説明

撮像装置及び撮像方法

【課題】主被写体と背景との距離差に応じて、適切にストロボ光量及び露出条件を設定できて利便性が優れた撮像装置及び撮像方法を提供することを目的とする。
【解決手段】撮影時の補助光を発光する閃光装置13と入射光量を調節する露出制御部200とを備えた撮像装置1において、撮影画面が複数に画成された撮影画面領域毎に、当撮像装置1から被写体までの距離情報を検出する輝度座標距離情報生成手段26と、撮影画面の明るさに応じて閃光装置13の発光量を設定するプログラム線図を備えた露出プログラム格納部50と、撮影画面領域毎の距離情報の偏差値に対応付けて、プログラム線図における発光量とISO感度との割合を補正する撮影露出生成部42とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像方法に関し、特には、閃光撮影の際に撮影条件に応じて適切な画像が得られるように、露出プログラムに基づいて撮影を行う撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の撮像装置において、被写体の明るさに応じた適切な露出値(EV値)を決定し、その露出値を得るために、シャッター速度(TV値)、絞り値(AV値)、ISO感度(SV値)、等を自動的に制御する自動露出(AE)機能を備えたものが知られている。
【0003】
この際、同一のEV値に対して、TV値とAV値との組み合わせが複数存在し、更には、これらとISO感度との組み合わせが複数存在する。そして、デジタルカメラ等の撮像装置では、これらの組み合わせを示すプログラム線図(露出線図)が撮影モードに対応付けて予め備えられ、このプログラム線図に基づいて、露出制御を行う技術が知られている。
【0004】
また、近年のデジタルカメラでは、ストロボ(ストロボはストロボリサーチ社の商標である)などの閃光装置を備えたものが一般的であって、シャッター速度と絞り値との組み合わせのみで所望の露出が得られない低照度の際には、ストロボ光を発光させて露出を制御する技術も知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
この際、デジタルカメラでは、プレビュー画像から得られる輝度情報を参照して露出調整が行われる。また、本撮影の際にストロボ光が必要な低照度時には、プレビュー用の画像情報を得ることが困難になるため、デジタルカメラに備えられた予備発光装置を用いて、本撮影前に予備発光させてプレビュー画像を取得し、本撮影時の露出を制御する。
【0006】
つまり、撮影の際に、露光のための閃光装置の発光に先立って予備発光を行い、この予備発光による被写体からの反射光を受光して、その受光量に応じてストロボ発光の有無を選択したり露出量を調光したりする技術(所謂、TTL方式の露光制御である)が用いられている(例えば、特許文献3、4参照)。
【0007】
ところで、調光の際に、予備発光で得られた画面全体の受光量を単一的に用い、この受光量に応じて調光すれば、撮像シーンに主たる被写体(以下、主被写体ともいう)の他に背景などの従属的な種々の被写体が含まれるときには、一般的に、調光量が撮影シーンにおける全ての被写体全体の撮影距離と反射率に関連付けられて得られるため、主被写体に対して露出オーバー(露出過大)や露出アンダー(露出過小)になる虞がある。
【0008】
例えば、調光の際に、主被写体と背景との間に距離差がある場合、距離が遠いほどストロボ光が拡散して減衰するので、背景のストロボ反射光が小さく(暗く)、背景に較べて被写体のストロボ反射光が大きく(明るく)なり、撮影の際に、撮像画面全体において主被写体が露出オーバーになる現象が発生する。
【0009】
また、調光の際に、被写体自体の反射率に起因して、適正な発光量に対しての調光誤差が生じる虞がある。例えば、主被写体の背景に白壁や光沢面を有する反射率の高い物体などが存在しているときに、背景からの反射光量を抑制するように調光すると、撮影の主体となる主被主体に対して露出不足になってしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−47417号公報
【特許文献2】特開2007−256907号公報
【特許文献3】特開平6−141230号公報
【特許文献4】特開平6−67256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の露出プログラム線図によれば、プレビュー画像で取得した輝度情報に基づいてAV、TV、SV等の設定座標を備えているが、撮影シーンに応じてストロボの発光量を任意に設定できるようなストロボ座標のプログラム線図を備えていないので、さらに改善の余地があった。また、主被写体と背景との距離差に応じたストロボ制御のプログラム線図を備えていないので、改善の余地があった。
【0012】
例えば、ISO感度を下げてストロボ光を増加すると、主被写体とその背景に距離差が大きい際に、背景に照射されるストロボ光量が激減して背景が極度の暗く写ってしまう虞がある。一方、この現象を回避するために、ストロボ光を抑えてISO感度を上げると、S/N比が悪化するという問題が生じる。
【0013】
そこで、本発明は、主被写体と背景との距離差に応じたストロボ制御のプログラム線図を備え、適切にストロボ光量及び露出条件を設定できると共に、利便性が優れた撮像装置及び撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、撮影時の補助光を発光する閃光装置と入射光量を調節する露出制御部とを備えた撮像装置において、撮影画面が複数に画成された撮影画面領域毎に、当該撮像装置から被写体までの距離情報を検出する距離情報検出手段と、前記撮影画面の明るさに応じて前記閃光装置の発光量を設定する閃光プログラム線図と、前記撮影画面領域毎の距離情報の偏差値に対応付けて、前記閃光プログラム線図における発光量とISO感度の割合とを補正する露出生成手段と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項1に記載の撮像装置によれば、撮影画面の複数に画成された撮影画面領域毎に、撮像装置から被写体までの距離情報を検出する距離情報検出手段と、撮影画面の明るさに応じて、閃光装置の発光量を設定する閃光プログラム線図と、撮影画面領域毎の距離情報の偏差値に対応付けて、閃光プログラム線図における発光量とISO感度の割合とを補正する露出生成手段と、を備えているので、被写体と背景との距離差に応じて、適切にスト発光量及び露出条件を設定できて利便性を向上できる。
