説明

操作スイッチ

【課題】スイッチ内部のロック機構が故障してノブが勝手にスイッチオフ位置に位置する状態をとったとしても、この時にスイッチ接点がオンする状態にならないようにすることができる操作スイッチを提供する。
【解決手段】操作スイッチ2は、ノブ3を押し込み操作して内部のロック機構9によりロックをかけて押し込み位置に保持するとスイッチ接点がオフし、内部のロック機構9を外してノブ3が飛び出し位置をとるとスイッチ接点がオン状態となるノーマリークローズ型のスイッチである。ロック機構9には、その係止箇所としてロックピン10が設けられ、このロックピン10にスイッチ接点機能を追加する。これにより、ロックピン10が外れる等の故障が生じた際、ノブ3は勝手に飛び出し状態をとってしまうが、この時はロックピン10を構成部品とするロックピン接点31がオフ状態をとるので、操作スイッチ2のスイッチ接点がオフを維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機器や装置を動作させる時の操作箇所として使用する操作スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器や装置等を操作する際の入力系として種々のスイッチが開発されている。この種のスイッチには、例えばオルタネート型スイッチというものがある。このオルタネート型スイッチは、飛び出し状態にあるノブを指等で押し込むと、スイッチ内部のスイッチ接点が切り換り、この時はスイッチ内部のロック機構がロック状態に切り換わってノブの押し込み状態が保持されることにより、その押す力を取り除いてもノブが押し込み位置を保ち続け、更にノブをもう一度押し込むと、スイッチ内部のロック機構がアンロック状態に戻り、ノブが元の飛び出し位置に復帰して、スイッチ内部のスイッチ接点が元に戻るスイッチである。この種のオルタネート型スイッチの一例は、例えば特許文献1等に開示されている。
【特許文献1】特開2003−138830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、オルタネート型スイッチの一種には、例えばノブが飛び出し状態をとるときにスイッチ接点がオン状態をとり、ノブが押し込み状態をとるときにスイッチ接点がオフ状態をとるノーマリークローズ型スイッチ(b接点スイッチとも言う)がある。しかし、この種のノーマリー型スイッチにおいては、例えばスイッチ内部のロック機構が故障すると、それまでスイッチ接点をすべく押し込み位置をとっていたノブが勝手に飛び出してこの状態をとったままになるので、スイッチ接点はオンのままの接点状態をとり続けてしまう。よって、このときは、操作者の意志に関係なくスイッチ接点がオンし続けて負荷に電流が流れ続け、例えばこの種のスイッチを車両に使用していた場合には、電流を流す負荷によってはこれが車載バッテリ上がりに繋がる懸念があった。
【0004】
本発明の目的は、スイッチ内部のロック機構が故障してノブが勝手にスイッチオフ位置に位置する状態をとったとしても、この時にスイッチ接点がオンする状態にならないようにすることができる操作スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決するために、本発明では、第1位置にあるノブがその位置復帰機構に抗して第2位置に操作されると、それまでオン状態をとっていたスイッチ接点がオフ状態に切り換わるとともに、ロック機構がロック状態をとることで前記ノブがその第2位置状態で保持されて前記スイッチ接点のオフ状態が維持され、前記ノブの操作により前記ロック状態が解除されると、前記第2位置状態にある前記ノブが前記位置復帰機構により元の第1位置状態に戻って前記ロック機構がアンロック状態となり、前記スイッチ接点がオフ状態からオン状態に切り換わる操作スイッチにおいて、前記ロック機構の一部品を前記スイッチ接点の構成部品として用いたことを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、ノブがロック機構による位置の規制状態から外れて位置復帰機構により第1位置に位置する際、スイッチ接点がオン状態をとる。この第1位置にあるノブを位置復帰機構に抗して第2位置に操作すると、ノブはロック機構によりその第2位置で位置が保持されるとともに、それまでオン状態をとっていたスイッチ接点がオフ状態に切り換わる。そして、第2位置にあるノブを再度操作すると、ノブを第2位置で保持していたロック機構のロックが外れ、ノブは位置復帰機構により元の第1位置に復帰して、スイッチ接点が元のオン状態をとる。
