説明

撮影対象選択装置、撮影対象選択装置の制御方法、撮影対象選択装置制御プログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】複数の設備で異常が発生した場合に、撮影対象を適切に選択する。
【解決手段】本発明の保全作業録画装置1は、複数の設備3のうち何れかの設備3で所定の事象が発生したことおよびその設備3を示す発生情報と、該所定の事象が終了したことおよびその設備3を示す終了情報とを取得する信号取得部101と、信号取得部101が発生情報を取得すると、該発生情報が示す設備3と同じ設備3を示す終了情報を取得するまでの期間、該発生情報が示す設備3を撮影対象として選択するとともに、上記期間が複数の設備3で重なった場合、優先順位の高い設備3を撮影対象として選択する撮影対象決定部102と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重要度に応じて撮影対象を選択する撮影対象選択装置、撮影対象選択装置の制御方法、撮影対象選択装置制御プログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産管理の現場では、生産ラインの生産性の維持するために、適切な設備の保全が必要である。例えば、生産ラインの設備の1つに異常が発生した場合に、適切に異常の原因を取り除くとともに、上記異常を再発させないように処置しなければ、生産ラインの生産性は著しく下がってしまう。また、昨今の生産ラインでは自動化が進められており、保全作業も必要最低限の作業員で行われている。よって、保全作業を複数人で行うことは、あまりなく、保全作業の技術の伝承も、文章や口頭で行うことが多い。
【0003】
しかしながら、保全作業の技術を言葉のみで表現することは難しく、文章や口頭では、確実に技術内容を伝えきることが困難である。保全作業の技術が伝わらないと、技術の未熟な作業員が保全作業を行うことにより、生産ラインの生産性が下がるという結果になりかねない。
【0004】
そこで、生産ラインをビデオで撮影し、設備で異常が発生した場合に、異常が発生した箇所およびその保全作業状況をビデオで確認することが行われている。熟練した作業員の保全作業をビデオで撮影することで、映像を用いて技術を伝えることができるようにしたものである。これにより、言葉では伝えにくい技術を映像を用いて伝えることでき、保全作業の技術を適切に人から人へ伝えていくことができる。
【0005】
そして、生産ラインを動画で撮影する技術としては、以下のようなものがある。例えば、特許文献1には、工場内で設備に異常が発生した場合に、ビデオカメラを当該異常が発生した箇所が撮影できる位置に移動させ、異常の状況を撮影する技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、制御データと映像データとを絶対時間を介して関連付けてデータを共有化することにより制御データに関連付けた映像データを自動的に保存して再利用する技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、電子部品の加工・検査を行う設備において、電子部品の品質および設備の稼動情報をその検出時刻とともにデータベース化し管理する第1工程と、該検出時刻の前後における設備の作動状況を示す動作情報を上記検出時刻と同期して管理する第2工程と、第1工程で管理されている検出時刻を検索キーとして第2工程で管理している動作情報を出力する第3工程とから成る品質分析監視方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−99325号公報(2002年4月5日公開)
【特許文献2】特開2007−235668号公報(2007年9月13日公開)
【特許文献3】特開平9−102700号公報(1997年4月15日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の構成では、以下のような問題を生じる。すなわち、生産ラインをビデオで撮影するときに、保全作業を漏れなく撮影するためには、製造ラインの全景を撮影する必要がある。製造ラインの全景を撮影した場合、解像度が低いと、個々の設備まで明瞭に映らない。よって、個別の作業の作業内容が判別しにくくなる。また、作業内容を判別しやすくするために高解像度でビデオ撮影すると、録画データのサイズが急増してメモリの容量を圧迫したり、記録するための処理時間が拡大してしまう。
【0010】
これに対して、特許文献1に記載の技術では、異常が発生した設備周辺のみが撮影されるので、上記の問題に対応することができる。しかしながら、複数の箇所で設備異常が発生した場合に次のような問題を生じる。すなわち、複数の箇所で設備異常が発生した場合、保全作業員は生産ラインの生産性を維持するために重要な設備から保全を行うと考えられるが、特許文献1に記載の方法では、保全作業が行われている設備が必ず撮影されるとは限らない。
【0011】
なお、特許文献2には、データの保存方法が記載されているのみであり、また、特許文献3にも、各設備の不良発生状況を発生時刻と同期させて把握することのみが記載されており、撮影対象の選択手法については記載されていない。
【0012】
複数の設備で異常が発生した場合に、どの設備から優先して保全作業を行うかは、生産ラインの生産性を維持するために重要な要素である。なぜなら、その設備を復旧するために必要な時間、その設備がその生産ラインにおいてどのような役割を有しているか等により、その後の生産性に影響を及ぼすためである。よって、保全作業員は、当該設備の重要性を考慮して保全作業を行う設備を決定する。
【0013】
したがって、撮影対象として、作業員が保全作業を行うと考えられる設備を適切に選択しなければ、保全作業を確実に撮影することができない。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の設備で異常が発生した場合に、撮影対象を適切に選択する撮影対象選択装置等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る撮影対象選択装置は、1つのカメラが、生産ラインに含まれる複数の設備を撮影対象として受け持ち、該複数の設備の中から、上記カメラの撮影対象となる設備を選択する撮影対象選択装置において、上記複数の設備のうち何れかの設備で所定の事象が発生したことおよびその設備を示す発生情報と、該所定の事象が終了したことおよびその設備を示す終了情報とを取得する情報取得手段と、上記情報取得手段が上記発生情報を取得すると、該発生情報が示す設備と同じ設備を示す終了情報を取得するまでの期間、該発生情報が示す設備を撮影対象として選択するとともに、上記期間が複数の設備で重なった場合、優先順位の高い設備を撮影対象として選択する撮影対象選択手段と、を備えていることを特徴としている。
【0016】
また、本発明に係る撮影対象選択装置の制御方法は、1つのカメラが、生産ラインに含まれる複数の設備を撮影対象として受け持ち、該複数の設備の中から、上記カメラの撮影対象となる設備を選択する撮影対象選択装置の制御方法であって、上記複数の設備のうち何れかの設備で所定の事象が発生したことおよびその設備を示す発生情報と、該所定の事象が終了したことおよびその設備を示す終了情報とを取得する情報取得ステップと、上記情報取得ステップで上記発生情報を取得すると、該発生情報が示す設備と同じ設備を示す終了情報を取得するまでの期間、該発生情報が示す設備を撮影対象として選択するとともに、上記期間が複数の設備で重なった場合、優先順位の高い設備を撮影対象として選択する撮影対象選択ステップと、を含むことを特徴としている。
【0017】
上記の構成または方法によれば、生産ラインに含まれる複数の設備のうち、所定の事象が発生したことおよびその設備を示す発生情報と、所定の事象が終了したことおよびその設備を示す終了情報が取得される。そして、発生情報が取得されると、該発生情報が示す設備と同じ設備を示す終了情報が取得されるまでの期間、該発生情報が示す設備が撮影対象として選択される。そして、上記期間が複数の設備で重なった場合、優先順位の高い設備が撮影対象として選択される。
【0018】
ここで、所定の事象とは、例えば、当該設備が作業員の操作により停止されたこと(手動停止)、当該設備が異常により停止したこと(異常停止)が挙げられる。
