撮像装置及び撮像システム
【課題】撮影した映像の無駄な部分を除外し、移動体前方と移動体内の被写体の解像度を高くすることが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】この撮像装置100は、車両(移動体)1の進行方向(矢印)にある車外景色(第1の被写体)と車両1に搭載したドライバー(第2の被写体)5とを同時に撮像する撮像装置20であって、車外景色像を投影するミラー(第1の投影部材)3及びドライバー5を投影するミラー(第2の投影部材)4により構成した組ミラー(投影手段)21と、この組ミラー3により投影した車外景色像及びドライバー像5を撮像するカメラ(撮像手段)6と、を備え、組ミラー3は、ミラー3及びミラー4の配置角度αを任意に設定可能な構成を有し、同時に投影した車外景色及びドライバー5をカメラ6に集光する位置に配設される。
【解決手段】この撮像装置100は、車両(移動体)1の進行方向(矢印)にある車外景色(第1の被写体)と車両1に搭載したドライバー(第2の被写体)5とを同時に撮像する撮像装置20であって、車外景色像を投影するミラー(第1の投影部材)3及びドライバー5を投影するミラー(第2の投影部材)4により構成した組ミラー(投影手段)21と、この組ミラー3により投影した車外景色像及びドライバー像5を撮像するカメラ(撮像手段)6と、を備え、組ミラー3は、ミラー3及びミラー4の配置角度αを任意に設定可能な構成を有し、同時に投影した車外景色及びドライバー5をカメラ6に集光する位置に配設される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像システムに関し、さらに詳しくは、移動体の進行方向と移動体内部の被写体とを同時に撮影するための画像取得技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に取り付けて車両前方や車内を撮影する車載カメラは既に知られている。しかし、今までの車載カメラは、その監視方向に専用に設置されたカメラが必要であり、例えば、車両前方と車内を同時に監視するためには、車両前方と車内を監視するカメラを別途設ける必要があった。そこで、1台のカメラで複数方向を同時に監視する場合は、魚眼レンズのような広角視野を持つレンズや双曲面ミラー、円錐形ミラーなどを採用して、車内と車外を含む全方位を視野に入れることも可能ではあるが、この方法によると、映像に不必要な部分が多く映ってしまうといった問題がある。例えば、車両前方とドライバーの映像が必要な場合でも、ボンネットなどの不必要な部分が映像の中に入ってきてしまい、その結果、必要とする部分の映像が小さくなってしまう。そこで、画像処理によって必要としている部分の映像を大きくすることもできるが、解像度が劣化してしまうという問題があった。
特許文献1には、1台のカメラで車両前方、側方、後方、及びドライバーの状態を監視し、さらに撮影した画像をドライバーが見やすいようにする目的で、全方位の映像を集光できるカメラと、撮影した映像を画像処理する装置について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、確かに1台のカメラで車外と車内を同時に撮影するという点では類似しているが、多くの不必要な部分カメラに入ってしまい、必要な映像が小さくなってしまうといった問題がある。また、撮影領域の任意の部分を拡大する画像処理をしたとしても、解像度が劣化してしまうという問題は解消できていない。
本発明は、2つの投影部材の組合せ角度、及び撮像装置の位置と方向を最適値に調整して、1台の撮像装置で移動体進行方向と移動体内部を同時に撮影することにより、撮影した映像の無駄な部分を除外し、移動体前方と移動体内の被写体の解像度を高くすることが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
また、他の目的は、画像処理手段を備えて、2つの投影部材の組合せ角度、及び撮像装置の位置と方向を自動的に調整して、利用者の利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、移動体の進行方向にある第1の被写体と該移動体に搭乗した第2の被写体とを同時に撮像する撮像装置であって、前記第1の被写体像を投影する第1の投影部材及び前記第2の被写体像を投影する第2の投影部材により構成した投影手段と、該投影手段により投影した前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を撮像する撮像手段と、を備え、前記投影手段は、前記第1の投影部材及び前記第2の投影部材の配置角度を任意に設定可能な構成を有し、同時に投影した前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を前記撮像手段に集光する位置に配設されることを特徴とする。
請求項2は、前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を撮像する撮像範囲は、前記第1の投影部材と前記第2の投影部材との配置角度、及び前記投影手段に対する前記撮像手段の方向と位置により決定されることを特徴とする。
請求項3は、前記撮像手段に光学ズーム手段を備えたことを特徴とする。
【0005】
請求項4は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の撮像装置と、前記投影手段を構成する前記第1の投影部材及び前記第2の投影部材の配置角度を調整する投影角度調整手段と、前記投影手段の位置を調整する投影位置調整手段と、前記撮像手段の位置を調整する撮像位置調整手段と、前記光学ズーム手段のズーム量を調整するズーム調整手段と、前記撮像手段により撮像された映像を電気信号として出力する映像出力手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項5は、前記撮像手段により撮像された前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を画像処理して夫々の被写体を認識する画像処理手段を備え、該画像処理手段は、前記各被写体像の撮影範囲が所定の領域に収まっているか否かを判定し、該判定結果が否の場合、前記各調整手段を駆動して前記各被写体像の撮影範囲が所定の領域に収まるように調整することを特徴とする。
