説明

操作装置及びそれを使用した包装装置

【課題】 移動する物品と機械的に制御可能な動作体との遭遇タイミングを時間軸上で静的に見せて誰でも簡単にタイミング調整ができるようにすること。
【解決手段】 落下する物品のような運動物品と制御可能な動作体との遭遇タイミングを、動作体の動作制御によって調整するようにした操作装置に時間軸を表示する表示手段Dを設け、その時間軸t上に前記運動物品の所定位置への到達タイミングTaと前記動作体の同位置への到達タイミングTbとを表示するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自由落下する運動物品と機械的に制御可能な動作体との遭遇タイミングを調整する装置及び該装置を使用した包装装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
移動する物品と機械的に制御可能な動作体との遭遇タイミングを調整しなければならない装置としては、例えば、落下する物品を袋内に充填してシールする縦型製袋包装装置(例えば、特許文献1)や、高速搬送される物品、或いは落下物品をエアージェットで選択的に排除するエアー選別装置等がある。
【0003】
前記包装装置は、チューブ状に曲成された袋内に被包装物を充填しながら袋の天の部分と次の袋の地の部分とを左右のシール手段で挟持して熱シールして行くが、被包装物の充填タイミングとシール手段の噛合タイミングとがずれると、袋のシール部分に被包装物を噛み込むことがある。そのため、試運転時には、透明フイルムを使用してタイミングを調整するようにしている。
【0004】
また落下する物品や高速搬送物品を選択的にエアージェットで吹き飛ばす選別装置においても、エアーを吹くタイミング調整を必要とする。
【特許文献1】特開平8−48301
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前者においては、落下する物品を見ながらのタイミング調整は極めて難しく、特にそれがポテトチップスのように軽くて不定形なものでは、流星のように長い尾を引きながら落下して行くので、被包装物の先端を噛んだのか後端を噛んだのか判然としなくなり、その結果、タイミング調整に手間取るという問題があった。
【0006】
一方、後者のエアー選別装置においても、高速移動する物品をエアーで排除するタイミングは、一瞬のことなので、特に割れた飴玉のような小物を選別する場合には、そのタイミング調整に大変手間取るという問題があった。
【0007】
この発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、一瞬でしか捉えられない遭遇タイミングを時間軸上で静的に見せて誰でも簡単にタイミング調整ができる新たな操作装置及びそれを使用した包装装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、このような課題を達成するために、落下する物品のような運動物品と制御可能な動作体との遭遇タイミングを、動作体の動作制御によって調整するようにした操作装置に時間軸を表示する表示手段を設け、その時間軸上に前記運動物品の所定位置への到達タイミングと前記動作体の同位置への到達タイミングとを表示するようにしたものである。
【0009】
これにより各到達タイミングを時間軸上の点として静的に見せることができ、また両者のタイミングのずれも時間軸上で把握できるので、これまでは一瞬でしか捉えられなかった遭遇タイミングも時間軸上で簡単に調整することができる。
【0010】
図1、2は、前記操作装置の操作説明図であって、前記時間軸を一つにする場合には、図1のように、表示手段Dに設けた一本の時間軸tに運動物品の到達タイミングTaと動作体の到達タイミングTbとをそれぞれ表示する。また複数にする場合には、図2のように、平行な2本の時間軸t1、t2を表示手段Dに表示し、一方の時間軸t1には、運動物品の到達タイミングTaを、他方の時間軸t2には、動作体の到達タイミングTbを表示する。勿論、各時間軸を上下逆にした配置構成でも良い。
【0011】
前記到達タイミングTaの表示に幅を持たせているのは、運動物品の到達タイミングにバラツキがあるためで、左側エッジTmが最も早い到達タイミング、右側エッジTnが最も遅い到達タイミングとなる。そして、このタイミングTaに動作体の到達タイミングTbを重ねると、両者は遭遇したことになる。
【0012】
