説明

撮像装置、通信装置、ネットワークシステム

【課題】例えば災害等の緊急事態が発生した場合には、特定のユーザがネットワークカメラを使用できるようにする。
【解決手段】ネットワークカメラ110、管理者用PC111、一般ユーザ用PC112、特権ユーザ用PC113がネットワーク120に接続されており、ネットワークカメラ110は、放送局100が放出する緊急警報信号を含んだデジタルテレビ放送波を受信することができる。ネットワークカメラ110は、緊急警報信号に基づいて、特権を持つユーザからのアクセスのみを受付ける特権ユーザモードへ移行させる。特権ユーザモードへ移行した後は、特権ユーザのみがネットワークカメラ110にアクセスでき、ネットワークカメラ110による撮影画像を閲覧したり、ネットワークカメラ110を制御したりすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、通信装置、ネットワークシステム及びその制御方法、プログラムに関し、災害時等には特定の通信装置のみがネットワークカメラにアクセスできるようにする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、監視や周辺の状況を紹介することを目的として、ネットワークに接続して使用するネットワークカメラが市販されている。
【0003】
ネットワークカメラを管理する管理者は管理者用の権限を持っており、管理者用ビューアーでネットワークカメラの稼動範囲、公開する相手の設定、動き検知の設定、スケジュール設定等のネットワークカメラの有する機能の設定を行うことが可能である。一方、管理者以外のユーザは、機能が制限された状態で、ネットワークカメラによる撮影画像を閲覧したり、ネットワークカメラを制御したりすることが可能である。
【0004】
このようなネットワークカメラでは、複数のユーザにより同時にアクセスがあったような場合等は、決められた帯域の制限から、管理者以外のユーザがアクセスできない可能性があった。
【0005】
この種の技術に関して、特許文献1には、緊急呼出スイッチ・監視カメラ・通報用マイク・スピーカーを備え、通報信号を送信する緊急警報機器と、緊急警報機器からの通報信号を受信すると該当する監視カメラにより撮像される映像を表示部に表示する防犯監視制御サーバとを、ネットワークに接続して構成したネットワーク型緊急通報システムが開示されている。特許文献1において、緊急警報機器は、通報信号(制御データ、音声データ、映像データ)を送受信するための帯域を、所定の優先順位を有する帯域制御規則に基づき制御する帯域制御部を備えることが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−346262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のネットワークカメラでは、災害等の緊急事態が発生した場合においてもユーザの権限は変わることがないため、管理者以外のユーザはネットワークカメラによる撮影画像を閲覧できない可能性があるという問題がある。
【0008】
例えば周辺の状況を配信するネットワークカメラでは、通常は監視目的としては使用していなくても、災害が発生した場合には、状況を素早く把握するために、公的機関等の特定のユーザのみアクセス可能な設定にするのが望まれている。これにより、帯域の確保だけでなく、特定のユーザがカメラの制御も制限することなく使用できるようになる。
【0009】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであり、例えば災害等の緊急事態が発生した場合には、特定のユーザがネットワークカメラを使用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の撮像装置は、画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段による撮影画像のデータをアクセスのあった通信装置に送信する送信手段と、イベント情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信したイベント情報に基づいて、特定の通信装置のみが該撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の通信装置は、撮影画像のデータをアクセスのあった通信装置に送信する撮像装置に接続された通信装置であって、イベント情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信したイベント情報に基づいて、前記撮像装置に対して、特定の通信装置のみが前記撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させる移行命令を送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。
本発明のネットワークシステムは、複数の通信装置と、前記複数の通信装置のうちアクセスのあった通信装置に撮影画像のデータを送信する撮像装置とを備えたネットワークシステムであって、イベント情報に基づいて、特定の通信装置のみが前記撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させる手段を備えたことを特徴とする。