【0007】
ところで、操作スイッチの使用状況によってはロック機構が故障する場合も想定されるが、ロック機構が利いていない時にノブが第1位置に位置してスイッチ接点がオン状態をとする本例のスイッチにおいては、ロック機構が故障するとノブが勝手に第1位置に位置してしまい、スイッチ接点が常時オン状態をとってしまう。この場合、操作者の意志に関係なくスイッチが常時入り続けるので、これがバッテリ上がりに繋がる懸念があった。しかし、本例においては、ロック機構の一部品をスイッチ接点の構成部品として用いたので、ロック機構が故障すると、必然的にスイッチ接点がオフする状態となる。このため、ロック機構が故障しても、それまでのスイッチオフ状態が維持され、スイッチがオンし続けてしまう不具合を生じ難くすることが可能となる。
【0008】
本発明では、前記ロック機構は、前記ノブを可動可能に支持するノブ支持部材及び前記ノブの一方に設けられたロック部材を、前記ノブ及びノブ支持部材の他方に設けられた被ロック部材に係止することでロック状態をとり、前記係止を外しつつ前記ロック部材を前記位置復帰機構により前記被ロック部材から離脱させると、前記ロック部材及び前記被ロック部材が非係止をとってアンロック状態となる機構であって、前記ロック部材を導電性部材とし、前記ロック機構がアンロック状態をとる際、前記スイッチ接点の一対の接点部の間を前記ロック部材により電気的に接続可能とし、前記ノブを前記第1位置から前記第2位置に押し込んで前記ロック機構をロック状態とした際、当該ノブの動きに伴って前記ロック部材が前記接点部から位置ずれして、当該接点部の間の通電が遮断されることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、ロック機構の故障はロック部材がその取付部から外れてしまう故障が多いので、ロック機構の一部品をスイッチ接点の構成部品として用いるに際して、ロック部材をスイッチ接点の構成部品とすれば、より効率よくロック機構の故障にスイッチ接点のオフを連動させることが可能となる。即ち、ロック機構が故障した際に、より確実にスイッチ接点をオフのままに維持することが可能となる。
【0010】
本発明では、前記ロック機構は、方向性を有する段差を持ったハートカム溝に、前記ノブを押圧操作することによりロック部材を係脱して、ロック状態又はアンロック状態が切り換えられるハートカム型であり、しかも前記ロック部材を下側から押し上げた状態で支持する持上部材を持ち、当該ロック部材を前記持上部材により被ロック部材の側に押し付けた取り付け状態をとることで、前記ロック部材が前記被ロック部材に係止することを確保する機構であって、前記ロック部材及び前記持上部材を導電性部材とし、前記ロック機構がアンロック状態をとる際、前記スイッチ接点の一対の接点部の間を前記ロック部材及び前記持上部材により電気的に接続可能とし、前記ノブを前記第1位置から前記第2位置に押し込んで前記ロック機構をロック状態とした際、当該ノブの動きに伴って前記ロック部材及び持上部材が前記接点部から位置ずれして、当該接点部の間の通電が遮断されることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、ロック機構としてハートカム型を用いたので、この種のハートカム型ロック機構は構造が比較的簡素であるので、ロック機構の一部品をスイッチ接点の構成部品として用いるに際して構造が複雑化しない。また、ロック機構におけるスイッチ接点の構成部品はロック部材及び持上部材の2者からなるので、例えばロック部材単体の時には届かない場所に、このスイッチ接点の接点部を設けることも可能となるので、接点部の配置位置の自由度を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロックが故障した際に、スイッチ接点が勝手にオンしてしまう状況を生じ難くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した操作スイッチの一実施形態を図1〜図12に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、各種車載機器を動作させる際に操作する操作スイッチ2が設けられている。操作スイッチ2には、その操作箇所としてノブ3が設けられ、このノブ3を操作(本例は押圧操作)することにより、車載機器を動作させることが可能となっている。この種の操作スイッチ2の例としては、例えば車両1のハザードランプを点灯する時に操作するハザードスイッチや、車両1でフォグランプを点灯する時に操作するフォグスイッチ等がある。