一方、動作体の到達タイミングTbは、その動作モードを変えることによって変更できるように構成される。例えば、図1、2に示すアップキーk1を操作すれば、動作体は、遅れる方向に動作制御され、それに対応して表示上の到達タイミングTbは、右方向にシフトされる。またダウンキーk2を操作すれば、動作体は、進む方向に動作制御され、それに対応して表示上の到達タイミングTbも左方向にシフトされるように構成される。
【0013】
こうした操作装置を使用した包装装置が、次に示すこの発明に係る第1の包装装置であって、この包装装置は、袋のシールタイミングを操作する操作手段に時間軸を表示する表示手段を設け、その時間軸上に袋のシールタイミングと落下する被包装物が袋のシール位置の手前に到達する到達タイミングとを表示するようにしたものである。
【0014】
この場合も袋のシールタイミングと被包装物の到達タイミングとをそれぞれ時間軸上の点として静的に見せることができ、しかも両者のタイミングのずれも時間軸上で量的に把握できるので、袋のシール面に被包装物を噛み込ませない調整が時間軸上で極めて簡単にできる。
【0015】
また次に示すものは、一対のシール手段を備えたこの発明に係る第2の包装装置であって、このシール手段の噛合タイミングを調整する操作手段に時間軸を表示する表示手段を設け、その時間軸上に、前記シール手段の噛合タイミングと、落下する被包装物が前記シール手段の噛合位置の手前に到達する到達タイミングとを表示して、この操作手段の操作で、シール手段が噛合った直後に被包装物がシール手段の噛合位置の手前に到達するようにしたものである。
【0016】
これらの操作手段は、シール手段の動作モードを変えることができるもので、その動作モードの変更により、袋のシールタイミングやシール手段の噛合タイミングが変更できるようになっている。例えば、図1、2に示す操作画面のアップキーk1、ダウンキーk2を操作すれば、シール手段の動作モードが変更され、それに伴って表示手段Dに表示されたシールタイミングTb、或いはシール手段の噛合タイミングTbが時間軸上でシフトされるようになっている。
【0017】
この場合も時間軸を一つにする場合は、図1の到達タイミングTaが、被包装物のシール位置手前の到達タイミングとなり、他方の到達タイミングTbが、袋のシールタイミングやシール手段の噛合タイミングとなる。また複数にする場合は、図2に示す態様となる。
【0018】
ところで、包装装置のタイミング調整においては、シールタイミングTbを被包装物の到達タイミングTaに重ねてしまうと、被包装物を噛み込むことになるので、これは避けねばならない。しかし、図1や図2のような表示では、各タイミング標識Ta、Tbを重ねてしまうおそれがあるので、図3の操作画面では、シール位置に最先に到達するタイミングを右側のエッジTmで表わし、その左側に目標領域Eを設けて、この領域Eに袋のシールタイミングTbやシール手段の噛合タイミングTbを重ねるようにしている。
【0019】
なお、図3においても、図1、2と同一のものは、同一符号で示している。
【0020】
このようにすれば、被包装物の先端部分がシール位置に到達する前にシール手段を噛み合わすことができるので、落下しているグループの中に遅れて到着するものがあっても、それを確実に袋内に収納してからシールすることができるし、さらに包装スピードがアップして先行するグループと後続グループとの間隔が接近しても、これを確実に分別してシールすることができる。
【0021】
次に示すこの発明にかかる第3の包装装置は、図4の構成図と図5のタイムチャートに示すように、帯状の包材fをフォーマFでチューブ状に曲成しながら該チューブTu内に被包装物mを充填して袋Bの天と地を一対のシール手段Jでシールするようにした包装装置であって、前記被包装物mの落下経路に設けた物品検出センサSと、該センサSによる物品検出時点から前記シール手段Jが噛合うまでの遅れ時間tbを設定する設定手段1と、設定された遅れ時間tbで一対のシール手段Jが噛合うように前記シール手段Jを動作制御する制御手段2と、落下する被包装物mが、前記センサSの物品検出位置から前記シール手段Jの噛合位置に至るまでの落下時間Tsを記憶する記憶手段3とを設けて、その落下時間Tsより遅れ時間tbの方を短く設定することにより、チューブTu内を落下する被包装物mが、前記シール手段Jの噛合位置に到達する前に前記シール手段Jを噛み合わすようにしたものである。
【0022】