【0019】
これにより、撮影対象として選択されるべき期間が重なった場合であっても、優先順位に基づいて撮影対象を選択することができる。
【0020】
そして、保全作業が行われる蓋然性が高い設備の優先順位を高くしておけば、保全作業が行われる蓋然性の高い設備を、撮影対象となる設備として選択することができる。
【0021】
また、保全作業が行われる蓋然性の高い設備を撮影対象として決定できるので、該設備に焦点を絞った撮影を行うことが可能となる。よって、保全作業が行われる設備が不明のために生産ライン全体を撮影した状態で、個々の設備を確認したり、設備毎にカメラを設置するといったことが必要なくなる。
【0022】
本発明に係る撮影対象選択装置では、上記情報取得手段が取得した時刻が遅い上記発生情報が示す設備ほど高くなるように設定されていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、上記優先順位は、上記情報取得手段が取得した発生情報のうち、取得した時刻が遅い発生情報が示す設備が高くなる。
【0024】
よって、撮影対象決定手段は、上記情報取得手段が取得した発生情報のうち、取得した時刻が遅い発生情報が示す設備を撮影対象とする設備として選択する。
【0025】
そして、取得した時刻が遅い発生情報が示す設備は、最も保全作業員が保全作業を行っている蓋然性が高い。よって、保全作業が撮影できる蓋然性を高めることができる。
【0026】
本発明に係る撮影対象装置では、上記設備毎に所定の情報を記憶している情報記憶部を備え、上記撮影対象選択手段は、上記情報記憶部に記憶されている上記所定の情報を参照して上記優先順位を決定するものであってもよい。
【0027】
上記の構成によれば、上記設備毎に所定の情報を記憶している情報記憶部を備え、上記撮影対象選択手段は、上記情報記憶部に記憶されている上記所定の情報を参照して上記優先順位を決定する。
【0028】
これにより、情報記憶部に記憶されている設備毎の所定の情報を参照して優先順位を決定するので、設備毎の様々な情報を優先順位を決定するときの要素とすることができる。
【0029】
本発明に係る撮影対象選択装置では、上記情報記憶部に記憶されている上記所定の情報は、上記設備の上記生産ラインにおける場所を示すものであり、上記撮影対象選択手段は、上記所定の情報を参照して、上記情報取得手段が取得した発生情報のうち、直前に取得した発生情報が示す設備の場所が、該発生情報の1つ前に取得した発生情報が示す設備の場所から所定の範囲内に存在すると判断した場合、撮影対象となる設備を変更しないものであることが好ましい。
【0030】
ここで、所定の範囲内とは、例えば、カメラが或る設備を撮影しているときに、同じ画像内に写るような範囲を挙げることができる。
【0031】
上記の構成によれば、上記撮影対象決定手段は、上記情報取得手段が取得した発生情報のうち、直前に取得した発生情報が示す設備が、該発生情報の1つ前に取得した発生情報が示す設備の場所から所定の範囲内に存在する場合、撮影対象となる設備を変更しない。
【0032】
よって、上記1つ前に取得した発生情報が示す設備が撮影対象のままとなる。生産ライン上で、現在撮影対象の設備の場所から所定の範囲内に存在する設備は、現在の撮影状態であっても写っている可能性が高く、該所定の範囲内に存在する設備で保全作業が行われていたとしても、該保全作業は撮影されている可能性が高い。
【0033】
したがって、現在の状態で当該設備が撮影されているにもかかわらず、再び撮影対象を決定する処理を行うということを防止できる。
【0034】
また、生産ライン上で、現在撮影対象の設備の場所から所定の範囲内に存在する設備が手動停止した場合、該手動停止は、当該設備の異常ではなく、現在撮影対象となっている設備(すなわち、現在停止している設備)にワーク(生産ラインにおける生産物)が流れ込まないようにするために、された可能性もある。
【0035】
この場合であっても、保全作業が行われない可能性が高い設備を撮影対象として決定してしまうことがないので、保全作業が行われる可能性が低い設備を撮影対象として選択してしまうことを防止することができる。
【0036】
また、生産ライン上で、現在撮影対象の設備の近傍に存在する設備は、現在の撮影状態であっても映っている可能性が高く、仮に、該近傍に存在する設備で保全作業が行われていたとしても、該保全作業は撮影されている可能性が高い。よって、撮影対象を変更しないことにより、保全作業が撮影されなくなるという弊害が生じる可能性も低い。
【0037】
本発明に係る撮影対象選択装置では、上記情報記憶部に記憶されている上記所定の情報は、各設備における生産対象物に対する処理が開始されてから終了するまでに必要とされる処理時間に相当する情報であってもよい。
【0038】
上記の構成によれば、上記優先順位は、上記生産ラインにおける上記処理時間に相当する情報を参照して決定される。よって、処理時間が長い設備の優先順位を高くすれば、撮影対象決定手段は、上記生産ラインにおける処理時間が長い設備を撮影対象とする設備として決定する。
【0039】
そして、生産ラインにおける処理時間が長い設備は、該設備が長時間停止すると、生産ラインの生産性を大きく下げてしまう。よって、保全作業者は、生産ラインにおける処理時間が長い設備を優先的に保全作業を行う蓋然性が高い。
【0040】
したがって、保全作業を撮影できる蓋然性を高めることができる。
【0041】
本発明に係る撮影対象選択装置では、上記情報記憶部に記憶されている上記所定の情報は、当該設備が故障した場合に、故障が発生してから復旧処理を行って通常の処理を行えるようになるまでの時間である復旧時間に相当する情報であってもよい。
【0042】
上記の構成によれば、上記優先順位は、設備の上記復旧時間に相当する情報を参照して決定される。よって、復旧時間の長い設備の優先順位を高くすれば、撮影対象決定手段は、復旧時間が長い設備を撮影対象とする設備として決定する。復旧時間が長い設備は、復旧するまで時間のかかる設備なので、保全作業者は、優先して保全作業を行う可能性がある。
【0043】
したがって、保全作業を撮影できる蓋然性を高めることができる。
【0044】
なお、復旧時間は、デフォルトで当該設備の復旧時間を記憶しているものであってもよいし、過去の復旧時間の平均を算出して、算出した平均復旧時間を記憶しているものであってもよい。
【0045】
本発明に係る撮影対象選択装置では、上記生産ラインに含まれる複数の設備のうち、特定の設備が撮影対象として選択されている期間、上記カメラによって撮影された時系列の画像データを画像データ記録部に記録するとともに、該期間以外は記録しない制御を行う録画制御手段を備えていることが好ましい。
【0046】
上記の構成によれば、録画制御手段は、上記生産ラインに含まれる複数の設備のうち、特定の設備が撮影対象として選択されている期間、上記カメラによって撮影された時系列の画像データを画像データ記録部に記録するとともに、該期間以外は記録しない制御を行う。
【0047】
これにより、画像データ記録部には、特定の設備が撮影対象として選択されている期間のみ画像が記録される。そして、例えば、所定の事象が「手動停止」だった場合、設備が手動停止してから、手動停止が解除されるまでの画像が記録されるので、保全作業者が保全作業を行っていると考えられる画像のみを記録することができる。
【0048】
よって、保全作業が行われていないときは、記録を行わないので、画像データ記録部の記憶容量の使用を抑制することができる。
【0049】
本発明に係る撮影対象選択装置では、上記生産ラインに含まれる複数の設備のうち、特定の設備が撮影対象として選択されている期間に加え、上記情報取得手段が終了情報を取得した後、所定の時間が経過するまでの期間、上記カメラによって撮影された時系列の画像データを画像データ記録部に記録するとともに、該期間以外は記録しない制御を行う録画制御手段を備えているものであってもよい。
【0050】
上記の構成によれば、上記録画制御手段は、上記生産ラインに含まれる複数の設備のうち、特定の設備が撮影対象として選択されている期間に加え、上記情報取得手段が終了情報を取得した後、所定の時間が経過するまでの期間、上記カメラによって撮影された時系列の画像データを画像データ記録部に記録するとともに、該期間以外は記録しない制御を行う。
