説明

撮影機能付きバックミラー

【課題】取付け作業時間を短縮できると共に、衝撃検知手段の補正がずれることを防止できる撮影機能付きバックミラーを提供する。
【解決手段】撮影機能付きバックミラー1は、ミラー2を保持したハウジング3と、支持部材4とを備え、前記支持部材4の一端において車両のフロントウィンドウ5に予め形成されているミラー固定座6に着脱自在に取付け得るように構成されている。また、バックミラー1には、ドライブレコーダ7が内蔵されており、車両前方の外部画像を適宜撮影し、撮影して得た画像データを保存し得るように構成されている。カメラ11と、加速度センサ12とが、ベース9に取り付けられており、半導体メモリと、加速度センサ12と、制御回路13(基板14)とがハウジング3内に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影機能付きバックミラーに関し、特に車両に搭載された撮影手段で撮影した外部画像を半導体メモリに記録する撮影機能付きバックミラーに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両走行時の前方映像を撮影し、車両への衝撃を検知して外部画像を記録する、ドライブレコーダが普及し始めている。このドライブレコーダとしては、カメラと画像の記録手段とが別体として構成されたセパレート型がある。ところが、セパレート型では、カメラと記録手段とを別々に取付けるため、取付け作業が煩雑であるだけでなく、取付け位置に後付け感が生じ、商品性に乏しいという問題があった。また、カメラをフロントウィンドウに両面テープで固定した場合、衝撃発生時に落下したり、経年使用による両面テープの劣化によって落下したりする懸念があった。
【0003】
一方、ドライブレコーダの別の従来例として、カメラと画像の記録手段とが一体として構成された一体型がある。この一体型のドライブレコーダとしては、外部画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段にて得られた画像信号を記憶するICメモリと、車両に外部から衝撃が加えられた時にこれを検出する衝撃検出手段と、所定の時間間隔にて前記撮影手段にて撮影された画像を前記ICメモリ内に記録すると共に、一定数の画像が記憶された後には逐次上書きすることにより記録画像を更新し、更に、前記衝撃検出手段にて外部からの衝撃検出された際にこの検出時から所定数の画像を記録した後これを保存する制御を行う制御手段と、バッテリ電源の供給が遮断された際、前記ICメモリ内の記録内容を保持するバックアップ電源とを有し、撮影手段、ICメモリ、衝撃検出手段、制御手段及びバックアップ電源がミラーのハウジング内に全て設置されている撮影機能付きバックミラーが開示されている(例えば特許文献1)。この撮影機能付きバックミラーによれば、後付け感もなく、商品性が高いという効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3384939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ドライブレコーダとしては、車両水平方向の衝撃を検知する必要があるため、上記特許文献1では、衝撃検出手段の設置方向によらず、正しい水平方向の衝撃を検知できるよう補正する初期化作業を行う必要がある。通常、初期化作業は、取付け作業時に行われるが、衝撃検出手段が可動可能なハウジング内に設置されているため、例えば、ユーザがバックミラーの角度調整を行うことにより、衝撃検出手段の補正がずれてしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記した問題点に鑑み、取付け作業時間を短縮できると共に、衝撃検知手段の補正がずれることを防止できる撮影機能付きバックミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る発明は、ミラーを保持したハウジングを有し、車両の外部の画像を記録する撮影機能付きバックミラーにおいて、外部画像を撮影して画像データを出力する少なくとも一つの撮影手段と、前記撮影手段から出力された前記画像データを記憶する半導体メモリと、前記車両に対し外部から加えられた衝撃を検出する衝撃検出手段と、衝撃の発生前後における外部画像を保存する制御手段とを備え、前記撮影手段と前記半導体メモリと前記制御手段とが前記ハウジング内に配置され、前記衝撃検出手段が前記車両に設置されることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る発明は、前記ハウジングは、一端が車両に固定される支持部材に連結されており、前記衝撃検出手段は、前記支持部材に設置されたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に係る