またこの発明に係る第4の包装装置は、同じく、帯状の包材fをチューブ状に曲成しながら該チューブTu内に被包装物mを充填して袋Bの天と地を一対のシール手段Jでシールするようにした包装装置であって、前記被包装物mの落下経路に設けた物品検出センサSと、該センサSによる物品検出時点から前記シール手段Jが噛合うまでの遅れ時間tbを設定する設定手段1と、設定された遅れ時間tbで一対のシール手段Jが噛合うように該シール手段Jを動作制御する制御手段2と、落下する被包装物mが、前記センサSの物品検出位置から前記シール手段Jの噛合位置に至るまでの落下時間Tsを記憶する記憶手段3と、上下に平行な2本の時間軸t1、t2を表示し、一方の時間軸t2上には、前記設定手段1によって設定された遅れ時間tbを表示させ、他方の時間軸t1上には、記憶した被包装物mの落下時間Tsを表示させる表示手段4とを設けて、記憶した落下時間Tsより前記遅れ時間tbの方を短く設定することにより、落下する被包装物mが前記シール手段Jの噛合位置に到達する前に前記シール手段Jを噛み合わすようにしたものである。
【0023】
前記センサSは、被包装物が確認できる適宜な位置に設けることができるが、落下軌跡が一定しない被包装物を面で捉えなければならないので、通過面全域をカバーするライン型の投光器と受光器とで構成される。
【0024】
なお、図4では、ホッパhとシュートCとの境目にセンサSを設けているが、透明フイルムfを用いる場合には、それより下方に設けることができる。
【0025】
前記設定手段1は、手動、自動何れの構成も可能で、手動設定の場合には、例えば図3のアップキーk1、ダウンキーk2の操作で遅れ時間tbを入力するようにし、自動設定の場合には、例えば落下時間Tsを実測して記憶手段3に記憶しておき、それに基づいて遅れ時間tbを算出する。例えばtb=a×Ts(但し、a<1)の演算を行い、その結果を遅れ時間tbとして自動設定するようにする。勿論、この手動、自動を切り替えるようにしても良い。
【0026】
こうすれば、遅れ時間tbを自動設定して運転できるし、また被包装物の形状変化によって落下タイミングに遅速が生じても、手動に切り替えて遅れ時間tbをキー操作で補正することができる。
【0027】
被包装物の落下時間Tsは、形状によって多少のバラツキはあるが、フイルムfを透明フイルムに換えて測定すれば、正確に求めることができるので、その実測値を記憶手段3に記憶しておく。その際、安全性を考慮して落下時間の最短なものを記憶しておく。また被包装物の種類によって落下時間が大きく異なるときは、後述のように被包装物の種類毎に落下時間を記憶させておき、指定手段5で被包装物を指定して該当する落下時間を読み出して表示手段4に出力するように構成する。
【0028】
シール手段Jには、水平方向に往復運動するタイプと、ボックスモーションするタイプと、常時回転するロータリータイプとがあるが、何れのタイプも図5のタイムチャートに示すように、スタートしてから噛合うまでの移動時間tdは、設定スピードによって決まってしまうので、遅れ時間tbが決まると、シール手段Jのスタートタイミングも逆算によって決まってしまう。
【0029】
そこで、制御手段2は、逆算で求めたスタートタイミングでシール手段Jをスタートさせ、それ以後は、所定の動作モードで動作させてシール手段Jを遅れ時間tb後に噛み合わせるようにしている。
【0030】
ところで、こうした第3、第4の包装装置は、物品検出センサの検出タイミングを基準としたものであったが、次に示すこの発明に係る第5の包装装置は、このセンサを無くし、その代わりにホッパからの排出タイミングを基準としたものである。
【0031】
即ちこの包装装置は、図6の構成図と図7のタイムチャートに示すように、帯状の包材fをチューブ状に曲成しながら該チューブTu内に被包装物を充填して袋Bの天と地を一対のシール手段Jでシールするようにした包装装置であって、前記チューブTu内に被包装物を排出するホッパHと、該ホッパHによる被包装物の排出時点からシール手段Jが噛合うまでの遅れ時間tbを設定する設定手段1と、設定された遅れ時間tbで一対のシール手段Jが噛合うようにシール手段Jの動作を制御する制御手段2と、被包装物が前記ホッパHから前記シール手段Jの噛合位置に至るまでの落下時間Tsを記憶した記憶手段3とを設けて、記憶した落下時間Tsより前記遅れ時間tbの方を短く設定することにより、被包装物が前記シール手段Jの噛合位置に到達する前に一対のシール手段Jを互いに噛み合わすようにしたものである。
【0032】
