説明

操作ロッド連結構造及び接続部材

【課題】少ない部品点数で構成しつつ組付工程を簡易にした操作ロッド連結構造及び当該連結構造に用いられる接続部材を提供する。
【解決手段】動作機構の一部を構成する動作部材4と、動作部材4に枢支連結して操作力を伝達するよう、端部33に連結孔部33aを備えた操作ロッド31と、動作部材4の一部と伴に操作ロッド31の端部33を挟持する接続部材5とを備え、動作部材4および接続部材5の何れか一方に軸部51を形成すると共に、動作部材4および接続部材5の何れか他方に軸部51を挿入可能な軸受部41を形成して、軸部51が操作ロッド31の連結孔部33aを貫通しつつ軸受部41に挿入可能に構成し、軸部51が軸受部41から抜け出すのを阻止する係合部52および被係合部42を、接続部材5および動作部材4のうち軸部51および軸受部41とは異なる位置に各別に備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ等の駆動力を、他の動作機構の操作力として伝達するための連結構造及びその連結構造において用いられる接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータ等の駆動力は、例えばエンジンの弁の開閉や他の部材の動作力として用いることができ、この場合、アクチュエータ等の駆動力が出力される操作ロッドと、この駆動力を利用する動作機構の動作部材とが連結される。この連結構造については、特許文献1において、自動車のインテークマニホールドに設けられる可変吸気バルブの作動機構に用いられる弁軸駆動装置が示されている。当該可変吸気バルブは、吸気経路中に開閉自在に枢支され、その開閉により吸気流速を変化させてエンジンでの燃焼の改善を図るものである。特許文献1の連結構造は、軸方向に進退移動される操作ロッドを有するアクチュエータと、流路を開閉するバルブの弁軸に設けられたレバー部材(動作部材)と、レバー部材に設けられ、且つ操作ロッドの軸孔に挿通連結されるピン部材(軸部)とを備える。ピン部材には軸受部材が周設されており、止め輪をピン部材の端部に止め輪を装着して操作ロッドが抜け止めされている。操作ロッドの進退移動は、ピン部材からレバー部材に伝達されてバルブの回転駆動に変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−90772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される操作ロッドと動作部材との連結構造においては、レバー部材(動作部材)、ピン部材(軸部)の他に、ピン部材に周設される軸受部材、ピン部材の抜け止め用の止め輪等、必要な部品点数が多い。操作ロッドと動作部材との連結構造を構成するための各部材の組付工程ついても、まず、レバー部材にピン部材を軸受支持させてから、ピン部材に軸受部材を外嵌し、その後、操作ロッドの端部の連結孔部を軸受部材に嵌め合せ、最後にピン部材に抜け止め用の止め輪を嵌め込むこととなり、工程が多く手間がかかる。また、ピン部材(軸部)はレバー部材(動作部材)で片持ち状態で支持されているため、操作ロッドの押引動作に際してピン部材(軸部)の基端部に曲げ力が作用し、ピン部材(軸部)の支持強度が十分に確保されない。
【0005】
本発明は、少ない部品点数で構成しつつ組付工程を簡易にした操作ロッド連結構造及び当該連結構造に用いられる接続部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の操作ロッド連結構造の第1特徴構成は、動作機構の一部を構成する動作部材と、前記動作部材に枢支連結して操作力を伝達するよう、端部に連結孔部を備えた操作ロッドと、前記動作部材の一部と伴に前記操作ロッドの端部を挟持する接続部材とを備え、前記動作部材および前記接続部材の何れか一方に軸部を形成すると共に、前記動作部材および前記接続部材の何れか他方に前記軸部を挿入可能な軸受部を形成して、前記軸部が前記操作ロッドの連結孔部を貫通しつつ前記軸受部に挿入可能に構成し、前記軸部が前記軸受部から抜け出すのを阻止する係合部および被係合部を、前記接続部材および前記動作部材に各別のうち前記軸部および前記軸受部とは異なる位置に備えた点にある。
【0007】
この構成により、操作ロッド連結構造は、動作機構の一部を構成する動作部材と端部に連結孔部を備えた操作ロッドと、前記動作部材の一部と伴に前記操作ロッドの端部を挟持する接続部材とによって構成されることとなり、部材点数が少なくなる。