【0016】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、当該撮像装置にシャッター及び絞りを備え、前記閃光露出プログラム線図が、前記撮影画面の明るさを表す輝度情報に対応付けて、前記発光量及び前記ISO感度のパラメータと前記露出制御部の露出値とを設定する第1プログラム線図と、前記露出値に対応付けて、シャッター速度と絞り値とを設定する第2プログラム線図と、前記発光量及び前記ISO感度のパラメータに対応付けて、当該撮像装置のISO感度と前記閃光装置の発光量とを設定する第3のプログラム線図と、によって構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の撮像装置によれば、第1プログラム線図によって発光量及びISO感度のパラメータと露出値を設定し、次いで、第2プログラム線図によって露出値に応じたシャッター速度と絞り値とを設定できると共に、第3プログラム線図によってISO感度と閃光装置の発光量とを設定できる。これにより、撮影画面に応じて、シャッター速度、絞り値、閃光装置の発光量等を設定できて利便性を向上できる。
【0018】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の撮像装置において、記露出生成手段が、前記撮影画面領域毎の距離情報の平均値を求めて、該平均値に対する前記撮影画面領域毎の距離情報の差分値の絶対値を求め、該絶対値の合計値を前記撮影領域の数で除算して距離偏差の正規化係数を算出し、該正規化係数に基づいて前記発光量と前記ISO感度の割合とを補正する、ことを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の撮像装置によれば、露出生成手段を介して、撮影画面領域毎の距離偏差の正規化係数に基づいて閃光装置の発光量とISO感度の割合とを補正することにより、主被写体と背景の距離差に基づく適切な発光量とISO感度とを得ることができる。
【0020】
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか記載の撮像装置において、本撮影前に予備発光する予備発光手段を備え、前記距離情報検出手段が、前記撮影画面領域における特定領域に対応する距離情報の基準値を取得する基準距離取得手段と、前記予備発光無しに撮影して得られた前記被写体の画像データに基づいて、所定の画素数を一単位とする複数の第1輝度を、所定の画像領域にわたって離散的に順次生成する第1輝度生成手段と、前記予備発光して撮影して得られた前記被写体の画像データに基づいて、前記第1輝度と対になるように、前記所定の画素数を一単位とする複数の第2輝度を生成する第2輝度生成手段と、前記一単位毎に、前記第2輝度から前記第1輝度を減算して、前記予備発光分の輝度成分を算出する輝度差算出手段と、前記一単位毎に、前記第1輝度と、前記輝度差算出手順で算出された照射光の輝度成分とを、夫々、所定の目標輝度と比較して距離情報のパラメータに変換し、第1及び第2のパラメータを生成するパラメータ生成手段と、前記第1及び第2のパラメータと、第2輝度生成手順における前記予備発光の際の露出値とに基づいて、前記一単位毎に、第1の被写体距離情報を生成する第1距離情報生成手段と、前記特定領域に位置する前記第1の被写体距離情報に対して、前記被写体距離情報の基準値の差分を算出する補正値算出手段と、前記一単位毎に、前記補正値算出手順で生成された補正値を用いて、前記第1の被写体距離情報を補正し、第2の被写体距離情報を生成する第2距離情報生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の撮像装置によれば、まず、撮影画面領域における特定領域に対応する被写体距離情報の基準値を取得し、次いで、閃光装置の発光無しに撮影して得られた被写体の画像データに基づいて、所定の画素数を一単位とする複数の第1輝度を、所定の画像領域にわたって離散的に順次生成し、次いで、閃光装置を予備発光して得られた被写体の画像データに基づいて、第1輝度と対になるように、複数の第2輝度を生成し、次いで、一単位毎に、第2の輝度から第1の輝度を減算することにより、閃光装置の照射光の輝度成分を算出する。
【0022】
次いで、一単位毎に、第1輝度と、輝度差算出手順で算出された照射光の輝度成分とを、夫々、所定の目標輝度と比較して距離情報のパラメータに変換し、第1及び第2のパラメータを生成し、次いで、第1及び第2のパラメータと、閃光装置発光の際の露出値とに基づいて、一単位毎に、第1の被写体距離情報を生成する。
【0023】
次いで、特定領域に位置する第1の被写体距離情報に対して、被写体距離情報の基準値の差分を算出して、この算出された差分を用いて第1の被写体距離情報を補正し、第2の被写体距離情報を生成する。これにより、撮影画面全体に離散的に複数生成された第1、第2輝度の座標に対応付けて、夫々、被写体距離情報(第2の被被写体距離情報である)を測定できる。
【0024】
次に、請求項5に記載の発明は、撮影時の補助光を発光する閃光装置と入射光量を調節する露出制御部とを備えた撮像装置の撮像方法において、撮影画面が複数に画成された撮影画面領域毎に、当該撮像装置から被写体までの距離情報を検出する距離情報検出手順と、前記撮影画面の明るさに応じて、前記閃光装置の発光量を設定する閃光プログラム線図を用いて該閃光装置の発光量を設定する手順と、前記撮影画面領域毎の距離情報の偏差値に対応付けて、前記閃光プログラム線図における発光量とISO感度との割合とを補正する露出生成手順と、を用いることを特徴とする。
【0025】
請求項5に記載の撮像方法によれば、撮影画面が複数に画成された撮影画面領域毎に、当該撮像装置から被写体までの距離情報を検出する距離情報検出手順と、前記撮影画面の明るさに応じて、前記閃光装置の発光量を設定する閃光プログラム線図を用いて該閃光装置の発光量を設定する手順と、前記撮影画面領域毎の距離情報の偏差値に対応付けて、前記閃光プログラム線図における発光量とISO感度との割合とを補正する露出生成手順とを用いているので、請求項1に記載の発明と同様に、被写体と背景との距離差に応じて、適切に発光量及び露出条件を設定できて利便性を向上できる。
【0026】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の撮像方法において、当該撮像装置にシャッター及び絞りを備え、前記閃光露出プログラム線図として、前記撮影画面の明るさを表す輝度情報に対応付けて、前記発光量及び前記ISO感度のパラメータと前記露出制御部の露出値とを設定する第1プログラム線図と、前記露出値に対応付けて、シャッター速度と絞り値とを設定する第2のプログラム線図と、前記発光量及び前記ISO感度のパラメータに対応付けて、前記撮像装置のISO感度と前記閃光装置の発光量とを設定する第3のプログラム線図と、を用いることを特徴とする。