請求項6は、前記撮像手段により撮像された前記第1の被写体像、又は/及び、前記第2の被写体像を反転させる反転画像処理手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1の被写体像を投影する第1の投影部材及び第2の被写体像を投影する第2の投影部材により構成した投影手段と、該投影手段により投影した第1の被写体像及び第2の被写体像を撮像する撮像手段と、を備え、投影手段は、第1の投影部材及び第2の投影部材の配置角度を任意に設定可能な構成を有し、同時に投影した第1の被写体像及び第2の被写体像を撮像手段に集光する位置に配設されるので、撮影した映像の無駄な部分を除外し、移動体前方と移動体内の被写体の解像度を高くすることができる。また、画像処理手段を備えて、2つの投影部材の組合せ角度、及び撮像装置の位置と方向を自動的に調整するので、利用者の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の撮像装置を車両に搭載した場合の模式図である。
【図2】撮影範囲を決定する要因について説明する図である。
【図3】適切な映像が撮影できる撮影範囲の一例を示す図である。
【図4】撮影方向が適切ではない場合の一例を示す図である。
【図5】ミラーの角度を変えて撮影範囲の調整動作を説明する図である。
【図6】車両前方の撮影範囲が広すぎであり、ドライバー側の撮影範囲が狭すぎる場合を示す図である。
【図7】カメラの向きを変えることによって撮影範囲を変えた例を示す図である。
【図8】カメラの位置を変えることによって撮影範囲を変えた例を示す図である。
【図9】撮影範囲が適切でない場合として、車両前方とドライバー側の撮影可能範囲が両方とも広すぎる場合について説明する図である。
【図10】カメラが光学ズームしたときの撮影範囲の変化を示す図である。
【図11】本発明の第一実施形態に係る撮像システムの一例を示す図である。
【図12】本発明の第二実施形態に係る撮像システムの一例を示す図である。
【図13】画像処理部により車両前方の撮影範囲を調整するときの動作の一例を示すフローチャートである。
【図14】画像処理部によりドライバーの撮影範囲を調整するときの動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】車両前方の撮影範囲の広さとドライバーの顔の大きさを同時に調整する場合のフローチャートである。
【図16】本撮像装置で撮像された適切な範囲の画像の一例を示す図である。
【図17】カメラに撮影された画像を示す図である。
【図18】画像処理して後の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1に本発明の撮像装置を車両に搭載した場合の模式図である。この撮像装置100は、車両(移動体)1の進行方向(矢印)にある車外景色(第1の被写体)と車両1に搭載したドライバー(第2の被写体)5とを同時に撮像する撮像装置20であって、車外景色像を投影するミラー(第1の投影部材)3及びドライバー5を投影するミラー(第2の投影部材)4により構成した組ミラー(投影手段)21と、この組ミラー3により投影した車外景色像及びドライバー像5を撮像するカメラ(撮像手段)6と、を備え、組ミラー3は、ミラー3及びミラー4の配置角度αを任意に設定可能な構成を有し、同時に投影した車外景色及びドライバー5をカメラ6に集光する位置に配設される。
即ち、集光装置としてミラー3とミラー4の2枚のミラーを車内の天井付近に取り付け、ミラー3とミラー4の下方向の位置にカメラ6を設置する。カメラ6は上に向けて組ミラー21を撮影する。ちょうどミラー3に車両前方の映像がカメラ6に集光できる角度でカメラ6とミラー3を設置する。ミラー4はドライバー5の映像がカメラ6に集光できる角度で設置する。そうすることで、1台のカメラ6で同時に車両前方とドライバー5を撮影することができる。また、組ミラー21の角度やカメラ6の位置などを調整することで、ボンネット2などの不要な部分が映像に入らないようにすることができる。
図1では組ミラー21がカメラ6の鉛直上方向に設置されているが、ミラーをカメラの上方に設置してカメラの向きを下向きにした構成でもかまわない。また、図1ではミラー3とミラー4が隙間なく接合しているが、これは撮影した映像の無駄な部分を減らすためである。ミラー3とミラー4の間があいていると、その部分の映像が無駄になってしまうため、なるべくミラー3とミラー4の間には隙間がないことが望ましい。実際に製品にするときには、カメラ6とミラー3、ミラー4を一体化して一つの小型のユニットとして使用する形態が考えられる。
【0009】
図2は撮影範囲を決定する要因について説明する図である。カメラ6でミラー3とミラー4を同時に撮影し、各ミラーから反射した映像を撮影する。撮影可能範囲7、8はミラー3の角度aとミラー4の角度b、およびカメラ6の画角c、dで決まる。図中の角度e、f、g、hは夫々、
e=180−2a
f=180−2b
g=180−2a+c
h=180−2b+d
と表される。カメラ6に対するミラー3とミラー4の角度が変わり、角度a、bが大きくなると角度e、f、g、hが小さくなり、撮影範囲が下のほうへと移っていく。また、ミラー3とミラー4に対するカメラ6の向きや位置が変わるなどして、角度c、dが変化した場合も撮影範囲が変化する。例えば、カメラ6の向きが変わって角度cが大きくなったときには、角度gも大きくなり、車両前方の撮影範囲7が広くなる。逆に角度dは小さくなるので角度hも小さくり、ドライバー側の撮影範囲8は狭くなることになる。カメラ6の配置が変わらなくても、光学ズームなどによりカメラ6の画角を変えることができれば、角度c、dが変わるので撮影範囲が変化する。以上のことから、図2に示した構成の撮像装置20の撮影範囲は、ミラー3とミラー4の角度、ミラー3とミラー4に対するカメラ6の向きと位置、画角によって決まる。
実際にこの装置を車内に設置して、車両前方とドライバー5の両方を撮影しようとした場合、ある車種で撮影範囲が適切になるように、組ミラー21の角度とカメラ6の向きを調整しても、別の車種では撮影範囲が適切ではなくなってしまう可能性がある。また、設置位置が変わったりしても、撮影範囲が変わってしまう。撮影範囲が適切になるように、ミラー3、4の角度とカメラ6の向きとカメラ6の画角を調整することができれば、車種や設置位置が異なっても適切な映像を撮影することが可能である。
【0010】
図3は適切な映像が撮影できる撮影範囲の一例を示す図である。まず車両前方に関しては、ボンネット2が撮影範囲に入らないことが望ましい。そのため、撮影範囲の下限はボンネット2上部の近傍が良い。撮影範囲の上限は車両1の天井が入らなければ問題ない。ドライバー5の撮影範囲については、ドライバー5の顔がしっかりと撮影できる必要がある。また、車両1の天井の映像は無駄なので撮影範囲に入っていないことが望ましい。また、カメラ6の撮影範囲にミラー3とミラー4以外の部分が入ってしまうと、その部分は不要な画像となってしまうので、できるだけ2枚のミラー3、4のみを撮影範囲に収める必要がある。