またこの発明に係る第6の包装装置は、同じく帯状の包材fをチューブ状に曲成しながら該チューブTu内に被包装物を充填して袋Bの天と地を一対のシール手段Jでシールするようにした包装装置であって、前記チューブTu内に被包装物を排出するホッパHと、該ホッパHによる被包装物の排出時点から前記シール手段Jが噛合うまでの遅れ時間tbを設定する設定手段1と、設定された遅れ時間tbで一対のシール手段Jが噛合うようにその動作を制御する制御手段2と、排出された被包装物が前記シール手段Jの噛合位置に至るまでの落下時間Tsを記憶する記憶手段3と、平行な2本の時間軸t1、t2を表示し、一方の時間軸t2上には、前記設定手段1によって設定された遅れ時間tbを表示させ、他方の時間軸t1上には、記憶した被包装物の落下時間Tsを表示させる表示手段4とを設けて、記憶した落下時間Tsより遅れ時間tbの方を短く設定して、落下する被包装物が前記シール手段Jの噛合位置に到達する前に前記シール手段Jを噛み合わすようにしたものである。
【0033】
前記ホッパHは、包装装置からの排出要求信号に基づいて開閉制御されるもので、被包装物を一定重量に計量して排出する自動計量装置等の計量ホッパ、或いは自動計量装置と包装装置との間に設けられて、自動計量装置から排出された被包装物を一時的に保持する図6のタイミングホッパHとして構成される。
【0034】
こうしたホッパHでは、図7のタイムチャートに示すように、シール手段Jのスタートタイミングtdは、前述と同様に逆算によって求まるので、制御手段2は、そのタイミングtdでシール手段Jをスタートさせる。
【0035】
またこれら第3〜第6の包装装置においても、被包装物の種類によって落下時間が大きく異なるときは、図4、6に示すように、それらの落下時間を被包装物の種類毎に記憶手段3に記憶しておき、指定手段5で被包装物を指定すると、指定された被包装物の落下時間を記憶手段3から読み出して表示手段4に出力するように構成することができる。
【0036】
前記指定手段5は、例えば数値キーで構成され、被包装物の呼出番号を入力すると、その番号に対応する落下時間が指定される。
【0037】
また、図8の操作画面に示すように、表示手段4に新たな時間軸t3を設け、この時間軸t3上に被包装物の物品検出位置における通過時間Tcを表示させたり、ホッパHの排出タイミングを表示させたりしても良い。このようにすれば、被包装物の長さや排出タイミングを時間軸t3上で把握することができるので、通過時間を表示する場合には、落下中の被包装物がどこまで尾を引いて落ちて来るかが判り、それに基づいてタイミングのずれを予知することができる。またホッパの排出タイミングを表示する場合は、計量装置との連携タイミングを時間軸t3上で把握することができる。
【発明の効果】
【0038】
この発明は、以上述べたように構成されるので、次の効果を奏する。
【0039】
請求項1の操作装置においては、運動物品の所定位置への到達タイミングと、それを受け止めたり排除したりする動作体の同位置への到達タイミングとを、時間軸上でそれぞれ表示するようにしたので、これまでは一瞬でしか捉えられなかった両者の遭遇タイミングを時間軸上の点として静的に読み取ることができ、また両者のタイミングのずれも時間軸上で把握することができる。したがって、これまでの遭遇タイミングの調整が極めて簡単になり、手間取ることがない。
【0040】
請求項2の操作装置においては、一方の時間軸に運動物品の到達タイミングを表示し、他方の時間軸に動作体の到達タイミングを表示するので、両者の重なり具合が良くわかり、調整の際の操作ミスをなくすことができる。
【0041】
請求項3の包装装置においては、時間軸上に袋のシールタイミングと、落下する被包装物が袋のシール位置手前に到達する到達タイミングとを表示するので、両者のタイミングを時間軸上の点として静的に読み取ることができ、しかも両者のタイミングのずれも時間軸上で量的に把握することができる。したがって、袋のシール面に被包装物を噛み込ませない調整が簡単になり、調整の際に生ずる包装不良を少なくすることができる。
【0042】
請求項4の包装装置においては、一方の時間軸にシールタイミングを表示し、他方の時間軸に被包装物の到達タイミングを表示するので、両者の重なり具合が良くわかり、調整の際の操作ミスをなくすことができる。
【0043】
請求項5の包装装置においては、一対のシール手段の噛合タイミングと落下する被包装物がその噛合位置の手前に到達する到達タイミングとを時間軸上に表示して、操作手段でシール手段の噛合タイミングを調整するので、シール面に噛み込みを生じさせない調整が時間軸上で簡単にできる。
【0044】
請求項6の包装装置においては、一方の時間軸にシール手段の噛合タイミングを表示し、他方の時間軸に被包装物の到達タイミングを表示するので、両者の重なり具合が良くわかり、調整の際の操作ミスをなくすことができる。
【0045】
