説明

操縦者用制御レバー

特に建築重機用に使われ、空間部(5)を区切る外枠(3)と、水圧式ジャッキを操作する操縦者によって起動される少なくとも1つの操作ボタン(14,15,16,17,18,19)とを備えた、操縦者用制御レバー(2)であり、少なくとも1つの操作ボタン(15,16,17,18,19)が、少なくとも1つの絶縁層(30,39)と、互いの上端部に位置された1つの上部絶縁層(27,37)とを備え、下部伝導層(32,42)が下部層(30,39)に固定され、第二の上部伝導層(28,43)は操作ボタン(15,16,17,18,19)が配列された最初の位置とは反対に配置され、両伝導要素が操縦者の指の圧力がない状態において分離され、操縦者の指による圧力が働く状態において接触が生じ、前記上部層(27,37)は変形され、上部伝導要素(28,43)へ前記動きが伝えられ、両下部伝導要素(32,42)と両上部伝導要素(28,43)の間で生じる接触は電気回路を閉じ、電気制御信号を発生させる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に建築重機を対象とする制御レバーに関する。
【背景技術】
【0002】
建築重機の操縦者は、レバーを操作することにより作動装置を制御する。このレバーは、比例あるいはオン/オフ型のような操作ボタンを内蔵している。操作ボタンは、例えば電子バルブ、電動式方向フローバルブ、可聴警告あるいはギアボックス制御装置を操作することができる。
【0003】
そのレバーは、狭いスペースの中に多数の操作ボタンを備えなければならない。例えば、オン/オフ型の操作ボタンは、電気接触部を支持する第一部分と、操縦者の指の圧力で接触器を押すために第一部分に関して回動できるように、或いは並進移動できるように装着された第二部分とから構成され、第二部分が必要に応じて、リターン効果及び/または双安定効果を得るために、リターン及び/またはロック手段に連結できる。
【0004】
このタイプのボタンは、いくつかの不都合な点があり、それは;
スペースの必要条件が、そのレバー上に収納されるべきボタンの数を制限すること、
その配置もまた制限され、そのレバー上の配置は、深さが必要なために自由裁量ではできないこと、
機械的パーツの間に間隙できるので、レバーのシーリングが確実でないこと、
ボタン上のマーキングの読み易さが、暗い操縦室において乏しいこと、
ボタン上のマーキングが、繰り返し使用されることで、だんだんと擦り減ること、
である。
【0005】
加えて、このタイプのボタンは、生産過程において、レバー上にすべてのボタンによって行われる機能変更が容易にできる、モジュール方式を提供できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のかかる目的は、特にオン/オフ型のボタンの製造において、上述の通り提起された技術的な問題を解決することにある。
【0007】
したがって 本発明の課題は、特に建築用重機を対象とする操縦者用の制御レバーであって、そのレバーは、空洞部を画定する外枠と、操縦者によって作動される少なくとも一つの操作ボタンとを備え、少なくとも一つの操作ボタンは少なくとも一つの下部絶縁層と、頂部に置かれた一つの上部絶縁層とから成り、下部伝導要素が下部層に取り付けられ、それとは反対の操作ボタンの位置に第二上部伝導要素が配置され、これらの二つの部品は、操縦者の指の圧力が無い状態では切り離され、操縦者の指により圧力が上部層へ伝えられると接触し、上部層が変形して、この動作を上部伝導要素へ伝え、下部伝導要素と上部伝導要素との間の接触部が電気回路を閉じて、電気制御信号を発生させることを特徴とする。
【0008】
このような構成により、必要なスペースが最小な操作ボタンの製造を可能にし、レバーに多数の操作ボタンを配置でき、またボタンの深さに関する制限も無く、それらの配置を選択できる。
【0009】
一つの可能性によれば、下部層に取り付けられ、凸面体と変形可能な伝導カップから、上部伝導要素が成る。
【0010】
別の可能性によれば、上部伝導要素が、上部層(27)の下面にスクリーンプリントされた伝導インクで作られた伝導トラックを備える。中間層(29)が上部層(27,37)と下部層(30,39)の間に位置し、
