撮像装置及びその制御方法及びプログラム
【課題】デフォーカス量検出のためのラインセンサに異物が付着していた場合でも、デフォーカス量の検出誤差を極力抑制できるようにする。
【解決手段】撮像素子と、撮像素子上に2次元に配列され、位相差検出方式により被写体像のデフォーカス量を検出するための信号を出力する光電変換センサと、撮像素子の前方に配置された光学部材と、光学部材の表面に付着した異物の情報である異物情報を記憶する記憶部と、光学部材を振動させる加振装置と、加振装置により光学部材を振動させる前の光電変換センサの出力信号と、加振装置により光学部材を振動させた後の光電変換センサの出力信号との差分値を演算する演算部と、異物情報に基づく補正データを用いて光電変換センサの出力信号を補正する補正部と、演算部により算出された差分値が所定の値以上である場合に、補正データを更新する更新部とを備える。
【解決手段】撮像素子と、撮像素子上に2次元に配列され、位相差検出方式により被写体像のデフォーカス量を検出するための信号を出力する光電変換センサと、撮像素子の前方に配置された光学部材と、光学部材の表面に付着した異物の情報である異物情報を記憶する記憶部と、光学部材を振動させる加振装置と、加振装置により光学部材を振動させる前の光電変換センサの出力信号と、加振装置により光学部材を振動させた後の光電変換センサの出力信号との差分値を演算する演算部と、異物情報に基づく補正データを用いて光電変換センサの出力信号を補正する補正部と、演算部により算出された差分値が所定の値以上である場合に、補正データを更新する更新部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子を用いた撮像装置上に配置した位相差方式によるデフォーカス検出センサにおける、光学ローパスフィルター等の表面に付着した異物によるデフォーカス検出精度劣化を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどのように、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子を用いて画像信号を生成し、それをデータとして記録する撮像装置が数多く出回るようになってきている。
【0003】
また、デジタルカメラでは、特許文献1に開示されるように、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子の前面であって撮影光軸上に配設された光学部材上にゴミ等の異物が付着した場合に、光学部材に振動を与えることにより、異物を取り除く技術が知られている。
【0004】
また、特許文献2に開示されるように、撮像素子の前方に配置された保護ガラス、フィルター等にゴミが付着した場合でも、撮影画像への影響を抑制できるように補正する技術が知られている。
【特許文献1】特開2007−134801号公報
【特許文献2】特開2007−215151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像素子を用いた撮像装置上に配置した位相差方式によるデフォーカス検出センサを用いてデフォーカス量を検出するシステムにおいて、光学ローパスフィルター等の表面に異物が付着していると、この異物に対応する位置のラインセンサの出力が低下する。
【0006】
この状態を図1A乃至図1Dを参照して説明する。
【0007】
図1Aは、ラインセンサAに異物の影響がない場合を示す。
【0008】
ラインセンサA,Bの各センサの出力をプロットし、波形を整形した後、相関演算によりデフォーカス値D1が得られる。
【0009】
一方、図1Bは、ラインセンサAの一部であるN番目のセンサに異物が付着している場合を示す。
【0010】
N番目のセンサの出力が低下することにより、ラインセンサA,Bの各センサの出力をプロットし相関演算によりデフォーカス値D2が得られる。
【0011】
ラインセンサAに異物の影響がない場合に対し、異物の影響がある場合には、デフォーカス量に、D2−D1分のずれが生じてしまう。
【0012】
このとき検出されるデフォーカスは、理想的デフォーカス量に対し、(D2−D1)の誤差を生じている状態といえる。
【0013】
以上が異物付着によるデフォーカス検出精度が劣化している状態についての説明である。
【0014】
続いて図1Cに、ラインセンサ上に異物の影が投影されている場合のデフォーカス量のずれの影響を緩和するために、異物の付着による影響を補正するパラメータを用いた場合を示す。
【0015】
ラインセンサAの一部であるN番目のセンサに異物が付着している場合、N番目のセンサの出力が低下する。
【0016】
このN番目のセンサの出力について補正パラメータh(N)を加算することにより、N番目のセンサの出力を補正する。補正後のラインセンサA,Bの各センサの出力をプロットし相関演算によりデフォーカス値D3が得られる。
【0017】
このとき検出されるデフォーカス量は、理想的デフォーカス量D1に対し、(D3−D1)の誤差を生じるが、出力補正値の効果により、補正なしの場合よりもデフォーカス量の誤差を小さく抑制することができる。
【0018】
以上のようにラインセンサに対して異物の影響が少なくなるように出力を補正するシステムでは、どのラインセンサに異物があるか、異物の大きさはどの程度であるか、といった異物とラインセンサの関係を関連付けておく必要がある。
【0019】
一方、従来の光学部品を振動させることにより異物を除去する機能を有するシステムにおいては、異物除去機能を動作させると、異物が排除されるか、もしくは移動することがわかっている。
【0020】
図1Dは、この異物除去機能を作動させたのち、ラインセンサ上に異物がなくなったにもかかわらず、異物が付着している場合の補正パラメータを引き続いて使用した場合を示す。
【0021】
ラインセンサAの一部であるN番目のセンサの異物が除去された場合、N番目のセンサの出力が本来の出力レベルに復帰する。
【0022】
このN番目のセンサの出力について、それまでと同様に異物補正パラメータh(N)を加算すると、N番目のセンサの補正後の出力が、本来の値より大きくなるといった問題がある。
【0023】
この後のAF演算処理において、ラインセンサA,Bの各センサの出力をプロットし相関演算によりデフォーカス値D4が得られる。
【0024】
このとき検出されるデフォーカス量は、理想的デフォーカス量D1に対し、(D4−D1)の誤差を生じる。
【0025】
異物補正なしの場合に比べ、N番目のセンサの出力が本来の出力より持ち上がっている影響で、デフォーカス量の誤差が大きくなってしまうことがわかる。
【0026】
このように、撮像面ラインセンサと異物除去機能を有するシステムにおいては、上記異物補正パラメータが適切でないと、デフォーカス検出誤差が大きくなるという問題があった。
【0027】
従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、デフォーカス量検出のためのラインセンサに異物が付着していた場合でも、デフォーカス量の検出誤差を極力抑制できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる撮像装置は、撮影光学系により結像された被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子上に2次元に配列され、位相差検出方式により前記被写体像のデフォーカス量を検出するための信号を出力する光電変換センサと、前記撮像素子の前方に配置された光学部材と、前記光学部材の表面に付着した異物の少なくとも位置と大きさの情報を含む異物情報を記憶する記憶手段と、前記光学部材の表面に付着した異物を除去するために前記光学部材を振動させる加振手段と、前記加振手段により前記光学部材を振動させる前の前記光電変換センサの出力信号と、前記加振手段により前記光学部材を振動させた後の前記光電変換センサの出力信号との差分値を演算する演算手段と、前記異物情報に基づく補正データを用いて前記光電変換センサの出力信号を補正する補正手段と、前記演算手段により算出された前記差分値が所定の値以上である場合に、前記補正データを更新する更新手段と、を備えることを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係わる撮像装置の制御方法は、撮影光学系により結像された被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子上に2次元に配列され、位相差検出方式により前記被写体像のデフォーカス量を検出するための信号を出力する光電変換センサと、前記撮像素子の前方に配置された光学部材と、前記光学部材の表面に付着した異物の少なくとも位置と大きさの情報を含む異物情報を記憶する記憶手段と、前記光学部材の表面に付着した異物を除去するために前記光学部材を振動させる加振手段と、を備える撮像装置を制御する方法であって、前記加振手段により前記光学部材を振動させる前の前記光電変換センサの出力信号と、前記加振手段により前記光学部材を振動させた後の前記光電変換センサの出力信号との差分値を演算する演算工程と、前記異物情報に基づく補正データを用いて前記光電変換センサの出力信号を補正する補正工程と、前記演算工程において算出された前記差分値が所定の値以上である場合に、前記補正データを更新する更新工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、デフォーカス量検出のためのラインセンサに異物が付着していた場合でも、デフォーカス量の検出誤差を極力抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
本実施形態では、撮影光学系により結像された被写体像を光電変換する撮像素子上に2次元に配列された位相差検出方式によるデフォーカス検出センサ(光電変換センサ)と、光学部品振動システムを用いた異物除去機能とを有するカメラについて説明する。
【0033】
図2は、本発明を一眼レフタイプのデジタルカメラに適用した場合の電気回路のブロック構成を示す図である。
【0034】
図2において、10は、デジタル一眼レフカメラの制御を司るカメラ制御マイコンである。
【0035】