撮影範囲が適切でない場合については、撮影方向が適切でない場合と撮影範囲の広さが適切ではない場合の二通りがある。
図4は撮影方向が適切ではない場合の一例を示す図である。図4に示すのは撮影方向が撮影したい方向になっていない場合である。車両1前方の撮影範囲7は下に向きすぎていて、ほとんどボンネット2が映ってしまっている。またドライバー側の撮影範囲8も下を向きすぎているため、ドライバー5の顔全体が撮影範囲に入っていない。このような場合は、ミラー3、4の角度を変えることで撮影範囲を変えることができる。
【0011】
図5はミラーの角度を変えて撮影範囲の調整動作を説明する図である。図5に示すように角度aと角度bを小さくすれば、撮影範囲が上の方へ移動する。逆に撮影範囲が上に向きすぎている場合には、角度aと角度bを大きくすれば、撮影範囲を下の方へ移動できる。角度aと角度bをそれぞれ個別に設定できるようにしておけば、車両前方の撮影範囲7とドライバーの撮影範囲8をそれぞれ個別に変えることができる。例えば、車両前方の撮影範囲7が下を向きすぎていて、ドライバーの撮影範囲8が上を向きすぎている場合には、角度aを小さくして角度bを大きくすれば良い。
図5の撮影範囲を変える際の実施形態としては、ミラー3とミラー4を角度変更自在に連結しておき、手で簡単に角度を変えられるようにする方法がある。また、他にはミラー3とミラー4を角度固定で連結しておいて、ミラーの向きを変えることによって角度aと角度bを変える方法もある。ただし、この方法では、a+bが一定なので角度aと角度bが個別に変更できないという欠点がある。さらに3つ目の方法として、角度固定で連結されたミラーで、角度aと角度bが異なるものを複数用意しておき、それらを交換することで撮影範囲を変える方法もある。また、撮影範囲が適切ではない場合として、撮影方向が適切でない場合のほかに、撮影範囲が広すぎる、あるいは狭すぎるという場合が考えられる。
【0012】
図6は車両前方の撮影範囲が広すぎであり、ドライバー側の撮影範囲が狭すぎる場合を示す図である。このように片方の撮影範囲が広すぎて、もう片方の撮影範囲が狭すぎる場合は、ミラー3、4に対するカメラ6の向きを変えるか、カメラ6と組ミラー21の位置関係を変えることによって、適切な撮影範囲を得ることができる。
図7はカメラの向きを変えることによって撮影範囲を変えた例を示す図である。カメラ6の向きを変えたことによって、車両前方の撮影範囲7が狭くなり、ドライバー側の撮影範囲8が広くなることが分かる。逆に車両前方の撮影範囲7が狭すぎて、ドライバー側の撮影範囲8が広すぎた場合は、逆方向にカメラ6の向きを変えればよい。カメラ6の向きを変えると撮影範囲の広さだけでなく、撮影する方向も変化してしまうので、上記のミラー3、4の角度を調整する方法などを使って撮影方向を適切な方向に調整する必要がある。
図8はカメラの位置を変えることによって撮影範囲を変えた例を示す図である。撮影範囲が狭すぎる方へカメラ6を移動させると、移動方向の撮影範囲が広くなる。また、カメラ6の位置ではなくて組ミラー21の位置を変えることによっても同様の効果が得られる。撮影方向が変わってしまうので、ミラー3、4の角度を調整するなどして、撮影方向も変える必要がある。
【0013】
図9は撮影範囲が適切でない場合として、車両前方とドライバー側の撮影可能範囲が両方とも広すぎる場合について説明する図である。車両前方はボンネット2が撮影範囲に入ってしまい、ドライバー側では車両の天井が撮影範囲に入ってしまっている。この場合は、カメラ6の向きを変えて、たとえば車両前方の撮影範囲7を狭くしても、ドライバー側の撮影範囲8がさらに広くなってしまう。つまり、カメラの向きや位置を変えても、両方の撮影範囲を適切なものにすることはできない。このような場合、カメラ6を光学ズームレンズカメラにして、カメラの画角を変えることで両方の撮影範囲を適切なものにすることができる。
図10はカメラが光学ズームしたときの撮影範囲の変化を示す図である。光学ズームとすることによってカメラの画角が狭くなり、撮影範囲も狭くなる。図7や図8で示した方法と、図10に示した方法を組み合わせることで、車両前方の撮影範囲7とドライバー側の撮影範囲8の広さを自由に変えることが可能となる。
どんな車種に取り付けた場合でも車両前方とドライバーの最適な範囲の映像を得るためには、図5に示したミラーの角度を変える方法と、図7と図8に示したカメラの向きや位置を変える方法のどちらか一つと、図10に示した光学ズームをする方法の3つを使う必要がある。ただし、1つの方法だけでも多少の調整は行うことができる。
【0014】
図11は本発明の第一実施形態に係る撮像システムの一例を示す図である。この撮像システム30は、上記で説明した撮像装置20と、組ミラー21を構成するミラー3及びミラー4の配置角度を調整するミラー角度調整部(投影角度調整手段)10と、組ミラー21の位置を調整するミラー位置調整部(投影位置調整手段)11と、カメラ6の位置を調整するカメラ位置調整部(撮像位置調整手段)12と、光学ズーム手段のズーム量を調整する光学ズーム調整部(ズーム調整手段)13と、カメラ6により撮像された映像を電気信号として出力する映像出力部(映像出力手段)14と、を備えて構成されている。
本実施の形態は、車両1に搭載されたカメラ6と、そのカメラ6に車両前方の映像を集光するミラー3と、ドライバー5の映像を集光するミラー4と、カメラ6に接続された映像出力部14からなる。ミラー3とミラー4は鉛直下向きに設置し、カメラ6は鉛直上向きに設置する。または、ミラー3とミラー4を鉛直上向きに設置して、カメラ6を鉛直下向きに設置してもかまわない。カメラは光学ズームレンズを持っているものが望ましい。映像出力部14はカメラ6で撮影した映像を出力する部分で、モニターあるいは記録装置が考えられる。
【0015】
無駄な映像を極力なくすように撮影範囲を調整するために、ミラー3とミラー4には撮影範囲が変わるようにミラーの角度を調整することが可能なミラー角度調整部10と、ミラーの位置を調整することが可能なミラー位置調整部11を設ける。また、カメラ6にも、カメラの位置を調整することが可能なカメラ位置調整部12と、カメラの光学ズームをコントロールできる光学ズーム調整部13を設ける。ミラー角度調整部10と、ミラー位置調整部11と、カメラ位置調整部12、と光学ズーム調整部13は、すべて設けなくても良いが、なるべく多くあったほうが望ましい。