【0027】
請求項6に記載の撮像方法によれば、閃光露出プログラム線図として、画面の明るさを表す輝度情報に対応付けて、閃光装置の発光量及びISO感度のパラメータと露出制御部の露出値とを設定する第1プログラム線図と、露出値に対応付けて、シャッター速度と絞り値とを設定する第2のプログラム線図と、前記発光量及び前記ISO感度のパラメータに対応付けて、撮像装置のISO感度と閃光装置の発光量とを設定する第3のプログラム線図と、を用いているので、請求項2に記載の発明と同様に、撮影画面に応じて、シャッター速度、絞り値、ISO感度、閃光装置の発光量等を設定できて高品位な画像を得ることができて利便性を向上できる。
【0028】
次に、請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の撮像方法において、前記露出生成手順が、前記撮影領域毎の距離情報の平均値を求めて、該平均値に対する前記撮影領域毎の距離情報の差分値の絶対値を求め、該絶対値の合計値を前記撮影領域の数で除算して距離偏差の正規化係数を算出し、該正規化係数に基づいて前記発光量を補正することを特徴とする。
【0029】
請求項7に記載の撮像方法によれば、露出生成手順において、撮影画面領域毎の距離偏差の正規化係数に基づいて閃光装置の発光量を補正できるので、請求項3に記載の発明と同様に、主被写体と背景の距離差に基づく適切な発光量とISO感度を得ることができる。
【0030】
次に、請求項8に記載の発明は、請求項5乃至請求項7の何れか記載の撮像方法において、本撮影の前に予備発光する予備発光手順を備え、前記距離情報検出手順が、撮像領域における特定領域に対応する距離情報の基準値を取得する基準距離取得手順と、前記予備発光無しに撮影して得られた前記被写体の画像データに基づいて、所定の画素数を一単位とする複数の第1輝度を、所定の画像領域にわたって離散的に順次生成する第1輝度生成手順と、前記予備発光して撮影して得られた前記被写体の画像データに基づいて、前記第1輝度と対になるように、前記所定の画素数を一単位とする複数の第2輝度を生成する第2輝度生成手順と、前記一単位毎に、前記第2輝度から前記第1輝度を減算して、前記予備発光分の輝度成分を算出する輝度差算出手順と、前記一単位毎に、前記第1輝度と、前記輝度差算出手順で算出された照射光の輝度成分とを、夫々、所定の目標輝度と比較して距離情報のパラメータに変換し、第1及び第2のパラメータを生成するパラメータ生成手順と、前記第1及び第2のパラメータと、第2輝度生成手順における前記予備発光の際の露出値とに基づいて、前記一単位毎に、第1の被写体距離情報を生成する第1距離情報生成手順と、前記特定領域に位置する前記第1の被写体距離情報に対して、前記被写体距離情報の基準値の差分を算出する補正値算出手順と、前記一単位毎に、前記補正値算出手順で生成された補正値を用いて、前記第1の被写体距離情報を補正し、第2の被写体距離情報を生成する第2距離情報生成手順と、を用いることを特徴とする。
【0031】
請求項8に記載の撮像方法によれば、請求項4に記載の発明と同様に、撮影画面全体に離散的に複数生成された第1、第2輝度の座標に対応付けて、夫々、被写体距離情報(第2の被被写体距離情報である)を測定できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の撮像装置及び撮像方法は、撮影画面の複数に画成された撮影画面領域毎に、撮像装置から被写体までの距離情報を検出し、次いで、撮影画面の明るさに応じて、閃光装置の発光量を設定する閃光プログラム線図を用いて閃光装置の発光量を設定し、次いで、撮影画面領域毎の距離情報の偏差値に対応付けて、閃光プログラム線図における発光量とISO感度の割合を補正することにより、被写体と背景との距離差に応じて、適切にストロボ光量及び露出条件を設定できて利便性を向上できる。
【0033】
また、本発明の撮像装置及び撮像方法は、第1プログラム線図によって発光量及びISO感度のパラメータと露出値を設定し、次いで、第2プログラム線図によって露出値に応じたシャッター速度と絞り値とを設定できると共に、第3プログラム線図によってISO感度と閃光装置の発光量とを設定できる。これにより、撮影画面に応じて、シャッター速度、絞り値、ISO感度、閃光装置の発光量等を設定できて利便性を向上できる。
【0034】
また、本発明の撮像装置及び撮像方法は、撮影画面領域毎の距離偏差の正規化係数に基づいて閃光装置の発光量とISO感度の割合を補正することにより、主被写体と背景の距離差に基づく適切な発光量とISO感度を得ることができる。
【0035】
また、本発明の撮像装置及び撮像方法は、予備発光有無の画像データを取得して、撮影画面全体に離散的に複数生成された輝度の座標に対応付けて、被写体距離情報を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例の、撮像装置の構成を表したブロック図である。
【図2】同実施例の撮像装置における、被写体距離情報生成の説明図である。
【図3】同実施例の撮像装置における、閃光プログラム線図である。
【図4】同実施例の撮像装置における、距離情報の偏差に基づいて閃光プログラム線図上の発光量を補正する際の説明図である。
【図5】同実施例の撮像装置における、閃光プログラム線図を作成する際の説明図であって、(a)が、予め設定されるパラメータを表した図、(b)が、第1プログラム線図の範囲設定の説明図、(c)が、第2プログラム線図の範囲設定の説明図である。
【図6】同実施例における、閃光プログラム線図を作成する際の説明図であって、(d)が、第3プログラム線図の範囲設定の説明図、(e)が、第1〜第3プログラム線図に制御座標を加えた図である。
【図7】本実施例の撮像方法の処理手順を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1に表したように、撮像装置1は、被写体(撮像信号S)を撮影してデジタル画像信号を出力する撮像部100と、撮像部100から入力したデジタル画像信号を用いて入射光量及び閃光装置13の発光量を調節する露出制御部200と、露出制御のための露出プログラム格納部50と、を備えている。また、露出制御部200には、撮影画面の領域毎の距離情報を検出する距離情報検出手段としての機能が備えられている。
