説明

撮像装置および合焦制御方法

【課題】位相差検出機能付き撮像素子による位相差AFが困難な場合でも適切な合焦制御を行える撮像装置の技術を提供する。
【解決手段】撮像装置は、瞳分割機能を実現するAF画素対の群と瞳分割機能を持たない通常画素の群とを有する撮像素子を備えており、AF画素対の群で生成された画素信号に基づき位相差AFの信頼性が高いと判定された場合には、この画素信号に基づく位相差AFで検出された合焦位置に向かってフォーカスレンズを駆動する合焦制御を行う(ST3、ST9)。一方、位相差AFの信頼性が低いと判定された場合には、通常画素の群で生成された画素信号に基づくコントラストAFで検出された合焦位置の方向にフォーカスレンズを駆動する(ST3、ST4、ST6)。その結果、位相差検出機能付き撮像素子による位相差AFが困難な場合でも適切な合焦制御を行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瞳分割機能を実現する第1画素群を備えた撮像素子を有する撮像装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子においては、位相差検出方式のオートフォーカス制御(以下では「位相差AF」ともいう)を行うための特定の画素(位相差AF用の画素)を有するものがある。
【0003】
例えば特許文献1の技術によれば、マイクロレンズの中心に対して遮光板の開口部の中心が互いに逆向きに偏った一対の位相差AF用の画素を複数有する撮像素子(以下では「位相差検出機能付き撮像素子」ともいう)が設けられた撮像装置において、撮影レンズの射出瞳における一対の部分領域を通過した光束を上記一対の位相差AF用の画素で受光することにより、被写体に係る測距が可能となっている。
【0004】
【特許文献1】特開2008−147821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1の撮像装置では、測距可能な範囲が比較的狭いと言われる位相差検出機能付き撮像素子を用いるため、AF開始時にデフォーカス量が大きい場合(大ボケ時)には、測距可能な範囲を逸脱してしまい位相差AFが困難となる。このような場合、フォーカスレンズが測距可能範囲に入るまでレンズ駆動させることとなるが、ピント方向と逆方向にレンズ駆動してしまうと迅速なAF動作(合焦制御)が難しくなる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、位相差検出機能付き撮像素子による位相差AFが困難な場合でも適切な合焦制御を行える撮像装置の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面は、撮像装置であって、撮影光学系に含まれるフォーカスレンズを第1位置から第2位置に駆動する制御を行う駆動制御手段と、前記撮影光学系の射出瞳において所定方向に沿って互いに逆向きに偏った一対の部分領域を通過した被写体光束を受光することにより瞳分割機能を実現する第1画素群と、前記瞳分割機能を持たない第2画素群とを有する撮像素子と、前記第1画素群の画素信号から位相差検出方式の焦点検出により検出された合焦位置に向かって、前記フォーカスレンズを駆動する合焦制御手段とを備えており、前記合焦制御手段は、前記フォーカスレンズが前記第1位置のときに前記第2画素群で生成された画素信号に基づきコントラスト検出方式の焦点検出に用いる焦点検出情報としての第1情報を取得する一方、前記フォーカスレンズが前記第2位置のときに前記第2画素群で生成された画素信号に基づき前記焦点検出情報としての第2情報を取得し、前記第1情報と前記第2情報とを比較することによって前記合焦位置の方向を検出する合焦方向検出手段と、前記第1画素群の画素信号が所定の条件を満たすか否かによって、前記合焦位置の検出に係る信頼性を判定する判定手段と、前記判定手段において前記第1画素群の画素信号が前記所定の条件を満たし前記信頼性が高いと判定された場合には、当該第1画素群の画素信号に基づき検出された合焦位置に向かって前記フォーカスレンズを駆動する第1制御手段と、前記判定手段において前記第1画素群の画素信号が前記所定の条件を満たさず前記信頼性が低いと判定された場合には、前記合焦方向検出手段によって検出された合焦位置の方向に前記フォーカスレンズを駆動する第2制御手段とを有する。
【0008】
また、本発明の第2の側面は、合焦制御方法であって、撮影光学系に含まれるフォーカスレンズを第1位置から第2位置に駆動する制御を行う駆動制御工程と、前記撮影光学系の射出瞳において所定方向に沿って互いに逆向きに偏った一対の部分領域を通過した被写体光束を受光することにより瞳分割機能を実現する撮像素子の第1画素群に係る画素信号から位相差検出方式の焦点検出によって検出された合焦位置に向かって、前記フォーカスレンズを駆動する合焦制御工程とを備えており、前記合焦制御工程は、前記フォーカスレンズが前記第1位置のときに前記瞳分割機能を持たない前記撮像素子の第2画素群で生成された画素信号に基づきコントラスト検出方式の焦点検出に用いる焦点検出情報としての第1情報を取得する一方、前記フォーカスレンズが前記第2位置のときに前記第2画素群で生成された画素信号に基づき前記焦点検出情報としての第2情報を取得し、前記第1情報と前記第2情報とを比較することによって前記合焦位置の方向を検出する合焦方向検出工程と、前記第1画素群の画素信号が所定の条件を満たすか否かによって、前記合焦位置の検出に係る信頼性を判定する判定工程と、前記判定工程において前記第1画素群の画素信号が前記所定の条件を満たし前記信頼性が高いと判定された場合には、当該第1画素群の画素信号に基づき検出された合焦位置に向かって前記フォーカスレンズを駆動する第1制御工程と、前記判定工程において前記第1画素群の画素信号が前記所定の条件を満たさず前記信頼性が低いと判定された場合には、前記合焦方向検出手段によって検出された合焦位置の方向に前記フォーカスレンズを駆動する第2制御工程とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮影光学系の射出瞳において所定方向に沿って互いに逆向きに偏った一対の部分領域を通過した被写体光束を受光することにより瞳分割機能を実現する第1画素群と、瞳分割機能を持たない第2画素群とを有する撮像素子を備え、第1画素群の画素信号が所定の条件を満たし合焦位置の検出に係る信頼性が高いと判定された場合には、当該第1画素群の画素信号に基づき位相差検出方式の焦点検出によって検出された合焦位置に向かって撮影光学系に含まれるフォーカスレンズを駆動する。一方、第1画素群の画素信号が所定の条件を満たさず合焦位置の検出に係る信頼性が低いと判定された場合には、フォーカスレンズが第1位置および第2位置それぞれのときに第2画素群で生成された画素信号に基づきコントラスト検出方式の焦点検出に用いる焦点検出情報として取得される第1情報および第2情報を比較することによって検出された合焦位置の方向にフォーカスレンズを駆動する。その結果、位相差検出機能付き撮像素子による位相差AFが困難な場合でも適切な合焦制御を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施形態>
[撮像装置の外観構成]
図1および図2は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の外観構成を示す図である。ここで、図1および図2は、それぞれ正面図および背面図を示している。また、図3は、撮像装置1の縦断面図である。
【0011】
撮像装置1は、例えば一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラとして構成されており、カメラボディ10と、カメラボディ10に着脱自在な交換レンズとしての撮影レンズ2とを備えている。
【0012】