撮影範囲の調整は、映像出力部14をモニターにして、出力された映像を調整者が見ながら手動で調整する方法がある。他の方法としては、ドライバーの顔と車両の前方領域を認識する画像処理部15をカメラ6に接続して、撮影範囲が適切な状態になっているかを判定し、もし適切でないならば自動的に撮影範囲を修正するという方法もある。この場合は、図12に示すように、カメラ6により撮像された車外景色及びドライバー5を画像処理して夫々の被写体を認識する画像処理部(画像処理手段)15を更に備え、画像処理部15は、各被写体像の撮影範囲が所定の領域に収まっているか否かを判定し、判定結果が否の場合、各調整手段を駆動して各被写体像の撮影範囲が所定の領域に収まるように修正する。この構成のほうが本撮像装置を使用する際に使用者が調整する手間が省けるというメリットがある。
【0016】
図13は画像処理部により車両前方の撮影範囲を調整するときの動作の一例を示すフローチャートである。まず画像処理部15はカメラ6から出力される画像データを受けて、車両前方の領域7を認識する(S1)。そして撮影範囲の広さが適切かを判定し(S2)、適切でない場合は(S2でNO)、カメラ位置調整部12、光学ズーム調整部13、及びミラー位置調整部11を夫々調整する(S3)。この動作を繰り返し撮影範囲の広さが適切になると(S2でYES)、次に車両前方の撮影範囲が適切かを判定し(S4)、適切でない場合は(S4でNO)、ミラー角度調整部10を調整して(S5)、適切になるまで繰り返す。
図14は画像処理部によりドライバーの撮影範囲を調整するときの動作の一例を示すフローチャートである。まず、画像処理部15はカメラ6から出力される画像データを受けて、ドライバー側の撮影範囲8を認識する(S6)。次にドライバー5の顔が映っているかを判定する(S7)。映っていなければ(S7でNO)、ミラー角度調整部10を調整して(S8)、適切になるまで繰り返す。次に撮影範囲の広さが適切かを判定し(S9)、適切でない場合は(S9でNO)、カメラ位置調整部12、光学ズーム調整部13、及びミラー位置調整部11を夫々調整する(S10)。この動作を繰り返し撮影範囲の広さが適切になると(S9でYES)、次にドライバー5の顔の位置が適切かを判定し(S11)、適切でない場合は(S11でNO)、ミラー角度調整部10を調整して(S12)、適切になるまで繰り返す。
【0017】
図15は車両前方の撮影範囲の広さとドライバーの顔の大きさを同時に調整する場合のフローチャートである。まず車両前方の撮影範囲7の広さが適切かを判定する(S13)。適切でなければ(S13でNO)、カメラ位置調整部12、光学ズーム調整部13、及びミラー位置調整部11を夫々調整する(S15)。この動作を繰り返し撮影範囲の広さが適切になると(S13でYES)、次にドライバー5の顔の大きさが適切かを判定する(S14)。適切でなければ(S14でNO)、同じくカメラ位置調整部12、光学ズーム調整部13、及びミラー位置調整部11を夫々調整して(S15)、この動作を繰り返す。
図16は本撮像装置で撮像された適切な範囲の画像の一例を示す図である。画像の上半分16が車両前方の映像、画像の下半分17がドライバー5の映像になっている。図16ではドライバー5の映像の上下がさかさまに映っている。本撮像装置では、車両前方の映像とドライバー5の映像の上下方向が逆向きなので、どちらか片方の映像が上下さかさまに映ってしまう。そこで、本発明の実施するにあたっては、図17に示すようにカメラ6で撮像された映像のうちの、車両前方かドライバー5のどちらかの映像を上下反転させる画像処理部18をカメラ6に接続する形態が考えられる。画像処理部18では、映像の向きを直すだけでなく、撮像された映像を歪みのない映像に変化させる処理を同時に行っても良い。
図18は画像処理を行った後の映像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 車両、2 ボンネット、3 ミラー、4 ミラー、5 ドライバー、6 カメラ、7 車両前方の撮影可能範囲、8 ドライバーの撮影可能範囲、9 撮影範囲外、10 ミラー角度調整部、11 ミラー位置調整部、12 カメラ位置調整部、13 光学ズーム調整部、14 映像出力部、15 画像処理部、16 画像の上半分、17 画像の下半分、18 画像処理部、20 撮像装置、21 組ミラー、30 撮像システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特許第3327255号
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像システムに関し、さらに詳しくは、移動体の進行方向と移動体内部の被写体とを同時に撮影するための画像取得技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に取り付けて車両前方や車内を撮影する車載カメラは既に知られている。しかし、今までの車載カメラは、その監視方向に専用に設置されたカメラが必要であり、例えば、車両前方と車内を同時に監視するためには、車両前方と車内を監視するカメラを別途設ける必要があった。そこで、1台のカメラで複数方向を同時に監視する場合は、魚眼レンズのような広角視野を持つレンズや双曲面ミラー、円錐形ミラーなどを採用して、車内と車外を含む全方位を視野に入れることも可能ではあるが、この方法によると、映像に不必要な部分が多く映ってしまうといった問題がある。例えば、車両前方とドライバーの映像が必要な場合でも、ボンネットなどの不必要な部分が映像の中に入ってきてしまい、その結果、必要とする部分の映像が小さくなってしまう。そこで、画像処理によって必要としている部分の映像を大きくすることもできるが、解像度が劣化してしまうという問題があった。
特許文献1には、1台のカメラで車両前方、側方、後方、及びドライバーの状態を監視し、さらに撮影した画像をドライバーが見やすいようにする目的で、全方位の映像を集光できるカメラと、撮影した映像を画像処理する装置について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、確かに1台のカメラで車外と車内を同時に撮影するという点では類似しているが、多くの不必要な部分カメラに入ってしまい、必要な映像が小さくなってしまうといった問題がある。また、撮影領域の任意の部分を拡大する画像処理をしたとしても、解像度が劣化してしまうという問題は解消できていない。
