説明

撮影用照明装置及び撮像装置

【課題】「自分撮り」モードの際に、適正な発光量で赤目防止用発光を行うことが可能な撮影用照明装置及びそれを備えた撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮影用の照明光を発光する撮影用照明装置(6)であって、赤目防止用発光を行う発光部(6a)と、撮影者自身を撮影するモードを設定可能な撮像装置本体(2)において、前記モードが設定された場合に、前記発光部(6a)による赤目防止用発光の発光量を変更可能な制御部(25)と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影用の照明光を発光する撮影用照明装置及びそれを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影用照明装置を発光させて赤目防止用発光を行う撮影用照明装置がある。このような撮影用照明装置において、被写体までの距離を検出し、その距離に応じて赤目防止用発光を行うか否かを決定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−312206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、撮影者が自分を撮影する、いわゆる「自分撮り」モードの際に、適正な発光量で赤目防止用発光を行うことが可能な撮影用照明装置及びそれを備えた撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0006】
請求項1に記載の発明は、撮影用の照明光を発光する撮影用照明装置(6)であって、赤目防止用発光を行う発光部(6a)と、撮影者自身を撮影するモードを設定可能な撮像装置本体(2)において、前記モードが設定された場合に、前記発光部(6a)による赤目防止用発光の発光量を変更可能な制御部(25)と、を備えたことを特徴とする撮影用照明装置(6)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮影用照明装置(6)であって、前記制御部(25)は、前記赤目防止用発光の発光量を前記撮影者までの距離情報に応じて変更可能であること、を特徴とする撮影用照明装置(6)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の撮影用照明装置(6)であって、前記制御部(25)は、前記赤目防止用発光の発光量を前記撮影者の周囲輝度情報に応じて変更可能であること、を特徴とする撮影用照明装置(6)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の撮影用照明装置(6)であって、前記制御部(25)は、前記赤目防止用発光の発光量を、前記撮像装置で撮像される前記撮影者の顔の、撮像面に対する大きさの割合に関する情報に応じて制御可能であること、を特徴とする撮影用照明装置(6)である。
請求項5に記載の発明は、前記発光部(6a)は、前記撮影用の照明光を発光することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮影用照明装置(6)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮影用照明装置(6)を備えること、を特徴とする撮像装置(1)である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の撮像装置(1)であって、前記撮像装置(1)は、表示画面を任意の方向に配置可能であり、該表示画面上に撮像素子で撮像した画像を表示する表示部(8)を備えており、前記撮影者自身を撮影するモードは、前記表示画面(8a)が前記撮影者に対向配置されたときに、自動設定されることを特徴とする撮像装置(8)である。
【0007】
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、「自分撮り」モードの際に、適正な発光量で赤目防止用発光を行うことが可能な撮影用照明装置及びそれを備えた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態のカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】カメラ本体に対する表示部の移動状態を示した図である。
【図3】カメラにおける「自分撮り」モードの状態を示す正面図である。
【図4】レリーズ釦が押下されたときのカメラの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態のカメラ1のブロック図である。本実施形態では、カメラ1としてレンズ一体型カメラについて説明するが、これに限定されず、レンズが着脱可能なレンズ交換式カメラであってもよい。
【0011】
カメラ1には、光路Aに沿って撮影レンズ3、シャッタ4、撮像部5が順に配置されている。また、カメラ1は、被写体31を照明するための照明装置6、表示部8、レリーズ釦9、操作部11、及びこれら全体の制御を行うメイン制御部7を備えている。
【0012】