請求項7の包装装置においては、物品検出センサによる物品検出時点からシール手段が噛合うまでの遅れ時間を設定し、その遅れ時間で一対のシール手段が噛合うように当該シール手段を動作制御するとともに、落下する被包装物の、前記センサの物品検出位置から前記シール手段の噛合位置に至るまでの落下時間を記憶して、その落下時間より遅れ時間の方を短く設定することにより、落下する被包装物がシール手段の噛合位置に到達する前にシール手段を噛み合わせるようにしたので、噛み込みを生じさせない調整を、被包装物の落下時間から自動設定することができるし、また遅れ時間を入力することによって手動調整することもできる。したがって、被包装物の落下条件が変化して自動調整によるタイミングがずれても、それを手動で簡単に補正することができる。
【0046】
請求項8の包装装置においては、ホッパによる被包装物の排出時点からシール手段が噛合うまでの遅れ時間を設定し、その遅れ時間で一対のシール手段が噛合うように当該シール手段を動作制御するとともに、ホッパからシール手段の噛合位置に至るまでの被包装物の落下時間を記憶して、その落下時間より遅れ時間の方を短く設定することにより、落下する被包装物がシール手段の噛合位置に到達する前にシール手段を噛み合わせるようにしたので、噛み込みを生じさせない調整を、ホッパの排出タイミングから自動設定することができるし、また遅れ時間を入力することによって手動調整することもできる。したがって、被包装物の落下条件が変化して自動調整によるタイミングがずれても、それを手動で簡単に補正することができる。
【0047】
請求項9の包装装置においては、落下時間を被包装物の種類毎に記憶し、被包装物を指定すると、指定された被包装物の落下時間が読み出されて表示手段に出力されるので、被包装物の種類によって落下時間が大きく異なっても、それらに対応させたタイミング調整が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
次にこの発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0049】
図4、6の構成図は、シール手段が回転駆動するロータリータイプの縦型製袋包装装置の概略構成を示したもので、帯状の包材(フイルム)fをチューブ状に曲成するフォーマFと、その下方において、フイルムチューブTuを側面から吸着保持してこれを下方に引っ張る一対のプルダウンベルトPBと、フイルムチューブTuの合わせ目を縦シールする縦シール手段VSと、縦シールされたフイルムチューブTuを水平方向から熱シールして所定サイズの袋Bに成形する一対のシール手段J、Jとで構成される。
【0050】
前記各シール手段J,Jは、互いに逆方向に回転するアームar、arと、それらの先端に取り付けられて、フイルムチューブTuを左右方向から挟持して熱シールする一対のシールジョーj、jとを備えて、アームar、arをサーボモータM1で回転制御しながら、水平方向に移動可能にされた回転軸SH、SHをサーボモータM2で水平方向に揺動させて、左右のシールジョーj,jに面対称のD字形運動軌跡を描かせるようにしている。
【0051】
またシールジョーj,jの上面には、スプリングで水平方向に伸縮自在にされたシャッタ板j1、j1が取り付けられ、シールジョーj、jの噛合いに先行して閉じることにより、袋Bのシール面への被包装物の進入を阻止するようにしている。またジョーJ、Jの下面には、同じくスプリングで水平方向に伸縮自在にされたしごき板j2、j2が取り付けられ、シール直前の直線走行において、しごき板j2、j2を閉じることにより、袋Bのシール部をしごいてシール面への噛み込みを防止するようにしている。
【0052】
なお、図4の符号Cは、組合せ計量装置の集合シュートであり、図6の符号Hは、上記集合シュートCの排出口に設置されるタイミングホッパである。
【0053】
このような包装装置は、通常は、上方に設置された組合せ計量装置等と連携して動作するように構成されるので、次にこの連携動作をからめて、まず図4の動作を図9のタイムチャートをもとに説明する。
【0054】
はじめに、包装装置は、シールジョーj、jを所定の原点位置に待機させ、準備が整うと計量装置に排出要求信号を出力して排出完了を待つ。一方、計量装置は、排出要求信号を受信すると、組合せ計量を実行して所定重量の被包装物mを排出するとともに、包装装置に対して排出完了信号を出力する。また上記の組合せ計量が成立しなかった場合には、この完了信号に代えて不良信号を出力する。但し、不良信号を出力しない態様もある。
【0055】