発明は、前記車両に搭載された車載電源に電気的に接続されると共に、前記車載電源から供給される電源が遮断された場合に電源を供給するバックアップ電源に電気的に接続され、前記バックアップ電源は、前記ハウジング内に設置したことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に係る発明は、ミラーを保持したハウジングを有し、車両の外部画像を記録する撮影機能付きバックミラーにおいて、外部画像を撮影して画像データを出力する少なくとも一つの撮影手段と、前記撮影手段から出力された前記画像データを記憶する半導体メモリと、前記車両に対し外部から加えられた衝撃を検出する衝撃検出手段と、衝撃の発生前後における外部画像を保存する制御手段とを備え、前記半導体メモリと前記制御手段とが前記ハウジング内に配置され、前記衝撃検出手段と前記撮影手段とが前記車両に設置されることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に係る発明は、前記ハウジングは、一端が車両に固定される支持部材に連結されており、前記衝撃検出手段と前記撮影手段とは、前記支持部材に設置されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6に係る発明は、前記車両に搭載された車載電源に電気的に接続されると共に、前記車載電源から供給される電源が遮断された場合に電源を供給するバックアップ電源に電気的に接続され、前記バックアップ電源は、前記ハウジング内に設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1及び4によれば、撮影機能付きバックミラーが、撮影手段と、半導体メモリと、衝撃検出手段と、制御手段とを備えることにより、記録手段を別途取付ける必要がないので、その分だけ取付作業時間を短縮できると共に、車両に衝撃検出手段を設置したことにより、衝撃検知手段の補正がずれることを防止できる。
【0014】
本発明の請求項2及び5によれば、車両に固定される支持部材に衝撃検出手段を設置したことにより、ハウジングの角度調節を行った場合でも、衝撃検出手段が移動することを防止できるので、衝撃検知手段の補正がずれることを防止できる。
【0015】
本発明の請求項3及び6によれば、バックアップ電源を備えることにより、車両に生じた衝撃によって車載電源からの電源供給が遮断された場合でも、より確実に外部画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る撮影機能付きバックミラーの全体構成を示す図であり、(A)正面側から見た斜視図、(B)背面側から見た斜視図である。
【図2】本発明に係る撮影機能付きバックミラーの構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1に示す撮影機能付きバックミラー(以下、「バックミラー」という。)1は、ミラー2を保持したハウジング3と、支持部材4とを備え、前記支持部材4の一端において車両(図示しない)のフロントウィンドウ5に予め形成されているミラー固定座6に着脱自在に取付け得るように構成されている。また、バックミラー1には、ドライブレコーダ7が内蔵されており、車両前方の外部画像を適宜撮影し、撮影して得た画像データを保存し得るように構成されている。
【0019】
支持部材4は、軸状のステー8と、当該ステー8の一端8aに軸支されたベース9とからなる。前記ステー8の他端8bには、ハウジング3が軸支されている。
【0020】
上記構成により、バックミラー1は、ベース9に対しステー8を回動させると共に、ステー8に対しハウジング3を回動させることにより、ミラー2の向きを適宜調節し得る。尚、ベース9は、上述した通り、ミラー固定座6に取付けられて車両と一体化されており、ステー8及びハウジング3を回動した際も、移動せず保持される。
【0021】
ドライブレコーダ7は、図2に示すように、外部画像を撮影して画像データを出力する少なくとも一つの撮影手段としてのカメラ11と、前記撮影手段から出力された前記画像データを記憶する半導体メモリ(図示しない)と、前記車両に対し外部から加えられた衝撃を検出する衝撃検出手段としての加速度センサ12と、衝撃の発生前後における外部画像を保存する制御手段としての制御回路13とを備える。
【0022】
尚、制御回路13は、基板14上に設けられており、当該基板14に、前記カメラ11、半導体メモリ、加速度センサ12がそれぞれ電気的に接続されている。
【0023】
本実施形態では、カメラ11と、加速度センサ12とが、ベース9に取り付けられており、半導体メモリと、加速度センサ12と、制御回路13(基板14)とがハウジング3内に設けられている。
【0024】