本発明のネットワークシステムの制御方法は、複数の通信装置と、前記複数の通信装置のうちアクセスのあった通信装置に撮影画像のデータを送信する撮像装置とを備えたネットワークシステムの制御方法であって、イベント情報に基づいて、特定の通信装置のみが前記撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させる手順を有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段による撮影画像のデータをアクセスのあった通信装置に送信する送信手段と、イベント情報を受信する受信手段とを備えた撮像装置を制御するためのプログラムであって、前記受信手段により受信したイベント情報に基づいて、特定の通信装置のみが該撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明のプログラムは、撮影画像のデータをアクセスのあった通信装置に送信する撮像装置に接続された通信装置であり、イベント情報を受信する受信手段を備えた通信装置を制御するためのプログラムであって、前記受信手段により受信したイベント情報に基づいて、前記撮像装置に対して、特定の通信装置のみが前記撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させる移行命令を送信する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、イベント情報に基づいて、特定の通信装置のみが撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させるので、例えば災害等の緊急事態が発生した場合には、公的機関等の特定のユーザがネットワークカメラを使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1に、第1の実施形態に係るネットワークシステムの構成を示す。100は放送局である。104は送信アンテナである。110は撮像装置であるネットワークカメラである。111は管理者が使用するコンピュータ(管理者用PC)である。112は一般ユーザが使用するコンピュータ(一般ユーザ用PC)である。113は特権を持つユーザが使用するコンピュータ(特権ユーザ用PC)である。120はインターネットからなるネットワークであり、ネットワークカメラ110、管理者用PC111、一般ユーザ用PC112、特権ユーザ用PC113が接続される。一般ユーザ用PC112、特権ユーザ用PC113を1台のみ図示したが、それぞれ2台以上あってもよい。
【0013】
放送局100において、101は番組生成部であり、ニュース、ドラマ、音楽、スポーツ、映画、ショッピング、料理等の番組の画像、音声のストリームデータを生成する。102は警報データ生成部であり、災害等の緊急事態が発生した場合、緊急警報放送を行うために、例えば地震や津波の災害規模や発生位置等のデータを生成する。103は多重化送信部であり、番組生成部101や警報データ生成部102により生成されたデータをデジタルテレビトランスポート・ストリーム構造に従い多重化し、伝送信号を生成する。多重化送信部103により生成した伝送信号は、送信アンテナ104からデジタルテレビ放送波(デジタルテレビ信号)として送信され、デジタルテレビ放送波を受信するチューナを備えたネットワークカメラ110により受信される。
【0014】
また、各PC111、112、113には、ネットワークカメラ110を制御して閲覧するためのアプリケーションプログラムが実装されている。管理者用PC111には、管理者が使用可能な機能を盛り込んだアプリケーションAがインストールされている。一般ユーザ用PC112には、一般ユーザ用に機能が限定されたアプリケーションBがインストールされている。特権ユーザ用PC113には、通常はアプリケーションBと同様の機能しか使えないが、緊急事態が発生したときには使用できる機能が拡張されるアプリケーションCがインストールされている。
【0015】
以下、緊急警報放送について簡単に説明する。緊急警報放送の開始時には、TMCC(Time Multiplexing Configuration Control:伝送多重制御信号)の緊急警報放送用起動フラグを1とする。そして、PMT(Program Map Table)に緊急情報記述子が記載される。緊急情報記述子は、無線設備規則第9の3第5号に規定される緊急警報信号に準じた信号であり、緊急警報放送を行う場合にPMTにて送出される。
【0016】
図2に、デジタルテレビ放送波に含まれる緊急情報記述子の例を示す。図2において、「start_end_flag」は、郵政省告示昭60第405号で定められる緊急警報信号のうちの開始信号及び終了信号に対応し、1の場合は緊急警報信号が開始もしくは放送中であることを示し、0の場合は緊急警報信号が終了したことを示す。「area_code」は、緊急警報放送の対象地域を特定するための符号であって、無線局運用規則第138条の3で定められる地域符号に対応し、その割り当ては郵政省告示昭60第405号に規定されるものを使用する。「signal_level」は、郵政省告示昭60第405号で定められる緊急警報信号のうちの第一種開始信号及び第二種開始信号に対応し、大規模地震である場合には0とし、津波警報である場合には1となる。「service_id」は、緊急警報放送又はテスト放送が行われているかを識別するための識別IDであって、郵政省告示昭60第405号で定められる。