また、当該操作ロッド連結構造は、操作ロッドの端部を接続部材の軸部(あるいは軸受部)と動作部材の軸受部(あるいは軸部)により枢支連結し、前記動作部材および前記接続部材に各別に備えられた係合部と被係合部とを係合させるだけで操作ロッドと動作部材との連結が完了する。したがって、操作ロッド連結構造の組付工程が簡易になる。
さらに、本構成では、軸部は接続部材及び動作部材によりその両端が支持されているため、軸部の支持が強固となり、操作ロッドの操作力が伝達される動作部材の動作が安定する。
【0008】
本発明の操作ロッド連結構造の第2特徴構成は、前記係合部をその係脱方向が前記軸部の挿脱方向と一致するよう構成した点にある。
【0009】
本構成のように、前記係合部をその係脱方向が前記軸部の挿脱方向と一致するよう構成すると、例えば接続部材に軸部が形成され動作部材に軸受部が形成されている場合には、接続部材の軸部を操作ロッドの連結孔部と動作部材の軸受部に差し込むことで、接続部材の係合部が動作部材の被係合部に押し込まれて係合し、操作ロッドと動作部材との連結が完了する。また、動作部材に軸部が形成され接続部材に軸受部が形成されている場合には、動作部材の軸部に操作ロッドの連結孔部と接続部材の軸受部とを外嵌させることで、接続部材の係合部が動作部材の被係合部に押し込まれて係合し、操作ロッドと動作部材との連結が完了する。したがって、操作ロッド連結構造の組付工程がより簡易になる。
【0010】
本発明の操作ロッド連結構造の第3特徴構成は、前記接続部材に、前記軸部の軸方向に平行な方向で前記動作部材の一部を挟み付けて前記軸部の軸方向の移動を規制するコ字状の位置固定部を設け、前記係合部を前記位置固定部に設けると共に、当該係合部を前記軸部の軸方向とは異なる方向から前記動作部材に係合するよう構成した点にある。
【0011】
本構成のように、接続部材にコ字状の位置固定部を設けることで、この位置固定部で動作部材の一部を挟み付けて軸部の軸方向における接続部材の移動を規制し、接続部材の抜け止めを行うことができる。また、この位置固定部には係合部を設けてあり、接続部材と動作部材とを係合するよう構成してある。
さらに、本構成では、係合部を軸部の軸方向とは異なる方向から動作部材に係合するよう構成したので、接続部材は、コ字状の位置固定部による軸部の軸方向への抜け止め及び軸部を位置固定する機能と、係合部による接続部材と動作部材の係合位置や接合部材の係合姿勢を固定する機能とを個別に備える。その結果、操作ロッドの操作力が伝達されて動作部材が動作する際の動作安定性ならびに各部材の耐久性が向上する。
【0012】
本発明の操作ロッド連結構造の第4特徴構成は、前記操作ロッドのジョイント部を部分的に金属材料で構成した点にある。
【0013】
本構成のように、操作ロッドのジョイント部を部分的に金属材料で構成すると、操作ロッドの他の部分及び操作ロッドの駆動源を樹脂製にすることができ、その結果、操作ロッド連結構造を含む装置全体を軽量化することができる。また、操作ロッドのジョイント部は金属材料であるので薄肉化しても剛性が維持できるため、操作ロッド連結構造の側方への突出長さを短くすることもできる。その結果、より狭い場所においても、本操作ロッド連結構造の使用が可能となる。
【0014】
本発明の接続部材の第1特徴構成は、動作機構の一部を構成する動作部材と、前記動作部材に操作力を伝達するよう、端部に連結孔部を備えた操作ロッドとを枢支連結する接続部材であって、前記操作ロッドの連結孔部を貫通しつつ前記動作機構に設けられた軸受部に挿入可能な軸部と、前記軸部とは異なる位置で前記動作部材に係合して前記軸部の前記軸受部からの抜け出しを阻止する係合部と、を備えた点にある。
【0015】
本構成により、操作ロッドと動作部材とを連結させる際に、操作ロッドの端部と動作部材の軸受部とを接続部材の軸部により枢支連結し、接続部材に備えられた係合部を動作部材に係合させることで操作ロッドと動作部材との連結が完了する。したがって、操作ロッドと動作部材とを簡易に連結させることができる。
【0016】
本発明の接続部材の第2特徴構成は、前記係合部をその係脱方向が前記軸部の挿脱方向と一致するよう構成した点にある。
【0017】
本構成のように、前記係合部をその係脱方向が前記軸部の挿脱方向と一致するよう構成すると、例えば接続部材に軸部が形成され動作部材に軸受部が形成されている場合には、接続部材の軸部を操作ロッドの連結孔部と動作部材の軸受部に差し込むことで、接続部材の係合部が動作部材の被係合部に押し込まれて係合し、操作ロッドと動作部材との連結が完了する。したがって、操作ロッドと動作部材との連結作業を簡易に行うことができる。
