説明

撮像装置及び撮像システム

【課題】1台の撮像装置を複数のユーザが使用する場合の利便性を向上させる。
【解決手段】撮像装置1は、被写体を撮像するイメージセンサ4と、特定の被写体と被写体に対応する端末装置100とを記憶する識別情報記憶部24と、イメージセンサ4で撮像した画像の中から識別情報記憶部24に記憶された特定の被写体を検出する顔検出部21及び顔認識部22と、顔検出部21及び顔認識部22が特定の被写体を検出すると、識別情報記憶部24に記憶された端末装置100のうち被写体に対応する端末装置100に特定の被写体が検出されたことを通知するマイクロコンピュータ3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、撮像した画像を端末装置に送信可能な撮像装置及び、該撮像装置を含む撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CCDやCMOSなどのイメージセンサを用いた撮像装置が知られている。また、近年の通信技術(無線LAN等)の普及により、別の端末装置と通信可能な撮像装置も存在する。
【0003】
例えば、特許文献1に係る撮像システムにおいては、1台の撮像装置に対して複数のリモートコントロール装置が無線接続されている。この撮像装置は、リモートコントロール装置からの制御信号により撮影を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−023015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような撮像システムにおいては、1台の撮像装置を複数のユーザが使用するため、1台の撮像装置を1人のユーザが使用する場合と異なり、かかる構成特有の様々な問題が生じ得る。
【0006】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、1台の撮像装置を複数のユーザが使用する場合の利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示された技術は、端末装置からの遠隔操作が可能であって画像を該端末装置に送信可能な撮像装置であって、被写体を撮像する撮像部と、1又は複数の特定の被写体と、該被写体に対応する端末装置とを記憶する記憶部と、前記撮像部で撮像した画像の中から前記記憶部に記憶された前記特定の被写体を検出する検出部と、前記検出部が前記特定の被写体を検出すると、前記記憶部に記憶された端末装置のうち該被写体に対応する端末装置に該特定の被写体が検出されたことを通知する制御部とを備えているものとする。
【0008】
ここに開示された技術は、端末装置と、該端末装置からの遠隔操作が可能であって画像を該端末装置に送信可能な撮像装置とを備えた撮像システムであって、前記撮像装置は、被写体を撮像する撮像部と、1又は複数の特定の被写体と、該被写体に対応する端末装置とを記憶する記憶部と、前記撮像部で撮像した画像の中から前記記憶部に記憶された前記特定の被写体を検出する検出部と、前記検出部が前記特定の被写体を検出すると、前記記憶部に記憶された端末装置のうち該被写体に対応する端末装置に該特定の被写体が検出されたことを通知する制御部とを有するものとする。
【発明の効果】
【0009】
1台の撮像装置を複数のユーザが使用する場合の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態1に係る撮像システムの概略構成図である。
【図2】撮像装置の斜視図である。
【図3】撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】被写体上に設定された測距枠Fの一例を示す図である。
【図5】識別情報テーブルを示す図である。
【図6】端末装置の斜視図である。
【図7】端末装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】端末装置の表示部を示す図である。
【図9】撮像装置のモード選択の流れを示すフローチャートである。
【図10】自動撮影モードの処理を示すフローチャートである。
【図11】スルー画像を表示する端末装置の表示部を示す図である。
【図12】スルー画像を表示する別の端末装置の表示部を示す図である。
【図13】手動撮影モードの処理を示すフローチャートである。
【図14】手動撮影モードの端末装置の表示部を示す図である。
【図15】再生モードの処理を示すフローチャートである。
【図16】再生モードの端末装置の表示部を示す図である。
【図17】変形例に係る自動撮影モードの処理を示すフローチャートである。
【図18】変形例に係る手動撮影モードの処理を示すフローチャートである。
【図19】撮像装置と端末装置とを合体させて使用する際の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
《実施形態1》
<1.撮像システムの全体構成>
図1は、実施形態1に係る撮像システムの概略構成図である。
【0013】
撮像システムSは、撮像装置1と、3つの端末装置100A,100B,100Cとを備えている。撮像装置1は、モータ等が内蔵された電動雲台部51を有する三脚装置50に設置されている。端末装置100A,100B,100Cはそれぞれ、ユーザa,b,cが使用する。撮像装置1と端末装置100A,100B,100Cとは、無線接続されており、信号の授受が可能となっている。例えば、端末装置100A,100B,100Cは、制御信号を撮像装置1へ送信して、撮像装置1に撮影を実行させることができる。また、撮像装置1は、画像及びその他の情報を端末装置100A,100B,100Cへ送信することができる。また、三脚装置50は、端末装置100A,100B,100C又は撮像装置1と無線接続されて、信号の授受が可能となっている。例えば、端末装置100A,100B,100Cは、制御信号を三脚装置50へ直接又は撮像装置1を経由して送信して、電動雲台部51のパンニング及びチルティング操作を行うことができる。以下、端末装置100A,100B,100Cを特に区別しない場合には、単に「端末装置100」と称する。
【0014】
<2.撮像装置の構成>
図2は、撮像装置1の斜視図であり、図3は、撮像装置1の概略構成を示すブロック図である。以下、説明の便宜上、図2に示すように、撮像装置1の光軸AZをZ軸(物体側を正、撮像面側を負とする)とし、撮像装置1の左右方向をX軸方向とし、撮像装置1の上下方向をY軸方向とする3次元直交座標系を設定する。
【0015】
撮像装置1は、デジタルカメラであり得る。撮像装置1は、図2に示すように、カメラ本体40と、レンズ鏡筒41とを備えている。また、撮像装置1は、図3に示すように、光学系Lと、マイクロコンピュータ3と、イメージセンサ4と、CCD駆動制御部5と、アナログ信号処理部6と、A/D変換部7と、デジタル信号処理部8と、バッファメモリ9と、画像圧縮部10と、画像記録制御部11と、画像記録部12と、通信部15と、電源スイッチ20と、近接センサ17と、GPSセンサ18と、地磁気センサ19と、顔登録データベース23と、メモリ28と、シャッタ33と、シャッタ制御部31と、シャッタ駆動モータ32と、ズーム制御部34と、ズーム駆動モータ35と、フォーカス制御部36と、フォーカス駆動モータ37とを備えている。
【0016】
光学系Lは、被写体の光学的な像を形成するための光学系であり、ズームレンズ群L1、フォーカスレンズ群L2などを含んでいる。光学系Lは、レンズ鏡筒41により支持されている。
【0017】
マイクロコンピュータ3は、撮像装置1全体を制御するユニットである。マイクロコンピュータ3は、各種ユニットに接続されている。
【0018】
シャッタ33は、光軸AZ上であって、ズームレンズ群L1とフォーカスレンズ群L2との間に配置されている。シャッタ駆動モータ32は、シャッタ33を駆動する。シャッタ制御部31は、シャッタ33を動作させるために、マイクロコンピュータ3からの制御信号に基づいてシャッタ駆動モータ32を制御する。例えば、マイクロコンピュータ3は、後述する端末装置100のシャッタボタン134の操作に起因する制御信号を受信したときに、シャッタ制御部31への制御信号を生成する。
【0019】
ズーム駆動モータ35は、ズームレンズ群L1を光軸AZ方向に移動させる。ズーム制御部34は、マイクロコンピュータ3からの制御信号に基づいてズーム駆動モータ35を制御する。つまり、マイクロコンピュータ3は、制御信号をズーム制御部34へ出力して、ズームレンズ群L1にズーム動作を行わせる。例えば、マイクロコンピュータ3は、後述する端末装置100のズーム操作ボタン137の操作に起因する制御信号を受信したときに、ズーム制御部34への制御信号を生成する。
【0020】
フォーカス駆動モータ37は、フォーカスレンズ群L2を光軸AZ方向に移動させる。フォーカス制御部36は、マイクロコンピュータ3からの制御信号に基づいてフォーカス駆動モータ37を制御する。つまり、マイクロコンピュータ3は、制御信号をフォーカス制御部36へ出力して、合焦調整を行う。例えば、マイクロコンピュータ3は、後述する端末装置100のシャッタボタン134の操作に起因する制御信号を受信したときに、フォーカス制御部36への制御信号を生成する。
【0021】
イメージセンサ4は、例えば、CCDであり得る。イメージセンサ4は、光学系Lにより形成される光学的な像を電気的な画像信号に変換する。イメージセンサ4は、CCD駆動制御部5により制御される。CCD駆動制御部5は、マイクロコンピュータ3からの制御信号に基づいて制御される。尚、イメージセンサ4は、CMOSセンサ等であってもよく、光電変換を行う電子部品であればよい。イメージセンサ4は、撮像部の一例である。