【0017】
図3に、本実施形態に係るネットワークカメラ110の概略構成を示す。撮像制御部302は、撮像素子301を制御することで撮影を行う。画像処理部303は、撮像素子301により取り込まれた撮影画像(動画或いは静止画)のデータを然るべきフォーマットに圧縮し、メモリ304に一時的に格納する。通信制御部306は、メモリ304に格納されたデータをインターフェース307を介して送信する。駆動制御部305は、インターフェース307を介して外部の通信装置からの制御命令を受信して、該カメラ110をパン・チルト制御したり、撮像制御部302を制御してフォーカス制御したりする。緊急警報信号検出部308は、チューナ309で受信したデジタルテレビ放送波から緊急警報信号の部分を抽出してデコードする。なお、撮像制御部302、画像処理部303、メモリ304、駆動制御部305、通信制御部306、緊急警報信号検出部308はバス310により接続されている。
【0018】
次に、図4のフローチャートを参照して、本実施形態に係るネットワークカメラ110の処理動作について説明する。ここでは、ネットワークカメラ110が緊急警報信号(イベント情報)を受信して、特権を持つユーザからのアクセスのみを受付ける特権ユーザモードへ移行するまでの処理の流れを説明する。緊急警報信号検出部308は、チューナ309から送られるデジタルテレビトランスポート・ストリームを解析して、緊急警報信号を検出する。
【0019】
ステップS001では、緊急警報放送用起動フラグが1であるかどうかをチェックする。緊急警報放送用起動フラグが1であれば、緊急警報放送の開始であるのでステップS002に進み、そうでなければ緊急警報放送の開始でないので処理を終える。
【0020】
ステップS002では、PMTに緊急情報記述子が記載されているかどうかを判別し、緊急情報記述子の記載があればステップS003に進み、そうでなければ処理を終える。
【0021】
ステップS003では、緊急情報記述子の「start_end_flag」のビットが1であるかどうかを判定する。このビットが1であれば、緊急警報放送であることが分かるのでステップS004に進み、そうでなければ処理を終える。このステップS003の処理が、本発明でいうイベント情報が有効であるかどうかを判別する判別手段による処理例である。
【0022】
ステップS004では、緊急情報記述子の「area_code」が、メモリ304に設定されている所在地に適合するか判別する。ネットワークカメラ110のメモリ304には、緊急情報記述子の「area_code」に対応した該カメラ110の所在地が予め設定されている。判別の結果、所在地に適合していればステップS005に進み、そうでなければ処理を終える。このステップS004の処理が、本発明でいうイベント情報に含まれる地域情報が、撮像装置の設置地域情報を一致するかどうかを判別する判別手段による処理例である。
【0023】
ステップS005では、緊急情報記述子の「signal_level」の値が有効な設定になっているかどうかを判別する。ネットワークカメラ110のメモリ304には、緊急情報記述子の「signal_level」の設定値である1又は0の値それぞれに対して有効無効を設定することが可能となっている。例えば、津波の影響が考えられないような場所に設置されているネットワークカメラであれば、津波警報である1を受けても無効に設定しておけばよい。判別の結果、有効な設定になっている値であればステップS006に進み、そうでなければ処理を終える。
【0024】
ステップS006では、緊急情報記述子の「service_id」の値が、メモリ304に保持されている値と一致するかどうかを判別する。ネットワークカメラ110のメモリ304には、緊急情報記述子の「service_id」の設定値で有効な値が予め保持されている。判別の結果、メモリ304に保持されている値と一致していればステップS007に進み、そうでなければ処理を終える。これらステップS005、006の処理が、本発明でいうイベント情報に含まれるイベント識別情報が、有効なイベント識別情報であるかどうかを判別する判別手段よる処理例である。
【0025】
ステップS007では、メモリ304に特権ユーザが登録されているかどうかを判別する。ネットワークカメラ110のメモリ304には、特権ユーザの識別情報(IPアドレス及びユーザ名)が予め登録されている。判別の結果、特権ユーザが登録されていればステップS008に進み、そうでなければ処理を終える。このステップS007の処理が、本発明でいう識別情報保持手段により登録されている識別情報に基づいて特定の通信装置を識別する識別手段よる処理例である。
【0026】
ステップS008では、特権を持つユーザからのアクセスのみを受付ける特権ユーザモードへ移行させる。特権ユーザモードへ移行した後は、特権ユーザのみがネットワークカメラ110にアクセスでき、ネットワークカメラ110による撮影画像を閲覧したり、ネットワークカメラ110を制御したりすることが可能となる。また、管理者であっても特権ユーザとして登録されていなければアクセスを受付けなくなる。このステップS008の処理が、本発明でいう制御手段よる処理例である。