図1において、カメラボディ10の正面側には、正面略中央に撮影レンズ2が装着されるマウント部301と、マウント部301の右横に配置されたレンズ交換ボタン302と、正面左端部(X方向左側)において突設され、ユーザが片手(又は両手)により確実に把持可能とするためのグリップ部303とが設けられている。また、カメラボディ10には、正面左上部(Y方向左上側)に配置されたモード設定ダイアル305と、正面右上部に配置された制御値設定ダイアル306と、グリップ部303の上面に配置されたシャッターボタン307とが設けられている。
【0013】
また、図2において、カメラボディ10の背面側には、LCD(Liquid Crystal Display)311と、LCD311の左方に配置された設定ボタン群312と、LCD311の右方に配置された十字キー314と、十字キー314の中央に配置されたプッシュボタン315とが備えられている。また、カメラボディ10の背面側には、LCD311の上方に配設されたEVF(Electronic View Finder)316と、EVF316の周囲を囲むアイカップ321と、EVF316の左方に配設されたメインスイッチ317と、EVF316の右方に配設された露出補正ボタン323およびAEロックボタン324と、EVF316の上方に配設されたフラッシュ部318および接続端子部319とが備えられている。
【0014】
マウント部301には、装着された撮影レンズ2との電気的接続を行うための複数個の電気的接点や、機械的接続を行うためのカプラ等が設けられている。
【0015】
レンズ交換ボタン302は、マウント部301に装着された撮影レンズ2を取り外す際に押下されるボタンである。
【0016】
グリップ部303は、ユーザが撮影時に撮像装置1を把持する部分であり、フィッティング性を高めるために指形状に合わせた表面凹凸が設けられている。なお、グリップ部303の内部には電池収納室およびカード収納室(不図示)が設けられている。電池収納室にはカメラの電源として電池69B(図4参照)が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するための記録媒体としてのメモリカード67(図4参照)が着脱可能に収納されるようになっている。なお、グリップ部303には、当該グリップ部303をユーザが把持したか否かを検出するためのグリップセンサを設けるようにしても良い。
【0017】
モード設定ダイアル305及び制御値設定ダイアル306は、カメラボディ10の上面と略平行な面内で回転可能な略円盤状の部材からなる。モード設定ダイアル305は、自動露出(AE)制御モードや自動焦点(AF;オートフォーカス)制御モード、或いは1枚の静止画を撮影する静止画撮影モードや連続撮影を行う連続撮影モード等の各種撮影モード、記録済みの画像を再生する再生モード等、撮像装置1に搭載されたモードや機能を択一的に選択するためのものである。一方、制御値設定ダイアル306は、撮像装置1に搭載された各種の機能に対する制御値を設定するためのものである。
【0018】
シャッターボタン307は、途中まで押し込んだ「半押し状態」の操作と、さらに押し込んだ「全押し状態」の操作とが可能とされた押下スイッチである。静止画撮影モードにおいてシャッターボタン307が半押し(S1)されると、被写体の静止画を撮影するための準備動作(露出制御値の設定や焦点調整等の準備動作)が実行される。そして、シャッターボタン307が全押し(S2)されると、撮影動作(撮像センサを露光し、その露光によって得られた画像信号に所定の画像処理を施してメモリカード等に記録する一連の動作)が実行される。
【0019】
LCD311は、画像表示が可能なカラー液晶パネルを備えており、撮像素子101(図3)により撮像された画像の表示や記録済みの画像の再生表示等を行うとともに、撮像装置1に搭載される機能やモードの設定画面を表示するものである。なお、LCD311に代えて、有機ELやプラズマ表示装置を用いるようにしても良い。
【0020】
設定ボタン群312は、撮像装置1に搭載された各種の機能に対する操作を行うボタンである。この設定ボタン群312には、例えばLCD311に表示されるメニュー画面で選択された内容を確定するための選択確定スイッチ、選択取り消しスイッチ、メニュー画面の内容を切り替えるメニュー表示スイッチ、表示オン/オフスイッチ、表示拡大スイッチなどが含まれる。
【0021】
十字キー314は、円周方向に一定間隔で配置された複数の押圧部(図中の三角印の部分)を備える環状の部材を有し、各押圧部に対応して備えられた図示省略の接点(スイッチ)により押圧部の押圧操作が検出されるように構成されている。また、プッシュボタン315は、十字キー314の中央に配置されている。十字キー314及びプッシュボタン315は、撮影倍率の変更(ズームレンズのワイド方向やテレ方向への移動)、LCD311等に再生する記録画像のコマ送り、及び撮影条件(絞り値、シャッタスピード、フラッシュ発光の有無等)の設定等の指示を行うためのものである。
【0022】
EVF316は、例えば画像表示が可能なカラー液晶パネルを備えており、撮像素子101(図3)により撮像された画像の表示や記録済みの画像の再生表示等を行う。ここで、EVF316やLCD311において本撮影(画像記録用の撮影)前に撮像素子101で順次に生成される画像信号に基づき動画的態様で被写体を表示するライブビュー(プレビュー)表示が行われることにより、ユーザは、実際に撮像素子101にて撮影される被写体を視認することが可能となる。
【0023】
メインスイッチ317は、左右にスライドする2接点のスライドスイッチからなり、図2において右にセットすると撮像装置1の電源がオンされ、左にセットすると電源がオフされる。
【0024】
フラッシュ部318は、ポップアップ式の内蔵フラッシュとして構成されている。一方、外部フラッシュ等をカメラボディ10に取り付ける場合には、接続端子部319を使用して接続する。
【0025】
アイカップ321は、遮光性を有してEVF316への外光の侵入を抑制する「コ」字状の遮光部材である。
【0026】
露出補正ボタン323は、露出値(絞り値やシャッタースピード)を手動で調整するためのボタンであり、AEロックボタン324は、露出を固定するためのボタンである。
【0027】
撮影レンズ2は、被写体からの光(光像)を取り込むレンズ窓として機能するとともに、当該被写体光をカメラボディ10の内部に配置されている撮像素子101に導くための撮影光学系として機能するものである。この撮影レンズ2は、上述のレンズ交換ボタン302を押下操作することで、カメラボディ10から取り外すことが可能となっている。
【0028】
撮影レンズ2は、光軸LTに沿って直列的に配置された複数のレンズからなるレンズ群21を備えている(図3)。このレンズ群21には、焦点の調節を行うためのフォーカスレンズ211(図4参照)と、変倍を行うためのズームレンズ212(図4参照)とが含まれており、それぞれ光軸LT方向に駆動されることで、変倍や焦点調節が行われる。また、撮影レンズ2には、その鏡胴の外周適所に該鏡胴の外周面に沿って回転可能な操作環が備えられており、上記のズームレンズ212は、マニュアル操作或いはオート操作により、上記操作環の回転方向及び回転量に応じて光軸方向に移動し、その移動先の位置に応じたズーム倍率(撮影倍率)に設定されるようになっている。
【0029】
撮像素子101は、カメラボディ10に撮影レンズ2が装着された場合の当該撮影レンズ2が備えているレンズ群21の光軸LT上において、光軸LTに対して垂直となる方向に配置されている。撮像素子101としては、例えばフォトダイオードを有して構成される複数の画素がマトリクス状に2次元配置され、それぞれ分光特性の異なる例えばR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが配設された色画素を有するCMOSカラーエリアセンサ(CMOS型の撮像素子)が用いられる。撮像素子(撮像センサ)101は、撮影レンズ(撮影光学系)2によって結像された被写体光像をR(赤)、G(緑)、B(青)各色成分のアナログの電気信号(画像信号)に変換し、R、G、B各色の画像信号を生成して出力する。この撮像素子101の構成については、後で詳述する。