電源制御部81は、カメラ制御マイコン10からの制御信号を受けて電源80からカメラ各部へ電源を供給する。
【0036】
電源スイッチ14は、カメラ制御マイコン10に接続されており、電源スイッチ14がオンしていると、カメラが起動状態である。電源スイッチ14がオンしていない場合には、カメラは不動作状態となる。
【0037】
撮影者がメニュースイッチ17をオンすると、メニューモードに移行する。メニューモードでは、メモリ制御回路50、TFT制御回路52、TFTモニタ54、TFTバックライト55、および画像表示メモリ56を駆動し、TFTモニタ54へメニュー情報を表示する。撮影者が、電子ダイヤル16、SET釦スイッチ19、操作部20などの操作を行うと、メニュー設定を変更することができる。変更したメニュー情報はメモリ58に格納される。
【0038】
撮影者が再生スイッチ18をオンすると、再生モードに移行する。
【0039】
再生モードでは、記録部62、I/F60、圧縮伸張回路59を駆動し、メモリ制御回路50、画像表示メモリ56上に再生画像データを生成する。さらに、TFT制御回路52、TFTモニタ54、TFTバックライト55および画像表示メモリ56を駆動し、再生画像を表示する。撮影者が電子ダイヤル16などの操作を行うと、再生画像を変更することが出来る。
【0040】
カメラ制御マイコン10は、レンズ接続インターフェース71を経由してレンズ制御マイコン200とのデータ通信が可能かを検出する。
【0041】
レンズ装着検知スイッチ70がオンしている場合、レンズ(撮影光学系)が装着されレンズ制御マイコン200とのデータ通信が可能と判断し、カメラ制御マイコン10と、レンズ制御マイコン200の間でデータを受け渡す。具体的には、レンズ絞り制御データ、ズーム制御情報、距離環制御情報など各レンズ制御データを受け渡す。なお、201は絞り制御回路、202はズーム制御回路、203は測距制御回路である。
【0042】
さらにカメラ制御マイコン10は、フラッシュ装着検知スイッチ72がオンしているか、また、フラッシュ接続インターフェース73を経由してフラッシュ制御マイコン100とのデータ通信が可能かを検出する。フラッシュ105が装着されており通信可能な場合には、カメラ制御マイコン10と、フラッシュ制御マイコン100の間でデータを通信し、フラッシュ制御データ、ズーム位置情報、ガイドナンバー、メインコンデンサの充電量などの各フラッシュ制御データを受け渡す。なお、101はフラッシュの発光部、102はフラッシュの調光制御のための光量センサ、103はメインコンデンサの充電制御回路、104はフラッシュのズーミングを制御するズーム制御回路である。
【0043】
カメラ制御マイコン10は、レリーズスイッチ15の第1スイッチSW1のONを検出すると、撮影モードに遷移し、測光回路13を駆動し被写界の輝度を測光することにより測光制御データを取得する。
【0044】
測距回路35は、撮像素子30を用いた撮像装置上に配置した位相差方式によるデフォーカス検出センサである。
【0045】
カメラ制御マイコン10は、測距回路35を駆動するとともに、測距回路35の出力を元に被写体のデフォーカス量を演算することによりAFデータを取得する。
【0046】
カメラ制御マイコン10は、レリーズスイッチ15の第2スイッチSW2のONを検出すると、レリーズ動作を行う。カメラ制御マイコン10は、前述の測光制御データとAFデータをもとに、シャッター制御量、レンズ絞り制御量を算出し、シャッター制御部11を駆動し、レンズ制御マイコン200へレンズ絞り制御量、測距制御駆動量を受け渡し、レンズ絞り駆動を行う。
【0047】
カメラ制御マイコン10は、メモリ制御回路50に撮像回路ブロックの制御動作を開始させる。
【0048】
撮像回路ブロックは、撮像素子を含む撮像回路30、タイミング発生回路31、撮像回路30からの出力信号をA/D変換するA/D変換回路32、A/D変換回路32の出力を元に画像処理を行う画像処理回路33から構成される。そして、メモリ制御回路50は、撮像回路ブロックを駆動することにより、画像データを取得する。
【0049】
カメラ制御マイコン10は、画像確認モードに設定されている場合には、メモリ制御回路50およびTFT制御回路52へ表示コマンドを送り、画像処理で得られた画像データを元に表示用データを生成し、得られた表示用データをTFTモニタ54に表示する。
【0050】
振動発生回路90は、撮像素子の前方に配置された光学ローパスフィルター等の光学部品に接続された振動アクチュエータ(加振装置)を駆動する振動発生回路であり、カメラマイコン10からの信号に基づいて、所定の振動を発生する。振動発生回路90を駆動することにより、異物除去機能を動作させると、撮像面前方の光学部品の表面上に付着している異物が排除もしくは移動される。
【0051】
以上が、本実施形態の一眼レフタイプデジタルカメラの電気回路のブロック構成の説明である。
【0052】
次に、図3は本実施形態のデジタル一眼レフカメラの位相差AF(オートフォーカス)の動作を示すフローチャートである。
【0053】
カメラのスイッチ等によりAF操作を行った場合、ステップS300よりAF動作を開始する。
【0054】
ステップS310では、カメラ制御マイコン10により測距回路35を初期値設定し、AFセンサを駆動するためのデバイス設定を行う。続いてステップS320へ移行する。
【0055】
ステップS320では測距回路35を駆動し、ラインセンサA、ラインセンサBの蓄積を行う。
【0056】
ステップS330では各ラインセンサA,Bの出力波形を読み出す。
【0057】
ステップS340では、シェーディング補正を行い、ラインセンサA、ラインセンサBの各センサの出力値波形を補正する。
【0058】
ステップS350では、ステップS340で得られた読み出し値と、ラインセンサ光軸上にある異物の位置情報、大きさ情報などのメモリ上に格納している異物補正データ(異物情報)に基づいて、ラインセンサA,Bの出力の補正処理を行う。続いてステップS360へ移行する。
【0059】
ステップS360では、ステップS350で補正したデータを元に、ラインセンサA、ラインセンサBの各センサ波形に対し波形評価を行う。続いてステップS370へ移行する。
【0060】
ステップS370では、ステップS360での波形評価の結果から、デフォーカス演算処理を行い、デフォーカス量を算出し、プレディクション量を算出する。ステップS380へ遷移する。
【0061】
ステップS380では、プレディクション量が所定値以内であれば、合焦範囲にあると判断し、AF処理を完了するとともに、ステップS400に移行しAF処理を終了し、メイン処理へ戻る。
【0062】
ステップS380で、プレディクション量が所定値以内に無ければ、合焦状態に無いことからプレディクション量に応じてフォーカスレンズ駆動を行い、再測距のためステップS320へ遷移する。
【0063】
以上、図4に示すフローチャートを用いて、位相差AFラインセンサの光軸上にある異物の位置情報、大きさ情報などの異物補正データに基づいた、ラインセンサの信号の劣化の補正処理を行う動作について説明した。
【0064】
図4は、本実施形態のデジタル一眼レフカメラの位相差AF異物補正データの更新シーケンスを示すフローチャートである。
【0065】
カメラのスイッチ等により光学部材の振動による異物除去動作を操作した場合、AFセンサの出力を補正するために、ステップS200よりAF異物補正データの更新シーケンスを開始する。
【0066】
ステップS201では、カメラ制御マイコンにより測距回路35を初期値設定し、AFセンサを駆動するためのデバイス設定を行う。続いてステップS210へ移行する。
【0067】
ステップS210では1回目のAFセンサ部の駆動を行い、ラインセンサA、ラインセンサBの蓄積を行う。続いてステップS211へ移行する。
【0068】
ステップS211では各ラインセンサの出力波形A1(*)、出力波形B1(*)を読み出す。ここで、*はセンサの番号を代表する記号である。センサをn列に配置した場合、*がとりうる値は*=1〜nとなる。続いてステップS212へ移行する。
【0069】
ステップS212では、シェーディング補正を行い、ラインセンサA、ラインセンサBの各センサの出力値波形を補正する。補正後の波形をA1(*)’、B1(*)’とする。続いてステップS220へ移行する。
【0070】
ステップS220では、カメラ制御マイコン10は振動発生回路90を駆動する。振動発生回路90は、撮像素子の前方に配置された光学ローパスフィルター等の撮像面光学部品に接続された振動アクチュエータを駆動する振動発生回路であり、カメラマイコン10からの信号に基づいて、所定の振動を発生する。
【0071】
振動発生回路90を駆動することにより、異物除去機能を動作させると、撮像面光学部品上に存在している異物が排除もしくは移動されることがわかっている。続いてステップS230へ移行する。
【0072】
ステップS230では2回目のAFセンサ部の駆動を行い、ラインセンサA、ラインセンサBの蓄積を行う。続いてステップS231へ移行する。
【0073】
ステップS231では各ラインセンサの出力波形A2(*)、出力波形B2(*)を読み出す。続いてステップS232へ移行する。
【0074】
ステップS232では、シェーディング補正をおこない、ラインセンサA、ラインセンサBの各センサの出力値波形を補正する。補正後の波形をA2(*)’、B2(*)’とする。続いてステップS233へ移行する。
【0075】
ステップS233では、各ラインセンサAの1回目の出力波形の補正後データA1(*)’と2回目の出力波形の補正後データA2(*)’を比較する。また、各ラインセンサBの1回目の出力波形の補正後データB1(*)’と2回目の出力波形の補正後データB2(*)’を比較する。そして、以下の差分データ(差分値)を求める。
【0076】
ラインセンサAの差分データ=A2(*)’−A1(*)’
ラインセンサBの差分データ=B2(*)’−B1(*)’
そして、ステップS240へ移行する。
【0077】
ここで、しきい値をKa,Kbとする。(Ka,Kb)はともにあらかじめ決められた値であり、カメラマイコン10の記憶領域に設定されているものとする。
【0078】
