説明

操作表示部代替システム、制御装置及び印刷装置

【課題】印刷処理は支障なく行えるがコントロールパネルが故障して入力作業ができなくなった印刷装置を有効に利用するための操作表示部代替システムを提供する。
【解決手段】操作表示部代替システムは、コントロールパネル70の異常を検知する印刷装置20Aと、印刷装置20Aのコントロールパネル70の異常が通知されたときに、該印刷装置20Aとネットワーク80で接続された印刷装置20の中から代替印刷装置20Bを選択し、選択された代替印刷装置20Bを異常が検知された印刷装置20Aのコントロールパネル70の入出力機能を代替印刷装置20Bのコントロールパネル70で代替させる制御装置10と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作表示部代替システム、制御装置及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、印刷装置のコントロールパネル(操作表示部)の一部にタッチパネルを内蔵した液晶表示装置がユーザインタフェース装置として用いられ、倍率や濃度、枚数などの編集情報の設定はタッチパネルにより行われるようになっている。しかし、このような装置では、液晶表示装置上のタッチパネルが故障するとコントロールパネルが使用できなくなるという問題点がある。
【0003】
この問題点を解決する方法として、液晶表示装置上のタッチパネルが壊れてコントロールパネルが使用できなくなった場合に、そのタッチパネルで設定する内容をテンキーで代替させるコントロールパネル(例えば、特許文献1参照。)などが提案されている。しかし、特許文献1のコントロールパネルでは、テンキーも使用不能な場合には代替させることができなくなる。
【特許文献1】特開平8−16296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、印刷処理は支障なく行えるがコントロールパネルが故障して入力作業ができなくなった印刷装置を有効に利用するための操作表示部代替システム、制御装置及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を解決するために、請求項1記載の操作表示部代替システムは、ネットワークで接続された印刷装置を登録する印刷装置登録手段と、前記印刷装置登録手段により登録された印刷装置の操作表示部の異常を検知する操作表示部異常検知手段と、前記操作表示部異常検知手段により印刷装置の操作表示部の異常が検知されたことを通知する操作表示部異常通知手段と、印刷装置の操作表示部の異常が通知されたときに、前記印刷装置登録手段により登録された印刷装置の中から代替印刷装置を選択する代替印刷装置選択手段と、前記代替印刷装置選択手段により選択された代替印刷装置を前記操作表示部の異常が検知された印刷装置に通知する代替印刷装置通知手段と、前記操作表示部の異常が検知された印刷装置の操作表示部の入出力機能を前記代替印刷装置の操作表示部で代替させる代替印刷装置モード切替手段と、を備えている。
【0006】
請求項2記載の操作表示部代替システムは、請求項1記載の操作表示部代替システムにおいて、前記印刷装置登録手段により登録された印刷装置の操作表示部の異常が解除されたことを検知する操作表示部異常解除検知手段と、前記操作表示部異常解除検知手段により印刷装置の操作表示部の異常が解除されたことを通知する操作表示部異常解除通知手段と、印刷装置の操作表示部の異常が解除されたことが通知されたときに、前記代替印刷装置で代替させていた操作表示部の入出力機能を前記印刷処理を行う印刷装置の操作表示部で行う元の状態に戻す代替印刷装置モード解除手段と、を更に備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の操作表示部代替システムは、請求項1又は請求項2記載の操作表示部代替システムにおいて、前記印刷装置登録手段により登録された印刷装置のうちの特定の印刷装置の操作表示部の異常が検知されたときに、前記登録された印刷装置から代替印刷装置として優先して選択すべき印刷装置を登録する優先代替印刷装置登録手段を更に備え、前記代替印刷装置選択手段は、前記優先代替印刷装置登録手段により登録された印刷装置を優先して選択することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の制御装置は、ネットワークで接続された印刷装置を登録する印刷装置登録手段と、印刷装置の操作表示部の異常が通知されたときに、前記印刷装置登録手段により登録された印刷装置の中から代替印刷装置を選択する代替印刷装置選択手段と、前記代替印刷装置選択手段により選択された代替印刷装置を前記操作表示部の異常が検知された印刷装置に通知する代替印刷装置通知手段と、を備えている。