【0022】
イメージセンサ4から出力された画像信号は、アナログ信号処理部6、A/D変換部7、デジタル信号処理部8、バッファメモリ9及び画像圧縮部10により順次処理される。アナログ信号処理部6は、イメージセンサ4から出力された画像信号にガンマ処理等のアナログ信号処理を施す。A/D変換部7は、アナログ信号処理部6から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部8は、A/D変換部7によりデジタル信号に変換された画像信号に対してノイズ除去や輪郭強調等のデジタル信号処理を施す。バッファメモリ9は、RAM(Random Access Memory)であり、デジタル信号処理部8により処理された画像信号を一時的に記憶する。画像圧縮部10は、バッファメモリ9に記憶された画像信号のデータを圧縮する。こうして、画像信号のデータサイズは、元のデータよりも小さくなる。例えば、この圧縮方式として、静止画の場合には、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式が用いられ得る。また、動画の場合には、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)方式が用いられ得る。
【0023】
画像記録部12は、画像記録制御部11の指令に基づいて、画像信号(動画像及び静止画像)と、それに対応する縮小画像信号と、所定の情報とを関連付けて記録する。これらの画像信号とともに記録される所定の情報には、例えば、画像を撮影した日時、焦点距離情報、シャッタスピード情報、絞り値情報、撮影モード情報などが含まれ得る。所定の情報は、例えば、Exif(登録商標)形式に類する形式である。また、所定の情報には、後述する顔認識情報等が含まれ得る。
【0024】
通信部15は、例えば無線LANを介して、端末装置100と無線通信を行う。例えば、通信部15は、Wi−Fi(登録商標)認証されており、複数の端末装置100とWi−Fi(登録商標)接続される。撮像装置1と端末装置100との接続については、アクセスポイントなど外部通信機器を経由して接続する方法、あるいは外部の通信機器を経由せずに直接接続する方法であるP2P(ワイヤレス・アドホック・ネットワーク)接続などでもよい。さらには、3G、LTE(Long Term Evolution)などの携帯電話の通信規格を用いてもよい。例えば、通信部15は、端末装置100からの制御信号等を受信することができると共に、画像信号等を端末装置100へ無線通信を介して送信することができる。
【0025】
近接センサ17は、撮像装置1が端末装置100と近接していることを検知するセンサである。例えば、近接センサ17は、ホール素子等の磁気センサであり得る。GPSセンサ18は、撮像装置1の位置を測定するセンサである。GPSセンサ18は、緯度/経度、又は代表的なランドマークのある位置を測定する。地磁気センサ19は、撮像装置1のレンズ鏡筒41(光軸AZ)が指す方位を測定するセンサである。
【0026】
電源スイッチ20は、撮像装置1の電源をオン/オフさせるためのスイッチである。
【0027】
顔登録データベース23は、顔認識テーブルを有している。顔認識テーブルには、特定の人物の顔に関するデータである顔認識レコードが複数格納されている。各顔認識レコードには、顔の特徴データが含まれている。
【0028】
マイクロコンピュータ3は、顔検出部21と、顔認識部22と、識別情報記憶部24とを有している。
【0029】
顔検出部21は、顔検出処理を行う。具体的には、顔検出部21は、デジタル信号処理部8より得られた1フレーム分の画像から被写体の顔を検出する。顔検出方法としては、画像から輪郭情報を抽出し、抽出された輪郭内に特徴点(目、鼻、口等)が存在するかを検出する方法がある。顔検出部21は、検出された輪郭内に特徴点が存在する場合、顔と判断する。マイクロコンピュータ3は、その検出した被写体の顔を囲むように測距枠F(AF枠)を設定する。尚、測距枠Fは、被写体の顔に限らず、目、鼻、口などに設定してもよい。さらには、顔検出部21は、顔の特徴データを抽出し、被写体の性別、年齢、又は動物であるか否かの判別を該特徴点に基づいて行う。顔検出部21は、1フレーム内に複数の顔が含まれる場合は複数の顔を検出し、それぞれの顔の特徴データを抽出する。
【0030】
図4は、被写体上に設定された測距枠Fの一例を示す図である。図4において、被写体Aに対して顔検出処理を行った領域に測距枠FAが設定される。また、被写体Bに対して顔検出処理を行った領域に測距枠FBが設定される。
【0031】
顔認識部22は、顔検出部21で抽出された顔の特徴データと顔登録データベース23に格納されている特徴データと比較することによって類似度を判定する。顔認識部22は、検出された顔がどの個人の顔であるかを該類似度に基づいて特定することによって、被写体を特定する。顔検出部21及び顔認識部22は、検出部の一例である。
【0032】
識別情報記憶部24は、図5に示す識別情報テーブル25を記憶している。識別情報テーブル25には、特定の被写体と端末装置とが関連付けられて格納されている。つまり、識別情報テーブル25において、特定の被写体とそれに対応する端末装置100とが紐付けされている。図5における端末装置100A,100B,100Cの欄には、各端末装置固有の識別情報が格納されている。ここでは、識別情報は、各端末装置100のWi−Fi(登録商標)のアドレスである。図5における被写体A,B,Cの欄には、各被写体の画像データが格納されている。つまり、被写体Aは端末装置100Aと、被写体Bは端末装置100Bと、被写体Cは端末装置100Cと紐付けされている。識別情報記憶部24は、記憶部の一例である。
【0033】
識別情報テーブル25は、ユーザが設定可能となっている。詳しくは、ユーザは、各端末装置100の固有の識別情報を撮像装置1に登録する。例えば、撮像装置1は、Wi−Fi(登録商標)接続可能な端末装置100を全て表示し、その中から何れの端末装置100を登録するのかをユーザに選択させる。各端末装置100の無線LANのアドレス、メールアドレス又は電話番号を固有の識別情報として登録し得る。次に、ユーザは、撮像装置1で撮影した画像に含まれる人物の顔を選択する。撮像装置1は、撮影した画像を液晶ディスプレイ(図示省略)に表示し、登録したい人物の顔をユーザに選択させる。次に、ユーザは、選択した顔に登録しておいた端末装置100の識別情報を割り当てる。こうして、ユーザは、識別情報テーブル25を設定することができる。登録する顔は、端末装置100を所有するユーザ自身であっても、該ユーザの家族等のユーザ以外の人物であってもよい。
【0034】
マイクロコンピュータ3は、撮像装置1全体の制御を行い、例えば、撮影したり、外部機器との信号の授受を行ったりする。マイクロコンピュータ3の制御の1つに合焦調整がある。マイクロコンピュータ3は、測距枠におけるコントラスト値に基づいて合焦調整を行う。マイクロコンピュータ3は、フォーカス制御部36に制御信号を出力することによってフォーカスレンズ群L2を光軸AZ方向に移動させ、そのときのコントラスト値を算出する。コントラスト値は、測距枠FA又は測距枠FBに対応する画像信号を演算処理することにより算出される。マイクロコンピュータ3は、測距枠FA,FBにおけるコントラスト値がそれぞれ最大となるフォーカスレンズ群L2の位置を求める。そして、マイクロコンピュータ3は、測距枠FA,FBのコントラスト値の大きさや、画面上における測距枠FA,FAの位置に基づく重み付けなどに基づいて、主被写体に対する最適な合焦位置(フォーカスレンズ群L2の位置)を算出する。
【0035】
このように構成された撮像装置1は、イメージセンサ4で撮像したスルー画像を液晶ディスプレイにスルー表示(ライブビュー表示)する。また、撮像装置1は、ユーザからレリーズボタン(図示省略)の操作を受けて撮影を行う。撮像装置1は、撮影画像を液晶ディスプレイに表示したり、画像記録部12に記録したりする。ここで、「スルー画像」とは、イメージセンサ4で撮像した画像であって、撮影のためにスルー表示する画像である。「撮影画像」とは、撮像装置1で撮影した画像である。つまり、「撮影画像」とは、イメージセンサ4で撮像した画像であって、1つのファイルとして処理された画像である。「スルー画像」も「撮影画像」も、イメージセンサ4で撮像した画像、即ち、「撮像画像」である点では一致している。
【0036】
<3.端末装置の構成>
図6は、端末装置100の斜視図であり、図7は、端末装置100の概略構成を示すブロック図であり、図8は、端末装置100の表示部118を示す図である。
【0037】
端末装置100は、スマートフォンであり得る。端末装置100は、図6〜8に示すように、筐体101と、表示部118と、タッチパネル119とを備えている。端末装置100は、平面視略長方形の板状に形成されている。端末装置100は、撮像装置1を操作するための制御信号を送信したり、撮像装置1からスルー画像又は撮影画像を受信して、該スルー画像又は撮影画像を表示部118に表示させたりする。以下では、説明の便宜上、端末装置100の長手方向をX軸方向とし、短手方向をY軸方向とし、厚み方向をZ軸方向とする3次元直交座標系を設定する。
【0038】