包装装置が排出完了信号を受信すると、シールジョーj、jをスタートさせるタイマTxが始動し、設定時間txが経過すると、制御手段2は、モータM1、M2を制御してシールジョーj、jを所定の動作モードで回転させ、移動時間td時間後には実線で示す噛合位置まで回転させて左右のシャッタ板j1、j1を噛み合わす。その直後に、被包装物mの先端がシャッタ板j1、j1の噛合位置に到達するが、シャッタ板j1、j1は、既に閉じているので、シールジョーj、jへの噛み込みは防止される。
【0056】
続いてシールジョーj、jは、そこから下方に直線走行して袋Bをしごき、水平位置Lに来ると、左右のシールジョーj、jが密着して袋Bをシールしながら下降して、図示しないカッタで袋Bを裁断して、再び円弧を描いて原点にリターンしていく。
【0057】
その行程中、プルダウンベルトPBは、シールジョーj、jの1回転に同期してフイルムfを1袋分送り、それが終了するタイミングで、包装装置は、再び排出要求信号を計量装置に出力して次の包装サイクルに入る。
【0058】
一方、計量装置が排出完了信号を出力しなかった場合は、包装装置は、なにもせずに次のサイクルタイムの立ち上げで、再び排出要求信号を出力する。
【0059】
こうして制御手段2は、シールジョーj、jを所定の動作モードで連続回転させながら、袋の所定部分にシールを施し、裁断して行くが、2回目のサイクルからは、スタートタイマTxを使用せずに、所定の動作モードでシールジョーj、jを回転させていく。
【0060】
図10は、図4に対応する装置の操作画面の一例であって、画面中央には、3本の時間軸t1、t2、t3を表示し、上段の時間軸t3には、センサS位置を通過する被包装物mの通過時間Tcを表示し、中段t2には、センサSによる検出時点からシャッタ板j1、j1が噛合うまでの遅れ時間tbを表示し、下段には、センサS位置からシャッタ板j1、j1の噛合位置までの被包装物mの落下時間Tsを表示している。
【0061】
前記落下時間Tsは、記憶手段3に記憶されており、被包装物の呼出番号を図示しない数値キー5で入力すると、読出手段6を介して対応する落下時間Tsが記憶手段3から読み出されて表示手段4に出力される。表示手段4は、読み出された落下時間Tsを図10で示すように右側のエッジEgで表わし、その左側に所定幅の目標領域Eを設けて、後述する標識Mの位置合わせを容易にしている。
【0062】
この目標領域Eの幅は、包装装置のサイクルタイムと連動しており、サイクルタイムが短い時、即ち包装スピードが早い時は、幅が小さくなり、長い時は、幅が大きくなって調整精度が変わるようにしている。
【0063】
一方、遅れ時間tbは、アップキーk1 、ダウンキーk2の操作で設定できるようにされ、設定された値は、時間に変換されて遅れ時間tbを表わす標識Mとして時間軸t2上に表示されるようになっている。
【0064】
次にこうした操作画面を使った噛合タイミングの調整について説明する。まず図10のアップキーk1、ダウンキーk2を操作して標識Mを目標領域Eのほぼ中央に一致させる。その操作過程においては、標識Mの移動に伴ってシールジョーj、jのスタート時点が移動する。即ちシールジョーj、jが原点位置をスタートしてからシャッタ板j1、j1の噛合位置に至るまでの移動時間tdは、設定された包装スピードで決まるので、標識Mを移動させると、即ち遅れ時間tbを変更すると、それに連動して移動時間tdの起点(スタート時点)が移動し、その結果、ジョーj、jのスタートタイマTxの設定時間txが決まるのである。
【0065】
この実施例では、シャッタ板j1、j1の噛合位置を固定させて前記移動時間tdを求めたが、袋サイズやしごき距離が変わると、この噛合位置が変わることがあるので、その場合には、上記移動時間tdを補正し、必要とあれば、落下時間Tsも補正して表示手段4に表示する。すると、標識Mのこれまでの表示位置がずれるので、前述と同様な操作でこれを目標領域Eのほぼ中央に一致させる。これにより、同様にしてスタートタイマTxの設定時間txが決まり、それに基づいてシールジョーj、jのスタートが制御されることになる。
【0066】
次に図6に対応する装置の動作を図11のタイムチャートをもとに説明する。
【0067】
はじめに、包装装置は、シールジョーj、jを所定の原点位置に待機させ、準備が整うと計量装置に排出要求信号を出力して排出完了を待つ。一方、計量装置は、排出要求信号を受信すると、直ちにタイミングホッパHから被包装物を排出するとともに、包装装置に対して排出完了信号を出力する。続いて計量装置は、組合せ計量を実行して所定重量の被包装物mを求め、それを空になったタイミングホッパHへ排出して、次の排出要求信号を待つ。また組合せ計量が成立しなかった場合には、排出完了信号に代えて不良信号を出力する。但し、信号を出力しない態様もある。
【0068】