中間層(29)が操作ボタン(15,16,17,18,19)の位置に開口部を有し、ボタンへの圧力がない状態で上部伝導要素(28)と下部伝導要素(32)とを分離する。
【0011】
上記の別の構成は、厚みを減らして伝導要素を製造することを可能にする。
【0012】
有利には、外層は上部層の頂部に取り付けられ、その内面にセリグラフを備える。
【0013】
外層の内面におけるセリグラフの製造は、ボタンに操縦者の指が繰り返し接触することによって、消されることが無い方法で、ボタンに表示を載せることを可能にする。
【0014】
一実施形態によれば、下部層が、操作ボタンの少なくとも1つの部分に逆光照明できる少なくとも1つの光源を備える。
【0015】
この構成により、暗い中でもボタンに載った表示を操縦者に見えやすくし、ボタンの位置を突き止めることが可能である。
【0016】
有利には、数個の操作ボタンが、同一の下部層および上部層から作られる。
【0017】
これは、コンパクトな方法で複数のボタンを互いに集合化し、フレキシブルキーパッドを作ることを可能にする。
【0018】
一実施形態によると、同一下部層および上部層から作られる操作ボタンの数は、上部伝達部品の形に従って、同一形状の下部伝達部品に関して変えることができる。
【0019】
上述通りのフレキシブルキーパッドの製造は、容易にボタンの数と配置を変更できる。
【0020】
有利には操作ボタンを組織する複数の層が、ボタンを接着すなわちシーリングすることによって取り付けられる。
【0021】
接着された複数の層の組立体よって作られたボタンは、湿気を通す隙間も無い。
【0022】
また、本発明は、上述の通り、レバーの製造の方法をその課題とし、外層は操作ボタンの位置に隆起部(blister)を作るために変形され、この変形はボタンを下に押し下げるための要求された操作の力加減に関連して、調整可能であることを特徴とする。
【0023】
従って、作動効果及び各ボタンの動程(travel)は、隆起部の形成する時間を変化させて調整することにより、触知できる感度を選ぶことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、このレバーのいくつかの実施例を示す図面を参照して、次のような記述により更に理解されるであろう。
【実施例】
【0025】
図1から図3は、レバー2の第一の実施例を示す。レバー2は、内部空洞部5を区切る2つの左右対称のハーフフレーム4から組み立てられて作られる外枠3を備え、外枠のボタン部は、示されていないが、固定された状態でまたは連結式で構造に繋がっている。外枠の中央部6は、操縦者が握れるよう設計されている。外枠3の上部7は、内部空洞部5と通じる開口部8を有する。開口部8は、プレート形を以って支持部9を受けるようになっている。この実施例が示すように、支持部は3つの取替え可能なフラット部10、12、13を備え、最初のフラット部10は他の2つのフラット部12,13よりも大きなサイズで、操作ボタン14,15,16,17,18を収納する。最後の操作ボタン19は、外枠上部の側壁に収納される。
【0026】
操作ボタンはカーソル14、オン/オフ型の4つのボタン15,16,17,18及び、オン/オフ型の5つ目のボタン19を備え:
− カーソル14は、連続制御を実行可能で、支持部9に作られた開口部22の中央軸に枢軸上に、既知の方法により固定されているシリンダー20を備え、
− オン/オフ型の4つのボタン15,16,17,18は、フレキシブルキーパッド23で作られ、支持部9に取り付けられ、
− オン/オフ型の5つ目のボタン19は、第二番目のフレキシブルキーパッド24で作られる。
【0027】
フレキシブルキーパッド23は、以下のような方法で数枚の重なった層を備える。フレキシブルキーパッド23の表面と支持部9の間に第一の層、第二の層27、第三の絶縁層29、及び第四の層から構成され:
− 第一の層は、プラスチック表面膜25で作られていて、図示していないが、内表面にセリグラフを保護し、グラフィック表示が被害を受けないようになされ、その膜は、操作ボタン15,16,17,18を配置したいと望む電気接触ゾーンに、隆起部を得るために、熱成形され、
− ポリエステルで作られた第二の層27は、上部伝導トラック28の一部分を形成するための電気接触ゾーンに、銀の熱伝導性インクから作られたセリグラフを内表面に備え、