筐体101は、表側筐体101aと、裏側筐体101bとを有している。表側筐体101aと裏側筐体101bとは、ねじ等で一体に連結される。表側筐体101aには、表示窓104が形成されている。表示部118は、表示窓104に配置されている。表示部118は、液晶ディスプレイであり得る。タッチパネル119は、表示部118を覆うように配置されている。タッチパネル119は、静電式、抵抗膜式、光学式又は超音波方電磁式などで構成されている。ユーザは、表示部118に表示された内容を指やペンなどによりタッチすることによって、タッチパネル119を介して端末装置100を操作することができる。また、表側筐体101aには、電源スイッチ120が設けられている。電源スイッチ120は、端末装置100の電源をオン/オフさせるためのスイッチである。
【0039】
端末装置100は、図7に示すように、マイクロコンピュータ103と、画像記録制御部111と、画像記録部112と、通信部115と、表示制御部117と、メモリ128と、操作部I/F部130と、GPSセンサ145と、地磁気センサ146と、3軸ジャイロセンサ147と、3軸加速度センサ148とをさらに備えている。
【0040】
画像記録部112は、リムーバブルメモリ113を着脱可能なカードI/F部114を有している。画像記録部112は、画像記録制御部111の指令に基づいて、画像信号(動画像と静止画像)と、それに対応する縮小画像信号と、所定の情報とを関連付けて記録する。これらの画像信号とともに記録される所定の情報には、例えば、画像を撮影した日時、焦点距離情報、シャッタスピード情報、絞り値情報、撮影モード情報などが含まれ得る。所定の情報は、例えば、Exif(登録商標)形式に類する形式である。
【0041】
通信部115は、例えば無線LANを介して、撮像装置1と無線通信を行う。例えば、通信部115は、Wi−Fi(登録商標)認証されており、撮像装置1とWi−Fi(登録商標)接続される。端末装置100は、通信部115を介して撮像装置1と信号の授受を行う。
【0042】
表示制御部117は、マイクロコンピュータ103からの制御信号に基づいて表示部118を制御する。表示部118は、表示制御部117の指令に基づいて、画像記録部112から読み出した画像信号又は撮像装置1から無線LANを介して送信された画像信号を可視画像として表示する。
【0043】
メモリ128には、端末装置100の固有の識別情報が記憶されている。識別情報は、端末装置100のWi−Fi(登録商標)のアドレスであり得る。
【0044】
GPSセンサ145は、端末装置100の位置を測定するセンサである。GPSセンサ145は、緯度/経度、又は代表的なランドマークのある位置を測定する。地磁気センサ146は、端末装置100の方位(例えば、表示部118の法線方向が指す方位)を測定するセンサである。3軸ジャイロセンサ147は、端末装置100の姿勢を検出するセンサであり、ピッチング方向(X軸周り)、ヨーイング方向(Y軸周り)及びローリング方向(Z軸周り)の回転量を検出する。3軸加速度センサ148は、端末装置100の加速度を検出するセンサであり、X,Y,Z軸方向の加速度を検出する。
【0045】
表示部118には、タッチパネル119を介して操作可能な操作部131が表示される。タッチパネル119からの出力は、操作部I/F部130を介してマイクロコンピュータ103等に入力される。
【0046】
具体的には、操作部131には、MENUボタン132と、SETボタン133と、シャッタボタン134と、撮影モードボタン135と、再生モードボタン136と、ズーム操作ボタン137と、自動/手動切替ボタン138とが含まれている。
【0047】
MENUボタン132は、表示部118に各種メニューを表示させるためのボタンである。SETボタン133は、各種メニューの実行を確定するためのボタンである。撮影モードボタン135は、撮影モードに設定するためのボタンである。再生モードボタン136は、再生モードに設定するためのボタンである。撮影モードボタン135と再生モードボタン136とは、択一的に操作可能なボタンである。自動/手動切替ボタン138は、自動撮影モードと手動撮影モードとを切り替えるためのボタンである。自動撮影モードと手動撮影モードについては後述する。
【0048】
シャッタボタン134は、撮像装置1へフォーカス動作及びシャッタ駆動の指令を出力するためのボタンである。シャッタボタン134は、測距枠Fで示される。すなわち、撮影モードにおいて、長方形の測距枠Fが表示部118に表示された被写体上に表示される。この測距枠Fは、シャッタボタン134をも表す。ユーザが測距枠Fを軽くタッチすると、フォーカス動作を指示する制御信号が端末装置100から撮像装置1へ送信される。ユーザが測距枠Fを長く押すと、シャッタ駆動を指示する制御信号が端末装置100から撮像装置1へ送信される。
【0049】
ズーム操作ボタン137は、撮像装置1へズーム動作の指令を出力するためのボタンである。ズーム操作ボタン137は、上下に延びるバー状のボタンである。ユーザがズーム操作ボタン137の下側(Wの文字の側)をタッチすると、ズームレンズ群L1の広角側への移動を指示する制御信号が端末装置100から撮像装置1へ送信される。ユーザがズーム操作ボタン137の上側(Tの文字の側)をタッチすると、ズームレンズ群L1の望遠側への移動を指示する制御信号が端末装置100から撮像装置1へ送信される。
【0050】
また、表示部118には、各種の情報が表示される。例えば、表示部118は、端末名表示部139と撮影条件表示部140とを表示する。
【0051】
端末名表示部139は、どの端末装置100が現在使用されているかを示すアイコンである。端末名表示部139には、端末名表示アイコン139a,139b,139cが含まれる。ここでは、各端末名は、A,B,Cで表されている。端末装置100自身の端末名表示アイコンが表示部118の右上に表示され、他の端末装置100の端末名表示アイコンが、それの左側に表示される。他の端末名表示アイコンは、使用中の端末装置100のアイコンは実線で表示され、使用されていない端末装置100のアイコンは破線で表示される。これにより、他の端末装置の使用状態を把握することができる。
【0052】
撮影条件表示部140には、撮像装置1で設定されている撮影条件である、シャッタスピードと絞り値とが表示される。
【0053】
また、図示を省略するが、表示部118には、GPSセンサ145及び地磁気センサ146の測定結果を表示することができる。さらに、表示部118は、他の端末装置100のGPSセンサ145及び地磁気センサ146の測定結果及び撮像装置1のGPSセンサ18及び地磁気センサ19の測定結果を表示することができる。
【0054】
尚、以下の説明では、端末装置100の各構成要素について、端末装置100A,100B,100Cを区別する場合には、各符号の後に「A」,「B」,「C」を付して表す。例えば、「表示部118A」は、端末装置100Aの表示部を意味し、「自動/手動切替ボタン138B」は、端末装置100Bの自動/手動切替ボタンを意味する。
【0055】
<4.遠隔操作>
このように構成された撮像システムSにおいては、端末装置100によって撮像装置1を遠隔操作することができる。
【0056】
例えば、端末装置100を用いて、撮像装置1のスルー画像及び撮影画像を確認することができる。すなわち、撮像装置1がスルー画像及び撮影画像を端末装置100へ送信し、端末装置100はスルー画像及び撮影画像を表示部118に表示する。スルー画像には測距枠Fも表示されている。
【0057】
また、端末装置100で撮像装置1の合焦操作、ズーム操作、撮影操作を行うことができる。すなわち、端末装置100から撮像装置1へ制御信号を送信して、撮像装置1のフォーカスを調整したり、倍率を調整したり、撮影を実行させたりすることができる。
【0058】
さらに、端末装置100で三脚装置50の電動雲台部51を操作することができる。例えば、ユーザが端末装置100をピッチング方向又はヨーイング方向に回転させると、端末装置100のマイクロコンピュータ103は、3軸ジャイロセンサ147及び3軸加速度センサ148の一方又は両方を用いて端末装置100の移動量を検出し、該移動量に基づいて電動雲台部51の制御信号を生成する。端末装置100は該制御信号を三脚装置50へ送信する。三脚装置50は、制御信号を受信すると、該制御信号に基づいてチルティング動作又はパンニング動作を行う。このように、ユーザが端末装置100を用いて擬似的にチルティング動作及びパンニング動作を行うと、その動作量に基づいて、三脚装置50をチルティング及びパンニングさせることができる。これにより、遠隔操作であっても、ユーザの意図する方向に撮像装置1を向けることができる。例えば、被写体が動いた場合であっても、ユーザは、端末装置100の表示部118のスルー画像を見ながら端末装置100をチルティング及びパンニングさせることによって被写体を簡単に追尾することができる。尚、三脚装置50と端末装置100とが撮像装置1を介して無線接続されている構成においては、端末装置100からの制御信号は、撮像装置1経由で三脚装置50へ送信される。
【0059】
<5.撮像装置のモード選択>
図9は、撮像装置1のモード選択の流れを示すフローチャートである。以下、図9を参照しながら、撮像装置1のモード選択の流れを説明する。この例では、撮像装置1は、3つの端末装置100A,100B,100Cと無線接続可能となっている。尚、ステップはSと略する。
【0060】
まず、撮像装置1の電源がオンにされ、撮像装置1が起動し、撮影準備状態となる(S11)。
【0061】
続いて、撮像装置1は、S12において、端末装置100と無線接続されたか否かを確認する。すなわち、端末装置100の電源がオン状態で且つ撮像装置1と無線接続が可能な範囲内に位置する場合には、撮像装置1と端末装置100との無線接続が確立される。撮像装置1は、端末装置100A,100B,100Cとの現在の接続状況を確認し、無線接続されている端末装置100を判定する。尚、撮像装置1が接続確認用の要求信号を端末装置100に送信し、端末装置100から応答信号の返信があったときに、該端末装置100が無線接続されていると判定してもよい。ここでは、3台の端末装置100A,100B,100Cが無線接続されているとして、以下のフローを説明する。