【0030】
撮像素子101は、撮像素子駆動機構200にて光軸Lと直交する平面において二次元的に移動可能に保持されている。また、撮像素子101の光軸方向前方には、シャッタユニット40が配置されている。このシャッタユニット40は、上下方向に移動する幕体を備え、光軸Lに沿って撮像素子101に導かれる被写体光の光路開口動作及び光路遮断動作を行うメカニカルフォーカルプレーンシャッタである。なお、シャッタユニット40は、撮像素子101が完全電子シャッター可能な撮像素子である場合には省略可能である。
【0031】
[撮像装置1の電気的構成]
図4は、撮像装置1全体の電気的な構成を示すブロック図である。ここで、図1〜図3と同一の部材等については、同一の符号を付している。なお、説明の便宜上、撮影レンズ2の電気的構成について先ず説明する。
【0032】
撮影レンズ2は、上述した撮影光学系を構成するレンズ群21に加え、レンズ駆動機構24と、レンズ位置検出部25と、レンズ制御部26と、絞り駆動機構27とを備えている。
【0033】
レンズ群21では、フォーカスレンズ211及びズームレンズ212と、カメラボディ10に備えられた撮像素子101へ入射される光量を調節するための絞り23とが、鏡胴内において光軸LT(図3)方向に保持されており、被写体の光像を取り込んで撮像素子101に結像させる。焦点調節動作は、レンズ群21がカメラボディ10内のAFアクチュエータ71Mにより光軸LT方向に駆動されることで行われる。
【0034】
レンズ駆動機構24は、例えばヘリコイド及び該ヘリコイドを回転させる図示省略のギア等で構成され、カプラ74を介してAFアクチュエータ71Mからの駆動力を受けて、フォーカスレンズ211等を光軸LTと平行な方向に移動させるものである。なお、フォーカスレンズ211の移動方向及び移動量は、それぞれAFアクチュエータ71Mの回転方向及び回転数に従う。
【0035】
レンズ位置検出部25は、レンズ群21の移動範囲内において光軸LT方向に複数個のコードパターンが所定ピッチで形成されたエンコード板と、このエンコード板に摺接しながら鏡胴22と一体的に移動するエンコーダブラシとを備えており、レンズ群21の焦点調節時の移動量を検出する。なお、レンズ位置検出部24で検出されたレンズ位置は、例えばパルス数として出力される。
【0036】
レンズ制御部26は、例えば制御プログラムを記憶するROMや状態情報に関するデータを記憶するフラッシュメモリ等からなるメモリ部(不図示)が内蔵されたマイクロコンピュータからなっている。また、レンズ制御部26は、カメラボディ10のメイン制御部62との間で通信を行う機能を有しており、これにより、例えばレンズ群21の焦点距離、射出瞳位置、絞り値、合焦距離及び周辺光量状態等の状態情報データをメイン制御部62に送信できる一方、メイン制御部62から例えばフォーカスレンズ211の駆動量のデータを受信できる。また撮影の際には、撮影レンズ2に関する焦点距離情報、フォーカスレンズ211の位置、絞り値等のデータがメイン制御部62へ送信されることとなる。
【0037】
絞り駆動機構27は、カプラ75を介して絞り駆動アクチュエータ73Mからの駆動力を受けて、絞り23の絞り径を変更するものである。
【0038】
続いて、カメラボディ10の電気的構成について説明する。カメラボディ10には、先に説明した撮像素子101、シャッタユニット40等の他に、AFE(アナログフロントエンド)5、画像処理部61、画像メモリ614、メイン制御部62、フラッシュ回路63、操作部64、VRAM65(65a、65b)、カードI/F66、メモリカード67、通信用I/F68、電源回路69、電池69B、フォーカス駆動制御部71A及びAFアクチュエータ71M、シャッタ駆動制御部72A及びシャッタ駆動アクチュエータ72M、絞り駆動制御部73A及び絞り駆動アクチュエータ73Mを備えて構成されている。
【0039】
撮像素子101は、先に説明した通りCMOSセンサからなり、後述のタイミング制御回路51により、当該撮像素子101の露光動作の開始(及び終了)や、撮像素子101が備える各画素の出力選択、画素信号の読出し等の撮像動作が制御される。
【0040】
AFE5は、撮像素子101に対して所定の動作を行わせるタイミングパルスを与えると共に、撮像素子101から出力される画像信号(CMOSエリアセンサの各画素で受光されたアナログ信号群)に所定の信号処理を施し、デジタル信号に変換して画像処理部61に出力するものである。このAFE5は、タイミング制御回路51、信号処理部52及びA/D変換部53などを備えて構成されている。
【0041】
タイミング制御回路51は、メイン制御部62から出力される基準クロックに基づいて所定のタイミングパルス(垂直走査パルスφVn、水平走査パルスφVm、リセット信号φVr等を発生させるパルス)を生成して撮像素子101に出力し、撮像素子101の撮像動作を制御する。また、所定のタイミングパルスを信号処理部52やA/D変換部53にそれぞれ出力することにより、信号処理部52及びA/D変換部53の動作を制御する。
【0042】
信号処理部52は、撮像素子101から出力されるアナログの画像信号に所定のアナログ信号処理を施すものである。この信号処理部52には、CDS(相関二重サンプリング)回路、撮像素子101から出力される電荷信号を増幅するAGC(オートゲインコントロール)回路及びクランプ回路等が備えられている。
【0043】
信号処理部52のAGC回路では、後述の通常画素ラインLnにおける各画素(G画素11gb、R画素11rおよびB画素11b)からの電荷信号(画素信号)がゲイン(増幅率)αで増幅されるとともに、後述のAFラインLfにおける各画素からの電荷信号がゲインβ(β>α)で増幅されることとなる。これは、撮影レンズ2の射出瞳の一部を通過した光束を受光する位相差AF用の画素においては、撮影用の通常画素に比べて感度が低下するため、通常画素より高ゲインで増幅して適正な出力レベルを確保する必要があるためである。
【0044】
A/D変換部53は、信号処理部52から出力されたアナログのR、G、Bの画像信号を、上記タイミング制御回路51から出力されるタイミングパルスに基づいて、複数のビット(例えば12ビット)からなるデジタルの画像信号に変換するものである。
【0045】
画像処理部61は、AFE5から出力される画像データに所定の信号処理を行って画像ファイルを作成するもので、黒レベル補正回路611、ホワイトバランス制御回路612及びガンマ補正回路613等を備えて構成されている。なお、画像処理部61へ取り込まれた画像データは、撮像素子101の読み出しに同期して画像メモリ614に一旦書き込まれ、以後この画像メモリ614に書き込まれた画像データにアクセスして、画像処理部61の各ブロックにおいて処理が行われる。
【0046】
黒レベル補正回路611は、A/D変換部53によりA/D変換されたR、G、Bの各デジタル画像信号の黒レベルを、基準の黒レベルに補正するものである。
【0047】
ホワイトバランス補正回路612は、光源に応じた白の基準に基づいて、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分のデジタル信号のレベル変換(ホワイトバランス(WB)調整)を行うものである。すなわちホワイトバランス制御回路612は、メイン制御部62から与えられるWB調整データに基づき、撮影被写体において輝度や彩度データ等から本来白色であると推定される部分を特定し、その部分のR、G、Bそれぞれを色成分の平均と、G/R比及びG/B比とを求め、これをR、Bの補正ゲインとしてレベル補正する。