【0051】
これにより、終了情報を取得した後、すぐに記録が終了しない。よって、保全作業終了後、しばらく設備を動作させ、保全作業を再開するような場合に、記録の開始と記録を繰り返すことなく、一連の保全作業として記録することができる。
【0052】
本発明に係る撮影対象選択装置では、上記生産ラインに含まれる複数の設備のうち、特定の設備が撮影対象として選択されている期間に加え、上記情報取得手段が発生情報を取得したときから所定の時間だけ遡った期間、上記カメラによって撮影された時系列の画像データを画像データ記録部に記録するとともに、該期間以外は記録しない制御を行う録画制御手段を備えているものであってもよい。
【0053】
上記の構成によれば、上記録画制御手段は、上記生産ラインに含まれる複数の設備のうち、特定の設備が撮影対象として選択されている期間に加え、上記情報取得手段が発生情報を取得したときから所定の時間だけ遡った期間、上記カメラによって撮影された時系列の画像データを画像データ記録部に記録するとともに、該期間以外は記録しない制御を行う。
【0054】
これにより、発生情報を取得したときから所定の時間分だけ遡ったときからの画像データが記録される。よって、所定の事象が発生する前から設備の状況を認識することができる。
【0055】
本発明に係る撮影対象選択装置では、上記録画制御手段は、上記生産ラインに含まれる複数の設備のうち、特定の設備が撮影対象として選択されている期間が所定の時間に満たない場合、上記カメラによって撮影された時系列の画像データを画像データ記録部に記録しないものであってもよい。
【0056】
上記の構成によれば、上記録画制御手段は、上記生産ラインに含まれる複数の設備のうち、特定の設備が撮影対象として選択されている期間が所定の時間に満たない場合、上記カメラによって撮影された時系列の画像データを画像データ記録部に記録しない。
【0057】
これにより、特定の設備が撮影対象として選択されている期間が所定の時間に満たない場合、画像データが記録されない。特定の設備が撮影対象として選択されている期間が、所定の時間に満たない場合、すなわち、設備の停止時間が所定の時間に満たない場合は、保全作業が重要なものではないと考えられる。
【0058】
したがって、保全作業が重要ではないと考えられる画像データは記録しないので、画像データ記録部の記憶容量を削減できる。また、記録されている画像データから、所望の画像データを検索する等の場合に、不要な画像データが存在しないので、より容易に検索を行うことができる。
【0059】
本発明に係る撮影対象選択装置では、上記生産ラインに対し、上記カメラが複数台存在し、上記撮影対象選択手段は、上記期間が複数の設備で重なった場合、上記複数台のカメラそれぞれにより上記期間が重なった複数台の設備それぞれを撮影できるか否かを判断し、撮影できると判断すると上記複数台の設備全てを撮影対象として選択するものであってもよい。
【0060】
上記の構成によれば、撮影対象選択手段は、上記期間が複数の設備で重なった場合、上記複数台のカメラそれぞれにより上記期間が重なった複数台の設備それぞれを撮影できるか否かを判断し、撮影できると判断すると上記複数台の設備全てを撮影対象として選択する。
【0061】
これにより、撮影対象として選択すべき期間が重なった複数の設備が存在したとしても、複数のカメラでそれぞれ撮影できる場合は、該複数のカメラそれぞれで上記複数の設備それぞれを撮影できる。
【0062】
なお、上記撮影対象選択装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記撮影対象選択装置をコンピュータにて実現させる撮影対象選択装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0063】
以上のように、本発明に係る撮影対象選択装置は、上記複数の設備のうち何れかの設備で所定の事象が発生したことおよびその設備を示す発生情報と、該所定の事象が終了したことおよびその設備を示す終了情報とを取得する情報取得手段と、上記情報取得手段が上記発生情報を取得すると、該発生情報が示す設備と同じ設備を示す終了情報を取得するまでの期間、該発生情報が示す設備を撮影対象として選択するとともに、上記期間が複数の設備で重なった場合、優先順位の高い設備を撮影対象として選択する撮影対象選択手段と、を備えている構成である。
【0064】
また、本発明に係る撮影対象選択装置の制御方法は、上記複数の設備のうち何れかの設備で所定の事象が発生したことおよびその設備を示す発生情報と、該所定の事象が終了したことおよびその設備を示す終了情報とを取得する情報取得ステップと、上記情報取得ステップで上記発生情報を取得すると、該発生情報が示す設備と同じ設備を示す終了情報を取得するまでの期間、該発生情報が示す設備を撮影対象として選択するとともに、上記期間が複数の設備で重なった場合、優先順位の高い設備を撮影対象として選択する撮影対象選択ステップと、を含む方法である。
【0065】
これにより、撮影対象として選択されるべき期間が重なった場合であっても、優先順位に基づいて撮影対象を選択することができる。
【0066】
そして、保全作業が行われる蓋然性が高い設備の優先順位を高くしておけば、保全作業が行われる蓋然性の高い設備を、撮影対象となる設備として選択することができる。
【0067】
また、保全作業が行われる蓋然性の高い設備を撮影対象として決定できるので、該設備に焦点を絞った撮影を行うことが可能となる。よって、保全作業が行われる設備が不明のために生産ライン全体を撮影した状態で、個々の設備を確認したり、設備毎にカメラを設置するといったことが必要なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態を示すものであり、保全作業録画装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記実施の形態における、保全作業録画システムの全体の概要を示す図である。
【図3】上記実施の形態における、生産ラインを上から見た状態を示す図である。
【図4】上記実施の形態における、撮影対象決定情報記憶部に記憶されているテーブル例を示す図である。
【図5】上記実施の形態における、カメラ方向制御情報記憶部に記憶されているテーブル例を示す図である。
【図6】上記実施の形態において、停止ボタンが押された設備と撮影対象となる設備との関係を示す説明図である。
【図7】上記実施の形態において、サイクルタイムによって撮影対象を決定する場合の説明図である。
【図8】上記実施の形態において、余裕録画、最低録画と設備の停止との関係を示す説明図である。
【図9】上記実施の形態における、撮影画像記憶部に記憶されているテーブル例を示す図である。
【図10】上記実施の形態における、保全作業録画装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】上記実施の形態における、保全作業録画装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施の形態を示すものであり、保全作業録画装置の要部構成を示すブロック図である。
【図13】上記他の実施の形態において、設備の異常停止、停止ボタン押下、および撮影画像記憶部に記憶される画像データの関係を示す図である。
【図14】上記他の実施の形態における、保全作業録画装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】上記他の実施の形態における、保全作業録画装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施の形態について図1から図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0070】
(システム全体の概要)
まず、本実施の形態に係る保全作業録画システム100全体の概要について、図2および図3を用いて説明する。図2に示すように、保全作業録画システム100は、保全作業録画装置(撮影対象選択装置)1、ネットワークカメラ2(2a、2b)、設備3(3a〜3r)、PLC(Programable Logic Controller)4(4a〜4r)、およびハードディスクレコーダ(画像データ記録部)5を含む構成である。