【0018】
本発明の接続部材の第3特徴構成は、前記軸部の軸方向に平行な方向で前記動作部材の一部を挟み付けて前記軸部の軸方向の移動を規制するコ字状の位置固定部を設け、前記係合部を前記位置固定部に設けると共に、当該係合部を前記軸部の軸方向とは異なる方向から前記動作部材に係合するよう構成した点にある。
【0019】
本構成のように、接続部材にコ字状の位置固定部を設けることで、この位置固定部で動作部材の一部を挟み付けて軸部の軸方向における接続部材の移動を規制し、接続部材の抜け止めを行うことができる。また、この位置固定部には係合部を設けてあり、接続部材と動作部材とを係合するよう構成してある。
さらに、本構成では、係合部を軸部の軸方向とは異なる方向から動作部材に係合するよう構成したので、接続部材は、コ字状の位置固定部による軸部の軸方向への抜け止め及び軸部を位置固定する機能と、係合部による接続部材と動作部材の係合位置や接合部材の係合姿勢を固定する機能とを個別に備える。その結果、操作ロッドの操作力が伝達されて動作部材が動作する際の動作安定性ならびに各部材の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】吸気装置の弁軸を動作させる操作ロッド連結構造の側面図
【図2】吸気装置の弁軸を動作させる操作ロッド連結構造の正面図
【図3】操作ロッド連結構造の要部側面図
【図4】図3のIV−IV矢視断面図
【図5】操作ロッド連結構造の分解斜視図
【図6】第2実施形態に係る操作ロッド連結構造の要部側面図
【図7】図6のVII−VII矢視断面図
【図8】第2実施形態に係る操作ロッド連結構造の分解斜視図
【図9】第3実施形態に係る操作ロッド連結構造の要部側面図
【図10】第3実施形態に係る操作ロッド連結構造の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。本発明の操作ロッド連結構造は、例えばエンジンに供給する空気の流速を調整する吸気制御装置の可変吸気バルブを開閉する弁開閉機構に適用することができる。
【0022】
[第1実施形態]
図1〜図5に、エンジンEに供給する空気の流速を調整する吸気制御装置に本発明に係る操作ロッド連結構造を適用した例を示す。当該吸気制御装置は複数の吸気路100を備えたインテークマニホールド10を有し、各吸気路100の途中には可変吸気バルブが設けられている。吸気制御装置は、吸気管100を流れる空気の通過断面を変化させて流速調整することにより、エンジンの燃焼改善を図る。
【0023】
弁開閉機構は、インテークマニホールド10の吸気路100に回動自在に設けられたバタフライ式の可変吸気バルブの弁体1と、弁体1を回動させる弁軸2と、弁軸2を駆動するアクチュエータ3を有する。弁軸2とアクチュエータとは、アクチュエータ3に設けられた操作ロッド31と、弁開閉機構の一部であって弁軸2を動作させる動作部材4とが接続部材5を介して接続される。
【0024】
弁軸2は、インテークマニホールド10の吸気路100と直交するように配置されている。弁軸2は、インテークマニホールド10のフランジ部10aの付近に形成された軸受孔10bに挿入されて、回動自在に支持される。弁軸2の各吸気路100に対応する位置に、可変吸気バルブの弁体1が例えばネジにより取り付けてある。
【0025】
アクチュエータ3は、インテークマニホールド10の外周部に形成されたブラケット6を介してインテークマニホールド10の外周部に支持してある。アクチュエータ3は、特に限定されないが、例えば樹脂製ダイアフラム式のアクチュエータであり、アクチュエータ本体30とアクチュエータ本体30に対して突出・引退する操作ロッド31とを有する。アクチュエータ本体30の内部は、ダイアフラム(不図示)により大気圧室(不図示)と負圧室(不図示)とに区画してある。また、ダイアフラムは大気圧室の側に付勢されている。ダイアフラムには、操作ロッド31のアクチュエータ本体30の側の端部が接続されており、負圧室への負圧の印加により、操作ロッド31がアクチュエータ本体30に向かって引退する。また、負圧室への負圧の印加を解除することにより、操作ロッド31がアクチュエータ本体30から突出する。
【0026】