− 第三の絶縁層29は、電気接触ゾーンに開口部を備え、
− ポリエステルで作られた第四の層30は、その外表面に銀の熱伝導性インクでできているセリグラフを備え、2つの接触部33の間に、一つの分断された下部伝導トラック32を形成するように構成されている。
【0028】
フレキシブルキーパッド23を構成する4つの層25,27,29,30は、電気接触ゾーンのもう一方の外側へ接着剤で止められている。フレキシブルキーパッド23は、支持部9へ接着剤で止められている。これにより、フレキシブルキーパッド23と支持部9と外枠3とから構成される組立ては、接着剤止めにより、シールされる。
【0029】
第三の絶縁層29は、隆起部26に圧力がない状態で、上部伝導トラック28と下部伝導トラック32を分離する。隆起部26を操縦者の指が押す状態で、第二の層27は変形し、上部伝導トラック28と接触部の下部伝導トラック32を押し、上部伝導トラック28の一部分が、先に分離されている2つの接触部33と下部伝導トラック32を備える電気回路を閉じる。
【0030】
この電気接触による電気信号は、示されていないが、下部伝導トラック32の端部へ接続される一対の伝導ワイヤーを備えるフラットジャンパー34によって、制御装置に送られ、それらの伝導ワイヤーはレバー2の内部空洞部5から支持部9の開口部35へ通じている。
【0031】
第二のフレキシブルキーパッド24はキーパッド23に関する記述と類似の方法で作られるが、前記キーパッドは、支持部9ではなく外枠3へ直接接着される。
【0032】
隆起部26は、別の形や高さでもよい。とりわけ前記隆起部を得るための膜の変形時間を変えることによって、上述の電気接触を得るために隆起部26のゾーンにある層25を下に押し下げるのに必要な操作力を、決定した値で固定することが可能である。
【0033】
上部伝導トラック28および下部伝導トラック32の配置は、電気接触ゾーンの外側に独立している。
【0034】
よって、同一の下部伝導トラック32の配置および操作ボタン15,16,17,18の数並びにその位置決めは、上部伝導トラック28の配列に依存するものである。
【0035】
図4に示された第二の実施例に従い、フレキシブルキーパッド23は次のような方法で作られ、レバーの外側から始まり、
− 第一の層36が、プラスチック膜から成り、セリグラフを有し、示されていないが、それ自体の内表面が、誘導グラフィックを備えることをできるように、前記膜が変更可能または変形不可能に構成され、
− 第二の層37が、電気接触ゾーンの外側に支持部9を備え、電気接触ゾーンにおいては、支持部9に設けられた開口部に収納される半透明弾性体膜38の一部分を備えるように構成され、
− 第三の層39が、硬質基板40と、伝導トラック42と、電気接触のそれぞれのゾーンの基板40の外側の表面に接着剤で止められ、且つ伝導トラック42の反対側に配置された金属製カップ43と、から成るプリント回路を備えるように構成される。
【0036】
硬質基板40は、接着剤で止められ、支持部9の内表面にネジ止めされる。
【0037】
カップ43は、操縦者の指からの圧力を受けない状態で、後半部と反対の伝導トラック42との間の接触を妨げる凸面体である。操縦者の指が電気接触ゾーンのキーパッド23の表面を押し下げる状態で、弾性体膜38は変形し、カップ43とプリント基板を有する伝導トラック42とが接触し、電気回路を閉じる。
【0038】
かかる電気接触による電気信号は、示されていないが、レバー2の内部空洞部5内に位置された伝導ワイヤー44を経由して制御装置に送られる。
【0039】
また層39を組織するプリント基板は、半透明弾性体膜38を通して、第一の層36を照らしキーパッド23をバックライトで明るくする発光ダイオード45を備える。バックライトで照らされているゾーンは不透明あるいは半透明な部分を構成する第一の層36のセリグラフによって画定される。
【0040】
本発明は上述の例に限定されること無く、あらゆる変形することが可能で、特に第二の実施例で定義されているバックライティングによる明かりは、例えばプリント回路によって構成される追加された層を第一の実施例に加えて応用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第一の実施例としてレバーの上部を示す斜視図。
【図2】図1のレバーの断面図。