【0071】
また、図3は、生産ライン6を上から見た状態を示す図である。図3に示すように生産ライン6は、上から見てU字状を有しており、設備3a〜3rまでがこの順番で並んでいる。図3において、破線は、ネットワークカメラ2a、2bが、図示の方向を向いている場合に、それぞれ撮影対象としている範囲を、実線は、ネットワークカメラ2a、2bがそれぞれ受け持っている撮影対象となる設備の範囲を示す。
【0072】
ネットワークカメラ2a、2bは、設備3を撮影するカメラであり、保全作業録画装置1によって、撮影方向、ズーム等が制御できるものである。そして、ネットワークカメラ2a、2bは、初期設定では、それぞれ受け持つ範囲に存在する設備3全てを写すようになっており、保全作業録画装置1による制御によって、撮影対象となる設備3を写す。保全作業録画装置1によるネットワークカメラ2の制御は、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)経由で行うことができる。なお、ネットワークカメラ2a、2bをそれぞれを区別する必要がないときはネットワークカメラ2とする。
【0073】
設備3a〜3rは、生産ライン6に並べられ、生産ライン6で生産される生産物(ワーク)を生産するために必要な工程をそれぞれ実施するための設備である。なお、設備3a〜3rそれぞれを区別する必要がないときは設備3とする。
【0074】
PLC4a〜4rは、それぞれ、設備3a〜3rを制御するための装置である。なお、設備3と同様に、PLC4a〜4rをそれぞれ区別する必要がないときはPLC4とする。
【0075】
また、PLC4にはそれぞれ設備3を起動・停止させるための起動・停止ボタン41(41a〜41r)、設備3の異常が発生した場合に作業員に異常の発生を伝えるための警告灯42(42a〜42r)、および設備3が異常停止したことを検知する異常停止検知部43(43a〜43r)が接続されている。
【0076】
ハードディスクレコーダ5は、ネットワークカメラ2で撮影した画像を一時的に記憶しているものである。
【0077】
そして、設備3が停止した場合の保全作業は、設備3において異常発生(異常停止を検知)→現場作業員が異常停止した設備3の手動停止ボタンを押下→保全作業→復旧するために起動ボタンを押下、という流れで行われる。
【0078】
図3に示すように、保全作業録画システム100においては、ネットワークカメラ2aが設備3a〜3hまでを撮影範囲として受け持ち、ネットワークカメラ2bが設備3g〜3rまでを撮影範囲として受け持っている。
【0079】
そして、設備3a〜3rのうち、複数の設備3で故障等の異常が発生した場合に、保全作業録画装置1が、保全作業員が作業を行う蓋然性が高い設備3を適切に選択して、ネットワークカメラ2に当該設備3を撮影させることで、保全作業員の保全作業を確実に録画するものである。
【0080】
これにより、保全作業が確実に録画されるので、言葉のみでは伝えにくい技術を映像を用いてより分かりやすく人から人へ伝えていくことができる。
【0081】
さらに、製造現場の作業内容の状況を確実に録画することにより、映像を用いて作業内容を分析することができ、設備保全の標準作業手順の構築や現場作業員のスキル向上を図ることができる。
【0082】
また、新人の作業スキルを確認したり、熟練者と新人の作業内容の差を比較して、新人に足りない作業の勘・コツを把握させたり、作業手順を明確化させたりすることで、作業効率を向上することができる。
【0083】
なお、本実施の形態では、ネットワークカメラ2は2台、生産ライン6における設備3は18台として説明するが、この構成に限られるものではない。ネットワークカメラ2の数は、1台でもよいし、3台以上であってもよい。また、設備3の数は複数であれば何台でもよい。
【0084】
(保全作業録画装置の構成)
次に、保全作業録画装置1の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る保全作業録画装置1のブロック図である。
【0085】
図1に示すように、保全作業録画装置1は、制御部10、撮影対象決定情報記憶部(情報記憶部)11、撮影画像記憶部(画像データ記録部)12、カメラ方向制御情報記憶部13、操作部14、および表示部15を含む構成である。
【0086】
制御部10は、保全作業録画装置1の各種制御を行うものである。制御部10の詳細については後述する。
【0087】
撮影対象決定情報記憶部11は、撮影対象決定部102が撮影対象とする設備3を決定するために用いる情報を記憶しているものである。撮影対象決定情報記憶部11が記憶している情報としては、平均復旧時間、場所、およびサイクルタイムが挙げられる。平均復旧時間とは、過去に、設備3が異常を発生してから復旧するまで要した時間の平均である。場所とは、設備3が生産ライン6のどの位置に存在し、当該設備3は、生産ライン6において何番目の設備であるのかを示すものである。サイクルタイムとは、当該設備3が行っている処理がどれくらいの時間を要するものであるのかを示すものである。
【0088】
撮影対象決定情報記憶部11に記憶されている情報テーブル31の例を図4に示す。図4に示す例の場合、設備3aが生産ライン6の「1」の場所に備えられ、サイクルタイムは3分、平均復旧時間は5分であることを示し、設備3bは生産ライン6の「2」の場所に備えられ、サイクルタイムは8分であり、平均復旧時間は10分であることを示している。以下、設備3c以下についても同様である。なお、場所を示す数字は、生産ライン6において数字と場所とが予め対応付けられているものとする。
【0089】
撮影画像記憶部12は、ハードディスクレコーダ5から取得した、ネットワークカメラ2が撮影した画像と撮影時刻、撮影設備とを対応付けて記憶しているものである。
【0090】
カメラ方向制御情報記憶部13は、カメラ方向制御部103がネットワークカメラ2の方向等を制御するための情報を記憶しているものである。具体的には、いずれのネットワークカメラ2を用いてどの方向にどのくらいのズームで撮影するかが記憶されている。カメラ方向制御情報記憶部13が制御対象とするネットワークカメラ2の外観図を図5の(a)に示す。図示のように、ネットワークカメラ2は、レンズを上下方向および左右方向に移動させることができるとともに、ズーム機能も有している。
【0091】
カメラ方向制御情報記憶部13が記憶している情報テーブル32の例を図5の(b)に示す。図5の(b)に示す例の場合、設備3aを撮影するためには、ネットワークカメラaを上下角度が「34.6」、左右角度が「−30.7」、ズームが「×1.7」の状態にする必要があり、設備3bを撮影するためには、ネットワークカメラaを上下角度が「22.1」、左右角度が「−17.4」、ズームが「×2.3」の状態にする必要がある。設備3c以下も同様である。
【0092】
操作部14は、ユーザによる、保全作業録画装置1に対する操作を受け付けるユーザインターフェースである。
【0093】
表示部15は、撮影画像記憶部12に記憶されている撮影画像を表示するものである。この表示部15としては、情報の表示が可能な表示装置であればどのような装置によって実現されてもよいが、具体的な例としては、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイが挙げられる。
【0094】
次に、制御部10について説明する。図1に示すように制御部10は、信号取得部(情報取得手段)101、撮影対象決定部(撮影対象決定手段)102、カメラ方向制御部103、録画制御部(録画制御手段)104、画像データ取得部105、画像データ記録制御部106、平均復旧時間算出部(平均復旧時間算出手段)107、画像データ検索部108、および表示制御部109を含む構成である。
【0095】
信号取得部101は、停止ボタンが押されたこと、または異常停止が検知されたことを示す停止信号(発生情報)と、当該ボタンが押された設備、または異常停止が検知された設備を示す設備情報とを含む信号情報を取得するものである。また、信号取得部101は、起動ボタンが押されたことを示す起動信号(終了情報)と、当該ボタンが押された設備を示す設備情報とを含む信号情報を取得するものである。そして、取得した信号情報を撮影対象決定部102、録画制御部104、および平均復旧時間算出部107へ送信する。