【0014】
本例の操作スイッチ2は、そのスイッチ種類がオルタネート型となっている。オルタネート型スイッチは、飛び出し状態にあるノブ3を押圧操作してスイッチ接点4(図9〜図12参照)の接点状態を切り換えると、ノブ3から手を離してもその押し込み状態が保持されることで接点状態が維持され、更にノブ3をもう一度押圧操作すると、元の飛び出し状態に戻ってスイッチ接点4が元の接点状態に戻るスイッチである。また、本例の操作スイッチ2は、オルタネート型であることに加えてノーマリークローズ型でもある。ノーマリークローズ型スイッチは、ノブ3が飛び出し状態のときにスイッチ接点4がオン状態をとり、ノブ3が押し込み状態のときにスイッチ接点4がオフ状態をとるスイッチである。
【0015】
図3に示すように、車体5には、ノブ3を直線方向(図3の矢印A方向)にスライド移動可能な状態で収納する収納ケース6が取り付けられている。収納ケース6は、例えば略箱形状をなしつつ、車室側に開く開口穴7にノブ3がスライド移動可能に取り付けられている。また、ノブ3と収納ケース6との間には、ノブ3を手前側(ノブ飛び出し側)に付勢する付勢部材8が介装されている。この付勢部材8は、例えばコイルスプリング等からなり、ノブ押し込み側にあるノブ3をノブ飛び出し側に付勢する。ノブ3は、収納ケース6に取り付けられた際において、この収納ケース6から抜け出さないように、例えばノブ3に形成した係止片(図示略)を収納ケース6に係止可能とするなどして抜け止めが施されている。なお、収納ケース6がノブ支持部材に相当し、付勢部材8が位置復帰機構に相当する。
【0016】
図2〜図4に示すように、操作スイッチ2には、飛び出し位置(第1位置)にあるノブ3を押し込み操作した際にノブ3をその押し込み位置(第2位置)で保持するハートカム型ロック機構9が設けられている。このハートカム型ロック機構9においては、ノブ3に、このロック機構9の係止側の部品としてロックピン10が取り付けられている。ロックピン10は、導電性部材(例えば鉄等)からなり、両端の端部を逆向きの方向に略90度折り曲げた形状をとっている。また、ノブ3の内部においてその先端寄りの位置には、上面が開口したピン穴11(図6〜図8参照)が形成されている。ロックピン10は、自身の一端部12(図6及び図7参照)をこのピン穴11に摺動可能に取り付けることにより、平面方向(水平面)に沿ってこの一端部12を中心に回動可能となっている。ロックピン10の両側には、ロックピン10の回動範囲を規制する一対の回動規制部13,13が立設されている。なお、ハートカム型ロック機構9がロック機構に相当する。
【0017】
また、ノブ3には、ロックピン10に隣接する位置において、ロックピン10を下側から押し上げるようにして支持するコンタクト14が取り付けられている。このコンタクト14は、導電性部材(例えば鉄等)からなるとともにロックピン10側に延びる支持片15を有し、この支持片15でロックピン10を持ち上げるように下支えすることにより、ロックピン10がテンションを持った状態で被係止部側に接触するように機能する。また、ノブ3の内部には、切り込みにより形成された係止溝16(図6参照)が設けられ、この係止溝16にコンタクト14の根元を挿し込むことにより、ノブ3に取り付けられている。コンタクト14は、ノブ3の内部においてロックピン10の隣位置に形成された支持台17(図2参照)により、位置決め状態で支持されている。なお、ロックピン10が一部品(ロック部材)に相当し、コンタクト14が一部品(持上部材)に相当する。
【0018】
図3に示すように、収納ケース6の上部に開口形成された取付部18には、収納ケース6の一部品をなすケース部品19が着脱可能に取り付けられている。また、図4に示すように、このケース部品19の内面には、ロックピン10の係止先として被係止部20が設けられている。被係止部20には、平面視形状がハート形をなすハートカム部21と、このハートカム部21を周囲から囲むことによりハートカム部21と協同してロックピン10の通過経路を形成する通路形成部22とが設けられている。ハートカム部21には、ハートカム型ロック機構9がロック状態をとる時にロックピン10が係止状態をとるハートカム溝23が形成されている。また、通路形成部22には、飛び出し状態にあるノブ3を押し込み状態に操作する時にロックピン10が通る経路として第1経路部24が形成されるとともに、押し込み状態にあるノブ3を飛び出し状態に操作する時にロックピン10が通る経路として第2経路部25が形成されている。なお、被係止部20が被ロック部材に相当する。