【図3】図1のレバーのフレキシブルキーパッドの断面図。
【図4】第二の実施例としてレバーのフレキシブルキーパッドの断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に建築重機を対象とし、空洞部(5)を画定する外枠(3)と、操縦者によって作動される少なくとも1つの操作ボタン(14,15,16,17,18,19)とを備えた操縦者用の制御レバーにおいて、
少なくとも1つの操作ボタン(15,16,17,18,19)が、少なくとも1つの下部絶縁層(30,39)と、頂部に置かれた1つの上部絶縁層(27,37)とを備え、下部伝導要素(32,42)が下部層(30,39)に取り付けられ、第二の上部伝導要素(28,43)が前記とは反対で操作ボタン(15,16,17,18,19)の側に配置され、
これらの2つの部品は、操縦者の指による圧力が無い状態で切り離され、操縦者の指による圧力が上部層(27,37)へ伝えられる状態で接触し、上部層(27,37)は変形し、この動きを上部伝導要素(28,43)へ伝え、下部伝導要素(32,42)と上部伝導要素(28,43)との間の接触部が、電気回路を閉じて電気制御信号を発生させることを特徴とする制御レバー。
【請求項2】
上部伝導要素が、凸面状で変形可能な伝導カップ(43)を備え、前記伝導カップが下部層(39)に取り付けられことを特徴とする請求項1に記載のレバー。
【請求項3】
上部伝導要素が、上部層(27)の下面にスクリーンプリントされた伝導インクで作られた伝導トラックを備え、中間層(29)が上部層(27,37)と下部層(30,39)の間に位置し、
中間層(29)が操作ボタン(15,16,17,18,19)の位置に開口部を有し、ボタンへの圧力がない状態で上部伝導要素(28)と下部伝導要素(32)とを分離することを特徴とする請求項1に記載のレバー。
【請求項4】
外層(25,36)が上部層(27,37)の頂部に取り付けられ、前記外層がその内面にセリグラフを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のレバー。
【請求項5】
下部層(30,39)が、操作ボタン(15,16,17,18,19)の少なくとも1つの部分にバックライティングできる少なくとも1つの光源(45)を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のレバー。
【請求項6】
数個の操作ボタンが、同一下部層(30,39)および上部層(27,37)から作られることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のレバー。
【請求項7】
同一下部層(30,39)および上部層(27,37)から作られる操作ボタン(15,16,17,18,19)の数を、上部伝導要素(28,43)の形に従い、同一形状の下部伝導要素(32,42)に関して変えられることを特徴とする請求項6に記載のレバー。
【請求項8】
操作ボタン(15,16,17,18,19)を形成する複数の層(30,39,27,37,25,36)が、ボタンを接着剤、シールすることによって取り付けられることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のレバー。
【請求項9】
外層(25)が、操作ボタン(15,16,17,18,19)の位置に隆起部(26)を形成するために変形され、前記変形がボタンを押し下げるのに必要な作用力に関連して、調整可能であることを特徴とする請求項4から8のいずれか一項に記載のレバーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−509465(P2007−509465A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534780(P2006−534780)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002512
【国際公開番号】WO2005/043570
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(505163338)
【Fターム(参考)】