【0048】
ガンマ補正回路613は、WB調整された画像データの階調特性を補正するものである。具体的にはガンマ補正回路613は、画像データのレベルを色成分毎に予め設定されたガンマ補正用テーブルを用いて非線形変換するとともにオフセット調整を行う。
【0049】
画像メモリ614は、撮影モード時には、画像処理部61から出力される画像データを一時的に記憶するとともに、この画像データに対しメイン制御部62により所定の処理を行うための作業領域として用いられるメモリである。また、再生モード時には、メモリカード67から読み出した画像データを一時的に記憶する。
【0050】
メイン制御部62は、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するフラッシュメモリ等のメモリが内蔵されたマイクロコンピュータからなり、撮像装置1各部の動作を制御するものである。
【0051】
また、メイン制御部62は、手振れ補正モードが実行される場合において、振れ検出センサ(不図示)からの振れ検出信号に基づいて振れ方向及び振れ量を求める。そして、得られた方向及び振れ量に基づき振れ補正制御信号を生成して振れ撮像素子駆動機構200に出力し、撮像素子101を手振れが打ち消される方向にシフト駆動させる制御を行う。
【0052】
フラッシュ回路63は、フラッシュ撮影モードにおいて、フラッシュ部318または接続端子部319に接続される外部フラッシュの発光量を、メイン制御部62により設定された発光量に制御するものである。
【0053】
操作部64は、上述のモード設定ダイアル305、制御値設定ダイアル306、シャッターボタン307、設定ボタン群312、十字キー314、プッシュボタン315、メインスイッチ317等を含み、操作情報をメイン制御部62に入力するためのものである。
【0054】
VRAM65a、65bは、LCD311およびEVF316の画素数に対応した画像信号の記憶容量を有し、メイン制御部62とLCD311およびEVF316との間のバッファメモリである。カードI/F66は、メモリカード67とメイン制御部62との間で信号の送受信を可能とするためのインターフェースである。メモリカード67は、メイン制御部62で生成された画像データを保存する記録媒体である。通信用I/F68は、パーソナルコンピュータやその他の外部機器に対する画像データ等の伝送を可能とするためのインターフェースである。
【0055】
電源回路69は、例えば定電圧回路等からなり、メイン制御部62等の制御部、撮像素子101、その他の各種駆動部等、撮像装置1全体を駆動させるための電圧(例えば5V)を生成する。なお、撮像素子101への通電制御は、メイン制御部62から電源回路69に与えられる制御信号により行われる。電池69Bは、ニッケル水素充電池等の二次電池やアルカリ乾電池等の一次電池からなり、撮像装置1全体に電力を供給する電源である。
【0056】
フォーカス駆動制御部71Aは、メイン制御部62から与えられるAF制御信号に基づき、フォーカスレンズ211を合焦位置に移動させるために必要な、AFアクチュエータ71Mに対する駆動制御信号を生成するものである。AFアクチュエータ71Mは、ステッピングモータ等からなり、カプラ74を介して撮影レンズ2のレンズ駆動機構24にレンズ駆動力を与える。なお、AFアクチュエータ71Mは、カメラボディ10内でなく交換レンズ2内に設けるようにしても良い。
【0057】
シャッタ駆動制御部72Aは、メイン制御部62から与えられる制御信号に基づき、シャッタ駆動アクチュエータ72Mに対する駆動制御信号を生成するものである。シャッタ駆動アクチュエータ72Mは、シャッタユニット40の開閉駆動を行うアクチュエータである。
【0058】
絞り駆動制御部73Aは、メイン制御部62から与えられる制御信号に基づき、絞り駆動アクチュエータ73Mに対する駆動制御信号を生成するものである。絞り駆動アクチュエータ73Mは、カプラ75を介して絞り駆動機構27に駆動力を与える。
【0059】
また、カメラボディ10は、黒レベル補正回路611から出力される黒レベル補正済みの画像データに基づき、オートフォーカス(AF)制御時に必要な演算を行う位相差AF演算回路76およびコントラストAF演算回路77を備えている。
【0060】
これらの位相差AF演算回路76およびコントラストAF演算回路77を利用した撮像装置1のAF動作と撮像素子101の構成とについて、以下で詳しく説明する。
【0061】
[撮像素子101の構成および撮像装置1のAF動作について]
撮像装置1では、撮像素子101において射出瞳の異なった部分を透過(通過)した透過光を受光することにより位相差AFが可能な構成となっている。この撮像素子101の構成と、この撮像素子101を利用した位相差AFの原理とを、以下で説明する。
【0062】
図5および図6は、撮像素子101の構成を説明するための図である。
【0063】
撮像素子101では、その撮像面101fの中央に規定されたAFエリア(焦点検出領域)Ef(Efa)で位相差検出方式の焦点検出による測距が可能な構成となっている(図5)。
【0064】
具体的には、AFエリアEfa内外の画素を表した図7のように、撮像素子101には、位相差AFを行うために瞳分割機能を持ったAFラインLf(平行斜線部)が水平方向に沿って形成されている(後で詳述)。そして、このAFラインLfの一部区間を含んだ領域として規定されるAFエリアEfaで被写体に係る測距が可能となっている。
【0065】
図6に戻って、詳しく説明する。
【0066】
AFエリアEfには、フォトダイオード上にR(赤)、G(緑)およびB(青)の各カラーフィルタが配設されたR画素111、G画素112およびB画素113からなって瞳分割機能を持たない通常の画素(以下では「通常画素」ともいう)110の群(第2画素群)が設けられている。また、AFエリアEfには、後述の遮光板12a、12b(平行斜線部)を有して位相差AFを行うための画素対(以下では「AF画素対」ともいう)11fの群が設けられている。
【0067】
そして、AFエリアEfには、通常画素110の水平ライン(通常画素ライン)LnとしてG画素112とR画素111とが水平方向に交互に配置されたGrラインL1と、B画素113とG画素112とが水平方向に交互に配置されたGbラインL2とが形成されている。このGrラインL1とGbラインL2とが垂直方向に交互に配置されることによりベイヤー配列が構成される。
【0068】
また、AFエリアEfには、AF画素対11fを水平方向に配列したAFライン(焦点検出画素列)Lfが形成されている。そして、上下方向に隣接するAFラインLfは、例えば図7のように10本の通常画素ラインLnを挟んで垂直方向に周期的に設けられている。
【0069】
本実施形態の撮像装置1では、上述したAFエリアEfaとともに、この周囲でAF画素対11fの群および通常画素110の群を有した8つのAFエリアEfbを更に設定できる構成となっている(図8)。このように9つのAFエリア(焦点検出領域)Efが撮像面101fに規定される場合には、例えばメイン制御部62によって自動的に選択される1つのAFエリアEfで位相差AFによる合焦制御が行われることとなる。なお、図5のように1つのAFエリア(以下では「シングルエリア」ともいう)Efが設定されるAFモードと、図8のように9つのAFエリア(以下では「マルチエリア」ともいう)Efが設定されるAFモードとは、例えばLCD311に表示される設定画面に対してのユーザ入力で指定できる。
【0070】
次に、AFラインLfを利用した位相差AFの原理を詳しく説明する。
【0071】
図9は、AFラインLfを利用した位相差AFの原理を説明するための図である。
【0072】