撮影レンズ3は、被写体31からの光を撮像部5の撮像面に結像させる光学系である。撮影レンズ3は、フォーカスレンズを含み、フォーカスレンズは、フォーカス制御部21によって制御されている。フォーカス制御部21は、メイン制御部7に接続され、メイン制御部は、撮像部5によって撮像された被写体像に基づき、コントラスト方式のオートフォーカス制御(AF制御)により、撮像部5において合焦するようにフォーカス制御部21を介してフォーカスレンズを駆動する。
【0013】
撮像部5は、撮影レンズ3を通過した被写体光を電気信号に変換して出力する、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を含む。そして、電気信号に変換された信号は、デジタル信号に変換されてメイン制御部7に出力される。
【0014】
照明装置6は、本実施形態においてカメラ1の本体に内蔵されている。ただしこれに限定されず、カメラ1に着脱可能な照明装置であってもよい。照明装置6は、キセノン管等の発光部6aを備えている。発光部6aは、図示しないコンデンサから供給される電気エネルギーを光エネルギーに変換して、撮影用の照明光として閃光を発光し、被写体31を照明する。照明装置6の発光は、メイン制御部7に接続された照明制御部25の制御によって行われる。照明制御部25は、照明装置6が発光する発光量を、メイン制御部7からの制御信号によって制御する。
【0015】
表示部8は、撮像部5から出力された被写体31の画像、撮影済みの画像、設定された撮影条件、撮影条件を設定するためのメニュー等を可視表示する。表示部8としては、液晶表示パネルを用いることができる。表示部8は、表示制御部19を介してメイン制御部7により制御される。表示部8は、撮影時の被写体31の画像をリアルタイムで、いわゆるスルー画として表示可能となっている。
【0016】
また、表示部8は、カメラ本体2に対して移動可能となっている。図2はカメラ本体2に対する表示部8の移動状態を示した図である。カメラ本体2の背面には、凹部8bが形成されており、表示部8は、通常の状態で図2(a)に示すようにその凹部8bに収納されている。そして表示部8は、図2(a)における下端を軸として図2(b)矢印で示すように図2(a)における上端が下になるように回転可能となっている。図2(b)の状態を正面から(撮影レンズ3が設けられている側)から見た図が図3である。
【0017】
ここで、表示制御部19は、表示部8の状態(回転しているか等)を検知することができる。そして、表示制御部19は、表示部8が図2(a)の状態から図2(b)の状態になるように回転すると、表示部8の表示画面8aにおける上下を逆にする。図3は、表示制御部19により表示画面8aの上下が切り替えられた状態を示す。このように、図2(a)の位置においても、図2(b)の位置においても、表示画面8aの上下は常に正しく表示される。
【0018】
図3の状態において撮影者は、撮影レンズ3を自分側に向け、自己の像を観察しながら自己の撮影が可能となる。この状態になると表示制御部19は、カメラ1がいわゆる「自分撮り」モードであると判断し、メイン制御部7にその判断結果を送る。
【0019】
図1に戻り、レリーズ釦9は、撮影を行うために押圧操作される釦である。レリーズ釦9の押圧操作は、「半押し」及び「全押し」の2段階で行われる。すなわち、撮影時にレリーズ釦9を押圧すると、先ず半押し状態となり、フォーカス制御部21によりAF動作が行われ、フォーカスレンズが駆動される。レリーズ釦9の全押しで、照明装置6の赤目発光し、その後、本発光が行われるとともにシャッタ4が開放されて被写体31の撮影が行われる。
【0020】
操作部11は、図示しない十字キー釦、ズーム釦、セットキー釦、その他の機能選択キー釦を含んでおり、操作部11を介してカメラ1の初期設定、撮影条件等を設定することが可能となっている。また、操作部11は、赤目防止発光を行うか否かの設定も行うことができるようになっている。赤目防止発光は、赤目防止発光を行うように設定された場合のみ行われる。
【0021】
次に、本実施形態の動作について説明する。図4は、レリーズ釦9が押された場合のカメラ1の動作を示すフローチャートである。
レリーズ釦9が半押しにされる(ステップ11,以下、ステップをSで表す)と、メイン制御部7は、フォーカス制御部21により撮影レンズ3を駆動し、AFを行う(S12)。
レリーズ釦9が全押しされると(S13)、メイン制御部7は赤目防止発光が設定されているかを判断する(S14)。
赤目防止発光が設定されている場合(S14,Yes)、メイン制御部7は、「自分撮り」モードあるかどうかを判断する(S15)。
「自分撮り」モードである場合(S15,Yes)、メイン制御部7は、赤目防止発光の発光量を所定量軽減するように照明制御部25に指示し(S16)、照明制御部25は照明装置6により所定量軽減された赤目防止発光を行う(S17)。なお、この軽減量は、メイン制御部7に接続された図示しない記憶部に記憶されているものとする。
赤目防止発光が完了すると、照明制御部25は照明装置6により本発光(被写体31を撮影用に照明する発光)を行い、それと同時にシャッタ4を開いて撮像部5により被写体像を撮像する(S18)。
一方、S14において、赤目防止発光が設定されていないと判断されると(S14,No)、赤目防止発光は行わずに、S18の本発光及び撮影を行う。
また、S15において「自分撮り」モードでないと判断されると(S15,No)、赤目防止発光の発光量を軽減せずに、通常の発光量で赤目防止発光が行われる(S17)。