【0038】
撮像部100には、被写体光を撮像部100内に導く前部レンズ2、Iris(絞り)3、フォーカスレンズ5、シャッター6、有害な赤外線や反射光などを除去するフィルタ(赤外線除去フィルタや光学フィルタである)7、撮像素子(CCD:Charge Coupled Devices)8、撮像素子8から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換して出力するAFE(Analog Front End)9、Iris3の駆動を行うIris駆動部15、センサ16aを介してIris3の駆動量を検出する検出部16、フォーカスレンズ5の光軸方向のスライド駆動を行うフォーカス駆動部17、センサ18aを介してフォーカスレンズ5のスライド量を検出する検出部18、撮像素子8及びAFE9を所定の周期で制御するTG(Timing Generator)19、等が備えられている。
【0039】
また、撮像部100には、被写体に所定の光量を照射する閃光装置(例えば、ストロボである)13、撮像領域の特定領域に対応付けて撮像部100から被写体までの距離を検出する基準距離検出手段14、等が備えられている。そして、撮像装置1は、被写体を撮影する前に、まず、閃光装置13を用いて被写体に向けて予備発光し、露出制御装置200を介して、被写体までの距離と閃光装置13の照射光に対する被写体の反射率を測定し、これらの測定結果に基づいて本撮影のときの露光量を設定するように構成されている。
【0040】
撮像素子8は、複数の光電変換素子がマトリクス状に並設され、夫々の光電変換素子毎に撮像信号Sを光電変換してアナログ画像信号を出力するように構成されている。
【0041】
AFE9は、撮像素子8を介して出力されたアナログ画像信号に対してノイズを除去する相関二重サンプリング回路(CDS:Corelated Double Sampling)10、相関二重サンプリング回路10で相関二重サンプリングされた画像信号を増幅してISO感度(SV)を可変する可変利得増幅器(AGC:Automatic Gain Control)11、可変利得増幅器11を介して入力された撮像素子8からのアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するA/D変換器12、等によって構成され、撮像素子8から出力された画像信号を、所定のサンプリング周波数でデジタル画像信号(以下、画素信号ともいう)に変換し、露出制御装置200に出力する。
【0042】
基準距離検出手段14は、画像領域の特定領域(本実施例では、図2(a)中のBの位置であって画面中央に位置する)において適切な合焦度が得られた際のフォーカスレンズ5の位置情報に対応付けて、フォーカスレンズ5から被写体までの基準距離(所謂、本発明における被写体距離情報の基準値である)DV(base)を検出するように構成されている。本実施例では、DV(base)は、距離1mを基準としたAPEX値であって、実際の距離Lを、DV(base)=LOG(距離L/1m)の演算式を用いてAPEX値に変換している。
【0043】
基準距離検出手段14は、フォーカスレンズ5の位置情報に代えて、特定領域に対応する被写体からの反射光に基づいて、三角測量の原理等を用い、被写体までの基準距離を検出するように構成してもよい。なお、本実施例では、被写体までの基準距離を検出する際の特定領域を画面中央の位置(図2(a)中のBの位置)として説明するが、例えば、図2(a)中のAの位置やCの位置など、撮影条件に応じて他の位置を選択できるようにしてもよい。
【0044】
なお、撮像部100は、撮像素子8、相関二重サンプリング回路10、可変利得増幅器11、A/D変換器12等に代えて、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを用いて構成してもよい。
【0045】
次に、露出制御装置200は、撮像部100から入力されたデジタル画像信号に基づいて所定の画素数を一単位とする輝度信号を生成する輝度信号生成手段21、輝度信号生成手段21で生成された輝度信号を予備発光有無に対応付けて格納する輝度バッファ22、予備発光有無の輝度信号から閃光装置13のみの輝度信号を算出するストロボ光輝度算出手段25、輝度座標毎に被写体距離情報を生成する輝度座標距離情報生成手段26、輝度座標毎に被写体の反射率を算出する反射率算出手段32、輝度座標距離情報生成手段26で生成された輝度座標毎の被写体距離情報及び反射率算出手段32で算出された輝度座標毎の反射率等を記録する記録手段33、撮影の際の露出条件を設定する撮影露出設定部42、CPU(Central Processing Unit)40、ROM(Read Only Memory)41等によって構成され、CPU40がROM41に格納された制御用プログラムに従って、当該露出制御装置200の各処理を制御する。
【0046】
輝度生成手段21は、AFE9から出力されたデジタル画像信号を走査して、水平方向2画素、垂直方向2画素の4つの画素信号を一単位として輝度信号を生成する。これにより、撮像領域において、マトリクス状に複数の輝度信号が生成され、夫々の輝度信号が前記一単位の輝度座標(例えば、4画素の中心座標である)に対応付けられて輝度バッファ22に格納される。なお、輝度信号を生成する際の一単位については、水平2画素、垂直2画素に限定されるものでなく、撮像領域においてマトリクス状に輝度信号を生成できるように設定すればよい。
【0047】
輝度バッファ22は、閃光装置13の予備発光有無に対応付けられ、輝度座標毎に、予備発光無しに撮影して得られた輝度信号(Ya(h,v))を格納する第1輝度バッファ23と、予備発光して撮影して得られた輝度信号(Yc(h,v))を格納する第2輝度バッファ24とによって構成されている。
【0048】
ストロボ光輝度算出手段25は、(式1)を用いて、輝度座標毎に、第2輝度バッファ24に格納された輝度信号(Yc(h,v))から第1輝度バッファ23に格納された輝度信号(Ya(h,v))を減算して予備発光の際のストロボ光のみの輝度成分(Yb(h,v))を算出する。
(式1) Yb(h,v)=Yc(h,v)−Ya(h,v)
なお、(式1)におけるYa、Yb、Ycの添え字(h,v)は、撮像領域の水平方向及び垂直方向における輝度座標を表している。
【0049】
次に、輝度座標距離情報生成手段26には、輝度座標毎に、(式2)を用いて、第1輝度バッファ23に格納されている輝度信号Yaと予め定められた所定の輝度信号Ytとの比に基づいて、距離情報の第1パラメータMVaを算出する第1パラメータ算出部27と、(式3)を用いて、ストロボ光輝度算出部25で算出されたストロボ光輝度Ybと所定の輝度信号Ytとの比に基づいて、距離情報の第2パラメータMVbを算出する第2パラメータ算出部28と、が備えられている。