カメラ11は、レンズ15と、撮像素子(図示しない)と、駆動回路(図示しない)とを備え、当該レンズ15がフロントウィンドウ5を越しに車両前方を指向するように配置されている。撮像素子は、例えば、CCDやCMOSを用いることができる。加速度センサ12は、車両の前後方向及び左右方向からの衝撃を検知し得るように構成されている。
【0025】
ベース9は、フロントウィンドウ5の傾斜と同じ角度に形成された傾斜部17と当該傾斜部17の一端に一体的に形成された鉛直方向に延びる垂下部18とを備え、カメラ取付部19と、センサ取付部20と、第1凹部21と、係合溝22とが形成されている。
【0026】
カメラ取付部19は、垂下部18の車両前方側に形成されており、レンズ15の光軸Lを車両の進行方向に対し平行に保持し得るように構成されている。カメラ取付部19の車両後方側表面には、挿通穴23が形成されており、当該挿通穴23にケーブル24aが挿通されている。
【0027】
センサ取付部20は、車両後方側の傾斜部17と垂下部18との接続部分に形成されており、加速度センサ12を所定方向に保持し得るように構成されている。
【0028】
係合溝22は、傾斜部17の車両前方側の表面に形成されており、ミラー固定座6に対し、一方向へ挿通することにより、当該ミラー固定座6に係合し得るように構成されている。
【0029】
ハウジング3は、一側が開口した箱状の部材からなり、当該ハウジング3内に基板14、第2凹部29が設けられており、開口がミラー2で閉塞されている。
【0030】
基板14は、電源配線25を介して、図示しない車載電源に電気的に接続されている。また、基板14には、コネクタ受部26aが設けられている。当該コネクタ受部26aには、ケーブル24a,24bの一端に設けられたコネクタ26bが接続されており、このケーブル24a,24bを介して、ベース9に設けられたカメラ11と、加速度センサ12とが電気的に接続されている。さらに、基板14には、ハウジング3内に設けられたバックアップ電源(図示しない)が電気的に接続されており、前記車載電源からの電源供給が遮断された場合でも、バックアップ電源から電源が供給され得るように構成されている。
【0031】
ステー8は、一端8aに第1端部27が設けられており、他端8bに第2端部28が設けられている。この第1端部27及び第2端部28は、それぞれ半球状に形成されている。また、第1凹部21及び第2凹部29も略半球状に形成されている。この第1凹部21に第1端部27が挿入されて軸支されることにより第1軸支部31が構成され、第2凹部29に第2端部28が挿入されて軸支されることにより第2軸支部32が構成される。この第1軸支部31及び第2軸支部32は、それぞれ自在継手となり、ステー8及びハウジング3がそれぞれ自由に角度を変更し得る。
【0032】
次に上記のように構成されたバックミラー1の作用及び効果について説明する。まず、バックミラー1は、ベース9をミラー固定座6に対し、一方向(図1(A)中、矢印方向)へ挿入し、係合溝22をミラー固定座6に係合することにより、車両に取付けられる。
【0033】
通常、ミラー固定座6は、フロントウィンドウ5の上部の幅方向中央に設けられている。従って、バックミラー1は、フロントウィンドウ5の上部中央に保持される。この状態で、ベース9に設けられたカメラ11は車両の前方へ指向し、ハウジング3に保持されたミラー2は車両の後方へ指向するように配置されている。また、電源配線25を図示しない車載電源に電気的に接続する。
【0034】
本実施形態において、バックミラー1は、ドライブレコーダ7を内蔵したことにより、記録手段を別途取付ける作業を省略できるため、その分だけ、取付作業時間を短縮することができる。
【0035】
次に、加速度センサ12に対し、車両前後方向及び左右方向の衝撃を正しく検知できるよう補正する初期化作業が行われる。本実施形態では、ステー8やハウジング3の角度調節によって移動することがないベース9に加速度センサ12を設けたことにより、当該角度調節によって上記補正がずれることを防止できるので、取り付け作業時に行った補正を保持することができる。
【0036】
また、本実施形態では、カメラ11をベース9に設けたことにより、乗員がミラー2の位置調節のため、ハウジング3及びステー8の角度をそれぞれ変更した場合でも、ベース9は移動しないため、レンズ15の光軸Lを車両進行方向に対し平行な状態に保持することができる。
【0037】
また、本実施形態では、バックミラー1が、ハウジング3を上下方向に傾動する防眩機構(図示しない)を備えている場合、ハウジング3を傾動させたとしても加速度センサ12及びカメラ11の位置が移動することを防止できる。
【0038】
上記のように車両に取付けられたバックミラー1は、衝撃が生じていない通常走行状態において、カメラ11で外部画像を撮影し、当該カメラ11から出力された画像データを制御回路13で受け取り、半導体メモリに一定時間保存する。ここで、制御回路13は、通常走行状態が一定時間継続した場合、既に半導体メモリに保存したデータを上書きして、新たな画像データを保存することにより、半導体メモリの記憶容量を有効に使用する。