操作ロッド31は、動作部材4とのジョイント部32が金属材料であり、アクチュエータ本体30側の部分34が樹脂材料であって、両者は金属部分のジョイント部32に対して樹脂の部分34がインサート成形されて構成されている。ジョイント部32の端部33は薄い板状であって連結孔部33aが形成されている。ジョイント部32が金属材料で構成されているため、端部33をこのように板状に形成しても十分な強度が確保される。また、操作ロッド31は、アクチュエータ本体30が操作ロッド31と動作部材4との連結部分の側方に突出しないよう屈曲してある。
【0027】
動作部材4は可変吸気バルブの一部を構成しており、板状の本体部40と、本体部40の厚み方向の一部を貫通する軸受部41と、本体部40の厚み方向に形成された半球形状の係合凹部42と、弁軸2の端部2aを挿通支持する筒状部43とを備える。係合凹部42は、弁軸2に対して同軸上に形成されている。
【0028】
接続部材5は、板状の本体部50と、軸部51とボールジョイント部52とを備え、動作部材4の一部と伴に操作ロッド31の端部33を挟持する。ボールジョイント部52は、球形頭部52aと球形頭部52aより大径の台部52bとを備える。なお、動作部材4には可変吸気バルブの開口量を初期調整するためのレバー部材7が延設されており、このレバー部材7の操作により弁軸2を回転させることで弁体1の初期位置の調節することができる。レバー部材7の基部7aは動作部材4の本体部40に埋設されており、この基部7aによって本体部40が補強されている。
【0029】
操作ロッド31と動作部材4との連結は、動作部材4の軸受部41に操作ロッド31の端部33の連結孔部33aを重ね合わせ、両者に接続部材5の軸部51を差込むことで、ボールジョイント部52の球形頭部52a(係合部)が係合凹部42(被係合部)に押し込まれて係合し、操作ロッド31と動作部材4との連結が完了する。その結果、操作ロッド31の端部33が動作部材4の一部と接続部材5に挟持され、操作ロッド31が動作部材4に枢支連結されて、操作ロッド31の操作力を動作部材4に伝達することができる。なお、ここでいう操作ロッド31の端部33が動作部材4の一部と接続部材5に挟持される状態とは、必ずしも操作ロッド31の端部33が動作部材4の一部及び接続部材5に接触する状態に限定されず、操作ロッド31の端部33が動作部材4の一部及び接続部材5の一方又は双方に接触しない状態も含まれる。
【0030】
図4に示すように、弁軸2の一端である端部2aはインテークマニホールド10の側部の軸受ケース10cに支持されている。端部2aは、軸受ケース10c内において動作部材4の筒状部43に挿通されている。軸受ケース10には、筒状部43の周囲にボールベアリング8とシール部9が配置され、端部にケースカバー11が備えられている。こうして、動作部材4の筒状部43と弁軸2の端部2aとが一体回転可能に構成され、操作ロッド31と弁軸2とが接続部材5と動作部材4とを介して接続される。その結果、操作ロッド31の突出・引退運動が、動作部材4を介して弁軸2に伝達される。軸部51とボールジョイント部52はそれぞれ筒状の中空部を有する。この筒状の中空部は接続部材5を樹脂成形した際に形成されるものである。なお、ボールベアリング8に代えて、すべり軸受を使用しても良い。
【0031】
次に、弁開閉機構の動作について説明する。アクチュエータ3の負圧室に負圧が印加されていないとき、操作ロッド31は突出した状態であり、可変吸気バルブは例えば開状態である。この状態から負圧室に負圧を印加していくと、操作ロッド31がアクチュエータ本体30の側へ引退し、動作部材4が揺動され、弁軸2が回動され弁体1が閉方向に回動し可変吸気バルブが閉状態となる。
【0032】
この操作ロッド連結構造では、操作ロッド連結構造は、操作ロッド31と動作部材4と接続部材5のみによって構成されているので部材点数が少ない。また、操作ロッド31の端部33を接続部材5の軸部51と動作部材4の軸受部41により枢支連結し、動作部材4および接続部材5に各別に備えられたボールジョイント部(係合部)52と係合凹部(被係合部)42とを係合させるだけで操作ロッド31と動作部材4との連結が完了する。したがって、操作ロッド31と動作部材4との連結作業が簡易に行える。また、軸部51は接続部材5及び動作部材4の軸受部41によりその両端が支持されているため、軸部51の支持が強固となり、操作ロッド31の操作力が伝達される動作部材4の動作が安定する
【0033】