【0062】
次に、S13において、撮像装置1は、無線接続された端末装置100のそれぞれについて自動モードとなっているか、手動モードとなっているかを判定する。自動モードが選択されている場合にはフローはS14へ進む一方、手動モードが選択されている場合にはフローはS17へ進む。S14においては、撮像装置1は、自動モードの端末装置100が撮影モードか再生モードかを判定する。撮影モードが選択されている場合にはフローはS15へ進む一方、再生モードが選択されている場合にはフローはS16へ進む。S15からは、自動撮影モードの処理が実行される。S16からは、再生モードの処理が実行される。S17からは、手動撮影モードの処理が実行される。S13,S14は、端末装置100ごとに判定される。
【0063】
<6.自動撮影モード>
図10は、自動撮影モードの処理を示すフローチャートである。ここでは、端末装置100A,100B,100Cの全てが自動撮影モードの場合について説明する。自動撮影モードでは、S21において、撮像装置1は、イメージセンサ4で撮像したスルー画像を通信部15を介して端末装置100A,100B,100Cへ送信する。各端末装置100は、通信部115を介してスルー画像を受信し、該スルー画像を表示部118に表示する。すべての端末装置100A,100B,100Cに同じスルー画像が送信される。こうして、イメージセンサ4で撮像したスルー画像が端末装置100A,100B,100Cでリアルタイムに表示される。
【0064】
撮像装置1は、S22において、スルー画像の被写体に対して顔検出処理を行う。スルー画像の中から顔が検出されたときには、フローはS23へ進む一方、顔が検出されないときには、S22を繰り返す。
【0065】
S23においては、撮像装置1は、検出された顔に基づいて被写体を特定する。詳しくは、撮像装置1は、検出された顔から特徴データを抽出し、それを顔登録データベース23と照らし合わせる。抽出された特徴データが顔登録データベース23に登録された特徴データと一致すると、撮像装置1は、被写体が顔登録データベース23に登録された人物であると認定する。これにより、特定の被写体が検出される。この例では、顔登録データベース23には、人物A,B,Cの顔が登録されている。そのため、図1に示す被写体を撮像した場合には、人物A,Bが特定される。そして、人物A,Bが含まれるという情報がメモリ28に記憶される。尚、検出された顔が顔登録データベース23に登録された顔に該当しない場合には、フローはS13へ戻る。
【0066】
撮像装置1は、特定の被写体の顔を検出すると、識別情報記憶部24の識別情報テーブル25を参照して、特定の被写体に対応する端末装置100を特定する。つまり、撮像装置1は、人物Aには端末装置100Aが対応し、人物Bには端末装置100Bが対応することを特定する。
【0067】
撮像装置1は、登録された特定の被写体を検出したときには、該特定の被写体に対応する端末装置100に送信するスルー画像において、該被写体の顔を囲むように測距枠を表示する。図11は、スルー画像を表示する端末装置100Aの表示部118を示す図であり、図12は、スルー画像を表示する端末装置100Bの表示部118を示す図である。つまり、撮像装置1は、端末装置100Aに送信するスルー画像には、被写体Aの顔の上に測距枠FAを表示し、端末装置100Bに送信するスルー画像には、被写体Bの顔の上に測距枠FBを表示する。尚、端末装置100Cに送信されるスルー画像においては、被写体A,Bの顔の上に測距枠は表示されていない。
【0068】
撮像装置1は、被写体が登録された特定の被写体であると判定すると、S24において自動的に撮影処理を行う。ここで、画像中に複数の特定の被写体が含まれる場合には、撮像装置1は、予め設定された優先順位の高い被写体を基準に撮影条件を設定する。優先順位は、例えば、識別情報テーブル25に記憶しておくことができる。識別情報テーブル25中の上の欄に登録された被写体ほど優先順位が高く設定されている。図5の例では、被写体A,Bでは、被写体Aの方が識別情報テーブル25の上の欄に登録されているので、被写体Aの方が優先順位が高い。そのため、図11,12に示す画像が撮像されている場合には、被写体Aを基準に撮影条件が設定される。尚、優先順位の設定は、識別情報テーブル25において、特定の被写体及びそれに対応する端末装置100に加えて該被写体の優先順位も関連付けて記憶するようにしてもよい。撮影条件には、撮影に関連する種々の条件が含まれ得る。例えば、撮像装置1は、被写体Aを基準にして測光処理及び測距処理を行い得る。測光処理において、デジタル信号処理部8は、イメージセンサ4により出力された被写体Aの顔周辺部の画像信号に基づいて露光値を演算する。マイクロコンピュータ3は、演算された露光値に基づいて適切なシャッタスピードを設定する。また、フォーカス制御部36は、測距枠FA内の画像信号のコントラスト値がピークとなるようにフォーカスレンズ群L2を移動させ合焦調整を行う。撮影条件には、その他にホワイトバランス、感度、ズーム倍率等も含み得る。
【0069】
撮像装置1は、特定の被写体を自動的に撮影すると、S25において、該特定の被写体に関連付けられた端末装置100を識別情報テーブル25に基づいて特定する。この例では、被写体A,Bが撮影されているので、識別情報テーブル25において被写体Aに関連付けられている端末装置100Aと被写体Bに関連付けられている端末装置100Bとが特定される。そして、撮像装置1は、S26において、撮影画像を端末装置100A,100Bへ自動的に送信すると共に、その旨を通知する。端末装置100A,100Bへ送信される撮影画像は何れも、被写体Aを基準に撮影条件を設定した撮影画像である。その後、フローはS21へ戻る。
【0070】
端末装置100A,100Bは、撮影画像及び通知を受信すると、撮影画像をそれぞれの表示部118に表示すると共に画像記録部112に記録する。尚、端末装置100Cには、撮影画像は送信されない。
【0071】
尚、撮像装置1は、撮影画像及び通知を送信するときに、送信先の端末装置100との無線接続が継続しているかを確認する。ここで、送信先の端末装置100の電源がオフになっていたり、通信環境が悪化したりして無線接続が遮断されているときには、撮像装置1は、撮影画像を画像記録部12に一旦記録する。そして、送信先の端末装置100との無線接続が再び接続されたことを検知すると、撮影画像を画像記録部12から読み出し、該端末装置100へ送信する。
【0072】
以上のように、撮像装置1は、被写体を撮像するイメージセンサ4と、1又は複数の特定の被写体と、該被写体に対応する端末装置100とを記憶する識別情報記憶部24と、前記イメージセンサ4で撮像した画像の中から前記識別情報記憶部24に記憶された前記特定の被写体を検出する顔検出部21及び顔認識部22と、前記画像を前記端末装置100に送信するマイクロコンピュータ3とを備え、画像を端末装置100に送信可能である。前記マイクロコンピュータ3は、前記顔検出部21及び顔認識部22が前記特定の被写体を検出すると、前記画像を前記識別情報記憶部24に記憶された端末装置100のうち該特定の被写体に対応する端末装置100に送信する。また、撮像システムSは、端末装置100と、該端末装置100からの遠隔操作が可能であって画像を該端末装置100に送信可能な撮像装置1とを備えている。前記撮像装置1は、被写体を撮像するイメージセンサ4と、1又は複数の特定の被写体と、該被写体に対応する端末装置100とを記憶する識別情報記憶部24と、前記イメージセンサ4で撮像した画像の中から前記識別情報記憶部24に記憶された前記特定の被写体を検出する顔検出部21及び顔認識部22と、前記画像を前記端末装置100に送信するマイクロコンピュータ3とを有し、前記マイクロコンピュータ3は、前記顔検出部21及び顔認識部22が前記特定の被写体を検出すると、前記画像を前記識別情報記憶部24に記憶された端末装置100のうち該被写体に対応する端末装置100に送信する。すなわち、自動撮影モードでは、1台の撮像装置1に対し複数の端末装置100が無線接続された撮像システムSにおいて、撮像装置1が特定した被写体に応じて、撮影画像を該被写体に予め紐付けされた端末装置100へ自動的に送信することができる。それにより、ユーザは、撮影後に撮影画像を被写体ごとに分類する作業を省くことができ、使い勝手を向上させることができる。
【0073】
また、前記マイクロコンピュータ3は、前記顔検出部21及び顔認識部22が複数の前記特定の被写体を検出すると、検出された複数の特定の被写体の何れか1つに応じた撮影条件で撮影を行って前記識別情報記憶部24に記憶された前記端末装置100のうち該検出された複数の特定の被写体に対応する複数の端末装置100に撮影画像を送信する。つまり、画像中に特定の被写体が複数存在する場合には、何れか1つの特定の被写体に応じた撮影条件で撮影を行う。こうして撮影した共通の撮影画像を、画像中に含まれる特定の被写体に対応する複数の端末装置へ送信する。これにより、画像に特定の被写体が含まれる場合であっても撮影が一度だけになるため、撮影処理を簡素化することができる。画像中に含まれる複数の特定の被写体のうち何れの特定の被写体に撮影条件を合わせるかは、例えば、予め設定された特定の被写体の優先順位に基づいて決定される。または、端末装置100から選択された特定の被写体に撮影条件を合わせてもよい。このとき、撮影条件は、撮像装置1がスルー画像等に基づいて自動的に設定する。
【0074】