【0027】
ステップS009では、特権ユーザモードへ移行したことを管理者用PC111、一般ユーザ用PC112、特権ユーザ用PC113に通知する。各PC111、112、113では、アプリケーションプログラムにより、ネットワークカメラ110からの通知を解釈してメッセージを表示する。例えば管理者用PC111のアプリケーションAにおいては、「特権ユーザモードに移行したので、権限を特権ユーザに移行します」といったメッセージを表示する。一般ユーザ用PC112のアプリケーションBにおいては、「特権ユーザモードに移行したので、接続を切断いたします」といったメッセージを表示し、接続を終了する。特権ユーザ用PC113のアプリケーションCにおいては、「緊急警報発令によりネットワークカメラ×××が特権ユーザモードに移行しました」といったメッセージを表示し、使用可能な機能が追加される。例えば、従来は管理者により制限された稼動範囲が無くなったり、設定されていたアクセス時間がなくなったりといったように、管理者が使用しているアプリケーションAと同様の機能にしてもよい。なお、余分な帯域を使用したくない場合には、ステップS009は必ずしも実行しなくてよい。
【0028】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係るネットワークカメラ110の処理動作について説明する。ここでは、特権ユーザモードから通常のモードに戻るまでの処理の流れを説明する。
【0029】
ステップS101では、ステップS003と同様に、緊急情報記述子の「start_end_flag」のビットが1であるかどうかを判別し、1であれば処理を終え(すなわち、特権ユーザモードを維持する)、0であればステップS102に進む。
【0030】
ステップS102では、特権ユーザモードの解除命令を受信したかどうかを判別する。特権ユーザ用PC113のアプリケーションCにおいて、不図示の解除ボタンにより特権ユーザモードの解除命令をネットワークカメラ110に送信することができる。ネットワークカメラ110は、インターフェース307を介して通信制御部306により特権アクセス解除命令を受信する。判別の結果、特権ユーザモードの解除命令を受信していればステップS103に進み、そうでなければ処理を終える。
【0031】
ステップS103では、特権ユーザモードを解除して、通常のモードへ移行させる。
【0032】
ステップS104では、特権ユーザモードを解除したことを管理者用PC111、特権ユーザ用PC113に通知する。各PC111、113では、アプリケーションプログラムにより、ネットワークカメラ110からの通知を解釈してメッセージを表示する。例えば管理者用PC111のアプリケーションAにおいては、「特権ユーザモードを解除しました。権限を管理者に戻します」といったメッセージを表示する。特権ユーザ用PC113のアプリケーションCにおいては、「特権ユーザモードの解除が終了しました」といったメッセージを表示し、特権ユーザモードの解除が成功したことを伝える。なお、特権ユーザモードでは一般ユーザ用PC112との接続が切断された状態にあるので、ここでは一般用ユーザPC112には通知しないようになっている。
【0033】
以上述べたように、緊急警報放送時には、ネットワークカメラ110を特定のユーザのみがアクセスできる状態にすることが可能となる。
【0034】
(第2の実施形態)
図6に、第2の実施形態に係るネットワークシステムの構成を示す。放送局100が緊急警報信号を含んだデジタルテレビ放送波を送信アンテナ104により送出する仕組みは第1の実施形態と同様である。600は撮像装置であるネットワークカメラである。601は管理者が使用するコンピュータ(管理者用PC)である。ここでは管理者用PC601はデジタルテレビ放送波を受信することが可能であるものとする。602は一般ユーザが使用するコンピュータ(一般ユーザ用PC)である。603は特権を持つユーザが使用するコンピュータ(特権ユーザ用PC)である。610はインターネットからなるネットワークであり、ネットワークカメラ600、管理者用PC601、一般ユーザ用PC602、特権ユーザ用PC603が接続される。一般ユーザ用PC602、特権ユーザ用PC603を1台のみ図示したが、それぞれ2台以上あってもよい。なお、緊急警報放送、及び、特権ユーザの定義は第1の実施形態で説明したものと同様であるものとする。
【0035】
図9に、本実施形態に係るネットワークカメラ600の概略構成を示すが、各部は図3に示したネットワークカメラ110の各部(チューナ309及び緊急警報信号検出部308を除く)と同様であり、ここではその詳細な説明は省略する。
【0036】