(式2) MVa(h,v)=LOG(Ya(h,v)/Yt)
(式3) MVb(h,v)=LOG(Yb(h,v)/Yt)
【0050】
また、輝度座標距離情報生成手段26には、輝度座標毎に、第1のパラメータMVa、第2のパラメータMVb、予備発光の際の露出条件等から、図2(b)に表したように、輝度座標毎に第1の被写体距離情報(DX(h,v))を算出する第1距離情報算出部29、図2(c)に表したように、特定領域Bにおいて第1の被写体距離情報に対する被写体距離の基準値(DV(base))の差分OFFSETを算出する補正値算出部30、図2(d)に表したように、補正値算出部30で算出された補正値OFFSETを用いて第1の被写体距離情報(DX(h,v))を補正し、第2の被写体距離情報(DV(h,v))を算出する第2距離情報算出部31、等が備えられている。
【0051】
詳しくは、第1距離情報算出部29が、(式4)を用いて、輝度座標毎に第1の被写体距離情報(DX(h,v))を算出する。
(式4) (DX(h,v))=(MVa(h,v)−MVb(h,v))/2−(5−TV−GV)/2
【0052】
(式4)において、右辺の項における(5−TV−GV)は、予備発光の露出条件を表すパラメータ群であって、TVがシャッター速度のAPEX値、GVが閃光装置13の予備発光のガイドナンバーのAPEX値、数値5がガイドナンバーGVをISO100基準に補正する数値である。
【0053】
また、補正値算出部30が、(式5)を用いて補正値(OFFSET)を算出し、第2距離情報算出部31が、(式6)を用いて、輝度座標毎に第2の被写体距離情報(DV(h,v))を算出する。
(式5) OFFSET=DX(base)−DV(base)
(式6) (DV(h,v))=DX(h,v))−OFFSET
【0054】
次に、被写体距離情報測定部200には、輝度座標距離情報生成手段26で算出された第2パラメータ(MVb)、第2の被写体距離情報(DV(h,v))、予備発光の露出条件等に基づいて、輝度座標毎に被写体の反射率を算出する反射率算出手段32、輝度座標距離情報生成手段26で算出された第2被写体距離情報(DV(h,v))や反射率算出手段32で算出された反射率(RV(h,v))等を記録する記録手段33等が備えられている。なお、本発明における撮影画面領域毎の距離情報は、被写体距離の基準値DV(base)及び第2被写体距離情報DV(h,v)等によってその機能が発現される。
【0055】
詳しくは、反射率算出手段32は、(式7)を用いて、図2(e)に表したように、輝度座標毎に被写体の反射率(RV(h,v))を算出する。
(式7) (RV(h,v))=MVb(h,v)+2*DV(h,v)−(GV−AV−5+SV)
(式7)において、右辺の項における(GV−AV−5+SV)は、予備発光の露出条件を表すパラメータ群であって、GVが閃光装置13の予備発光のガイドナンバーのAPEX値、AVがIris(絞り)3のFナンバーのAPEX値、数値5がガイドナンバーGVをISO100に対応付けた補正値、SVがISO感度のAPEX値である。
【0056】
次に、撮像装置1は、CPU40がROM41と協働し、被写体距離情報生成手段26で測定された第2の被写体距離情報DV(h,v)及び反射率算出手段32で算出された反射率情報(RV(h,v))に応じて、被写体を撮影する際の露光量を制御する露光制御装置の機能を備えている。
【0057】
詳しくは、CPU40が、被写体情報の測定結果を用いて、撮像領域内において主たる被写体部の反射率を露光制御の基準となる基準反射率と比較し、両者の差分を打ち消すように反射率の補正値を求めて露光量を制御したり、主たる被写体部に重みを付けて露光量を制御したりする。
【0058】
また、露出制御装置200には、輝度座標距離情報生成手段26で測定された第2の被写体距離情報DV(h,v)及び反射率算出手段32で算出された反射率情報RV(h,v)を、輝度座標(撮影される画像の座標位置でもある)に対応つけて表示する被写体測定情報表示装置(図示せず)が備えられている。
【0059】
そして、露出制御装置200は、ユーザが、撮影する際に第2の被写体距離情報及DV(h,v)び反射率RV(h,v)を参照し、図示しないインタフェースを介して、主たる被写体部を選択できるように構成されている。
【0060】
次に、撮影露出設定部42は、輝度座標距離情報生成手段26で生成された撮影領域毎の距離情報DV(h,v)と露出プログラム格納部42とを用い、閃光装置13の発光量(GV)、シャッタースピード(TV)、絞り値(AV)等、ISO感度(SV)等を設定する。
【0061】
撮影露出設定部42は、第1露出生成部42aと第2露出生成部42bとによって構成されている。
【0062】
第1露出生成部42aは、露出プログラム格納部50に備えられたプログラム線図50a〜50cを用いて、本撮影の際のシャッター速度(TV)、絞り値(AV)、ISO感度(SV)、及び、該プログラム線図上に対応する閃光装置の発光期待値(LV)等を設定する。さらに、第1露出生成部42aは、撮像画面における撮像領域の距離偏差に基づいて、プログラム線図上におけるISO感度(SV)と閃光装置の発光期待値(LV)との割合を補正する。
【0063】
露出プログラム格納部50には、第1プログラム線図50a、第2プログラム線図50b、第3プログラム線図50c等が格納されている。
【0064】
第1プログラム線図50aは、図3(a)に表したように、撮影画面の明るさを表す輝度(BV)に対応付けて、閃光装置13の発光期待値及び撮像素子3のISO感度のパラメータ(CV)と、露出値(EV)とが設定されている。第1プログラムでは、例えば、BVが−7の際に、EV7、CV14に設定される。
【0065】
第2プログラム線図50bは、図3(b)に表したように、露出値(EV)に対応付けて、シャッター6の速度(TV)とIris3の絞り値(AV)とが設定されている。第2プログラム線図では、例えば、EV7の際に、TV5、AV2に設定される。
【0066】
第3プログラム線図50cは、図3に表したように、閃光装置13の発光期待値及び撮像素子3のISO感度のパラメータ(CV)に対応付けて、撮像装置1のISO感度(SV)と閃光装置の発光期待値(LV)とが設定されている。第3プログラム線図50cでは、例えば、CV14の際に、SV5、LV9に設定される。第3プログラム線図50cでは、CVが5〜10の範囲で、ストロボ優先(LV優先)とISO感度優先(SV優先)とを選択できるように構成されている。