尚、前述の例では、撮影画像を端末装置100に送信しているが、端末装置100には通知のみ行い、撮影画像は、予め指定されたサーバに送信するようにしてもよい。その場合は、サーバから端末装置100へ、撮影画像が保存されたURLをメール等で知らせるようにしてもよい。
【0075】
また、撮像装置1は、全ての端末装置100へスルー画像を送信しているが、これに限られるものではない。撮像装置1は、スルー画像中に含まれる被写体を検出し、特定の被写体が含まれる場合には、該特定の被写体に対応する端末装置100にだけスルー画像を送信するようにしてもよい。
【0076】
また、対応する特定の被写体が撮像されていない端末装置100Cには、撮影時の撮影条件を送信するようにしてもよい。つまり、マイクロコンピュータ3は、前記イメージセンサ4の撮像する画像の中から前記特定の被写体を検出すると撮影を行い、前記識別情報記憶部24に記憶された前記端末装置100のうち撮影された該特定の被写体に対応しない端末装置100に撮影時の撮影条件を送信するように構成してもよい。これにより、端末装置100Cは、現在の撮影環境における撮影条件を取得できる。背景の明るさ等はすぐには変わらない可能性が高いので、端末装置100Cは、現在の撮影環境に合った撮影条件を予め設定することができる。端末装置100Cが手動撮影を行うときに有効である。
【0077】
また、撮像装置1に無線接続された端末装置100に自動撮影モード以外のものが含まれる場合には、自動撮影モードに設定された端末装置100にのみ前述の処理を行う。
【0078】
尚、記念写真を撮るときのように、被写体Aとユーザaとは同一人物であってもよい。
【0079】
<7.手動撮影モード>
続いて、手動撮影モードについて説明する。図13は、手動撮影モードの処理を示すフローチャートであり、図14は、手動撮影モードの端末装置100Aの表示部118を示す図である。ここでは、端末装置100Aのみが手動撮影モードに設定された場合について説明する。手動撮影モードでは、端末装置100Aの自動/手動切替ボタン138Aが「手動」を表示している。
【0080】
手動撮影モードでは、S31において、撮像装置1は、イメージセンサ4で撮像したスルー画像を通信部15を介して、手動撮影モードに設定された端末装置100Aへ送信する。
【0081】
S32において、撮像装置1は、端末装置100Aからの撮影条件を受信して、各種の撮影条件を設定する。つまり、ユーザは、端末装置100AにおけるMENUボタン132Aをタッチすることにより、撮像装置1の撮影条件を手動で設定する。例えば、シャッタスピード1/100、絞り値F2.8に設定する。撮影条件が設定されると、表示部118Aの左上の撮影条件表示部140Aに該撮影条件が表示される。端末装置100Aへの撮影条件の設定が完了すると、該撮影条件が端末装置100Aから撮像装置1へ送信される。このとき、端末装置100Aは、それ自身の識別情報も併せて送信する。撮像装置1は、端末装置100Aからの撮影条件を受信すると、撮影条件が手動撮影モードの端末装置100からのものであるか否かを識別情報に基づいて判別する。撮影条件が手動撮影モードの端末装置100からのものであれば、撮像装置1は、該撮影条件をそれ自身の撮影条件として設定する。
【0082】
S33において、撮影が行われる。撮影は、ユーザが端末装置100Aを操作することにより実行される。すなわち、ユーザが表示部118Aに表示されたシャッタボタン134Aを軽くタッチすることにより、それを示す信号が端末装置100Aから撮像装置1に送信される。この信号を受信した撮像装置1は、マイクロコンピュータ3がフォーカス制御部36を制御し、画像信号のコントラスト値がピークとなるようにフォーカスレンズ群L2を移動させ合焦調整を行う。続いて、ユーザが表示部118Aに表示されたシャッタボタン134Aを長くタッチすることにより、それを示す信号が端末装置100Aから撮像装置1に送信される。この信号を受信した撮像装置1は、マイクロコンピュータ3がCCD駆動制御部5及びシャッタ制御部31を制御し、撮影を行う。こうして、端末装置100Aにより設定された露光条件および測距条件にて手動撮影される。
【0083】
次に、S34において、撮像装置1は、撮影指令を出力した端末装置100Aへ撮影画像を自動的に送信すると共に、その旨を通知する。端末装置100Aは、撮影画像及び通知を受信すると、撮影画像を表示部118Aに表示する。
【0084】
S35において、撮像装置1は、撮影画像とそのときの撮影条件とを、撮影指令を出力した端末装置100A以外の端末装置、即ち、端末装置100B,100Cへ自動的に送信する。端末装置100B,100Cは、撮影画像及び撮影条件を受信すると、表示部118B,118Cに、撮影画像と撮影条件とを表示すると共に画像記録部112B,112Cに記録する。このとき、端末装置100B,100Cは、受信した撮影条件をそれ自身の撮影条件に自動的に設定してもよい。
【0085】
以上のように、撮像装置1は、被写体を撮像するイメージセンサ4と、特定の端末装置100を記憶する識別情報記憶部24と、前記イメージセンサ4を用いて撮影を行うマイクロコンピュータ3とを備え、端末装置100からの遠隔操作が可能であって画像を該端末装置100に送信可能である。前記マイクロコンピュータ3は、前記端末装置100からの遠隔操作に従って撮影したときには、前記識別情報記憶部24に記憶された前記端末装置100のうち遠隔操作を行った該端末装置100以外の端末装置100に撮影時の撮影条件を送信する。また、撮像システムSは、端末装置100と、該端末装置100からの遠隔操作が可能であって画像を該端末装置100に送信可能な撮像装置1とを備えている。前記撮像装置1は、被写体を撮像するイメージセンサ4と、特定の端末装置100を記憶する識別情報記憶部24と、前記イメージセンサ4を用いて撮影を行うマイクロコンピュータ3とを有し、前記マイクロコンピュータ3は、前記端末装置100からの遠隔操作に従って撮影したときには、前記識別情報記憶部24に記憶された前記端末装置100のうち遠隔操作を行った該端末装置100以外の端末装置100に撮影時の撮影条件を送信する。すなわち、手動撮影モードでは、1台の撮像装置1に対し複数の端末装置100が無線接続された撮像システムSにおいて、或るユーザが撮影した際の撮影条件を他のユーザの端末装置100に自動的に送信することができる。そのため、その後に他のユーザが撮影する際に、受信した撮影条件に基づいて撮影を行うことができるので、撮影条件の設定の手間を省くことができたり、適切な撮影条件を設定することができたりする。その結果、撮影条件設定時の使い勝手を向上させることができる。
【0086】
また、前記マイクロコンピュータ3は、前記端末装置100からの遠隔操作に従って撮影を行うときには該端末装置100からの遠隔操作に基づいて撮影条件を設定することができる。つまり、撮影条件は、遠隔操作により設定することができる。
【0087】
さらに、マイクロコンピュータ3は、前記撮影条件に加えて撮影画像を前記遠隔操作を行った端末装置100以外の端末装置100送信する。これにより、先の撮影画像及び撮影条件を参考とすることができるので、適切な撮影条件を設定することができる。すなわち、同じような環境下で撮影する際には撮影条件設定の手間を省くことかできる。または、先の撮影画像がユーザの趣向と異なる場合には、先の撮影条件とは撮影条件を異ならせることによって、ユーザの趣向により合致した撮影を行うことができる。その結果、失敗写真を撮る確率を減らすことができる。
【0088】
撮像装置1が手動撮影モードのみを行う場合には、識別情報記憶部24は、識別情報テーブル25を記憶しておく必要はなく、特定の端末装置100を記憶できればよい。また、顔検出部21及び顔認識部22も省略することができる。
【0089】
尚、以上の例では、他の端末装置100B,100Cに、撮影画像及び撮影条件を送信しているが、撮影条件のみを送信し、端末装置100B,100Cは受信した撮影条件を自動的に設定するように構成してもよい。つまり、他のユーザb,cは、撮影画像を参考に撮影条件を調整するのではなく、ユーザaの趣向に従って撮影条件を自動的に設定する。こうすることによって、何れかのユーザが撮影条件を設定すれば、他のユーザは撮影条件を設定する手間を省略することができる。
【0090】
また、端末装置100B,100Cが手動撮影モードに設定されている場合には、同様の処理を行う。
【0091】
<8.再生モード>
次に、再生モードについて説明する。図15は、再生モードの処理を示すフローチャートであり、図16は、再生モードの端末装置100Aの表示部118を示す図である。ここでは、端末装置100A,100B,100Cが再生モードに設定された場合について説明する。再生モードでは、表示部118の左上に再生モードボタン136Aが表示されている。
【0092】
再生モードにおいては、端末装置100Aは、画像記録部112Aから読み出した撮影画像等を表示部118Aに表示している。一方、撮像装置1は、スルー画像の撮像を継続している。
【0093】
まず、撮像装置1は、S41において、スルー画像の被写体に対して顔検出処理を行う。スルー画像の中から顔が検出されたときには、フローはS42へ進む一方、顔が検出されないときには、S41を繰り返す。S42においては、撮像装置1は、検出された顔に基づいて被写体を特定する。撮像装置1は、被写体が登録された特定の人物であると判定すると、S43において自動的に撮影処理を行う。撮像装置1は、特定の被写体を自動的に撮影すると、S44において、該被写体に関連付けられた端末装置100を識別情報テーブル25に基づいて特定する。この例では、被写体A,Bが撮影されているので、識別情報テーブル25において被写体Aに関連付けられている端末装置100Aと被写体Bに関連付けられている端末装置100Bとが特定される。そして、撮像装置1は、S45において、撮影画像を端末装置100A,100Bへ自動的に送信すると共に、その旨を通知する。このS41〜S45までの処理は、自動撮影モードのS22〜S26と同様である。