図7に、本実施形態に係る管理者用PC601の概略構成を示す。中央演算装置701は、管理者用PC601の各制御部704、706、710及び処理部708に対して命令を行い、プログラムを実行する。メモリ702は、プログラム及びデータを一時的に格納しておくためのものである。記録制御部710は、HDD等の記録メディア711を制御する。表示制御部704は、ディスプレイ703に表示するための画像処理を行う。通信制御部706は、Ethernet(登録商標)、USBやPCI等のインターフェース707の制御を行う。第2の実施形態ではインターフェースにEthernetを用いることとする。緊急警報信号検出部708は、チューナ709で受信したデジタルテレビ放送波から緊急警報信号の部分を抽出してデコードする。なお、各制御部704、706、710及び検出部708、中央演算装置701、メモリ702はデータバス・アドレスバス・制御バスを備えたバス705により通信可能に接続されている。
【0037】
次に、図8のフローチャートを参照して、本実施形態に係る管理者用PC601の処理動作について説明する。ここでは、管理者用PC601が緊急警報信号(イベント情報)を受信して、ネットワークカメラ600に特権ユーザモードへ移行させるまでの処理の流れを説明する。緊急警報信号検出部708は、チューナ709から送られるデジタルテレビトランスポート・ストリームを解析して、緊急警報信号を検出する。
【0038】
ステップS201では、緊急警報放送用起動フラグが1であるかどうかをチェックする。緊急警報放送用起動フラグが1であれば、緊急警報放送の開始であるのでステップS202に進み、そうでなければ緊急警報放送の開始でないので処理を終える。
【0039】
ステップS202では、PMTに緊急情報記述子が記載されているかどうかを判別し、緊急情報記述子の記載があればステップS203に進み、そうでなければ処理を終える。
【0040】
ステップS203では、緊急情報記述子の「start_end_flag」のビットが1であるかどうかを判定する。このビットが1であれば、緊急警報放送であることが分かるのでステップS204に進み、そうでなければ処理を終える。
【0041】
ステップS204では、緊急情報記述子の「area_code」が、記録メディア711に設定されている所在地に適合するか判別する。管理者用PC601の記録メディア711には、緊急情報記述子の「area_code」に対応したネットワークカメラ600の所在地が予め設定されている。判別の結果、所在地に適合していればステップS205に進み、そうでなければ処理を終える。
【0042】
ステップS205では、緊急情報記述子の「signal_level」の値が有効な設定になっているかどうかを判別する。管理者用PC601の記録メディア711には、緊急情報記述子の「signal_level」の設定値である1又は0の値それぞれに対して有効無効を設定することが可能となっている。例えば、津波の影響が考えられないような場所に設置されているネットワークカメラであれば、津波警報である1を受けても無効に設定しておけばよい。判別の結果、有効な設定になっている値であればステップS206に進み、そうでなければ処理を終える。
【0043】
ステップS206では、緊急情報記述子の「service_id」の値が、記録メディア711に保持されている値と一致するかどうかを判別する。管理者用PC601の記録メディア711には、緊急情報記述子の「service_id」の設定値で有効な値が予め保持されている。判別の結果、記録メディア711に保持されている値と一致していればステップS207に進み、そうでなければ処理を終える。
【0044】
ステップS207では、通信制御部706によりEthernetインターフェース707を介してネットワークカメラ600から特権ユーザの設定情報(設定の有無、IPアドレス)を取得する。なお、ここでは、ネットワークカメラ600から特権ユーザの設定情報を取得するようにしたが、予め管理者用PC601の記録メディア711に特権ユーザを設定しておいてもよい。
【0045】
ステップS208では、特権ユーザが設定されているかどうかを判別する。判別の結果、特権ユーザが設定されていればステップS209に進み、そうでなければ処理を終える。
【0046】
ステップS209では、通信制御部706によりEthernetインターフェース707を介して、ネットワークカメラ600に対して特権ユーザモードへの移行命令を送信し、処理を終える。
【0047】
次に、図10のフローチャートを参照して、本実施形態に係るネットワークカメラ600の処理動作について説明する。ここでは、特権ユーザモードへの移行命令を受信したときの処理の流れを説明する。
【0048】
ステップS301では、特権ユーザモードへの移行命令を受信したかどうかを判別する。判別の結果、特権ユーザモードへの移行命令を受信していればステップS302に進み、そうでなければ処理を終える。
【0049】
ステップS302では、特権を持つユーザからのアクセスのみを受付ける特権ユーザモードへ移行させる。なお、ステップS302は、第1の実施形態のステップS008と同様であり、ここではその説明を省略する。
【0050】
ステップS303では、特権ユーザモードへ移行したことを管理者用PC601に通知して、処理を終える。
【0051】
以上述べたように、緊急警報放送時には、ネットワークカメラ600を特定のユーザのみがアクセスできる状態にすることが可能となる。
【0052】
(第3の実施形態)