【0096】
撮影対象決定部102は、信号取得部101から信号情報を取得して、優先順位の高い設備3を撮影対象となる設備3として決定するとともに、該設備3を撮影すべきネットワークカメラ2を決定するものである。そして、決定した設備3および撮影すべきネットワークカメラ2を示す情報をカメラ方向制御部103へ送信する。
【0097】
撮影対象となる設備3の決定に用いる優先順位は、信号情報を取得した時刻(すなわち、停止ボタンがおされた押釦時刻)、撮影対象決定情報記憶部11に記憶されている設備3の場所、サイクルタイム、平均復旧時間の少なくともいずれか1つによって決定する。
【0098】
例えば、押釦時刻を用いて撮影対象となる設備3を決定する場合、1台のネットワークカメラ2の受け持ち範囲で2台以上の設備3で停止ボタンが押されると、より遅い時刻で押釦された設備3を撮影対象として決定する。図6を用いて説明する。図6は、押釦時刻を用いて撮影対象となる設備3を決定する場合に、停止ボタンが押された設備3と撮影対象となる設備3との関係を示す説明図である。
【0099】
図6に示すように、まず、時刻tで設備3qの手動停止ボタンが押下されると、設備3qを受け持つネットワークカメラ2bが設備3qの方向を向き、時刻tで撮影を開始する。次に、時刻tで設備3aの停止ボタンが押下されると、設備3aを受け持つネットワークカメラ2aが設備3aの方向を向き、時刻tで撮影を開始する。
【0100】
そして、時刻tで、設備3mの停止ボタンが押下されると、設備3mを受け持つネットワークカメラ2bは、撮影方向を設備3qから設備3mへ変更し、時刻tで設備3mの撮影を開始する。その後、時刻tで、設備3qの停止ボタンが解除されても、ネットワークカメラ2bは、設備3mの撮影を続ける。そして、時刻tで、設備3mの停止ボタンが解除されると、所定の時間経過後の時刻t10で、設備3mの撮影を終了する。
【0101】
また、時刻tで設備3aの停止ボタンが解除されると、所定の時間経過後の時刻t11で、ネットワークカメラ2aは設備3aの撮影を終了する。
【0102】
次に、時刻t12で設備3mの停止ボタンが押下されると、ネットワークカメラ2bは設備3mの方向を向き、時刻t13で、設備3mの撮影を開始する。そして、時刻t14で、設備3qの停止ボタンが押下されると、ネットワークカメラ2bは、撮影方向を設備3mから設備3qへ変更し、時刻t15で設備3qの撮影を開始する。
【0103】
なお、詳細は後述するが、時刻t13から時刻t14のように、1つの設備3を撮影してる時間が所定の時間に満たない、当該時間に撮影した画像データは撮影画像記憶部12から消去される。
【0104】
そして、時刻t16で、設備3qの停止ボタンが解除されると、所定時間経過後の時刻t17で設備3qの撮影を終了する。その後、設備3qの停止ボタンが押下される前に停止ボタンが押下された設備3mの停止ボタンが解除されていないので、ネットワークカメラ2bは、設備3mの方向を向き、時刻t18で撮影を開始する。そして、時刻t19で、設備3mの停止ボタンが解除されると、所定時間経過後の時刻t20で設備3mの撮影を終了する。
【0105】
なお、上述したように、時刻t18から時刻t20における設備3mの撮影は、所定の時間に満たないので、撮影された画像データは撮影画像記憶部12から消去される。
【0106】
以上により、保全作業員がいる蓋然性が高い設備を撮影対象として決定することができ、より確実に保全作業を撮影することができる。
【0107】
また、平均復旧時間を用いて、撮影対象となる設備を決定する場合、平均復旧時間が長い設備3を、撮影対象として決定する。これは、復旧時間が長くなる可能性が高いので、保全作業員が優先して保全する可能性が高いためである。
【0108】
また、場所は、現在停止している設備の前後の設備が手動停止した場合は、撮影対象は変更しない。これは、現在停止している設備にワークが入ってくることを防止するために、停止ボタンが押下されたと考えられるためである。また、前後の設備は、撮影対象を変更しなくも、ネットワークカメラ2の撮影範囲に入っている可能性が高いためである。
【0109】
また、サイクルタイムは、サイクルタイムが最も長い設備に近い設備を撮影対象として決定する。または、複数の設備で1つの工程を実施し、複数の工程が存在する場合、サイクルタイムの長い工程に近い設備を撮影対象として決定する。また、サイクルタイムが長い工程に含まれる設備の中では、当該工程におけるサイクルタイムが長い設備に近い設備を撮影対象として決定する。これは、サイクルタイムが長い工程が停止すると、当該生産ラインにおける生産数が大きく減少するため、サイクルタイムが長い工程に近い設備をより優先して保全作業を行うためである。
【0110】
図7を用いて説明する。図7は、サイクルタイムによって撮影対象を決定する場合の説明図である。図7に示す例の場合、設備3a、3b、3cが工程1に含まれ、それぞれのサイクルタイムは、3分、8分、5分である。また、設備3d、3e、3f、3gが工程2に含まれ、それぞれのサイクルタイムは、2分、15分、6分、7分である。また、設備3hが工程3に含まれ、サイクルタイムは9分である。
【0111】
この例において、設備3bと設備3fとが停止した場合、当該設備のサイクルタイムの長短で撮影対象を決定する場合は、設備3bが撮影対象となる。また、工程のサイクルタイムの長短で撮影対象を決定する場合は、工程2に含まれる設備3fが撮影対象となる。
【0112】
また、設備3dと設備3gとが停止した場合で、最もサイクルタイムが長い設備に近い設備を撮影対象として決定するときは、設備3dが撮影対象となる。
【0113】
また、撮影対象決定部102は、停止情報を取得して撮影対象を決定した後に、再び停止情報を取得したとしても、それぞれの停止情報が示す設備3が、異なるネットワークカメラ2で撮影可能な場合は、そのまま異なるネットワークカメラ2で撮影を行うように、撮影すべきネットワークカメラ2を決定する。
異なるネットワークカメラ2で撮影可能な場合は、そのまま、
カメラ方向制御部103は、撮影対象決定部102から撮影対象となる設備3を示す情報取得して、カメラ方向制御情報記憶部13に記憶されている制御情報を用いてネットワークカメラ2を、撮影対象となる設備3が撮影できるように制御する。
【0114】
録画制御部104は、信号取得部101から信号情報を取得して、ハードディスクレコーダ5への記録を制御するものであり、時間測定部141、短時間録画消去部(録画制御手段)142、および録画延長部(録画制御手段)143を含む構成である。より具体的には、録画制御部104は、手動停止を示す信号情報を取得すると、ハードディスクレコーダ5に対し録画を開始させ、起動を示す信号情報を取得すると、ハードディスクレコーダ5に対し録画を停止させる。
【0115】
時間測定部141は、取得した停止を示す信号情報と起動を示す信号情報との間の時間、起動を示す信号情報を取得してからの経過時間等を測定するものである。
【0116】
短時間録画消去部142は、時間測定部141が測定した、取得した停止を示す信号情報と起動を示す信号情報との間の時間が、所定の時間(最低録画時間)以下の場合、ハードディスクレコーダ5に録画した画像データを消去するものである(最低録画)。
【0117】
これは、取得した停止を示す信号情報と起動を示す信号情報との間の時間が、所定の時間以下の場合、保全作業は重要でないことが多く、録画データを残す意味があまりないためである。
【0118】
録画延長部143は、起動を示す信号情報を取得してから、所定の時間(余裕録画時間)経過後に録画を停止させるものである(余裕録画)。これは、設備3において、起動信号を押下して、しばらく動作を確認した後、再び停止させて保全作業を行う場合があるため、この場合に録画の停止と開始を繰り返すことを防止するものである。ただし、起動を示す信号情報を取得した時刻が、停止を示す信号情報を取得した時刻から、最低録画時間を過ぎていない場合は、余裕録画は実行しない。
【0119】
ここで、図8を用いて、余裕録画と最低録画について説明する。図8は、余裕録画、最低録画と設備3aの停止との関係を示す説明図である。図8において、T2は余裕録画時間、T3は最低録画時間を示す。
【0120】