【0009】
請求項5記載の印刷装置は、操作表示部の異常が検知された他の印刷装置の操作表示部の入出力機能を、操作表示部で代替させる代替印刷装置モード切替手段を備えている。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、印刷処理は行えるが操作表示部の故障により入力作業ができなくなった印刷装置を故障扱いで停止させることなく作業を継続し、印刷装置を有効に利用できるという効果が得られる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、印刷処理と操作表示部による入力処理とを同じ印刷装置で行うことができるという効果が得られる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、操作者の便宜が図られるという効果が得られる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、操作表示部の故障が検知された印刷装置の入力作業を、他の印刷装置の操作表示部で代替させるよう制御することができるという効果が得られる。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、操作表示部の異常が検知された他の印刷装置の操作表示部の入出力機能を代替して行うことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態が適用可能な操作表示部代替システム1の概略構成を示す。同図に示されるように、操作表示部代替システム1は、制御装置10と複数の印刷装置20とが、インターネットやその他の小規模ネットワークとしてのLAN(Local Area Network)で代表されるネットワーク80に接続されて構成される。これらの制御装置10及び印刷装置20は、ネットワーク80を介して相互通信により情報の授受が可能である。
【0016】
以下の説明では、かかる構成において印刷処理を実施する印刷装置20のコントロールパネル70の故障が発生したときに、該印刷装置20(20A)とネットワーク80で接続された他の印刷装置20の中から選択された印刷装置20(20B)でコントロールパネル70の入出力機能のみを代用させるように制御装置10が機能する構成を一例として説明する。
【0017】
図2は、本実施の形態における制御装置10の機能構成を示す。制御装置10は、CPU11、ROM12及びRAM13がデータの授受が可能に接続されて構成されている。CPU11は、ネットワーク80に接続されている複数の印刷装置20を代替装置として選択すべき優先順位を含めて固有のIDを登録するとともに、印刷装置20の状態を把握して印刷装置20の異常検知時及び異常解除時の対応処理を行うよう制御する。
【0018】
図3は、本実施の形態における印刷装置20の機能構成を示す。システム制御部30、印刷装置制御部40、画像処理制御部50及びUI制御部60を含んで構成される。
【0019】
システム制御部30は、制御装置10や他の印刷装置20とのネットワーク通信やCPU間通信を実行するための構成で、CPU31、ROM32及びRAM33を備えている。CPU31は、印刷装置20のタッチパネル65の状態(異常又は異常解除)をネットワーク80を介して制御装置10へ通知すると共に、印刷装置20の異常時及び異常解除時の対応処理を行うよう制御する。
【0020】
印刷装置制御部40は、印刷処理を実行するための構成でCPU41、ROM42、RAM43及びI/Oコンポーネント44を備えている。画像処理制御部50は、画像処理を実行するための構成で、CPU51、ROM52、RAM53及びI/Oコンポーネント54を備えている。
【0021】
UI制御部60は、ユーザインタフェース機能を実行するための構成で、CPU61、ROM62及びRAM63を備え、液晶表示部64、タッチパネル65及びテンキー66を含むコントロールパネル70が接続されている。CPU61は、タッチパネル65の状態(異常又は異常解除)を検知し、システム制御部30のCPU31に検知結果を通知する。
【0022】
次に、本実施の形態における操作表示部代替システム1の作用の流れを、「印刷装置の登録時」、「印刷装置の異常検知時」、「印刷装置の異常解除時」のそれぞれの実施の形態についてフローチャートに沿って説明する。