AFラインLfには、交換レンズ2に関する射出瞳の右側部分Qaからの光束Taと左側部分Qbからの光束Tbとを分離させるための開口部OPの位置が鏡面対象となっている遮光板12a、12bを有した一対の画素11a、11bが水平方向に沿って2以上配列されている。より詳細には、スリット状の開口部OPが直下の光電変換部(フォトダイオード)PDに対して右側に偏った遮光板12aを有する画素(以下では「第1AF画素」ともいう)11aと、スリット状の開口部OPが直下の光電変換部PDに対して左側に偏った遮光板12bを有する画素(以下では「第2AF画素」ともいう)11bとがAFラインLfで交互に配置されている(図6)。これにより、射出瞳の右側部分Qaからの光束TaがマイクロレンズMLおよび遮光板12aの開口OPを通過して第1AF画素11aの光電変換部PDで受光され、射出瞳の左側部分Qbからの光束TbがマイクロレンズMLおよび遮光板12bの開口OPを通過して第2AF画素11bの光電変換部PDで受光されることとなる。換言すれば、第1AF画素11aと第2AF画素11bとで構成されるAF画素11fでは、交換レンズ2の射出瞳において水平方向に沿って互いに逆向きに偏った右側部分および左側部分(一対の部分領域)Qa、Qbを通過した被写体の光束Ta、Tbそれぞれが受光される。そして、このようなAF画素対11fの群(第1画素群)からなるAFラインLfによって瞳分割機能が実現される。
【0073】
以下では、第1AF画素11aの画素出力を「a系列の画素出力」と呼び、第2AF画素11bの画素出力を「b系列の画素出力」と呼ぶこととし、例えば、ある1本のAFラインLfに配置されたAF画素対11fの画素配列から得られるa系列の画素出力とb系列の画素出力との関係を、図10〜図16を参照して説明する。
【0074】
図10は、焦点面が撮像面101fから10mm以上近側にデフォーカスしている場合の概念図であり、図11は、焦点面が撮像面101fから200μm近側にデフォーカスしている場合の概念図であるとともに、図12は、焦点面が撮像面101fから100μm近側にデフォーカスしている場合の概念図である。また、図13は、焦点面が撮像面101fに一致している合焦状態の概念図である。さらに、図14は、焦点面が撮像面101fから100μm遠側にデフォーカスしている場合の概念図であり、図15は、焦点面が撮像面101fから200μm遠側にデフォーカスしている場合の概念図であるとともに、図16は、焦点面が撮像面101fから10mm以上遠側にデフォーカスしている場合の概念図である。
【0075】
図10〜図16においてa系列のグラフGa1〜Ga7で示される各a系列の像列とb系列のグラフGb1〜Gb7で示される各b系列の像列とを比較すると、デフォーカス量が大きいほど、a系列の像列とb系列の像列との間に生じる撮像素子101の水平方向のシフト量(ずれ量)が増大していることが分かる。
【0076】
すなわち、上記のシフト量と、撮像素子101の撮像面に対して焦点面がデフォーカスしている量(デフォーカス量)との関係は、例えば図17に示す1次関数のグラフGcで表される。このグラフGcの傾きについては、工場試験等によって予め取得できるものである。
【0077】
よって、撮像素子101のAFラインLfの出力に基づき位相差AF演算回路76で上記のシフト量を求めた後に、図17のグラフGcに基づきデフォーカス量を算出し、算出されたデフォーカス量に相当する駆動量をフォーカスレンズ211に与えてやれば、AF動作を行えることとなる。すなわち、メイン制御部62により、AF画素対11fの群からなるAFラインLfの画素信号に基づき位相差検出方式の焦点検出によって検出された合焦位置に向かってフォーカスレンズ211を駆動させることで、位相差AFによる迅速な合焦制御が可能となる。
【0078】
さて、一般にデジタルカメラの被写界深度を考慮すると、位相差AFより合焦精度が高いコントラスト検出方式の焦点検出(コントラストAF)で最終的な合焦を行うのが好ましい。そこで、本実施形態の撮像装置1においても、精度の高い合焦を図るためにコントラストAFを採用するが、このコントラスAFの原理について、以下で説明する。
【0079】
撮像装置1におけるコントラストAFでは、上述したAFエリアEf内においてG画素112の画素群を読み出し、AFエリアEfのコントラスト評価値(AF評価値)が算出される。このコントラスト評価値(以下では単に「コントラスト」ともいう)については、例えばAFエリア内におけるG画素112の隣接差分の絶対値の総和として算出される。
【0080】
ここで、このコントラストを、フォーカスレンズ211を一定方向に移動させつつ順次に算出すれば、図18のようにコントラストが単調に増加してからピークQkを境に単調に減少するようなファーカスレンズ211の各位置とコントラストとの関係が得られることとなる。なお、フォーカスレンズ211は、ピントの山、つまりコントラストのピークQkを超えるまで移動するようにする。
【0081】
そして、図18に示すようにピークQk近傍のコントラストDn-1、Dn、Dn+1と、そのフォーカスレンズ211の位置Pn-1、Pn、Pn+1とが取得されると、次の式(1)に示す2次補間近似式を用いて、フォーカスレンズ211の合焦位置Pfが算出できることとなる。
【0082】
【数1】

【0083】
以上で説明したコントラストAFでは、AFエリアEfにおけるコントラストをコントラストAF演算回路77で求めて、フォーカス駆動制御部71Aによりフォーカスレンズ211を上記の式(1)で求めた合焦位置に移動させることで、合焦精度が高いオートフォーカス制御(AF制御)が可能となる。
【0084】
このように合焦精度が高いコントラストAFと、上述のように合焦位置を高速に検出できる位相差AFとを併用したハイブリッドAFを、本実施形態の撮像装置1で実施することにより、迅速で高精度なAF制御を実現することとする。具体的には、位相差AFによって検出された合焦位置付近にフォーカスレンズ211を高速に駆動するとともに、この合焦位置付近においてコントラストAFによる最終的な合焦制御が行われる。
【0085】
また、コントラストAFによれば、上述の山登りAFで合焦位置にレンズ駆動させるだけでなく、異なるレンズ位置で取得したコントラストを比較することにより、合焦位置(ピント位置)の方向、つまり被写体に係る近距離側(以下では単に「近側」ともいう)または遠距離側(以下では単に「遠側」ともいう)のいずれの方向でピントが合うかを判断することが可能である。
【0086】
一方、撮像素子101のAFラインLfの出力に基づく位相差AFでは、従来のAFセンサによる位相差AFに比べて測距可能な範囲が狭いと言われており、例えば図10や図16のようにデフォーカス量が大きい状態では合焦位置の検出が困難となる。
【0087】
そこで、AFエリアEfにおいてAFラインLfによる測距が困難な場合には、上述のようにコントラストAFで合焦位置の方向(合焦方向)を検出し、この合焦方向にフォーカスレンズ211を移動させることとする。そして、AFラインLfによる測距が可能な範囲にフォーカスレンズ211が入れば、位相差AFを伴ったハイブリッドAFによる合焦制御を行うようにする。
【0088】
ここで、AFラインLfによる測距が可能か否か、つまり位相差AFの信頼性が高いか低いかを判断する評価関数として、次の式(2)を利用する。具体的には、下式(2)で得られる演算値(出力値)Jが、工場試験等によって予め定められた閾値Jthより大きい場合には、信頼性が高いと判断する一方、閾値Jth以下の場合には、信頼性が低いと判断する。
【0089】
【数2】

【0090】
ただし、上式(2)において、nは、AFエリアEf内のAFラインLfにおけるAF画素対11fの総数を表し、Xiは、そのAFラインLfにおける左端からi番目のAF画素対11fの位置を表すとともに、Yiは、この位置XiにおけるAF画素対11fの画素出力を表している。
【0091】