図8に示すように、時刻t51で設備3aの停止ボタンが押下されると、ネットワークカメラ2aは設備3aの方向を向き、時刻t52で設備3aの撮影を開始する。そして、時刻t53で設備3aの停止ボタンが解除されると、本来であれば、その時点からT2だけ経過した時刻t55で撮影を終了する。しかしながら、時刻t55の前の時刻t54で再び設備3aの停止ボタンが押下されているので、ネットワークカメラ2aは、設備3aの撮影を終了せずに、継続する。
【0121】
そして、時刻t56で、設備3aの停止ボタンが解除されると、ネットワークカメラ2aは、時刻t56からT2だけ経過した時刻t57で、撮影を終了する。
【0122】
その後、時刻t58で、設備3aの停止ボタンが押下されると、ネットワークカメラ2aは、設備3aの方向を向き、時刻t59で撮影を開始する。そして、時刻t60で設備3aの停止ボタンが解除されると、時刻t59からt60までは、最低録画時間T3に満たないので、ネットワークカメラ2aは時刻t60で撮影を終了する。また、時刻t59からt60までに撮影された画像のデータは、短時間録画消去部142によって消去される。
【0123】
そして、時刻t61で設備3aの停止ボタンが押下されると、ネットワークカメラ2aは、設備3aの方向を向き、時刻t62で撮影を開始する。その後、時刻t63で設備3aの停止ボタンが解除されると、時刻t62から余裕録画時間T2だけ経過した時刻t64で、ネットワークカメラ2aは撮影を終了する。
【0124】
画像データ取得部105は、ハードディスクレコーダ5に記憶されている画像データを取得するものである。そして、取得した画像データを画像データ記録制御部106へ送信する。
【0125】
画像データ記録制御部106は、画像データ取得部105から取得した画像データと、撮影対象決定部102から取得した信号情報とから、画像データ、撮影対象設備、および撮影時刻を対応付けて撮影画像記憶部12に記憶させるものである。
【0126】
平均復旧時間算出部107は、信号取得部101から取得した信号情報が示す停止信号および起動信号から復旧時間を算出する。そして、撮影対象決定情報記憶部11に記憶されている平均復旧時間を用いて、今回の復旧時間も含めた平均復旧時間を算出し、撮影対象決定情報記憶部11へ記憶させる。
【0127】
画像データ検索部108は、操作部14を介してユーザから指示された、撮影画像記憶部12に記憶されている画像データを検索するものである。そして、検索結果を取得して、表示制御部109へ送信する。
【0128】
画像データの検索は、撮影対象となった設備3、撮影したネットワークカメラ2、および撮影時刻によって行うことができる。図9を用いて説明する。図9は、撮影画像記憶部12に記憶されているテーブルを示す図である。
【0129】
図9に示すテーブルにおいて、例えば、「設備3aを撮影した画像データ」を検索すると、901および904で示す画像データが検索結果として取得する。また、「ネットワークカメラ2で撮影した画像データ」を検索すると、902で示す画像データを検索結果として取得する。また、「2008年9月1日10時15分から10時20分までの画像データ」を検索すると、901および902で示す画像データを検索結果として取得する。
【0130】
表示制御部109は、画像データ検索部108から取得した検索結果である画像データを表示部15に表示させるものである。
【0131】
次に、保全作業録画装置1における処理の流れについて図10、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0132】
まず、信号取得部101が停止信号を含む信号情報(停止信号情報)を取得すると(S1)、撮影対象決定部102は、撮影対象決定処理に入る(S2)。撮影対象決定処理については後述する。撮影対象決定処理が終了すると、ネットワークカメラ2は撮影を開始し、録画制御部104は、ハードディスクレコーダ5に対し録画を開始させる(S3)。
【0133】
その後、信号取得部101が、撮影対象となっている設備3より優先順位の高い設備3の停止信号情報を取得すると(S4でYES)、画像データ保存処理Aに入る(S5)。画像データ保存処理Aについては後述する。そして、画像データ保存処理Aが終了すると、撮影対象決定処理に入る(S6)。撮影対象決定処理が終了するとステップS4に戻る。
【0134】
一方、信号取得部101が、撮影対象となっている設備3より優先順位の高い設備3の停止信号情報を取得することなく(S4でNO)、撮影対象となっている設備3の起動信号を含む信号情報(起動信号情報)を取得すると(S7でYES)、画像データ保存処理Bに入る(S8)。画像データ保存処理Bについては後述する。
【0135】
そして、撮影対象決定部102は、起動信号情報を取得していない設備3の停止信号情報を取得していないか否かを判断し(S9)、取得していれば(S9でYES)、ステップS6の撮影対象決定処理に戻る。
【0136】
一方、起動信号情報を取得していない設備3の停止信号情報を取得していなければ(S9でNO)、カメラ方向制御部103は、ネットワークカメラ2の方向をデフォルトに戻すとともに、録画制御部104はハードディスクレコータ5の録画を停止させる(S11)。以上で、保全作業録画装置1における処理の流れが終了する。
【0137】
次に、図11を用いて、撮影対象決定処理、画像データ保存処理A、画像データ保存処理Bについて説明する。
【0138】
図11の(a)に示すように、撮影対象決定処理に入ると、撮影対象決定部102は、優先順位の高い設備3を撮影対象となる設備3として決定する(S21)。そして、カメラ方向制御部103は、撮影対象決定部102が決定した設備3を撮影できるように、ネットワークカメラ2の方向等を制御する(S22)。以上で、撮影対象決定処理は終了する。
【0139】
図11の(b)に示すように、画像データ保存処理Aに入ると、録画制御部104は、撮影対象となっている設備3を撮影していた時間が、所定の時間内か否かを判断する(S41)。そして、所定時間内であれば(S41でYES)、最低録画時間を満たしていないとして、短時間録画消去部142は、撮影対象として撮影していた設備3の画像データを消去する(S43)。一方、所定時間を超えていれば(S41でNO)、画像データ記録制御部106は、撮影対象として撮影していた設備3の画像データを撮影画像記憶部12へ記憶させる(S42)。以上で、画像データ保存処理Aは終了する。
【0140】
図11の(c)に示すように、画像データ保存処理Bに入ると、録画制御部104は、撮影対象となっている設備3を撮影していた時間が、所定の時間内か否かを判断する(S61)。そして、所定時間内であれば(S61でYES)、最低録画時間を満たしていないとして、短時間録画消去部142は、撮影対象として撮影していた設備3の画像データを消去する(S66)。
【0141】
一方、所定時間内でなければ(S61でNO)、録画制御部104は、撮影対象となっている設備3の起動信号情報を取得してから所定の時間が経過したか否かを判断する(S62)。所定の時間が経過していれば(S62でYES)、画像データ記録制御部106は、撮影していた設備3の画像データを撮影画像記憶部12へ記憶させる(S63)。所定の時間が経過する前に(S62でNO)、撮影対象となっている設備3の停止信号情報を取得すると(S64でYES)、ステップS4へ戻る。以上で、画像データ保存処理Bは終了する。
【0142】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図12から図15に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記の実施の形態1において示した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0143】
本実施の形態において、上記実施の形態1と異なるのは、ハードディスクレコーダ5による録画を継続している点である。すなわち、本実施の形態では、ハードディスクレコーダ5が保全作業録画装置1の指示によって録画を開始したり終了したりすることはなく、録画を継続している。
【0144】
図12に、本実施の形態に係る保全作業録画装置1の要部構成を示すブロック図を示す。上記実施の形態と異なり、本実施の形態では、録画制御部104が存在せず、画像データ取得部105の代わりに画像データ取得部115が備えられている。