また、操作ロッド31の端部33の連結孔部33aに対し、接続部材5に軸部51を形成し、動作部材4に軸部51が挿入可能な軸受部41が形成されているので、操作ロッド31と動作部材4との連結部分は操作ロッド31と動作部材4以外に接続部材5が存在するだけであり、その部分の厚みを薄くでき、省スペース化が図られる。このため、可変吸気バルブの側方に突出する操作ロッド連結構造の車両への搭載性が向上する。
【0034】
[第2実施形態]
図6〜図8に示すように、本実施形態では、第1実施形態の動作部材4の係合凹部42に代えて、動作部材4に本体部40から突出する凸状の被係合部44を備える。また、接続部材5は、ボールジョイント部52に代えて、動作部材4の厚み方向の部分を挟み込むコ字状の位置固定部54と、位置固定部54の一端側に凹状の係合部55とを備える。位置固定部54はコ字状の部分で軸部51の軸方向に平行な方向に動作部材4の一部(厚み方向の部分)を挟み付ける。係合部55は軸部51の軸方向とは異なる方向から動作部材4の被係合部44に係合するよう構成されている。
【0035】
操作ロッド31と動作部材4との連結は、まず、動作部材4の軸受部41に操作ロッド31の端部33の連結孔部33aを重ね合わせ、両者に接続部材5の軸部51を差込む。その後、軸部51を中心にして図6の矢印方向に接続部材5を回転させて、動作部材の凸状の被係合部44と接続部材5の凹状の係合部55とを係合させることで、操作ロッド31と動作部材4との連結が完了する。
【0036】
接続部材5に設けられたコ字状の位置固定部54は、動作部材4の一部を挟み付けることで、軸部51の軸方向における接続部材5の移動を規制し、接続部材5の抜け止めを行う。また、位置固定部54に設けられた係合部55により、接続部材5が動作部材4に係合できる。なお、ここでいうコ字状の位置固定部54が動作部材4の一部を挟み付ける状態とは、必ずしも動作部材4の一部(厚み方向)の両側に位置固定部54が接触する状態に限定されず、動作部材4に位置固定部54の一端又は両端が接触しない状態も含まれる。
【0037】
固定部材5の凹状の係合部55を軸部51の軸方向とは異なる方向から動作部材4に係合するよう構成したので、接続部材5は、コ字状の位置固定部54による軸部51の軸方向への抜け止め及び軸部51を位置固定する機能と、係合部55による接続部材5と動作部材4との係合位置や接合部材5の係合姿勢を固定する機能とを個別に備える。その結果、操作ロッド31の操作力が伝達されて動作部材4が動作する際の動作安定性ならびに各部材の耐久性が向上する。
【0038】
コ字状の位置固定部54は、接続部材5の軸部51の基部に連結する本体部50から動作部材4に向けて突出する壁部53に連続して設けられている。動作部材4の被係合部44が凹状の係合部55に係合した際に、壁部53が係合部55からの反力を受ける。このため、接続部材5を樹脂材料で形成し壁部53を弾性変形可能に構成することで、動作部材4の被係合部44が凹状の係合部55に係合する際には壁部53が弾性変形して係合を容易にし、係合後には壁部53が凹状の係合部55を動作部材4の凸状の被係合部44に押し付けて係合を強固することができる。
【0039】
[第3実施形態]
本実施形態では、図9及び図10に示すように、接続部材5は、動作部材4の厚み方向の部分を挟み込むコ字状の位置固定部54を備え、位置固定部54の一端の内方に凸状の係合部54aが形成されている。すなわち、第2実施形態とは、接続部材5の係合部54aの構成が異なる。
【0040】
操作ロッド31と動作部材4との連結は、まず、動作部材4の軸受部41に操作ロッド31の端部33の連結孔部33aを重ね合わせ、両者に接続部材5の軸部51を差込む。その後、軸部51を中心にして接続部材5を図9の矢印方向に回転させて、凸状の係合部54aと凹状の被係合部45とを係合させることで、操作ロッド31と動作部材4との連結が完了する。
【0041】
[その他の実施形態]
(1)本発明に係る操作ロッド連結構造は、気体、液体を問わず、開閉弁、流量制御弁、圧力制御弁等の各種の弁開閉機構に適用することができ、弁開閉機構以外の各種の動作機構にも広く用いることができる。また、駆動源としては、樹脂製ダイアフラム式のアクチュエータの他、金属製ダイアフラム式のアクチュエータ、電動モータや電磁ソレノイド等の電動式駆動源を用いることもできる。
【0042】
(2)上記の実施形態では、接続部材5に軸部51を備え、動作部材4に軸受部41を備えたが、これに代えて、接続部5に軸受部を備え、動作部材4に軸部を備えてもよい。
【0043】