ステップS240では、ラインセンサAの差分データがしきい値Ka未満であるか否かを評価するとともに、ラインセンサBの差分データがしきい値Kb未満であるか否かを評価する。
【0079】
ラインセンサAの差分データがしきい値Ka未満、かつ、ラインセンサBの差分データがしきい値Kb未満であれば、ステップS252へ移行する。一方、ラインセンサAの差分データがしきい値Ka以上、あるいは、ラインセンサBの差分データがしきい値Kb以上のいづれかであれば、ステップS250へ移行する。
【0080】
ステップS252では、異物補正データDDDを変更しない。続いてステップS260へ遷移する。
【0081】
一方、ステップS250では、異物補正データDDDを破棄し、新たにラインセンサAあるいはBの差分データを元に異物アドレスデータを生成し、この異物アドレスデータをもとに、新たに異物補正データ(DDD’とする)を生成する。
【0082】
異物補正データDDDをDDD’に入替えた後、ステップS260へ遷移する。
【0083】
ステップS260で、異物補正データ更新シーケンスを終了する。
【0084】
以上述べたように、本実施形態においては、位相差ラインセンサの出力波形が異物による欠落等を生じる際に出力値を補正するための補正データ群を用いる。かつまた、異物除去機能を作動させる前の位相差ラインセンサの各センサ出力波形と、異物除去機能を差動させた後の位相差ラインセンサの各センサ出力波形とを比較演算した結果の度合いに応じて、上記の異物補正パラメータを変更するか否かを決定する。
【0085】
続いて、本実施形態の位相差ラインセンサの異物補正データの仕組みを示すために、以下、図5Aと図3のフローチャートとを対応させて、AFの異物補正演算の動作について説明する。
【0086】
AF波形データと異物補正の関係を図5Aに示す。
【0087】
図5Aは、ラインセンサAまたはラインセンサBの出力波形をプロットしたものである。
【0088】
ラインセンサAおよびラインセンサBの出力波形の補正処理は共通であることから、ここではラインセンサAを例に挙げて説明する。
【0089】
図5Aは、ステップS330で得られるラインセンサAの出力波形であり、ラインセンサAのセンサk、k+1、k+2、k+3、k+4、k+5、k+6の各々の出力A1(k)、A1(k+1)、A1(k+2)、A1(k+3)、A1(k+4)、A1(k+5)、A1(k+6)を示している。センサk+2の位置に、異物がある場合を例に挙げて以下説明する。
【0090】
ステップS340では、シェーディング補正を行い、ラインセンサAの各センサの出力値波形を補正する。補正後の波形を各々S1(k)、S1(k+1)、S1(k+2)、S1(k+3)、S1(k+4)、S1(k+5)、S1(k+6)とする。なお、上記の説明では、図5Aは、ラインセンサAの出力波形を示すと説明したが、以下では、図5Aは、ラインセンサAの出力にシェーディング補正を行なった後の信号波形を示すものとする。
【0091】
ステップS350では、カメラマイコン10のメモリにある異物の位置と補正値のデータから、センサk+2に対する補正量をh(k+2)、他のセンサの補正量をいずれもゼロとして以下の様に、センサ出力を補正する。
【0092】
補正量を用いて、ラインセンサAの各々の出力を補正すると、S1(k)、S1(k+1)、{S1(k+2)+h(k+2)}、S1(k+3)、S1(k+4)、S1(k+5)、S1(k+6)となる。
【0093】
このようにシェーディング補正後の波形に異物補正データを加算することにより、異物補正演算を行う。
【0094】
ステップS360以降は前述のとおりであり、AF波形評価を行い、ラインセンサA、B間の相関演算により、デフォーカス演算、プレディクション演算をおこなう。
【0095】
以上が、図5Aおよび図3を用いたAFの異物補正演算の動作である。
【0096】
続いて、AF異物補正データ更新シーケンスを、図5A、図5B、図5C、図5Dと、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0097】
図5A、図5B、図5CはラインセンサAのセンサk、k+1、k+2、k+3、k+4、k+5、k+6の各々の出力A1(k)、A1(k+1)、A1(k+2)、A1(k+3)、A1(k+4)、A1(k+5)、A1(k+6)を示している。また、各補正値をh(k)、h(k+1)、h(k+2)、h(k+3)、h(k+4)、h(k+5)、h(k+6)とする。説明の簡単化のため、ここではh(k+2)が正の値であり、他の補正値はゼロとする。
【0098】
図5Aは、センサk+2の位置に、異物がある場合を示す。
【0099】
図5Bは、センサk+2の位置から異物が除去された状態を示す。
【0100】
図5Cは、図5Aと図5Bの波形の重なりと差異を表現するための図である。
【0101】
図5Dは、図5Aと図5Bの差分を縦軸に置き換えた図である。ここでは、しきい値をKaとする。
【0102】
図4のフローチャートとの対応において、図5Aは、ステップS210で蓄積され、ステップS211にて読み出したラインセンサAの出力波形である。ステップS212にて、これらの各出力値にシェーディング補正を行う。なお、上記の説明では、図5Aは、ラインセンサAの出力波形を示すと説明したが、以下では、図5Aは、ラインセンサAの出力にシェーディング補正を行なった後の信号A1(k)’、A1(k+1)’、A1(k+2)’、A1(k+3)’、A1(k+4)’、A1(k+5)’、A1(k+6)’の波形を示すものとする。
【0103】
以下、センサk+2の位置に、異物がある場合を例に挙げて説明する。
【0104】
ステップS220では、カメラ制御マイコン10は振動発生回路90を駆動する。振動発生回路90は、撮像素子の前方に配置された光学ローパスフィルター等の撮像面光学部品に接続された振動アクチュエータを駆動する振動発生回路であり、カメラマイコン10からの信号に基づいて、所定の振動を発生する。振動発生回路90を駆動することにより、光学部品の振動による除去機能を動作させると、撮像面光学部品上に存在している異物が排除もしくは移動される。この結果、k+2の位置に有った異物も除去される。
【0105】
ステップS230では、2回目のAFセンサ部の駆動を行う。図5Bは、ステップS230で蓄積され、ステップS231にて読み出した後、ステップS222にてシェーディング補正した後に得られるラインセンサAの出力波形である。センサk+2の位置にあった異物が無くなったものとして説明する。
【0106】
ステップS233では、1回目のAFデータと2回目のAFデータの波形の比較を行う。この様子を図5Cに示す。
【0107】
すなわち、k+2にあった異物が除去されたことにともない、波形データA1’と波形データA2’に差異が生じている様子を示している。
【0108】
ステップS240は、波形評価値の差分を求めるものであり、波形データA2’と波形データA1’の差分を演算した概念図を図5Dに示す。センサk+2にあった異物の影響を排除した結果、波形データA2’のセンサk+2の位置において、センサの出力差がしきい値レベルKaを超えている状態を示す。
【0109】
ステップS240でしきい値レベルKaを超えている場合には、異物補正データ群の再設定を行い、波形データA2’をもとに、補正値h(*) (*=k〜k+6)を再設定する。
【0110】
異物補正データ群を入替えた後、ステップS260へ遷移する。ここでは、h(k+2)=ゼロに設定する。
【0111】
一方、ステップS240でしきい値レベルKaを下回っている場合には、異物補正データ群を変更せずそのまま使用する。ここではh(k+2)をそのまま使用し、他の補正値はゼロのままである。
【0112】
同様に、ラインセンサAの差分データがしきい値Ka未満、かつ、ラインセンサBの差分データがしきい値Kb未満であれば、ステップS252へ移行する。一方、ラインセンサAの差分データがしきい値Ka以上、あるいは、ラインセンサBの差分データがしきい値Kb以上のいづれかであれば、ステップS250へ移行する。
【0113】
ステップS252では、異物補正データDDDを変更しない。
【0114】
ステップS260で、異物補正データ更新シーケンスを終了する。
【0115】
しきい値KaおよびKbは異物除去による差異を識別するために十分な大きさを持つ数値に設定している。
【0116】
以上が、図5A〜図5D、および図4を用いた、AFの異物補正データ更新シーケンスの説明である。
【0117】
以上説明したように、本実施形態によれば、異物除去機能を作動させた結果に応じて、異物補正パラメータを変更することにより、デフォーカス検出センサで検出されるデフォーカスに対する異物による検出誤差をより少なくすることができる。
【0118】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0119】
図6A〜図6D、図7を参照して、AFの異物補正データ更新シーケンスの第2の実施形態について説明する。図4のフローチャートのステップS232までのシーケンスは第1の実施形態と同じである。
【0120】
図4のステップS232に続く説明にあたり、図6A、図6B、図6Cは、ラインセンサAのセンサk、k+1、k+2、k+3、k+4、k+5、k+6に対する、シェーディング補正した後の各々の出力A1(k)’、A1(k+1)’、A1(k+2)’、A1(k+3)’、A1(k+4)’、A1(k+5)’、A1(k+6)’を示している。また、各補正値をh(k)、h(k+1)、h(k+2)、h(k+3)、h(k+4)、h(k+5)、h(k+6)とする。説明の簡単化のため、ここではh(k+2)が正の値であり、他の補正値はゼロとする。
【0121】
図6Aは、ラインセンサAのシェーディング補正した後の出力をフィルタリングにより滑らかな曲線に生成した波形であり、センサk+2の位置に、異物がある場合を示す。
【0122】
図6Bは、同様に滑らかな曲線を生成した波形を示すが、センサk+2の位置から異物が除去されている状態を示す。
【0123】
図7のステップS234では、1回目のAFデータと2回目のAFデータの波形の比較をおこなう。
【0124】