【0019】
図5(a)に示すように、ロックピン10がハートカム溝23に係止しない場合、この時はハートカム型ロック機構9がアンロック状態をとる。このとき、ノブ3は付勢部材8の付勢力により手前側に押し出されることによって飛び出し位置をとる。ここで、図5(b)に示すように、飛び出し状態にあるノブ3を奥に押し込むと、この押圧操作に伴ってロックピン10が奥側に移動し、ハートカム部21において第1経路部24側の外周面21aにロックピン10は当接する。そして、ノブ3の押圧操作を継続すると、ロックピン10が外周面21aを登り、第1経路部24に至る状態をとる。この状態になると、これ以降はノブ3を更に奥に押し込むことができないので、操作者はノブ3から手を離すことになるが、操作者がノブ3から手を離すと、今度は付勢部材8の付勢力によってノブ3が手前側に移動を開始し、この動きに伴ってロックピン10がハートカム部21に向かって動く。そして、図5(c)に示すように、ロックピン10がハートカム溝23に係止してハートカム型ロック機構9がロック状態となり、ノブ3が押し込み位置で保持される。
【0020】
逆に、押し込み状態にあるノブ3を元の飛び出し状態に戻すには、図5(d)に示すように、ノブ3を一度奥側に押し込む。このとき、第1経路部24及び第2経路部25を区画する区画部26の斜面26aをロックピン10は登り、第2経路部25に至る状態をとる。この状態をとると、これ以降はノブ3を更に奥に押し込むことができないので、操作者はノブ3から手を離すことになるが、この状態で操作者がノブ3から手を離すと、図5(e)に示すように、ノブ3が付勢部材8の付勢力によって手前側に移動を開始し、ロックピン10は通路形成部22の側壁22aを伝って動くことで、ハートカム部21を通過して元の移動開始位置に向かう動作をとる。そして、ロックピン10が元の移動開始点に戻るとハートカム型ロック機構9がアンロック状態に切り換わり、ノブ3が元の飛び出し状態に戻る。
【0021】
図2及び図3に示すように、ノブ3とケース部品19との間には、スイッチ接点4を構成する一接点として通常接点27が設けられている。この通常接点27は、この操作スイッチ2に元来から存在する接点であって、役割としてスイッチ機能のみを持つものである。通常接点27は、ノブ3に取り付けられた通常接点側可動接点28と、ケース部品19に取り付けられた通常接点側固定接点29(図3参照)とからなる。通常接点側可動接点28は、略U字形状をなすとともに、電流経路の上位側に位置する第1通常接点側可動接点28aと、電流経路の下位側に位置する第2通常接点側可動接点28bとからなる。ノブ3の内部には、コンタクト14の係止溝16に対してその反対側の位置に、切り込みからなる係止溝30(図6〜図8参照)が設けられ、この係止溝30に通常接点側可動接点28の根元を挿し込むことにより、ノブ3に取り付けられている。通常接点側可動接点28は、係止溝30に挿し込まれた状態をとる際、ノブ3の内部に形成された支持台3a(図2参照)により位置決めされた状態をとる。また、通常接点側固定接点29は、第1通常接点側可動接点28aと接触可能な第1通常接点側固定接点29と、第2通常接点側可動接点28bと接触可能な第2通常接点側固定接点29bとからなる。
【0022】
また、本例の操作スイッチ2には、ハートカム型ロック機構9のロックピン10及びコンタクト14にロック機能のみならずスイッチ機能を追加することにより、ロックピン接点31が設けられている。ロックピン接点31は、ロックピン10及びコンタクト14がロックピン接点側可動接点32として機能し、この可動接点32の接触先となるロックピン接点側固定接点33をケース部品19に設けることによりなる。ロックピン10及びコンタクト14をスイッチ接点4として利用するに際しては、これらを導電性部材とする必要がある。また、ロックピン10及びコンタクト14は、コンタクト14がロックピン10を下側から押し付けるように下支えする構造をとることにより、互いの接触状態が確保されている。
【0023】