【0145】
画像データ取得部115は、信号取得部101から取得した信号情報に基づいて、ハードディスクレコーダ5が録画した画像データを取得するものである。
【0146】
具体的には、停止信号情報を取得した時刻から起動信号情報を取得した時刻までの画像データを取得する。そして、取得した画像データを画像データ記録制御部106へ送信する。なお、取得する画像データは、停止信号情報を取得した時刻からの画像データではなく、該時刻の所定時間(先行録画時間)前からの画像データであってもよい(先行録画)。これにより、生産ライン6の全景が撮影された画像であるが、停止ボタンが押下される前の状況から確認することができる。
【0147】
また、停止信号情報ではなく、設備3自体が異常停止したことを示す信号を取得し、当該信号を取得した時刻の所定時間前からの画像データを取得するものであってもよい。
【0148】
この点について、図13を用いて説明する。図13は、設備3aの異常停止、停止ボタン押下、および撮影画像記憶部12に記憶される画像データの関係を示す図である。
【0149】
図13の(a)に示すように、時刻t82で、設備3aの異常停止信号を取得したとすると、画像データ取得部115は、時刻t82から先行録画時間T4だけ前の時刻t81からの画像データを取得する。そして、停止ボタンが解除され、余裕録画時間が経過した時刻t89までの画像データを取得する。
【0150】
画像データに録画されている映像は、時刻t81から、設備3aの停止ボタンが押下された時刻であるt83までは、生産ライン6の全景である。そして、t83から、ネットワークカメラ2aが設備3aを向く時刻t84までは、生産ライン6の全景から設備3aの方向へ移動している映像である。そして、時刻t84から時刻t89までが、設備3aの映像である。
【0151】
なお、図13の(b)に示すように、設備3aが異常停止した直後に、ネットワークカメラ2の撮影対象を設備3aとするものであってもよい。この場合、画像データに録画されている映像は、時刻t81から、設備3aが異常停止した時刻であるt82までは、生産ライン6の全景である。そして、t82から、ネットワークカメラ2aが設備3aを向く時刻t83までは、生産ライン6の全景から設備3aの方向へ移動している映像である。そして、時刻t83から時刻t89までが、設備3aの映像である。
【0152】
これにより、(a)の場合は、手動停止するまでの作業員の動作を記録することができ、(b)の場合は、作業員が保全作業を始める前の設備3aの故障状態を記録することができる。なお、(a)および(b)は、上述した目的にしたがって選択することが可能である。
【0153】
次に、本実施の形態における保全作業録画装置1の処理の流れについて、図14、図15に示すフローチャートを用いて説明する。なお、ハードディスクレコーダ5は、常に録画を行っている状態である。
【0154】
まず、ネットワークカメラ2は、生産ライン6の全景を撮影している(S51)。そして、信号取得部101が停止信号を含む信号情報(停止信号情報)を取得すると(S52でYES)、撮影対象決定処理に入る(S53)。撮影対象決定処理は、図11の(a)に示す内容である。撮影対象決定処理が終了し、信号取得部101が、撮影対象となっている設備3より優先順位の高い設備3の停止信号情報を取得すると(S54でYES)、画像データ保存処理Cに入る(S55)。画像データ保存処理Cについては後述する。そして、画像データ保存処理Cが終了するとステップS53へ戻る。
【0155】
一方、信号取得部101が、撮影対象となっている設備3より優先順位の高い設備3の停止信号情報を取得することなく(S54でNO)、起動信号を含む信号情報(起動信号情報)を取得すると(S56でYES)、画像データ保存処理Dに入る(S57)。画像データ保存処理Dについては後述する。そして、画像データ保存処理Dが終了すると、撮影対象決定部102は、起動信号情報を取得していない設備3の停止信号情報を取得していないか否かを判断し(S58)、取得していれば(S58でYES)、ステップS53の撮影対象決定処理に戻る。
【0156】
一方、起動信号情報を取得していない設備3の停止信号情報を取得していなければ(S58でNO)、カメラ方向制御部103は、ネットワークカメラ2の方向をデフォルトである生産ライン6全景を撮影できる方向に戻す(S59)。以上で、保全作業録画装置1の処理の流れが終了する。
【0157】
次に、図15を用いて、画像データ保存処理C、画像データ保存処理Dについて説明する。
【0158】
図15の(a)に示すように、画像データ保存処理Cに入ると、録画制御部104は、撮影対象となっている設備3を撮影していた時間が、所定の時間内か否かを判断する(S71)。そして、所定時間を超えていれば(S71でNO)、画像データ記録制御部106は、撮影対象として撮影していた設備3の画像データを撮影画像記憶部12へ記憶させる(S72)。一方、所定時間内であれば(S71でYES)、そのまま処理を終了する。以上で、画像データ保存処理Cは終了する。
【0159】
図15の(b)に示すように、画像データ保存処理Dに入ると、録画制御部104は、撮影対象となっている設備3の起動信号情報を取得してから所定の時間が経過したか否かを判断する(S91)。そして、所定の時間が経過していれば(S91でYES)、画像データ記録制御部106は、撮影していた設備3の画像データを撮影画像記憶部12へ記憶させる(S92)。一方、所定の時間が経過する前に(S91でNO)、撮影対象となっている設備3の停止信号情報を取得すると(S93でYES)、ステップS4へ戻る。以上で、画像データ保存処理Dは終了する。
【0160】
なお、上述した実施の形態では、撮影対象決定部102、カメラ方向制御部103、および録画制御部104が保全作業録画装置1に含まれる構成として説明したが、これに限られるものではない。撮影対象決定部102、カメラ方向制御部103、および録画制御部104がそれぞれ別の装置であり、それぞれ上述した情報を送受信することによって、上述した動作を行うものであってもよい。
【0161】
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0162】
最後に、保全作業録画装置1の各ブロック、特に制御部10、および制御部20は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPU(central processing unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0163】
すなわち、保全作業録画装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである保全作業録画装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記保全作業録画装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU(microprocessor unit))が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0164】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM(compact disc read-only memory)/MO(magneto-optical)/MD(Mini Disc)/DVD(digital versatile disk)/CD−R(CD Recordable)等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM(erasable programmable read-only memory)/EEPROM(electrically erasable and programmable read-only memory)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0165】