一方、包装装置は、排出完了信号を受信すると、シールジョーj、jのスタートタイマTxを始動させ、設定時間txが経過すると、制御手段2は、モータM1,M2を制御してシールジョーj、jを所定の動作モードで回転させる。その後の動作は、図4に対応する装置と同様となる。
【0069】
ところで、この図6に対応する装置では、遅れ時間tbや落下時間Tsは、ホッパHからの排出時点を基準とするが、それらを時間軸上で表わすと、図10の操作画面とほぼ同じ内容になるのでここでは省略する。
【0070】
また遅れ時間tb、落下時間Ts、シールジョーj、jの原点から噛合位置に至るまでの移動時間td、並びにスタートタイマTxの設定時間txの間には、図11のタイムチャートで示す関係が成立するので、前述と同様に標識Mを目標領域Eのほぼ中央に一致させると、それに伴ってスタートタイマTxの設定時間txが決まり、それがタイムアップすると、シールジョーj、jがスタートすることになる。
【0071】
ところで、被包装物が塩や砂糖の付着したスナック菓子とかポテトチップスのように壊れやすいものでは、分離した塩とかチップの微小破片が絶え間なく袋内に落下してきて、袋にしごき動作を与えても、そうした塩や破片がシール面に噛み込まれることがある。そこで、図4、6に対応する装置では、プルダウンベルトPBとシール手段J、Jとの間に、それらの落下を一時的に阻止する一対のシャッタ10、10を設けて、シールジョーj、jが閉じる前に、シャッタ10、10を瞬時閉じて、閉じたその位置からシールジョーj、jの噛合位置までの区間に落下物のない空白域を形成するようにしている。
【0072】
このシャッタ10は、ロータリーシリンダ11の回転軸にL字型のアーム12を取り付けたもので、所定のタイミングになると制御手段2の指令でアーム12がほぼ90度瞬間的に揺動してフイルムチューブTuを挟むようになっている。またその揺動タイミングは、図10と同様な操作画面で手動調整され、またシールジョーj、jの噛合タイミングtbから逆算して求めることもできる。即ち、シャッタ10を閉じた時に、そこをすり抜けた落下物が、袋B内に入るタイミングでシールジョーj、jを閉じるようにシャッタ10の開閉タイミングを自動設定するのである。これにより、予測できない落下物のシール面への噛み込みを完全に防止することができる。
【0073】
なお、このシャッタ10は、上記実施例の他に、水平方向に開閉するシャッタ板で構成することができるが、連続的に搬送されるフイルムfにジャミングを生じさせないように、高速で開閉制御させる必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0074】
また上記実施例では、シール手段が回転駆動するロータリータイプの縦型製袋包装装置について説明したが、この発明は、それ以外の形式、例えばシール手段がボックスモーションを行うタイプのもの、或いは単に水平面内で往復運動するタイプのものなど、種々の縦型製袋包装装置に適用することができる。
【0075】
さらには、高速移動する運動物品と機械的に制御可能な動作体との遭遇タイミングを調整するようにした装置、例えばエアー選別装置とか、落下する物品をゲートを閉じながら受けるホッパ装置等にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る操作装置の操作説明図である。
【図2】本発明に係る操作装置の操作説明図であり、特に時間軸を2本設けた態様である。
【図3】本発明に係る包装装置の操作説明図である。
【図4】本発明に係る包装装置の構成図である。
【図5】図4に対応する包装装置のタイムチャートである。
【図6】本発明に係る包装装置の構成図である。
【図7】図6に対応する包装装置のタイムチャートである。
【図8】本発明に係る包装装置の操作説明図である。
【図9】図4に対応する実施例装置のタイムチャートである。
【図10】本発明の一実施例の操作画面の一例である。
【図11】図6に対応する実施例装置のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0077】
D 表示手段
Ta 運動物品或いは被包装物の到達タイミング
Tb 動作体の到達タイミング、或いは袋のシールタイミング
t 時間軸
t1 運動物品或いは被包装物の到達タイミングを表わす時間軸
t2 動作体の到達タイミング、或いは袋のシールタイミングを表わす時間軸
t3 被包装品の通過時間、或いはホッパの排出タイミングを表示する時間軸
tb 遅れ時間
Ts 落下時間
J シール手段
Tu チューブ
S 物品検出センサ
H ホッパ