(3)上記の実施形態では、アクチュエータ3の操作ロッド31のうち、ジョイント部32のみを金属材料で構成する例を示したが、ジョイント部32を樹脂材料で構成してもよいし、操作ロッド31を全て金属材料で構成してもよい。
【0044】
(4)上記の第2実施形態及び第3実施形態では、接続部材5においてコ字状の位置固定部54を軸部51の基部(本体部50)から動作部材4に突出する壁部53を設けたが、壁部53は必ずしも設ける必要はなく、本体部50に連続して位置固定部54を設けてもよい。
【0045】
(5)上記の第3実施形態では、接続部材5の位置固定部54の一端に係合部54aを設けたが、係合部54aを設けずに、コ字状の位置固定部54が弾性変形するよう構成し、位置固定部54の挟持力により固定部材5と動作部材4とを係合させてもよい。
【0046】
(6)上記の第1実施形態の接続部材5において、ボールジョイント部52の球形頭部52aの表面に凹部を形成し、球形頭部52aを弾性変形可能に構成してもよい。こうすると、球形頭部52aを弾性変形し易くすることができ、ボールジョイント部52と動作部材4の係合凹部42との係合をスムーズに行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の操作ロッド連結構造及び接続部材は、各種駆動源の駆動力が伝達される動作機構に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 弁体
2 弁軸
3 アクチュエータ
4 動作部材
5 接続部材
31 操作ロッド
33 端部
33a 連結孔部
41 軸受部
42 係合凹部(被係合部)
43 筒状部
44 被係合部
45 被係合部
51 軸部
52 ボールジョイント部(係合部)
52a 球形頭部
54 位置固定部
54a 係合部
55 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作機構の一部を構成する動作部材と、
前記動作部材に枢支連結して操作力を伝達するよう、端部に連結孔部を備えた操作ロッドと、
前記動作部材の一部と伴に前記操作ロッドの端部を挟持する接続部材とを備え、
前記動作部材および前記接続部材の何れか一方に軸部を形成すると共に、前記動作部材および前記接続部材の何れか他方に前記軸部を挿入可能な軸受部を形成して、前記軸部が前記操作ロッドの連結孔部を貫通しつつ前記軸受部に挿入可能に構成し、
前記軸部が前記軸受部から抜け出すのを阻止する係合部および被係合部を、前記接続部材および前記動作部材のうち前記軸部および前記軸受部とは異なる位置に各別に備えた操作ロッド連結構造。
【請求項2】
前記係合部をその係脱方向が前記軸部の挿脱方向と一致するよう構成した請求項1記載の操作ロッド連結構造。
【請求項3】
前記接続部材に、前記軸部の軸方向に平行な方向で前記動作部材の一部を挟み付けて前記軸部の軸方向の移動を規制するコ字状の位置固定部を設け、前記係合部を前記位置固定部に設けると共に、当該係合部を前記軸部の軸方向とは異なる方向から前記動作部材に係合するよう構成した請求項1記載の操作ロッド連結構造。
【請求項4】
前記操作ロッドのジョイント部を部分的に金属材料で構成した請求項1〜3のいずれか一項に記載の操作ロッド連結構造。
【請求項5】
動作機構の一部を構成する動作部材と、前記動作部材に操作力を伝達するよう、端部に連結孔部を備えた操作ロッドとを枢支連結する接続部材であって、
前記操作ロッドの連結孔部を貫通しつつ前記動作機構に設けられた軸受部に挿入可能な軸部と、
前記軸部とは異なる位置で前記動作部材に係合して前記軸部の前記軸受部からの抜け出しを阻止する係合部と、を備えた接続部材。
【請求項6】
前記係合部をその係脱方向が前記軸部の挿脱方向と一致するよう構成した請求項5記載の接続部材。
【請求項7】
前記軸部の軸方向に平行な方向で前記動作部材の一部を挟み付けて前記軸部の軸方向の移動を規制するコ字状の位置固定部を設け、前記係合部を前記位置固定部に設けると共に、当該係合部を前記軸部の軸方向とは異なる方向から前記動作部材に係合するよう構成した請求項5記載の接続部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−132501(P2012−132501A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284694(P2010−284694)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】