ロックピン接点側可動接点32は、略U形状をなしたコンタクト14の一先端が第1ロックピン接点側可動接点32aとなり、ロックピン10の先端が第2ロックピン接点側可動接点32bとなる。これら可動接点32a,32bは、可動接点32a(コンタクト14)が電流経路上位側の可動接点となり、可動接点32b(ロックピン10)が電流経路下流側の可動接点となっている。また、ロックピン接点側固定接点33は、第1ロックピン接点側可動接点32aと接触可能な第1ロックピン接点側固定接点33aと、第2ロックピン接点側可動接点32bと接触可能な第2ロックピン接点側固定接点33bとからなる。通常接点27及びロックピン接点31は、第2通常接点側固定接点29bを第1ロックピン接点側固定接点33aに電気的に接続(同一金属板で形成)することにより、直列接続されている。なお、固定接点29,33が接点部を構成する。
【0024】
図6に示すように、ノブ3が飛び出し状態をとった場合、ハートカム型ロック機構9はアンロック状態をとり、この時は通常接点側可動接点28a,28bが通常接点側固定接点29a,29bに接触する状態をとり、しかもロックピン接点側可動接点32a,32bがロックピン接点側固定接点33a,33bに接触する状態をとる。即ち、ノブ3が飛び出し状態をとった際には、通常接点27及びロックピン接点31がともにオン状態となる。よって、直列回路をなす通常接点27及びロックピン接点31がともにオン状態となれば、操作スイッチ2のスイッチ回路34が閉回路を形成するので、操作スイッチ2がオン状態となる。
【0025】
一方、図7に示すように、ノブ3が押し込み状態をとった場合、この時はハートカム型ロック機構9がロック状態をとり、この時は通常接点側可動接点28a,28bが通常接点側固定接点29a,29bに対して非接触の状態をとり、しかもロックピン接点側可動接点32a,32bがロックピン接点側固定接点33a,33bに対して非接触の状態をとる。即ち、ノブ3が押し込み状態をとった際には、通常接点27及びロックピン接点31がともにオフ状態となる。よって、直列回路をなす通常接点27及びロックピン接点31がともにオフ状態となれば、操作スイッチ2のスイッチ回路34が開回路(オープン回路)となるので、操作スイッチ2がオフ状態となる。
【0026】
また、本例のロックピン接点31は、図8に示す例のように、ロック機構9が故障した場合にそれまで押し込み状態をとっていたノブ3が操作者の意志に関係なく飛び出し状態をとってしまっても、スイッチ回路34が開回路(オープン回路)をとることを強制的に維持して、操作スイッチ2の意図しないオン操作への切り換わりを防止するスイッチオン強制遮断機能を持つ。このスイッチオン強制遮断機能は、例えば振動や衝撃等を原因にロックピン10がピン穴11から外れてハートカム型ロック機構9が故障した場合、この故障によりロックピン10がノブ3から外れれば、それに伴ってロックピン接点31がオフ状態をとるので、これを利用してスイッチ回路34を強制的にオフ状態のままで維持する機能である。
【0027】
図9に示すように、通常接点27及びロックピン接点31の直列回路には、操作スイッチ2のスイッチ状態を監視するスイッチ制御ECU35が接続されている。スイッチ制御ECU35は、スイッチ回路34の通電状態を監視することにより、操作スイッチ2のスイッチ状態を判定し、通常接点27及びロックピン接点31の両方がオン状態となってスイッチ回路34が閉回路をとると、自身に流れ込む電流を検知して操作スイッチ2をオン判定する。また、スイッチ制御ECU35は、通常接点27及びロックピン接点31の少なくとも一方がオフ状態となってスイッチ回路34が開回路をとると、自身に電流が流れ込まないので、操作スイッチ2をオフ判定する。
【0028】
次に、本例の操作スイッチ2(スイッチ接点4)の動作を説明する。
図10に示すように、操作スイッチ2が押し込み状態をとった場合、ロックピン10がハートカム溝23に係止する状態をとってハートカム型ロック機構9がロック状態をとるので、ノブ3はこの押し込み位置で位置が保持される。このように、ノブ3がこの押し込み状態をとる際、通常接点27及びロックピン接点31は両方がオフ状態をとるので、電源の電流がスイッチ回路34に流れ込まず、スイッチ回路34は開回路をとる状態となる。よって、スイッチ制御ECU35は、スイッチ回路34が開回路をとっていることを検知するので、この時の操作スイッチ2のスイッチ状態をオフ判定、即ち操作スイッチ2が操作されていないものとして判定する。
【0029】