【0039】
車両に対し、衝撃が生じた場合、ベース9に設けた加速度センサ12が当該衝撃を検知し、検知信号を生成して制御回路13へ出力する。制御回路13では、当該検知信号に基づき、予め記憶された制御プログラムに従い、衝撃発生前後の外部画像に基づく画像データを半導体メモリに保存する。
【0040】
ここで、加速度センサ12は、ステー8やハウジング3の角度変更によって移動することがないベース9に設けたことにより、初期化作業における補正を保持することができるので、より確実に衝撃を検知し得る。
【0041】
また、本実施形態では、カメラ11もベース9に設けることとしたことにより、ハウジング3及びステー8の角度をそれぞれ変更した場合でも、レンズ15の光軸Lを車両進行方向に対し平行な状態に保持することができるので、安定的に所望の外部画像を撮影し記録することができる。
【0042】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態では、カメラ11はベース9に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、加速度センサ12がベース9に設けられていれば足り、カメラ11をハウジング3に設けることとしてもよい。
【0043】
上記実施形態では、ミラー固定座6は、フロントウィンドウ5に設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、車両のルーフ内面にミラー固定座6を設けることにより、バックミラー1をルーフ内面に取付けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 バックミラー(撮影機能付きバックミラー)
2 ミラー
3 ハウジング
4 支持部材
11 カメラ(撮影手段)
12 加速度センサ(衝撃検出手段)
13 制御手段(制御回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーを保持したハウジングを有し、車両の外部の画像を記録する撮影機能付きバックミラーにおいて、
外部画像を撮影して画像データを出力する少なくとも一つの撮影手段と、
前記撮影手段から出力された前記画像データを記憶する半導体メモリと、
前記車両に対し外部から加えられた衝撃を検出する衝撃検出手段と、
衝撃の発生前後における外部画像を保存する制御手段と
を備え、
前記撮影手段と前記半導体メモリと前記制御手段とが前記ハウジング内に配置され、前記衝撃検出手段が前記車両に設置されることを特徴とする撮影機能付きバックミラー。
【請求項2】
前記ハウジングは、一端が車両に固定される支持部材に連結されており、
前記衝撃検出手段は、前記支持部材に設置されたことを特徴とする請求項1記載の撮影機能付きバックミラー。
【請求項3】
前記車両に搭載された車載電源に電気的に接続されると共に、前記車載電源から供給される電源が遮断された場合に電源を供給するバックアップ電源に電気的に接続され、前記バックアップ電源は、前記ハウジング内に設置したことを特徴とする請求項1又は2記載の撮影機能付きバックミラー。
【請求項4】
ミラーを保持したハウジングを有し、車両の外部画像を記録する撮影機能付きバックミラーにおいて、
外部画像を撮影して画像データを出力する少なくとも一つの撮影手段と、
前記撮影手段から出力された前記画像データを記憶する半導体メモリと、
前記車両に対し外部から加えられた衝撃を検出する衝撃検出手段と、
衝撃の発生前後における外部画像を保存する制御手段と
を備え、
前記半導体メモリと前記制御手段とが前記ハウジング内に配置され、前記衝撃検出手段と前記撮影手段とが前記車両に設置されることを特徴とする撮影機能付きバックミラー。
【請求項5】
前記ハウジングは、一端が車両に固定される支持部材に連結されており、
前記衝撃検出手段と前記撮影手段とは、前記支持部材に設置されたことを特徴とする請求項4記載の撮影機能付きバックミラー。
【請求項6】
前記車両に搭載された車載電源に電気的に接続されると共に、前記車載電源から供給される電源が遮断された場合に電源を供給するバックアップ電源に電気的に接続され、前記バックアップ電源は、前記ハウジング内に設置したことを特徴とする請求項4又は5記載の撮影機能付きバックミラー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−195113(P2010−195113A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40135(P2009−40135)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】