【0023】
<印刷装置の登録時>
印刷装置の登録時の作用の流れについて、図4に示すフローチャートに沿って説明する。
【0024】
先ず、ステップ100では、制御装置10のCPU11が、ネットワーク80に接続された印刷装置20を登録する。登録に際して、各印刷装置20の識別にはIP(Internet Protocol)アドレスなどの固有の識別データを用いることができる。また、この登録処理はオペレータが手動で行ってもよい。
【0025】
ステップ102では、制御装置10のCPU11が、登録された印刷装置20のうち、特定の印刷装置20のコントロールパネルが故障したときに代用する印刷装置20の優先順位を設定する。優先順位の設定にあたっては、各印刷装置20の設置場所間の距離や用途が同じか否かなどに基づいて設定する。
【0026】
これら印刷装置20の登録及び優先順位の設定は、操作表示部代替システムの設定時の他に、登録された印刷装置20に変更が発生する度に行う。
【0027】
<印刷装置の異常検知時>
印刷装置の異常検知時の作用の流れについて、図5に示すフローチャートに沿って説明する。
【0028】
先ず、ステップ200では、制御装置10からネットワーク80で接続された印刷装置20を通じて印刷処理を開始する。
【0029】
ステップ202では、印刷処理を行う印刷装置20のUI制御部60のCPU61がタッチパネル65の異常を検知する。この異常が検知された印刷装置20を、以下「異常印刷装置20A」という(図1参照)。ここで、タッチパネル65の異常が検知された場合には、タッチパネル65の機能を代替させる印刷装置20を示す情報を液晶表示部64に表示する必要があるので、液晶表示部64は正常であることが前提となる。
【0030】
ステップ204では、異常印刷装置20Aのシステム制御部30のCPU31が、タッチパネル65の異常を検知したことを制御装置10に通知する。
【0031】
ステップ206では、制御装置10のCPU11が、ネットワーク80に接続され、登録された印刷装置20から優先してタッチパネル65の機能を代替させる印刷装置20を選択する。ここで選択された印刷装置20を、以下「代替印刷装置20B」という(図1参照)。
【0032】
ステップ208では、制御装置10のCPU11が、代替印刷装置20Bを選択したことを異常印刷装置20Aに通知する。通知を受けた異常印刷装置20Aでは、UI制御部60のCPU61が、代替印刷装置20Bが代替印刷装置として選択されたことを液晶表示部64に表示する。従って、異常印刷装置20Aは、タッチパネル65の故障により入力は行えなくても、液晶表示部64への表示は行える場合に限る。或いは、この代替印刷装置20Bの表示は制御装置10において行ってもよい。また、操作者はこの表示によって代替印刷装置20Bに代替表示されることを知り、必要に応じて異常印刷装置20Aの設置位置から代替印刷装置20Bの設置位置へ移動する。
【0033】
ステップ210では、代替印刷装置20BのUI制御部60のCPU61が、液晶表示部64に異常印刷装置20Aの代替表示を行っていることを表示する。この表示は、制御装置10で行うこともできる。また、代替印刷装置20Bの本来の表示と異常印刷装置20Aの代替表示とは画面を切り替えて表示するが、自動的に交互に切り替えるか又はボタンの押下などにより表示を選択できるようにしてもよい。
【0034】
ステップ212では、代替印刷装置20Bのシステム制御部30のCPU31が代替印刷装置20Bを代替印刷装置モードに切り替えて制御装置10に通知する。制御装置10は通知されたモードの切替を異常印刷装置20Aに通知する。
【0035】
ステップ214では、制御装置10からも代替印刷装置20Bのモード切替を受信して、コピーモードの設定変更などを行う。この結果、操作者が代替印刷装置20Bのタッチパネル65を介して入力した編集情報等は異常印刷装置20Aへ送信され、これに基づいて異常印刷装置20Aで印刷処理が行われる。
【0036】
<印刷装置の異常解除時>
印刷装置の異常解除時の作用の流れについて、図6に示すフローチャートに沿って説明する。
【0037】
先ず、ステップ300では、異常印刷装置20AのUI制御部60のCPU61が、タッチパネル65の異常が解除したことを検知する。
【0038】
ステップ302では、異常印刷装置20Aのシステム制御部30のCPU31が異常が解除したことを制御装置10に通知する。
【0039】
ステップ304では、制御装置10のCPU11が、代理印刷装置モードの解除を異常印刷装置20A及び代替印刷装置20Bに通知する。
【0040】