図11に、第3の実施形態に係るネットワークシステムの構成を示す。放送局100が緊急警報信号を含んだデジタルテレビ放送波を送信アンテナ104により送出する仕組みは第1の実施形態と同様である。600は撮像装置であるネットワークカメラである。1101は管理者が使用するコンピュータ(管理者用PC)である。1102は一般ユーザが使用するコンピュータ(一般ユーザ用PC)である。1103は特権を持つユーザが使用するコンピュータ(特権ユーザ用PC)である。1104はデジタルテレビ放送波を受信することが可能なデジタルテレビである。1110はインターネットからなるネットワークであり、ネットワークカメラ600、管理者用PC1101、一般ユーザ用PC1002、特権ユーザ用PC1103、デジタルテレビ1104が接続される。一般ユーザ用PC1002、特権ユーザ用PC1003を1台のみ図示したが、それぞれ2台以上あってもよい。なお、緊急警報放送、及び、特権ユーザの定義は第1の実施形態で説明したものと同様であるものとする。
【0053】
図12に、本実施形態に係るデジタルテレビ1104の概略構成を示す。受信アンテナ1201は、放送局100から伝送されたデジタルテレビ放送波を受信する。受信部1202は、受信アンテナ1201が受信したデジタルテレビ放送波から所望の放送チャンネルを選局復調する。緊急警報検出部1210は、受信部1202で受信したデータストリームから緊急警報信号の部分を抽出する。緊急警報検出部1210により緊急警報と判別された場合には、通信制御部1211を介してネットワーク1110上の管理者用PC1101に緊急警報信号の情報を含んだパケット(緊急警報パケット)が送信される。なお、緊急警報パケットの構成は、図2に示した緊急情報記述子と同様のものとする。
【0054】
データストリーム分離部1203は、緊急警報検出部1210を通ったデータストリームを番組データと保存データとを分離して出力する、番組復号化部1204は、データストリーム分離部1203により分離した番組データをデコードする。表示部1208は、番組復号化部1204によりデコードした信号に基づいて映像と音声を表示装置1209に出力する。データデコード部1206は、データ記録領域1205に記録された、データストリーム分離部1203により分離した保存データをデコードする。データデコード部1206によりデコードしたデータは画像合成部1207に送られ、データストリームに合成される。合成された番組コンテンツのデータは表示部1208を介して表示装置1209で表示される。
【0055】
図13に、本実施形態に係る管理者用PC1101の概略構成を示すが、各部は図7に示した管理者用PC601の各部(チューナ709及び緊急警報信号検出部708を除く)と同様であり、ここではその詳細な説明は省略する。
【0056】
次に、図14のフローチャートを参照して、本実施形態に係る管理者用PC1101の処理動作について説明する。ここでは、管理者用PC1101がデジタルテレビ1104から緊急警報パケット(イベント情報)を受信して、ネットワークカメラ600に特権ユーザモードへ移行させるまでの処理の流れを説明する。
【0057】
ステップS401では、通信制御部1306によりEthernetインターフェース1307を介して緊急警報パケットを受信し、ステップS402に進む。
【0058】
ステップS402では、緊急警報パケットの「start_end_flag」のビットが1であるかどうかを判定する。このビットが1であれば、緊急警報放送であることが分かるのでステップS403に進み、そうでなければ処理を終える。
【0059】
ステップS403では、緊急警報パケットの「area_code」が、記録メディア1311に設定されている所在地に適合するか判別する。管理者用PC1101の記録メディア1311には、緊急警報パケットの「area_code」に対応したネットワークカメラ600の所在地が予め設定されている。判別の結果、所在地に適合していればステップS404に進み、そうでなければ処理を終える。
【0060】
ステップS404では、緊急警報パケットの「signal_level」の値が有効な設定になっているかどうかを判別する。管理者用PC1101の記録メディア1311には、緊急警報パケットの「signal_level」の設定値である1又は0の値それぞれに対して有効無効を設定することが可能となっている。例えば、津波の影響が考えられないような場所に設置されているネットワークカメラであれば、津波警報である1を受けても無効に設定しておけばよい。判別の結果、有効な設定になっている値であればステップS405に進み、そうでなければ処理を終える。
【0061】
ステップS405では、緊急警報パケットの「service_id」の値が、記録メディア1311に保持されている値と一致するかどうかを判別する。管理者用PC1101の記録メディア1311には、緊急情報記述子の「service_id」の設定値で有効な値が予め保持されている。判別の結果、記録メディア1311に保持されている値と一致していればステップS406に進み、そうでなければ処理を終える。
【0062】
ステップS406では、通信制御部1306によりEthernetインターフェース1307を介してネットワークカメラ600から特権ユーザの設定情報(設定の有無、IPアドレス)を取得する。なお、ここでは、ネットワークカメラ600から特権ユーザの設定情報を取得するようにしたが、予め管理者用PC1101の記録メディア1311に特権ユーザを設定しておいてもよい。