【0067】
また、図4に表したように、撮像領域毎の距離情報の偏差値Pdに対応付けて、ISO感度(SV)と閃光装置の発光期待値(LV)との割合が補正される。
【0068】
詳しくは、(式8)を用いて、撮影画面領域毎の距離情報の平均値(DVave)を求めて、次いで、この平均値(DVave)に対する撮影領域毎の距離情報の差分値の絶対値を求め、次いで、この絶対値の合計値を撮像領域の数(N)で除算して正規化係数Pdを算出し、この正規化係数Pdに基づいて、第3プログラム線図におけるISO感度(SV)と閃光装置の発光期待値(LV)との割合を補正する。
(式8) Pd=((SUM|DV(h,v)−DVave|)/N)/Md
(式8)において、Mdは、正規化のための最大偏差係数であって、正規化係数Pdが最大1になるように設定される。また、(式8)におけるSUMは、合計値を求める演算記号である。
【0069】
そして、図4に表したように、例えば、補正前の座標がPであって算出された正規化係数がPdの際に、CV線に沿ってPdの分だけ座標をシフトさせ、P1の座標が補正後の座標となる。この際、P〜Pまでの値を1(最大偏差係数である)とする。これにより、撮影画面における距離の偏差が大きいほど、閃光装置13の発光を抑えてISO感度を上げるように補正される。なお、本発明における閃光プログラム線図は、第1プログラム線図50a、第2プログラム線図50b、第3プログラム線図50c等によってその機能が発現される。また、本発明における露出生成手段は、撮影露出設定部42によってその機能が発現される。
【0070】
次に、第2露出生成部42bは、(式9)を用いて、反射率算出手段で算出された反射率(RVB)に応じて発光量を補正すると共に、第1露出生成部42aで補正されたP1の座標に対応付けて、閃光装置13の発光量GVsを算出する。つまり、第1露出生成部42aで設定されたLVsがSVと同一の空間座標における数値なので、これを閃光装置13のガイドナンバーに対応付けた発光値GVsに変換する。
(式9)
GVs=LOG((2^(RVB+GVp+AVs−AVp+SVp−SVs)−2^(MV0+GVp+TVp−TVs))/(2^MV1−2^MV1−2^MV0))
【0071】
(式9)において、RVBは反射率算出手段32で算出された被写体の反射率に基づく反射率の補正値、GVpは予備発光の際の閃光装置13のガイドナンバーのAPEX値である。GV、AV、SVに付与した添え字pが予備発光時に対応し、添え字sは本撮影時に対応する。また、MV0が予備発光なしの際の輝度の評価値、MV1が予備発光有りの際の輝度の評価値であって、LOG(評価輝度値/目標輝度値)で算出される。
【0072】
次に、図5、図6に基づいて、第1プログラム線図50a、第2プログラム線図50b、第3プログラム線図50cの作成手順について説明する。
【0073】
まず、図5(a)に表したように、予め、露出制御の範囲が定められている。AVの範囲がa〜b、TVの範囲がc〜d、EVの範囲が(a+c)〜(b+d)である。また、SVの範囲がe〜f、LVの範囲がg〜h、CVの範囲が(e+g)〜I、BVの範囲が((a+c)−I)〜((b+d)−(e+g))である。
【0074】
次に、図5(a)に定められた条件に対応付けて、図5(b)に表したようにBV線図にBVの範囲においてEV線とCV線を描き、図5(c)に表したようにEV線図にEVの範囲おいてTV線とAV線を描き、CV線図にCVの範囲においてSV線とLV線を描く。
【0075】
次に、図6(d)に表したようにEV線図にAV及びTVの詳細な座標を入力し、CV線図にSV、LVの詳細な座標を入力する。また、図6(e)に表したようにBV線図にEV、CVの詳細な座標を入力する。
【0076】
次に、図7に基づいて、撮像装置1における被写体情報測定方法の手順を説明する。この手順は、CPU40がROM41に格納されたプログラムに基づいて、各機能部に指令信号を与えて実行する。また、図7におけるSは、ステップを表している。
【0077】
まず、この手順は、ユーザによって露出制御装置200に起動信号が入力された際にスタートする。
【0078】
次いで、図7に表したように、S100において、以前に演算された情報を初期化し、その後、S110に移る。
【0079】
次いで、S110において、撮影条件に応じて、閃光装置13の予備発光の露出条件を設定し、その後、S120に移る。
【0080】
次いで、S120において、基準距離検出手段14を用いて、撮影の際の特定領域の距離情報(DV(base))を取得し、その後、S130に移る。
【0081】
次いで、S130において、閃光装置14の予備発光無しに被写体を撮影し、その後、S140に移る。
【0082】
次いで、S140において、輝度信号生成手段21を用いて、隣接する水平2画素及び垂直2画素の4画素を一単位とする第1輝度信号(Ya(h,v))を生成し、これを4画素の中心に位置する輝度座標に対応付けて第1輝度バッファ23に保存し、その後、S150に移る。
【0083】
次いで、S150において、S110で設定された露出条件によって、閃光装置13を被写体に向けて発光(予備発光)して被写体を撮影し、その後、S160に移る。
【0084】
次いで、S160において、輝度信号生成手段21を用いて、隣接する水平2画素及び垂直2画素の4画素を一単位とする第2輝度信号(Yc(h,v))を生成し、これを4画素の中心に位置する輝度座標に対応付けて第2輝度バッファ24に保存し、その後、S170に移る。
【0085】
次いで、S170において、ストロボ光輝度算出手段25を用いて、輝度座標毎に、S160で生成した第2輝度信号(Yc(h,v))からS140で生成した第1輝度信号(Ya(h,v))を減算して、予備発光の際のストロボ光のみの輝度成分(Yb(h,v))を算出し、その後、S180に移る。
【0086】
次いで、S180において、第1パラメータ算出部27を用いて、第1輝度信号Yaを距離情報の第1のパラメータ(MVa)に変換すると共に、第2パラメータ算出部28を用いて、ストロボ光のみの輝度成分Ybを距離情報の第2のパラメータ(MVb)に変換し、その後、S190に移る。
【0087】
次いで、S190において、第1距離情報算出部29を用いて、第1、第2のパラメータ、S110において設定した予備発光の露出値にもとづき、輝度座標毎に第1の被写体距離情報(DX(h,v))を算出し、その後、S200に移る。
【0088】