【0022】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)「自分撮り」モードの場合、被写体(撮影者)とカメラとの距離は通常近い。このため、照明装置6の発光量は少なくても赤目防止効果は達成される。本実施形態において表示部8の表示画面8aが撮影者に対向配置されたときに、「「自分撮り」モード」になったと判断され、赤目防止発光量が自動的に減少される。従って、必要十分な赤目防止発光が行われ、不用な電力消費を防止することができる。
(2)撮影レンズ3側から8表示画面8aが観察されるように表示部8が回転すると、メイン制御部7は「「自分撮り」モード」であると自動的に判断し、自動的に赤目防止発光量が減少されるので、操作が容易である。
【0023】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)「自分撮り」モードになった場合に、赤目防止発光の発光量を一律に減少させるのではなく、さらに、例えばAFにおけるフォーカスレンズの位置等より被写体(撮影者)までの距離を検出し、その検出結果に応じて赤目防止用の発光量を変更するようしてもよい。「自分撮り」モードにおいても手を伸ばして撮影した場合と、手を曲げて撮影した場合とでは被写体とカメラとの距離が替わる場合があるからである。これによると、赤目防止発光量をより適正な発光量にすることができ、無駄な発光を行わないことで電力消費を防止することができ、また発光量が少なすぎて赤目が防止されないという不都合も回避することができる。
【0024】
(2)上述の(1)においてカメラは、撮像部5に入力された画像から被写体31の顔を認識し、抽出した顔の撮像面に対する大きさの割合から、被写体までの距離を算出するようにしてもよい。さらに、被写体までの距離は、三角測距等により行ってもよい。
【0025】
(3)「自分撮り」モードになった場合に、赤目防止発光の発光量を一律に減少させるのではなく、赤目防止用発光の発光量を周囲輝度に変更するようにしてもよい。これによると、赤目防止発光量をより適正な発光量にすることができ、無駄な発光を行わないことで電力消費を防止することができ、また発光量が少なすぎて赤目が防止されないという不都合も回避することができる。
【0026】
(4)本実施形態では撮影用の照明を行う部分と、赤目防止発光を行う部分とを同一の照明装置としたが、これに限定されず、それぞれ別個の照明装置(例えば撮影用照明装置はキセノン管で、赤目防止発光用の照明装置はLED)を備えていてもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0027】
1:カメラ、3:撮影レンズ、4:シャッタ、5:撮像部、6:撮影用照明装置、6a:発光部、7:メイン制御部、8:表示部、25:照明制御部、31:被写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影用の照明光を発光する撮影用照明装置であって、
赤目防止用発光を行う発光部と、
撮影者自身を撮影するモードを設定可能な撮像装置本体において、前記モードが設定された場合に、前記発光部による赤目防止用発光の発光量を変更可能な制御部と、
を備えたことを特徴とする撮影用照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影用照明装置であって、
前記制御部は、前記赤目防止用発光の発光量を前記撮影者までの距離情報に応じて変更可能であること、
を特徴とする撮影用照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮影用照明装置であって、
前記制御部は、前記赤目防止用発光の発光量を前記撮影者の周囲輝度情報に応じて変更可能であること、
を特徴とする撮影用照明装置。
【請求項4】
請求項1に記載の撮影用照明装置であって、
前記制御部は、前記赤目防止用発光の発光量を、前記撮像装置で撮像される前記撮影者の顔の、撮像面に対する大きさの割合に関する情報に応じて制御可能であること、
を特徴とする撮影用照明装置。
【請求項5】
前記発光部は、前記撮影用の照明光を発光することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮影用照明装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮影用照明装置を備えること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置であって、
前記撮像装置は、表示画面を任意の方向に配置可能であり、該表示画面上に撮像素子で撮像した画像を表示する表示部を備えており、
前記撮影者自身を撮影するモードは、前記表示画面が前記撮影者に対向配置されたときに、自動設定されることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−160217(P2010−160217A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1033(P2009−1033)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】