ステップ306では、代理印刷装置モードの解除の通知を受信した異常印刷装置20A及び代替印刷装置20Bのシステム制御部30のCPU31が、それぞれの制御状態を通常の状態に戻す。この結果、代替印刷装置20Bのコントロールパネル70による代理表示及び代理入力は終了し、異常印刷装置20Aのコントロールパネル70が通常の状態で使用される。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で設計上の変更をされたものにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施の形態における操作表示部代替システムの概略構成図である。
【図2】本実施の形態における制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態における印刷装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】印刷装置の登録時の作用の流れを示すフローチャートである。
【図5】印刷装置の異常検知時の作用の流れを示すフローチャートである。
【図6】印刷装置の異常解除時の作用の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
10 制御装置
20 印刷装置
20A 異常印刷装置
20B 代替印刷装置
30 システム制御部
40 印刷装置制御部
50 画像処理制御部
60 UI制御部
64 液晶表示部
65 タッチパネル
70 コントロールパネル
80 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークで接続された印刷装置を登録する印刷装置登録手段と、
前記印刷装置登録手段により登録された印刷装置の操作表示部の異常を検知する操作表示部異常検知手段と、
前記操作表示部異常検知手段により印刷装置の操作表示部の異常が検知されたことを通知する操作表示部異常通知手段と、
印刷装置の操作表示部の異常が通知されたときに、前記印刷装置登録手段により登録された印刷装置の中から代替印刷装置を選択する代替印刷装置選択手段と、
前記代替印刷装置選択手段により選択された代替印刷装置を前記操作表示部の異常が検知された印刷装置に通知する代替印刷装置通知手段と、
前記操作表示部の異常が検知された印刷装置の操作表示部の入出力機能を前記代替印刷装置の操作表示部で代替させる代替印刷装置モード切替手段と、
を備えた操作表示部代替システム。
【請求項2】
前記印刷装置登録手段により登録された印刷装置の操作表示部の異常が解除されたことを検知する操作表示部異常解除検知手段と、
前記操作表示部異常解除検知手段により印刷装置の操作表示部の異常が解除されたことを通知する操作表示部異常解除通知手段と、
印刷装置の操作表示部の異常が解除されたことが通知されたときに、前記代替印刷装置で代替させていた操作表示部の入出力機能を前記印刷処理を行う印刷装置の操作表示部で行う元の状態に戻す代替印刷装置モード解除手段と、
を更に備えた請求項1記載の操作表示部代替システム。
【請求項3】
前記印刷装置登録手段により登録された印刷装置のうちの特定の印刷装置の操作表示部の異常が検知されたときに、前記登録された印刷装置から代替印刷装置として優先して選択すべき印刷装置を登録する優先代替印刷装置登録手段を更に備え、
前記代替印刷装置選択手段は、前記優先代替印刷装置登録手段により登録された印刷装置を優先して選択する請求項1又は請求項2記載の操作表示部代替システム。
【請求項4】
ネットワークで接続された印刷装置を登録する印刷装置登録手段と、
印刷装置の操作表示部の異常が通知されたときに、前記印刷装置登録手段により登録された印刷装置の中から代替印刷装置を選択する代替印刷装置選択手段と、
前記代替印刷装置選択手段により選択された代替印刷装置を前記操作表示部の異常が検知された印刷装置に通知する代替印刷装置通知手段と、
を備えた制御装置。
【請求項5】
操作表示部の異常が検知された他の印刷装置の操作表示部の入出力機能を、操作表示部で代替させる代替印刷装置モード切替手段を備えた印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−73045(P2009−73045A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244150(P2007−244150)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】