に示すステップS50において、カメラ制御部36は、操作部35からの信号に基づいてシャッターキー8の半押し操作が開始されたか否かを調べる。シャッターキー8の半押し操作が開始された場合はステップS60に進む。
【0077】
ステップS340にて、カメラ制御部36に設けられたノイズ量推測処理部27は、性能情報記憶部371から読み出した撮影レンズ2に固有のf値(性能情報)、撮像素子22に固有のISO感度(性能情報)と、角速度センサ24から入力した現在の手振れ量とに基づいて、性能情報記憶部372に記憶されているテーブルを参照して、この性能情報と手振れ量とに対応するノイズ量の値n(0<n<1)を読み出すことで推測する。
【0078】
すなわち、個々のパラメータに対するノイズの関係は、ISO感度が大きくなるとノイズが小さくなる反比例関係、シャッタ速度が速くなるとノイズが大きくなる反比例関係、f値が大きくなるとノイズが少なくなる反比例関係、手振れ量が大きくなるとノイズが大きくなる比例関係にある傾向を示す。この関係を具体化された数値で示すテーブルを性能情報記憶部372に記憶しておくことで、逆に、ISO感度、シャッタ速度、f値、手振れ量に基づいて、性能情報記憶部372からノイズ量の値n(0<n<1)を読み出すことで推測する。
【0079】
次いで、ステップS350にて、カメラ制御部36に設けられたノイズ量推測処理部27は、ステップS340で推測したノイズ量の値nをホワイトノイズの画像データに乗算することで、ノイズ量の値nに相当するノイズ画像に変換する。
【0080】
次いで、ステップS360にて、カメラ制御部36は、撮像素子22の画素平面に割り付けられたアドレス(x、y)の中の小領域で指定可能な範囲の領域アドレスを撮像素子22に出力し、画像処理部31から得られるこの領域アドレスでしてされる画像データの色成分が均一である場合に、この領域アドレスと感度増幅制御値(ノイズ量の値n)を信号処理部30に出力し、この領域アドレスで指定されている画像領域の感度を感度増幅制御値に応じて大きくさせる。この結果、画像データの色成分が均一になっている画像領域の感度が大きくなるので、画像データの色成分が均一になっている画像のノイズも拡大加工され、さらに、表示処理部32から表示モニタ4に出力される当該領域の画像にのみ相対的にノイズ成分を上昇させることができる。この結果、信号処理部30によってノイズ成分が大きくなるように加工された画像(ノイズ画像)が加工対象となった領域に関連付けて表示され、ユーザにとって、手振れによって発生するノイズ量を視認し易くなる。
【0081】
なお、ステップS360において、カメラ制御部36に設けられたノイズ量推測処理部27は、画像処理部31において現在処理されているスルー画像の中で色成分が均一な領域のアドレスと、その領域の画像データを抽出しておき、その領域の画像データに対してステップS350で変換したノイズ画像を乗算した結果を、この領域のアドレスを指定して表示処理部32に出力するようにしてもよく、この結果、表示処理部32によってノイズ成分が大きくなるように加工された画像(ノイズ画像)が加工対象となった領域に関連付けて表示され、当該領域に付加されたノイズ量を視認し安くなる。
【0082】
この結果、図9に示すように、表示モニタ4の画面のうち色成分が均一な領域を領域61とすると、この領域61を矩形で囲んで差別化表示するとともに、この領域61をノイズ画像に変換したものをノイズ表示エリア62に表示する。
【0083】
このように、電子カメラがスルー画像表示モードに設定され、手振れ補正機能キーがONに設定された場合に、電子カメラに現在の設定可能なISO感度、シャッタ速度、f値、手振れ量に基づいて推測したノイズ画像を、記録に先立ち表示画面上に表示することができる。このため、ユーザはグラフィカルに表示されたノイズ画像を視認でき、結果として、ノイズ画像におけるノイズ量が低くなるように電子カメラを把持するので、ノイズの少ない画像を記録する準備を行うことができる。
【0084】
尚、本実施の形態では、本発明を電子カメラに適用した場合について詳述したが、これに限ることなく、撮像素子を備えた電子機器であれば適用可能なことは言うまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係る撮像装置の第1の実施形態である電子カメラの外観を示す正面図(図1(A))及び背面図(図1(B))である。
【図2】本発明の第1の実施形態の電子カメラの構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本発明の電子カメラの概略動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る撮像装置の第1の実施形態である電子カメラの手振れ制御処理について説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係る撮像装置の第1の実施形態である電子カメラのスルー画像表示処理について説明するためのフローチャートである。
【図6】マルチプログラム線図を示す図である。
【図7】本発明に係る撮像装置の第1の実施形態である電子カメラのスルー画像表示処理時に画面上に付加された撮影条件を示す図である。
【図8】本発明に係る撮像装置の第2の実施形態である電子カメラの概略動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る撮像装置の第2実施形態である電子カメラのスルー画像表示処理時に画面上に付加された撮影条件を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
4…表示モニタ、21…補正光学系、22…撮像素子、24…角速度センサ、25…光学振れ補正処理部、26…補正光学系駆動部、29…タイミング発生部、30…信号処理部、31…画像処理部、32…表示処理部、34…記録部、35…操作部、36…カメラ制御部、37…デバイス情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
この撮像手段によって撮像される画像と、撮影条件とを表示する表示手段と、
手振れ量を検出する検出手段と、
この検出手段によって検出された手振れ量を指標として、前記撮影条件と対応付けて表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮影条件とは、前記画像を記録する際のシャッタ速度であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮影条件とは、前記画像を記録する際のISO感度情報であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記検出手段によって検出された手振れ量に応じて、前記画像を記録した際のノイズ量を推測する推測手段と、
前記撮像される画像に前記推測手段によって推測したノイズを付加して加工する加工手段とを更に備え、
前記表示制御手段は、前記撮影条件として前記加工手段によって加工された画像を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像される画像から均一な色の領域を選択する選択手段を更に備え、
前記加工手段は、この選択手段によって選択された領域にノイズを付加して加工することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記加工手段によって加工された画像と加工対象となった領域とを関連付けて表示するよう制御することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像素子によって撮像される画像と、撮影条件とを表示する表示ステップと、
手振れ量を検出する検出ステップと、
この検出ステップにより検出された手振れ量を指標として、前記撮影条件と対応付けて表示するよう前記表示ステップを制御する表示制御ステップと
を有することを特徴とする撮像方法。
【請求項8】
撮像素子を備えた撮像装置が具備するコンピュータを、
前記撮像素子によって撮像される画像と、撮影条件とを表示部に表示させる表示手段、
手振れ量を検出する検出手段、
この検出手段によって検出された手振れ量を指標として、前記撮影条件と対応付けて表示するよう前記表示部を制御する表示制御手段、
として機能させることを特徴とする撮像プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−294801(P2008−294801A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138794(P2007−138794)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】