1 設定手段
2 制御手段
3 記憶手段
4 表示手段
5 指定手段
6 読出手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動物品と制御可能な動作体との遭遇タイミングを動作体の動作制御によって調整するようにした操作装置であって、該操作装置に時間軸を表示する表示手段を設け、その時間軸上に前記運動物品の所定位置への到達タイミングと前記動作体の同位置への到達タイミングとを表示するようにした操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置において、前記時間軸は、上下に対応させた平行な2本の時間軸であって、一方の時間軸には、前記運動物品の到達タイミングが表示され、他方の時間軸には、前記動作体の到達タイミングが表示されてなる操作装置。
【請求項3】
袋のシールタイミングを操作手段で調整するようにした包装装置であって、前記操作手段に時間軸を表示する表示手段を設け、該時間軸上に前記シールタイミングと、落下する被包装物が袋のシール位置の手前に到達する到達タイミングとを表示するようにした包装装置。
【請求項4】
請求項3に記載の包装装置において、前記時間軸は、上下に対応させた2本の平行な時間軸であって、一方の時間軸には、袋のシールタイミングが表示され、他方の時間軸には、被包装物の到達タイミングが表示されてなる包装装置。
【請求項5】
一対のシール手段の噛合タイミングを操作手段で調整するようにした包装装置であって、前記操作手段に時間軸を表示する表示手段を設け、該時間軸上に、前記シール手段の噛合タイミングと、落下する被包装物が前記シール手段の噛合位置の手前に到達する到達タイミングとを表示させて、前記操作手段の操作で、前記シール手段が噛合った直後に被包装物がシール手段の噛合位置の手前に到達するようにした包装装置。
【請求項6】
請求項5に記載の包装装置において、前記時間軸は、上下に対応させた2本の平行な時間軸であって、一方の時間軸には、前記シール手段の噛合タイミングが表示され、他方の時間軸には、前記被包装物の到達タイミングが表示されてなる包装装置。
【請求項7】
帯状の包材をチューブ状に曲成しながら該チューブ内に被包装物を充填して袋の天と地を一対のシール手段でシールするようにした包装装置であって、被包装物の落下経路に設けた物品検出センサと、該センサによる物品検出時点から前記シール手段が噛合うまでの遅れ時間を設定する設定手段と、設定された遅れ時間で一対のシール手段が噛合うように当該シール手段を動作制御する制御手段と、落下する被包装物の、前記センサの物品検出位置から前記シール手段の噛合位置に至るまでの落下時間を記憶する記憶手段とを設けて、その落下時間より遅れ時間の方を短く設定することにより、前記チューブ内を落下する被包装物が前記シール手段の噛合位置に到達する前に前記シール手段を噛み合わすようにした包装装置。
【請求項8】
帯状の包材をチューブ状に曲成しながら該チューブ内に被包装物を充填して袋の天と地を一対のシール手段でシールするようにした包装装置であって、前記チューブ内に被包装物を排出するホッパと、該ホッパによる被包装物の排出時点から前記シール手段が噛合うまでの遅れ時間を設定する設定手段と、設定された遅れ時間で一対のシール手段が噛合うように該シール手段を動作制御する制御手段と、被包装物が前記ホッパから前記シール手段の噛合位置に至るまでの落下時間を記憶した記憶手段とを設けて、記憶した落下時間より前記遅れ時間の方を短く設定することにより、落下する被包装物が前記シール手段の噛合位置に到達する前に前記シール手段を噛み合わすようにした包装装置。
【請求項9】
請求項7又は8の何れかに記載の包装装置において、被包装物の落下時間を被包装物の種類毎に記憶した記憶手段と、被包装物を指定する指定手段と、指定された被包装物の落下時間を前記記憶手段から読み出して前記表示手段に出力する読出手段とを備えてなる包装装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−213944(P2008−213944A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155515(P2008−155515)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【分割の表示】特願平10−135780の分割
【原出願日】平成10年5月18日(1998.5.18)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】