【0094】
端末装置100A,100Bは、撮影画像及び通知を受信すると、再生モードを自動撮影モードに切り替える。つまり、端末装置100A,100Bは、撮影画像等の再生を中止し、撮像装置1から送信されてきた撮影画像をそれぞれの表示部118に表示すると共に画像記録部112に記録する。
【0095】
一方、端末装置100Cには撮影画像及び通知が送信されないので、端末装置100Cは再生モードのままである。
【0096】
以上のように、撮像装置1は、端末装置100からの遠隔操作が可能であって画像を該端末装置100に送信可能である。そして、撮像装置1は、被写体を撮像するイメージセンサ4と、1又は複数の特定の被写体と、該被写体に対応する端末装置100とを記憶する識別情報記憶部24と、前記イメージセンサ4で撮像した画像の中から前記識別情報記憶部24に記憶された前記特定の被写体を検出する顔検出部21及び顔認識部22と、前記顔検出部21及び顔認識部22が前記特定の被写体を検出すると、該特定の被写体が検出されたことを前記識別情報記憶部24に記憶された端末装置100のうち該被写体に対応する端末装置100に通知するマイクロコンピュータ3とを備えている。また、撮像システムSは、端末装置100と、該端末装置100からの遠隔操作が可能であって画像を該端末装置100に送信可能な撮像装置1とを備えている。前記撮像装置1は、被写体を撮像するイメージセンサ4と、1又は複数の特定の被写体と、該被写体に対応する端末装置100とを記憶する識別情報記憶部24と、前記イメージセンサ4で撮像した画像の中から前記識別情報記憶部24に記憶された前記特定の被写体を検出する顔検出部21及び顔認識部22と、前記顔検出部21及び顔認識部22が前記特定の被写体を検出すると、該特定の被写体が検出されたことを前記識別情報記憶部24に記憶された端末装置100のうち該被写体に対応する端末装置100に通知するマイクロコンピュータ3とを有している。すなわち、再生モードでは、1台の撮像装置1に対し複数の端末装置100が無線接続された撮像システムSにおいて、端末装置100にスルー画像を表示させていない場合であっても、撮像装置1が特定の被写体を検出すると、該特定の被写体に予め紐付けされた端末装置100にその旨が通知される。通知されたユーザは、端末装置100にスルー画像を表示させ、撮影を行うことができる。これにより、大切なシャッタチャンスを逃すことを防ぐことができる。
【0097】
また、前記マイクロコンピュータ3は、前記特定の被写体が検出されたことを該被写体に対応する端末装置100に通知するときに、前記画像を該端末装置100に送信し、前記端末装置100は、画像を表示する表示部118を有し、前記撮像装置1からの通知及び画像を受け取ると、該表示部118に該画像を表示する。これによれば、特定の被写体が検出されると、該特定の被写体に対応する端末装置100は、再生モードから撮影モードへ自動的に切り替わる。これにより、端末装置100を被写体を撮影可能な状態にいち早くすることができる。
【0098】
尚、以上の例では、再生モードから切り替える撮影モードが自動撮影モードであるが、切り替える撮影モードは手動撮影モードであってもよい。その場合には、S43の撮影が省略され、S44が実行された後、スルー画像が特定の端末装置100A,100Bにだけ送信されることになる。その後は、手動撮影モードのS31〜S35の処理を行う。
【0099】
さらには、特定の被写体が検出されたときには、該特定の被写体に対応する端末装置100は、再生モードから撮影モードに切り替えられているが、再生モードを維持してもよい。すなわち、端末装置100は、特定の被写体が検出されたことが通知されると、その旨をユーザに報知するようにしてもよい。例えば、その旨を表示部118に表示したり、報知用の音を鳴らしたりすることによって、ユーザに報知することができる。そして、そのまま再生モードを維持するか、撮影モードに移行するか、撮影モードに移行するのであれば、自動撮影モードに移行するのか手動撮影モードに移行するのかをユーザに選択させるようにしてもよい。
【0100】
また、再生モードにおいては、端末装置100の表示部118の一部に撮像装置1で撮像されているスルー画像を表示する子画面を同時に表示する構成であってもよい。
【0101】
また、撮像装置1に無線接続された端末装置100に再生モード以外のものが含まれる場合には、再生モードに設定された端末装置100にのみ前述の処理を行う。
【0102】
<9.変形例に係る自動撮影モード>
次に、自動撮影モードの変形例について説明する。図17は、変形例に係る自動撮影モードの処理を示すフローチャートである。尚、このモードは、自動連続撮影モードとも称する。
【0103】
自動連続撮影モードのS51〜S53,S55の処理は、図10に示す自動撮影モードのS21〜S23,S25と同じである。すなわち、撮影に関するS54と撮影画像の送信に関するS56の処理が、図10に示す自動撮影モードのS24,S26と異なる。
【0104】
詳しくは、S54においては、検出された特定の被写体ごとに撮影条件を設定して撮影が行われる。すなわち、まず、被写体Aに対して露光値が演算され、それに基づいて被写体Aのシャッタスピードが設定される。また、測距枠FAに基づいて合焦調整が行われる。そして、被写体Aに対して最適な露光条件及び測距条件で撮影が行われる。同様の処理を被写体Bについても行い、被写体Bに対して最適な露光条件及び測距条件で撮影が行われる。こうして、特定された各被写体に応じた撮影条件で撮影が連続的に行われる。その結果、特定された被写体と同数の画像が撮影される。尚、被写体に応じて変更される撮影条件には、前述の如く、ホワイトバランス、感度、ズーム倍率等も含み得る。
【0105】
その後、S55において、特定の被写体に関連付けられた端末装置100が特定される。
【0106】
次に、S56において、撮像装置1は、撮影画像を端末装置100A,100Bへ自動的に送信すると共に、その旨を通知する。このとき、撮像装置1は、被写体Aに応じた撮影条件で撮影した画像を端末装置100Aへ送信し、被写体Bに応じた撮影条件で撮影した画像を端末装置100Bへ送信する。
【0107】
以上のように、撮像装置1は、被写体を撮像するイメージセンサ4と、1又は複数の特定の被写体と、該被写体に対応する端末装置100とを記憶する識別情報記憶部24と、前記イメージセンサ4で撮像した画像の中から前記識別情報記憶部24に記憶された前記特定の被写体を検出する顔検出部21及び顔認識部22と、前記画像を前記端末装置100に送信するマイクロコンピュータ3とを備え、画像を端末装置100に送信可能である。前記マイクロコンピュータ3は、前記顔検出部21及び顔認識部22が複数の前記特定の被写体を検出すると、検出された特定の被写体ごとに応じた撮影条件で撮影を行って、前記識別情報記憶部24に記憶された前記端末装置100のうち該特定の被写体に対応する端末装置100に個別の撮影条件で撮影した撮影画像をそれぞれ送信する。すなわち、自動連続撮影モードでは、1台の撮像装置1に対し複数の端末装置100が無線接続された撮像システムSにおいて、撮像装置1が特定した被写体ごとに撮影条件を調整して撮影を行い、該特定の被写体に予め紐付けされた端末装置100に各撮影画像を自動的に送信することができる。これにより、特定の被写体の全てに対して適切な撮影条件にて撮影を行うことができる。
【0108】
<10.変形例に係る手動撮影モード>
次に、変形例に係る手動撮影モードについて説明する。図18は、変形例に係る手動撮影モードの処理を示すフローチャートである。尚、このモードは、優先手動撮影モードとも称する。
【0109】
優先手動撮影モードのS61〜S63の処理は、図10に示す自動撮影モードのS21〜S23と同じである。すなわち、撮像装置1から各端末装置100へスルー画像を送信し、スルー画像中から顔を検出し、被写体を特定するまでは、自動撮影モードと同じである。
【0110】
撮像装置1は、S64において、何れの端末装置100に各種操作の優先権を与えるのかを決定する。尚、優先権が与えられる各種操作とは、ズーム操作、シャッタ操作、三脚装置50のパンニング及びチルティング操作などである。ここでは、優先権を与える端末装置100は、検出された特定の被写体に応じて決定する。具体的には、撮像装置1は、検出された特定の被写体に対応する端末装置100に優先権を与える。特定の被写体に対応する端末装置100は、識別情報テーブル25を参照して特定する。さらに、複数の特定の被写体が検出された場合には、撮像装置1は、特定の被写体の優先順位に基づいて、優先権が付与される1台の端末装置100を決定する。例えば、図11のような画像が撮像された場合には、特定の被写体として被写体A,Bが検出される。被写体Aの方が被写体Bよりも優先順位が高いとすると、被写体Aに対応する端末装置100Aに優先権が付与される。被写体の優先順位は、前述のように、識別情報テーブル25を用いて設定しておくことができる。
【0111】
尚、複数の特定の被写体が検出された場合には、優先権を付与する端末装置100を1台に限定せず、複数の特定の被写体に対応する複数の端末装置100に優先権を付与してもよい。
【0112】