【0063】
ステップS407では、特権ユーザが設定されているかどうかを判別する。判別の結果、特権ユーザが設定されていればステップS408に進み、そうでなければ処理を終える。
【0064】
ステップS408では、通信制御部1306によりEthernetインターフェース1307を介して、ネットワークカメラ600に対して特権ユーザモードへの移行命令を送信し、処理を終える。
【0065】
以上述べたように、緊急警報放送時には、ネットワークカメラ600を特定のユーザのみがアクセスできる状態にすることが可能となる。
【0066】
なお、本発明の目的は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても達成される。この場合、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。
【0067】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0068】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0069】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけに限らない。例えば、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システム或いはオペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現されてもよい。
【0070】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる形態でもよい。この場合メモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明を実施することで、大地震や津波等の災害時におけるデジタルテレビ信号に含まれる緊急警報放送を用いて、ネットワークカメラを特定の通信機器のみがアクセスできる状態にすることができ、公的機関等が素早く状況を判断するのに役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1の実施形態に係るネットワークシステムの構成を示す図である。
【図2】デジタルテレビ放送波に含まれる緊急情報記述子の一例を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係るネットワークカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係るネットワークカメラの処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】第1の実施形態に係るネットワークカメラの処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】第2の実施形態に係るネットワークシステムの構成を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る管理者用PCの概略構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施形態に係る管理者用PCの処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に係るネットワークカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施形態に係るネットワークカメラの処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】第3の実施形態に係るネットワークシステムの構成を示す図である。
【図12】第3の実施形態に係るデジタルテレビの概略構成を示すブロック図である。
【図13】第3の実施形態に係る管理者用PCの概略構成を示すブロック図である。
【図14】第3の実施形態に係る管理者用PCの処理動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
100 放送局
104 送信アンテナ
110、600 ネットワークカメラ
111、601、1101 管理者用PC
112、602、1102 一般ユーザ用PC
113、603、1103 特権ユーザ用PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段による撮影画像のデータをアクセスのあった通信装置に送信する送信手段と、
イベント情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信したイベント情報に基づいて、特定の通信装置のみが該撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させる制御手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記特定の通信装置を識別するための識別情報を登録する識別情報保持手段と、