また、保全作業録画装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(local area network)、ISDN(integrated services digital network)、VAN(value-added network)、CATV(community antenna television)通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE(institute of electrical and electronic engineers)1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(asynchronous digital subscriber loop)回線等の有線でも、IrDA(infrared data association)やリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0166】
生産ラインにおいて、保全作業者が作業を行っている蓋然性が高い設備を選択して録画することができるので、生産ラインの設備の保全作業を記録する装置に好適である。
【符号の説明】
【0167】
1 保全作業録画装置(撮影対象選択装置)
2 ネットワークカメラ
3 設備
5 ハードディスクレコーダ(画像データ記録部)
6 生産ライン
11 撮影対象決定情報記憶部(情報記憶部)
12 撮影画像記憶部(画像データ記録部)
13 カメラ方向制御情報記憶部
14 操作部
15 表示部
100 保全作業録画システム
101 信号取得部(情報取得手段)
102 撮影対象決定部(撮影対象決定手段)
103 カメラ方向制御部
104 録画制御部(録画制御手段)
105 画像データ取得部
106 画像データ記録制御部
107 平均復旧時間算出部(平均復旧時間算出手段)
108 画像データ検索部
109 表示制御部
142 短時間録画消去部(録画制御手段)
143 録画延長部(録画制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのカメラが、生産ラインに含まれる複数の設備を撮影対象として受け持ち、該複数の設備の中から、上記カメラの撮影対象となる設備を選択する撮影対象選択装置において、
上記複数の設備のうち何れかの設備で所定の事象が発生したことおよびその設備を示す発生情報と、該所定の事象が終了したことおよびその設備を示す終了情報とを取得する情報取得手段と、
上記情報取得手段が上記発生情報を取得すると、該発生情報が示す設備と同じ設備を示す終了情報を取得するまでの期間、該発生情報が示す設備を撮影対象として選択するとともに、上記期間が複数の設備で重なった場合、優先順位の高い設備を撮影対象として選択する撮影対象選択手段と、を備えていることを特徴とする撮影対象選択装置。
【請求項2】
上記優先順位は、上記情報取得手段が取得した時刻が遅い上記発生情報が示す設備ほど高くなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の撮影対象選択装置。
【請求項3】
上記設備毎に所定の情報を記憶している情報記憶部を備え、
上記撮影対象選択手段は、上記情報記憶部に記憶されている上記所定の情報を参照して上記優先順位を設定することを特徴とする請求項1また2に記載の撮影対象選択装置。
【請求項4】
上記情報記憶部に記憶されている上記所定の情報は、上記設備の上記生産ラインにおける場所を示すものであり、
上記撮影対象選択手段は、上記所定の情報を参照して、上記情報取得手段が取得した発生情報のうち、直前に取得した発生情報が示す設備の場所が、該発生情報の1つ前に取得した発生情報が示す設備の場所から所定の範囲内に存在すると判断した場合、撮影対象となる設備を変更しないことを特徴とする請求項3に記載の撮影対象選択装置。
【請求項5】
上記情報記憶部に記憶されている上記所定の情報は、各設備における生産対象物に対する処理が開始されてから終了するまでに必要とされる処理時間に相当する情報であることを特徴とする請求項3に記載の撮影対象選択装置。
【請求項6】
上記情報記憶部に記憶されている上記所定の情報は、当該設備が故障した場合に、故障が発生してから復旧処理を行って通常の処理を行えるようになるまでの時間である復旧時間に相当する情報であることを特徴とする請求項3に記載の撮影対象選択装置。
【請求項7】
上記生産ラインに含まれる複数の設備のうち、特定の設備が撮影対象として選択されている期間、上記カメラによって撮影された時系列の画像データを画像データ記録部に記録するとともに、該期間以外は記録しない制御を行う録画制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮影対象選択装置。
【請求項8】
上記生産ラインに含まれる複数の設備のうち、特定の設備が撮影対象として選択されている期間に加え、上記情報取得手段が終了情報を取得した後、所定の時間が経過するまでの期間、上記カメラによって撮影された時系列の画像データを画像データ記録部に記録するとともに、該期間以外は記録しない制御を行う録画制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮影対象選択装置。
【請求項9】
上記生産ラインに含まれる複数の設備のうち、特定の設備が撮影対象として選択されている期間に加え、上記情報取得手段が発生情報を取得したときから所定の時間だけ遡った期間、上記カメラによって撮影された時系列の画像データを画像データ記録部に記録するとともに、該期間以外は記録しない制御を行う録画制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮影対象選択装置。
【請求項10】
上記録画制御手段は、上記生産ラインに含まれる複数の設備のうち、特定の設備が撮影対象として選択されている期間が所定の時間に満たない場合、上記カメラによって撮影された時系列の画像データを画像データ記録部に記録しない制御を行うことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の撮影対象選択装置。
【請求項11】
上記生産ラインに対し、上記カメラが複数台存在し、
上記撮影対象選択手段は、上記期間が複数の設備で重なった場合、上記複数台のカメラそれぞれにより上記期間が重なった複数台の設備それぞれを撮影できるか否かを判断し、撮影できると判断すると上記複数台の設備全てを撮影対象として選択することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の撮影対象選択装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の撮影対象選択装置を動作させる撮影対象選択装置制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための撮影対象選択装置制御プログラム。
【請求項13】
請求項12記載の撮影対象選択装置制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】
1つのカメラが、生産ラインに含まれる複数の設備を撮影対象として受け持ち、該複数の設備の中から、上記カメラの撮影対象となる設備を選択する撮影対象選択装置の制御方法であって、
上記複数の設備のうち何れかの設備で所定の事象が発生したことおよびその設備を示す発生情報と、該所定の事象が終了したことおよびその設備を示す終了情報とを取得する情報取得ステップと、
上記情報取得ステップで上記発生情報を取得すると、該発生情報が示す設備と同じ設備を示す終了情報を取得するまでの期間、該発生情報が示す設備を撮影対象として選択するとともに、上記期間が複数の設備で重なった場合、優先順位の高い設備を撮影対象として選択する撮影対象選択ステップと、を含むことを特徴とする撮影対象選択装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−204758(P2010−204758A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47193(P2009−47193)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】