このようにAF画素対11fの群(第1画素群)からなるAFラインLfで生成される画素信号が所定の条件、具体的には上式(2)にAFラインLfの画素信号を入力して出力される出力値Jが閾値Jthより大きいという条件を満たすか否かにより、位相差AFによる合焦位置の検出に係る信頼性を判定することで、位相差AFの簡易な信頼性評価が可能となる。
【0092】
このような位相差AFの信頼性評価を伴った撮像装置1の合焦制御を、以下で具体的に説明する。
【0093】
[撮像装置1の動作]
図19および図20は、撮像装置1の基本的な動作を示すフローチャートである。本動作は、メイン制御部62によって実行される。
【0094】
まず、メインスイッチ317で撮像装置1の電源をオンにして撮像装置101を起動した後に、シャッターボタン307が半押しされAF動作が開始されると、シングルエリア(図5参照)が設定されるAFモードか否かを判定する(ステップST1)。ここで、シングルエリアが設定されるAFモードの場合には、ステップST2に進み、マルチエリア(図8参照)が設定されるAFモードの場合には、ステップST11に進む。
【0095】
ステップST2では、シングルエリアで位相差AFの信頼性評価を行う。具体的には、図5に示す撮像面101f中央のAFエリアEfaにおいてAFラインLfによる測距が可能か否かを、上記の式(2)を用いて判断する。
【0096】
ステップST3では、ステップST2の信頼性評価に基づき位相差AFの信頼性が低いか否かを判定する。ここで、位相差AFの信頼性が低い場合、つまり上記の式(2)で得られた演算値Jが閾値Jth以下という数値範囲内にある場合には、ステップST4に進む。一方、位相差AFの信頼性が高い場合、つまり上記の式(2)で得られた演算値Jが閾値Jth以下という数値範囲を外れる場合には、ステップST9に進む。
【0097】
すなわち、ステップST3において、AF画素対11fの群からなるAFラインLfで生成された画素信号に基づく位相差AFの信頼性が高いと判定された場合には、後述のステップST9において、この画素信号に基づき検出された合焦位置に向かってフォーカスレンズ211が駆動される。一方、ステップST3において、AFラインLfで生成された画素信号に基づく位相差AFの信頼性が低いと判定された場合には、後述のステップST4、ST6において、コントラストAFによって検出された合焦位置の方向にフォーカスレンズ211が駆動されることとなる。
【0098】
ステップST4では、シングルエリアでコントラストAFによる合焦方向を検出する。具体的には、図5に示す撮像面101f中央のAFエリアEfaにおいて、上述のように異なるフォーカスレンズ211位置で取得したコントラストを比較することにより、フォーカスレンズ211に係る合焦方向を検知する(後で詳述)。
【0099】
ステップST5では、ステップST4において合焦方向が検出されたかを判定する。ここで、合焦方向が検出された場合には、ステップST6に進み、検出されなかった場合には、ステップST10に進む。
【0100】
ステップST6では、ステップST4で検出された合焦方向に、AFアクチュエータ71Mによってフォーカスレンズ211を駆動する。
【0101】
ステップST7では、ステップST2と同様に、シングルエリア、つまり図5のAFエリアEfaで位相差AFの信頼性評価を行う。ここでは、コントラストAFにより検出された合焦方向へのフォーカスレンズ211の駆動中に位相差AFの信頼性判定が行われることとなる。このようにコントラストAFによるレンズ駆動中においても位相差AFの信頼性を監視することにより、信頼性が高くなった時点で素速くハイブリッドAFに切替えることができる。
【0102】
ステップST8では、ステップST7の信頼性評価に基づき位相差AFの信頼性が高いか否かを判定する。ここで、位相差AFの信頼性が高い場合には、ステップST9に進み、信頼性が低い場合には、ステップST6に戻る。
【0103】
ステップST9では、上述したハイブリッドAFによる合焦制御を行う。すなわち、ステップST8や後述のステップST19、24で位相差AFの信頼性が高いと判定された場合には、コントラストAFによるフォーカスレンズ211の駆動に代わって、ハイブリッドAFでの位相差AFによるフォーカスレンズ211の駆動が行われる。これにより、AF開始時に撮像素子101による位相差AFが困難な場合でも、速やかにハイブリッドAFに移行して適切な合焦制御を行えることとなる。
【0104】
ステップST10では、コントラストの乏しい被写体がAFエリアEfで撮像されるローコントラスト状態であると判断し、AF動作を断念してフォーカスレンズ211を無限位置(∞位置)に駆動する。
【0105】
ステップST11では、マルチエリア全てで位相差AFの信頼性評価を行う。具体的には、図8に示す撮像面101fの9つのAFエリアEf全てにおいてAFラインLfによる測距が可能か否かを、上記の式(2)を用いて判断する。
【0106】
ステップST12では、ステップST11の信頼性評価に基づき全てのAFエリアEfで位相差AFの信頼性が低いか否かを判定する。ここで、全AFエリアEfで位相差AFの信頼性が低い場合、つまり上記の式(2)で得られた演算値Jが閾値Jth以下である場合には、ステップST13に進む。一方、全AFエリアEfで位相差AFの信頼性が高い場合、つまり上記の式(2)で得られた演算値Jが閾値Jthより大きいAFエリアEfが存在する場合には、ステップST20に進む。
【0107】
すなわち、ステップST12において、AF画素対11fの群からなるAFラインLfで生成された画素信号に基づく位相差AFの信頼性が高いと判定された場合には、上述のステップST9において、この画素信号に基づき検出された合焦位置に向かってフォーカスレンズ211が駆動される。一方、ステップST12において、AFラインLfで生成された画素信号に基づく位相差AFの信頼性が低いと判定された場合には、後述のステップST13、ST17、ST22において、コントラストAFによって検出された合焦位置の方向にフォーカスレンズ211が駆動されることとなる。
【0108】
ステップST13では、マルチエリア全てでコントラストAFによる合焦方向を検出する。具体的には、図8に示す撮像面101fの9つのAFエリアEf全てにおいて、上述のように異なるフォーカスレンズ211位置で取得したコントラストを比較することにより、フォーカスレンズ211に係る合焦方向を検知する(後で詳述)。
【0109】
ステップST14では、ステップST13において合焦方向が検出されたAFエリアEfがあるかを判定する。ここで、合焦方向が検出されたAFエリアEfが存在する場合には、ステップST15に進み、合焦方向が検出されたAFエリアEfがない場合には、ステップST10に進む。
【0110】
ステップST15では、ステップST13において合焦方向が検出されたAFエリアEfのうち、合焦方向が近側に検出されたAFエリアEfがあるかを判定する。ここで、合焦方向が近側のAFエリアEfが存在する場合には、ステップST16に進み、近側のAFエリアEfがない場合には、ステップST21に進む。
【0111】
ステップST16では、合焦方向が近側に検出されたAFエリアEf全てを、位相差AFの信頼性評価対象として選択する。
【0112】
ステップST17では、AFアクチュエータ71Mによりフォーカスレンズ211を近側に駆動する。
【0113】
ステップST18では、ステップST16で選択したAFエリアEf全てで位相差AFの信頼性評価を行う。この場合、コントラストAFにより検出された合焦方向へのフォーカスレンズ211の駆動中に、選択したAFエリアEf全てで位相差AFの信頼性判定が行われることとなる。
【0114】
ステップST19では、ステップST18の信頼性評価に基づき位相差AFの信頼性が高いAFエリアEfがあるかを判定する。ここで、信頼性の高いAFエリアEfが存在する場合には、ステップST20に進み、信頼性の高いAFエリアEfがない場合には、ステップST17に戻る。