この操作スイッチ2をオフからオンに操作するには、まずは最初にノブ3を一旦押し込み動作する。すると、ロックピン10とハートカム溝23との係止が解除されて、ロックピン10がフリーの状態になる。これにより、ノブ3は付勢部材8の付勢力によって飛び出し位置側に押し出され、図11に示すように、ノブ3が飛び出し位置に位置する。このように、ノブ3が飛び出し状態をとる際、通常接点27及びロックピン接点31は両方がオン状態をとるので、電源の電流がスイッチ回路34に流れ出してスイッチ回路34が閉回路をとる。これにより、スイッチ制御ECU35は、スイッチ回路34が閉回路をとっていることを検知するので、この時の操作スイッチ2のスイッチ状態をオン判定、即ち操作スイッチ2がオン操作されたものとして判定する。
【0030】
ところで、ノブ3が押し込み状態(即ち、操作スイッチ2のスイッチ状態がオフ)の際に、車両1に加わる振動や衝撃等や若しくはロック機構9の劣化等を原因に、ハートカム型ロック機構9が故障する場合も想定される。この故障としては、例えばロックピン10がピン穴11から外れてしまう故障が多い。このように、ロックピン10がピン穴11から外れる故障が発生すると、それまでハートカム型ロック機構9により押し込み位置で位置保持されていたノブ3はフリーの状態となり、ノブ3は付勢部材8の付勢力によって飛び出し位置に位置し続ける状態をとってしまう。こうなると、操作スイッチ2のスイッチ接点4がオンしっぱなしになり、これが車載バッテリ上がりの懸念に繋がる。
【0031】
しかし、本例においては、ハートカム型ロック機構9の一構成部品であるロックピン10及びコンタクト14に、ノブ3をその押し込み位置で保持するロック機能のみならず、スイッチ接点4の接点機能を追加することにより、これをロックピン接点31として使用した。このため、例えば仮にロックピン10がピン穴11から外れてロック機構9が故障したとしても、この故障時は図12に示すようにノブ3が勝手に飛び出し位置に位置する状態をとってしまうが、この時はロックピン接点31が常にオフ状態をとるので、スイッチ接点4がオフ状態のままに維持される。よって、ユーザの意志に関係なくスイッチ接点4が勝手にオンし続ける状況が回避されるので、車載バッテリ上がりの懸念や、電流が勝手に流れ続けることで生じる部品の高熱化を原因とする車両火災の発生も生じ難くすることが可能となる。
【0032】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)ロック機能を持つハートカム型ロック機構9のロックピン10及びコンタクト14にスイッチ接点4の接点機能を追加し、このロックピン接点31を操作スイッチ2のスイッチ接点4として使用した。これにより、例えばロックピン10がピン穴11から外れてハートカム型ロック機構9が故障した際、それまで押し込み位置に位置していたノブ3が勝手に飛び出し位置に位置する状態となっても、この時はロックピン接点31がオフ状態をとることでスイッチ接点4がオフ状態を維持する。よって、ハートカム型ロック機構9が故障した際にスイッチ接点4が勝手にオン状態をとり続ける状況を生じ難くすることができ、車両1のバッテリ上がりや車両火災等の諸問題を発生し難くすることができる。
【0033】
(2)ハートカム型ロック機構9等のこの種のロック機構で発生する故障としては、ロックピン10がそのピン穴11から外れてしまう故障が最も多い。よって、ハートカム型ロック機構9の一構成部品にスイッチ接点機能を追加する場合、本例のようにロックピン10にスイッチ接点機能を持たせるようにすれば、ロック機構9が故障した時により確実にスイッチ接点4にオフ状態をとらせることが可能となるので、より効率よくロック機構9の故障にスイッチ接点4のオフを連動させることができる。即ち、ロック機構9が故障した際に、より確実にスイッチ接点4をオフのままに維持することができる。
【0034】
(3)ハートカム型ロック機構9にスイッチ機能を追加する際の対象部品は、ロックピン10及びコンタクト14の2種の部品である。このため、例えばロックピン接点31の固定接点33aが部品配置の関係上、離れた箇所にしか配置できない場合であっても、コンタクト14を介在させたり或いはコンタクト14の形状を工夫したりすることにより、ロックピン接点31の可動接点32aを固定接点33aに届かせることができる。よって、ロックピン接点31の接点部の配置自由度が増すことになり、操作スイッチ2の部品レイアウトにも制限が生じ難くなる。
【0035】