図6Cは、図7のステップS234で得られる、ラインセンサA1の波形(図6A)とラインセンサA2の波形(図6B)の差異を表現するための図である。
【0125】
図6Dは、図6Aと図6Bの差分を縦軸に置き換えた図である。
【0126】
ステップS241では、各センサの出力の差をΔ(*) *=k〜k+6とすると、
Δk=A2(k)’−A1(k)’
Δk+1=A2(k+1)’−A1(k+1)’
Δk+2=A2(k+2)’−A1(k+2)’
Δk+3=A2(k+3)’−A1(k+3)’
Δk+4=A2(k+4)’−A1(k+4)’
Δk+5=A2(k+5)’−A1(k+5)’
Δk+6=A2(k+6)’−A1(k+6)’
となる。この差分データ群のうち最大となるデータ(ピーク値)を求め、maxΔ(*) *=k〜k+6とする。続いてステップS242へ移行する。
【0127】
ステップS242では、maxΔ(*)が所定値Ka以上であるか否かを判定する。maxΔ(*)がしきい値Ka未満であれば、ステップS252へ移行し、一方、maxΔ(*)がしきい値Ka以上であれば、ステップS250へ移行する。
【0128】
ステップS252では、異物補正データDDDを変更しない。続いてステップS260へ遷移する。
【0129】
ステップS260では、異物補正データ更新シーケンスを終了する。
【0130】
以上が、AFの異物補正データ更新シーケンスの第2の実施形態である。
【0131】
第2の実施形態によれば、異物除去機能を作動させた際に、ラインセンサAの出力をフィルタリングにより滑らかな曲線とした波形もしくはラインセンサBの出力をフィルタリングにより滑らかな曲線とした波形をもとに、異物除去前後の波形比較を詳細に行うことが可能である。
【0132】
ラインセンサAもしくはラインセンサBの波形比較を詳細に行うことにより、変化量を第1の実施形態よりも詳細に検出することができる。こうして詳細に検出することによってデフォーカス検出センサで検出されるデフォーカスに対する異物による検出誤差をより少なくできるという効果がある。
【0133】
(第3の実施形態)
つづいて、本発明の第3の実施形態について、図8を参照して説明する。
【0134】
図8は、AFの異物補正データ更新シーケンスの第3の実施形態の動作を示すフローチャートである。図4のステップS232までのシーケンスは第1の実施形態と同じである。
【0135】
図4のステップS232に続くステップS235では、ラインセンサA1の波形(図6A)とラインセンサA2の波形(図6B)の差異を算出する。
【0136】
各センサの出力の差をΔ(*) *=k〜k+6、として、各センサの差分を縦軸に投影した図を図6Dに示す。図6Dの差分で囲まれた面積(積分値)をsとすると、
面積s=∫{Δ(*)}dx (*=k〜k+6)
で表わすことが出来る。続いてステップS247へ移行する。
【0137】
ステップS247では、面積sが所定値以上であるか否かを判定する。
【0138】
面積sが所定値未満であれば、ステップS252へ移行し、一方、面積sが所定値以上あれば、ステップS250へ移行する。
【0139】
ステップS252では、異物補正データDDDを変更しない。続いてステップS260へ遷移する。
【0140】
ステップS260で、異物補正データ更新シーケンスを終了する。
【0141】
以上がAFの異物補正データ更新シーケンスの第3の実施形態である。
【0142】
第3の実施形態によれば、異物除去機能を作動させた際に、ラインセンサAの出力をフィルタリングにより滑らかな曲線とした波形もしくはラインセンサBの出力をフィルタリングにより滑らかな曲線とした波形をもとに投影面積を算出する。異物除去前後の波形の投影面積を用いて詳細に比較を行うことが可能である。
【0143】
ラインセンサAもしくはラインセンサBの波形の投影面積を用いて詳細に比較演算することにより、変化量を第1の実施形態よりも詳細に検出することができる。こうして詳細に検出することによってデフォーカス検出センサで検出されるデフォーカスに対する異物による検出誤差をより少なくすることができる。
【0144】
(他の実施形態)
また、各実施形態の目的は、次のような方法によっても達成される。すなわち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、本発明には次のような場合も含まれる。すなわち、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0145】
さらに、次のような場合も本発明に含まれる。すなわち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0146】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した手順に対応するプログラムコードが格納されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1A】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図1B】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図1C】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図1D】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置としてのレンズ交換式一眼レフデジタルカメラの回路構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置のAF演算処理を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るAF異物補正データ更新シーケンスを示すフローチャートである。
【図5A】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図5B】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図5C】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図5D】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図6A】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図6B】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図6C】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図6D】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るAF異物補正データ更新シーケンスを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るAF異物補正データ更新シーケンスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0148】
10 カメラ制御マイコン
30 撮像回路
35 測距回路
90 振動発生回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子を用いた撮像装置上に配置した位相差方式によるデフォーカス検出センサにおける、光学ローパスフィルター等の表面に付着した異物によるデフォーカス検出精度劣化を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどのように、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子を用いて画像信号を生成し、それをデータとして記録する撮像装置が数多く出回るようになってきている。
【0003】
また、デジタルカメラでは、特許文献1に開示されるように、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子の前面であって撮影光軸上に配設された光学部材上にゴミ等の異物が付着した場合に、光学部材に振動を与えることにより、異物を取り除く技術が知られている。
【0004】
また、特許文献2に開示されるように、撮像素子の前方に配置された保護ガラス、フィルター等にゴミが付着した場合でも、撮影画像への影響を抑制できるように補正する技術が知られている。
【特許文献1】特開2007−134801号公報
【特許文献2】特開2007−215151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像素子を用いた撮像装置上に配置した位相差方式によるデフォーカス検出センサを用いてデフォーカス量を検出するシステムにおいて、光学ローパスフィルター等の表面に異物が付着していると、この異物に対応する位置のラインセンサの出力が低下する。
【0006】
この状態を図1A乃至図1Dを参照して説明する。
【0007】
図1Aは、ラインセンサAに異物の影響がない場合を示す。
【0008】
ラインセンサA,Bの各センサの出力をプロットし、波形を整形した後、相関演算によりデフォーカス値D1が得られる。
【0009】
一方、図1Bは、ラインセンサAの一部であるN番目のセンサに異物が付着している場合を示す。
【0010】
N番目のセンサの出力が低下することにより、ラインセンサA,Bの各センサの出力をプロットし相関演算によりデフォーカス値D2が得られる。
【0011】
ラインセンサAに異物の影響がない場合に対し、異物の影響がある場合には、デフォーカス量に、D2−D1分のずれが生じてしまう。
【0012】
このとき検出されるデフォーカスは、理想的デフォーカス量に対し、(D2−D1)の誤差を生じている状態といえる。
【0013】
以上が異物付着によるデフォーカス検出精度が劣化している状態についての説明である。
【0014】
続いて図1Cに、ラインセンサ上に異物の影が投影されている場合のデフォーカス量のずれの影響を緩和するために、異物の付着による影響を補正するパラメータを用いた場合を示す。
【0015】