前記識別情報保持手段により登録されている識別情報に基づいて前記特定の通信装置を識別する識別手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記イベント情報としてデジタルテレビ放送波の緊急警報信号を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記受信手段により受信したイベント情報が有効であるかどうかを判別する判別手段を備え、
前記制御手段は、前記判別手段によりイベント情報が有効であると判別された場合、前記特権ユーザモードへ移行させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記イベント情報には地域情報が含まれており、
前記受信手段により受信したイベント情報に含まれる地域情報が、該撮像装置の設置地域情報と一致するかどうかを判別する判別手段を備え、
前記制御手段は、前記判別手段により地域情報が一致したと判別された場合、前記特権ユーザモードへ移行させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記イベント情報にはイベントを識別するためのイベント識別情報が含まれており、
前記受信手段により受信したイベント情報に含まれるイベント識別情報が、有効なイベント識別情報であるかどうかを判別する判別手段を備え、
前記制御手段は、前記判別手段によりイベント情報が有効であると判別された場合、前記特権ユーザモードへ移行させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記特権ユーザモードへ移行したことを所定の通信装置に通知する通知手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記特権ユーザモードへ移行した後であって、その特権ユーザモードの解除命令を受信した場合、前記特権ユーザモードを解除することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記特権ユーザモードを解除したことを所定の通信装置に通知する通知手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
撮影画像のデータをアクセスのあった通信装置に送信する撮像装置に接続された通信装置であって、
イベント情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信したイベント情報に基づいて、前記撮像装置に対して、特定の通信装置のみが前記撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させる移行命令を送信する送信手段とを備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項11】
複数の通信装置と、前記複数の通信装置のうちアクセスのあった通信装置に撮影画像のデータを送信する撮像装置とを備えたネットワークシステムであって、
イベント情報に基づいて、特定の通信装置のみが前記撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させる手段を備えたことを特徴とするネットワークシステム。
【請求項12】
複数の通信装置と、前記複数の通信装置のうちアクセスのあった通信装置に撮影画像のデータを送信する撮像装置とを備えたネットワークシステムの制御方法であって、
イベント情報に基づいて、特定の通信装置のみが前記撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させる手順を有することを特徴とするネットワークシステムの制御方法。
【請求項13】
画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段による撮影画像のデータをアクセスのあった通信装置に送信する送信手段と、イベント情報を受信する受信手段とを備えた撮像装置を制御するためのプログラムであって、
前記受信手段により受信したイベント情報に基づいて、特定の通信装置のみが該撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させる処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
撮影画像のデータをアクセスのあった通信装置に送信する撮像装置に接続された通信装置であり、イベント情報を受信する受信手段を備えた通信装置を制御するためのプログラムであって、
前記受信手段により受信したイベント情報に基づいて、前記撮像装置に対して、特定の通信装置のみが前記撮像装置にアクセスできる特権ユーザモードへ移行させる移行命令を送信する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−4891(P2009−4891A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161603(P2007−161603)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】