(4)ノブ3を押し込み状態で保持するロック機構としてハートカム型ロック機構9を使用したので、この種のハートカム型ロック機構9は構造が比較的簡素であるので、ロック機構9の一部品をスイッチ接点4の構成部品として用いるに際して、その構造が複雑化しなくなる。
【0036】
(5)操作スイッチ2のスイッチ接点4は、通常接点27及びロックピン接点31の直列回路からなるので、例えばこれら接点27,31の各々の接点状態(接点端子間電圧)をスイッチ制御ECU35で監視し、これら接点27,31の接点状態に合わせた処理を行うことも可能である。この場合、例えば通常接点27がオン状態をとるもののロックピン接点31がオフ状態をとることが確認できれば、これを以てロック機構9が故障したと判定し、その旨を操作者に通知する動作を実施することもできる。よって、操作スイッチ2にこのような処理を追加搭載すれば、操作スイッチ2をより高性能なスイッチとすることができる。
【0037】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ 操作スイッチ2のスイッチ接点4は、必ずしも通常接点27及びロックピン接点31の2者(直列回路)からなる接点に限定されない。例えば、図13に示すように、このスイッチ接点4をロックピン接点31のみで構成してもよい。
【0038】
・ ロックピン接点31の可動接点32は、必ずしもロックピン10及びコンタクト14の2者からなることに限定されない。例えば、図14に示すように、この可動接点32をロックピン10のみで構成してもよい。
【0039】
・ スイッチ機能を持たせるロック機構9の一部品は、必ずしもロックピン10及びコンタクト14に限らず、ロック機構9を構成する部品であれば、これは特に限定されない。
【0040】
・ 操作スイッチ2は、ノブ3を押し込み操作する押圧式に限定されず、例えば回転式やスライド式を採用してもよい。
・ 操作スイッチ2は、飛び出し状態をとるときにロック機構9が利いてスイッチがオフ状態をとり、押し込み状態をとるときにロック機構9が利かずにスイッチがオン状態をとるものでもよい。
【0041】
・ ロック機構は、必ずしもハートカム型に限定されず、ノブ3を所定位置に位置決め状態で保持できるものであればよい。
・ ロック機構9の係止側であるロックピン10(コンタクト14)をノブ3側に設け、その被係止側となる被係止部20を収納ケース6側に設けることに限らず、これを逆の組み合わせとしてもよい。
【0042】
・ 押し込み位置にあるノブ3を元の飛び出し位置に戻す位置付勢機構は、必ずしもコイルスプリングに限らず、例えばゴム材等の他の付勢部材を採用してもよい。
・ 操作スイッチ2の搭載対象は、必ずしも車両に限らず、この種の操作スイッチ2を持つ他の各種装置や機器に搭載してもよい。
【0043】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)請求項1〜3のいずれかにおいて、前記ロック機構は、前記ロック部材を下側から押し上げた状態で支持する持上部材を持ち、当該ロック部材を前記持上部材により前記被ロック部材の側に押し付けた取り付け状態をとることで、前記ロック部材が前記被ロック部材に係止することを確保する機構であって、前記ロック部材及び前記持上部材を導電性部材とし、前記ロック機構がアンロック状態をとる際、前記スイッチ接点の一対の接点部の間を前記ロック部材及び前記持上部材により電気的に接続可能とし、前記ノブを前記第1位置から前記第2位置に押し込んで前記ロック機構をロック状態とした際、当該ノブの動きに伴って前記ロック部材及び持上部材が前記接点部から位置ずれして、当該接点部の間の通電が遮断される。
【0044】
(2)請求項1〜3、前記技術的思想(1)のいずれかにおいて、前記スイッチ接点には、接点機能のみを持つ通常接点が含まれ、前記ロック機構の一部品を用いた追加接点は、前記通常接点に対して直列に接続されている。この構成によれば、通常接点と追加接点とを各々独立して監視するようにすれば、スイッチ接点のオフが通常接点のオフによるものなのか或いは追加接点のオフによるものなのかを判別する処理を行うことが可能となり、装置の高性能化に効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一実施形態の操作スイッチが取り付けられた車内の状態を示す斜視図。
【図2】スイッチ接点機能を持つロック機構の要部を示す部分拡大斜視図。
【図3】ノーマリークローズ型の操作スイッチの概略構造を示す分解斜視図。
【図4】ケース部品の概略構造を示す斜視図。