撮像装置1は、S65において、被写体Aが検出された旨と各種操作の優先権が付与された旨を端末装置100Aに通知する。その結果、端末装置100Aは、各種操作を実行可能な状態となる。一方、端末装置100B,100Cには、撮像装置1から優先権が付与された旨の通知がないため、各種操作が禁止された状態となる。尚、各種操作の許可及び禁止は、各端末装置100に設定するのではなく、各端末装置100は各種操作指令を出力することができるものの、優先権を付与した端末装置100からの操作指令のみを撮像装置1が有効なものとして扱い、それ以外からの操作指令を撮像装置1が無効なものとして扱うような構成であってもよい。
【0113】
次に、S66において、撮像装置1は、端末装置100Aからの撮影条件を受信して、各種の撮影条件を設定する。つまり、ユーザは、端末装置100Aを用いて撮影条件を設定する。撮影条件の設定については、S32と同様である。端末装置100Aへの撮影条件の設定が完了すると、該撮影条件が端末装置100Aから撮像装置1へ送信される。このとき、端末装置100Aは、それ自身の識別情報も併せて送信する。撮像装置1は、端末装置100Aからの撮影条件を受信すると、撮影条件が優先権を有する端末装置100からのものであるか否かを識別情報に基づいて判別する。撮影条件が優先権を有する端末装置100からのものであれば、撮像装置1は、該撮影条件をそれ自身の撮影条件として設定する。
【0114】
続いて、S67において、撮影が行われる。撮影は、ユーザが端末装置100Aを操作することにより実行される。撮影操作等については、S33と同様である。撮像装置1は、制御信号を受信すると、該制御信号が優先権を有する端末装置100からのものであるか否かを識別情報に基づいて判別する。制御信号が優先権を有する端末装置100からのものであれば、撮像装置1は、該制御信号に従って、フォーカス動作や撮影を行う。こうして、端末装置100Aにより設定された露光条件および測距条件にて手動撮影される。
【0115】
そして、撮像装置1は、S68において、優先権を有する端末装置100Aへ撮影画像を自動的に送信すると共に、その旨を通知する。端末装置100Aは、撮影画像及び通知を受信すると、撮影画像を表示部118Aに表示する。
【0116】
尚、撮影画像及び/又は撮影条件を優先権を有さない端末装置100B,100Cへ送信してもよい。
【0117】
ただし、端末装置100Aが優先権を放棄する場合には、端末装置100Aの優先権が解除される。優先権の放棄は、ユーザが端末装置100Aを操作することによって行うことができる。端末装置100Aの優先権が解除された場合には、被写体A以外の特定の被写体が撮像されているときには、撮像されている特定の被写体の画像の中から優先権を再び決定するようにしてもよい。
【0118】
以上のように、撮像システムSは、端末装置100と、該端末装置100からの遠隔操作が可能であって画像を該端末装置100に送信可能な撮像装置1とを備えている。前記撮像装置1は、被写体を撮像するイメージセンサ4と、1又は複数の特定の被写体と、該被写体に対応する端末装置100とを記憶する識別情報記憶部24と、前記イメージセンサ4で撮像した画像の中から前記識別情報記憶部24に記憶された前記特定の被写体を検出する顔検出部21及び顔認識部22と、前記顔検出部21及び顔認識部22が前記特定の被写体を検出すると、該特定の被写体が検出されたことを前記識別情報記憶部24に記憶された端末装置100のうち該被写体に対応する端末装置100に通知するマイクロコンピュータ3とを有し、前記マイクロコンピュータ3は、前記顔検出部21及び顔認識部22が前記特定の被写体を検出すると、前記識別情報記憶部24に記憶された端末装置100のうち該特定の被写体に対応する端末装置100からの遠隔操作のみを受け付ける。すなわち、優先手動撮影モードでは、1台の撮像装置1に対し複数の端末装置100が無線接続されたリモート撮像システムSにおいて、撮像装置1が特定した被写体に応じて、該被写体に紐付された端末装置100に、撮像装置1を各種操作する優先権が与えられる。それにより、撮像装置1の各種操作を実行できる端末装置100が限定されるので、撮像装置1が多くの端末装置に操作されて収集がつかなくなるという事態を防止することができる。
【0119】
また、前記マイクロコンピュータ3は、前記顔検出部21及び顔認識部22が前記特定の被写体を複数検出すると、前記識別情報記憶部24に記憶された端末装置100のうち、検出された前記特定の被写体の中で最も優先順位が高い特定の被写体に対応する端末装置100からの遠隔操作のみを受け付けるように構成されている。これによれば、撮像装置1の各種操作を実行できる端末装置100が1台に限定されるので、撮像装置1の遠隔操作を統一することができる。
【0120】
<11.撮像装置と端末装置との合体>
次に、撮像装置1と端末装置100とを合体させて使用する場合について説明する。図19は、撮像装置1と端末装置100とを合体させて使用する際の外観斜視図である。
【0121】
撮像装置1及び端末装置100のそれぞれの全体構成については、図2,3,6,7で説明したものと同じであるので、同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0122】
例えば、端末装置100の裏面(表示部118と反対側の面)にマグネットを装着する。そして、撮像装置1の裏面(レンズ鏡筒41と反対側の面)と端末装置100の裏面とをマグネットを介して合体させる。端末装置100には、近接センサ17が設けられているので、この近接センサ17がマグネットの磁界を検出することによって、撮像装置1と端末装置100とが合体したことを検知する。さらに、撮像装置1と端末装置100とは、近接させる場合には自動的にP2P接続される。こうして、撮像装置1と端末装置100とで1つの表示装置付き撮像装置200を簡単に構成することがきる。表示装置付き撮像装置200は、端末装置100の操作部131の操作によって撮像装置1を操作することができる。また、撮像装置1のスルー画像及び撮影画像は、通信部15、115を介して端末装置100へ送信され、表示部118に表示されたり、画像記録部112に記録されたりする。
【0123】
以上のように、撮像装置1と端末装置100とを1つの表示装置付き撮像装置200として使用することができる。これにより、通常のデジタルカメラでは必要な操作部、表示装置を撮像装置1から省略する、又は簡素化することができる。そのため、撮像装置1の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、スマートフォンや携帯電話の方が撮像装置1に比べて、画像処理ソフト等を容易にアップロードしたり、変更したりすることができるため、使い勝手を向上させることができる。
【0124】
尚、撮像装置1と端末装置100とは、端末装置100に装着されたマグネットを介して合体させているが、撮像装置1と端末装置100とを合体させる方法はこれに限られるものではない。撮像装置1と端末装置100とをフックやバンド等で合体させるものであってもよい。また、撮像装置1と端末装置100との合体の検知は、撮像装置1に設けられた近接センサ17で行っているが、これに限られるものではない。例えば、端末装置100に近接センサを設けてもよいし、撮像装置1及び端末装置100の両方に近接センサを設けてもよい。さらに、撮像装置1と端末装置100との合体を自動的に検知するのではなく、ユーザが撮像装置1又は端末装置100に合体したことを入力するような構成であってもよい。
《その他の実施形態》
実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0125】
撮像システムSに含まれる端末装置100の個数は、3個に限られるものではなく、任意の個数とすることができる。
【0126】
端末装置100は、スマートフォンを例に説明しているが、それに限られるものではない。端末装置は、携帯電話やタブレットPC等の情報端末であってもよい。固有の識別情報を有し、撮像装置1が認識可能なものであれば、端末装置の種類が限定されるものではない。よって、アクセスポイントなど外部通信機器を経由して接続された、家庭で使用するテレビ又はパソコンなどでもよい。つまり、家庭内のテレビ、パソコンを操作することによって撮像装置1をリモート操作し、撮影画像をテレビ又はパソコンにおいて大画面で観賞することができる。また、撮影画像を処理するアプリケーションソフト等を端末装置に搭載させることによって、アプリケーションソフトのアップグレード等を容易に行うことができるので、システムの利便性を向上させることができる。尚、端末装置にカメラ部を別途設けてあってもよい。
【0127】
また、端末装置100の固有の識別情報は、Wi−Fi(登録商標)のアドレスに限られるものではない。端末装置を識別できる情報であれば、任意の情報を識別情報として採用することができる。例えば、識別情報は、端末装置のメールアドレス、電話番号、さらには、ユーザが設定した任意の文字列等であってもよい。
【0128】
撮像装置1は、デジタルカメラを例にして説明しているが、それに限られるものではない。端末装置と通信可能で、端末装置を識別し、特定の被写体とその端末装置とを紐付けできるものであれば、撮像装置の種類は限定されない。よって、少なくとも光学系、撮像素子、通信部及び記憶部を備えていれば、任意の撮像装置を採用することができる。例えば、撮像装置は、ロボット、Webカメラ又は監視カメラであり得る。撮像装置がロボットの場合は、端末装置の3軸ジャイロセンサ及び3軸加速度センサを用いて、ロボットの駆動をリモート操作できるようにしてもよい。
【0129】
また、画像データは、圧縮した後に端末装置へ送信されているが、非圧縮の画像データを送信してもよい。また、撮影画像は、静止画(連続撮影画像を含む)及び動画のいずれであってもよい。
【0130】