本発明は、2つの投影部材の組合せ角度、及び撮像装置の位置と方向を最適値に調整して、1台の撮像装置で移動体進行方向と移動体内部を同時に撮影することにより、撮影した映像の無駄な部分を除外し、移動体前方と移動体内の被写体の解像度を高くすることが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
また、他の目的は、画像処理手段を備えて、2つの投影部材の組合せ角度、及び撮像装置の位置と方向を自動的に調整して、利用者の利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、移動体の進行方向にある第1の被写体と該移動体に搭乗した第2の被写体とを同時に撮像する撮像装置であって、前記第1の被写体像を投影する第1の投影部材及び前記第2の被写体像を投影する第2の投影部材により構成した投影手段と、該投影手段により投影した前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を撮像する撮像手段と、を備え、前記投影手段は、前記第1の投影部材及び前記第2の投影部材の配置角度を任意に設定可能な構成を有し、同時に投影した前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を前記撮像手段に集光する位置に配設されることを特徴とする。
請求項2は、前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を撮像する撮像範囲は、前記第1の投影部材と前記第2の投影部材との配置角度、及び前記投影手段に対する前記撮像手段の方向と位置により決定されることを特徴とする。
請求項3は、前記撮像手段に光学ズーム手段を備えたことを特徴とする。
【0005】
請求項4は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の撮像装置と、前記投影手段を構成する前記第1の投影部材及び前記第2の投影部材の配置角度を調整する投影角度調整手段と、前記投影手段の位置を調整する投影位置調整手段と、前記撮像手段の位置を調整する撮像位置調整手段と、前記光学ズーム手段のズーム量を調整するズーム調整手段と、前記撮像手段により撮像された映像を電気信号として出力する映像出力手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項5は、前記撮像手段により撮像された前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を画像処理して夫々の被写体を認識する画像処理手段を備え、該画像処理手段は、前記各被写体像の撮影範囲が所定の領域に収まっているか否かを判定し、該判定結果が否の場合、前記各調整手段を駆動して前記各被写体像の撮影範囲が所定の領域に収まるように調整することを特徴とする。
請求項6は、前記撮像手段により撮像された前記第1の被写体像、又は/及び、前記第2の被写体像を反転させる反転画像処理手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1の被写体像を投影する第1の投影部材及び第2の被写体像を投影する第2の投影部材により構成した投影手段と、該投影手段により投影した第1の被写体像及び第2の被写体像を撮像する撮像手段と、を備え、投影手段は、第1の投影部材及び第2の投影部材の配置角度を任意に設定可能な構成を有し、同時に投影した第1の被写体像及び第2の被写体像を撮像手段に集光する位置に配設されるので、撮影した映像の無駄な部分を除外し、移動体前方と移動体内の被写体の解像度を高くすることができる。また、画像処理手段を備えて、2つの投影部材の組合せ角度、及び撮像装置の位置と方向を自動的に調整するので、利用者の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の撮像装置を車両に搭載した場合の模式図である。
【図2】撮影範囲を決定する要因について説明する図である。
【図3】適切な映像が撮影できる撮影範囲の一例を示す図である。
【図4】撮影方向が適切ではない場合の一例を示す図である。
【図5】ミラーの角度を変えて撮影範囲の調整動作を説明する図である。
【図6】車両前方の撮影範囲が広すぎであり、ドライバー側の撮影範囲が狭すぎる場合を示す図である。
【図7】カメラの向きを変えることによって撮影範囲を変えた例を示す図である。
【図8】カメラの位置を変えることによって撮影範囲を変えた例を示す図である。
【図9】撮影範囲が適切でない場合として、車両前方とドライバー側の撮影可能範囲が両方とも広すぎる場合について説明する図である。
【図10】カメラが光学ズームしたときの撮影範囲の変化を示す図である。
【図11】本発明の第一実施形態に係る撮像システムの一例を示す図である。
【図12】本発明の第二実施形態に係る撮像システムの一例を示す図である。
【図13】画像処理部により車両前方の撮影範囲を調整するときの動作の一例を示すフローチャートである。
【図14】画像処理部によりドライバーの撮影範囲を調整するときの動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】車両前方の撮影範囲の広さとドライバーの顔の大きさを同時に調整する場合のフローチャートである。
【図16】本撮像装置で撮像された適切な範囲の画像の一例を示す図である。
【図17】カメラに撮影された画像を示す図である。
【図18】画像処理して後の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1に本発明の撮像装置を車両に搭載した場合の模式図である。この撮像装置100は、車両(移動体)1の進行方向(矢印)にある車外景色(第1の被写体)と車両1に搭載したドライバー(第2の被写体)5とを同時に撮像する撮像装置20であって、車外景色像を投影するミラー(第1の投影部材)3及びドライバー5を投影するミラー(第2の投影部材)4により構成した組ミラー(投影手段)21と、この組ミラー3により投影した車外景色像及びドライバー像5を撮像するカメラ(撮像手段)6と、を備え、組ミラー3は、ミラー3及びミラー4の配置角度αを任意に設定可能な構成を有し、同時に投影した車外景色及びドライバー5をカメラ6に集光する位置に配設される。
即ち、集光装置としてミラー3とミラー4の2枚のミラーを車内の天井付近に取り付け、ミラー3とミラー4の下方向の位置にカメラ6を設置する。カメラ6は上に向けて組ミラー21を撮影する。ちょうどミラー3に車両前方の映像がカメラ6に集光できる角度でカメラ6とミラー3を設置する。ミラー4はドライバー5の映像がカメラ6に集光できる角度で設置する。そうすることで、1台のカメラ6で同時に車両前方とドライバー5を撮影することができる。また、組ミラー21の角度やカメラ6の位置などを調整することで、ボンネット2などの不要な部分が映像に入らないようにすることができる。