【0115】
ステップST20では、位相差AFの信頼性が高いAFエリアEfのうち最も近側のAFエリアEfを、上述したステップST9のハイブリッドAFで用いるAFエリアEfとして選択する。これにより、9つのAFエリア(焦点検出領域)Efのうち合焦対象物の被写体が撮像装置1から最も近くなる1つのAFエリアEf内におけるAFラインLfの画素信号に基づき検出された合焦位置に向かって、ステップST9のハイブリッドAFによるフォーカスレンズ211の駆動が行われることとなる。その結果、近側優先による適切な合焦制御が可能となる。
【0116】
ステップST21では、合焦方向が遠側に検出されたAFエリア全てを、位相差AFの信頼性評価対象として選択する。
【0117】
ステップST22では、AFアクチュエータ71Mによりフォーカスレンズ211を遠側に駆動する。
【0118】
ステップST23では、ステップST21で選択したAFエリアEf全てで位相差AFの信頼性評価を行う。
【0119】
ステップST24では、ステップST23の信頼性評価に基づき位相差AFの信頼性が高いAFエリアEfがあるかを判定する。ここで、信頼性の高いAFエリアEfが存在する場合には、ステップST20に進み、信頼性の高いAFエリアEfがない場合には、ステップST22に戻る。
【0120】
以下では、ステップST4やステップST13で実行される動作、つまりコントラストAFによる合焦方向の検出動作を、図21を参照して説明する。
【0121】
図21は、コントラストAFによる合焦方向の検出動作を示すフローチャートである。
【0122】
ステップST31では、AFエリアEf全てにおいてコントラストを演算して取得する。ここでは、シングルエリアが設定されるAFモードの場合には図5に示す1つのAFエリアEfにおいて、マルチエリアが設定されるAFモードの場合には図8に示す9つのAFエリアEf全てにおいて、コントラスト評価値が算出される。そして、算出されたコントラストは、メイン制御部62のメモリ部に記憶される。
【0123】
ステップST32では、レンズ位置検出部25で検出されるフォーカスレンズ211の現在位置Lpをメイン制御部62のメモリ部に記憶し、フォーカスレンズ211の駆動を開始する。このフォーカスレンズ211の駆動については、近側優先の駆動制御を採用し、近側へのレンズ駆動を行うこととする。
【0124】
ステップST33では、フォーカスレンズ211を近側に駆動可能かを判定する。すなわち、フォーカスレンズ211がレンズ駆動機構24で近側の駆動限界位置(メカ端)にある場合には、これ以上の近側への駆動が不可能であることから、この位置にフォーカスレンズ211が存在するか否かを判断する。ここで、近側にレンズ駆動が可能な場合には、ステップST34に進み、近側にレンズ駆動ができない場合には、ステップST39に進む。
【0125】
ステップST34では、AFアクチュエータ71Mを用いてフォーカスレンズ211を、工場試験等により予め定められているレンズ駆動量だけ近側に僅かに駆動(以下では「微少駆動」ともいう)する。換言すれば、フォーカス駆動制御部71Aにより、フォーカスレンズ211を第1位置から第2位置に微少駆動する制御が行われる。
【0126】
ステップST35では、ステップST31と同様に、AFエリアEf全てにおいてコントラストを演算して取得する。これによって取得されたコントラストは、メイン制御部62のメモリ部に記憶される。
【0127】
ステップST36では、ステップST35で取得された全AFエリアEfのコントラストについてノイズ判定を行う。具体的には、下式(3)で得られる演算値Cが、工場試験等によって予め定められた閾値Cthより小さい場合には、ノイズが少ないと判断する一方、閾値Cth以上の場合には、ノイズが多いと判断する。
【0128】
C=|C1−C2|・・・・・・・(3):
ただし、上式(3)において、C1は上述したフォーカスレンズ211の微少駆動前に取得されたコントラストを表し、C2は微少駆動後に取得されたコントラストを表している。
【0129】
ステップST37では、ステップST36のノイズ判定においてノイズの少ないAFエリアEfがあるかを判定する。ここで、ノイズの少ないAFエリアEfが存在する場合には、ステップST38に進み、ノイズの少ないAFエリアEfがない場合には、ステップST33に戻る。
【0130】
ステップST38では、ノイズの少ないAFエリアEfで、コントラストAFによる合焦方向の検出を行う。この合焦方向の検出においては、フォーカスレンズ211を近側に駆動する際、図22のようにフォーカスレンズ211の微少駆動前の位置Paで得られたコントラストC1が、微少駆動後のレンズ位置Pbで得られたコントラストC2より小さい場合には、近側に合焦位置があると判断する。一方、図23のようにフォーカスレンズ211の微少駆動前の位置Paで得られたコントラストC1が、微少駆動後のレンズ位置Pbで得られたコントラストC2より大きい場合には、遠側に合焦位置があると判断する。
【0131】
換言すれば、ステップST35(やST31)の動作により、フォーカスレンズ211が微少駆動前後の各位置(第1・第2位置)Pa、Pbのときに通常画素110の群(第2画素群)で生成された画素信号に基づき各コントラスト(第1・第2情報)C1、C2が取得される。そして、ステップST38において、各コントラストC1、C2を比較することによりフォーカスレンズ211に係る合焦位置の方向が検出されることとなる。
【0132】
ステップST39では、ステップST32でメイン制御部62のメモリ部に記憶されたレンズ位置Lpにフォーカスレンズ211を駆動する。
【0133】
ステップST40では、フォーカスレンズ211を遠側に駆動可能かを判定する。すなわち、フォーカスレンズ211がレンズ駆動機構24で遠側の駆動限界位置(メカ端)にある場合には、これ以上の遠側への駆動が不可能であることから、この位置にフォーカスレンズ211が存在するか否かを判断する。ここで、遠側にレンズ駆動が可能な場合には、ステップST41に進み、遠側にレンズ駆動ができない場合には、ステップST46に進む。
【0134】
ステップST41では、AFアクチュエータ71Mを用いてフォーカスレンズ211を、工場試験等により予め定められているレンズ駆動量だけ遠側に駆動する。
【0135】
ステップST42〜ST45では、上記のステップST35〜ST38と同様の動作を行う。
【0136】
ステップST46では、コントラストの乏しい被写体がAFエリアEfで撮像されるローコントラスト(ローコン)状態であると判断する。
【0137】
以上のような撮像装置1の動作により、AFラインLfの画素出力に基づき上記の式(2)を用いて位相差AFの信頼性を評価し、その信頼性が高い場合には位相差AFを伴ったバイブリッドAFを行う一方、信頼性が低い場合にはコントラストAFによって検出された合焦方向にフォーカスレンズ211を駆動する。これにより、撮像素子(位相差検出機能付き撮像素子)101による位相差AFが困難な場合でも適切な合焦制御を行える。
【0138】
<変形例>
・上記の実施形態における位相差AFの信頼性評価については、評価関数として上記の式(2)を採用するのは必須でなく、AFラインLfによる測距が可能か否かを判定できる関数であれば、式(2)以外のものを採用しても良い。
【0139】
・上記の実施形態おける撮像素子については、図7に示すように上下方向に隣接するAFラインLfの間に10本の通常画素ラインLnが挟まれるのは必須でなく、9本以下の通常画素ラインLnや11本以上の通常画素ラインLnが挟まれても良い。
【0140】
・上記の実施形態における第1AF画素11aおよび第2AF画素11bについては、カラーフィルタを設けるようにしても良い。このカラーフィルタにより、感度が低下するものの、撮影用のカラーの画素データが取得できることとなる。