ラインセンサAの一部であるN番目のセンサに異物が付着している場合、N番目のセンサの出力が低下する。
【0016】
このN番目のセンサの出力について補正パラメータh(N)を加算することにより、N番目のセンサの出力を補正する。補正後のラインセンサA,Bの各センサの出力をプロットし相関演算によりデフォーカス値D3が得られる。
【0017】
このとき検出されるデフォーカス量は、理想的デフォーカス量D1に対し、(D3−D1)の誤差を生じるが、出力補正値の効果により、補正なしの場合よりもデフォーカス量の誤差を小さく抑制することができる。
【0018】
以上のようにラインセンサに対して異物の影響が少なくなるように出力を補正するシステムでは、どのラインセンサに異物があるか、異物の大きさはどの程度であるか、といった異物とラインセンサの関係を関連付けておく必要がある。
【0019】
一方、従来の光学部品を振動させることにより異物を除去する機能を有するシステムにおいては、異物除去機能を動作させると、異物が排除されるか、もしくは移動することがわかっている。
【0020】
図1Dは、この異物除去機能を作動させたのち、ラインセンサ上に異物がなくなったにもかかわらず、異物が付着している場合の補正パラメータを引き続いて使用した場合を示す。
【0021】
ラインセンサAの一部であるN番目のセンサの異物が除去された場合、N番目のセンサの出力が本来の出力レベルに復帰する。
【0022】
このN番目のセンサの出力について、それまでと同様に異物補正パラメータh(N)を加算すると、N番目のセンサの補正後の出力が、本来の値より大きくなるといった問題がある。
【0023】
この後のAF演算処理において、ラインセンサA,Bの各センサの出力をプロットし相関演算によりデフォーカス値D4が得られる。
【0024】
このとき検出されるデフォーカス量は、理想的デフォーカス量D1に対し、(D4−D1)の誤差を生じる。
【0025】
異物補正なしの場合に比べ、N番目のセンサの出力が本来の出力より持ち上がっている影響で、デフォーカス量の誤差が大きくなってしまうことがわかる。
【0026】
このように、撮像面ラインセンサと異物除去機能を有するシステムにおいては、上記異物補正パラメータが適切でないと、デフォーカス検出誤差が大きくなるという問題があった。
【0027】
従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、デフォーカス量検出のためのラインセンサに異物が付着していた場合でも、デフォーカス量の検出誤差を極力抑制できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる撮像装置は、撮影光学系により結像された被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子上に2次元に配列され、位相差検出方式により前記被写体像のデフォーカス量を検出するための信号を出力する光電変換センサと、前記撮像素子の前方に配置された光学部材と、前記光学部材の表面に付着した異物の少なくとも位置と大きさの情報を含む異物情報を記憶する記憶手段と、前記光学部材の表面に付着した異物を除去するために前記光学部材を振動させる加振手段と、前記加振手段により前記光学部材を振動させる前の前記光電変換センサの出力信号と、前記加振手段により前記光学部材を振動させた後の前記光電変換センサの出力信号との差分値を演算する演算手段と、前記異物情報に基づく補正データを用いて前記光電変換センサの出力信号を補正する補正手段と、前記演算手段により算出された前記差分値が所定の値以上である場合に、前記補正データを更新する更新手段と、を備えることを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係わる撮像装置の制御方法は、撮影光学系により結像された被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子上に2次元に配列され、位相差検出方式により前記被写体像のデフォーカス量を検出するための信号を出力する光電変換センサと、前記撮像素子の前方に配置された光学部材と、前記光学部材の表面に付着した異物の少なくとも位置と大きさの情報を含む異物情報を記憶する記憶手段と、前記光学部材の表面に付着した異物を除去するために前記光学部材を振動させる加振手段と、を備える撮像装置を制御する方法であって、前記加振手段により前記光学部材を振動させる前の前記光電変換センサの出力信号と、前記加振手段により前記光学部材を振動させた後の前記光電変換センサの出力信号との差分値を演算する演算工程と、前記異物情報に基づく補正データを用いて前記光電変換センサの出力信号を補正する補正工程と、前記演算工程において算出された前記差分値が所定の値以上である場合に、前記補正データを更新する更新工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、デフォーカス量検出のためのラインセンサに異物が付着していた場合でも、デフォーカス量の検出誤差を極力抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
本実施形態では、撮影光学系により結像された被写体像を光電変換する撮像素子上に2次元に配列された位相差検出方式によるデフォーカス検出センサ(光電変換センサ)と、光学部品振動システムを用いた異物除去機能とを有するカメラについて説明する。
【0033】
図2は、本発明を一眼レフタイプのデジタルカメラに適用した場合の電気回路のブロック構成を示す図である。
【0034】
図2において、10は、デジタル一眼レフカメラの制御を司るカメラ制御マイコンである。
【0035】
電源制御部81は、カメラ制御マイコン10からの制御信号を受けて電源80からカメラ各部へ電源を供給する。
【0036】
電源スイッチ14は、カメラ制御マイコン10に接続されており、電源スイッチ14がオンしていると、カメラが起動状態である。電源スイッチ14がオンしていない場合には、カメラは不動作状態となる。
【0037】
撮影者がメニュースイッチ17をオンすると、メニューモードに移行する。メニューモードでは、メモリ制御回路50、TFT制御回路52、TFTモニタ54、TFTバックライト55、および画像表示メモリ56を駆動し、TFTモニタ54へメニュー情報を表示する。撮影者が、電子ダイヤル16、SET釦スイッチ19、操作部20などの操作を行うと、メニュー設定を変更することができる。変更したメニュー情報はメモリ58に格納される。
【0038】
撮影者が再生スイッチ18をオンすると、再生モードに移行する。
【0039】
再生モードでは、記録部62、I/F60、圧縮伸張回路59を駆動し、メモリ制御回路50、画像表示メモリ56上に再生画像データを生成する。さらに、TFT制御回路52、TFTモニタ54、TFTバックライト55および画像表示メモリ56を駆動し、再生画像を表示する。撮影者が電子ダイヤル16などの操作を行うと、再生画像を変更することが出来る。
【0040】
カメラ制御マイコン10は、レンズ接続インターフェース71を経由してレンズ制御マイコン200とのデータ通信が可能かを検出する。
【0041】
レンズ装着検知スイッチ70がオンしている場合、レンズ(撮影光学系)が装着されレンズ制御マイコン200とのデータ通信が可能と判断し、カメラ制御マイコン10と、レンズ制御マイコン200の間でデータを受け渡す。具体的には、レンズ絞り制御データ、ズーム制御情報、距離環制御情報など各レンズ制御データを受け渡す。なお、201は絞り制御回路、202はズーム制御回路、203は測距制御回路である。
【0042】
さらにカメラ制御マイコン10は、フラッシュ装着検知スイッチ72がオンしているか、また、フラッシュ接続インターフェース73を経由してフラッシュ制御マイコン100とのデータ通信が可能かを検出する。フラッシュ105が装着されており通信可能な場合には、カメラ制御マイコン10と、フラッシュ制御マイコン100の間でデータを通信し、フラッシュ制御データ、ズーム位置情報、ガイドナンバー、メインコンデンサの充電量などの各フラッシュ制御データを受け渡す。なお、101はフラッシュの発光部、102はフラッシュの調光制御のための光量センサ、103はメインコンデンサの充電制御回路、104はフラッシュのズーミングを制御するズーム制御回路である。
【0043】
カメラ制御マイコン10は、レリーズスイッチ15の第1スイッチSW1のONを検出すると、撮影モードに遷移し、測光回路13を駆動し被写界の輝度を測光することにより測光制御データを取得する。
【0044】
測距回路35は、撮像素子30を用いた撮像装置上に配置した位相差方式によるデフォーカス検出センサである。
【0045】
カメラ制御マイコン10は、測距回路35を駆動するとともに、測距回路35の出力を元に被写体のデフォーカス量を演算することによりAFデータを取得する。
【0046】
カメラ制御マイコン10は、レリーズスイッチ15の第2スイッチSW2のONを検出すると、レリーズ動作を行う。カメラ制御マイコン10は、前述の測光制御データとAFデータをもとに、シャッター制御量、レンズ絞り制御量を算出し、シャッター制御部11を駆動し、レンズ制御マイコン200へレンズ絞り制御量、測距制御駆動量を受け渡し、レンズ絞り駆動を行う。
【0047】
カメラ制御マイコン10は、メモリ制御回路50に撮像回路ブロックの制御動作を開始させる。
【0048】
撮像回路ブロックは、撮像素子を含む撮像回路30、タイミング発生回路31、撮像回路30からの出力信号をA/D変換するA/D変換回路32、A/D変換回路32の出力を元に画像処理を行う画像処理回路33から構成される。そして、メモリ制御回路50は、撮像回路ブロックを駆動することにより、画像データを取得する。
【0049】
カメラ制御マイコン10は、画像確認モードに設定されている場合には、メモリ制御回路50およびTFT制御回路52へ表示コマンドを送り、画像処理で得られた画像データを元に表示用データを生成し、得られた表示用データをTFTモニタ54に表示する。
【0050】