図1では組ミラー21がカメラ6の鉛直上方向に設置されているが、ミラーをカメラの上方に設置してカメラの向きを下向きにした構成でもかまわない。また、図1ではミラー3とミラー4が隙間なく接合しているが、これは撮影した映像の無駄な部分を減らすためである。ミラー3とミラー4の間があいていると、その部分の映像が無駄になってしまうため、なるべくミラー3とミラー4の間には隙間がないことが望ましい。実際に製品にするときには、カメラ6とミラー3、ミラー4を一体化して一つの小型のユニットとして使用する形態が考えられる。
【0009】
図2は撮影範囲を決定する要因について説明する図である。カメラ6でミラー3とミラー4を同時に撮影し、各ミラーから反射した映像を撮影する。撮影可能範囲7、8はミラー3の角度aとミラー4の角度b、およびカメラ6の画角c、dで決まる。図中の角度e、f、g、hは夫々、
e=180−2a
f=180−2b
g=180−2a+c
h=180−2b+d
と表される。カメラ6に対するミラー3とミラー4の角度が変わり、角度a、bが大きくなると角度e、f、g、hが小さくなり、撮影範囲が下のほうへと移っていく。また、ミラー3とミラー4に対するカメラ6の向きや位置が変わるなどして、角度c、dが変化した場合も撮影範囲が変化する。例えば、カメラ6の向きが変わって角度cが大きくなったときには、角度gも大きくなり、車両前方の撮影範囲7が広くなる。逆に角度dは小さくなるので角度hも小さくり、ドライバー側の撮影範囲8は狭くなることになる。カメラ6の配置が変わらなくても、光学ズームなどによりカメラ6の画角を変えることができれば、角度c、dが変わるので撮影範囲が変化する。以上のことから、図2に示した構成の撮像装置20の撮影範囲は、ミラー3とミラー4の角度、ミラー3とミラー4に対するカメラ6の向きと位置、画角によって決まる。
実際にこの装置を車内に設置して、車両前方とドライバー5の両方を撮影しようとした場合、ある車種で撮影範囲が適切になるように、組ミラー21の角度とカメラ6の向きを調整しても、別の車種では撮影範囲が適切ではなくなってしまう可能性がある。また、設置位置が変わったりしても、撮影範囲が変わってしまう。撮影範囲が適切になるように、ミラー3、4の角度とカメラ6の向きとカメラ6の画角を調整することができれば、車種や設置位置が異なっても適切な映像を撮影することが可能である。
【0010】
図3は適切な映像が撮影できる撮影範囲の一例を示す図である。まず車両前方に関しては、ボンネット2が撮影範囲に入らないことが望ましい。そのため、撮影範囲の下限はボンネット2上部の近傍が良い。撮影範囲の上限は車両1の天井が入らなければ問題ない。ドライバー5の撮影範囲については、ドライバー5の顔がしっかりと撮影できる必要がある。また、車両1の天井の映像は無駄なので撮影範囲に入っていないことが望ましい。また、カメラ6の撮影範囲にミラー3とミラー4以外の部分が入ってしまうと、その部分は不要な画像となってしまうので、できるだけ2枚のミラー3、4のみを撮影範囲に収める必要がある。
撮影範囲が適切でない場合については、撮影方向が適切でない場合と撮影範囲の広さが適切ではない場合の二通りがある。
図4は撮影方向が適切ではない場合の一例を示す図である。図4に示すのは撮影方向が撮影したい方向になっていない場合である。車両1前方の撮影範囲7は下に向きすぎていて、ほとんどボンネット2が映ってしまっている。またドライバー側の撮影範囲8も下を向きすぎているため、ドライバー5の顔全体が撮影範囲に入っていない。このような場合は、ミラー3、4の角度を変えることで撮影範囲を変えることができる。
【0011】
図5はミラーの角度を変えて撮影範囲の調整動作を説明する図である。図5に示すように角度aと角度bを小さくすれば、撮影範囲が上の方へ移動する。逆に撮影範囲が上に向きすぎている場合には、角度aと角度bを大きくすれば、撮影範囲を下の方へ移動できる。角度aと角度bをそれぞれ個別に設定できるようにしておけば、車両前方の撮影範囲7とドライバーの撮影範囲8をそれぞれ個別に変えることができる。例えば、車両前方の撮影範囲7が下を向きすぎていて、ドライバーの撮影範囲8が上を向きすぎている場合には、角度aを小さくして角度bを大きくすれば良い。
図5の撮影範囲を変える際の実施形態としては、ミラー3とミラー4を角度変更自在に連結しておき、手で簡単に角度を変えられるようにする方法がある。また、他にはミラー3とミラー4を角度固定で連結しておいて、ミラーの向きを変えることによって角度aと角度bを変える方法もある。ただし、この方法では、a+bが一定なので角度aと角度bが個別に変更できないという欠点がある。さらに3つ目の方法として、角度固定で連結されたミラーで、角度aと角度bが異なるものを複数用意しておき、それらを交換することで撮影範囲を変える方法もある。また、撮影範囲が適切ではない場合として、撮影方向が適切でない場合のほかに、撮影範囲が広すぎる、あるいは狭すぎるという場合が考えられる。
【0012】
図6は車両前方の撮影範囲が広すぎであり、ドライバー側の撮影範囲が狭すぎる場合を示す図である。このように片方の撮影範囲が広すぎて、もう片方の撮影範囲が狭すぎる場合は、ミラー3、4に対するカメラ6の向きを変えるか、カメラ6と組ミラー21の位置関係を変えることによって、適切な撮影範囲を得ることができる。
図7はカメラの向きを変えることによって撮影範囲を変えた例を示す図である。カメラ6の向きを変えたことによって、車両前方の撮影範囲7が狭くなり、ドライバー側の撮影範囲8が広くなることが分かる。逆に車両前方の撮影範囲7が狭すぎて、ドライバー側の撮影範囲8が広すぎた場合は、逆方向にカメラ6の向きを変えればよい。カメラ6の向きを変えると撮影範囲の広さだけでなく、撮影する方向も変化してしまうので、上記のミラー3、4の角度を調整する方法などを使って撮影方向を適切な方向に調整する必要がある。
図8はカメラの位置を変えることによって撮影範囲を変えた例を示す図である。撮影範囲が狭すぎる方へカメラ6を移動させると、移動方向の撮影範囲が広くなる。また、カメラ6の位置ではなくて組ミラー21の位置を変えることによっても同様の効果が得られる。撮影方向が変わってしまうので、ミラー3、4の角度を調整するなどして、撮影方向も変える必要がある。
【0013】