次いで、S200において、補正値算出部30を用いて、S120の特定領域における、距離情報の基準値と第1の被写体距離情報との差分(OFFSET)を算出して、第1の被写体距離情報の補正値を求め、その後、S210に移る。
【0089】
次いで、S210において、第2距離情報算出部31を用いて、S190で算出した第1の被写体距離情報からS200で算出した補正値(OFFSET)を減算して、輝度座標毎に第2の被写体距離情報(DV(h,v))を算出し、その後、S220に移る。
【0090】
次いで、S220において、反射率算出手段32を用いて、S110で設定した予備発光の露出値、S180で算出した第2のパラメータ、S210で算出した第2の被写体距離情報(DV(h,v))等、にもとづき、輝度座標毎に反射率情報(RV(h,v))を算出し、その後、S230に移る。
【0091】
次いで、S230において、記録手段33を用いて、第2の被写体距離情報(DV(h,v))及び反射率情報(RV(h,v))等を記録し、その後、S240に移る。
【0092】
次いで、S240において、第1露出生成部42aを用いて、撮影画面における距離偏差の正規化係数Pdを算出し、その後、S250に移る。
【0093】
次いで、S250において、反射率算出手段32で算出された反射率を用いて、反射率の補正値RVBを生成し、その後、S260に移る。
【0094】
その後、S260において、本撮影前のプレビュー画面の露出情報に基づいて、現在の明るさ情報のBV座標を算出し、その後、S270に移る。
【0095】
その後、S270において、第1露出生成部42a及び露出プログラム格納部50に備えられたプログラム線図を用いて、本撮影の際のシャッター速度(TV)、絞り値(AV)、ISO感度(SV)、及び、該プログラム線図上に対応する閃光装置の発光期待値(LV)等を設定し、さらに、距離偏差Pdに基づいて、プログラム線図上におけるISO感度(SV)と閃光装置の発光期待値(LV)との割合を補正し、その後、S280に移る。
【0096】
次いで、S280において、第2露出生成部42bを用いて、反射率補正値(RVB)に応じて発光量を補正すると共に、第1露出生成部42aで補正された発光期待値LVに対応付けて、閃光装置13の発光量GVsを算出し、本撮影の撮影条件とするGVs、TVs、AVs、SVsを設定する。
【0097】
次いで、S290において、オペレータからの指令信号に応じて、S280で設定された撮影条件に合わせて撮影し、本手順を終了する。
【0098】
以上のように、本実施例に記載の撮像装置1及び撮像方法は、撮影画面の複数に画成された撮影画面領域毎に、撮像装置1から被写体までの距離情報DV(h,V)を検出し、次いで、撮影画面の明るさに応じて、閃光装置13の発光量を設定する閃光プログラム線図50a〜50cを用いて閃光装置13の発光期待値(LV)を設定し、次いで、撮影画面領域毎の距離情報の偏差値Pdに対応付けて、閃光プログラム線図における発光期待値(LV)とISO感度(Sv)の割合を補正することにより、被写体と背景との距離差に応じて、適切に閃光装置13の光量及び露出条件を設定できて利便性を向上できる。
【0099】
また、本実施例の撮像装置1及び撮像方法は、第1プログラム線図50aによって発光量及びISO感度のパラメータ(CV)と露出値(EV)を設定し、次いで、第2プログラム線図50bによって露出値(EV)に応じたシャッター速度(TV)と絞り値(AV)とを設定し、第3プログラム線図50cによってISO感度(SV)と閃光装置の発光期待値(LV)とを設定できる。これにより、撮影画面に応じて、撮影の際のシャッター速度TV、絞り値AV、ISO感度SV、閃光装置13の発光量GV等を設定できて利便性を向上できる。
【0100】
また、本発明の撮像装置1及び撮像方法は、予備発光有無の画像データを取得して、撮影画面全体に離散的に複数生成された輝度の座標に対応付けて、被写体距離情報DV(h,v)を測定できる。
【0101】
また、本実施例に記載の撮像装置1及び撮像方法は、輝度座標毎の第2の被写体距離情報DV(h,v)に基づいて画成された画像領域同士の、相対的位置の差分を検出し、第2の被写体距離情報DV(h,v)によって区分された被写体部同士の相対的位置関係に係る情報に応じた調光が可能になり、一層、利便性を向上できる。
【0102】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものでなく、各種の態様をとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明に係る撮像装置1及び撮像方法は、暗所で撮影する際の補助光としての閃光装置を備えた撮影に利用できる。
【符号の説明】
【0104】
1…撮像装置、2…前部レンズ、3…Iris(絞り)、5…フォーカスレンズ、6…シャッター、7…フィルタ、8…撮像素子(CCD:Charge Coupled Devices)9…AFE(Analog Front End)、10…相関二重サンプリング回路(CDS:Corelated Double Sampling)、11…可変利得増幅器(AGC:Automatic Gain Control)、12…A/D変換器、13…閃光装置(例えば、ストロボである)、14…基準距離検出手段、15…Iris駆動部、16…検出部、16a…センサ、17…フォーカス駆動部、18…検出部、18a…センサ、19…TG(Timing Generator)、21…輝度信号生成手段、22…輝度バッファ、23…第1輝度バッファ、24…第2輝度バッファ、25…ストロボ光輝度算出手段、26…輝度座標距離情報生成手段、27…第1パラメータ算出部、28…第2パラメータ算出部、29…第1距離情報算出部、30…補正値算出部、31…第2距離情報算出部、32…反射率算出手段、33…記録手段、40…CPU(Central Processing Unit)、41…ROM(Read Only Memory)、42…撮影露出設定部、42a…第1露出生成部、42b…第2露出生成部、50…露出プログラム格納部、50a…第1プログラム線図、50b…第2プログラム線図、50c…第3プログラム線図、100…撮像部、200…露出制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影時の補助光を発光する閃光装置と入射光量を調節する露出制御部とを備えた撮像装置において、
撮影画面が複数に画成された撮影画面領域毎に、当該撮像装置から被写体までの距離情報を検出する距離情報検出手段と、
前記撮影画面の明るさに応じて前記閃光装置の発光量を設定する閃光プログラム線図と、