【0141】
・上記の実施形態における撮像装置については、撮影レンズ2がカメラボディ10に着脱自在であるのは必須でなく、撮影レンズ2がカメラボディ10に固定されているものでも良い。
【0142】
・上記の実施形態におけるコントラスト評価値については、AFエリアEf内のG画素11gにおいて隣接差分の絶対値総和を算出するのは必須でなく、隣接差分の2乗の絶対値総和を算出するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置1の外観構成を示す図である。
【図2】撮像装置1の外観構成を示す図である。
【図3】撮像装置1の縦断面図である。
【図4】撮像装置1全体の電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】撮像素子101の構成を説明するための図である。
【図6】撮像素子101の構成を説明するための図である。
【図7】撮像素子101の構成を説明するための図である。
【図8】マルチエリアを説明するための図である。
【図9】AFラインLfを利用した位相差AFの原理を説明するための図である。
【図10】焦点面が撮像面101fから10mm以上近側にデフォーカスしている場合の概念図である。
【図11】焦点面が撮像面101fから200μm近側にデフォーカスしている場合の概念図である。
【図12】焦点面が撮像面101fから100μm近側にデフォーカスしている場合の概念図である。
【図13】焦点面が撮像面101fに一致している合焦状態の概念図である。
【図14】焦点面が撮像面101fから100μm遠側にデフォーカスしている場合の概念図である。
【図15】焦点面が撮像面101fから200μm遠側にデフォーカスしている場合の概念図である。
【図16】焦点面が撮像面101fから10mm以上遠側にデフォーカスしている場合の概念図である。
【図17】シフト量とデフォーカス量との関係を示す図である。
【図18】コントラストAFの原理を説明するための図である。
【図19】撮像装置1の基本的な動作を示すフローチャートである。
【図20】撮像装置1の基本的な動作を示すフローチャートである。
【図21】コントラストAFによる合焦方向の検出動作を示すフローチャートである。
【図22】コントラストAFによる合焦方向の検出について説明するための図である。
【図23】コントラストAFによる合焦方向の検出について説明するための図である。
【符号の説明】
【0144】
1 撮像装置
2 交換レンズ
10 カメラボディ
11a 第1AF画素
11b 第2AF画素
11f AF画素対
12a、12b 遮光板
62 メイン制御部
76 位相差AF演算回路
77 コントラストAF演算回路
101 撮像素子
101f 撮像面
110 通常画素
211 フォーカスレンズ
Ef、Efa、Efb AFエリア
Lf AFライン
Ln 通常画素ライン
OP 遮光板の開口部
PD 光電変換部
Qa 射出瞳の右側部分
Qb 射出瞳の左側部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系に含まれるフォーカスレンズを第1位置から第2位置に駆動する制御を行う駆動制御手段と、
前記撮影光学系の射出瞳において所定方向に沿って互いに逆向きに偏った一対の部分領域を通過した被写体光束を受光することにより瞳分割機能を実現する第1画素群と、前記瞳分割機能を持たない第2画素群とを有する撮像素子と、
前記第1画素群の画素信号から位相差検出方式の焦点検出により検出された合焦位置に向かって、前記フォーカスレンズを駆動する合焦制御手段と、
を備えており、
前記合焦制御手段は、
前記フォーカスレンズが前記第1位置のときに前記第2画素群で生成された画素信号に基づきコントラスト検出方式の焦点検出に用いる焦点検出情報としての第1情報を取得する一方、前記フォーカスレンズが前記第2位置のときに前記第2画素群で生成された画素信号に基づき前記焦点検出情報としての第2情報を取得し、前記第1情報と前記第2情報とを比較することによって前記合焦位置の方向を検出する合焦方向検出手段と、
前記第1画素群の画素信号が所定の条件を満たすか否かによって、前記合焦位置の検出に係る信頼性を判定する判定手段と、
前記判定手段において前記第1画素群の画素信号が前記所定の条件を満たし前記信頼性が高いと判定された場合には、当該第1画素群の画素信号に基づき検出された合焦位置に向かって前記フォーカスレンズを駆動する第1制御手段と、
前記判定手段において前記第1画素群の画素信号が前記所定の条件を満たさず前記信頼性が低いと判定された場合には、前記合焦方向検出手段によって検出された合焦位置の方向に前記フォーカスレンズを駆動する第2制御手段と、
を有する撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子の撮像面には、前記第1画素群を有した複数の焦点検出領域が規定されており、
前記合焦制御手段は、
前記複数の焦点検出領域のうち合焦対象が前記撮像装置から最も近くなる焦点検出領域内の第1画素群の画素信号に基づき検出された合焦位置に向かって、前記フォーカスレンズを駆動する手段、
を有する請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記第2制御手段によるフォーカスレンズの駆動中に前記信頼性の判定を行う信頼性判定手段、
を有する請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記合焦制御手段は、前記信頼性判定手段で前記信頼性が高いと判定された場合には、前記第2制御手段によるフォーカスレンズの駆動に代わって、前記第1制御手段によるフォーカスレンズの駆動を行う請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
撮影光学系に含まれるフォーカスレンズを第1位置から第2位置に駆動する制御を行う駆動制御工程と、
前記撮影光学系の射出瞳において所定方向に沿って互いに逆向きに偏った一対の部分領域を通過した被写体光束を受光することにより瞳分割機能を実現する撮像素子の第1画素群に係る画素信号から位相差検出方式の焦点検出によって検出された合焦位置に向かって、前記フォーカスレンズを駆動する合焦制御工程と、
を備えており、
前記合焦制御工程は、
前記フォーカスレンズが前記第1位置のときに前記瞳分割機能を持たない前記撮像素子の第2画素群で生成された画素信号に基づきコントラスト検出方式の焦点検出に用いる焦点検出情報としての第1情報を取得する一方、前記フォーカスレンズが前記第2位置のときに前記第2画素群で生成された画素信号に基づき前記焦点検出情報としての第2情報を取得し、前記第1情報と前記第2情報とを比較することによって前記合焦位置の方向を検出する合焦方向検出工程と、
前記第1画素群の画素信号が所定の条件を満たすか否かによって、前記合焦位置の検出に係る信頼性を判定する判定工程と、
前記判定工程において前記第1画素群の画素信号が前記所定の条件を満たし前記信頼性が高いと判定された場合には、当該第1画素群の画素信号に基づき検出された合焦位置に向かって前記フォーカスレンズを駆動する第1制御工程と、
前記判定工程において前記第1画素群の画素信号が前記所定の条件を満たさず前記信頼性が低いと判定された場合には、前記合焦方向検出手段によって検出された合焦位置の方向に前記フォーカスレンズを駆動する第2制御工程と、
を有する合焦制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−139942(P2010−139942A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318180(P2008−318180)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】