前記撮像装置1は、被写体の顔検出及び特定を行っているが、撮像装置1の代わりに、端末装置100が被写体の顔検出及び特定を行ってもよい。その場合、端末装置100には、前記顔登録データベース23と同様の顔登録データベースが設けられる。かかる構成においては、スルー画像が、一旦、端末装置100へ送信され、端末装置100がスルー画像に基づいて被写体検出及び特定を行う。端末装置100は、被写体の特定を行った結果を識別情報と共に撮像装置1に送信する。撮像装置1は、特定結果に基づいて、前述の露光処理や測距処理を行う。撮影画像も、一旦、端末装置100へ送信され、端末装置100が被写体検出及び特定を行う。端末装置100は、被写体の特定を行った結果を識別情報と共に撮像装置1に送信する。撮像装置1は、特定結果に基づいて、前述の撮影画像の送信や撮影条件の送信を行う。また、画像圧縮部10についても、撮像装置1ではなく、端末装置100に設けてもよい。
【0131】
また、撮影画像は、撮像装置1から各端末装置100へ直接送信されているが、これに限られるものではない。例えば、撮像装置1から特定の端末装置へ撮影画像が送信され、該撮像装置を起点として、撮影画像が他の端末装置へ転送されてもよい。
【0132】
1台の撮像装置1に複数台の端末装置100を無線で接続されているが、複数台の撮像装置1に複数台の端末装置100を無線で接続してもよい。複数台の撮像装置1と接続する場合には、複数台の撮像装置1を同時に制御し、1つの被写体を異なる場所から撮影したり、1つの被写体を時系列的に撮影したりしてもよい。また、端末装置100の個数も3台に限られるものではなく、2台又は4台以上であってもよい。
【0133】
また、各端末装置100に1つの被写体が紐付けられているが、各端末装置100に紐付けられる被写体は複数あってもよい。また、登録する被写体は人物に限られるものではなく、ペット等の動物や車等であってもよい。
【0134】
レンズ鏡筒41の光学系Lは、単焦点又はパンフォーカス等であってもよい。また、撮像装置1は、手振れ補正装置を有していてもよい。また、レンズ鏡筒41は、カメラ本体40に着脱可能なレンズ交換タイプであってもよい。
【0135】
なお、モータ等が内蔵された電動雲台部51については、三脚装置50ではなく、撮像装置1内に内蔵してもよい。また、電動雲台部51は、撮像装置1の顔検出部21、顔認識部22と連動させて、被写体の自動追尾を行う装置であってもよい。
【0136】
なお、シャッタボタン134などの操作部131を表示部118上に設けたが、操作部はメカニカルに操作するボタンとして端末装置100上に設けてもよい。
【0137】
自動撮影モードでは、スルー画像において特定の被写体が検出されると自動的に撮影を行っているが、自動撮影を行うトリガはこれに限られるものではない。例えば、所定の時間間隔で自動撮影を行ってもよいし、被写体が特定の動作を行う等の所定のイベントが発生したときに自動撮影を行ってもよい。その場合には、撮像装置1は、撮影画像の中から特定の被写体を検出し、特定の被写体が検出されると、識別情報テーブル25を参照して対応する端末装置100に該撮影画像を送信する。
【0138】
また、手動撮影モードにおいては、特定の被写体が検出された場合に該特定の被写体に対応する端末装置100の中から優先権を付与する端末装置100が決定されているが、これに限られるものではない。特定の被写体が検出されたか否かにかかわらず、優先権を予め設定しておいてもよい。つまり、撮像装置1には、複数の端末装置100を登録でき、そのとき優先順位も設定することができる。そして、電源がオン状態で且つ撮像装置1と無線接続が確立している端末装置100のうち優先順位が最も高い端末装置100に優先権が付与される。優先権が付与された端末装置100は、対応する特定の被写体が画像に含まれているか否かにかかわらず、撮像装置1を優先的に操作することができる。
【0139】
さらに、手動撮影モードでは、遠隔操作を行った端末装置100以外の端末装置100に撮影画像及び撮影条件が送信されているが、撮影画像が送信されず、撮影条件が送信されてもよい。かかる構成では、撮影条件を受信した端末装置100は、該撮影条件を自身の撮影条件として設定する。これにより、現在の撮影環境における撮影条件を自動的に設定することができる。
【0140】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。前記の具体的な構成は、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0141】
ここに開示された技術は、撮像装置及び撮像システムに好適である。
【符号の説明】
【0142】
1 撮像装置
41 レンズ鏡筒
3 マイクロコンピュータ(制御部)
4 イメージセンサ(撮像部)
5 CCD駆動制御部
6 アナログ信号処理部
7 A/D変換部
8 デジタル信号処理部
9 バッファメモリ
10 画像圧縮部
11 画像記録制御部
12 画像記録部
15 通信部
17 近接センサ
18 地磁気センサ
19 GPSセンサ
20 電源スイッチ
21 顔検出部(検出部)
22 顔認識部(検出部)
23 顔登録データベース
24 識別情報記憶部(記憶部)
25 識別情報テーブル
28 メモリ
31 シャッタ制御部
32 シャッタ駆動モータ
33 シャッタ
34 ズーム制御部
35 ズーム駆動モータ
36 フォーカス制御部
37 フォーカス駆動モータ
50 三脚装置
51 電動雲台部
100 端末装置
103 マイクロコンピュータ
111 画像記録制御部
112 画像記録部
113 リムーバブルメモリ
115 通信部
117 表示制御部
118 表示部
119 タッチパネル
120 電源スイッチ
128 メモリ
130 操作部I/F部
131 操作部
132 MENUボタン
133 SETボタン
134 シャッタボタン
135 撮影モードボタン
136 再生モードボタン
137 ズーム操作ボタン
138 自動/手動切替ボタン
139 端末名表示部
140 撮影条件表示部
145 GPSセンサ
146 地磁気センサ
147 3軸ジャイロセンサ
148 3軸加速度センサ
200 表示装置付き撮像装置
FA,FB 測距枠
A,B,C 被写体
a,b,c ユーザ
L 光学系
L1 ズームレンズ群
L2 フォーカスレンズ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置からの遠隔操作が可能であって画像を該端末装置に送信可能な撮像装置であって、
被写体を撮像する撮像部と、
1又は複数の特定の被写体と、該被写体に対応する端末装置とを記憶する記憶部と、
前記撮像部で撮像した画像の中から前記記憶部に記憶された前記特定の被写体を検出する検出部と、
前記検出部が前記特定の被写体を検出すると、前記記憶部に記憶された端末装置のうち該被写体に対応する端末装置に該特定の被写体が検出されたことを通知する制御部とを備えている撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部が前記特定の被写体を検出すると、前記記憶部に記憶された端末装置のうち該特定の被写体に対応する端末装置からの遠隔操作のみを受け付ける、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出部が前記特定の被写体を複数検出すると、前記記憶部に記憶された端末装置のうち、検出された前記特定の被写体の中で最も優先順位が高い特定の被写体に対応する端末装置からの遠隔操作のみを受け付ける、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
端末装置と、該端末装置からの遠隔操作が可能であって画像を該端末装置に送信可能な撮像装置とを備えた撮像システムであって、
前記撮像装置は、
被写体を撮像する撮像部と、
1又は複数の特定の被写体と、該被写体に対応する端末装置とを記憶する記憶部と、
前記撮像部で撮像した画像の中から前記記憶部に記憶された前記特定の被写体を検出する検出部と、
前記検出部が前記特定の被写体を検出すると、前記記憶部に記憶された端末装置のうち該被写体に対応する端末装置に該特定の被写体が検出されたことを通知する制御部とを有する撮像システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記特定の被写体が検出されたことを該被写体に対応する端末装置に通知するときに、前記画像を該端末装置に送信し、
前記端末装置は、画像を表示する表示部を有し、前記撮像装置からの通知及び画像を受け取ると、該表示部に該画像を表示する、請求項4に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出部が前記特定の被写体を検出すると、前記記憶部に記憶された端末装置のうち該特定の被写体に対応する端末装置からの遠隔操作のみを受け付ける、請求項4又は5に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記検出部が前記特定の被写体を複数検出すると、前記記憶部に記憶された端末装置のうち、検出された前記特定の被写体の中で最も優先順位が高い特定の被写体に対応する端末装置からの遠隔操作のみを受け付ける、請求項6に記載の撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−13063(P2013−13063A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−96977(P2012−96977)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】