振動発生回路90は、撮像素子の前方に配置された光学ローパスフィルター等の光学部品に接続された振動アクチュエータ(加振装置)を駆動する振動発生回路であり、カメラマイコン10からの信号に基づいて、所定の振動を発生する。振動発生回路90を駆動することにより、異物除去機能を動作させると、撮像面前方の光学部品の表面上に付着している異物が排除もしくは移動される。
【0051】
以上が、本実施形態の一眼レフタイプデジタルカメラの電気回路のブロック構成の説明である。
【0052】
次に、図3は本実施形態のデジタル一眼レフカメラの位相差AF(オートフォーカス)の動作を示すフローチャートである。
【0053】
カメラのスイッチ等によりAF操作を行った場合、ステップS300よりAF動作を開始する。
【0054】
ステップS310では、カメラ制御マイコン10により測距回路35を初期値設定し、AFセンサを駆動するためのデバイス設定を行う。続いてステップS320へ移行する。
【0055】
ステップS320では測距回路35を駆動し、ラインセンサA、ラインセンサBの蓄積を行う。
【0056】
ステップS330では各ラインセンサA,Bの出力波形を読み出す。
【0057】
ステップS340では、シェーディング補正を行い、ラインセンサA、ラインセンサBの各センサの出力値波形を補正する。
【0058】
ステップS350では、ステップS340で得られた読み出し値と、ラインセンサ光軸上にある異物の位置情報、大きさ情報などのメモリ上に格納している異物補正データ(異物情報)に基づいて、ラインセンサA,Bの出力の補正処理を行う。続いてステップS360へ移行する。
【0059】
ステップS360では、ステップS350で補正したデータを元に、ラインセンサA、ラインセンサBの各センサ波形に対し波形評価を行う。続いてステップS370へ移行する。
【0060】
ステップS370では、ステップS360での波形評価の結果から、デフォーカス演算処理を行い、デフォーカス量を算出し、プレディクション量を算出する。ステップS380へ遷移する。
【0061】
ステップS380では、プレディクション量が所定値以内であれば、合焦範囲にあると判断し、AF処理を完了するとともに、ステップS400に移行しAF処理を終了し、メイン処理へ戻る。
【0062】
ステップS380で、プレディクション量が所定値以内に無ければ、合焦状態に無いことからプレディクション量に応じてフォーカスレンズ駆動を行い、再測距のためステップS320へ遷移する。
【0063】
以上、図4に示すフローチャートを用いて、位相差AFラインセンサの光軸上にある異物の位置情報、大きさ情報などの異物補正データに基づいた、ラインセンサの信号の劣化の補正処理を行う動作について説明した。
【0064】
図4は、本実施形態のデジタル一眼レフカメラの位相差AF異物補正データの更新シーケンスを示すフローチャートである。
【0065】
カメラのスイッチ等により光学部材の振動による異物除去動作を操作した場合、AFセンサの出力を補正するために、ステップS200よりAF異物補正データの更新シーケンスを開始する。
【0066】
ステップS201では、カメラ制御マイコンにより測距回路35を初期値設定し、AFセンサを駆動するためのデバイス設定を行う。続いてステップS210へ移行する。
【0067】
ステップS210では1回目のAFセンサ部の駆動を行い、ラインセンサA、ラインセンサBの蓄積を行う。続いてステップS211へ移行する。
【0068】
ステップS211では各ラインセンサの出力波形A1(*)、出力波形B1(*)を読み出す。ここで、*はセンサの番号を代表する記号である。センサをn列に配置した場合、*がとりうる値は*=1〜nとなる。続いてステップS212へ移行する。
【0069】
ステップS212では、シェーディング補正を行い、ラインセンサA、ラインセンサBの各センサの出力値波形を補正する。補正後の波形をA1(*)’、B1(*)’とする。続いてステップS220へ移行する。
【0070】
ステップS220では、カメラ制御マイコン10は振動発生回路90を駆動する。振動発生回路90は、撮像素子の前方に配置された光学ローパスフィルター等の撮像面光学部品に接続された振動アクチュエータを駆動する振動発生回路であり、カメラマイコン10からの信号に基づいて、所定の振動を発生する。
【0071】
振動発生回路90を駆動することにより、異物除去機能を動作させると、撮像面光学部品上に存在している異物が排除もしくは移動されることがわかっている。続いてステップS230へ移行する。
【0072】
ステップS230では2回目のAFセンサ部の駆動を行い、ラインセンサA、ラインセンサBの蓄積を行う。続いてステップS231へ移行する。
【0073】
ステップS231では各ラインセンサの出力波形A2(*)、出力波形B2(*)を読み出す。続いてステップS232へ移行する。
【0074】
ステップS232では、シェーディング補正をおこない、ラインセンサA、ラインセンサBの各センサの出力値波形を補正する。補正後の波形をA2(*)’、B2(*)’とする。続いてステップS233へ移行する。
【0075】
ステップS233では、各ラインセンサAの1回目の出力波形の補正後データA1(*)’と2回目の出力波形の補正後データA2(*)’を比較する。また、各ラインセンサBの1回目の出力波形の補正後データB1(*)’と2回目の出力波形の補正後データB2(*)’を比較する。そして、以下の差分データ(差分値)を求める。
【0076】
ラインセンサAの差分データ=A2(*)’−A1(*)’
ラインセンサBの差分データ=B2(*)’−B1(*)’
そして、ステップS240へ移行する。
【0077】
ここで、しきい値をKa,Kbとする。(Ka,Kb)はともにあらかじめ決められた値であり、カメラマイコン10の記憶領域に設定されているものとする。
【0078】
ステップS240では、ラインセンサAの差分データがしきい値Ka未満であるか否かを評価するとともに、ラインセンサBの差分データがしきい値Kb未満であるか否かを評価する。
【0079】
ラインセンサAの差分データがしきい値Ka未満、かつ、ラインセンサBの差分データがしきい値Kb未満であれば、ステップS252へ移行する。一方、ラインセンサAの差分データがしきい値Ka以上、あるいは、ラインセンサBの差分データがしきい値Kb以上のいづれかであれば、ステップS250へ移行する。
【0080】
ステップS252では、異物補正データDDDを変更しない。続いてステップS260へ遷移する。
【0081】
一方、ステップS250では、異物補正データDDDを破棄し、新たにラインセンサAあるいはBの差分データを元に異物アドレスデータを生成し、この異物アドレスデータをもとに、新たに異物補正データ(DDD’とする)を生成する。
【0082】
異物補正データDDDをDDD’に入替えた後、ステップS260へ遷移する。
【0083】
ステップS260で、異物補正データ更新シーケンスを終了する。
【0084】
以上述べたように、本実施形態においては、位相差ラインセンサの出力波形が異物による欠落等を生じる際に出力値を補正するための補正データ群を用いる。かつまた、異物除去機能を作動させる前の位相差ラインセンサの各センサ出力波形と、異物除去機能を差動させた後の位相差ラインセンサの各センサ出力波形とを比較演算した結果の度合いに応じて、上記の異物補正パラメータを変更するか否かを決定する。
【0085】
続いて、本実施形態の位相差ラインセンサの異物補正データの仕組みを示すために、以下、図5Aと図3のフローチャートとを対応させて、AFの異物補正演算の動作について説明する。
【0086】
AF波形データと異物補正の関係を図5Aに示す。
【0087】
図5Aは、ラインセンサAまたはラインセンサBの出力波形をプロットしたものである。
【0088】
ラインセンサAおよびラインセンサBの出力波形の補正処理は共通であることから、ここではラインセンサAを例に挙げて説明する。
【0089】
図5Aは、ステップS330で得られるラインセンサAの出力波形であり、ラインセンサAのセンサk、k+1、k+2、k+3、k+4、k+5、k+6の各々の出力A1(k)、A1(k+1)、A1(k+2)、A1(k+3)、A1(k+4)、A1(k+5)、A1(k+6)を示している。センサk+2の位置に、異物がある場合を例に挙げて以下説明する。
【0090】
ステップS340では、シェーディング補正を行い、ラインセンサAの各センサの出力値波形を補正する。補正後の波形を各々S1(k)、S1(k+1)、S1(k+2)、S1(k+3)、S1(k+4)、S1(k+5)、S1(k+6)とする。なお、上記の説明では、図5Aは、ラインセンサAの出力波形を示すと説明したが、以下では、図5Aは、ラインセンサAの出力にシェーディング補正を行なった後の信号波形を示すものとする。
【0091】
ステップS350では、カメラマイコン10のメモリにある異物の位置と補正値のデータから、センサk+2に対する補正量をh(k+2)、他のセンサの補正量をいずれもゼロとして以下の様に、センサ出力を補正する。
【0092】
補正量を用いて、ラインセンサAの各々の出力を補正すると、S1(k)、S1(k+1)、{S1(k+2)+h(k+2)}、S1(k+3)、S1(k+4)、S1(k+5)、S1(k+6)となる。
【0093】
このようにシェーディング補正後の波形に異物補正データを加算することにより、異物補正演算を行う。
【0094】
ステップS360以降は前述のとおりであり、AF波形評価を行い、ラインセンサA、B間の相関演算により、デフォーカス演算、プレディクション演算をおこなう。
【0095】
以上が、図5Aおよび図3を用いたAFの異物補正演算の動作である。
【0096】
続いて、AF異物補正データ更新シーケンスを、図5A、図5B、図5C、図5Dと、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0097】
図5A、図5B、図5CはラインセンサAのセンサk、k+1、k+2、k+3、k+4、k+5、k+6の各々の出力A1(k)、A1(k+1)、A1(k+2)、A1(k+3)、A1(k+4)、A1(k+5)、A1(k+6)を示している。また、各補正値をh(k)、h(k+1)、h(k+2)、h(k+3)、h(k+4)、h(k+5)、h(k+6)とする。説明の簡単化のため、ここではh(k+2)が正の値であり、他の補正値はゼロとする。