図9は撮影範囲が適切でない場合として、車両前方とドライバー側の撮影可能範囲が両方とも広すぎる場合について説明する図である。車両前方はボンネット2が撮影範囲に入ってしまい、ドライバー側では車両の天井が撮影範囲に入ってしまっている。この場合は、カメラ6の向きを変えて、たとえば車両前方の撮影範囲7を狭くしても、ドライバー側の撮影範囲8がさらに広くなってしまう。つまり、カメラの向きや位置を変えても、両方の撮影範囲を適切なものにすることはできない。このような場合、カメラ6を光学ズームレンズカメラにして、カメラの画角を変えることで両方の撮影範囲を適切なものにすることができる。
図10はカメラが光学ズームしたときの撮影範囲の変化を示す図である。光学ズームとすることによってカメラの画角が狭くなり、撮影範囲も狭くなる。図7や図8で示した方法と、図10に示した方法を組み合わせることで、車両前方の撮影範囲7とドライバー側の撮影範囲8の広さを自由に変えることが可能となる。
どんな車種に取り付けた場合でも車両前方とドライバーの最適な範囲の映像を得るためには、図5に示したミラーの角度を変える方法と、図7と図8に示したカメラの向きや位置を変える方法のどちらか一つと、図10に示した光学ズームをする方法の3つを使う必要がある。ただし、1つの方法だけでも多少の調整は行うことができる。
【0014】
図11は本発明の第一実施形態に係る撮像システムの一例を示す図である。この撮像システム30は、上記で説明した撮像装置20と、組ミラー21を構成するミラー3及びミラー4の配置角度を調整するミラー角度調整部(投影角度調整手段)10と、組ミラー21の位置を調整するミラー位置調整部(投影位置調整手段)11と、カメラ6の位置を調整するカメラ位置調整部(撮像位置調整手段)12と、光学ズーム手段のズーム量を調整する光学ズーム調整部(ズーム調整手段)13と、カメラ6により撮像された映像を電気信号として出力する映像出力部(映像出力手段)14と、を備えて構成されている。
本実施の形態は、車両1に搭載されたカメラ6と、そのカメラ6に車両前方の映像を集光するミラー3と、ドライバー5の映像を集光するミラー4と、カメラ6に接続された映像出力部14からなる。ミラー3とミラー4は鉛直下向きに設置し、カメラ6は鉛直上向きに設置する。または、ミラー3とミラー4を鉛直上向きに設置して、カメラ6を鉛直下向きに設置してもかまわない。カメラは光学ズームレンズを持っているものが望ましい。映像出力部14はカメラ6で撮影した映像を出力する部分で、モニターあるいは記録装置が考えられる。
【0015】
無駄な映像を極力なくすように撮影範囲を調整するために、ミラー3とミラー4には撮影範囲が変わるようにミラーの角度を調整することが可能なミラー角度調整部10と、ミラーの位置を調整することが可能なミラー位置調整部11を設ける。また、カメラ6にも、カメラの位置を調整することが可能なカメラ位置調整部12と、カメラの光学ズームをコントロールできる光学ズーム調整部13を設ける。ミラー角度調整部10と、ミラー位置調整部11と、カメラ位置調整部12、と光学ズーム調整部13は、すべて設けなくても良いが、なるべく多くあったほうが望ましい。
撮影範囲の調整は、映像出力部14をモニターにして、出力された映像を調整者が見ながら手動で調整する方法がある。他の方法としては、ドライバーの顔と車両の前方領域を認識する画像処理部15をカメラ6に接続して、撮影範囲が適切な状態になっているかを判定し、もし適切でないならば自動的に撮影範囲を修正するという方法もある。この場合は、図12に示すように、カメラ6により撮像された車外景色及びドライバー5を画像処理して夫々の被写体を認識する画像処理部(画像処理手段)15を更に備え、画像処理部15は、各被写体像の撮影範囲が所定の領域に収まっているか否かを判定し、判定結果が否の場合、各調整手段を駆動して各被写体像の撮影範囲が所定の領域に収まるように修正する。この構成のほうが本撮像装置を使用する際に使用者が調整する手間が省けるというメリットがある。
【0016】
図13は画像処理部により車両前方の撮影範囲を調整するときの動作の一例を示すフローチャートである。まず画像処理部15はカメラ6から出力される画像データを受けて、車両前方の領域7を認識する(S1)。そして撮影範囲の広さが適切かを判定し(S2)、適切でない場合は(S2でNO)、カメラ位置調整部12、光学ズーム調整部13、及びミラー位置調整部11を夫々調整する(S3)。この動作を繰り返し撮影範囲の広さが適切になると(S2でYES)、次に車両前方の撮影範囲が適切かを判定し(S4)、適切でない場合は(S4でNO)、ミラー角度調整部10を調整して(S5)、適切になるまで繰り返す。
図14は画像処理部によりドライバーの撮影範囲を調整するときの動作の一例を示すフローチャートである。まず、画像処理部15はカメラ6から出力される画像データを受けて、ドライバー側の撮影範囲8を認識する(S6)。次にドライバー5の顔が映っているかを判定する(S7)。映っていなければ(S7でNO)、ミラー角度調整部10を調整して(S8)、適切になるまで繰り返す。次に撮影範囲の広さが適切かを判定し(S9)、適切でない場合は(S9でNO)、カメラ位置調整部12、光学ズーム調整部13、及びミラー位置調整部11を夫々調整する(S10)。この動作を繰り返し撮影範囲の広さが適切になると(S9でYES)、次にドライバー5の顔の位置が適切かを判定し(S11)、適切でない場合は(S11でNO)、ミラー角度調整部10を調整して(S12)、適切になるまで繰り返す。
【0017】
図15は車両前方の撮影範囲の広さとドライバーの顔の大きさを同時に調整する場合のフローチャートである。まず車両前方の撮影範囲7の広さが適切かを判定する(S13)。適切でなければ(S13でNO)、カメラ位置調整部12、光学ズーム調整部13、及びミラー位置調整部11を夫々調整する(S15)。この動作を繰り返し撮影範囲の広さが適切になると(S13でYES)、次にドライバー5の顔の大きさが適切かを判定する(S14)。適切でなければ(S14でNO)、同じくカメラ位置調整部12、光学ズーム調整部13、及びミラー位置調整部11を夫々調整して(S15)、この動作を繰り返す。
図16は本撮像装置で撮像された適切な範囲の画像の一例を示す図である。画像の上半分16が車両前方の映像、画像の下半分17がドライバー5の映像になっている。図16ではドライバー5の映像の上下がさかさまに映っている。本撮像装置では、車両前方の映像とドライバー5の映像の上下方向が逆向きなので、どちらか片方の映像が上下さかさまに映ってしまう。そこで、本発明の実施するにあたっては、図17に示すようにカメラ6で撮像された映像のうちの、車両前方かドライバー5のどちらかの映像を上下反転させる画像処理部18をカメラ6に接続する形態が考えられる。画像処理部18では、映像の向きを直すだけでなく、撮像された映像を歪みのない映像に変化させる処理を同時に行っても良い。