前記撮影画面領域毎の距離情報の偏差値に対応付けて、前記閃光プログラム線図における発光量とISO感度との割合を補正する露出生成手段と、
を備えていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
当該撮像装置にシャッター及び絞りを備え、
前記閃光露出プログラム線図が、
前記画面の明るさを表す輝度情報に対応付けて、前記発光量及び前記ISO感度のパラメータと前記露出制御部の露出値とを設定する第1プログラム線図と、
前記露出値に対応付けて、シャッター速度と絞り値とを設定する第2プログラム線図と、
前記発光量及び前記ISO感度のパラメータに対応付けて、当該撮像装置のISO感度と前記閃光装置の発光量とを設定する第3のプログラム線図と、
によって構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記露出生成手段が、
前記撮影画面領域毎の距離情報の平均値を求めて、該平均値に対する前記撮影画面領域毎の距離情報の差分値の絶対値を求め、該絶対値の合計値を前記撮影領域の数で除算して距離偏差の正規化係数を算出し、該正規化係数に基づいて前記発光量と前記ISO感度との割合を補正する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
本撮影前に予備発光する予備発光手段を備え、
前記距離情報検出手段が、
前記撮影画面領域における特定領域に対応する距離情報の基準値を取得する基準距離取得手段と、
前記予備発光無しに撮影して得られた前記被写体の画像データに基づいて、所定の画素数を一単位とする複数の第1輝度を、所定の画像領域にわたって離散的に順次生成する第1輝度生成手段と、
前記予備発光して撮影して得られた前記被写体の画像データに基づいて、前記第1輝度と対になるように、前記所定の画素数を一単位とする複数の第2輝度を生成する第2輝度生成手段と、
前記一単位毎に、前記第2輝度から前記第1輝度を減算して、前記予備発光分の輝度成分を算出する輝度差算出手段と、
前記一単位毎に、前記第1輝度と、前記輝度差算出手順で算出された照射光の輝度成分とを、夫々、所定の目標輝度と比較して距離情報のパラメータに変換し、第1及び第2のパラメータを生成するパラメータ生成手段と、
前記第1及び第2のパラメータと、第2輝度生成手順における前記予備発光の際の露出値とに基づいて、前記一単位毎に、第1の被写体距離情報を生成する第1距離情報生成手段と、
前記特定領域に位置する前記第1の被写体距離情報に対して、前記被写体距離情報の基準値の差分を算出する補正値算出手段と、
前記一単位毎に、前記補正値算出手順で生成された補正値を用いて、前記第1の被写体距離情報を補正し、第2の被写体距離情報を生成する第2距離情報生成手段と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか記載の撮像装置。
【請求項5】
撮影時の補助光を発光する閃光装置と入射光量を調節する露出制御部とを備えた撮像装置の撮像方法において、
撮影画面が複数に画成された撮影画面領域毎に、当該撮像装置から被写体までの距離情報を検出する距離情報検出手順と、
前記撮影画面の明るさに応じて、前記閃光装置の発光量を設定する閃光プログラム線図を用いて該閃光装置の発光量を設定する手順と、
前記撮影画面領域毎の距離情報の偏差値に対応付けて、前記閃光プログラム線図における発光量とISO感度との割合を補正する露出生成手順と、
を用いることを特徴とする撮像方法。
【請求項6】
当該撮像装置にシャッター及び絞りを備え、
前記閃光露出プログラム線図として、
前記撮影画面の明るさを表す輝度情報に対応付けて、前記発光量及び前記ISO感度のパラメータと前記露出制御部の露出値とを設定する第1プログラム線図と、
前記露出値に対応付けて、シャッター速度と絞り値とを設定する第2のプログラム線図と、
前記発光量及び前記ISO感度のパラメータに対応付けて、前記撮像装置のISO感度と前記閃光装置の発光量とを設定する第3のプログラム線図と、
を用いる、
ことを特徴とする請求項5に記載の撮像方法。
【請求項7】
前記露出生成手順が、
前記撮影領域毎の距離情報の平均値を求めて、該平均値に対する前記撮影領域毎の距離情報の差分値の絶対値を求め、該絶対値の合計値を前記撮影領域の数で除算して距離偏差の正規化係数を算出し、該正規化係数に基づいて前記発光量と前記ISO感度との割合を補正する、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の撮像方法。
【請求項8】
本撮影の前に予備発光する予備発光手順を備え、
前記距離情報検出手順が、
前記撮影領域における特定領域に対応する距離情報の基準値を取得する基準距離取得手順と、
前記予備発光無しに撮影して得られた前記被写体の画像データに基づいて、所定の画素数を一単位とする複数の第1輝度を、所定の画像領域にわたって離散的に順次生成する第1輝度生成手順と、
前記予備発光して撮影して得られた前記被写体の画像データに基づいて、前記第1輝度と対になるように、前記所定の画素数を一単位とする複数の第2輝度を生成する第2輝度生成手順と、
前記一単位毎に、前記第2輝度から前記第1輝度を減算して、前記予備発光分の輝度成分を算出する輝度差算出手順と、
前記一単位毎に、前記第1輝度と、前記輝度差算出手順で算出された照射光の輝度成分とを、夫々、所定の目標輝度と比較して距離情報のパラメータに変換し、第1及び第2のパラメータを生成するパラメータ生成手順と、
前記第1及び第2のパラメータと、第2輝度生成手順における前記予備発光の際の露出値とに基づいて、前記一単位毎に、第1の被写体距離情報を生成する第1距離情報生成手順と、
前記特定領域に位置する前記第1の被写体距離情報に対して、前記被写体距離情報の基準値の差分を算出する補正値算出手順と、
前記一単位毎に、前記補正値算出手順で生成された補正値を用いて、前記第1の被写体距離情報を補正し、第2の被写体距離情報を生成する第2距離情報生成手順と、
を用いる、
ことを特徴とする請求項5乃至請求項7の何れか記載の撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−191266(P2010−191266A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36478(P2009−36478)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(501324524)アキュートロジック株式会社 (53)
【Fターム(参考)】