【0098】
図5Aは、センサk+2の位置に、異物がある場合を示す。
【0099】
図5Bは、センサk+2の位置から異物が除去された状態を示す。
【0100】
図5Cは、図5Aと図5Bの波形の重なりと差異を表現するための図である。
【0101】
図5Dは、図5Aと図5Bの差分を縦軸に置き換えた図である。ここでは、しきい値をKaとする。
【0102】
図4のフローチャートとの対応において、図5Aは、ステップS210で蓄積され、ステップS211にて読み出したラインセンサAの出力波形である。ステップS212にて、これらの各出力値にシェーディング補正を行う。なお、上記の説明では、図5Aは、ラインセンサAの出力波形を示すと説明したが、以下では、図5Aは、ラインセンサAの出力にシェーディング補正を行なった後の信号A1(k)’、A1(k+1)’、A1(k+2)’、A1(k+3)’、A1(k+4)’、A1(k+5)’、A1(k+6)’の波形を示すものとする。
【0103】
以下、センサk+2の位置に、異物がある場合を例に挙げて説明する。
【0104】
ステップS220では、カメラ制御マイコン10は振動発生回路90を駆動する。振動発生回路90は、撮像素子の前方に配置された光学ローパスフィルター等の撮像面光学部品に接続された振動アクチュエータを駆動する振動発生回路であり、カメラマイコン10からの信号に基づいて、所定の振動を発生する。振動発生回路90を駆動することにより、光学部品の振動による除去機能を動作させると、撮像面光学部品上に存在している異物が排除もしくは移動される。この結果、k+2の位置に有った異物も除去される。
【0105】
ステップS230では、2回目のAFセンサ部の駆動を行う。図5Bは、ステップS230で蓄積され、ステップS231にて読み出した後、ステップS222にてシェーディング補正した後に得られるラインセンサAの出力波形である。センサk+2の位置にあった異物が無くなったものとして説明する。
【0106】
ステップS233では、1回目のAFデータと2回目のAFデータの波形の比較を行う。この様子を図5Cに示す。
【0107】
すなわち、k+2にあった異物が除去されたことにともない、波形データA1’と波形データA2’に差異が生じている様子を示している。
【0108】
ステップS240は、波形評価値の差分を求めるものであり、波形データA2’と波形データA1’の差分を演算した概念図を図5Dに示す。センサk+2にあった異物の影響を排除した結果、波形データA2’のセンサk+2の位置において、センサの出力差がしきい値レベルKaを超えている状態を示す。
【0109】
ステップS240でしきい値レベルKaを超えている場合には、異物補正データ群の再設定を行い、波形データA2’をもとに、補正値h(*) (*=k〜k+6)を再設定する。
【0110】
異物補正データ群を入替えた後、ステップS260へ遷移する。ここでは、h(k+2)=ゼロに設定する。
【0111】
一方、ステップS240でしきい値レベルKaを下回っている場合には、異物補正データ群を変更せずそのまま使用する。ここではh(k+2)をそのまま使用し、他の補正値はゼロのままである。
【0112】
同様に、ラインセンサAの差分データがしきい値Ka未満、かつ、ラインセンサBの差分データがしきい値Kb未満であれば、ステップS252へ移行する。一方、ラインセンサAの差分データがしきい値Ka以上、あるいは、ラインセンサBの差分データがしきい値Kb以上のいづれかであれば、ステップS250へ移行する。
【0113】
ステップS252では、異物補正データDDDを変更しない。
【0114】
ステップS260で、異物補正データ更新シーケンスを終了する。
【0115】
しきい値KaおよびKbは異物除去による差異を識別するために十分な大きさを持つ数値に設定している。
【0116】
以上が、図5A〜図5D、および図4を用いた、AFの異物補正データ更新シーケンスの説明である。
【0117】
以上説明したように、本実施形態によれば、異物除去機能を作動させた結果に応じて、異物補正パラメータを変更することにより、デフォーカス検出センサで検出されるデフォーカスに対する異物による検出誤差をより少なくすることができる。
【0118】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0119】
図6A〜図6D、図7を参照して、AFの異物補正データ更新シーケンスの第2の実施形態について説明する。図4のフローチャートのステップS232までのシーケンスは第1の実施形態と同じである。
【0120】
図4のステップS232に続く説明にあたり、図6A、図6B、図6Cは、ラインセンサAのセンサk、k+1、k+2、k+3、k+4、k+5、k+6に対する、シェーディング補正した後の各々の出力A1(k)’、A1(k+1)’、A1(k+2)’、A1(k+3)’、A1(k+4)’、A1(k+5)’、A1(k+6)’を示している。また、各補正値をh(k)、h(k+1)、h(k+2)、h(k+3)、h(k+4)、h(k+5)、h(k+6)とする。説明の簡単化のため、ここではh(k+2)が正の値であり、他の補正値はゼロとする。
【0121】
図6Aは、ラインセンサAのシェーディング補正した後の出力をフィルタリングにより滑らかな曲線に生成した波形であり、センサk+2の位置に、異物がある場合を示す。
【0122】
図6Bは、同様に滑らかな曲線を生成した波形を示すが、センサk+2の位置から異物が除去されている状態を示す。
【0123】
図7のステップS234では、1回目のAFデータと2回目のAFデータの波形の比較をおこなう。
【0124】
図6Cは、図7のステップS234で得られる、ラインセンサA1の波形(図6A)とラインセンサA2の波形(図6B)の差異を表現するための図である。
【0125】
図6Dは、図6Aと図6Bの差分を縦軸に置き換えた図である。
【0126】
ステップS241では、各センサの出力の差をΔ(*) *=k〜k+6とすると、
Δk=A2(k)’−A1(k)’
Δk+1=A2(k+1)’−A1(k+1)’
Δk+2=A2(k+2)’−A1(k+2)’
Δk+3=A2(k+3)’−A1(k+3)’
Δk+4=A2(k+4)’−A1(k+4)’
Δk+5=A2(k+5)’−A1(k+5)’
Δk+6=A2(k+6)’−A1(k+6)’
となる。この差分データ群のうち最大となるデータ(ピーク値)を求め、maxΔ(*) *=k〜k+6とする。続いてステップS242へ移行する。
【0127】
ステップS242では、maxΔ(*)が所定値Ka以上であるか否かを判定する。maxΔ(*)がしきい値Ka未満であれば、ステップS252へ移行し、一方、maxΔ(*)がしきい値Ka以上であれば、ステップS250へ移行する。
【0128】
ステップS252では、異物補正データDDDを変更しない。続いてステップS260へ遷移する。
【0129】
ステップS260では、異物補正データ更新シーケンスを終了する。
【0130】
以上が、AFの異物補正データ更新シーケンスの第2の実施形態である。
【0131】
第2の実施形態によれば、異物除去機能を作動させた際に、ラインセンサAの出力をフィルタリングにより滑らかな曲線とした波形もしくはラインセンサBの出力をフィルタリングにより滑らかな曲線とした波形をもとに、異物除去前後の波形比較を詳細に行うことが可能である。
【0132】
ラインセンサAもしくはラインセンサBの波形比較を詳細に行うことにより、変化量を第1の実施形態よりも詳細に検出することができる。こうして詳細に検出することによってデフォーカス検出センサで検出されるデフォーカスに対する異物による検出誤差をより少なくできるという効果がある。
【0133】
(第3の実施形態)
つづいて、本発明の第3の実施形態について、図8を参照して説明する。
【0134】
図8は、AFの異物補正データ更新シーケンスの第3の実施形態の動作を示すフローチャートである。図4のステップS232までのシーケンスは第1の実施形態と同じである。
【0135】
図4のステップS232に続くステップS235では、ラインセンサA1の波形(図6A)とラインセンサA2の波形(図6B)の差異を算出する。
【0136】
各センサの出力の差をΔ(*) *=k〜k+6、として、各センサの差分を縦軸に投影した図を図6Dに示す。図6Dの差分で囲まれた面積(積分値)をsとすると、
面積s=∫{Δ(*)}dx (*=k〜k+6)
で表わすことが出来る。続いてステップS247へ移行する。
【0137】
ステップS247では、面積sが所定値以上であるか否かを判定する。
【0138】
面積sが所定値未満であれば、ステップS252へ移行し、一方、面積sが所定値以上あれば、ステップS250へ移行する。
【0139】
ステップS252では、異物補正データDDDを変更しない。続いてステップS260へ遷移する。
【0140】
ステップS260で、異物補正データ更新シーケンスを終了する。
【0141】
以上がAFの異物補正データ更新シーケンスの第3の実施形態である。
【0142】
第3の実施形態によれば、異物除去機能を作動させた際に、ラインセンサAの出力をフィルタリングにより滑らかな曲線とした波形もしくはラインセンサBの出力をフィルタリングにより滑らかな曲線とした波形をもとに投影面積を算出する。異物除去前後の波形の投影面積を用いて詳細に比較を行うことが可能である。
【0143】
ラインセンサAもしくはラインセンサBの波形の投影面積を用いて詳細に比較演算することにより、変化量を第1の実施形態よりも詳細に検出することができる。こうして詳細に検出することによってデフォーカス検出センサで検出されるデフォーカスに対する異物による検出誤差をより少なくすることができる。
【0144】
(他の実施形態)
また、各実施形態の目的は、次のような方法によっても達成される。すなわち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、本発明には次のような場合も含まれる。すなわち、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0145】