図18は画像処理を行った後の映像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 車両、2 ボンネット、3 ミラー、4 ミラー、5 ドライバー、6 カメラ、7 車両前方の撮影可能範囲、8 ドライバーの撮影可能範囲、9 撮影範囲外、10 ミラー角度調整部、11 ミラー位置調整部、12 カメラ位置調整部、13 光学ズーム調整部、14 映像出力部、15 画像処理部、16 画像の上半分、17 画像の下半分、18 画像処理部、20 撮像装置、21 組ミラー、30 撮像システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特許第3327255号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の進行方向にある第1の被写体と該移動体に搭乗した第2の被写体とを同時に撮像する撮像装置であって、
前記第1の被写体像を投影する第1の投影部材及び前記第2の被写体像を投影する第2の投影部材により構成した投影手段と、
該投影手段により投影した前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を撮像する撮像手段と、を備え、
前記投影手段は、前記第1の投影部材及び前記第2の投影部材の配置角度を任意に設定可能な構成を有し、同時に投影した前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を前記撮像手段に集光する位置に配設されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を撮像する撮像範囲は、前記第1の投影部材と前記第2の投影部材との配置角度、及び前記投影手段に対する前記撮像手段の方向と位置により決定されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像手段に光学ズーム手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の撮像装置と、
前記投影手段を構成する前記第1の投影部材及び前記第2の投影部材の配置角度を調整する投影角度調整手段と、
前記投影手段の位置を調整する投影位置調整手段と、
前記撮像手段の位置を調整する撮像位置調整手段と、
前記光学ズーム手段のズーム量を調整するズーム調整手段と、
前記撮像手段により撮像された映像を電気信号として出力する映像出力手段と、
を備えたことを特徴とする撮像システム。
【請求項5】
前記撮像手段により撮像された前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を画像処理して夫々の被写体を認識する画像処理手段を備え、
該画像処理手段は、前記各被写体像の撮影範囲が所定の領域に収まっているか否かを判定し、該判定結果が否の場合、前記各調整手段を駆動して前記各被写体像の撮影範囲が所定の領域に収まるように調整することを特徴とする請求項4に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記撮像手段により撮像された前記第1の被写体像、又は/及び、前記第2の被写体像を反転させる反転画像処理手段を備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の撮像システム。
【請求項1】
移動体の進行方向にある第1の被写体と該移動体に搭乗した第2の被写体とを同時に撮像する撮像装置であって、
前記第1の被写体像を投影する第1の投影部材及び前記第2の被写体像を投影する第2の投影部材により構成した投影手段と、
該投影手段により投影した前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を撮像する撮像手段と、を備え、
前記投影手段は、前記第1の投影部材及び前記第2の投影部材の配置角度を任意に設定可能な構成を有し、同時に投影した前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を前記撮像手段に集光する位置に配設されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を撮像する撮像範囲は、前記第1の投影部材と前記第2の投影部材との配置角度、及び前記投影手段に対する前記撮像手段の方向と位置により決定されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像手段に光学ズーム手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の撮像装置と、
前記投影手段を構成する前記第1の投影部材及び前記第2の投影部材の配置角度を調整する投影角度調整手段と、
前記投影手段の位置を調整する投影位置調整手段と、
前記撮像手段の位置を調整する撮像位置調整手段と、
前記光学ズーム手段のズーム量を調整するズーム調整手段と、
前記撮像手段により撮像された映像を電気信号として出力する映像出力手段と、
を備えたことを特徴とする撮像システム。
【請求項5】
前記撮像手段により撮像された前記第1の被写体像及び前記第2の被写体像を画像処理して夫々の被写体を認識する画像処理手段を備え、
該画像処理手段は、前記各被写体像の撮影範囲が所定の領域に収まっているか否かを判定し、該判定結果が否の場合、前記各調整手段を駆動して前記各被写体像の撮影範囲が所定の領域に収まるように調整することを特徴とする請求項4に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記撮像手段により撮像された前記第1の被写体像、又は/及び、前記第2の被写体像を反転させる反転画像処理手段を備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の撮像システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−171814(P2011−171814A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31243(P2010−31243)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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