【図5】(a)〜(e)はロック機構がロック状態又はアンロック状態をとる際の動作推移を示す模式図。
【図6】ノブが飛び出し状態をとる時の操作スイッチの内部状態を示す縦断面図。
【図7】ノブが押し込み状態をとる時の操作スイッチの内部状態を示す縦断面図。
【図8】ロック機構が故障した時の操作スイッチの内部状態を示す縦断面図。
【図9】操作スイッチの電気的構成を示すブロック図。
【図10】ノブが飛び出し状態をとる時のノブ及びスイッチ接点の状態を示す説明図。
【図11】ノブが押し込み状態をとる時のノブ及びスイッチ接点の状態を示す説明図。
【図12】ロック機構が故障した時のノブ及びスイッチ接点の状態を示す説明図。
【図13】別例における操作スイッチの具体例を示す斜視図。
【図14】他の別例における操作スイッチの具体例を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0046】
2…操作スイッチ、3…ノブ、4…スイッチ接点、6…ノブ支持部材としての収納ケース、8…位置復帰機構としての付勢部材、9…ロック機構としてハートカム型ロック機構、10…一部品(ロック部材)を構成するロックピン、14…一部品(持上部材)を構成するコンタクト、20…被ロック部材としての被係止部、23…ハートカム溝、29…接点部を構成する固定接点、33…接点部を構成する固定接点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置にあるノブがその位置復帰機構に抗して第2位置に操作されると、それまでオン状態をとっていたスイッチ接点がオフ状態に切り換わるとともに、ロック機構がロック状態をとることで前記ノブがその第2位置状態で保持されて前記スイッチ接点のオフ状態が維持され、前記ノブの操作により前記ロック状態が解除されると、前記第2位置状態にある前記ノブが前記位置復帰機構により元の第1位置状態に戻って前記ロック機構がアンロック状態となり、前記スイッチ接点がオフ状態からオン状態に切り換わる操作スイッチにおいて、
前記ロック機構の一部品を前記スイッチ接点の構成部品として用いたことを特徴とする操作スイッチ。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記ノブを可動可能に支持するノブ支持部材及び前記ノブの一方に設けられたロック部材を、前記ノブ及びノブ支持部材の他方に設けられた被ロック部材に係止することでロック状態をとり、前記係止を外しつつ前記ロック部材を前記位置復帰機構により前記被ロック部材から離脱させると、前記ロック部材及び前記被ロック部材が非係止をとってアンロック状態となる機構であって、
前記ロック部材を導電性部材とし、前記ロック機構がアンロック状態をとる際、前記スイッチ接点の一対の接点部の間を前記ロック部材により電気的に接続可能とし、前記ノブを前記第1位置から前記第2位置に押し込んで前記ロック機構をロック状態とした際、当該ノブの動きに伴って前記ロック部材が前記接点部から位置ずれして、当該接点部の間の通電が遮断されることを特徴とする請求項1に記載の操作スイッチ。
【請求項3】
前記ロック機構は、方向性を有する段差を持ったハートカム溝に、前記ノブを押圧操作することによりロック部材を係脱して、ロック状態又はアンロック状態が切り換えられるハートカム型であり、しかも前記ロック部材を下側から押し上げた状態で支持する持上部材を持ち、当該ロック部材を前記持上部材により被ロック部材の側に押し付けた取り付け状態をとることで、前記ロック部材が前記被ロック部材に係止することを確保する機構であって、
前記ロック部材及び前記持上部材を導電性部材とし、前記ロック機構がアンロック状態をとる際、前記スイッチ接点の一対の接点部の間を前記ロック部材及び前記持上部材により電気的に接続可能とし、前記ノブを前記第1位置から前記第2位置に押し込んで前記ロック機構をロック状態とした際、当該ノブの動きに伴って前記ロック部材及び持上部材が前記接点部から位置ずれして、当該接点部の間の通電が遮断されることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−193790(P2009−193790A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32307(P2008−32307)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】