さらに、次のような場合も本発明に含まれる。すなわち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0146】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した手順に対応するプログラムコードが格納されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1A】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図1B】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図1C】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図1D】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置としてのレンズ交換式一眼レフデジタルカメラの回路構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置のAF演算処理を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るAF異物補正データ更新シーケンスを示すフローチャートである。
【図5A】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図5B】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図5C】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図5D】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図6A】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図6B】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図6C】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図6D】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置の演算処理を説明する概念図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るAF異物補正データ更新シーケンスを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るAF異物補正データ更新シーケンスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0148】
10 カメラ制御マイコン
30 撮像回路
35 測距回路
90 振動発生回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系により結像された被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子上に2次元に配列され、位相差検出方式により前記被写体像のデフォーカス量を検出するための信号を出力する光電変換センサと、
前記撮像素子の前方に配置された光学部材と、
前記光学部材の表面に付着した異物の少なくとも位置と大きさの情報を含む異物情報を記憶する記憶手段と、
前記光学部材の表面に付着した異物を除去するために前記光学部材を振動させる加振手段と、
前記加振手段により前記光学部材を振動させる前の前記光電変換センサの出力信号と、前記加振手段により前記光学部材を振動させた後の前記光電変換センサの出力信号との差分値を演算する演算手段と、
前記異物情報に基づく補正データを用いて前記光電変換センサの出力信号を補正する補正手段と、
前記演算手段により算出された前記差分値が所定の値以上である場合に、前記補正データを更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記補正データは、前記光学部材の表面に付着した異物により生じる前記光電変換センサの出力信号の劣化を補正するための補正データであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記演算手段は、前記加振手段により前記光学部材を振動させる前の前記光電変換センサの出力信号と、前記加振手段により前記光学部材を振動させた後の前記光電変換センサの出力信号との差分値のピーク値を算出し、前記更新手段は前記ピーク値が前記所定の値以上である場合に、前記補正データを更新することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記演算手段は、前記加振手段により前記光学部材を振動させる前の前記光電変換センサの出力信号と、前記加振手段により前記光学部材を振動させた後の前記光電変換センサの出力信号との差分値の積分値を算出し、前記更新手段は前記積分値が前記所定の値以上である場合に、前記補正データを更新することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮影光学系により結像された被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子上に2次元に配列され、位相差検出方式により前記被写体像のデフォーカス量を検出するための信号を出力する光電変換センサと、前記撮像素子の前方に配置された光学部材と、前記光学部材の表面に付着した異物の少なくとも位置と大きさの情報を含む異物情報を記憶する記憶手段と、前記光学部材の表面に付着した異物を除去するために前記光学部材を振動させる加振手段と、を備える撮像装置を制御する方法であって、
前記加振手段により前記光学部材を振動させる前の前記光電変換センサの出力信号と、前記加振手段により前記光学部材を振動させた後の前記光電変換センサの出力信号との差分値を演算する演算工程と、
前記異物情報に基づく補正データを用いて前記光電変換センサの出力信号を補正する補正工程と、
前記演算工程において算出された前記差分値が所定の値以上である場合に、前記補正データを更新する更新工程と、
を備えることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
撮影光学系により結像された被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子上に2次元に配列され、位相差検出方式により前記被写体像のデフォーカス量を検出するための信号を出力する光電変換センサと、
前記撮像素子の前方に配置された光学部材と、
前記光学部材の表面に付着した異物の少なくとも位置と大きさの情報を含む異物情報を記憶する記憶手段と、
前記光学部材の表面に付着した異物を除去するために前記光学部材を振動させる加振手段と、
前記加振手段により前記光学部材を振動させる前の前記光電変換センサの出力信号と、前記加振手段により前記光学部材を振動させた後の前記光電変換センサの出力信号との差分値を演算する演算手段と、
前記異物情報に基づく補正データを用いて前記光電変換センサの出力信号を補正する補正手段と、
前記演算手段により算出された前記差分値が所定の値以上である場合に、前記補正データを更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記補正データは、前記光学部材の表面に付着した異物により生じる前記光電変換センサの出力信号の劣化を補正するための補正データであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記演算手段は、前記加振手段により前記光学部材を振動させる前の前記光電変換センサの出力信号と、前記加振手段により前記光学部材を振動させた後の前記光電変換センサの出力信号との差分値のピーク値を算出し、前記更新手段は前記ピーク値が前記所定の値以上である場合に、前記補正データを更新することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記演算手段は、前記加振手段により前記光学部材を振動させる前の前記光電変換センサの出力信号と、前記加振手段により前記光学部材を振動させた後の前記光電変換センサの出力信号との差分値の積分値を算出し、前記更新手段は前記積分値が前記所定の値以上である場合に、前記補正データを更新することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮影光学系により結像された被写体像を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子上に2次元に配列され、位相差検出方式により前記被写体像のデフォーカス量を検出するための信号を出力する光電変換センサと、前記撮像素子の前方に配置された光学部材と、前記光学部材の表面に付着した異物の少なくとも位置と大きさの情報を含む異物情報を記憶する記憶手段と、前記光学部材の表面に付着した異物を除去するために前記光学部材を振動させる加振手段と、を備える撮像装置を制御する方法であって、
前記加振手段により前記光学部材を振動させる前の前記光電変換センサの出力信号と、前記加振手段により前記光学部材を振動させた後の前記光電変換センサの出力信号との差分値を演算する演算工程と、
前記異物情報に基づく補正データを用いて前記光電変換センサの出力信号を補正する補正工程と、
前記演算工程において算出された前記差分値が所定の値以上である場合に、前記補正データを更新する更新工程と、
を備えることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−103705(P2010−103705A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272348(P2008−272348)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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